しんぶん赤旗 2016年4月21日(木)
旅館・仮設の手配急げ 本村氏 避難実態を説明
日本共産党の本村伸子議員は20日の衆院国土交通委員会で、熊本地震で強い余震が続く中、車中泊など困難な避難生活を強いられる被災者の状況を説明し、「ホテルや旅館などへ移っていただくことや、仮設住宅や借り上げ住宅など早急な対策をとることが必要だ」と強調しました。
国土交通省の由木文彦住宅局長は「全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会に対して九州全域の旅館、ホテルへの被災者受け入れを要請している」と答弁。被災住宅の危険度判定や、仮設住宅の手配などを進める姿勢も示しました。
しんぶん赤旗 2016年4月29日(金)
自然環境への配慮を 本村氏 洋上風力発電に懸念
日本共産党の本村伸子議員は20日の衆院国土交通委員会で、洋上風力発電の建設について、十分な自然環境や生活環境への配慮を求めました。
同発電では、渡り鳥の移動阻害や干潟など生態系への影響、低周波音による健康被害が懸念されています。
本村氏は、発電設置区域を決める審議会に有識者や住民参加を主張。意見公募や住民説明会で出された意見を生かすよう求めました。石井啓一国交相は「しっかり検討して適切に対応することが重要だ」と答えました。
本村氏は、1万キロワット以下の洋上風力発電に環境影響評価(アセス)が義務付けられていないことを指摘。1000~2000キロワット程度でも被害が起こっているとして「発電規模に関係なく評価すべきだ」と主張。環境影響評価の規模要件を1万キロワットから5万キロワットへ緩和することは許されないと述べました。
環境省の深見正仁大臣官房審議官は「ナショナルミニマム(国民的最低限度)の基準設定の観点から規模要件を設定している」としか答えませんでした。
本村氏は、環境アセス評価項目の選定が事業者まかせで、低周波被害に関する環境基準も定まっていないと指摘。深見審議官は「環境アセスの項目や手法について技術的な検討を進め、年度内に基本的な考え方を取りまとめる」と述べました。
議事録
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
港湾法にかかわって質問をさせていただきます。
最初に、本日も九州地方地震の問題について質問をさせていただきたいと思います。
連日亡くなられる方の数もふえているということで、亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表したいと思います。被害に遭われた全ての皆様に心からのお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
今回の九州地方の地震で、港湾の被害と復興復旧というのはどういうものになっているのかということをまずお示しいただきたいと思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
平成二十八年熊本地震におきましては、熊本港、八代港、別府港におきまして、フェリーへの車両乗降用可動橋やコンテナターミナルにおけるガントリークレーンのふぐあい、岸壁や道路の沈下あるいは液状化等の被害が発生してございます。これ以外の港湾につきましては、点検の結果、利用に支障を来すような被害はございませんでした。
また、被災した港湾につきましては、早期に応急復旧やあるいは迂回路の確保を行いまして、一部利用上の制約はありますが、緊急物資の受け入れ等の利用が可能となってございます。
その結果、四月十六日から、熊本港におきまして、九州地方整備局の船舶あるいは海上保安庁の巡視船による飲料水の提供、こうしたものを行ってございます。
現在、熊本港、八代港、三角港、大分港におきまして、地方整備局の船舶、海上保安庁の巡視船あるいは自衛隊の艦船による給水活動、また緊急物資の輸送の拠点として役割を果たしているところでございます。
引き続き、被災者支援に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 被災者の支援のためにも港湾が果たす役割というのは大変大きいということを今回改めて認識させていただきました。
港にかかわって、国土交通省は、ホテルシップということで、フェリー二隻を用意して八代港などに配備をする、被災者の方にそこで過ごしていただくということを出されております。そして、観光庁も、避難所にいらっしゃるお年寄りなどをホテルや旅館で受け入れるということも発表されております。今も激しい揺れを警戒しなければならない、九万六千世帯で断水になっているという中で、少しでも安心して過ごしていただけるというための早急な対策が必要だというふうに思います。
