もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2016年 12月 9日 第192国会 国土交通委員会

建設工事従事者安全健康確保推進法案 外国人技能実習生の失踪者

2016年12月10日 しんぶん赤旗

建設業の外国人実習生 実態調査・待遇改善を

衆院国交委 本村氏が質問 

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(写真)質問する本村伸子議員=9日、衆院国交委

 法務省による外国人技能実習生の職種別失踪者数調査で、建設関係が最多だったことを受け、日本共産党の本村伸子議員は9日の衆院国土交通委員会で、建設業における実習生の実態調査と待遇改善を求めました。

 石井啓一国交相は「実習生制度の所管は法務省と厚労省だ」と述べるにとどまりました。

 本村氏は「失踪の一番の理由は低賃金だ」と指摘。鹿児島県で、フィリピン人実習生の基本給が1日約4000円だった事例を示し、同県の設計労務単価(普通作業員の日給は1万5700円)と比べ「3・8倍の乖離(かいり)がある」と指摘。日本人の報酬と「同等額以上」と定めた同制度に反するとして改善を求めました。

 本村氏は「実習生が失踪するようなブラックな職場では、建設業の担い手は増えない」と述べ、国交省が主体的に取り組むべきだと主張しました。


2016年12月10日 しんぶん赤旗

外国人技能実習生 失踪者、建設業が最多

本村氏要求で判明

 相次ぐ外国人技能実習生の失踪問題で、職種別の失踪者数が法務省の調査でこのほど初めて明らかになりました。全労連、愛労連の要請(7月)に同席した日本共産党の本村伸子衆院議員の求めに応じた同省が9月から集計を始めました。

 9~10月の失踪者数は953人。最多は建設関係の292人、次いで農業関係195人、機械・金属関係101人、繊維・衣服関係84人、食料製造関係83人となっています。

 日本の技術の海外移転を名目とする技能実習制度ですが、低賃金や長時間労働、暴行などの違法行為がまん延。2011年から今年9月までに2万人以上が失踪しています。

 実習生の支援に取り組む愛労連の榑松佐一議長は「法務省はこれまで職種別の数を明らかにしてきませんでした。今回の調査で、実習生全体では15%程度にすぎない建設関係の割合が、失踪者では30%と倍になっており、建設業に大きな問題があることが分かりました」と述べ、さらなる調査の足がかりになると評価しました。



2016年12月11日 しんぶん赤旗

建設従事者安全確保へ 本村氏質問 全会一致で推進法

衆院委・本会議

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(写真)質問する本村伸子議員=9日、衆院国交委

 建設工事従事者安全健康確保推進法が9日の衆院本会議で、全会一致で可決・成立しました。建設業で重大な労働災害が多発していることを受け、安全と健康確保を図るもの。安全・健康確保策が手薄だった「一人親方」も「建設工事従事者」に含め、安全・健康が確保されるべき対象とします。

 本会議に先立つ衆院国土交通委員会で、日本共産党の本村伸子議員は、建設工事従事者の安全・健康確保の経費が元請けから下請けへ確実に支払われることが重要だと指摘。共産党が安全・健康に関わる経費が工事費とは別枠で支払われるようにすべきだとの修正意見を出したことを紹介しました。

 務台俊介・内閣府政務官は「(別枠支払いの趣旨は)経費が適切かつ明確に積算され、内容が明示されることと、下請け関係適正化の規定で、実質的に担保される」と答弁しました。

 本村氏は、作業員の安全・健康を確保する上で、トンネルじん肺やアスベスト被害の救済と、新たな被害を生まない対策も喫緊の課題だと強調。現場を転々とすることの多い建設工事従事者の就労状況を把握し、健康管理や安全教育を徹底する仕組みや、救済基金の創設を求めました。

議事録

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 きょうは、議員立法として進められてきました建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律案にかかわって質問をしたいというふうに思います。

 この法案は、建設業における安全及び健康を確保する対象として、建設労働者に加えて、事業者と労働契約のない、いわゆる一人親方と呼ばれる方々も加えるというもので、極めて大切なものだというふうに思っております。私ども日本共産党も、大切な法案だからこそ実効ある中身にしたいということで、修正案を各党の責任ある御担当の皆様にお届けいたしました。

