質問の映像へのリンク
DV支配から被害者守れ 「共同親権」巡り要求 2025.4.23
議事録
本村伸子
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、再審法の改正に関しまして質問をさせていただきたいと思います。
再審制度見直しに関する法制審議会刑事法(再審関係)部会のメンバーについてなんですけれども、再審法で何本も論文を書いた、再審法の専門的知見がある学者、研究者の方々が全て無視をされ、そして、刑事訴訟法の教科書で触れておられる方々はお見えになるんですけれども、幹事の方にアメリカ法との比較を書いておられる方もおられるんですけれども、再審法で何本も論文を書いた知見のある方々が入っていない。やはり、これはバランスに欠いている、公正性に欠いているというふうに考えます。
再審法について何本も論文を書き、深めている専門的知見のある学者、研究者の方々を委員として入れるべきだというふうに考えますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
鈴木国務大臣
私といたしましては、再審制度に関して専門的知見を有する研究者の方も含めて、諮問をいたしました内容に照らして、再審請求事件の実情を踏まえながら、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくのに適した方々、こういった方々に委員、幹事をお引き受けいただいたと考えているところでございます。
本村伸子
少なくとも、再審法に関する論文を多く書いている学者、研究者の方々は特別委員にするなど、お話を一回だけではなく複数回、何度も聞いて、知見を踏まえるべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣
様々な立場の方々からの声を踏まえて、こうした調査審議が行われるということ
も、これは大事、重要であると私も考えております。
ただ、その上で、今回、そうした委員、幹事ということで申し上げれば、先ほど申し上げましたように、今、諮問内容等に照らし合わせて、再審請求事件の実情を踏まえながら、再審制度について幅広い観点から検討を行っていただくのに適したふさわしい方々にお願いをしていると私は考えております。
本村伸子
是非、専門的な知見のある学者、研究者の方々からもしっかりと意見を聞いて、それを踏まえて審議をするべきだというふうに思っております。
再審弁護に取り組み、日弁連の再審法の改正実現本部の鴨志田祐美弁護士や、あるいは、袴田さんの無罪事件で再審開始決定と死刑と拘置の執行停止の決定を行った裁判官でありました村山浩昭弁護士が入ったということはよかったというふうに思いますけれども、しかし、学者、研究者の部分でバランスに欠いている、公正性に欠いているというふうに思いますので、是非、その点を是正しながら、議連の方も動いてまいりますけれども、法制審の方、公正なやり方をまず前提としてやっていただきたいというふうに思っております。
次に、改定民法について質問をさせていただきたいというふうに思います。
自民党の筆頭理事であられます小泉元法務大臣とはこの問題でやり取りをさせていただきましたけれども、人格尊重義務そして協力義務が明記をされました。DV、虐待ケースの場合は、人格を尊重しておらず、加害者側は協力義務違反に当たるという答弁もございました。
そこで、伺いたいというふうに思うんですけれども、DVの範囲なんです。
法務省民事局が出しております「父母の離婚後の子の養育に関するルールが改正されました」という解説のパンフレットがあるんですけれども、ここで、ここの人格尊重や協力義務というところの部分で、DVの範囲が正しく認識されているのかということを少し疑問に思いましたので、質問させていただきたいと思います。
内閣府のホームページにあるDVの範囲ですけれども、身体的なもの、精神的なもの、経済的なもの、性的なものということで、様々書かれております。
平手で打つですとか、物を投げつけるですとか、大声でどなる、誰のおかげで生活できているんだと言う、生活費を渡さない、外で働くなと言ったり、仕事を辞めさせたりする、殴るそぶりをしたり、物を投げつけたりするふりをして脅かすとか、あるいは、嫌がっているのに性的行為を行うですとか、避妊に協力しないですとか、そうしたことが書かれているわけですけれども。
人格尊重義務、協力義務の部分、協力義務違反であるDVの範囲に含まれるものは、内閣府のこのホームページにある内容を全て含んでいるということでよろしいでしょうか。
竹内政府参考人
お答えいたします。
父母相互の人格尊重、協力義務や、子に対する人格尊重義務の違反の有無ですが、個別具体的な状況におきまして個々の事情を前提に判断されるべきものであり、客観的な基準を示すことは困難であることを御理解いただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げれば、委員御指摘の内閣府のウェブサイトに挙げられているような行為、すなわち殴ったり蹴ったりするなど直接何らかの有形力を行使する行為、心ない言動等により相手の心を傷つける行為、嫌がっているのに性的行為を強要する、中絶を強要する、避妊に協力しないといった行為等があった場合には、あくまで個々の事情にはよるものの、委員御指摘のような義務違反があったものとして、親権者の指定、変更の審判や、親権喪失、親権停止の審判等においてその違反の内容が考慮される可能性があると考えております。
本村伸子
協力義務と書いてあることが支配の手段として使われてはならないというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
竹内政府参考人
お答えいたします。
委員御指摘のとおり、改正民法では父母相互の人格尊重、協力義務の規定を創設したところでございます。この規定は、子に関する権利の行使又は義務の履行に関しまして、その子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならないという親の責務を明確化したものでございます。
どのような場合にこれらの義務に違反したと評価されるかは個別具体的な事情に即して判断されることとなりますが、あくまで子の利益という観点から判断されるものでありまして、御指摘のような協力義務違反が支配の手段として使われるこ
とは規定の趣旨に反するものであり、あってはならないと考えております。
本村伸子