昨日も、車の中で避難生活をされておられた熊本県の女性の方がエコノミークラス症候群で亡くなったということが発表されております。今回の地震で、エコノミークラス症候群によって亡くなられた方というのは初めてだという報道でしたけれども、エコノミークラス症候群の疑いで少なくとも二十三人の方が熊本市内の病院に搬送されて、複数の方が重体となっているということが報道されております。避難所で亡くなられている方もお見えになります。
一刻も早く、プライバシーが確保されてエコノミー症候群になるようなことがないような場所で、落ちつけるような場所で被災者の方が過ごすことができるように、あるいは障害を持った方や女性の方も安心して過ごせるようにということで、ホテル、旅館などへ移っていただくことや、仮設住宅、借り上げ住宅、公営住宅、UR住宅、雇用促進住宅など、早急な対策をとることが必要だというふうに思います。
被災者の方が見通しが持てるように、国土交通省の計画についてお伺いをしたいというふうに思います。
○由木政府参考人 お答えいたします。
住む場所の確保に関しましては、それぞれのニーズに応じまして段階的に措置を講じていくことが必要だというふうに考えております。
現在は、まさに自宅が被災をされたとか、あるいは余震が不安で帰れないとか、あるいはライフラインがそもそも自宅で使えないなどの理由によりまして、学校や公民館などの公的施設に一次避難をされているという状況だというふうに承知をしております。この後、先生お話ございましたように、ホテル等の二次避難所に移っていくということもあろうかというふうに考えております。
この点に関しましては、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会、いわゆる全旅連でございますけれども、こういった団体等に対しまして、九州全域におきます旅館、ホテルへの被災者の受け入れを要請いたしております。旅館、ホテルでの受け入れが進みますよう、所管の厚生労働省とも連携をして対応してまいりたいというふうにまず考えているところでございます。
それから、まだ余震が続いている状況ではございますけれども、要は、自分の家に本当に戻れるだろうかということを一刻も早く確定させるということが必要でございます。
そのために今開始をいたしておりますのは、被災建築物の応急危険度判定というものを行い始めております。これは、それぞれの判定士が現地、一軒一軒を見て回りまして、住めないところは赤い紙、大丈夫なところは緑の紙、注意を要するところは黄色の紙を張りつけていくという作業でございますけれども、これまで益城町と熊本市において既に着手をされております。益城町では、昨日までに千五百十八件、実施しているところというふうに聞いております。
この判定士はかなりの人数を要しますので、県外、九州外からもたくさんの今応援を求めてやっているところでございます。その応援をするときの県外からの派遣のコーディネートを国土交通省の方でやらせていただいているところでございます。
それから、だんだん災害が落ちついてまいりまして、自宅が壊れている等の理由によりましてすぐには自宅に戻れないという方々に対しては、再建あるいは取得までの間に仮住まい、応急的な住まいを御用意する必要があろうかと思っております。
これは、基本的には地方自治体、公共団体、熊本県を中心に行われるわけでございますけれども、お話ございましたような公営住宅等の公的住宅の活用や、あるいは災害救助法に基づきまして、これは内閣府の所管の法律でございますけれども、応急仮設住宅の建設やあるいは民間の賃貸住宅を借り上げるみなし仮設住宅、こういったものによって対応していくことになるというふうに承知しております。
まず、公営住宅等の活用につきましては、四月十八日付で、私どもの方から全国の地方公共団体宛てに、公営住宅等の空き住戸を報告していただきたいということと、被災者の入居に対し協力をしていただきたいということを要請する文書を発出しているところでございます。
また、民間の賃貸住宅を行く行くはみなし仮設として使っていくということも出てこようかと思います。そうしたものに対応する準備をしていただきたいということで、四月十七日付で、全国賃貸住宅経営者協会連合会、あるいは全日本不動産協会、それから全国宅地建物取引業協会連合会等の団体に対しまして、被災者に対する民間賃貸住宅の情報提供を県等から求められましたときには速やかに協力をするようにしていただきたいということを要請してまいっております。
