2015年6月5日(金) しんぶん赤旗
再発防止 原因究明を 宿泊所火災 本村氏、背景問う
日本共産党の本村伸子議員は3日、衆院国土交通委員会で、5月17日に10人が死亡した神奈川県川崎市の簡易宿泊所で起きた火災について、同宿泊所が建築基準法や消防法に違反していた可能性も指摘されているとして、原因究明と再発防止を求めました。
本村氏は、1部屋2~3畳でエアコンも扇風機も使用できず、テレビとガスコンロは有料、トイレと風呂は共同などの劣悪な住環境にある簡易宿泊所に長期に定住せざるを得ない高齢者や生活保護受給者がいることを示し、その背景を質問しました。
国交省の橋本公博住宅局長は、低所得であることと、不合理な入居選別を受けるなど「適正な水準の住宅を確保することが困難」だと認めました。
本村氏は、日本共産党川崎市議団が提案してきた、民間賃貸への転居を支援する事業を同市が実施していることを紹介し「国としてもっと応援すべき」と求めました。
谷内繁厚生労働省大臣官房審議官は「多くの自治体に、実施するよう努力してまいりたい」と答えました。
さらに本村氏は、公営住宅や特養ホーム、障がい者向けのグループホームなどの増設・供給と家賃補助制度を創設するなど「(生存権を規定する)憲法25条に基づき国が責任をもって公的住宅を増やす方向に転換すべきだ」と主張。太田昭宏国土交通相は「公的住宅の整備が大事な問題だ」と答弁しました。
議事録
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。よろしくお願いいたします。
まず最初に、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案について質問をさせていただきたいと思います。
この法案は、現行のエネルギーの使用の合理化等に関する法律から建築物部門を抜き出して、建築物の省エネ基準への適合の義務化、この第一歩を踏み出すものだと考えております。法案提出の背景には、エネルギー消費量が、産業部門、運輸部門などに比べて、建築物の部門は依然として増加傾向にあるということが挙げられております。
今回の法改正で大きく変わる部分は、二千平米以上の非住宅建築物を新築や改修する際の省エネ基準への適合を現行の届け出義務から適合義務に強化して、建築基準法に基づく建築確認の手続に連動させ、実効性を担保するというものになっております。
そこで、お伺いいたしますけれども、今回の法改正で、建築物部門のエネルギー消費量は低減するのかどうか、まず確認をしたいと思います。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
本法案による適合義務化の措置を講じなかった場合は、床面積の増加などにより、住宅以外の建築物、いわゆる非住宅建築物のエネルギー消費量は、二〇三〇年には現状に比べて約三%増加するという想定をされます。これを、本法案の措置を講じることにより、二〇三〇年には現状よりもエネルギー消費量が若干ですがマイナスになる、減少に転じさせることができる、三%を上回るエネルギー消費の削減が可能だというふうに考えております。
〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
○本村(伸)委員 しかし、あくまでも見込みだということで、私はもう少し踏み込むべきだというふうに思います。真剣に地球温暖化対策に取り組むこと、建築物のエネルギー消費量の低減のために、もっと高い水準の削減の数値目標を立てるべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○太田国務大臣 昨日開催されました政府の地球温暖化対策推進本部におきまして、二〇三〇年度における温室効果ガスの排出量を二〇一三年度比で二六%削減するという目標が取りまとめられたところです。
我が国のCO2の排出量のうち、家庭、業務部門は全体の約四割を占めているところでありますが、二〇三〇年度における削減目標は、二〇一三年度比で約四〇%となります。この目標の達成に向けて、住宅・建築物につきましても、省エネルギー関連施策の推進に努めることとしているところです。
○本村(伸)委員 ぜひ数値目標を持ってやっていただきたいというふうに思います。
社会資本整備審議会の答申の中でも、工程表に、今後、段階的に適合義務化を拡大させるという方向が出されておりますけれども、今出されている年限よりももっと加速させるべきだというふうにつけ加えて申し述べておきたいというふうに思います。
加えまして、関係の省庁とも連携をいたしまして、自然エネルギーの普及ですとか、二十四時間営業や長時間労働を見直して、持続可能な低エネルギー社会に向けて踏み出すこと、原発からの撤退ということも申し述べておきたいというふうに思います。