 例えば、建設工事従事者の安全及び健康を確保するためには、安全や健康のための経費の積算、明示、支払いについて工事の発注者や元請に責任があることを明らかにするということや、あるいは、安全、健康の経費の支払いは、下請重層構造のもとでも、実際に働いている事業者、働く人たちまで確実に支払われるようにするために、工事費とは別枠で支払われる必要があるということなどを提案してまいりました。

 全て受け入れていただくということにはなりませんでしたけれども、法案の第一条の「目的」の中に、「公共工事のみならず全ての建設工事について建設工事従事者の安全及び健康の確保を図ることが等しく重要であることに鑑み、」という文言が盛り込まれたわけでございます。

 建設業の労災を防止する取り組みというのは本当に喫緊の課題だというふうに思います。厚生労働省の労働災害統計によれば、二〇一五年、年間三百二十七名の建設労働者の方がお亡くなりになっております。これは年間労災の死亡者の九百七十二名の三三・六%で、業種別死亡者の数というのは建設業が最も多いわけでございます。

 また、二〇一五年に、建設労働者とは別に、一人親方等ということで、厚生労働省がつかんでいる数字でも少なくとも八十一名の方がお亡くなりになっております。この痛ましい死亡労災事故が起こらないように、私たち国土交通委員として心しなければならないというふうに痛感をしております。

 しかし、先日も、十二月三日ですけれども、岐阜県の高山市、国道四十一号バイパスの宮峠トンネル工事をしていた作業員の男性が、ダイナマイトで掘削をした岩盤を取り除く作業をしていたところ、トンネルの側面の壁の岩盤の一部が崩落して、頭部を直撃して亡くなられたということがございました。心から哀悼の意を申し上げたいというふうに思います。

 現在捜査中ですけれども、安全対策が適切に行われていなかったという可能性もございます。建設現場の安全対策を強化することは必要だ、重要だということを改めて申し上げたいと思います。

 国土交通大臣に伺いますけれども、建設工事従事者の方々の安全、健康対策の重要性をどのように認識しているのか、一人親方の方々のことも含めて御答弁をお願いしたいと思います。

    〔西村(明)委員長代理退席、委員長着席〕

石井国務大臣 建設工事は屋外で施工することが多く、その作業環境が多様で厳しいものとなっております。一方で、建設産業は、現場での直接施工を担う技能労働者によって工事の品質が大きく左右されるという、いわば人材で成り立っている産業でございます。

 こうした中、過去に比べると建設業における死亡災害等は大きく減少しているものの、平成二十七年におきましても、一人親方も含めて四百八名の方が亡くなっている現状は重く受けとめなければならないと考えております。

 建設現場の安全、健康の確保につきましては、労働安全衛生法を所管する厚生労働省と連携しつつ、引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

本村(伸)委員 建設工事の発注者や元請の高い意識、そして責任を持った対応こそ、建設工事従事者の安全、健康は守られるというふうに思うわけです。

 公共工事の場合、公共工事の品質確保の促進に関する法律でも、発注者の責任を重視して、二〇一四年に法改定をしていると思いますけれども、その法改定の趣旨を端的にお示しいただきたいと思います。

谷脇政府参考人 お答えいたします。

 御指摘ございました平成二十六年の改正品確法におきましては、基本理念といたしまして、これまでの工事の品質確保に加えまして、公共工事の担い手の中長期的な確保、育成が明確に位置づけられました。さらに、発注者の責務として、企業が適正な利潤を確保できるよう予定価格を設定すること、あるいは効果的なダンピング対策などを講ずることが規定されたところでございます。

 この法律は議員立法でございましたけれども、その背景といたしましては、建設産業におきまして、近年の建設投資の急激な減少、受注競争の激化などによりまして、地域の建設企業の疲弊や、下請へのしわ寄せ、現場の技能労働者等の賃金の低下を初めとする就労環境の悪化といった問題が発生していたことが挙げられるというふうに考えております。

 また、一部の公共発注者に残る安ければいいといった意識も、こうした問題をさらに深刻化してきたという面もあるのではないかと考えております。

 このような状況を踏まえ、将来にわたる公共工事の品質確保と、その担い手の中長期的な確保、育成を目的として改正されたものと承知しております。

本村(伸)委員 今御説明いただきました品確法の改定の趣旨は、公共工事にとどまることなく、やはり民間の工事についてもその趣旨は徹底されなければならないというふうに思っております。

