しんぶん赤旗 2016年5月12日
南海トラフ/巨大津波対策急げ/本村氏「自治体計画に遅れ」
日本共産党の本村伸子議員は11日の衆院国土交通委員会で、南海トラフ巨大地震に対する津波対策を早急に整えるよう求めました。
本村氏は、東日本大震災の経験を踏まえて制定された津波防災地域づくり法に基づく自治体の計画策定の進捗(しんちょく)状況をただしました。
国交省の担当者は、大きな被害が見込まれる「津波災害警戒区域」を指定したのは4県、津波防災地域づくりの推進計画をつくった市町村は5自治体にとどまっていることを明らかにしました。
本村氏は「法律がまったく活用されていないも同然だ」と述べ、対応を急ぐよう要求。最大クラスで20㍍以上の津波が想定されている三重県南伊勢町では高台移転を求める声があるにもかかわらず、災害発生前の事前移転は難しいとの見解が示されているとして、「(国交省の)防災集団移転促進事業の条件をもっと使いやすいものに改善するべきだ」と求めました。
石井啓一国交相は「必要な制度の見直しについて適切に対応する」と答えました。
さらに、本村氏は名古屋港の津波対策として、高潮防波堤とともに防潮壁、水門、堤防護岸などの機能強化、コンテナ等の流失防止対策、一時避難場所の確保などを要求。国交省の菊地身智雄港湾局長は「港湾管理者による津波避難タワー等の整備が進められるよう引き続き支援する」と答えました。
議事録
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。
海上交通安全法、南海トラフ巨大地震にかかわって伺いたいというふうに思います。
まず基本的なことを確認したいというふうに思います。
伊勢湾は、名古屋港、四日市港、衣浦港が含まれ、大規模な港がございます。この海上交通安全法は伊勢湾も適用があるというふうに思いますけれども、今度の改正案では指定海域は政令で定めるというふうになっておりまして、東京湾が想定されているということですけれども、伊勢湾には必要ないと考えているのか、その点を伺いたいと思います。
○佐藤政府参考人 お答えします。
伊勢湾は海上交通安全法の適用海域となっております。伊勢湾における管制の一元化の適用につきましては、今年度から、船舶交通の状況や安全上の問題について地元自治体や海事関係者の意見を聞きつつ、所要の調査を実施してまいる所存でございます。
○本村(伸)委員 東日本大震災のときに海上交通の混乱があったということも今回の法改正の理由とされておりますけれども、南海トラフ巨大地震が来た場合、伊勢湾でも交通トラブルが起こる可能性があるのではないかというふうに思いますけれども、その点、伺いたいと思います。
〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
○佐藤政府参考人 お答えします。
今後発生が予想されている南海トラフ巨大地震では、伊勢湾内の沿岸部において二メートルから五メートル程度の津波の発生が予想されており、各港から避難する船舶などにより、湾内の船舶交通の危険が生じる可能性があります。
そのため、伊勢湾においては、これまでも、震災対応マニュアルを見直し、関係者とともに必要な訓練を行うなど、対応能力の向上を図ってきたところでございます。
また、現行の港則法三十七条第三項の規定に基づく港外への退去命令や、海上交通安全法第二十六条の規定に基づく航行禁止の措置などを活用し、適切に対応していくこととしております。
今後とも、関係機関や海事関係者などとともに、各種対策の実効性を向上させるための情報共有や訓練を行うとともに、確実な安全対策の構築に向け、検討を行ってまいります。
○本村(伸)委員 ぜひお願いしたいというふうに思います。
熊本、大分の大きな地震がありまして、南海トラフにも影響があるのではないかというふうに言われております。この南海トラフ巨大地震、津波というのはいつ起きてもおかしくないというふうに言われている中で、防災対策は急務だというふうに思いますけれども、この点について幾つか伺いたいと思います。
まず、南海トラフ巨大地震では、中部地方では最大でどのくらいの規模の津波の被害があると想定されているかについて、国交省の中部地方整備局の二〇一四年四月一日に出されております南海トラフ巨大地震中部ブロック地域対策計画には被害想定はどう書かれているか、お示しをいただきたいと思います。
○金尾政府参考人 中部ブロック地域対策計画は、平成二十六年四月に策定した国土交通省南海トラフ巨大地震対策計画に基づき、国土交通省の中部ブロック地方支分部局等が取り組むべき対策をまとめたものでございます。