また、応急仮設住宅を建設するという局面になった場合にも、できる限り迅速に対応できるように、これも四月十四日付でございますけれども、一般社団法人のプレハブ建築協会に対しまして、熊本県からの要請があり次第、速やかに対応できるよう準備を進めてほしいという要請をいたしているところでございます。
今後は、一連の地震災害が落ちついてまいりますのに伴いまして、熊本県を初めといたします関係地方公共団体において、できる限り丁寧に被災者の方々の御意向を確認していただいて、適切な住まいの確保を図っていくということが必要になると思っております。私どもも最大限御支援を申し上げてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
○本村(伸)委員 いつまで続くのかと不安な思いで被災者の方はいると思いますので、少しでも安心していただけるようにということで、私どもも力を尽くしますけれども、国交省の方もよろしくお願いをしたいというふうに思います。
法案に話を移しますけれども、今回の港湾法改定案では、洋上に風力発電設備を設置するということを想定して、港湾区域内水域等の公募による占用許可手続を新たにつくるというふうにされております。
洋上風力発電というのは、設置については当然ながら開発を伴うものでございます。決して乱開発にならないようにということの視点が大事だというふうに思います。周辺住民の皆さんの声を計画に反映しながら、自然環境、生活環境に配慮しなければならないというふうに思います。
そこで確認をさせていただきますけれども、現在の法律では、港湾区域内水域等で風力発電の事業者に港湾の利用を認める場合にどういう法的な根拠があるのか、仕組みがあるのかということをお示しいただきたいと思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
港湾区域内に洋上風力発電施設を設置する場合には、港湾法第三十七条第一項に基づき、港湾管理者が事業者に対して港湾区域等の占用の許可を行うこととなります。
○本村(伸)委員 現行において、占用許可を与える場合に審査基準はあるのかということ、特に環境への配慮はあるのかということをお示しいただきたいというふうに思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
占用許可の審査基準についてのお尋ねでございますが、占用許可の審査基準につきましては、港湾管理者が地域の実情に応じて定めるものでございまして、国として定めてはございません。
なお、港湾管理者が審査基準を定めるに当たっての参考として、国から港湾管理者に対する技術的な助言を示しております。その中におきまして、環境を悪化させるおそれがないことというような内容を示しておるところでございます。
○本村(伸)委員 一九九四年九月の通達だというふうに思いますけれども、文字どおり、環境を悪化させるおそれがないことということを実行することが大事だというふうに思います。
この通達の中には、周辺の船舶航行に支障を与えないことということも書かれておりますけれども、熊本や大分を中心とした九州地方の地震でも港湾の役割というのは大変大事なものだと痛感をいたしましたけれども、水とか食料とか毛布なんかを船によって運んでいる、こういう被災した際にも港湾というのは重要な役割を果たすわけですけれども、この港湾内に洋上風力を設置するということです。
洋上風力の耐震化の確保ですとか、台風とか地震とかなどによって倒れるとか折れるとか、あるいは風車の部分が飛ばされるということがないように、被災したときに航行を塞ぐようなことがないようにということも大切だというふうに思いますけれども、その安全性の確保についてはどうなっているか、お示しいただきたいと思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
国土交通省におきましては、風力発電に関する有識者等から成る委員会を設置いたしまして検討を進めておりまして、平成二十七年三月に、洋上風力発電施設の導入に関して占用許可の審査の際の技術的なガイドラインを取りまとめて公表してございます。
このガイドラインには、洋上風力発電施設の設計に当たって、地震発生時の施設の滑動、あるいは津波発生時の基礎部の洗掘に留意すること、並びに、万が一倒壊したとしても港湾施設に影響を与えない離隔を確保すること、こうしたことが示されております。
港湾管理者による占用許可に当たりましては、このガイドラインを参考にすることによりまして、港湾の開発、利用、保全と調和がとれた洋上風力発電施設の円滑な導入を図ることができるものと考えてございます。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。