 国交省として、建設工事従事者の安全、健康対策は、公共工事もそして民間工事も、発注者、元請にも責任があるということを前提に進めるべきだというふうに思いますけれども、大臣の答弁をお願いしたいと思います。

石井国務大臣 建設工事従事者を含めた労働者の安全や衛生につきましては、労働安全衛生法におきまして、事業者がその責任を負う旨が定められております。また、同法におきましては、事業者の中でも特に元請となる企業に対しまして、労働災害を防止するため講ずべき必要な措置を具体的に定めているところでございます。

 国土交通省といたしましては、労働安全衛生法の考え方を踏まえまして、建設工事において労働災害防止対策を適切に実施する観点から、建設業法令遵守ガイドラインを定め、これに基づき元請企業と下請企業の責任関係を明確にするよう、建設企業に対して指導してきたところでございます。

 なお、建設工事における受発注者間の請負契約におきましては、建設現場の安全や衛生を確保する観点から、適切な経費や工期が設定されるべきでありまして、公共工事の発注に際しまして適切に設定されているものと認識をしているところでございます。

本村(伸)委員 民間工事でも徹底をしていただきたいと思うわけでございます。

 建設労働者の労働災害の死亡事故を見てみますと、二〇一五年でいいますと、その四割が墜落、転落が原因になっております。一人親方等として厚生労働省がつかんでいるだけでも、その六割が転落そして墜落が原因になっております。

 今回、建設工事従事者安全健康確保推進法案が全会一致で進められているわけですけれども、安全対策というなら、やはり墜落、転落防止策が含まれなければならないというふうに思います。

 また、健康ということでいえば、とりわけアスベスト、じん肺の防止対策というのは建設現場で働く皆さんから強い要望がございます。建設業の担い手確保ということであれば、こういう対策経費も健康確保の経費に含めることが大事だというふうに思います。

 じん肺やアスベスト対策については、救済法をつくってほしいというのが御遺族や当事者の方々の思いでございます。

 例えば、トンネル工事に関しましても、転々とトンネル工事をされる方々は、トンネルをつくるときには雇われて、トンネルがつくり終わったら解雇され、またトンネルをつくるときに雇われ、また終わったら解雇される、こういう雇用形態を繰り返しているわけでございます。こういう労働者がいるからこそ、ゼネコンもトンネルをつくることができるわけでございます。

 ですから、こういう雇用形態を前提としているのであれば、せめて、トンネル建設労働者の全ての期間の就労の状況、労働期間をつかむということや、あるいは健康管理、健康診断をしっかりするということや、安全教育、粉じん対策教育などをしっかりとするということを業界全体挙げて管理する仕組みをつくって、じん肺の予防を徹底するという対策が必要だというふうに思います。

 そして、裁判に訴えなくても働く人たちが救済される、そういう基金をつくって被害者を救済する仕組みをつくるということが必要でございます。これは超党派でかなりの議員の皆さんが賛同しているのになぜ進まないのかというのが、御遺族や当事者の方々、支援者の方々の思いでございます。

 墜落、転落防止対策やじん肺、アスベスト対策、救済、ぜひこうしたことを国交省としてももっと強化するべきだというふうに思いますし、強化するべきだということを厚生労働省にお伺いしたいというふうに思います。

土屋政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業における労働災害につきましては、御指摘のありましたとおり、死亡災害の約四割を墜落、転落災害が占めておりまして、その防止を図ることが大変重要だと私どもも認識をしているところでございます。

 このため、従来からの種々の対策、規制に加えまして、昨年七月には改正労働安全衛生規則を施行いたしまして、足場の組み立て変更時に元請が足場の点検を行うことであるとか、足場組み立て作業に従事する労働者に対する特別教育の義務化を図るであるとか、足場からの墜落防止措置を強化し、一層の履行確保に努めているところでございます。

 また、一層の向上を図るという観点から、墜落防止用の個人用保護具、いわゆる安全帯に関して、その規制のあり方について、この十一月から、学識経験者や業界関係者にお集まりをいただいた検討会を立ち上げて検討を開始しております。

