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無謀 リニア計画中止せよ 水がれ・地盤沈下「住民犠牲に」 2025.2.7
議事録
〇本村伸子
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
リニア中央新幹線について質問をいたします。
昨年、岐阜県瑞浪市大湫町で、リニア日吉トンネル南垣外工区の工事が原因と言われる水がれ、そして水位低下が起こりました。
瑞浪市大湫町、ここは中山道の江戸から数えて四十七番目の宿場町ということで、低湿地のところを湫というふうにいいますけれども、大湫という地名が表すように、水が豊かな地域でした。移住される方々もいらっしゃった、本当にすてきなところです。
ところが、資料の一、パネルを御覧いただきますように、リニアの工事によって、江戸時代から使われていたと言われる、天王様の井戸と言われる井戸もかれ、そして、大湫神明神社の水が湧いていたところも水がかれてしまいました。地域のめ池も干上がって、割れ目が大きくなっております。地域の皆様にとってとても大切な水を、リニアの工事が奪いました。
水がれが起きている箇所数、水位低下が起きている箇所数、そして、工事の現場からどのくらいの距離の地域に影響が及んでいるのか、お示しをいただきたいと思います。
○中野国務大臣
お答え申し上げます。
岐阜県瑞浪市大湫町の事案につきまして、JR東海からは、井戸やため池について、一月十五日時点で、水位低下が四か所、枯渇が十四か所確認されており、これらの井戸等で最も工事現場から離れているものの距離は約一キロであるとの報告を受けているところでございます。
〇本村伸子
資料の二、パネルを御覧いただきたいんですけれども、赤くなっているところが水がれのところです。
この水がれだけではなくて、地盤沈下まで起きているということで、資料の三を御覧いただきたいと思います。
資料の三、四角のマークがついているというふうに思いますけれども、二月一日に私も現地に再び行かせていただきましたけれども、この資料に載っていない部分でも、家の周りでコンクリートにひびが出ている状況で、浄化槽のコンクリートと土の部分が、隙間が広がっていくという状況も見させていただきました。また、地域では、ドアが閉まりづらくなったり、そういうふうになっております。
この紫のところを見ていただきたいんですけれも、皆さんのお手元の資料のところ、一月十四日の時点では七・七センチ、地盤沈下が出ておりました。資料の四を見ていただきますと、このパネルのところですね、この紫の部分ですけれども、最大八・七センチに沈下が拡大をしております。
どんどん沈下が進んでいるわけですけれども、こうした地盤沈下もリニア工事が原因だというふうに考えられると思いますが、大臣のお答えをいただきたいと思います。
○中野国務大臣
岐阜県瑞浪市のリニア中央新幹線のトンネル工事区間付近におきまして、令和六年二月以降、井戸やため池の水位低下が生じ、その後、地表面の低下傾向が確認されているところであります。JR東海からは、地表面の低下についても工事に起因している可能性が高いとの報告を受けているところであります。
国土交通省としては、JR東海に対しまして、引き続き、専門家の助言を得ながら、地元住民の方々などへの丁寧な説明と、調査を踏まえた適切な措置が取られるよう指導助言を行ってまいります。
〇本村伸子
水がれも地盤沈下もリニアの工事によって発生をした、こう言わざるを得ません。発注者であるJR東海の責任、そして元請である清水建設、大日本土木、青木あすなろ建設、この責任も大きいと言わざるを得ません。そして、このリニアの工事実施計画を認可をした国土交通大臣、政府の責任も重大です。そして、三兆円の財政投融資も行われております。
住民の方々は、昨年一月下旬の段階から、この吉トンネル南垣外工区に見学に行った際に、トンネルから湧水が出ていたと。その水を見て、これは大湫の水ではないかということを大変心配をされておりました。そして、二月の段階で水位低下が、JR東海の方も確認をし、水位低下が見られ、そして、もうリニアの工事を止めてほしいというふうに言っておられました。
三月の時点で、住民の皆さんの地域の会合がありまして、JR東海に直接そのように言ったそうですけれども、それにもかかわらず、工事を止めず、結局、報道があって、瑞浪市長が、五月十七日、工事の中止を求め、そして、JR東海は、やっと五月二十日の夜に、トンネル工事を直ちに中断するという方針を明らかにいたしました。
ずっとこのリニアの工事を止めなかった、その対応の遅さも、住民の皆さんは本当に憤りを持って感じておられます。
そもそも、水の道を調べずに工事をやったのが問題だったのではないですか。大臣、いかがでしょうか。
○中野国務大臣
お答え申し上げます。
