もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2015年 7月 1日 第189国会 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会

小牧基地空中給油機・安保法制憲法違反

2015年7月2日(木) しんぶん赤旗

戦闘機給油 武力行使と一体 

本村議員追及に外相、答弁不能 外相 「一体化」論は国際適用困難

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(写真)質問する本村伸子議員=1日、衆院安保法制特委

 日本共産党の本村伸子議員は1日の衆院安保法制特別委員会で、航空自衛隊小牧基地(愛知県)に配備されている空中給油機が、戦争法案によって日本防衛と関係ない事態で爆撃に向かう米軍等の戦闘機に給油することは「他国軍の武力行使と一体化」し、憲法違反だと追及しました。

 本村氏は、給油活動が1回の作戦に必要な燃料を給油する形で行われるため、政府が「個々の戦闘行動と密接な関係がある」(1999年、内閣法制局長官)と答弁してきたことを指摘。給油は戦闘行為と密接不可分であり、「戦闘行為と異質の活動」だから「他国軍の武力行使と一体化しない」という今回の説明は論理のすりかえだと追及しました。

 本村氏は、仮に日本を攻撃しようとしているA国軍の戦闘機にB国軍が給油した場合、日本はA国とB国を「一体」だとみなさないのかと質問しました。岸田文雄外相は直接質問に答えず、「『一体化』の議論を国際社会に当てはめることは困難だ」と述べたため、審議が中断。外相は「日本固有の議論」だと居直るしかなく、国際法上通用しない議論であることが明らかになりました。

 本村氏は、「日本が主体的に判断して実施する」と答弁した中谷元・防衛相に対し、給油活動は米軍の指揮命令のもとで一体運用されると指摘し、「机上の空論だ」と批判。小牧基地の輸送機がイラク戦争に加担した経過にふれ、「同じ過ちを繰り返してはならない」と強調し、戦争法案の廃案を求めました。

 

議事録

○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 イラク戦争のとき、私の地元、愛知県にあります航空自衛隊小牧基地所属のC130輸送機が武装したアメリカ兵をイラク現地に運び、アメリカの戦争に加担をさせられました。同じ過ちを繰り返してはならない、この立場から質問をさせていただきます。
 今回の法案では、今度はこの航空自衛隊小牧基地所属の空中給油機が、自衛隊の中では空中給油機が配備されているのはこの小牧基地しかありませんけれども、この小牧基地の空中給油機が、まさに戦闘作戦行動のために発進準備中のアメリカ軍などの戦闘機に空中で給油ができることとされております。
 法案ではさまざまな事態が出てまいりますけれども、小牧基地の空中給油機は、重要影響事態、国際平和共同対処事態、武力攻撃事態、存立危機事態、こう判断されたときに、今にも爆撃に行こうとしている発進準備中のアメリカ軍などの戦闘機に空中で給油ができるということになるかどうか、まず確認したいと思います。

○中谷国務大臣 重要影響事態また国際平和共同対処事態、存立危機事態に際しまして、部隊の移動、警戒監視、情報収集、輸送等、さまざまな目的を持ちまして運用される米軍等の航空機に対して自衛隊が給油支援を行うことが想定されますが、そのときに空中給油機を使用することも法律上は排除されておりません。
 どのような場面で空中給油機が用いられるかは、個別具体的な状況に即して、地上基地等の利用も含めて、全体的な運用上の合理性という観点から適切に判断をされて実施されるということになろうかと思います。

○本村(伸)委員 要するに、日本の防衛とは関係ないときでも、小牧基地の空中給油機が、今にも攻撃に出ようとしているアメリカ軍などの戦闘機に対して給油ができるようになるということだと思います。
 中谷大臣にお伺いをしますけれども、戦闘機と給油の関係でいえば、給油しなければ、燃料がなければ戦闘機は飛ぶこともできないし、爆撃もできないというふうに思うわけですけれども、なぜこれが武力行使と一体ではないのか、なぜこれが憲法違反じゃないとお考えになるのか、お示しください。

