衆院法務委員会で、刑事デジタル法案について、個人情報を捜査機関が収集することに歯止めがない法案だとして、市民のプライバシー権侵害の危険があると追及しました。
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個人情報収集歯止めなし 刑事デジタル法案追及 2025.4.1
議事録
〇本村伸子
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず冒頭、三重県の吉田紋華県議に対し殺害予告がなされております。
警察庁に質問をいたします。
殺害予告は、三月二十八日金曜日十九時五十八分から、三千件を超えて、同じ文書で三重県議会事務局総務課そして企画法務課宛てのメールで入り続けていたということです。メールの文面は、件名、いい年して非常用ナプキンを持ち歩かない吉田紋華議員を殺害します、本文、ばかに税金が一円でも使われる前に殺してしまえば解決しますとの、絶対に許されない、そうした内容となっております。
事の発端は、急な生理で生理用のナプキンがなくて困ったという話、トイレットペーパーみたいに生理用ナプキンをどこでも置いてほしいというこうした発信に対しての殺害予告、脅迫ではないかというふうに言われております。
被害届は既に出されておりますけれども、警察庁におかれましては、吉田紋華三重県議を守ること、警護をしっかりと行っていただくこと、そして、殺害予告に対し、捜査、厳正な対処をお願いしたいと思いますけれども、お答えいただきたいと思います。
○松田政府参考人
お答えいたします。
個別の事案の詳細につきましてお答えは差し控えさせていただきますが、お尋ねの事件につきましては、三重県警察において、昨日被害届を受理し、所要の捜査を進めており、今後、具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しております。
また、三重県警察におきましては、相談内容に応じて、関係箇所のパトロールを実施するなど、被害に遭われた方の不安等を解消するために必要な措置を講じているものと承知しておりまして、引き続き、御本人や関係者の御意向も踏まえ、関係部門が連携しながら適切に対処してまいりたいと考えております。
○本村伸子
殺害予告というのは明確な犯罪行為です。こうした殺害予告、暴力的な脅迫は絶対に許さないという立場で厳しく対処をしていただきたいと思います。
これは、女性に対するジェンダーに基づく暴力ではないかというふうに考えられます。なぜ生理用品のことで殺害予告となるのか、何が原因でそのような認識になるのか、このような加害行為、暴力をなくすためにも、是非分析をして対策を打っていただくことも強く求めたいと思います。
ほかの物を言っている女性に対する深刻な人権侵害が相次いでおります。人権や尊厳を守るために、暴力によって萎縮することなく自由に物が言えるように、是非対策を強化していただきたいというふうに思いますけれども、その点も是非お答えいただければと思います。
○松田政府参考人
お答えいたします。
警察といたしましては、やはり、個別の事案につきまして、具体的な事実関係に即して、法と証拠に基づき適切に対処するということが大切だと考えております。
○本村伸子
是非、暴力によって萎縮することなく自由に物が言えるように、対策を強化していただきたいというふうに思っております。
それでは、法案の方に入りたいというふうに思います。
資料として、日本弁護士連合会の皆様の会長声明をお配りをさせていただいております。
中ほどのところを読み上げさせていただきますけれども、その中で、閣議決定された刑事デジタル法案は、刑罰によって電磁的記録の提供を強制する電磁的記録提供命令を創設する一方で、犯罪と関係しない市民のプライバシー情報や企業、団体の秘密情報を捜査機関が収集し、蓄積することへの歯止めを欠いたものである、今日、広く利用されているスマートフォンやクラウドストレージには、膨大な量のプライバシー情報や秘密情報が保管されており、その情報が捜査機関によって収集され、蓄積される危険性は、通信傍受によって音声等の通話が傍受される危険性をはるかに上回る、そうであるにもかかわらず、刑事デジタル法案は、電磁的記録の収集について、通信傍受法に規定されているような要件や手続すら定められておらず、犯罪と関係しない情報の取得を防止する仕組みも、消去する仕組みも設けられていない、このままでは、捜査機関によって私的領域が侵され、市民のプライバシーの権利等が侵害される危険性が極めて大きく、かつ現実的であると言わざるを得ないというふうに指摘をされております。
