しんぶん赤旗 2016年5月21日(土)
企業任せ検査改めよ 本村氏 三菱自不正を追及
日本共産党の本村伸子議員は18日の衆院国土交通委員会で、三菱自動車の燃費不正問題について、企業任せの国交省の姿勢を追及しました。
同社は25年前から法令と異なる方法で燃費データを測り続けるなど3段階で不正を行っていました。本村氏は25年も違反を見抜けなかった同省は「監督官庁としての責任を果たしていない」と批判。石井啓一国交相は「自動車メーカーとの信頼関係を前提に、これまでは特段のチェックを行わなかった。不正を防ぐ対策を幅広く検討したい」と述べました。
本村氏は、同社が過去にもリコール隠し、欠陥隠しなどの不正行為を繰り返してきたと指摘。横浜で大型トレーラーのタイヤが外れ親子3人に直撃した死傷事故では、設計上のミスが原因だったのに、同社が一貫して整備不良と説明し、国交省もうのみにしてきたとして、「(国交省は)教訓をどう導き検査体制の見直しを行ってきたのか」と追及。同省の藤井直樹自動車局長は、ユーザーからの情報収集などリコール体制強化をいうだけで、企業任せの姿勢に変わりがなかったことが明らかになりました。さらに本村氏は、責任は三菱自動車の経営陣にあるとして、下請け中小企業を含む労働者への損害補償などは同社の責任で負担させるよう求めました。
しんぶん赤旗 2016年5月23日(月)
東亜建設の不正追及 本村氏 国交省なぜ見抜けず
日本共産党の本村伸子議員は18日の衆院国土交通委員会で、東亜建設工業が受注した羽田空港の地盤改良工事で施工不良、虚偽報告が行われた問題について、偽装を見抜けなかった国交省の責任を追及しました。
新たに羽田空港H誘導路、松山空港、福岡空港でも同様の事案が判明しました。国交省はいずれの事案もバルーングラウト工法を採用し発注していたことから工法そのものに問題があったのではないかと指摘し、同工法で受注した工事を確認。国交省の大脇崇大臣官房技術総括審議官は、同工法を採用した理由について東亜建設が「過去の空港工事における同種の工法の施行実績や民間業者の試験施工の報告に基づき採用した」と答弁しました。
本村氏は発注者の責任として国交省の事前評価・採用の在り方について見直し検討することを求めました。
さらに本村氏は「民間を含め全て施工状況、達成率を調査公表するべきだ」と要求。大脇技術総括審議官は、港湾の岸壁工事で実績があることを明らかにし、公共・民間工事についても報告するよう指示していると述べました。
議事録
○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子です。
三菱自動車燃費不正事件、東亜建設工業の羽田空港液状化対策工事の不正事件についてお伺いをいたします。
先回の質問でも申し上げましたけれども、三菱自動車の燃費不正は、二十五年前から法令と異なる方法で燃費データをはかり続けるなど、三段階で不正を行っておりました。国交省は、いずれの段階でも不正を見抜くことができず、三菱自動車が提出したデータだけをうのみにしておりました。これまでの四つの車種以外でも、プラグインハイブリッドのアウトランダーでも燃費偽装が明らかになりました。
きょう三菱自動車から報告がされると、さらに地域経済への影響があるのではないかということも懸念をされますけれども、まず確認をさせていただきたいと思います。
三菱自動車が行った不正はどういう不正だったのか、概略についてお話をいただきたいと思います。
○藤井政府参考人 お答え申し上げます。
今回の三菱自動車工業の燃費試験における不正行為につきましては、これまでのところ、軽自動車四車種以外も含め多くの車種について、長年にわたり、国が定めた方法と異なる方法で走行抵抗値の実測を行っていたこと、軽自動車四車種については、一部を除き、実測を行わず机上で走行抵抗値を計算していたこと、さらに、軽自動車の一部について、実測した走行抵抗値のデータを改ざんしていたこと等が判明しているところでございます。
○本村(伸)委員 二十五年前から法令で定めた測定方法を守らず違反を続けてきたことが言われておりましたけれども、本当にひどい話だというふうに思います。
二点確認をさせていただきたいんですけれども、まず、法令に定めた測定方法かどうか、国交省はチェックをしてこなかったのかという点が一点目、二点目ですけれども、実際に走行試験を実施していても目標の数値に届かなかったら都合のよいデータだけを意図的に選んで報告する、さらには、実際に走行試験も行わずに机上で計算をしていたというデータ偽装なわけですけれども、こうした詐欺的行為をなぜ見抜くことができなかったのか、お答えをいただきたいと思います。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