今回、当該公募対象施設等のための港湾区域内水域等の占用の区域を指針に定めるというふうにありますけれども、洋上風力発電による低周波被害、健康被害を発生させないことや、あるいは港湾内の生態系、生物多様性、自然環境を守る上で、この占用の区域をどこに決めるかということはとても重要なポイントだというふうに思います。二十年という長い間占用を許すということであれば、少なくとも厳しい審査をクリアしてもらわなければ困るというふうに思います。
風力発電によって、私の地元の愛知県でもあるいは静岡県でも低周波の被害、健康被害が既に発生をしておりまして、やはり低周波被害や健康被害を発生させないエリア、区域に設定するということが必要だ、人家から離すということが必要だというふうに思います。
私の地元の愛知県内には、港湾内に貴重な干潟もございます。名古屋港にあります藤前干潟は、住民投票による直接請願署名の運動など、住民の皆さんの大きな運動の中で保全をされ、ラムサール条約に登録をされたという経過がございます。そして、三河湾では、豊川河口に、日本一アサリが湧く六条干潟という干潟が、これも港湾内にございます。
この六条干潟を初めとする三河湾の環境というのは、もう既に瀕死の状況にございます。三河湾では、苦潮が毎年発生してアサリが全滅するということが頻発しております。なぜ三河湾で赤潮や貧酸素の水塊、苦潮が発生するかといえば、干潟や浅瀬の区域が減少しているということが大きな原因になっております。
干潟や浅瀬というのは、ほかの自然環境では代替することが困難な、本当に多面にわたる機能を持っている貴重な環境でございます。海の環境を浄化したり多様な生物を育むということと同時に、渡り鳥の中継地としてもその保全は国際的な責務となっております。
この占用の区域を定めるに当たっては、低周波被害、健康被害が生じないようにすること、そして、生態系、生物多様性、自然環境の保全のためにかなめとなる重要な干潟、浅瀬を守るということ、こういう生活環境や自然環境への配慮は当然必要だというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいというふうに思います。
○石井国務大臣 洋上風力発電施設を導入する区域を定める場合は、まず、港湾計画に再生可能エネルギー源を利活用する区域を位置づけることとしております。
今般の公募による占用許可手続において、公募対象となる洋上風力発電施設のための占用の区域は、この範囲において位置づけられることとなります。
港湾計画を策定する際の方針となる港湾法第三条の二に規定する基本方針においては、自然環境の積極的な保全について定めております。
さらに、港湾計画の変更等に際しましては、地方港湾審議会の審議等を経ることとしておりまして、環境について十分な配慮がなされているものと認識をしております。
○本村(伸)委員 区域を設定する際に、第三者がちゃんと環境影響を調査分析して、一番自然環境に負荷を与えないエリアの選定が必要だと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
洋上風力発電施設を港湾区域内に導入するに際しましては、港湾計画におきまして、港湾利用との調整はもとより、一万キロワットを超えるような洋上風力発電施設については環境アセスメントの対象となるということでございます。さらには、パブリックコメント等も実施している港湾もございます。
こうしたことで、しっかりとした対応が図られていくものと考えてございます。
○本村(伸)委員 洋上風力を設置するエリアを定めるのは、先ほど来お話がありましたように、具体的には港湾計画ということになるというふうに思いますけれども、この港湾計画を策定する際に、低周波被害や健康被害を予防する立場で物を言うような有識者の方や、あるいは、浅瀬や干潟の脆弱性について理解をし、生態系や生物多様性、自然環境の保全の立場で物を言う有識者の参加、住民の皆さんの参加が必要だというふうに思います。
審議会の委員にぜひこうした方々を入れること、公募委員も含めて、こうした方々を入れるようにするような開かれた住民参加型の審議会にするべきだというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 港湾法の規定によりまして、港湾計画を策定するに当たりまして、港湾管理者は地方港湾審議会の意見を聞くこととなっております。
地方港湾審議会の委員は港湾管理者が選定しておりますが、多くの地方港湾審議会において、環境に関する有識者も委員として参画をされております。
