もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2023年 6月 2日 第211国会 法務委員会

同性婚地裁判決 婚姻平等の法制化を / 民事手続IT化法成立

 

 

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同性婚地裁判決うけ 婚姻平等 法制化迫る 2023.6.2

議事録

○本村伸子

日本共産党の本村伸子でございます。
まず、冒頭、同性カップルの婚姻の平等について質問をさせていただきたいというふうに思います。
五月三十日、名古屋地方裁判所の判決で、今の状況は憲法違反との判断が下されました。判決では、同性カップルに対しては、その関係を国の制度として公証することなく、その関係を保護するのにふさわしい効果を付与するための枠組みすら与えないことは、国会の立法の裁量の範囲を超えるものと見ざるを得ず、その限度で、憲法二十四条二項、十四条一項に違反するとの判断がなされております。
婚姻に関する法制度、法制定、これは個人の尊厳に基づくことを求めた憲法二十四条二項、そして法の下の平等を求めた憲法十四条一項に違反をすると指摘をした、非常に重い判決だというふうに思います。国会に対して立法を明確に求めております。
名古屋地方裁判所のこの判決に関しまして、原告の皆さんあるいは弁護士の方々の評価ですけれども、侵害されている利益の重大性を丁寧に指摘をしている判決である、そして、国の主張には原告を始めとする性的マイノリティーの当事者の方々を傷つける不合理かつ不誠実な要素が多分に含まれていた、そうした国の主張を否定するエッセンスがちりばめられている判決である、そして、原告がこの訴訟の中で何に傷ついてきたのかという現実に真摯に向き合ってもらえたというふうに評価をされておられます。そして、立法をめぐる議論において散見される誤解ですとか反対論に対する反論に相当する内容も含まれており、立法をめぐる議論で十分参照していただきたいというふうに言われています。
この判決文の中で御紹介したいことは幾つもあるわけですけれども、この国会の議論の中でもやはり誤解に基づいたものがあるのではないかというふうに私も感じております。
判決の中では、例えば、同性間に対して現行の法律婚制度を及ぼすことが憲法二十四条一項の趣旨に照らして禁止されているとは言えないし、国民の意識が同性婚を肯定する方向に変化しつつあるというふうにも書かれています。また、同性カップルが国の制度によって公証されたとしても、国民が被る具体的な不利益は想定し難いというふうにも書いてあります。そして、伝統的な家族観を重視する国民が一定数存在しており、その立場も尊重されるべきものではあるものの、同性カップルを国の制度として公証したとしても、そのような伝統的家族観を直ちに否定することにはならず、共存する道を探ることはできるはずであるというふうに書かれています。累計的には膨大な数になる同性カップルが、現在に至るまで、長期間にわたってこうした重大な人格的利益の享受を妨げられているにもかかわらず、このような全面的に否定する状況を、状態を正当化するだけの具体的な反対利益が十分に観念し難いなど書かれています。
立法を明確に求めた判決です。伝統的な家族観とそして同性カップルの法律婚を認めること、これを共存する方向に歩みを進めるべきだというふうに思います。
判決、この裁判の中の国側の主張によって当事者の方々が深く傷つけられている、こういうことはもう一刻も早くやめるべきだというふうに思います。そのためには、やはり結婚平等の法制を作るしか道はないというふうに思いますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思います。

○齋藤(健)国務大臣

まず、同訴訟は、同性のパートナーとの婚姻を希望する原告らが日本で同性同士の婚姻が認められていないのは憲法に反するとして国に損害賠償を求めた事案であります。
御指摘の判決においては、原告らの国に対する請求は棄却されたものの、その理由中において、婚姻に関する民法等の諸規定が憲法に違反するとの判断が示されたということを承知しています。
法務省としては、婚姻に関する民法等の諸規定が憲法に反するものとは考えておりません。この点に関する国の主張が受け入れられなかったものと承知をしています。
裁判そのものは国が勝訴をしたため控訴することができませんが、現段階では確定前の判決であり、また、他の裁判所に同種訴訟が係属していることもありますので、その判断も注視をしていきたいと思っています。