自動車の型式指定に関する国土交通省の審査におきましては、基本的には、審査の実務を担う独立行政法人自動車技術総合機構が審査に必要なデータをみずから測定しております。
ただし、今回の走行抵抗値につきましては、一定の気象条件のもとで複数回測定する必要があることから、型式指定の事務を円滑に行うなどの観点から、自動車メーカーから提出されたデータを使用しているところでございます。
これにつきましては、先ほど委員の御指摘にもございましたけれども、一定の条件で走行させ、決まった方法で計測をする、さらには複数のデータをとった形でその平均値をとる、そういったことを私どもは定めているわけでございますけれども、そういったデータも含めて今回改ざんがあったということでございます。
こういったデータについては、これまでのところ、私ども、実際にそのデータがどのように計測されたかというところまでのチェックは行わずに、そのデータを用いて型式の審査を行ってきたところでございまして、そのために、今回のような三菱自動車工業による長年にわたる不正行為を見抜くことができなかったものと認識しているところでございます。
〔委員長退席、小島委員長代理着席〕
○本村(伸)委員 二十五年間測定方法についてもチェックをしないということであれば、監督官庁としての責任を果たしていないことになるというふうに思います。結局、メーカーを信頼して、メーカーの提出したデータに間違いはない、不正はない、こういう検査の仕組みだったということだと思います。
これから検査の方法を見直していくんだというふうにされておりますけれども、見直していくというのであれば、メーカーの言うことをうのみにしないで、不正を犯すかもしれないということを前提に、データの信憑性そのものを疑って検査、検証していくことを求めたいと思います。
また、確実なのは、国交省自身が、正しい方法で、走行試験などもみずから、実際にデータそのものを検証するということを行うべきだと思いますけれども、抜本的に検査の体制を変えるということを明言していただきたいと思います。
○石井国務大臣 自動車の型式指定に関する国土交通省の審査においては、今御説明申し上げたように、一定の気象条件のもとで測定する必要があるもの、複数回にわたり測定する必要があるものなどについて、自動車メーカーから提出されたデータを使用してきておりました。これらのデータについては、自動車メーカーとの信頼関係を前提に、特段のチェックを行わず使用してきたところであります。
今回の三菱自動車工業の不正行為を踏まえ、この点については見直しが必要であると考えており、四月二十八日に省内にタスクフォースを立ち上げ、検討を開始したところであります。
これらのデータを国土交通省が全て実測することは、型式指定の手続を円滑に進める観点から難しいと考えておりますけれども、自動車メーカーが提出したデータについて、不正を防ぐ方策を幅広く検討してまいりたいと考えております。
○本村(伸)委員 過去の過ちを生かすことができなかったわけですけれども、そのことについても聞いていきたいというふうに思います。
三菱自動車は、二〇〇〇年、二〇〇四年にリコールを隠してそれが発覚をしたほかに、二〇〇八年から二〇一二年にかけてリコールの実施が大幅におくれるなど、たび重なる不正行為が指摘をされてまいりました。
三菱自動車の過去の不正の概要と、国交省としての対応をどうしてきたかという点、まず確認をさせていただきたいと思います。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
三菱自動車工業におきましては、平成十二年に、乗用車のオートマチックトランスミッション等において、虚偽報告やリコール隠しが発覚をしたところでございます。また、平成十六年には、トラックのハブなどの破断による死亡事故について、再び虚偽報告、リコール隠しが発覚したところでございます。
なお、これらの事案につきましては、道路運送車両法に基づき、虚偽報告について警察に告発するとともに、リコール隠しに対して過料を適用するなど、厳正に対処してきたところでございます。
さらには、先ほど委員の御指摘もございましたけれども、平成二十年から二十四年にかけて、軽自動車のオイル漏れ等のふぐあいに関して、リコール届け出が大幅におくれるという問題が発生をしております。これにつきましても、立入検査等を行い、改善策の早急な策定、実施について私どもの方から強く指導したところでございます。
○本村(伸)委員 過去に何度も不正を行った企業が不正を繰り返すのはなぜか、国交省としてはどのように考えているかという点を伺いたいと思います。
また、不正を見逃してはいけない国交省が、過去も今回も不正を見抜くことができず、結果として三菱自動車のたび重なる不正を許してしまっていることになっておりますけれども、どこに問題があるというふうに考えているのか、お答えをいただきたいと思います。
