もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2015年 4月 22日 第189国会 国土交通委員会

地域公共交通法改定案 宇都宮LRT 反対討論

2015年4月27日(月) しんぶん赤旗

地域公共交通を守れ 本村氏 法改定で民営化進む

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(写真)質問する本村伸子議員=22日、衆院国交委

 鉄道やバス事業の運営管理のみを行う民間新会社に独立行政法人「鉄道・運輸機構」が出資できるようにする地域公共交通活性化再生法等改定案が22日の衆院国土交通委員会で採決され、自民、公明などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 日本共産党の本村伸子議員は反対討論で、「地域公共交通の民間委託・民営化を進め、地方自治体の関与と責任を弱めることは明らかだ」と指摘。民間事業者任せが各地で不採算路線からの撤退などを生んでいることをあげ、「住民の足を守るために自治体が管理運営にも責任を持つべきだ」と主張しました。

 今回の法改定によって具体的に出資が想定されるのは、宇都宮市のLRT(次世代路面電車)事業です。

 採決に先立つ質疑で本村氏は、地域公共交通活性化に関する国の基本方針は住民の合意形成を前提にしていると指摘。宇都宮市の同事業には多くの地域住民が反対していることを示し、「改定案によって、基本方針に反する住民合意のない事業にまで出資してはならない」「住民が合意できる計画になるように国は指導すべきだ」と強く求めました。

 国交省の瀧口敬二総合政策局長は「(住民合意を前提とする)基本方針の考え方に従い進めていただきたい」「必要な助言を行う」と答えました。

 

議事録

○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 地域公共交通というのは、人、物の交流、活動を支え、住民の皆さんの暮らし、生活にとって不可欠なものだと考えております。
 今日、高齢者の方々で自家用車の利用ができない方々や障害を持った方々、また、移動が大きく制限をされる方々もふえております。その方々の移動の権利を保障し、住民の皆さんの足を守るため、地域公共交通の充実、拡充、活性化というのは大変重要なものだというふうに思っております。
 今回の法改正について、そういう観点からも御質問をしたいというふうに思います。
 改正案では、地域公共交通にかかわって認定された軌道運送高度化事業などの管理運営を行う運行に特化した会社に対し、鉄道・運輸機構が出資を行うということになっておりますけれども、それはどういう会社なのかということをお伺いしたいと思います。
 ケースを紹介しますけれども、一つ目として、既存の民間交通事業者がそのまま運営にかかわるケース。二つ目、民間事業者が主導してつくる新しい株式会社。三つ目、自治体が主導する第三セクター。こういうものが想定できると思うんですけれども、出資を想定しているのはどういった会社でしょうか。

○滝口政府参考人 鉄道・運輸機構が出資等を行うに当たりましては、対象となる事業が明確であるということに加えまして、出資等の目的と無関係な他の事業の赤字補填などにこの出資金が用いられるといったような不明朗な事態を避ける必要があるというふうに考えております。
 そのため、鉄道・運輸機構による出資等とそれを受けて実施する事業との関係が明確になりますように、現時点では出資等の対象としては新規の会社を想定いたしております。したがいまして、委員御指摘の既存の民間会社というものにつきましては、現時点では想定をしていないところでございます。
 また、今回新設する出資等の制度は、民間だけでは十分な資金調達ができない場合における民間資金の呼び水ということでございますので、あくまでも民業を補完するという観点から行われるものでございます。
 そのため、出資割合につきましては、自治体とこの機構の出資分とを合わせまして、民間の出資の合計を超えないように努めるということを考えておりまして、民間が主体となった取り組みを支援する、こういったケースというふうに考えております。

○本村(伸)委員 確認をいたしますけれども、地方自治体が主導する第三セクターというのには出資しないということが確認できますか。

○滝口政府参考人 第三セクターというものの定義というのはないんだろうと実は思っておりまして、今私どもが考えておりますのは、機構と地方公共団体、自治体との出資の合計が民間の出資の合計を超えないように努める、そういった出資割合になるようにということを考えております。

○本村(伸)委員 もう一つお伺いをしたいと思います。
 自治体が運営している公営の地下鉄を民営化して、管理運営を行う民間新会社をつくった場合、機構からの出資はされるんでしょうか。