 また、御指摘のありましたアスベストあるいはじん肺につきましても、暴露の防止であるとか環境測定であるとか、さまざまな規定、規制を設けまして対応しているところでございまして、なお一層の対応を努力してまいりたいというふうに考えております。

本村(伸)委員 じん肺、アスベストの点はお答えいただいたでしょうか。

土屋政府参考人 先ほど最後にお答えいたしましたように、じん肺、アスベストについても、その暴露防止対策あるいは環境測定の義務化等々、これまでもさまざまな規制をもって対応してきているところでございまして、引き続きしっかり対応してまいりたいと思います。

本村(伸)委員 ぜひもっと強化をしていただきたいというふうに思います。

 安全と健康のための経費の支払いというのは、下請重層構造のもとでも、実際に働いている人たちに確実に支払われるようにするためには、発注者の段階から工事費とは別枠で経費を確保して、現場で働く事業者、働く人に至るまで、そのままの額で支払われる必要があるというふうに思うわけです。

 きょうは務台内閣府大臣政務官にも来ていただいております。

 まずお伺いをいたしますけれども、下請企業に対して消費税分を支払わないのは、消費税転嫁対策特別措置法では禁止されているというふうに思いますけれども、消費税の転嫁拒否等の五類型も含めてお答えをいただきたいというふうに思います。

務台大臣政務官 本村委員にお答えします。

 消費税転嫁対策特別措置法は、第三条におきまして、禁止される行為を列挙しております。一号では減額及び買いたたき、二号では商品購入、役務利用または利益提供の要請、そして三号では本体価格での交渉の拒否、そして四号で報復行為をそれぞれ禁止しており、同法は建設業にも適用されております。

 なお、特措法施行が平成二十五年十月からでしたが、この二十八年十月までの三年間で三千六十二件の指導、三十六件の勧告が行われておりますが、うち建設業者にかかわるものの指導三百六十五件、勧告四件という結果が出ております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 そういう仕組みを、同じように建設工事従事者の安全と健康を守る経費にできたらというふうに思うわけです。そういう経費が買いたたきに遭ったり減額などがあってはならないというふうに思います。

 務台政務官は、政務官という立場ではなく、今度は政治家としてお伺いをしたいんですけれども、今回の建設工事従事者安全健康確保推進法案の作成に当たって中心的にかかわられたというふうに思いますけれども、この建設工事従事者安全健康確保推進法案に関して、安全経費、健康経費は、下請重層構造のもとで、実際に働いている事業者、働く人まで確実に支払われるようにするために、工事費とは別枠で支払われるようにするべきだというふうに考えますけれども、認識を伺いたいと思います。

務台大臣政務官 内閣府の政務官の立場としては、今回の議員立法は所管ではありませんので、お答えすることは本来差し控えるべきであると思いますが、私自身、法律案を検討してきたメンバーでもございますので、あえて答えさせていただきたいと思います。当時行われた議論を紹介するという形でお答えさせていただきたいと思います。

 委員や御党が提案されている別枠支払いは、大変意欲的なもので、傾聴に値する御意見だと思っておりますが、一方で、その趣旨は、安全衛生に関する経費が適切かつ明確に積算され、この内容が明示されること、これは法案の十条で書かれております、そして、下請関係の適正化、これが法案の十一条、これらの規定によって実質的に担保されると考えておりますので、そのように御理解いただきたいと思います。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 働く人の安全、健康を守る経費をしっかりと確保するということで、国交省としても力を注いでいただきたいというふうに思います。

 務台政務官にもう一問お願いをしたいんですけれども、この建設工事従事者安全健康確保推進法案は、建設工事従事者等の中には、当然、労働者である外国人技能実習生も入ると思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

務台大臣政務官 法案の二条では、建設業法に規定する建設工事に従事する者が建設工事従事者であると定義されております。

 したがいまして、委員のおっしゃるとおり、外国人技能実習生が建設分野で受け入れられ、建設業法に規定する建設工事に従事している場合には、当然、この法案に言う建設工事従事者に該当するものと認識しております。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 資料一にも出しましたけれども、現在、日本にいる技能実習生の方々は二十一万人以上でございますけれども、建設分野で働く外国人技能実習生の数の推移を二〇一一年、二〇一五年の数字でお願いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 分野別の技能実習生数に関する統計につきましては、技能実習二号への移行者数、すなわち、おおむね一年目から二年目への移行者数で把握をしてございますけれども、建設分野の最近の動きといたしまして、平成二十三年が二千九百五十四人であったものが、平成二十七年には八千八百三十九人に増加をしてございます。