○石井国務大臣 三菱自動車工業におきましては、平成十二年及び十六年にリコール隠しが発覚したほか、平成二十年から二十四年にかけてはリコールの実施が大幅におくれるなど、たび重なる不正行為等が指摘されてきたところであります。
このような経緯にもかかわらず、今回再び不正行為が行われていたことにつきましては、三菱自動車工業のコンプライアンスに対する基本的な姿勢に疑問を持たざるを得ず、極めて遺憾であります。
十一日の三菱自動車工業からの報告におきましては、今回の不正行為の背景として、燃費目標の達成の困難さにもかかわらず、関係者の積極的な関与、実務状況の確認、外部からのチェック等が不足していたなど、業務運営に当たっての問題点が挙げられているところでございます。不正行為の再発防止に当たっては、こういった企業風土の変革が不可欠であるというふうに考えております。
なお、過去になぜ不正を見抜くことができなかったかという質問でございますが、本来、安全対策を最優先すべき自動車メーカーが行ったリコール隠し、虚偽報告等の悪質行為をチェックする仕組みや体制が当時は十分でなかったことによるものと考えております。
このため、国土交通省としましては、リコールに関する不正行為については、リコールに関する国土交通省の情報収集、監査、技術的検証等の体制の強化等の対策を講じまして、こういった不正を未然に防止するよう、リコール制度の運用に万全を期してきたところでございます。
一方、今回の事案につきましては、型式指定の審査時に使用するデータを自動車メーカーが改ざんしたものでありまして、こうした不正行為を把握できなかったことは、自動車メーカーとの信頼関係を前提に、自動車メーカーが提出するデータについては特段のチェックを行わず使用してきたことによるものであると考えております。
今回の不正行為を踏まえ、データの真正さを確保し、不正を防ぐための方策を検討しているところでございます。
○本村(伸)委員 具体的にお伺いをいたしますけれども、二〇〇四年の欠陥隠しの発端となったのは、二〇〇二年、横浜市で、大型トレーラーの車輪が突然外れて歩行者を直撃いたしまして、ベビーカーを押して歩道を歩いていた親子三人に直撃をし、二十九歳のお母さんが亡くなり、二人の子供さんがけがを負った、こういう深刻な事故があったわけでございます。この問題は、「空飛ぶタイヤ」という池井戸潤さんの小説にもなっております。当時の国会でも取り上げられております。
一連の三菱自動車の欠陥隠しの事件は、国民の命、安全をないがしろにして、もうけのためなら違法行為も隠蔽する大企業の体質を浮き彫りにいたしました。
二〇〇二年一月の横浜市の事故の後、三菱自動車は、一貫して、タイヤ脱落はユーザーの整備不良が原因と説明をしてきました。国交省も、この三菱自動車の説明をうのみにしておりました。
そこで、確認をします。
二〇〇二年五月二十二日、国会のこの委員会で日本共産党の議員が、ベテランの整備士の、整備不良が直接の原因とは思えない、こういう声も紹介しながら、立ち入りしたのかということを質問いたしましたけれども、当時の自動車交通局長の答弁は何と言っていたか、御紹介をいただきたいと思います。
〔小島委員長代理退席、委員長着席〕
○藤井政府参考人 お答えいたします。
今委員御指摘の点につきまして、平成十四年五月二十二日の衆議院の国土交通委員会におきまして、十四年一月のハブ破断による死亡事故に関して、以下申し上げるとおり答弁を行っております。
本事案におきましては、ホイールの取りつけ等の際、ホイールナットなどの締めつけが適正な方法で行われ、かつ適切な点検整備がなされていればハブの異常摩耗が生じないと考えられること、また、実際に調査した結果におきましても、そのような実態であることから、設計または製作の過程に原因があるというふうに判断するのは困難でございまして、現時点ではリコールには該当しないというふうに判断しております。
以上でございます。
○本村(伸)委員 国交省は、当時も三菱自動車の言い分をうのみにしておりました。しかし、結果は、整備ミスではなく設計上のミスだったことが明らかになり、この事件は、二〇〇四年、虚偽の説明をしておりました当時の副社長など元幹部が逮捕、起訴され、六年前、二〇一〇年には道路運送車両法違反の罪で罰金が確定した上で、業務上過失致死傷に問われた幹部二人も二〇一二年に有罪が確定をいたしました。
三菱自動車は、自動車メーカーとして存続する、これが最後の挑戦であると再建計画を策定し、事業を続けてきました。反省したのかと思ったら、今回はこの不正を引き続き起こし、型式認定検査では不正をずっと続け、皆さんを裏切り続けてきたわけでございます。