○中谷国務大臣 法律によりまして、武力行使と一体化とならないように、現に戦闘が行われている現場でない場所で実施をするとか、また大森四原則ということで、せんだって共産党の先生からも御質問をいただきましたけれども、そういった原則等も踏まえまして判断をした結果、武力行使に当たるものではないという判断をいたしたわけでございます。

○本村(伸)委員 先ほど大臣も言われましたように、六月二十六日のこの特別委員会で、日本共産党の塩川鉄也衆議院議員の質問に対して、中谷大臣、安倍首相そして防衛政策局長が答弁をされておりますけれども、その資料をきょうは一ということで出させていただいております。
 この答弁についてそれぞれ見ていきたいと思いますけれども、二つ目の答弁としては、支援活動の具体的な内容は補給や整備で、戦闘行為とは異質の活動だから武力行使と一体ではないんだという答弁です。そして、四つ目の答弁は、現に戦闘行為を行っているものではないということを考慮すると、一体化をするものではないという答弁です。
 戦闘行為とは異質の活動、現に戦闘行為を行っているわけじゃないと言いますけれども、給油をせずに爆撃に行けるとお考えでしょうか。

○黒江政府参考人 事実関係の問題として申し上げれば、先ほど先生がまさに御指摘になられたように、戦闘機が飛ぶあるいは爆撃機が飛ぶということのためには、そのための燃料が必要であるということでございます。

○本村(伸)委員 大臣も同じ考えでしょうか。

○中谷国務大臣 航空機が飛行するということは、燃料が必要ということでございます。

○本村(伸)委員 燃料を入れることなしに戦闘機は飛ぶことはできないし、爆撃にも行けないというのは当たり前のことだというふうに思います。これを武力行使と一体じゃないと言うから、事はおかしくなるというふうに思います。
 大臣の答弁、この四つの類型で書かれておりますけれども、さまざまなすりかえがあるというふうに思います。
 周辺事態法の議論のとき、一九九九年四月十五日、発進準備中の航空機に給油をすることを認めるかどうかの議論のときに、資料の二の議事録を見ていただきたいんですけれども、一番上の議事録でございます。大森法制局長官は次のように答弁をされております。
 戦闘作戦行動に発進準備中の航空機に対する給油及び支援につきましては、個々の作戦行動のたびに必要なもののみを給油するという態様で行われていることであろうと思います、したがいまして、個々の戦闘行為と密接な関係があるのではないかということから慎重な検討を必要とするというふうに考えたわけでございますというふうに答弁をされております。
 今にも爆撃に出ようとしているアメリカ軍の戦闘機に給油することや整備をすることについて、今回は戦闘行為とは異質だから武力行使と一体ではない、現に戦闘行為を行っているものではないから武力行使と一体ではないということで合理化しようとしておりますけれども、もともと給油や整備が戦闘行為そのものではないということを前提の上で、憲法上問われてきたのは、その給油や整備が個々の戦闘行為と密接な関係にあるかどうかということが問われてきたのではないですか、大臣。

○黒江政府参考人 先ほど大臣からもお答えいたしましたけれども、まさに当時の大森法制局長官が挙げました四要件、あるいは四つの考慮要素といいますか、そういったところをまさに考慮いたしまして検討した結果としまして、先生がおっしゃいますような、もともと人の殺傷でありますとか物の破壊といったものではない行為がそういった行為と一体化するかどうかといったことを評価し判断するということをこれまで申し上げてきておる。先ほど来先生がお引きになりました前回の大臣の答弁でありますとか私の答弁は、その間の経緯につきまして御説明をしたということでございます。

○本村(伸)委員 憲法上問われてきたことに真面目に検討もしないで、物の破壊や人員の殺傷は戦闘そのものの議論で、武力行使と一体化という議論ではないと。議論のすりかえはやめていただきたいというふうに思います。
 きょうは外務大臣にも来ていただいておりますので、外務大臣にもお伺いをいたしますけれども、例えば、日本を攻撃しようとしているA国の戦闘機にB国の軍隊が給油をして、A国の戦闘機が日本を爆撃した場合、A国とB国は一体だというふうにお考えになりますでしょうか。