この指摘に対して、深刻に受け止めるべきだというふうに考えますけれども、大臣に御見解を伺いたいと思います。
○鈴木国務大臣
憲法第三十五条の第一項、その中で、何人も、その書類及び所持品について、概要で申し上げますが、押収を受けることのない権利はとありまして、押収するものを明示する令状がなければ侵されないと規定をされております。包括的な押収を禁止をしている規定であります。
これを受けて、改正後の刑事訴訟法におきましては、裁判官が発する電磁的記録提供命令の令状に、被疑者等の氏名、罪名、提供させるべき電磁的記録、提供の方法を具体的に特定をして記載、記録するものとしておりまして、提供を命ずることができる電磁的記録は令状に記載、記録された範囲に限定をされると規定をしているものであります。
そして、その令状の審査に当たりましては、裁判官が、令状請求書に記載、記録された提供させるべき電磁的記録と被疑事件等との関連性、これを十分に吟味をした上で、そのような関連性があると認めたもののみを令状に記載、記録することとなります。
ということで、したがいまして、提供を命じることができる電磁的記録、これは被疑事件等との関連性があるものに限定をされることとなりますし、その命令に対しても不服申立てをすることができる、そういったこととなっております。
そのために、今御指摘をいただきました懸念、捜査機関による電磁的記録提供命令により犯罪と関連性がない情報が収集し、蓄積をされるということにはならないと考えておりますので、そういった意味で、今の御懸念については当たらないのではないかと考えております。
○本村伸子
そういうふうに大臣は本会議でもお答えになったんですけれども、被告、被疑事件と関係ない電磁的記録、個人情報の提供命令を行ってはならないというふうな条文がこの法案にはあるんでしょうか。大臣、お答えいただきたいと思います。
○鈴木国務大臣
今申し上げましたように、裁判官が発する電磁的記録提供命令の令状、ここには被疑者等の氏名、罪名、提供させるべき電磁的記録等を具体的に特定して記録、記載をすることとなっておりまして、先ほど申し上げましたように、令状に記載、記録されたものに限定をされ、そして、その令状の審査、これも、裁判官が十分に吟味をして、被疑事件等との関連性があると認めたもののみを記載、記録するということとなっております。
そういった中において、本法律案において、今御指摘のような、そうした規定をこの法律の中に設けるということとはしておりません。
○本村伸子
しておりませんということですね。もう一回答えてください。
○鈴木国務大臣
今申し上げたような趣旨で、そうした被疑事件等と関連性のない電磁的記録を取得することは、まさにこの規定を設けなくても、できないことと法律上なりますので、そういった意味で、この法律においてはそうした規定を設けることとはしておりません。
○本村伸子
裁判官は条文によって判断をするわけですけれども、その大切な条文には、今大臣がおっしゃったような限定は書いていないわけです。もうこれは皆さんがお分かりのことだというふうに思いますけれども、改めて確認をさせていただきました。
裁判官は、限定して電磁的記録の提供命令、これの令状を出す保証は、どの条文を読めば分かるんでしょうか。
○鈴木国務大臣
先ほど来申し上げておりますところの根拠となるのは、憲法の第三十五条第一項あるいは刑訴法の第九十九条というところでありますが、先ほど来申し上げておりますように、令状に記載、記録をされたものに限定をされ、そうした趣旨の中で、裁判官が令状請求書に記録、記載をされた提供させるべき電磁的記録と被疑事件等との関連性を十分に吟味をした上で、そのような関連性等があると認めたもののみを令状に記載、記録をすることとなるわけであります。
○本村伸子
その限定を法文に書くべきだったんじゃないですか、大臣。
○鈴木国務大臣
まさに今申し上げましたように、憲法三十五条あるいは刑訴法の第九十九条という中で、事件との関連性ということ、それが実質的に規定をされている状況でありますので、新たにこの今回の法改正においてそうした規定を置くこととはしていないということでございますので、御理解をいただけますと幸いです。
○本村伸子
書いていないからこそ、通信傍受法よりも危険性が高いのだということが指摘されているわけです。