本計画では、南海トラフ巨大地震が発生した場合の被害想定として、平成二十五年五月に中央防災会議が「南海トラフ巨大地震対策について」で公表した県別の被害想定に基づき、中部ブロックにおいて、津波による死者は最大で約十三万三千人、救助を要する人は最大で約一万二千人と記載しております。
○本村(伸)委員 大変な事態が想定をされております。
国交省は津波防災地域づくりに関する法律に基づいて津波対策をしておりますけれども、その進捗状況についても伺いたいと思います。とりわけ、津波浸水想定、津波災害警戒区域、それぞれ幾つの都道府県、地域で指定されているのか、お答えをいただきたいと思います。
○金尾政府参考人 津波防災地域づくり法に基づいて設定する津波浸水想定は、海に面している三十九の都道府県のうち、現在、二十七府県で設定されております。また、津波災害警戒区域については、このうち四県で指定をされております。
○本村(伸)委員 津波災害警戒区域の指定が四県にとどまっているということですけれども、なぜこのようにおくれているのかという点、伺いたいと思います。
○金尾政府参考人 津波に対する警戒避難体制を整備するためには、津波防災地域づくり法に基づき、都道府県が津波災害警戒区域の指定を進めることが重要と考えております。
警戒区域は、現在のところ、徳島県、山口県、静岡県、和歌山県の四県での指定にとどまっておりますが、必ずしも制度に関する都道府県の理解が深まっていない場合がございます。また、指定に当たりましては関係市町村の意見聴取が必要となりますが、市町村の理解が得られていない場合もあると聞いております。
このため、国土交通省では、警戒区域の指定を促すため、都道府県及び市町村に対し説明会の開催等に取り組んでおるところでございます。
平成二十八年度に入り三県で指定が進んでおりまして、国土交通省としては、今後とも、都道府県、市町村との連携を密にして警戒区域の指定促進に努めてまいります。
○本村(伸)委員 後ほど質問をさせていただきますけれども、この津波災害警戒区域に指定されていないがゆえに有効な施策も使えないという現状がございます。この点、ぜひ改善をしていただきたいというふうに思います。
津波防災地域づくり法では、市町村は、国交大臣の基本指針あるいは津波浸水想定に基づいて津波防災地域づくりの推進計画をつくることになっておりますけれども、どのくらいの市町村でつくっているのか、お示しいただきたいと思います。
○毛利政府参考人 津波防災地域づくりに関する法律に基づきます推進計画でございますけれども、これを作成した市町村は、静岡県で三市、和歌山県と宮崎県で一市一町、合計五市町でございます。
また、津波浸水想定が設定されました二十七府県のエリアに存在する四百三十六の市町村のうち、計画を作成中または作成検討中の団体は、これ以外、二十一あると承知をいたしております。
○本村(伸)委員 現在つくっている自治体が五つの自治体にとどまっている、この法律の活用が全く進んでいない現状があるというふうに思います。
先ほども被害想定を述べていただきましたけれども、南海トラフ巨大地震というのはいつ起きてもおかしくないというものですから、切迫感を持ってこの推進計画、各自治体につくってもらう必要があるというふうに思いますけれども、その点はどうかという点を伺いたいと思います。
また国交省は、この法律のQアンドA集というのをつくっているんですけれども、そこでは、市町村に対して指導の予定もないし、マニュアル作成の予定もないというふうに書かれております。こういう結果が、やはりこの推進計画が策定されていない、おくれた現状を引き起こしている一因ではないかというふうに思います。
このQアンドA集の改定は当然だというふうに思いますけれども、できることは全てやるという立場で対応を改めるべきだというふうに思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
○毛利政府参考人 推進計画を作成する意義は、津波浸水想定を踏まえまして、さまざまな主体によるハード、ソフト施策を総合的に組み合わせることで、大津波に対応するための具体的な姿を市町村が地域の実情に応じまして総合的に描くことにあるというふうに理解しております。
地域の発展もあわせて展望できる津波防災地域づくりを実現するために、生活の安定や経済の活性化など、まちづくりに関する方針ですとか、地域防災計画等との整合性も求められておりまして、作成に当たっては実際上考慮すべき事項も大変多いと考えます。