次に、五月十七日未明に川崎市川崎区の日進町の簡易宿泊所で発生した火災について質問をしたいというふうに思います。
この火災では、十名の方がお亡くなりになり、負傷者は十八名という被害で、重大な事態となりました。お亡くなりになった方々に心からのお悔やみを申し上げたいというふうに思います。そして、被害に遭われた方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
まず、お伺いをしたいのは、火災が発生した「吉田屋」と延焼した「よしの」は、建築物として安全性は確保されていたと国土交通省としては認識されているのでしょうか。
○橋本政府参考人 火災があった簡易宿泊所に関しましては、防火上の安全性が確保されていたかどうかについて、現在、特定行政庁である川崎市において事実関係を調べておるところでございます。
ただ、川崎市からは、実際の建物が焼失をしていること、建設時の図書も保存されていないため、違反があったかどうかの判断に時間を要していると聞いております。
国土交通省といたしましては、引き続き川崎市に対して、建築あるいは増改築の経緯等の事実関係を調査し、早急に違反性の有無を特定するよう求めておるところでございます。
○本村(伸)委員 今回のような低所得の方、高齢者の方が犠牲になる火災というのは、無届け老人ホームの「たまゆら」の火災などでも相次いでおります。
この川崎市の火災現場、そして、簡易宿泊所が集中している地域に私も行ってまいりました。今回火災に遭ったのは、簡易宿泊所が集中している地域と少し離れた二棟でございます。
きょう、資料も皆様方にお配りをしているわけですけれども、この地域は、写真のように、今回火災があった簡易宿泊所と同じような構造の簡易宿泊所がまだ多く残っております。一番上の写真ですと、鉄塔の向こうまで簡易宿泊所が続いているという現状でございます。
この建物をよく見ていただきますと、二階を三階に変えているような構造、あるいはすぐ延焼するような密接した建て方をしている、避難経路が本当にあるのかということも大変疑問に思いました。木造で、消防車も入れない、本当に密集しているということを痛感いたしました。
この密集している地域に、簡易宿泊所に、大体千人の方がお住まいだということを地域の方からもお話をお伺いしております。ここでまた同じような火災があったら、本当に大惨事になる、本当に危険だということを私は痛感してまいりました。
今後、このような大惨事を繰り返さないためにも、原因究明、再発防止策がどうしても必要だというふうに思います。今回の大惨事の原因、再発防止策を国交省としてどう考えているのか、お示しいただきたいと思います。
○橋本政府参考人 まず、建築基準法におきましては、三階建ての簡易宿泊所の場合は耐火建築物とすることを義務づけるなど、用途や規模などに応じた必要な防火対策を講ずることを求めております。
今回の火災を受けまして、五月十八日に、国土交通省から全国の特定行政庁に対し、消防部局などと連携し、簡易宿泊所に関する違反建築物の確認及び是正指導を行うよう通知を出したところでございます。
また、川崎市におきましては、簡易宿泊所への立入検査を実施いたしました。この結果、火災事故のあった建築物と同様に、木造で二階の上にさらに居室を設けている物件が四十九棟中三十二棟あったとの報告を受けておるところでございます。それ以外の、例えば東京二十三区あるいは政令市等で類似の構造を持つ簡易宿泊所があるという報告は今のところございません。
なぜ川崎市でこのような建築物が多く生まれたかということについて、よく経緯を踏まえた上で、川崎市において正しく是正指導を行うよう、引き続き川崎市に求めたいと思っております。
また、それ以外の特定行政庁とも連携をしながら、簡易宿泊所を含めた建築物の安全性の確保を図るための取り組みを推進してまいる所存でございます。
○本村(伸)委員 私、現場に行きまして、お話を伺って痛感したことは、今回の事例は川崎市だけの問題ではないというふうに思いました。国の産業政策や労働政策や社会保障の政策や貧困な住宅政策、こういう中で川崎市に矛盾が集中して起こった事件だというふうに痛感をいたしました。実態調査をするなど、国交省としても責任を持って原因究明と再発防止策をとるべきだというふうに思います。
きょうは厚生労働省にも来ていただいておりますけれども、火災に遭った「吉田屋」と「よしの」は、簡易宿泊所でありながら、五年、十年と長く住み続けている高齢者や低所得の方が多く、生活保護受給者は入所者の七十四名中七十名と言われております。ついの住みかになっていたというふうに言わざるを得ない状況があった。
火災に遭ったこの簡易宿泊所というのは、住環境としても大変劣悪で、先ほど大臣が言われた安穏という言葉とは本当にほど遠い現状がございました。
一部屋は二畳や三畳、宿泊費は一日二千円ぐらいで、月六万円を超えるにもかかわらず、木造二階建てと届けておきながら、実際には三階建て、建築基準法や消防法に違反している可能性がある建物で、安全が確保されていない状況です。
エアコンは廊下にあるだけで室内にはない。テレビは一時間百円、ガスこんろも有料、トイレ、お風呂も共同、部屋の電源もなくて、夏は扇風機も使えない。寝ると背が高い方は足が廊下にはみ出てしまう。憲法二十五条、生活保護法で、健康で文化的な生活というのが保障されているはずなのに、なぜこうした状況で、五年、十年住むことを許していたのか。
川崎市内のこの簡易宿泊所で暮らす生活保護受給者は千三百人を超えております。なぜこの簡易宿泊所に長く住み続けなければならなかったと考えているのか、厚生労働省にまずお伺いをしたいと思います。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
生活保護受給者が簡易宿泊所を長期間利用している状況につきましては、さまざまな背景があると考えられまして、例えば、過去におきましては、簡易宿泊所の利用者の多くが日雇い労働者でございまして、その利用者の高齢化によりまして、そこに住み続けられたまま生活保護の受給者に至っているということや、ほかには、生活保護受給者がアパートなどの住居を確保するまでの間に一時的に簡易宿泊所に宿泊したんだけれども、アパート等へ入居できず、引き続き宿泊を続けているといったようなことが考えられます。
○本村(伸)委員 国交省にもお伺いをいたします。
本来、このような簡易宿泊所に長く住み続けている方々は、公営住宅や民間のアパートなどを確保して転居させるべきだというふうに思います。なぜ転居ができないのか、どう分析されているのか、また、その対策をどうすればいいと考えているのか、お示しをいただきたいと思います。
○橋本政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、低所得の高齢者等の住宅困窮者が住宅を確保することが困難である理由ということでございますが、これは、かつて住生活基本法制定時の社会資本整備審議会の答申にも書かれておることでございますけれども、一つは、低額所得であること、それから二つ目として、不合理な入居選別を受けることなどによって、市場において自力では適正な水準の住宅を確保することが困難であるという場合があるということであろうと思います。
また、それに対して国土交通省としてどう取り組むかということでございますが、いわゆる住宅セーフティーネット法に基づいて、住宅確保要配慮者の居住の安定確保に向けましては、地方公共団体と連携をして、公的賃貸住宅の供給促進及び住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に努めております。このために、地方公共団体や不動産団体等を構成員とする居住支援協議会の活動も支援をしておるところでございます。
○本村(伸)委員 もともと、住生活基本法、住宅セーフティーネット法のできるときの議論の中で、国の役割ということについても議論をされているというふうに思いますけれども、国の役割についてどのようなことが求められていたかということをお示しいただきたいと思います。
○橋本政府参考人 先ほどの答申の中に、同じく国の役割として、「市場において自力では適正な水準の住宅を確保することが困難である者の居住の安定を確保するための環境整備などの役割を果たすべき」というふうにされておるところでございます。
○本村(伸)委員 もともと、住生活基本法、住宅セーフティーネット法をつくる前の議論のときに国の役割がしっかりと議論されて、「市場において自力では適正な水準の住宅を確保することが困難である者の居住の安定を確保するための環境整備などの役割を果たすべきである。」というその国としての役割をしっかりと今果たすべきときだということを申し上げたいというふうに思います。
川崎市では、二〇一三年から、簡易宿泊所や無料低額宿泊所の入居者に対し、アパートへの転居を促す取り組みを行っております。五人の居住確保支援員を配置して、二〇一四年度には二百十九人の方がアパートに転居をされております。しかし、千三百人がまだ簡易宿泊所にお住まいである。行政が仲立ちをすることで、民間賃貸住宅も受け入れやすくなっている。
日本共産党の、我が党の川崎市会議員団は、簡易宿泊所の入居者の方々から相談を受け、この問題にずっと取り組んでまいりました。その際に川崎市に求めていた内容というのは、住居が定まっていない人の生活保護受給の際に、安易に簡易宿泊所を紹介せずに、アパートへの入居を勧め、その際の障害となる保証や資金、生活習慣の改善などの問題に市が責任を持って対応することと指摘をして、改善を求めてまいりました。今、調べてみますと、川崎市内には三千百八十五戸、住宅扶助の家賃以下で入れる民間賃貸住宅の空き部屋があるということでございます。