この事件を受けて、三菱自動車の言い分をうのみにしてきた国交省は深く反省し、少なくとも企業の言い分をうのみにしないような検査、監査の体制をつくるのが筋だったというふうに思いますけれども、この欠陥隠しの事件後、検査の体制はどのようになっていたのかという点、具体的に、国交省は、リコール隠し、欠陥隠しの教訓をどう導き、検査の体制等の見直しをどのように行ってきたのか。
国交省は、二〇〇四年五月十九日の衆議院のこの委員会の中で、メーカーの保有情報の収集、実務専門家による検討会や外部専門家から意見を聞く委員会の設置、リコール業務、監査体制の強化を図りたいと答えておりました。具体的にどのように反映させていたのか、お聞きをしたいと思います。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
平成十二年及び十六年の三菱自動車工業の虚偽報告やリコール隠しを受け、国土交通省としては、リコール隠しや虚偽報告等に係る罰則の強化、国土交通省によるリコール命令制度の導入、リコールに関する国土交通省の情報収集、監査、技術的検証等の体制の強化等の対策を講じ、このような不正を未然に防止するよう、リコール制度の運用に万全を期してきたところでございます。
先ほど、国会でのその後の質疑について委員の御指摘もございましたけれども、そのときに国土交通省から御答弁申し上げました委員会の設置あるいはリコール業務、監査体制の強化につきまして、以下のとおり具体的な対応を行っているところでございます。
まず、省内にリコール案件について調査検討を行う会議体を置き、リコール案件の調査、技術的検証等を行ってきているところでございます。
また、情報収集、監査、技術的検証に関する体制の強化につきましては、情報収集体制の強化について、自動車メーカーからの事故につながるおそれのある安全上重要な情報についての四半期ごとの報告徴収、警察や外国の関係機関との連携強化、ユーザーからのふぐあい情報収集の強化などの措置を行ってきているところでございます。
また、監査体制の強化につきましては、原則年一回のメーカー監査にかえて、疑義のあるメーカーには集中的な監査をするなどの措置をとってきているところでございます。
さらに、技術的な検証につきましては、独立行政法人交通安全環境研究所、現在の自動車技術総合機構でございますけれども、こちらに高度な知識を有する専門家から成る部局を設置し、自動車メーカー等が提出する書面の確認だけにとどまらず、実車実験などにより技術的な検証を行ってきているところでございます。
○本村(伸)委員 クレーム情報の問題ですけれども、不正のあった軽自動車の三菱と日産の販売台数でいえば、日産の方が多いわけです。
日産が不正を発見したということですけれども、国交省が収集するメーカーが保有するクレーム情報などの中に今回の報告はなかったのか、日産は国交省に報告したのか、確認したいと思います。
○藤井政府参考人 お答えいたします。
国土交通省では、リコールの迅速かつ確実な実施のために、ユーザーからふぐあいの情報を収集しているところでございます。
燃費値と実際の走行時の燃費値が異なるとのふぐあい情報につきましては、平成二十七年度に寄せられたふぐあい情報五千九百一件のうち二件であったということでございます。
これが日産の関係かどうかにつきましては、済みません、今、私の手元に情報がございませんので、また御報告申し上げたいと思います。
○本村(伸)委員 クレーム情報を軽視しないように求めておきたいというように思います。
今回の燃費不正事件では、三菱自動車の社員の方や家族の方や下請中小零細業者、そこで働く人たち、取引業者など、地域社会に多大な、甚大な影響を及ぼしております。不正の責任は三菱自動車の経営陣にあり、ほかの利害関係者の責任はないはずだというふうに思います。その点、大臣の認識をお伺いしたいと思います。
また、労働者等、一次、二次だけではなく最終的な下請中小零細企業まで、そこに働く人たちにまで損害を三菱自動車にしっかりと補償させ、責任をとらせるべきだという点、そして、三菱自動車がうそをついて車を売ったわけですから、ユーザーへのエコカー減税の差額分などを負担させることなく、三菱自動車の責任で負担をさせるべきだというふうに思います。
国交大臣として、三菱自動車に対して、正式にこうしたことをちゃんと直接に言って指導していただきたいと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。
○石井国務大臣 今回の三菱自動車工業の不正行為は、国の自動車審査の信頼性を根本から損なうだけでなく、我が国の自動車産業への信頼を傷つけ、ユーザーにも大きな不信感を与えるものであり、極めて遺憾であると考えております。
まずは、三菱自動車工業が、会社を挙げて今回の不正行為の全容を明らかにするとともに、責任を明確にし、再発防止策を策定すべきと考えております。