○岸田国務大臣 一体化の議論につきましては、先ほど来の答弁の中にもありましたように、従来から、地理的関係、そして具体的な内容、あるいは密接性、さらには活動の現況、こういったものを総合的に勘案して一体性について考える、こういった基本的な考え方に基づいて説明をしてきました。
 ですから、今、給油について御質問をいただいております。給油について、今申し上げました地理的関係で言うのであるならば、実際に戦闘行為が行われる場所とは一線を画する場所で行うということ。そして、具体的な内容ということで申し上げるならば、支援活動の具体的内容としては補給や整備であり、戦闘行為とは異質の活動であるということ。そして、密接性ということで申し上げるならば、他国の武力行使の任に当たる者との関係の密接性について、他国の軍隊の指揮命令を受けるものではない、自国の法令に従いみずから判断する活動であるということ。さらには、活動の現況ということにつきまして、協力しようとする相手の活動の状況について、あくまでも発進に向けた準備中であり、現に戦闘行為を行っているものではないこと。こういったものを総合的に勘案して、一体化するものではない、こういった説明をさせていただいております。
 こうした説明の整理のもとに一体化ということは考え、そして一体化していない、こういった説明をすることになると考えております。

○浜田委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○浜田委員長 速記を起こしてください。
 それでは、岸田外務大臣、答弁願います。

○岸田国務大臣 まず御質問は、一体化について御質問をいただきました。
 この一体化の議論というのは、憲法の要請との議論であり、そして我が国特有の概念でありまして、これは国際法上の概念ではありません。ですから、我が国において一体化の議論をどう当てはめるかということであり、国際的に、A国、B国と挙げて、国際的なものについて一体化の議論を適用するということはあり得ないと思っています。
 一体化の議論は、あくまでも憲法上の要請であって、我が国特有の議論であるということを申し上げているわけであります。ですから、これを国際的な社会一般に、A国、B国といって当てはめる、これは困難であるというお話をさせていただいております。

○浜田委員長 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○浜田委員長 速記を起こしてください。
 岸田外務大臣、答弁願います。

○岸田国務大臣 武力の行使との一体化の議論、これは我が国の憲法の要請に基づいて議論を行うものであり、我が国固有の議論であります。ですから、これは国際法上の概念ではありません。よって、A国、B国、国際社会に日本国憲法の概念を当てはめるということは、これは困難であるということを申し上げております。一体化の議論をこうしたA国、B国、国際社会に当てはめるということは困難であるということは御理解いただきたいと思います。(発言する者あり)

○浜田委員長 もう一回質問してください。

○本村(伸)委員 もう一度質問をさせていただきます。
 例えば、日本を攻撃しようとしているA国の戦闘機にB国の軍隊が給油をして、A国の戦闘機が日本を爆撃した場合、岸田大臣は、A国とB国は一体だというふうにお考えになるかということをお伺いしたんです。

○岸田国務大臣 これは、結論は先ほどから申し上げているとおりであります。
 武力の行使との一体化の議論、これは、我が国の憲法との関係において、我が国特有の議論であります。ですから、A国、B国、国際社会に当てはめるということは、そもそもこの概念は……(発言する者あり)

○浜田委員長 静粛に願います。

○岸田国務大臣 国際法上の概念ではありませんから、A国、B国に日本国憲法の考えのもとに一体化しているかどうかということを当てはめても意味がありませんし、これは困難なことだということを御説明させていただいております。一体化の議論は我が国固有の議論であるということ、これをぜひ御理解いただきたいと思っています。

○本村(伸)委員 憲法を何か大事にしているかのような御答弁がありましたけれども、先ほどの、憲法上問われてきたその給油や整備が個々の戦闘行為と密接な関係にあるかということについては、真面目な議論をしていないじゃないですか。
 もう一つお伺いをいたします。
 武力行使と一体ではないという言いわけとして、中谷防衛大臣は、三つ目の答弁で、自衛隊は他国の軍隊の指揮命令を受けるものではなくて、我が国の法令に従ってみずからの判断で活動するものであるというふうに言っております。
 資料の二、議事録を載せておりますけれども、この九九年の議論で佐藤防衛局長は、発進準備中の戦闘機に対する給油、整備について、実際のオペレーションは非常に専門的、いろいろ秘密も要します、整備員がクルーと一体になって運用するのが軍事上の常識と答弁をしております。
 アメリカ軍の発進準備命令のもとで、アメリカ軍と一体となって給油、整備をやるということではないですか。アメリカ軍の戦闘機に空中で給油するときにアメリカ軍の指揮命令を受けずに、どうやってみずからの判断で空中給油するんですか。