なお、委員の選定方法につきましては、港湾管理者の判断に委ねるべきものと考えております。
○本村(伸)委員 ぜひ住民参加型の開かれた審議会にしていただきたいというふうに思います。
この区域の設定に当たってはパブリックコメントや説明会というものもあるというふうに思うんですけれども、よくあるような、ガス抜きで意見を聞くだけで反映しないということがあってはならないというふうに思います。出された意見をしっかりと区域の設定に生かしていくことも大事だというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいというふうに思います。
○石井国務大臣 港湾管理者が港湾計画の策定に当たりましてパブリックコメントを実施している例があることは承知をしております。
パブリックコメントを実施した場合、その意見につきましては、しっかり検討を行った上で適切に対応することが重要であると考えております。
○本村(伸)委員 次に進みますけれども、環境アセスメントもやはり重要だというふうに思います。
環境省にお伺いをしますけれども、洋上風力発電施設の設置において、必ず環境影響評価はなされることになるのでしょうか。
○深見政府参考人 お答え申し上げます。
アセスメントの対象事業についての御質問でございますけれども、出力が一万キロワット以上の風力発電所の設置につきましては、洋上、陸上を問わず、環境アセスメントの手続を実施する必要がある第一種事業として環境影響評価法の対象となっております。
○本村(伸)委員 なぜ一万キロワット以上なのかという問題もございます。一万キロワット以下の風力発電では騒音や低周波の被害、住民の健康被害、こういうものがないのだろうか、鳥の風車への衝突、バードストライクの問題は生じていないのかということを確認したいと思います。
○深見政府参考人 お答え申し上げます。
環境影響評価法は、規模が大きく、環境影響の程度が著しいおそれがある事業を、ナショナルミニマムの観点から対象事業規模を設定してアセスメントの対象としておるところでございます。
風力発電につきましては、以前から騒音やバードストライク等の環境影響が報告されていたことを踏まえまして、事業者や環境保全に関する専門家等の関係者の御意見をお伺いしまして、中央環境審議会で御議論いただいた上で、平成二十四年十月より、対象規模要件を一万キロワットと定め、環境影響評価法の対象としているところでございます。
○本村(伸)委員 内閣府の規制改革会議に環境省が出した資料の中でも、千から二千キロワット程度の風力発電からも希少種を含む鳥の衝突死の発見例が相当数見られるということが書かれておりますし、健康被害の訴えも千から二千キロワットの風車一基からでも生じているということが環境省の資料の中でも指摘をされております。
やはり港湾内に風力発電の施設をつくれば、いずれにしろ環境への負荷は生じるわけでございます。一万キロワットに限らず、ぜひ必ず環境の影響調査というのをやっていただきたいというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
○深見政府参考人 お答え申し上げます。
先ほどもお答え申し上げましたとおり、環境影響評価法は、規模が大きく、環境影響の程度が著しいおそれがある事業を、ナショナルミニマムの基準を設定する観点から規模要件を設定して対象事業としておるところでございます。
さらに、個別のアセスの審査に当たりまして、個別にアセスをやるかどうかを判断する事業として第二種事業という区分もございます。これにつきましては、七千五百キロワット以上のものが第二種事業の対象の事業になっておりまして、これにつきましては、個別事業ごとにアセスをやるかやらないかの御判断をしていただいてアセス対象になるというような仕組みになっているところでございます。
○本村(伸)委員 ぜひ環境影響の評価は事前にしていただきたいというふうに思うんです。
二〇一五年十二月二十二日、内閣府の規制改革会議の第十七回投資促進等ワーキング・グループでは、「風力発電における環境アセスメントの見直し」というタイトルで、環境影響評価の規模要件を一万キロワットから五万キロワットに緩和するべきという提案が議論をされております。主な理由は導入コストの軽減だというふうにされております。
現在も、近隣で同じ事業じゃないかというふうに思われるところでも、わざわざ計画を二カ所に分けてアセス逃れをしている事業者がおりますけれども、五万キロワットというふうにしますと、余計こうしたアセス逃れということもふえるというふうに予想されるわけでございます。