特に、ユーザーに対しては、三菱自動車工業は最大限誠実に対応すべきであると考えております。
社員及び下請企業に対する三菱自動車工業の対応について、国土交通省はお答えする立場にはございませんけれども、一般論として申し上げれば、三菱自動車工業が責任を持って対処すべき事柄であると考えております。
○本村(伸)委員 三菱自動車に対してしっかりと罪に対する責任をとらせるべきだということを強く求めておきたいと思います。
そして、経済産業省と厚生労働省にも伺いたいと思いますけれども、今回の三菱の不正事件で、重層的な下請中小零細企業への影響について、どのような影響があると考えているのか、また、下請中小零細企業が多い岡山、愛知、東京などのそうした業者の損失について三菱自動車にしっかりと補償させること、そして、信用保証協会の保証の割合をふやすセーフティーネット保証について早急に対象にするべきだというふうに思います。これは経済産業省にお願いをしたいと思います。
厚労省ですけれども、厚労省に対しては、この三菱の不正事件の働く人への影響についてどのように考えているのか。この点でも三菱自動車にしっかりと損害を補償させる、責任をとらせるべきですし、三菱自動車で働く人たちはもとより、岡山、愛知、東京など、重層的な下請中小零細企業で働く皆さんを救済するべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○若井政府参考人 経済産業省でございます。セーフティーネット保証等についてお答えを申し上げます。
今回の三菱自動車の不正を受けまして、経済産業省といたしましては、三菱自動車に対しまして、取引先等への対応には万全を期すこと、そして、事実関係、原因等について報告を行うことを指示してございます。
これまでのところ、三菱自動車からは、同社が調査した不正の事実関係や経緯の内容、及び、取引先を訪問し状況の把握や個別相談への対応を行っている旨の報告を受けてございます。
今後とも、三菱自動車が丁寧な対応を行うよう、状況を注視し、必要に応じ適切な対応をとってまいりたいと考えてございます。
また、三菱自動車の取引先企業への影響を把握するため、まず、経済産業省職員を現地に派遣いたしまして、下請、孫請企業や地元金融機関から資金繰りの実態を直接ヒアリングしてございます。
あわせまして、岡山県、倉敷市といった地方自治体とも連携をいたしまして、広範にアンケート調査を実施しておるところでございます。これらのアンケート等によりまして、影響の最も大きい岡山県を初め、愛知県など三菱自動車の取引企業の多い地域も含めて影響を把握してまいりたい、このように考えてございます。
これらの調査の結果、三菱自動車の生産の再開の見通しが立っておらず、今後も仕事を続けていけるかどうか先行きが不安である、また、資金繰りや雇用確保に不安を感じているといった取引先企業の声も、我々として把握をしておるところでございます。
そして、委員御質問のセーフティーネット保証二号でございますけれども、先ほど申し上げました調査の結果を踏まえまして、必要性が認められますれば、できるだけ早期に適用することとしたいと考えてございます。
いずれにいたしましても、今後とも、三菱自動車の取引先企業への対応に経済産業省としても万全を期してまいりたい、このように考えているところでございます。
○苧谷政府参考人 続きまして、厚生労働省の取り組みに関して御説明いたします。
今般の三菱自動車の問題に端を発した雇用への影響につきましては、関係労働局や自治体等と連携して情報収集に努めておりますが、現時点においては大規模な雇用調整等の事案は承知していないところでございます。
しかしながら、問題となっております軽自動車を生産している岡山県の水島工場周辺を中心といたしまして、地域経済や雇用の先行きについて大きな不安が広がってございます。このことにつきましては、まずは三菱自動車工業がサプライチェーンの従業員の雇用の維持などにつきまして、しっかりと取り組んでいくことが必要であります。
このため、関係労働局におきまして、県や市、事業主団体、金融機関等により構成される岡山県三菱自動車工業株式会社関連企業支援対策会議に参画いたしまして、連携協力の上、必要な対策を講じております。
また、関係労働局におきましては、関連企業に対し雇用の維持のための要請を行うとともに、事業主が休業等により労働者の雇用の維持を図った場合に、それに要した費用を助成いたします雇用調整助成金制度の積極的な利用を呼びかけておりますが、関連企業は他県にも広がっていることから、管轄の他の労働局におきましても、当該助成金の申請に対してしっかりと対応してまいりたいと考えてございます。
今後とも、関連企業で働く方々の雇用の維持、安定のために必要な支援を迅速に行ってまいりたいと考えてございます。