○滝口政府参考人 私ども、そういったケースというのは把握しておりませんけれども、仮に地方公共団体が運営する地下鉄につきまして上下分離を行うケースにつきましては、制度的にどのようなことになるかということを御紹介いたしますと、まず、上下分離について、地方公共団体が、地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通網形成計画を作成の上、その中に鉄道事業再構築事業、上下分離を行う事業でございますが、再構築事業を位置づけて、国土交通大臣の認定を受ける必要がございます。
 その上で、今回の出資の対象となるためには、民間を中心といたしまして、上物を担当する新たな運営会社を設立いたしまして、かつ、その事業に中長期的な採算性があることということがポイントとなってくるわけでございます。
 いずれにしても、現時点においてそういったことについては私ども把握しておりませんので、個別具体のケースに即して判断をしてまいりたいというふうに考えております。

○本村(伸)委員 公営の地下鉄も、運営管理を行う民間の新会社をつくるということであれば出資もあり得るということだと思います。
 この新しい会社が管理運営を任される場合、一体どこまで任されるのかという点について、二点お伺いをしたいと思います。
 例えば、一点目ですけれども、料金についてです。公営の地下鉄などの場合は議会で採決をして運賃を決めますけれども、運営管理を行う新会社が自由に決められるということになるのかという点が第一点目。
 そして、二点目ですけれども、もうけることが大前提になったり、経営が悪化すれば、運賃を値上げするということになるのではないか。値上げをしても赤字が続いて、これではやっていけないということになれば、すぐに撤退ということになるのではないかという懸念がありますけれども、これが二点目としてお伺いしたいという点でございます。

○滝口政府参考人 まず、運賃についてでございますが、上下分離をした後、運行を行ういわゆる上物の会社でございますが、この会社につきましても、道路運送法あるいは鉄道事業法といった各事業法に基づく規制というものがかかってまいります。
 こういった事業法においては、運賃につきましては国土交通省の認可、届け出事項というふうにされているわけでございまして、この新しい会社が自由に運賃設定をしてもいいというわけにはなりません。そういった制度が講じられております。
 また、実態といたしましても、地域公共交通においては、収支採算性を確保しようということを考えまして、運賃値上げをするというケースがございました。しかしながら、一方で、運賃値上げをいたしますと、当然のことながら利用者の減少というマイナス効果も招くわけでございまして、こういったような負の連鎖というべきものを食いとめなきゃならぬというふうに考えております。
 今回の出資の対象となるものにつきましては、まず前提といたしまして、地方公共団体が地域のネットワークを考えまして、地域公共交通網形成計画というものを立てます。その上で、上下分離についての事業計画というものをつくっていく、こういうことになるわけでございまして、そういった全体的なまちづくりと連携をとったような、地域のネットワークをつくっていこうという、そういった取り組みの中で、この出資の対象となる事業も位置づけられるというふうに考えております。

○本村(伸)委員 料金も、事業法はありますけれども、公営の地下鉄の場合、議会の議決などなしに自由に設定できることになるということだと思います。
 今、地方都市ですとか過疎地域などで、鉄道、バスの民間交通事業者が不採算路線から撤退して、公共交通の空白地域が拡大しているということが大問題になっております。その根本原因は、民間事業者任せになっているということがその根本原因であるというふうに私どもは思っております。
 今問題になっているのが備前バスの廃止の問題ですけれども、今月九日の山陽新聞には、備前バスの廃止、問われる地域の交通確保という社説が載りました。経営不振によって、ことし九月末に路線バス事業から撤退し、全十路線を廃止するということを発表いたしました。また、二年前に井笠鉄道も経営破綻によって七十一路線のバスが廃止の危機に瀕して、そして行政の関与が入って何とか多くの路線を継承させたということもこの社説の中に書かれております。民間主導といいますけれども、こういう問題も実際にはあるということだと思います。
 具体的な事例でもお伺いしたいと思うんですけれども、この法改正で機構から出資を想定しているのはどこなのかということをお伺いしたいと思います。
 例えば、先ほど来御答弁がありましたように、宇都宮市のLRT導入計画があります。これは公設型の上下分離方式という形で、運行、日常の維持管理を民間の営業主体が担うというふうになっております。先ほどの答弁でいきますと、この宇都宮のLRTの計画における事業主体となる新会社に出資することがあるということなわけでしょうか。

○滝口政府参考人 現在、具体的な出資対象につきましては、今後制度の詳細を定めるのと並行して調整を進めていくということになるわけでございます。
 先ほど来御紹介を申し上げております宇都宮市あるいは北近畿タンゴ鉄道のケースでございますが、今回このような出資制度を設けたいということで、関係者にどういったような希望があるのかというようなことにつきまして、そういった実態の把握を行ったところ、この二つのケースが本件について関心を示しているといったことをお話しされてきたということでございます。
 現時点においては、そういったような段階でございます。