本村(伸)委員 資料の二に出しておりますけれども、次にお伺いをしますけれども、外国人技能実習生の失踪がふえておりますけれども、二〇一一年、二〇一五年、推移をお示しいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 技能実習生の失踪者数は、二〇一一年には千五百三十四人であったものが、二〇一五年には五千八百三人と増加をしてございます。

 このうち、分野別でございますけれども、入国管理局では、特に近年失踪事案が急増していることに鑑みまして、平成二十八年九月以降失踪した技能実習生が従事していた職種についての調査を開始いたしました。それによりまして、ことしの九月と十月の数字で見ますと、失踪者の総数九百五十三名のうち建設関係で二百九十二名、業種別で最も多くの失踪者が発生してございます。

本村(伸)委員 ありがとうございます。

 二〇一一年から二〇一六年九月末まで、資料の三枚目の数字ですけれども、合計で外国人技能実習生が二万一千四百九十二名失踪しているわけでございます。この方々は一体どこに行ってしまったのかということが、命さえも私は心配になるわけでございます。

 私の地元愛知の愛知県労働組合総連合、愛労連の皆さんのところには、この外国人技能実習生の方からのSOSが入るわけです。逃げてくるケースが多いわけですけれども、どの業種が多いのか、感覚として建設業が多いけれども、つかんでほしいということで、ずっと求めてまいりました。そして、やっとこの九月、十月の数字をつかんでいただき、建設業の失踪者が一番多く二百九十二名というのが、先ほど御答弁があったところでございます。

 この失踪が多い理由について次にお答えをいただきたいと思います。

佐々木政府参考人 平成二十六年三月以降で私どもがこれまでに失踪技能実習生及び関係者から事情を聴取するなどした調査では、失踪の動機といたしまして、技能実習生に対する人権侵害行為等、あるいは受け入れ側の不適正な扱いによるものもありますけれども、一番は、技能実習を出稼ぎ労働の機会と捉え、より高い賃金を求めて失踪する者が多数であるという調査結果になってございます。

本村(伸)委員 資料の五枚目を見ていただきたいんですけれども、失踪者が失踪する動機ということで、賃金が安いというのが最も多いわけでございます。

 技能実習二号への移行者全体が二〇一五年で六万一千八百九名、そのうち建設関係は八千八百三十九名で、二号に移行された方は一四・三〇%なんです。一方で、資料の四なんですけれども、結局、失踪者は三〇・六四%が建設業にかかわる方々でございます。異常に失踪者が多いというのは明らかでございます。

 外国人技能実習生の失踪者が建設関係で一番多いという問題、建設を所管している国交大臣としてどのようにこの現実を認識しているかということ、そして、建設業の担い手を、若手をふやしたいということで、処遇改善を中心として、担い手確保、育成対策のさらなる強化ということを国交省は言っているわけですけれども、外国人技能実習生の方々が失踪するようなブラックな職場、これではやはり建設業の担い手はふえていかないというふうに思います。

 外国人技能実習生の方々も安心して働ける職場を建設業の分野でどうやってつくっていくおつもりなのかという点、建設関係で失踪者が一番多いという点に関しての大臣の認識や責任、そして、外国人技能実習生も安心して働ける職場をどうつくっていくおつもりかというこの二点、大臣にお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 外国人技能実習生の受け入れに係る制度の所管は法務省及び厚生労働省でございますので、国土交通省として、この点について見解を申し上げる立場にはございません。

本村(伸)委員 大変無責任な答弁だというふうに思います。強く抗議をしたいというふうに思います。

 実際に逃げている方は建設業でふえているわけでございます。そして、法務省、厚生労働省といっても、入管でも人が足りない、そして労働基準監督署も人が足りない、そういう中で、なかなか現場を押さえることができないという中で、国交省が協力しなければこの現状を改善することができないというものでございます。

 愛労連の皆さんのところに駆け込んできたケースでは、昨年二月、東京から逃げてきた建設関係で働いていたフィリピンの技能実習生の方は、手取りが月額二万四千円でした。未回収分として、安全帯、作業服、道具代など三万二千円、これは借金になっております。これでは逃げ出すのも当然だというふうに思います。