○中谷国務大臣 委員が御指摘をされました周辺事態法制定時の国会の審議におきまして、政府から、作戦戦闘行動のため発進準備中の航空機に対する整備について、非常に専門的であり、秘密も要するため、整備員がクルーと一体となって運用するのが軍事上の常識である旨答弁したというのは、御指摘のとおりでございます。
 これは、周辺事態法制定時、かれこれ十五年以上前でございますが、実運用上の観点から、戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備を行うためには、米軍の運用についての専門的な知識また高い相互運用能力が必要でありまして、日米それぞれにおいて行うことがいわば常識であるように理解をされていたということを述べていたものでございます。
 一方、その後、在日米軍の航空機が自衛隊施設において共同訓練を行う訓練移転が進められており、また空中給油、また輸送機、複数のヘリコプターの同時発着艦能力を有する大型の護衛艦の導入、整備が進められました。また、共同訓練等を通じて、状況に応じた実効的な相互運用能力、これはインターオペラビリティーと申しますけれども、それが向上してきた。
 実際のオペレーションとしても、海上自衛隊は、東日本大震災への対処において、米軍等のヘリコプターを護衛艦に離発着させて、柔軟かつ効果的に救援活動を実施したというようなことがありまして、現実において、実運用上も、他国軍隊に組み込まれる形ではなくて、我が国が主体的に判断して実施することが可能と認識をいたしております。米側の作戦行動のための発進準備中の航空機に対する給油、整備も含めて幅広い後方支援が期待をされており、ニーズは確認をいたしておりますが、あくまでも運用は主体的に行っていくということでございます。

○本村(伸)委員 それは机上の空論だというふうに思います。
 空中給油機が軍事作戦でどのような役割を果たすかという問題についてもお伺いをしたいというふうに思います。
 大臣も御存じのとおり、戦闘機が飛び立つ離陸の際に、一定の重量で抑えておかなければならないという最大離陸重量というものがございます。戦闘機がより多くの弾薬や兵器を載せて出撃するために、その分の油を少なくして離陸をする、離陸をしてから、一定浮上したところで空中給油機から戦闘機に給油をするということになると思います。より多くの爆弾やより多くの兵器を載せて出撃するために、空中給油機が軍事作戦上有効となるわけです。空中給油機は、まさにこの攻撃能力や戦闘能力を強化するためのものであるのは明らかではないでしょうか。
 アメリカ軍が作戦をつくり、そして出撃命令のもとで個々の戦闘機に対して出撃をするための空中給油を行い、しかも攻撃能力を強化する、これが武力行使と一体ではないとなぜ言えるのですか、なぜ憲法違反じゃないと言えるんでしょうか。

○黒江政府参考人 ただいま先生御指摘になられました空中給油機の運用といたしましては、そういった例というのも一例としてあるかと思いますけれども、そのほかにも空中給油機が戦闘機等に対して給油をするという場合はたくさんございます。
 例えば、単に航続距離を延ばすという必要もございます。また、我々自衛隊で行いますけれども、空中警戒監視といいますか、そういったことをやるために、待機時間を長くするために空中給油を使うということもございます。
 そういった中で空中給油機というのは柔軟な形で運用されるわけでございまして、先生御指摘のような点だけを捉えて、大変に危険な行動だということではないということでございます。
 また、加えまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、憲法上禁じられております武力の行使と一体化するかどうかということを判断するために四つの要素を考慮したということを申し上げておるわけでございまして、それらの総合的な判断の結果といたしまして、政府としては、武力行使との一体化という危険はないという判断をしたということを重々御説明をしておるということでございます。

○本村(伸)委員 一体化する給油も法律上できるということになっているわけでございます。
 憲法違反のこの戦争法案は廃案にすべきということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。

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