○本村伸子

婚姻の自由と平等の実現は、誰もが尊重され、大切にされる社会の実現に必要不可欠なのだということを弁護団の皆様の声明でも語られております。私もそのとおりだというふうに思います。婚姻の平等法、是非、齋藤大臣の時代に決断をしていただきたいということを心から求めたいというふうに思います。
続きまして、今回の法律、民事関係手続IT化法案について伺いたいというふうに思います。
今回の法案では、受任を受けた代理人、弁護士に、インターネットを利用した申立て等を義務づけることになります。また、事件記録は、原則として電子データを保管するというふうになっておりまして、その閲覧は電子データにアクセスをするというふうになっています。そして、送達対象データを裁判所のサーバーに記録し、送達を受ける者が閲覧、ダウンロードをすることが可能な状態にした上で、送達を受ける者が届け出た連絡先、メールアドレスなどに通知をする方法により送達を可能にするというふうになっております。
そこで、まず、大前提のお話ですけれども、このシステムの開発、運営を行っている責任者、実際の開発、運営者、そして、受注した企業、そして契約額をお示しをいただきたい。
そして、今裁判所で使っているNAVIUSというものとルーツというもの、そして、これから公正証書の電子データ化のシステムをつくるわけですけれども、今回のシステム以外の三つですね、その責任者と実際の開発者、運営者、受注者、契約額、改修している場合は何回改修し、そして当初の発注額に幾らプラスをされたのか、この点について最高裁と法務省に伺いたいと思います。

○氏本最高裁判所長官代理者

お答え申し上げます。
NAVIUS、裁判事務支援システムでございますが、その開発費用につきましては、最高裁判所を発注者、富士通株式会社、株式会社日立社会情報サービスを受注者といたしまして、総額四億八千八百万円程度の契約を行っております。また、その改修につきましては、令和二年以降合計三回実施しておりまして、総額六千五百万円程度の契約を行っております。
続きまして、ルーツ、民事訴訟手続のIT化に係るe事件管理システムでございますが、その開発費用につきましては、最高裁判所を発注者、株式会社日立社会情報サービス、デロイトトーマツコンサルティング合同会社、日本IBM株式会社を受注者といたしまして、令和二年以降、総額十六億三千五百万円程度の契約を行っております。なお、改修は行っておりません。
民事非訟や家事の分野に関するシステムにつきましては、令和五年度から、どのような機能を有するシステムを開発していくべきかといった検討、要件定義を進めることとしておりまして、本法案が成立しました暁には、本年度の検討結果も踏まえまして、本格的にシステム開発を進めていくことにしております。
裁判所といたしましては、本法案が成立いたしました暁には、その施行日までにシステムの利用が可能となりますよう、今後、システム開発を適切に進めてまいりたいと考えております。

○金子政府参考人

公正証書の関係について法務省からお答えをいたします。
公正証書のデジタル化に係るシステムにつきましては、公証人の全国組織である日本公証人連合会において整備することを想定しておりますけれども、システムの開発につきましては、本法律案が成立した後に契約を締結し、その内容を具体化していくことを想定しております。
したがいまして、システム開発の責任者は日本公証人連合会ということになりますが、日本公証人連合会から委託を受けて実際にシステム開発を行う業者やその契約額などにつきましては、現在は未定の状況にございます。

○本村伸子

この日本公証人連合会の情報というのは情報公開の対象でしょうか。

○金子政府参考人

日本公証人連合会は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第二条第一項で定義されている行政機関には該当しないことから、同連合会が保有する情報につきましては情報公開の対象とはならないものと承知しております。
もっとも、法務省としては、日本公証人連合会が整備するシステムが本法律案による改正後の公証人法及びその委任を受けた下位法令に沿ったものとなるよう、当該システムにおいて備えるべきデジタル技術の具体的基準の策定などを行う予定であり、これを通じて、システム整備にも適切に関与していく所存です。
また、国民の皆様に安心して公証制度を利用していただく観点から、日本公証人連合会において整備したシステムのセキュリティーに関する必要な情報発信をすることも重要であると考えております。
法務省としましては、公正証書には利用者の重要なプライバシーに関する情報が含まれることを踏まえ、制度の信頼性が維持されるよう、日本公証人連合会と緊密に連携しつつ、システム整備等について必要な対応をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