○本村(伸)委員 もう一度確認をしたいんですけれども、先ほどもほかの同僚議員の質問の中でもありましたけれども、この宇都宮市のLRTの計画の概要、また事業費は一体幾らぐらいを想定しているのかということをお答えいただきたいと思います。

○小関政府参考人 宇都宮市におきますLRTは、東西方向の基幹公共交通として位置づけられておりまして、平成二十八年度の着工を目指していると聞いております。
 計画区間は、JR宇都宮駅西側の中心市街地と鬼怒川左岸の工業団地を結ぶ約十八キロメートルでございまして、このうち、JR宇都宮駅東側の約十五キロが優先整備区間とされております。
 宇都宮市によりますと、優先整備区間の想定事業費でございますが、現時点では、宇都宮整備区間約四百六億円、芳賀町整備区間約四十六億円、合わせて四百五十二億円が見込まれております。

○本村(伸)委員 ありがとうございます。
 事業費というのはとても大きい額になるわけですけれども、やはりこういう計画は住民の皆さんとの合意というのが一番大事だというふうに思います。
 改正地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針では、地方公共団体が先頭に立って住民合意を図ることが前提になっているというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○太田国務大臣 地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針におきましては、公共交通事業者、住民・利用者、学識経験者を初めとする地域の関係者が知恵を出し合い、その合意のもとで地域公共交通の活性化及び再生を図ることが重要である、このようにされているところでございます。

○本村(伸)委員 ありがとうございます。
 大臣がお答えいただきましたように、公共交通の事業者と住民・利用者、学識経験者などの参加の中で、合意のもとで構築していくということが大切なんだということを御答弁いただいたというふうに思います。
 そこで、この宇都宮市のLRTの計画についてお伺いをしたいと思うんですけれども、国土交通省としてはどのような反対意見をつかんでいるか、お答えいただきたいと思います。

○小関政府参考人 宇都宮市におきますLRTの導入に対する住民意見でございますが、宇都宮市からは、これまで市民説明の場におきまして、公共交通ネットワーク構築やLRT導入に対して肯定的な意見が寄せられる一方、利用者が見込めない、あるいは過大であるといった需要予測に関すること、採算性に関すること、市の財政負担に関することなどにつきまして疑問、不安の声があったというふうに聞いております。
 また、これらを受けて行われている地域説明会やオープンハウスでの説明といった機会を通じて、わかりやすい丁寧な市民説明に取り組んできた結果、直近に市民から寄せられる声としては、停留所の位置、運行頻度、LRTの開業時期についての質問など、LRTの事業内容やサービス内容に関するものが多くなっていると聞いております。

○本村(伸)委員 この宇都宮市のLRT計画に対しましては、住民の皆さんが宇都宮市のLRTに反対し公共交通を考える会というのを立ち上げておられまして、今のLRT計画の白紙撤回を求め、宇都宮市にふさわしい公共交通のあり方を提言されておられます。
 また、宇都宮市の市議会の中では、LRTについて導入に賛成か反対かを求める住民投票条例案が出され、賛成議員が十五名、反対議員が二十八名と、否決はされましたけれども、三分の一の議員が賛成をされるということがございました。
 四月十二日に行われました栃木県の県会議員選挙では、この住民合意のないLRT計画に対する栃木県の支援を見直すということを求めておりました日本共産党の候補がトップ当選するということもございました。これだけ大きな反対の世論があるんだということだと思います。
 先ほど、地域公共交通の活性化、再生のためには住民の合意が大前提だということを確認しましたけれども、この宇都宮市のLRTの計画は住民の皆さんから反対の声が上がっているわけです。これは住民合意に至っていないということだと言えると思います。この住民合意のない計画に対して国が支援するというのは、先ほど確認をいたしました基本方針に反するのではないでしょうか。大臣、お答えいただきたいと思います。大臣、お願いいたします。

○太田国務大臣 宇都宮市で構想されているような上下分離方式でLRTを整備するためには、それに先立って地域公共交通活性化再生法に基づく地域公共交通網形成計画を作成する必要があります。
 今後、宇都宮市が地域公共交通網形成計画の策定作業を進める中で、地域の関係者の意見集約が進められるものと考えているところでございます。