こうした状況を踏まえまして、これまで市町村や県への説明会を繰り返し行ってまいりましたけれども、新たに市町村職員に対する津波防災地域づくりの研修コースを今年度から創設するようにいたしております。
また、既に計画を作成した市町へのヒアリング結果を踏まえまして、技術的支援の一環としまして、御指摘もありました、先行事例の横展開を含む推進計画作成のガイドラインの作成も進めてまいりたいというふうに考えております。
〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
○本村(伸)委員 既にこの推進計画があるところでは、住民の皆さんへの説明会も含めて住民の皆さんの意識化にもつながっているというふうに思いますので、早急に進めていただきたいというふうに思います。
被害が甚大であるというふうに想定をされております三重県の南伊勢町の現状についてお話を伺いました。
この町は、先ほど挙げた中部地方整備局の想定でも最大クラス二十メートル以上の津波が想定されている地域です。こういうところですけれども、町議さんのお話をお伺いいたしますと、一次避難所は一応あるけれども屋根がない場所だ、加えて、二次避難所も足りない状況がある、学校や体育館、保育園などがあればいいけれども、ない場所もあるんだ、また、高台移転の計画はないという現状だそうでございます。
巨大地震がいつ起きてもおかしくないわけですから、切迫感という点でもまだまだという感じがしてならないわけです。
今まで津波防災地域づくり法の活用状況の現状をお伺いいたしました。そして、南伊勢町の現状もお話をさせていただいたんですけれども、大臣は、こういう現状を聞いて、こういう現状で本当にいいんだろうかというふうに思われているのか、感想についてまず伺いたいと思います。
○石井国務大臣 南海トラフ巨大地震など、切迫する大規模な地震、津波災害から国民の命と財産を守ることは極めて重要な課題でございます。
このため、ハード、ソフト対策を総動員いたしまして防災・減災対策に取り組むことによりまして、被害を未然に防ぐとともに、その被害を軽減することに全力を尽くしてまいりたいと考えております。
具体的には、平成二十六年四月に策定をいたしました南海トラフ巨大地震対策計画に基づきまして、避難路、避難場所の確保、高台等への移転を含む津波防災地域づくりの推進、津波浸水を軽減させる施設の整備等の実効性のある対策を地方公共団体と連携をしながら推進しているところでございます。
今委員から御指摘がございました三重県の南伊勢町につきましても、防災・安全交付金により昨年度から津波避難施設の整備等への支援を行っているところでございます。
現在、国土交通省の公共事業関係費の半分以上を防災・減災、老朽化対策等に重点化しておりまして、引き続き、国土交通省の総力を挙げまして国民の安全、安心の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 南伊勢町の日本共産党の町議さんに伺ったんですけれども、何度も高台移転の計画を進めることを町議会でも求めております。
実際に町内には高台移転を希望されている方はおられるそうですけれども、高台移転といっても平地がない、山腹に移転用地を造成しなければならない、高台に家を建てようと思っても水がない、道がない、なかなか難しい現状がある、こういう厳しさを抱えている。このハードルを取り除いて、高台移転が進むようにしなければいけないというふうに思います。とりわけ災害弱者の方がやはり心配なわけですけれども、そういう点の配慮も必要だというふうに思います。
それで、この町議会の中で町からこういうふうに答弁が返ってきているということですけれども、国土交通省の施策で防災集団移転促進事業というのがあるんですけれども、この事業は災害発生前の事前移転は条件的にかなり厳しい、かなり難しいというふうに答弁をされております。要するに、今のままでは南伊勢町では使えないというふうに考えられているものだというふうに思います。
甚大な被害に遭うということが想定されている地域において、命を守る、町を守る、そのために高台移転ができるように、高台移転の事業をもっと使いやすく改善するべきだというふうに思います。南伊勢町でも使えるように、その条件の緩和ですとか、緊急にやっていただきたいと思いますけれども、大臣の答弁を伺いたいと思います。
○石井国務大臣 防災集団移転促進事業は、災害危険区域など、災害による危険性の著しい区域からの住居の集団的移転を促進するため、移転先となる住宅団地の造成や移転元の土地の買い取りなどを支援する事業で、東日本大震災では津波被災地において数多く活用された制度でございます。