○本村(伸)委員 必要な支援はぜひお願いしたいんですけれども、三菱自動車にしっかりと罪の責任をとらせること、この点についても強調をさせていただきたいというふうに思います。
次に、羽田空港の工事に係る不正の問題についてお伺いをしたいんですけれども、五月六日、東亜建設工業により、同社が受注をしました羽田空港C滑走路の地盤改良工事について虚偽の報告の公表がなされました。さらに、十三日に、羽田のH誘導路、先ほどもお話がありました松山空港、福岡空港において新たに同様の事案が判明をいたしました。
東亜建設工業が施工しましたものはほかにもあったわけですけれども、バルーングラウト工法を採用した工事はほかにもあったのではないかと思いますけれども、示していただきたいと思います。
○大脇政府参考人 お答え申し上げます。
バルーングラウト工法で施工した工事につきましては、東亜建設工業の発表によりますと、空港工事のほか、港湾の岸壁工事で実績があるということでございますが、これらの工事を含めまして、公共発注による工事につきまして、施工不良の有無とあわせて、確認の上、報告するように指示をしたところでございます。
また、民間の工事につきましても、東亜建設工業に対しまして、民間工事における同種の工事の有無を確認し、該当する工事がある場合には、当該の民間発注者に対しまして誠実に対応するとともに、その対応状況を報告するよう指示しておるところでございます。
以上です。
○本村(伸)委員 民間を含めて、全て、施工状況、達成率を調査、公表するべきだということを求めておきたいというふうに思います。
そもそも、このバルーングラウト工法そのものについて、国交省として安全性などを評価したことがあるのかという点をお伺いしたいというふうに思うんです。事前にお伺いしたら、ないのではないかというふうに疑念が持たれるわけですけれども、そのことは後でお答えをいただきたいと思います。
東亜建設工業が液状化対策工事を以前にやったことがある、それはバルーングラウト工法ではない工法にもかかわらず、それを実績として、実績がある東亜建設工業が提案したものだから大丈夫だとここでもうのみにして、バルーングラウト工法の評価もせずに採用したのではないかというふうに疑われるわけでございます。しかも、国交省は、このバルーングラウト工法を、公共事業で活用しようということで、無責任にホームページでも事実上推進をしているわけです。
大臣にお伺いをしますけれども、こういうやり方は余りにも無責任ではないでしょうか。大事な命を預かる省庁であること、大事な税金を使っている意識があるのかというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○大脇政府参考人 まず、委員御質問の、いろいろな工法について公表しているということにつきましてでございますけれども、バルーングラウト工法につきまして、私ども国の方で、この工法に対して特にお墨つきをつけているというようなことではございません。
ただ、例えば、一般財団法人の沿岸技術研究センターという財団法人がございます。こちらで民間技術の評価事業というのを行っております。これは、民間企業が開発した技術を、その企業の依頼に基づいて、客観的、中立的な立場から確認、評価を行うという同センターの自主事業として行われているものでございます。
また、新技術活用システム、通称NETISというふうに呼んでおりますけれども、これにつきましては、新技術に係る情報の共有及び提供を行うためのデータベースでございまして、このデータベースに掲載されている情報をインターネットにより公開しているというものでございます。
委員御指摘のように、このバルーングラウト工法につきましても、結果的に羽田空港その他の工事で採用したことになるわけでございますけれども、採用する工法につきましては、施工の開始の前に受注者が提出します施工計画の手続の中で、受注者が提案する工法をもとに、同種工事の施工実績あるいは試験施工の報告、こういったものを確認することなどにより採用を決めているということでございます。
御指摘いただいております、今問題になっています三空港の工事におきましても、この工法を採用するに当たりましては、過去の空港工事における同種の工法の施工実績があること、あるいは、羽田空港につきましては、民間事業者の行いました工法の試験施工で薬液注入を適切に行えたという報告に基づきまして、この工法を採用したというふうに聞いております。
いずれにしましても、そうした判断の根拠としました施工実績にデータ改ざんあるいは国への虚偽の報告というものが含まれていたということでございますので、これについてはまことに遺憾に思っているところでございます。
以上です。
○本村(伸)委員 終わります。ありがとうございました。