私、現地に行ったときに、実際に、この簡易宿泊所からアパートへ移り住んだ方、五十代前半の男性の方からもお話をお伺いいたしました。
この簡易宿泊所の部屋というのは、地下の倉庫を改装した三畳のお部屋で、日差しも風も通らない。エアコンもない。宿泊費は月六万九千円で、電気代も含めて七万四千円。電源は夜十一時半には切られるので、扇風機も使えず、熱中症になったこともあるというふうなお話でした。支援を受けて、実際に八畳のアパートに移り住んで、そして就職することもでき、調理の仕事につくこともでき、今御病気があって心配ですけれども、頑張ってみえるというお話でした。
先ほども申し上げましたけれども、これは川崎市だけの問題ではないというふうに思います。やはり、国全体の労働政策や産業政策や社会保障の政策や住宅政策が大いに関係している問題だというふうに思います。川崎市が取り組んでいるこうした援助を全国で進めていくということが今本当に求められているというふうに思います。
厚生労働省に伺いますけれども、国としても、こうした取り組み、深刻な川崎市、そして全国でもっと強力に応援するべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○谷内政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省といたしましては、生活保護受給者の適切な住宅を確保することは重要なものと考えておりまして、平成二十五年度から、アパート等への入居を希望される生活保護受給者に対して、不動産業者への同行や現地確認による民間アパートの入居支援を行うなどの居住の安定確保支援事業を実施しているところでございます。議員が先ほど御指摘されました川崎市におきましても、この事業によりまして、川崎市居住確保支援員を配置して支援を実施し、一定の成果を上げていると聞いているところでございます。
この事業につきましては、平成二十五年度から開始しておりまして、段階的に実施自治体数がふえている状況にありますことから、厚生労働省といたしましても、引き続き、より多くの自治体に実施していただきますよう、自治体への事業の周知等、努力してまいりたいと思っております。
○本村(伸)委員 こういう川崎市の取り組みを全国的にもどんどん進めるべきだというふうに思います。
川崎市の例のように、一般の住居に入居できない事例は全国でもあちこちにございます。その受け皿になっているのが無届け介護ハウスですとか脱法ハウスですとかネットカフェ、そして簡易宿泊所があるわけですけれども、実際に適正な水準の住居としてその基準を満たしていないところがたくさんあるわけです。
国交省としても、早急に改善を図るべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○橋本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、住宅確保要配慮者につきましては、公的賃貸住宅の供給促進とともに、民間賃貸住宅への円滑な入居というのも非常に重要な選択肢であると思っております。特に、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に当たりましては、地方公共団体、不動産団体等を構成員とする居住支援協議会を通じて仲立ちをしておるところでございます。
ただ、残念ながら、まだ居住支援協議会は全都道府県でできておるという状況ではございません。まだ三十七都道府県、十一区市において、合計四十八しかできておりません。まずは都道府県単位で、設立されていない十県においてこの居住支援協議会を立ち上げた上で、先ほど申し上げました住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居について支援ができるように体制を整えていきたいというふうに考えております。
〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
○本村(伸)委員 今、数を言っていただきましたけれども、住宅セーフティーネット法施行後、居住支援協議会を設立した自治体というのは、都道府県で三十七件、市町村で十一件ということになるわけですけれども、局長が言われましたように、数的にももっともっと進めるべきだというふうに思いますし、つくっても機能をしていない、実効性がまだないという問題もあるというふうに思います。
まだまだ不十分だというふうに思いますけれども、なぜこうした取り組みが進まないのか、そのことについてどうお考えでしょうか。