○本村伸子

この公証人役場の関係のシステムに関しましては情報開示の対象ではないということで、貸金ですとか、遺言ですとか、あるいは消費者契約などの公正証書が作られることになります。そのときに、画面外に、当事者以外、脅迫する者が隠れていたりですとか、あるいは、先ほども議論がありました成り済ましの問題、当事者の真意によらない公正証書が作成されてしまうなど、そういう、例えば高齢者の方々の被害が起きてしまうのではないかということを大変懸念をしております。
ウェブ上でこうしたことがないようにするためにも、遺言状の作成はやめるべきだというふうに考えますけれども、見解を伺いたいと思います。これは法務大臣にお願いをしていると思います。

○齋藤(健)国務大臣

現行法の下では、公正証書の作成に当たっては公証人の面前でのやり取りを行うことが必須とされているため、公証役場へのアクセスが困難な地域に居住している方や、感染症の予防のために外部者の立入りが許されない入院施設等に入居している方などは、公正証書を利用することが困難であったという事情がありました。
しかし、ウェブ会議を利用することで、このような方々も、公正証書遺言を始めとする公正証書を作成することができるようになるものであり、公正証書遺言について一律にウェブ会議の利用を認めない、これは相当ではないなと考えています。
他方で、嘱託人の真意に沿った公正証書遺言が作成されるようにすることは極めて重要であるというふうに認識をしています。このため、改正法案におきましては、ウェブ会議の利用は、あくまでも嘱託人が希望し、かつ、公証人が相当と認めたときに限って許容をするというふうにしています。
その上で、第三者が成り済ましを図っているおそれがある場合はもとより、第三者が嘱託人の周囲にいるとか、不当な働きかけを受けて嘱託人が真意を述べることができていないことを理由に、公証人においてウェブ会議の利用は相当でないと判断した場合には、従来どおり嘱託人に公証役場への出頭を求めることになる、そういう仕組みになっています。
改正法の施行に向けては、ウェブ会議を利用した場合においてもしっかりと嘱託人の真意を確認することが可能になるよう、関係団体と連携しつつ、効果的と考えられる対策を重ねて講ずるなどの具体的な実務上の対策を講ずるべく、検討を進めています。

○本村伸子

是非、真意に基づかないものが作成されることがないようにしていただきたいと思います。
そして、裁判所の職員の方々からお話を伺いますと、この間、下級裁から最高裁に人員がシフトされたり、産休、育休、病休の方々がいる職場への十分な配慮がないこと、超過勤務ですとか、事件数には表れない業務量など、そもそも人員が足りない、その上に、こういう声がありました。デジタル化というが、ノウハウもなく仕様書を書かなければいけない、専門性のある人材、人の育成ですとか採用を進める必要性があります。そして、参考資料も見ながら裁判資料などを作るためにも、複数のモニターを一人の方が使えるように、そして、機能がちゃんとしているヘッドセットを用意していただくことなど、裁判所に来てITを申立てする個人の方々への機材、設備が伴っていないなどなど、様々、お声を聞いております。
人的、物的体制整備、そのための予算確保こそ必要だというふうに思いますけれども、これは最高裁の方にお願いをしたいと思います。

○伊藤委員長

時間が来ましたので、手短にお願いします。

○小野寺最高裁判所長官代理者

お答えいたします。裁判手続のデジタル化は、裁判所の喫緊の課題であり、これを実現するために必要な人的、物的体制を整備していくことは重要であるというふうに考えております。また、適切かつ迅速な事件処理を安定的に行うためにも、必要な予算を確保している必要があるというふうに考えております。
裁判所といたしましては、今後の裁判手続のデジタル化の進捗状況も踏まえつつ、事件数の動向や事件処理状況等をきめ細かく把握しながら、必要な人的、物的体制の整備、予算の確保に努めてまいりたいと考えております。

○本村伸子

引き続き、様々なテーマがございますので、この法務委員会で、この国会で更に審議を続けていただくということを求めて、質問を終わらせていただきたいと思います。

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