環境影響評価の規模要件を一万キロワットから五万キロワットに緩和すべきという議論は、生物多様性を守る立場に逆行し、許されないというふうに思いますけれども、環境省の見解を伺いたいと思います。
○深見政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、規制改革会議において、風力発電に係る環境アセスメントに関し、規模要件の見直しについて要望がなされておるところでございます。
他方、風力発電につきましては、再三御指摘いただいていますとおり、騒音であるとかバードストライク等の環境影響が報告されておりまして、現在においても、環境影響評価法に基づく大臣意見などで環境への配慮を求めているところでございます。
このような点を踏まえまして、再生可能エネルギーの促進の観点と、地域の環境保全であるとか地域住民のさまざまな御要請に配慮しまして、環境アセスメント手続の迅速化の取り組みも含めまして、風力発電の立地が円滑に行われるよう、関係者の意見を聞き、関係省庁とも協力しつつ、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 環境影響評価の規模要件を一万キロワットから五万キロワットに緩和するということなど絶対に許してはいけないというふうに思いますし、むしろ、この規模要件を厳しくするということを求めておきたいというふうに思います。
風力発電所の環境影響評価の手続における評価項目はどう決まるのかという点についてもお伺いをしたいというふうに思います。例えば、低周波音について必ず評価されるのか、その点について確認をしたいというふうに思います。
○深見政府参考人 お答え申し上げます。
環境影響評価法に基づく環境アセスメントでは、一般的な事業が行われる場合に、環境に影響を及ぼすおそれがあるものとして、調査、予測、評価されるべき環境要素を選定する際に参考とすべき項目を主務大臣が参考項目として示しております。
風力発電に関しましては、施設の稼働に伴う騒音、低周波は参考項目に含まれているところでございます。
事業者は、参考項目を勘案しつつ、事業の特性や地域特性を踏まえて評価する環境要素を選定することとなりますけれども、これまで行われてきた風力発電の環境アセスメントにおいては、施設の稼働に伴う騒音、低周波音は基本的に評価対象となっているところでございます。
○本村(伸)委員 結局、参考項目ということで、事業者が環境アセスの評価項目を選ぶという仕組みになっておりまして、やはりこれはおかしいというふうに思います。
騒音とか低周波ですとか景観ですとか、漁業への影響、海洋生物への影響なんかは、洋上の風力発電の建設においては必ず評価しなければならない項目だというふうに思いますし、必ず評価しなければならない項目というのははっきりしているというふうに思うんです。
こういうふうに、事業者に環境影響の評価項目を選ばせるという制度は改めるべきだということも強調させていただきたいというふうに思います。
低周波被害についてさらにお伺いをしたいんですけれども、低周波によって不眠とか頭痛とか目まい、吐き気、耳鳴り、こういうことで住民の皆さんの健康被害が各地で生じております。
洋上風力発電でも人家に近ければ同様の被害が予想されるわけですけれども、そもそも低周波被害に関する環境基準がないということで、やはり国としてこの環境基準をつくるべきじゃないかというふうに思うんですけれども、お答えをいただきたいと思います。
○深見政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、風力発電施設からの低周波音につきましては、環境基準のような基準は設定しておりません。
現在、環境省では、風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会を設置しまして、風力騒音特有の音の性質や設置される地域の音環境の違いを踏まえた風力騒音の評価方法について検討を行っているところでございます。
いずれにしましても、環境省におきましては、風力騒音に関する影響について今後も最新の科学的知見等の集積を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○本村(伸)委員 低周波に対して敏感な方や弱い方々に合わせて、ぜひ国として基準を定めていただきたいというふうに思います。