○橋本政府参考人 居住支援協議会は、公共団体それから不動産団体等々が入っております。ただ、例えば賃貸住宅の大家さんの団体である協会は、全ての居住支援協議会に入っておるわけではございません。このちんたい協会というところは、住宅確保要配慮者について、例えば生活保護の代理受給をしてくれれば自分たちで生活保護の方を積極的に受け入れるということを言っておるんですけれども、何せ居住支援協議会のメンバーにも入っていないので、そういう活動もできないということで、逆に、ちんたい協会の方から、自分たちを入れてくれという御要望があります。そういうニーズがちゃんと地方の住宅行政に伝わっていないということの問題もあろうと思います。
我々としても、国としても、そういう仲立ちをしながら、居住支援協議会の活動をさらに活発化していきたいというふうに考えております。
○本村(伸)委員 今回の川崎市の簡易宿泊所の火災の問題では、新聞各紙の社説にも取り上げられております。
朝日新聞の六月一日の社説では、「家主と高齢者の間に第三者が入れば、家主は貸しやすくなるだろう。すでに先駆的に取り組むNPO法人もある。行政が民間物件を借り上げ、公営住宅の提供数を増やす方法もある。」と書いております。東京新聞も、「低所得者向けの公営住宅が少なすぎる。」というふうに社説で指摘をされております。川崎市の簡易宿泊所のような惨事を再び起こさないためにも、そもそも低所得の方々の公営住宅を抜本的にふやすということをやる必要があるというふうに思います。
NHKでも、低所得の高齢者の方々が行き場所がない、「老人漂流社会」というシリーズで、老後になって、本当にせつない思いで劣悪な住環境のもとで暮らしてみえるお年寄りのことを特集し、低所得のお年寄りの住宅政策が国にはないんだ、ここを強化することが必要だという指摘もございました。
所得に応じた費用負担の特別養護老人ホームを抜本的にふやすということも必要です。また、障害を持った方々の親御さんからは、自分に何かあったとき、子供たちがどうなるのか、老後どうなるのかということで、グループホームなどもふやしてほしいというお声も聞いております。
また、厚生労働省の施策ですけれども、生活保護の住宅扶助のカットなど、とんでもないというふうに思います。また、自主避難を初め、被災者の方々への住宅の無料の提供ということを打ち切るということも絶対あってはならないというふうに思います。
憲法二十五条からいって、本来、国が公的な住宅を用意し、供給しなければならないんだというふうに思います。公営住宅の新規建設、供給を進めるとともに、UR住宅の削減をやめて、家賃は所得に応じたものに安くするべきだということや、UR住宅の空き家あるいは民間賃貸住宅を借り上げて公営住宅にするという施策、さらに家賃補助制度を進めるなど、緊急にこうした具体的な対策が必要だというふうに思います。
地方自治体に任せるのではなく、国が責任を持って公的な住宅をふやしていく方向に転換をするべきだと思います。二度とこの川崎市のような大惨事が起こることがないように、大臣に、こうした公的な責任を果たす、国としての責任を果たすということをぜひ明言していただきたいと思います。
○太田国務大臣 高齢社会になる、医療や介護ということと住居との関係も出てくる、貧困ということの問題もあり、住宅行政だけではなく、総合的な対応ということが必要だとは思います。
今御指摘の、公営住宅、公的な賃貸住宅の整備というお話でありますが、住宅に困窮するこうした低額所得者等の居住の安定を確保するためには、公営住宅等の公的賃貸住宅の整備、これは大事な問題ではあります。
この公営住宅については、地域の実情を最もよく把握している地方公共団体が責任を持って整備、管理を行うべきものであります。このために、都道府県が住生活基本計画を定めて公営住宅の供給の目標量を位置づけて、これに基づいて都道府県や市町村が整備、管理を行っているところです。
国としましても、計画に沿って地方公共団体が行う公営住宅の整備や維持管理につきまして、社会資本整備総合交付金等により支援をしているところでございます。
○本村(伸)委員 先ほども申し上げましたように、住生活基本法をつくるときのもともとの議論の中で、「今後とも、「住宅困窮者の安定した居住の確保」を住宅政策の基本理念の一つと位置づけ、これを踏まえて、公営住宅制度をはじめ必要な個別具体の施策を講ずることにより、住宅分野において憲法二十五条の趣旨の具体化に努めるべきである。」ということは、これは社会資本整備審議会の答申の中でも明記をされております。
ぜひ、憲法二十五条を具体化するということで国の役割を果たしていただきたいというふうに思いますし、住宅セーフティーネット法の中にも、第五条の中に、「国及び地方公共団体は、所得の状況、心身の状況、世帯構成その他の住宅確保要配慮者の住宅の確保について配慮を必要とする事情を勘案し、既存の公的賃貸住宅の有効活用を図りつつ、公的賃貸住宅の適切な供給の促進に関し必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」というふうに書かれております。