仮に災害発生前の地域でこの防災集団移転促進事業を実施しようとした場合には、現に日常生活を送っている住民の方々が移転することについて合意形成を図る必要がございます。また、移転先におけるコミュニティーの形成や町の活力やにぎわいの維持など、多くの課題があるものと考えてございます。
この問題につきましては、南伊勢町に加えまして、ほかの自治体からも御相談を受けておりまして、それぞれの実情や具体的なニーズを踏まえながら、必要な制度の見直しにつきまして適切に対応していきたいと考えております。
○本村(伸)委員 小さい町でもそれぞれ使えるようにぜひ改善を図っていただきたいと思います。
また、自治体の負担分についてなんですけれども、起債した場合、返済も二十年とか三十年では難しいんだ、超長期に返す仕組みもつくってほしいというお話もありましたので、その点も含めて検討していただきたいと思います。
次に、名古屋港の安全について伺いたいというふうに思います。
名古屋港の場合、ポートアイランドというものがありまして、海の真ん中にあるんですけれども、予定よりもしゅんせつ土砂を積んでいる現状がございます。南海トラフ巨大地震、津波が起きたときに、この土砂が流出して航路を塞いでしまうのではないかという懸念があるわけです。そういうことがないように防災対策をぜひ進めていただきたいと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
名古屋港では、利用船舶の大型化に対応した航路、泊地の拡幅、増深等のため、しゅんせつ事業を進めております。土砂処分場であるポートアイランド地区において、発生するしゅんせつ土砂の受け入れを行っているところでございます。
仮置きするしゅんせつ土砂につきましては、最大クラスの地震、津波に対する安全性の評価を行っておりまして、主要航路が埋没することがない仮置き土砂の高さを確認しております。
仮置きに当たりましては、その範囲で運用を行っておりますので、南海トラフ地震等による津波が来た場合におきましても、ポートアイランド地区の土砂が流出して航路が埋没することはないものと考えております。
○本村(伸)委員 この名古屋港の防災機能強化については、名古屋市、愛知県、名古屋港管理組合、そして経済団体からも国へと要望が出されております。早急に進めなければいけないというふうに思います。
具体的には、名古屋港の高潮防波堤のかさ上げ、強化については、日本共産党も名古屋市議団を中心にずっと、地震のときに沈下してしまうんだということも指摘しながら、ぜひ強化をやってほしいということで質問をし、今事業を進めていただいておりますので、その点については歓迎をしているわけです。
この高潮防波堤の事業と同時に進めていただきたいのが、防潮壁の地震における液状化対策、沈下対策、これをやっていただきたい、そして津波発生時の耐久性、この調査をやってほしいんだ、この耐久性の調査をした上で、早急に機能の強化を図ってほしいというお声もございます。高潮防波堤の改善とあわせて、防潮壁、そして河川の堤防を組み合わせた津波対策をやってほしいんだというお声がございます。
また、中川口の通船門の前面に津波専用の水門を展望台と一緒につくって、津波避難所として活用できるようにしてほしいというお声も、これは超党派、今申し述べたものは全て超党派で地元の皆さんが声を上げているところです。ぜひ早急に対応をしていただきたいと思いますけれども、答弁をお願いいたします。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
名古屋市の住民の安全、安心を確保するため、名古屋港における津波、高潮対策を推進していくということは大変重要であるというふうに認識をしております。
対策を進めるに当たりましては、名古屋港に複数の河川が流入していることを踏まえまして、それらと一体的な整備を進めていくことが必要でございます。
このため、津波や高潮に対しまして必要な堤防の高さを確保するとともに、地震により堤防が壊れたり沈下することがないよう、海岸管理者である名古屋港管理組合が河川管理者ともしっかり連携し、防災力を高める取り組みを行っているところでございます。
具体的には、名古屋港管理組合におきまして、護岸の地盤改良や陸閘の改良などの津波対策や液状化対策を実施しております。国土交通省といたしましては、防災・安全交付金等によりまして、引き続きその取り組みを支援してまいりたいと考えております。