低周波被害については、被害者の側で根本的にその影響を避けようと思えば、住んでいる場所を移転しなければならない、そういう深刻な被害だというふうに思います。国が、健康被害を生まないように環境基準をしっかりと定めて、風力発電では低周波による被害について環境アセスで必ず評価させ未然に防ぐということが大切だと思いますけれども、もう一度見解を伺いたいと思います。
○深見政府参考人 お答え申し上げます。
まず、現在行われております風力発電に係る環境アセスメントにおきましては、施設の設置場所を住居からしかるべき距離をとるとかいう形で低周波騒音が起こらないように、被害が防止できるように、しっかりとした、環境大臣意見などを申し上げて、個別の審査に当たっているところでございます。
いずれにしましても、まず、風力発電施設から発生する騒音等の評価手法をきちんと確立していき、そういう評価ができるようにしていくことが重要だと思っておりますので、風力騒音に関する影響について今後も最新の科学的知見の集積を図ってまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 やはり未然に健康被害については防ぐというのは当然だというふうに思いますので、早急に対策をとっていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。
そもそも、洋上風力発電における環境影響評価について、現在、中央環境審議会でアセスの技術面の検討がされているということですけれども、どういう内容で、その検討の結果はいつ発表されるのかということをお示しいただきたいと思います。
○深見政府参考人 お答え申し上げます。
洋上風力発電所につきましては、現在も陸上風力発電所と同様に環境影響評価法の対象となっているところでございますけれども、ただ、洋上風力発電は海洋生物への影響など陸上風力発電とは環境影響が異なる点があることから、環境省におきましては、平成二十七年度より、洋上風力発電に係る環境アセスメントの基本的な考え方について検討しておりまして、本年三月二十九日に開催された中央環境審議会環境影響評価制度小委員会に検討状況を報告したところでございます。
二十八年度も引き続き、洋上風力発電に特有の事業特性や海域の環境の特徴に着目して、環境アセスメントの項目や手法について技術的な検討を進め、年度内に基本的な考え方を取りまとめる予定としております。
○本村(伸)委員 要するに、洋上風力発電における環境影響評価については、まだ技術面で検討されているということで、確立をしていないという段階なのだというふうに思います。
そういう段階でもあるということを踏まえて、洋上風力においても乱開発は防がなければいけないということで、自然環境への負荷、生活環境への負荷、これをどうやって最小限に抑えるかということに関してやはり知恵を尽くさなければならないというふうに思います。
公募による占用許可手続を運用するに当たっては、自然環境への負荷をできるだけ小さくする、低周波被害、健康被害がないようにするということで、ぜひそうした方向で心を砕いていただきたいというふうに思います。
最後に大臣の決意をお伺いしたいと思います。
○石井国務大臣 現在、我が国においては、エネルギー事情等に鑑み、再生可能エネルギーの最大限の導入が求められております。
こうした中で、今般創設いたします公募占用許可制度は、港湾区域等へ洋上風力発電施設等を導入する際に、その手続の透明化を図るものであります。
その際、環境への負荷をできる限り小さくすることは非常に重要なことでありまして、洋上風力発電施設の港湾区域への導入が環境悪化を招くことであってはならないものと考えております。
洋上風力発電施設の港湾区域等への導入は、港湾計画における区域の位置づけ、公募占用計画の審査、環境アセスメントの各段階において、環境への影響を検証しつつ、適正に行われるべきものと考えております。
○本村(伸)委員 環境への負荷を本当に最小限に抑えるためにぜひ力を尽くしていただきたいというふうに思います。
今回の法案に関して、日本共産党は、そもそも、国際コンテナ戦略港湾事業など大規模開発とともに、公共施設である港湾の民営化に以前から反対をしてまいりました。民間事業者の行う施設整備の無利子貸し付けにも反対をしてまいりました。本法案は、民間事業者のクルーズ船旅客の施設に対しても無利子貸し付けを可能とするものですけれども、対象となる港湾には国際戦略港湾などの大都市部の港湾も排除しておらず、そして、イオンなんかのそうした大手事業者などの行う集客施設に対する貸し付けも排除されていない、対象となっているという点で賛成できないということを申し述べさせていただいて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。