○本村(伸)委員 住民の合意のない計画まで推進するというのは基本方針に反するものであり、あってはならないというふうに思います。
 住民合意のない事業に本法案によって出資をするということがないように求めておきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○太田国務大臣 現時点においては、宇都宮市においては具体的な計画がまだ策定されておらず、補助や出資を判断するという段階には至っておりません。
 他方、宇都宮市がこのたびの出資等の制度について関心を有していると承知しておりまして、今後、地域公共交通網形成計画の策定等、構想の具体化に応じまして適切に対応していきたいと考えております。

○本村(伸)委員 一般論として、基本方針に反した住民合意のない計画に出資するべきじゃないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○滝口政府参考人 ただいま大臣の方から御答弁申し上げましたが、宇都宮市のLRTを進めるに当たりましては、地域公共交通網形成計画というものを策定する必要があるわけでございます。先ほど大臣の方からお話し申し上げました、基本方針で定められておる合意を得ていくといったことも、地域公共交通網形成計画を前提にした議論でございます。
 現時点においては、ハード面については、先ほど都市局長の方から御答弁申し上げたように、宇都宮市は概略の計画というのは持っているようでございますが、私どもが今回お願い申し上げております鉄道・運輸機構からの出資というものは、ハード面の整備ではございません。
 上下分離をいたしまして、上物の、運行する事業主体を、先ほど委員御指摘ありましたように、新たな会社をつくってもらうということが前提となると思いますが、この会社がどのようなものなのか、こういったことがはっきりしなければ、今の段階で出資などについて判断をするという段階に至っていないというのが現状でございます。
 したがいまして、今の段階では、地域公共交通網形成計画の策定に向けて、宇都宮市が基本方針で定めたような考え方に従って作業を進めていただきたいというふうに考えております。

○本村(伸)委員 そもそも、この宇都宮市のLRTの計画は、バブル経済期の前、四半世紀も前からつくられた計画でございまして、一時期この計画に反対する市長が誕生して計画が凍結したこともあるものでございます。現市長になってから、国土強靱化、地方創生という名で強引に進められようとしている計画でございます。
 事業費は、当初の計画では二百六十億円だったわけですけれども、それがどんどん膨らんで、現在は、宇都宮駅の東側だけで四百十二億円。先ほどは四百五十二億円と言われましたけれども、そして、西側は百二十三億円と言われておりまして、合わせて五百三十億円以上にも膨れ上がっているずさんな計画だというふうに思います。
 住民の皆さんからは、巨額の事業費だ、住民の理解が得られていない、三千世帯も住宅を抱える清原台団地をなぜ通らないのかという御意見や、多額の税金を使うのであればもっとふさわしい交通対策を検討してほしいという理由で反対の声が上がって、これまでも、住民投票の運動ですとか、あるいは市長に公開質問状を出すなどの大きい運動が広がっております。
 もう一つお伺いをいたしますけれども、この宇都宮市のLRT計画に対しては、国は、どういうものを幾ら補助しようとしているのでしょうか。

○滝口政府参考人 LRTの導入につきましては、コンパクト化した拠点間を結ぶネットワークを高度化し、町のシンボルとして町の魅力の向上、活性化にもつながるなど、地域にとって大きな効果をもたらすことが期待できるものでございます。
 この趣旨を踏まえまして、さきに閣議決定いたしました交通政策基本計画においても、その導入を推進ということが盛り込まれているところでございます。
 制度として御説明を申し上げますと、こういったようなLRTに対しまして現在国土交通省の方で用意をいたしております助成でございますが、まず、整備等につきまして、社会資本整備総合交付金によりまして、地方公共団体等に対しまして、走行路面や停留所等のLRTの走行空間の整備等に要する経費の十分の五・五等の支援を行っております。
 また、地域公共交通確保維持改善事業におきましては、鉄軌道事業者に対しまして、低床式車両の整備等に要する経費につきまして、これは具体的なケースによりますけれども、三分の一から二分の一の支援を行っているところでございます。
 国土交通省といたしましては、個々具体的なケースに応じまして、今後とも、関係機関の連携のもと、これらの支援措置を適切に組み合わせることにより、必要な支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