また、御指摘の中川運河通船門の前面に新たに水門を設置するという点でございますが、この点に関しましては、地元で現在さまざまな議論、検討がなされているというふうに承知しております。国土交通省といたしましても、こうした議論、検討をしっかり見守ってまいりたいというふうに考えております。
○本村(伸)委員 国交省は河川管理者でもございますから、河川の方の対策も進めていただきたいというふうに思うわけですけれども、堀川、日光川、中川運河の水門、そして荒子川のポンプ所について、大規模地震と津波に対応できるように、まず耐久性の調査をして、その上で機能強化を図ってほしい、そして、堤防、護岸についても早急に機能強化を図ってほしい、日光川については新水門の早期完成を図ってほしい、これは地元の超党派の声です。ぜひこの事業を早急に進めていただきたいと思いますけれども、答弁をお願いいたします。
○金尾政府参考人 愛知県が管理する日光川においては、既に実施している耐震性能照査の結果に基づき、地震、津波への対策を実施しているというふうに聞いております。
具体的には、矢板打設による堤防の液状化対策を実施するとともに、耐震性が不足している現在の日光川水閘門にかわる新たな水閘門を平成二十九年度完成を目指して整備していると聞いております。
名古屋市が管理する堀川については、堤防を有さない掘り込み形状であることから、堤防の耐震対策は不要であるというふうに聞いております。
同じく、名古屋市が管理する荒子川ポンプ所については、大規模地震、津波に対する性能の照査の結果に基づき、今年度は設計を行いまして、その後速やかに対策工事を実施する予定と聞いております。
また、名古屋港管理組合が管理する堀川口防潮水門及び中川運河通船門については、大規模地震、津波に対する性能の照査の結果に基づき、耐震対策等を実施しており、早期完了を目指し、整備促進を図っていると聞いております。
国土交通省といたしましては、愛知県等の御要望をお聞きした上で、今後とも防災・安全交付金等により支援を実施してまいります。
○本村(伸)委員 ぜひ早急にお願いをしたいと思います。
名古屋港は総取扱貨物量が日本一多い港でございます。そこにはコンテナとか完成車とかが大変多いわけですけれども、津波が来たときに、そのコンテナ、完成車が流出をして、被害を広げてしまうのではないかという懸念もございます。被害を広げないような対策をぜひとっていただきたいと思います。
名古屋港、三河港もそうですけれども、その対策がどうなっているか、ぜひお示しいただきたいと思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
津波によりコンテナや完成自動車が流出した場合に、航路や泊地に沈没し、船舶の航行に支障を与えるとともに、市街地に流れ込み、被害を与えるおそれがあることから、国土交通省といたしましても、コンテナ等の流出対策は非常に重要な課題であると認識しております。
海岸管理者によるハード面の対策といたしましては、コンテナや完成自動車がターミナルから流出することを防止するため、流出防止柵などの漂流物防止施設の整備を防災・安全交付金により支援しているところでございます。
また、民間事業者による対応といたしましては、コンテナについては、固縛や重量を増すための多段積み等の工夫が行われるとともに、完成自動車につきましては、遠地津波に対しましては内陸や建屋内に移動するなどの措置が講じられているところでございます。
国土交通省といたしましては、港湾における流出物対策をしっかり進められるよう、引き続き海岸管理者を支援してまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。
津波の際に、何よりも命が失われることがないように、まず高いところに逃げなければならないということですけれども、愛知県内でも、命山ですとか津波避難タワーですとか、少しずつですけれども動き出しております。
もう一つ、津波避難ビルというのも大事だというふうに思います。
この津波避難ビルの指定をされた建築物に、地方税法に規定された固定資産税の特例措置が受けられるようになっております。名古屋市でもこれを進めたいわけですけれども、愛知県が津波災害警戒区域を設定していないことから、この固定資産税の特例措置が受けられないという現状がございます。これでは制度があってもなかなか使えない、促進されないということになると思います。この制度を使いやすくするように検討を行うべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○石井国務大臣 津波から人命を守るためには、円滑かつ迅速な避難が必要不可欠でありまして、そのためには、民間施設も活用しつつ、津波避難施設を確保することは重要と考えております。