 建設業は、雨の日は仕事がないなど、ほかの産業の働き方とは違う特殊性がございます。

 建設業の外国人技能実習生の方のお話をお伺いしますと、建設現場までの移動の時間は時給に入らない、現場で仕事をした時間のみカウントされる、午前三十分、午後三十分の休憩やお昼の休憩六十分、合計二時間は労働時間に入らない、最低賃金に近いような時給で働いておられます。暮らしていけないのは当然だというふうに思います。

 外国人技能実習生の方は、兼業、ほかに仕事をするということはできない仕組みでございます。

 ことし二月に相談のあった鹿児島県のフィリピン人の技能実習生の建設業の方は、出勤日数は十七日で、基本給が六万九千四百円。鹿児島県で最低賃金六百九十四円で計算をいたしますと、一日六時間労働ということになりますけれども、実際はそうなのか。一日四千八十二円ということになります。鹿児島県の最新の設計労務単価を見てみますと、例えば、普通作業員で一万五千七百円になっております。日本の国交省、農水省の直轄の工事の十六万人のサンプルから設計労務単価というものは算出されておりますけれども、三・八倍の乖離がある。

 日本人が従事する場合の報酬と同等額以上ということで外国人技能実習生の待遇はなっているのに、なぜこういう生活できない賃金がまかり通っているのかという問題がございます。

 もう一つ、埼玉の建設関係のとびをしていた中国人技能実習生の方ですけれども、建設現場で落ちていたスチールパイプでけがをしました。病院では、会社は労災と言わずに、逆に、仕事に来なければ首と言われたそうです。結局、首にされて、帰国をさせられてしまった。言葉が十分ではなく、会社で殴られたこともあるそうです。この会社では、残業代が支払われず、家賃なども契約書と違う内容がありまして、昨年も一人逃げております。

 宮城県の気仙沼から名古屋に逃げてきたベトナム人技能実習生の方は、職種は、ベトナムでは溶接だったのに、日本に来たら鉄筋工になっておりました。結局、だまされていたわけでございます。受け入れ団体は広島県、実習企業本社は鳥取県、就業場所は宮城県の気仙沼だったそうです。時給は七百五十円、七時間半、日給五千円から六千円。同一の会社が送り出し機関とそして受け入れ組合もやっておりました。寮は仙台の郊外で、一時間半かけて気仙沼の現場に行く。その移動の時間も無給だということでございます。

 広島の入管の職員が宮城県の気仙沼まで行くことはできません。こういう状況、先ほども申し上げましたように、入管の職員も足りない、労働基準監督署の労働基準監督官も足りないという中で、なかなか把握すら難しい現実がございます。

 国交省は、外国人技能実習生の問題は入管の問題だ、法務省の問題だ、厚生労働省の問題だというふうに言いますけれども、そう言っていては、建設業における先ほど来言っている失踪が相次いでいる問題を解決できないからこそ、国交大臣にこうやってしっかりと取り組んでほしいということで実態をお伝えしているわけでございます。

 国交省としても、建設業で働く人の問題として、外国人技能実習生の問題……

西銘委員長 時間が来ていますので、まとめてください。

本村(伸)委員 実際どうなっているのかということを実態調査してください。せめて公共工事の分野では実態調査ができると思います。そして、違反を繰り返す悪質な建設業者に対しては、建設業の取り消しも含むくらいの強い姿勢で取り組むべきだというふうに思います。そして、公共事業について、外国人技能実習生が失踪するような労働条件、人権侵害がないように徹底するべきだということを大臣に強く申し上げて、答弁を求めて、質問を終わりたいと思います。

西銘委員長 大臣、時間が来ていますので簡潔にお願いします。

石井国務大臣 技能実習生に係る労災隠しや処遇等への対応につきましては、関連する制度を所管する法務省及び厚生労働省において必要な検討や対応が行われるべきものであると考えております。

本村(伸)委員 労働現場のこうした問題を改善しなければ、やはり若い人たちが建設職場に入ろうということにならないわけですから……

西銘委員長 本村委員、時間です。

本村(伸)委員 改善を求めて、質問を終わりたいと思います。

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参考資料

https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2017/06/f64bac086e117cd63a06abcbfc17ef72.pdf

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