最高裁にも来ていただきました。裁判官は、警察、検察による電磁的記録提供命令について、どのような資料を見て、どのように、どのくらい時間をかけて検討して、限定していこうというふうに考えているのか。今でも事件と関係ないものが差押えされ、収集をされておりますけれども、こことの整合性についてもお答えをいただきたいと思います。
○平城最高裁判所長官代理者
お答えいたします。
今般新設される電磁的記録提供命令においては、先ほどの御説明にもありましたように、提供させるべき電磁的記録を令状に記載することが求められております。
令状請求を受けた裁判官といたしましては、電磁的記録提供命令を発する必要性や被疑事実との関連性等を十分に審査した上で、提供させるべき電磁的記録を特定した令状を発付することになると考えられます。
電磁的記録提供命令における令状に、どのように具体的に特定していくのかにつきましては、これまでの令状の記載方法等も参考にしながら、まさに現場の裁判官同士で議論されるべきものでありますけれども、一般論として申し上げれば、被疑事実との関連性を有する範囲のものに限られることはもとより、被処分者においてどの電磁的記録を提供すればいいのか判断できる程度の特定が必要になるものと考えております。
○本村伸子
今でも事件と関係ないものが差押えされ、収集されていると。今度は、膨大な量のプライバシー情報や秘密情報が保管されているところから取得をされるということで、危険性が増すわけです。
警察は何の罪もない方々の情報も収集、蓄積、利用していることが、大垣市民監視事件では明らかになっております。名古屋高等裁判所の判決では、このように書かれております。思想信条に関わるものや、健康等の秘匿性の高いものは当然として、要保護性が低いとされているいわゆる単純個人情報と言われるものについても、みだりにこれらを取得し、保有し、利用しているものであり、人格権としてのプライバシーを侵害するものとして許されず、損害賠償請求等が認められるべきであるというふうに、警察が法律違反を犯していたということが断罪をされております。
これはお認めになりますね。
○石川政府参考人
お答えをいたします。
ただいまの委員御指摘の昨年九月十三日の名古屋高裁の判決におきましては、違法ないし明らかに社会的相当性を欠いた不当な目的による個人情報の取得、保有及び利用については、人格権としてのプライバシーを侵害するものとして許されない旨の判示がなされているものというふうに承知をしております。
○本村伸子
この名古屋高等裁判所の判決の中で違法だというふうに言われた個人情報の取得、保有、利用が、これまでの国会答弁では、通常行っている警察業務の一環であるというふうに答弁をされておりました。当時の国家公安委員会の委員長も、そういう答弁をしておりました。
こうした認識は正されている、通知などで全国でちゃんと広報されているということでよろしいでしょうか。
○西村委員長
警察庁石川長官官房審議官、時間が来ておりますので、答弁は簡潔に明瞭にお願いします。
○石川政府参考人
お答えいたします。
これまで国会等におきまして、大垣署員の活動については通常行っている警察業務の一環であるというふうに申し上げてきたところではございますけれども、これは、警察活動は公共の安全と秩序の維持という責務を果たす上で必要な範囲で行われるべきものであり、大垣署員の活動もそういうような考え方を念頭に置いて行われたものであるということを申し上げてきたものでございます。
しかしながら、結果といたしまして、今回の判決により大垣署員の活動は違法との判断が示されたところでございまして、岐阜県警察におきましては、この判決を重く受け止め、判決確定後は速やかに判決で示された原告らの情報を抹消したところでございます。
いずれにいたしましても、警察活動が警察の責務を果たす上で必要な範囲で行われるべきものであることは当然のことでございまして、今後とも、不偏不党かつ公平中正に職務を執行するよう、引き続き都道府県警察を指導してまいりたいというふうに考えております。
○西村委員長
本村さん、まとめてください。
○本村伸子
ありがとうございます。
まだ論点が山積みしております。質疑時間を十分取っていただき、慎重な審議を行っていただきますことをお願いを申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございました。