もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2024年 5月 29日 第213国会 法務委員会

子どもに在留特別許可を

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子どもに在留特別許可を 2024.5.29

議事録

○本村伸子

日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。非正規滞在になってしまっている子供たちの人権保障について質問させていただきたいと思います。日本は一九九四年に子どもの権利条約を批准し、今年は三十年の年に当たります。世界の中で百五十八番目に批准をすると、大変出遅れたスタートでございました。その子どもの権利条約の要である四つの原則、大臣にも改めて御認識を深めていただきたいということで述べさせていただきます。一つ目は、差別の禁止、差別のないこと。全ての子供は、子供自身や親の人種や国籍、性、意見、障害、経済状況などどんな理由でも差別されず、条約の定める全ての権利が保障されますということが子供の権利の趣旨でございます。 子供の最善の利益、二つ目です。子供にとって最もよいこと。子供に関することが決められ、行われるときは、その子供にとって最もよいことは何かを第一に考えます。これが二つ目です。そして、三つ目。生命、生存及び発達に対する権利。命を守られ成長できること。全ての子供の命が守られ、持って生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活への支援などを受けることが保障されます。 そして、四つ目。子供の意見の尊重。意見を表明し、参加できること。子供は自分に関係ある事柄について自由に意見を表すことができ、大人はその意見を子供の発達に応じて十分に考慮しますということが、子どもの権利条約の大切な四つの原則です。 まず、大臣に、ちょっと通告はしていないんですけれども、お聞きをしたいんですけれども、人権擁護を大臣は所管をしております、人権擁護局も持っておりますので。人権擁護を所管をする法務大臣も、この子どもの権利条約の四つの原則を大切に思っていただいているということでよいですねということと、仮放免を含め非正規滞在になっている子供たちも、この子どもの権利条約の権利の主体であるという、その子供の中に入っているという御認識でよろしいですねということ、確認をさせていただきたいと思います。

○小泉国務大臣

この四原則を含め、その趣旨全体について非常に重要な価値であるというふうに心得ております。 そして、その対象者の子供という中には、今おっしゃったような非正規の形で在留する子供たち、これも当然含まれていると認識しております。

○本村伸子

資料でお示しをしておりますが、先ほど鎌田議員からも、ホームページに載っていないという問題はございますけれども、資料として出させていただきました。 齋藤大臣の時代に、強制送還の対象となっている、日本で生まれて在学中の子供たちに在留特別許可を出す対応の方針が決定をされました。在留特別許可が出た子も既におりますけれども、そうではない子もおられます。同じ地域で住んでいるのに子供たちが傷ついているということを、深く私たちは考えなければならないというふうに思っております。 小さいときに来て日本で育った子供たちは対象外です。日本生まれでなければ対象外です。そして、強制送還の対象となっていない、先ほども鎌田議員が言われましたけれども、強制送還の対象となっていない仮放免などの非正規滞在となっている子供たちも対象外と、この齋藤大臣の措置はなっております。 まだ認められていない子供さんの中には、高額な手術が必要な子供さんなど、病気を抱えた子供さんもいらっしゃいます。仮放免の子は国民健康保険などに入ることはできません。通常高額にならない通常の医療でも、仮放免の方は高額になります。インフルエンザにかかった仮放免のお子さんの事例について申し上げたいと思います。これは、小泉大臣、そして牧原筆頭理事のお地元でございます埼玉の子供さんの事例です。 東京新聞、五月七日の記事です。埼玉県の少女、十五歳が、今年の二月下旬、三十八度を超える熱を出した。市販薬を服用したが、けいれんを起こして気絶。救急車で医療センターに搬送された。インフルエンザと診断されて一日入院し、点滴などを受けて退院したが、請求された診療費は二十四万円。家族とともに仮放免中の少女は国民健康保険に加入していなかった。保険適用後の医療費の負担は原則三割だが、同病院では無保険者に全額自己負担の一・五倍を課すのがルールだったということで、二十四万円の請求をされております。
前から厚生労働省に、せめて医療費、医療を子供たちに提供をということで救済を求めておりますけれども、厚生労働省は在留特別許可が必要なのだということを言うわけです。
この今お示しした埼玉の十五歳の女性の方の例では命が助かった例なんですけれども、こうした重い医療費では病院に行くことができないケースが多々あることが分かっていただけるというふうに思います。
この十五歳の子供さんは、その子にとっては物すごく巨額の医療費、二十四万円の借金を返すためにアルバイトをしたいと言っているそうです。でも仮放免の子は、非正規滞在になってしまったこういう子は働くことはできないわけです。
こういう現状は、先ほど大臣と共有をいたしました子どもの権利条約の四原則、差別の禁止や、生命、生存、発達に対する権利、子供の命が守られ成長できること、このことが保障されていないというふうに考えます。
こういうお地元で起こった事例でございます。これは余りにも子供たちにとってむごいことをやっているというふうに思います。日本語で育ってきた子供たち、そしてその家族を強制送還するということは、私は人道に反しているというふうに考えます。何とか子供たちを救っていただきたいというふうに思います。
高額な手術が必要な子供さんは、真っ先に今すぐ職権で在留特別許可を出していただきたいというふうに思いますし、子供たちを線引きせず、非正規滞在の子供たちに在留特別許可を出すべきだというふうに考えますけれども、大臣、伺いたいと思います。

○小泉国務大臣

齋藤大臣が御英断されました子供の在留特別許可、これは、その大本の考えをたどっていくと、結局、法務大臣が持っている裁量権、人道上の配慮、本当の個別の案件を見た上での人道上の配慮から特別に在留を許可する権限、それに淵源があるわけですよね。ただ、それをグループとしてくくり、優先度の高い要素を持つ子供たちであるという認定をして、そして大勢の子供たちを迅速に在留特別許可に導こうという行政的なイニシアティブであります。
しかし、そこに乗らなかった、そのグループに入れなかった方々が、在留特別許可の道をそこの時点で失ったかというと、そういうことではないと思います。
個々の事情をしっかりと我々は把握をさせていただき、また、申請主義というものが創設されます改正入管法によって、在留特別許可の申請というものが可能になります。
また、先ほども、鎌田議員のとき御説明しましたけれども、本年三月、在留特別許可のガイドラインの改定を行いました。考慮事項の評価に関する考え方を明確にいたしました。その中で、家族とともに生活するという子供の利益の保護の必要性を積極要素として考慮するということを明示いたしました。
こういったものを踏まえて、在留特別許可の申請をいただいた場合には、もちろん職権という道もあるわけでございますけれども、個々の事情に照らし、個々の、人道の本来の在り方に照らし、必要な在留特別許可というものは出していこうというふうに考えています。

○本村伸子

是非、子どもの権利条約の四つの原則の、この原点に立って、人道的な対応をしていただきたいというふうに思っております。
ある非正規滞在の子供さんは、こういうふうな手記を寄せております。私は、小学校六年生のときに、自分の生活だけ学校の友達と違うことに気づきました。みんなは風邪を引いたらすぐ病院に行くけれども、私たちは行くことができない。夏休みや冬休みに友達は海外に旅行するけれども、私たちはビザ、在留許可証がないから行けない。私も友達みたいに自由が欲しいし、飛行機に乗れる権利も欲しいです。この夢が現実になるのを願っていますというふうに語っておられます。
私がお話をお伺いした方は、保育士になりたいというふうにおっしゃった子もいらっしゃいますし、医者になりたいという子もいます。それぞれの可能性が花開くように、日本で住む全ての子供がその努力に応じてしっかりと報われるようにしていただきたいということを強く求めたいと思います。先ほども前向きな御答弁をいただきましたので、是非よろしくお願いしたいと思います。
次に、六月十日、改悪入管法の施行ということになっておりますけれども、難民認定の仕組みも、国連の難民高等弁務官から、大臣、直接厳し過ぎるんだというふうに言われているのに、改善もしておりません。にもかかわらず、強制送還の危機があるわけです。命と尊厳の危機がある人を強制送還しては絶対にいけないということも、強くこの場で強調させていただきたいというふうに思っております。
続きまして、イスラエルによるガザ攻撃についてお伺いをしたいというふうに思っております。
私、三月に、超党派の議員の皆さんと一緒に、国連パレスチナ難民救済事業機関、UNRWAの事務局長にお会いをいたしました。
そのときに、ラザリーニ事務局長がこういうふうにおっしゃっておりました。日本政府に対して、イスラエルによるガザ攻撃を止めるため、国際社会に積極的に停戦実施を呼びかけてほしいというふうにおっしゃっておりました。ガザの状況は今までに見たことのない危機で、十月から三月の五か月にガザで死亡した子供の数は、二〇一九年から二〇二二年に起こった全世界の紛争の死者数を上回るなど、子供の死者数、ジャーナリストの死者数、国連職員の死者数も今までにない人道危機だというふうに強調をされておりました。そして、イスラエルの包囲による人間がつくり出した飢餓がまさに目の前にある、市民は爆撃に遭うか飢えるかのどちらかで死ぬという状況にあるという非常事態を訴えておられました。
そこでお伺いしますけれども、イスラエルは自衛権ということで言っているわけですけれども、二月十四日の参議院外交・安全保障に関する調査会で、名古屋大学の松井芳郎名誉教授がこういうふうに自衛権についておっしゃっておりました。自衛権には必要性と均衡性の要件もございまして、したがいまして、自衛のためであれば何でもできるということにはならない、自衛のために必要最小限のこと、相手の行動と均衡の取れた反応だけできるのだという要件に照らしても、全くイスラエルの行為は自衛権では正当化できないというふうに述べておられました。
日本政府の認識は、この松井名誉教授と同じ認
識か、また別の認識であればその認識についてお伺いをしたいと思います。

○辻副大臣

御質問ありがとうございます。
我が国として、イスラエルは、ハマスの攻撃を受けて、国際法に基づいて自国及び自国民を守る権利を有すると認識していますが、同時に、同時に全ての行動は国際法に基づいて行わなければなりません。いかなる場合においても国際人道法の基本的な規範は守らなければならないと考えていまして、必要性と均衡性の要件は満たされなければならないと考えていまして、我が国として、イスラエルの行動が国際法と完全に整合的であるとの法的評価を行っているわけではございませんが、現在、委員御指摘のように、民間人の犠牲者数はますます増加している中で、軍事行動が全体として国際法上正当化されるかどうかについても、当事者による一層の説明が求められるような状況となってきていることは確かでございますので、引き続き、日本政府としては、そういった部分で国際社会の中で連携を取っていきたい次第でございます。

○本村伸子

改めて確認をさせていただきますけれども、十月七日以降、イスラエル軍がパレスチナのガザ地区に対して行った攻撃は自衛権で正当化できると考えているんですか。

○辻副大臣

我が国としては、イスラエルは、ハマスの攻撃を受けて、国際法に基づいて自国民を守る権利を有すると認識している一方で、今次事案の個別具体的な事情や関連の情報については、事実関係を十分に把握することが現状困難であることから、確定的な法的評価を行うことは差し控えますが、我が国として、これは、イスラエルの行動が国際法と完全に整合的であるとの法的評価を行っているわけではございません。

○本村伸子

国連国際司法裁判所、これが、ガザへの攻撃に関して、停止をする暫定命令を出しました。そして、国際刑事裁判所も、逮捕状を請求をしているという状況がございます。
それでも、自衛権で正当化できることではないのだということを言えないわけですか。

○辻副大臣

我が国としては、人質の解放が実現するよう、そして人道支援活動が可能な環境が確保されるよう、即時の停戦を求めています。
そして、五月二十七日にも、上川外務大臣がカッツ・イスラエル外相と電話会談を行い、こうした日本の立場を伝えています。特に、人道支援活動が阻害されることのないよう大臣からは改めて求めたと同時に、国際司法裁判所、委員御指摘のICJの暫定措置命令は、当事国を法的に拘束するものであり、誠実に履行されるべきものであるという旨述べさせていただきました。
今後とも、人道状況の改善に向けて、引き続き、粘り強く積極的に外交努力を行っていきたい次第でございます。

○本村伸子

今のこれまでの延長線上の取組ではいけないというふうに思うんです。
例えば、イスラエルによる無差別殺りくに関して、本気になってこれが問題であると、子供たちがこれほど異常に殺されていることは問題であるというふうに本気で思っているのであれば、イスラエルと経済連携協定、EPA、これを結ぶということにはならないというふうに思いますし、そのための共同研究、これももうやめるという決断をするべきだというふうに思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。

○辻副大臣

今般の事案に関しまして、繰り返しになりますが、現在の情勢に関し、我が国としては、イスラエル側の人質の解放が実現するよう、そして、人道支援活動が可能な環境が確保されるように即時に停戦を求めてまいっております。
そして、それに対してはしっかりと、国際社会、特に国連、また、ICJの様々な命令や行為に対して、これは当事国を法的に拘束するものであるから、誠実に履行されるべきものであるという旨、我々からは積極的に展開をしておりますので、今後も、粘り強くそういった外交努力を続けていきたいと思っております。

○本村伸子

イスラエルとのEPA、そのための共同研究、これはやめるべきだというふうに思います。
最後に、別の問題で質問させていただきたいと思います。
日本に来て、難民認定申請者の方がホームレスになっている事例がございます。以前質問させていただいて、ESFRAに、緊急宿泊施設に入ったわけですけれども、日本に来て即座にホームレスになることがないように、是非、保護のための予算を抜本的に増やしていただきたいと思いますし、次の住宅が見つかるまで、ホームレスにならないように手厚い支援が必要だというふうに考えますけれども、最後に副大臣、お願いしたいと思います。

○辻副大臣

難民認定申請者に対する保護については、これは、国際的に各国にも道義的責任がある重要な業務であると認識しています。
この認識の下、難民認定申請者のうち、当面の住居を自力で確保できない者に対しては、外務省として、事業の委託先であるアジア福祉教育財団難民事業本部、いわゆるRHQを通じて、緊急性と必要性などを総合的に判断した上で、このESFRA、難民認定申請者の緊急宿泊施設を提供しています。
その上で、ESFRAに入居する者に対して、委託先のRHQは、転居先の家探しを支援するなど様々な支援を行っていますので、いずれにしましても、今後も、適正な保護が実施できるよう不断の検討を続けてまいりたいと思います。

○本村伸子

是非、難民認定申請者の人権を守る立場で、手厚くやっていただきたいということを重ねて申し上げ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

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参考資料

20240528 法務委員会配布資料

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