JR東海からは、事前の環境影響評価において、地質等の調査に基づき、工事による地下水への水位の影響予測を行った上で、必要に応じて薬液注入の実施等の環境保全措置を取りまとめているところでありまして、また、工事の着手前には、地質等の状況を把握するためのボーリング調査や弾性波探査あるいは電気探査等を実施をしているということの報告を受けているところでございます。
しかし、いずれにしても、やはり安全、周辺環境、こうしたことには十分配慮をしつつ、そして、今回発生した事象に対して適時適切な対応を行うことが肝要であるというふうに考えております。
〇本村伸子
地域の皆さんが、水の道を調べずに行った、これが問題であるというふうに指摘をされています。本当にそのとおりだと思います。
大臣は、二月四日のこの予算委員会の質疑がリニアの問題でありまして、そのときに、国家的見地に立ったプロジェクトと言い、早期開業及び開業時期の早期明確化、そして一日も早い全線開業というふうに言っていましたけれども、こうやって地域には苦しんでおられる方々がおられ、今後も、隣の恵那でも心配があります、そして長野の南木曽でも心配があります。そして、南アルプスの大井川の毎秒二トンの減水、これについても、六十万人の方々が大変心配をされているわけです。
それにもかかわらず、そういうことは見ないで早期の開業と言うのは本当に無責任ではないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○中野国務大臣
リニア中央新幹線につきましては、当時、平成二十六年、工事の実施計画の認可の際に、当時の太田国土交通大臣から柘植JR東海社長に対しましては、地域の理解と協力の獲得、環境の保全措置、そして安全かつ確実な施工、こういう三点について指示をしたところであります。工事の過程で発生する様々な問題の解決に当たりましても、こうしたことが大原則であるというふうに私も考えております。
先ほど来御指摘がある様々な事象が生じておりますけれども、建設主体であるJR東海が地域の皆様の理解を得ながらしっかりと事業を進めていくということが重要でございます。
国土交通省としても、引き続きしっかりと指導助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
〇本村伸子
そもそも、JR東海が環境アセスに書いてあったこともやっていなかったのではないかという問題がございます。
元々、JR東海が出した環境影響評価書には、本線トンネルについて、工事の施工に先立ち、事前に先進ボーリングをやるようなことが書かれておりました。この日吉トンネル南垣外工区、大湫の集落の手前まで来ていた工事は先進ボーリングをやったのかということで、昨年の六月十九日にも別の委員会で質問をした際に、国土交通省の審議官がこう答弁いたしました。一般論ではありますが、トンネル工事を行う際には、トンネル掘削方向のおよそ百メートル程度のボーリング調査を行うというのが一般的な工法だと考えておりますというふうに答弁をされました。
この日吉トンネル南垣外工区、大湫の手前まで来ていたトンネル工事の際、水が枯れる前、先進ボーリングはちゃんとやっていたんでしょうか、大臣、お答えください。
○中野国務大臣
JR東海からは、この日吉トンネル南垣外工区のトンネル掘削に当たって、先進ボーリングは行っていないものの、地質や地下水の状況を把握をするために、環境保全措置に基づき、各種調査を行ってきたというふうに報告を受けておりますれは、環境保全措置の中に、本線トンネルについては、工事の施工に先立ち、事前に先進ボーリング等、最先端の探査技術を用いてというふうな記述がございまして、少し専門的になりますが、JR東海からは、最先端の探査技術として、TSP探査法あるいはドリル探査法といった、こうした探査法による調査を行ったというふうに報告を受けているところでございます。
〇本村伸子
ちゃんと土、地盤、試料を取って水が通りやすいところを調査する先進ボーリングはやっていなかったわけですよ。発破の振動で解析する探査法ですとか、油圧の速度の変化、こういうものを見るそういう探査法、これが最先端というのか。見極めることができなかった探査法ですよね。それが最先端の今の技術なんでしょうか。
こういう土をちゃんと取る、そして丁寧に調査をする先進ボーリングはやっていなかった。それは、より時間とコストがかかるからじゃないですか。時間とお金がかかるからといって、大湫の皆さんが犠牲になったんじゃないですか。
もう一つお伺いをいたしますけれども、環境影響評価書には、必要に応じて薬液注入を実施することや、覆工コンクリート、防水シートを設置することにより、地下水の影響を低減できるというふうに環境アセスには書いてありました。
日吉トンネル南垣外工区、大湫の手前のトンネル工事は、昨年の五月以前、工事を止める以前ですけれども、薬液注入を、水がかれてしまう前、ちゃんとやっていたんでしょうか。
○中野国務大臣
お答え申し上げます。
JR東海からは、環境影響評価書の水資源に係る環境保全措置にどう書いてあるかといいますと、本線トンネルについては、工事の施工に先立ち、事前に地質や地下水の状況を把握した上で、必要に応じて薬液注入を実施することというのが環境保全措置でございます。
事実関係を申しますと、日吉トンネル南垣外工区の工事においては、二〇二四年五月二十日以前は、調査検討の結果、薬液注入は実施をしていない、こういう報告を受けているところでございます。
〇本村伸子
この薬液注入もお金がかかる、だから、やらなかったんじゃないですか。大湫の皆さんは、JR東海の、あるいはゼネコンのコスト削減の犠牲になったというふうに言えるというふうに思います。
もう一つお伺いしたいんですけれども、JR東海が清水建設などのJVと契約をしたとき、ちゃんとこの環境影響評価書に書かれている先進ボーリングですとかあるいは薬液注入、これをちゃんとやる見積り、契約になっていたんでしょうか。大臣、お答えください。
○中野国務大臣
JR東海からは、JR東海と清水建設などのJVとの契約というのは基本的に民間同士の契約でございますので、契約の具体的な内容をここでお答え申し上げるということは困難でございますが、日吉トンネル南垣外工区の工事につきましては、環境影響評価に基づきまして、工事前に定めた環境保全計画において、地下水及び水資源の環境保全措置といたしまして、先ほども申し上げましたけれども、本線トンネルについては、工事の施工に先立ち、事前に先進ボーリング等、最先端の探査技術を用いて地質や地下水の状況を把握した上で、必要に応じて薬液注入を実施をすることというのが環境保全措置でございます。
この計画にのっとって、JR東海及びJVは工事を行っているというふうにJR東海から報告を受けているところでございます。
〇本村伸子
民間の工事ではありますけれども、しかし、これだけの甚大な被害が出ているわけです。それについてしっかりと国としてもチェックするべきじゃないですか。
この南垣外工区の契約、見積りの資料を提出してください。大臣、お願いします。
○安住委員長
鉄道局長に少し答弁させましょうか。(本村委員「大臣に」と呼ぶ)答弁できますか、国土交通大臣。
じゃ、済みません、私の権限で。
国土交通省五十嵐鉄道局長、今の資料提出の件ね。
○五十嵐政府参考人
お答えします。
先ほど大臣からも御答弁申し上げましたけれども、当該御要請がありました契約自身は民間企業同士の契約でございますので、資料として提出することは困難であるというふうに考えてございます。
以上でございます。
〇本村伸子
今、岐阜県でも地盤委員会でいろいろな議論をしております。そのときに、やはりそいった資料も出して、本当にこの契約でよかったのか、誰に責任があるのか、このことを明確にするべきだというふうに思いますけれども、大臣、お答えをいただきたいと思います。
○中野国務大臣 本件は、水がれ問題の原因究明あるいは再発防止、こういうところの御質問かというふうに思います。
今聞いておりますのは、岐阜県の瑞浪市の事案につきまして、岐阜県の環境影響評価審査会においても原因調査や対策について審議をされると聞いております。この中で、専門家にも相談をしながら必要な対策を講じているものというふうに承知をしております。
もちろん、この水がれへの影響につきましては、井戸等を使用して生活されている皆様への影響を最小限に抑えるため、現在、応急措置として、上水道を利用できるように工事を実施するというふうにも聞いております。
建設主体であるJR東海が地域の皆様の理解を得ながらしっかり事業を進めることが重要と考えております。
いずれにしましても、国土交通省として、引き続きしっかりと指導助言を行ってまいりたいと考えております。
〇本村伸子
事実に基づいたしっかりとした指導をするためにも、こうした根拠資料が必要だというふうに思います。
是非この委員会で提出をさせていただきたいということで、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
○安住委員長
提出というのは、民間企業の資料ということになりますか。
では、理事会で協議します。
〇本村伸子
ありがとうございます。
次に、資料の五を見ていただきますと、そのJR東海はどういう態度を取ってきたかということなんですけれども、昨年七月十四日の東京新聞の資料を出させていただいております。
問題が公になる前の五月十四日にあった岐阜県と瑞浪市幹部との会合で、JR東海は、多大な費用と時間を要するため、詳しい原因調査は考えていないと説明をしたことが情報公開によって明らかになっています。岐阜県への公文書の開示ということで明らかになっております。
コストと工期優先で、原因究明をして再発防止策をつくることや、あるいは、大湫の水を元に戻すこと、この最大の努力もしていない。このJRの対応というのは大問題じゃないですか。大臣、いかがでしょうか。
○中野国務大臣
先ほども答弁をさせていただきましたけれども、今、原因の調査につきましては、岐阜県の環境影響評価審査会において審議をされていると聞いております。こうした、ある意味、第三者、外部の目というか、こうしたところでしっかりと原因の調査もしていただくということかと思っております。