津波避難施設に係る税制の特例措置につきましては、都道府県が指定した津波災害警戒区域内にある民間施設の管理者が市町村と管理協定を結ぶことを条件としております。民間施設に津波避難という公的な役割を確実に果たしていただくためには、このような条件をつけることは必要と考えております。
国土交通省といたしましては、都道府県と連携をいたしまして、警戒区域の指定を進めていくことがまずは重要と考えております。その上で、税制特例措置の適用が進むように取り組み、市町村からの運用に関する御意見も聞いてまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 名古屋市の皆さんは、住民の皆さんも含めて、津波避難ビルをふやそうということで頑張っておられます。ぜひその後押しになるような取り組みを国としてもやっていただきたいというふうに思います。
名古屋市の港区では、住民の皆さんの津波の際の避難について超党派で取り組んでおられまして、前進を図っているわけですけれども、港に出入りする人のことがまだ残っているんだというふうに地元の議員からも言われております。トレーラーの人たちや工場で働く人たちの一時避難場所を確保するために、これを促進していかなければならないと思いますけれども、例えば名古屋港に何人働いていて、何人分の一時避難所が確保されているのか、これについて、国も進捗状況をチェックし、支援をするべきだというふうに思います。
また、観光客や滞在者の方ですけれども、この一時避難の場所の確保についても、想定に基づいて進捗状況をチェックして支援するべきだというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。
○菊地政府参考人 お答えいたします。
臨海部で働く港湾労働者等の方々が津波から安全に避難できるよう、既存の民間施設の活用や津波避難タワー、あるいは外階段、屋上等の避難機能を備えた倉庫等の整備を進めていくことが必要と考えております。
そのため、港湾における津波避難対策の検討手順を示しました港湾の津波避難対策に関するガイドラインを平成二十五年九月に公表いたしまして、既存の民間施設の避難施設としての活用を促進するとともに、防災・安全交付金等により、港湾管理者による津波避難タワー等の整備や民間事業者による避難機能を備えた倉庫等の整備を支援しているところでございます。
また、今年度より、今委員の方から御指摘もございました進捗管理という観点も踏まえまして、今後整備する必要のある津波避難タワー等の数の把握に取り組んでいるところでございます。着実に港湾管理者による津波避難タワー等の整備が進められるよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 ありがとうございます。その点もぜひ早急に進めていただきたいと思います。
次に、名古屋港の平和、安全の確保の観点から伺いたいと思います。
二〇一五年八月十四日、名古屋港から、戦車や対戦車ヘリコプターを載せた日本郵船の船がアメリカに向けて出港いたしました。八月十四日に出港したんですけれども、陸上自衛隊のプレスリリースは八月十八日でした。出港した後のプレスリリースで、名古屋港を利用したことについては一切書いてございませんでした。
出港した後にプレスリリースということも私としては許せないというふうに思いますし、そもそも、名古屋港から戦車、対戦車ヘリ、りゅう弾砲などを載せた日本郵船の船がアメリカに向けていつ出港し、いつ戻ってくる予定だということについては、防衛省からも名古屋港管理組合からも、公から一切公表がありませんでした。住民の皆さんや主権者の皆さんは公から一切知らされずに名古屋港を軍事的に利用したということで、私は絶対に許すことはできないというふうに思っております。
陸上自衛隊によれば、この出港は、九月八日から九月二十五日、アメリカのワシントン州ヤキマ演習場などで日米共同訓練を行うための出港だったということです。行った部隊は、三重県の久居駐屯地、明野駐屯地、愛知県の豊川駐屯地、そして滋賀県の今津駐屯地の部隊で、装備としては、小銃、迫撃砲、りゅう弾砲、戦車、対戦車ヘリコプターをアメリカに持っていったわけでございます。
名古屋港は、先ほども申し上げましたように、総取扱貨物量が日本一の商業港でございます。私たちは、軍事的に利用すべきでないというふうに思っております。少なくとも、住民の皆さんや主権者の皆さんに対して港を利用することを事前に知らせるということは最低限当然のことだというふうに思いますけれども、防衛省に伺いたいと思います。