憲法二十五条に基づき、国の責任を果たすべきだということを求めて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○今村委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
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○今村委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○今村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
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○今村委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、金子恭之君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、維新の党、公明党及び日本共産党の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。小宮山泰子君。
○小宮山委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読してかえさせていただきたいと存じます。
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 建築物エネルギー消費性能適合性判定が円滑に実施されるよう、判定方法をより合理的なものとすること。また、関係省令、告示等の制定から施行までに十分な期間を置いて、所管行政庁その他の関係機関、関係事業者等に対する制度の周知を徹底すること。
二 今後の適合義務の対象拡大については、予定される時期、範囲等を早期に明らかにした上で、審査等の執行体制の充実強化及び設計、施工、評価等を担う技術者の育成を促進するとともに、届出制度の的確な運用により、義務化に向けた適合率の向上を図ること。
三 戸建住宅を含めた小規模建築物の義務化に向けて、手続きの一層の簡素化等、建築側と審査側双方の負担軽減策を講じるとともに、中小工務店や大工等の技術力の向上に向けた支援を行うなど、制度の円滑な実施のための環境整備に万全を期すこと。併せて、地域の気候風土に対応した伝統的構法の建築物などの承継を可能とする仕組みを検討すること。
四 建築物エネルギー消費性能基準等は、新築におけるエネルギー消費性能の実態等を踏まえ、その向上に資する水準が維持されるよう定期的な見直しを行うこと。また、新技術の開発や低コスト化を促進するため、将来の基準強化の時期、内容等をあらかじめ明らかにすることについて検討すること。
五 建築物のエネルギー消費性能について、統一的かつわかりやすい表示の方法を早期に確立するとともに、建築物の広告等における性能の掲載や、売買、賃貸等の契約における性能の説明などの促進により、性能に優れた建築物が市場において適切に評価される環境を整備すること。併せて、建築物の設計者に対し、建築主へのエネルギー消費性能の適切な説明を促すこと。
六 国民に対して建築物のエネルギー消費性能の向上の必要性や効果をわかり易く説明し、本法施行への協力を求めること。特に、住宅の断熱性能の向上が、ヒートショックの防止など居住者の健康の維持や生活の質の向上に資することについて、実態調査を行いその結果を公表するとともに、国民の理解を深めるよう努めること。
七 住宅等の断熱性能の向上を図る上では、開口部における木製又は樹脂製のサッシの使用が有効であるため、その普及の促進に向けて、諸外国の例も参考にしつつ、同サッシの防耐火性能に係る技術開発や基準の合理化を検討すること。
八 既存建築物の省エネルギー改修を促進するため、支援制度の充実を図ること。特に、エネルギーコストの低減のメリットが所有者ではなく入居者に帰属することとなる賃貸住宅について、所有者に対するインセンティブの強化を検討すること。
九 国、地方公共団体等の公共建築物の新築、改修等にあたっては、建築物のエネルギー消費性能の向上を先導するものとなるよう、積極的な新技術の導入、再生可能エネルギーの活用等に努めること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○今村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○今村委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
参考資料
https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2017/06/53a216f9ef57f35091325820f675b111.pdf