そして、先ほども申し上げました、今、応急措置として、上水道を利用できるように工事を実施するというふうに聞いておりますので、地域の方にしっかりと理解を得ていただく取組というのをやらないといけないと思っております。
私も、先日、JR東海の丹羽社長のところでリニアの工事の視察に行かせていただきました。そのときには、やはりJR東海には、安全や周辺への影響というのは十分配慮して工事を進めていただきたい、そして、工事の状況については、地元のまさに地域の住民の方へ丁寧に説明をしていただきたい、そして、トラブルがあった場合には速やかに地元関係者に対して情報の共有をしっかりと行っていただきたいということを求めたところでもございます。
引き続き、指導助言を国土交通省として行ってまいりたいと思います。
〇本村伸子
リニアの問題はこれだけではないわけです。
東京・町田では、リニア第一首都圏トンネル小野路工区で、民家の庭に気泡と水が湧き出、そして、市民団体の皆さんの調査では、これは酸素濃度一%。もし密閉された、密閉されたというか、トイレですとかお風呂ですとか、排気口ですとか排水口とか、そういう空気が出たら、すぐに亡くなってしまう、そういう数値が出ております。これについても、リニアとの関係をJR東海も認めております。
こういう本当にあちこちで様々な問題があるのがこのリニアです。リニアの工事実施計画を国土交通大臣が認可をして、被害が出ております。どういう責任を感じておられるんでしょうか。
そして、そもそもリニアは、JR東海の元の社長が言ったように、赤字の事業です。赤字だと分っている無謀な事業になぜここまで犠牲を払わなければいけないんでしょうか。
そして、一体いつ開業するんですか。そもそも、品川から大阪まで九兆円と言っていましたけれども、足りないということで十兆五千億円になりましたけれども、大阪まで十兆五千億円でできるのか、どんどん財政投融資を進めていくのか。この点、お答えをいただきたいと思います。
○中野国務大臣
開業時期等の御質問がありましたので、そちらのお答えをさせていただきます。
開業時期につきましては、整備計画決定に至るまでの議論や工事実施計画などにおきまして、品川―名古屋間は令和九年、二〇二七年以降、名古屋―大阪間は令和二十七年、二〇四五年の当初の計画に対しまして、平成二十八年に財政投融資を活用いたしまして、最大で八年間前倒しを図ることとされておりますが、いずれにしても、品川―名古屋間の静岡工区の早期着工が重要な課題と認識をしておりまして、国土交通省としても環境整備を進めているところでございます。
費用面についての御指摘もございました。
費用面については、令和五年、品川―名古屋間の工事費用を約七兆円とした工事実施計画につきまして認可を行っており、現状の計画で事業を遂行していくものと認識をしております。
なお、名古屋―大阪間の工事費につきましては、今後、工事実施計画の申請がなされる段階で改めて整理がなされるものと考えております。
〇本村伸子
リニアは、環境破壊、生活破壊、総事業費が膨れるリスク、そして維持管理費がどうなるのか、収入の見込み、そして巨大地震等、災害のリスクもあります。避難計画はまだできておりません。重大な労災事故が相次いでおります。亡くなられた労働者もおられます。そして、大深度地下法の前提は崩れています。地上に影響が出ております。そして、水がれ、地盤沈下、陥没のリスク。残土、その残土を置くことによって土砂災害のリスクもあります。そして、要対策土の問題もあります。そして、ウラン鉱床、ここの近くも通るということで、その出てきた残土をどう検査して処理をするのかという問題もあります。そして、膨大な電力の消費、気候危機打開にとって逆行する問題。そして、リニアにばかり投資をする中で、在来線無人化、こういうことも進んでお
ります、値上げも進んでおります。そして、東海道新幹線への影響など、様々問題が山積をしております。
一旦このリニアは立ち止まるべきです。そして、今指摘をした点を含めて、全体で検証するべきだというふうに思いますけれども、大臣、お答えをいただきたいと思います。
○安住委員長
間もなく時間が来ますので、手短な答弁をお願いいたします。
○中野国務大臣
以前も答弁を申し上げました、リニア中央新幹線は、様々な、三大都市圏を結ぶ、そして日本経済を牽引する、東海道新幹線とのダブルネットワークによるリダンダンシーの確保を図る、国家的見地に立ったプロジェクトではあるというふうにも思っております。
様々御懸念の御指摘をいただいております。申し上げてきたとおりではありますが、いずれにしても、国土交通省として、JR東海に対し、適切に事業が進められるよう指導助言してまいりますし、引き続き、事業が円滑に進むように、関係自治体ともしっかり連携をしていく中で環境整備を進めてまいりたいと考えております。
○安住委員長
時間が参りました。
〇本村伸子
無謀なリニア計画は中止をするべきだということを強く求め、質問を終わらせていただきます。