○笠原政府参考人 お答えいたします。
自衛隊では、従来から、必要に応じまして、名古屋港を含むさまざまな港湾を利用して民間船舶による人員、装備品の輸送を行っているところでございます。
御指摘のございました二〇一五年八月十四日でございますが、こちらは、米陸軍との実動訓練において陸上自衛隊が使用いたします、先生の方からもお話がございました七四式戦車でありますとか対戦ヘリコプターなどの装備品を輸送するために、これら装備品を積載いたしました民間船舶が名古屋港から米国に向けて出港したというところでございます。
公表についてでございますけれども、従来から、海外で自衛隊が訓練を実施する場合には、訓練を実施いたします目的、期間、場所、訓練を実施する部隊等、訓練の概要につきましては事前に公表を行っているところでありますけれども、お尋ねの、名古屋港の使用等を含みます自衛隊の移動、輸送に関する事項等の細部につきましては、自衛隊の具体的な運用に係る事項でございますので、基本的には公表は差し控えさせていただいているところでございます。
○本村(伸)委員 以前の防衛省からの聞き取りの際に、自治体の求めがあれば開示するというふうに言っておりましたけれども、そのことは確認できますね。
○笠原政府参考人 お答え申し上げます。
自治体への通報でございますけれども、こうした場合に、これまで通常は行っていないところでございます。したがいまして、基本的には事前にそういったことを通報するということはしていないわけでありますけれども、地元の自治体等の要望等を踏まえまして、その是非を含めて、今後検討してまいりたいというふうに考えております。
○本村(伸)委員 もう一つ、アメリカ軍の名古屋港の利用の問題についても伺いたいと思います。
二〇一三年九月四日十時ごろ、アメリカ軍のイージス艦ヒギンズが名古屋港に入港をいたしました。名古屋港管理組合には一カ月前に打診がありまして、準備をしていたことがわかっております。しかし、私たち住民に知らされたのは、前日の九月三日でございました。アメリカ軍やアメリカから名古屋港管理組合に、二十四時間以前には公表しないようにという要請があったからだそうです。
ほとんどの住民の皆さんや愛知県民の皆さんに知らされることがないまま、私たちからしたら突然の入港でございました。別の年にも来ておりましたけれども、この二十四時間ルールというのは同じでございます。友好親善のための入港というふうに言っておりますけれども、二十四時間前しか私たち住民には知らされませんでした。
私たちは当日、弥富埠頭の七号岸壁に行きまして抗議させていただき、そして、名古屋港管理組合や在名古屋アメリカ領事館の方にも抗議、帰還を求める要請を行いました。
そこで、ちょっと確認をしたいんですけれども、アメリカ軍が入港の公表を二十四時間前とすることについて、何か法的根拠があるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。
○黄川田大臣政務官 お答えいたします。
米軍艦船の民間港湾への入港を公表することについては、条約協定上の規定はございません。
なお、実際に民間港湾への出入りを行う場合については、民間船舶等による使用への影響の観点から、米軍と関係当局との間で必要な調整を行うこととしており、これは当然のことであると考えております。
すなわち、米艦船が我が国の港湾に入る場合には、日米地位協定に定める手続に従って、我が国の当局に対し、適当な通告を行うことになっております。かかる通告を受けた当局は、同協定第五条の規定を踏まえつつ、港湾の適正な管理運営という観点から、接岸すべき岸壁の割り当て等の所要の手続をとることになっております。
○本村(伸)委員 最後に、少なくとも、アメリカ軍の艦船が港を利用することがわかった時点ですぐに公表するようにアメリカ政府に要請するべきだということを外務省に求めたいと思います。答弁、お願いしたいと思います。
○黄川田大臣政務官 お答えいたします。
入港にかかわる通告については、条約協定上、そもそも公表することが義務づけられているものではございません。また、実際にも、米軍の円滑かつ効果的な活動を確保し、日米安全保障条約の目的を達成する上において、かかる通告をすべからく公表することが必要であるとは考えておらず、よって、米艦船の入港について、米側にすべからく公表を求める考えはございません。
○本村(伸)委員 終わります。ありがとうございました。