○本村(伸)委員 昨年の八月二十二日付の下野新聞では、見直された事業費は国が半分の約二百億円、これは四百十二億円のケースだというふうに思いますけれども、国が半分の二百億円、市と県が残りの二百億円を負担するとまで書かれております。
 基本方針に反する住民合意のない計画に国が交付金や補助金を出して支援をするというのはおかしいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○滝口政府参考人 本件計画につきましては、まだ具体的な補助金申請とかがあるわけではございません。
 したがって、先ほど御説明申し上げたのは、あくまでも、LRTの整備等に対します私どもが用意をいたしております助成制度の中身でございまして、これについて、今後、宇都宮市が中心となりまして、先ほど来申し上げているような地域公共交通活性化再生法に基づく計画の策定であるとか、そういったことについて必要な手続が進められるのだろうと思っております。
 そういった手続を踏まえまして、私どもとしては、必要な判断をしてまいりたいというふうに考えております。

○本村(伸)委員 住民合意もできていない計画に基本方針に反して国がお金を出そうとしていること自体が私はおかしいというふうに思います。
 今、国としてやるべきことは、基本方針に基づいて、住民の皆さんの意見をよく踏まえた、住民の皆さんが合意できる計画になるように指導するべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。大臣、お願いいたします。

○滝口政府参考人 現時点におきましては、国は、宇都宮市におきますLRTの整備について、補助や出資につきまして判断を行うという段階には至っておりません。
 国といたしましては、宇都宮市が今後行う地域公共交通網形成計画の策定手続等の中で、必要な助言等を行い、関係者の合意形成に向けた努力を支援してまいります。

○本村(伸)委員 住民の皆さんが合意できる計画になるように指導していただけるということでよろしいでしょうか。

○滝口政府参考人 あくまでも、この計画を策定するのは宇都宮市でございます。
 国としては、関係者の合意、先ほど大臣の方から御答弁申し上げました、計画策定に当たっての合意のもとといったことがございますが、そういったことに向けて、そういった宇都宮市の努力を支援してまいるということでございます。

○本村(伸)委員 住民の皆さんの意見をよく踏まえるというのは当然のことだと思いますけれども、住民の皆さんの意見をよく聞くということを支援していくということでよろしいでしょうか。

○滝口政府参考人 事業を進めようということを考えて、地域公共交通網形成計画を策定するのは宇都宮市でございますので、宇都宮市がまず判断をしていく。私どもとしては、既存のスキームであるとかあるいは基本方針であるとか、そういったものに従いまして宇都宮市を支援するという立場であるというふうに考えております。

○本村(伸)委員 先ほども確認をいたしましたけれども、基本方針の中では、「こうした地域公共交通に対する社会的要請に的確に応えるためには、ともすれば民間事業者の事業運営に任せきりであった従来の枠組みから脱却し、地域の総合行政を担う地方公共団体が先頭に立って、公共交通事業者、住民・利用者、学識経験者をはじめとする地域の関係者が知恵を出し合い、合意の下で、持続可能な地域公共交通網を構想し、その実現に向けて地域公共交通の活性化及び再生を図ることが重要である。」というふうに書かれているわけでございます。この基本方針を貫徹させていただきたいということでございます。
 住民合意のない事業に本法案によって出資をするべきではないということを求めて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


反対討論

○今村委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。本村伸子君。

○本村(伸)委員 私は、日本共産党を代表して、地域公共交通活性化再生法及び鉄道・運輸機構法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 反対する第一の理由は、地域公共交通の民間委託、民営化をさらに進め、地方自治体の関与と責任を弱めることは明らかであるからです。
 地方都市や過疎地域などで鉄道・バス事業者などの交通事業者が不採算の路線から撤退し、さらには、経営破綻によって突然の路線廃止となる事態も生まれています。
 この根本原因は、地域公共交通を民間事業者任せにしてきたからであり、住民の足を守り、安全を確保する上で、地方自治体がバスや鉄道などの整備にとどまらず管理運営にも責任を持つべきであります。
 反対する第二の理由は、住民合意のない計画にまで支援を行うおそれがあるからです。
 地域公共交通活性化再生法の基本方針には、地方公共団体が先頭に立って、公共交通事業者、住民・利用者も含めて知恵を出し合い、合意のもとで実現を図るとしているように、住民合意が大前提です。
 例えば、宇都宮市のLRT導入計画では、地域住民の皆さんから、事業費やルートなど問題のある計画だとして、大きな反対の声が上がっています。
 本改正案は、このような計画に出資を想定しています。これでは基本方針に反することになり、住民合意のない計画を後押しすることになります。それを認めるわけにはいきません。
 以上、反対の理由を申し述べ、討論とさせていただきます。(拍手)

○今村委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○今村委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○今村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

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