身体的、精神的、性的暴力は支配の手段であるということを前提とし、支配から子供とともに逃げることが人格尊重、協力義務規定によって妨げられる、こういうことはあってはならないというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。
鈴木国務大臣
まさにそうした意味において、身体的暴力、精神的暴力又は性的暴力から避難をする必要がある場合には、他方の親に無断で子とともに転居したとしても父母相互の人格尊重、協力義務の違反にはならない、これはこれまでも御答弁申し上げてきたとおりであります。
本村伸子
少しパンフレットを見て心配になったものですから、こうした質問を、参議院では仁比聡平参議院議員も繰り返し質問させていただいておりますけれども、是非このパンフレットも、もうちょっと分かりやすく改定をしていただきたいというふうに思っております。
協力義務が支配の手段として使われてはならないこと、精神的、身体的、性的暴力は支配の手段であることを前提とし、支配から子供とともに逃げることが人格尊重、協力義務規定によって妨げられてはならないということを、今、関係府省庁の連絡会議を行っているというふうに思いますけれども、議論をしているQアンドAに是非今言った趣旨を書いていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
鈴木国務大臣
今御指摘のQA、解説資料、これは十分な理解を当事者やあるいは関係諸機関の方々にいただく、そういったことになるように検討を行っているところであります。昨日開催をされた関係府省庁等連絡会議幹事会の第三回会議においても意見交換を行って、関係府省庁等の意見も踏まえて更に検討を進めているところであります。
今、国会で御質問いただいた点、これは参議院でも衆議院でもそういった点で御議論いただいております。こうしたことがしっかりと明確になるように、改正法の趣旨、内容を十分に理解いただけるようなQAとなるように作成に取り組んでまいりたいと思っております。
本村伸子
是非お願いをしたいと思います。
改定民法では、家庭裁判所が正しくDVや虐待を見抜き、子供、被害当事者の安全を守ることが肝になってまいります。DV、虐待についてはどのような暴力が含まれると研修をしているのか、そして具体的に被害当事者の安全を守るためにどのような研修を行ってきたのか、その点について伺いたいというふうに思います。裁判官、調停委員そして調査官を含めて研修の徹底をしていただきたいというふうに思いますけれども、最高裁、お願いをしたいと思います。
馬渡最高裁判所長官代理者
お答えいたします。
委員御指摘の改正家族法におきましては、必ず単独親権にすべき場合の考慮要素とされている子の心身に害悪を及ぼすおそれとか、父母の一方から他方への身体に対する暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を受けるおそれにつきましては、必ずしも身体に対する暴力に限られるものではなく、精神的、経済的、性的なDVや虐待が含まれると説明されているものと承知しておりまして、そのような点を含めて、改正法の趣旨や内容につきましては、裁判官や関係職員に対して研修、また情報提供等を実施してきているところでございます。
また、いわゆる離婚調停事件、また親子交流に関する事件等の家事事件におきまして、DVや虐待といった安全、安心に関する事情は最優先で検討されるべきものと認識されておりまして、このような観点から、適切な審理を行うべく、裁判官を始めとする関係職員に対しては、DVや虐待に関する専門性の向上のため、DVや虐待の加害者及び被害者の心理の理解を始めとする研修を繰り返し実施してきているところでございます。
具体的には、学識経験者によるDVや虐待に関する講演を行ったほか、DVや虐待の認定判断や心理に関する共同研究といった研修を行ってまいりました。さらに、家裁調査官が行った研究におきまして、海外の知見を含めて情報収集した上で分析がなされており、専門性の向上に当たってはそのような先行研究も活用されているところと承知しております。
今後も、改正法の趣旨、内容の適切な理解の下で、DVや児童虐待に関する家庭裁判所の判断を含む運用が適切に行われるよう、引き続き調停委員の研修を行う各家裁に対しても必要な支援をしっかりと行ってまいりたいというふうに思っております。
本村伸子
命や安全が脅かされる、そういうことが絶対にないようにしていただきたいというふうに思います。
そして、リーガルアビューズに関しても小泉元法務大臣とは論戦をしてまいりました。二〇二四年四月十日の衆議院法務委員会で、リーガルアビューズと言われるような被害の実態を調査し、対策を是非検討していただきたいということを小泉法務大臣に質問をしたところ、小泉大臣は、そういう状況におられる弁護士の方々の実情を法務省としてお伺いする機会、これは必要だというふうに思いますというふうに答弁をされ、私が、網羅的にしっかりと調査をして対策を打てるようにしていただきたいというふうに再度質問をいたしましたら、大臣が、まず代表的な方々のお声を聞いて、その状況をしっかり把握させていただいてから検討したいと思いますというふうに答弁をされました。
状況の把握、対策の検討はどこまで進んでいるのか、そして、DV被害当事者を支援する弁護士が誰もいなくなる、そういう事態を絶対に避けるために、一刻も早く対策を打っていただくということを強く求めたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
西村委員長
鈴木大臣、時間がまいりますので、簡潔にお願いします。
鈴木国務大臣
DV被害者に寄り添って活動する弁護士の存在、被害者の権利保護のために欠かせない存在と我々も認識をしております。意見表明やあるいは議論であっても、個人に対する人格攻撃やあるいは支援者、弁護士等に対する業務妨害、これに及ぶことはあってはならない、こう考えております。
従前も、我々民事局において、DV被害者を支援する団体あるいは弁護士等との情報交換、これを行っているところであります。引き続き、DV被害者の支援を行っている方々の協力も得ながら、円滑な改正法の施行に向けてしっかりと取組を進めていきたいと思っております。
本村伸子
リーガルアビューズに関して調査を是非していただき、対策をもっと強化していただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。