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外国労働者の人権侵害 入管法等改正案の反対討論 2024.5.21
議事録
〇本村伸子
私は、日本共産党を代表し、入管法、技能実習法改定案等に反対の討論を行います。現行の技能実習制度は、大企業が下請単価、取引価格の引下げ、抑制をする下で、外国人を非熟練、低賃金の労働力として使い、強制労働や性的搾取など、深刻な人権侵害の温床となってきました。国連自由権規約委員会などからも、人権侵害を指摘されています。入管庁は、失踪が多発する原因を本気で改善せず、技能実習生の命と安全を軽視しています。
技能実習制度は、原則、転籍の自由がなく、労基法違反や暴力など、やむを得ない事情がある場合に限って転籍を認めていました。
本法案の育成就労は、新たに本人の意向による転籍を規定していますが、分野ごとに一年から二年は転籍を認めず、しかも、日本語、技能要件などの制限を設け、省令に白紙委任をしています。これでは、転籍の自由を事実上認めないものと言わざるを得ません。政府は、転籍は制限しなければ地方から労働者が流出をしてしまうと言いますが、それは、全国一律最低賃金制度千五百円を中小・小規模事業者を本気で支援して実現し、解決すべきことであり、転籍の制限は本末転倒です。
農業と漁業などに派遣労働の仕組みを導入することも問題です。中間搾取で手取り、労働条件が悪くなり、使い捨て、短期間での帰国など、機械的な扱いになってしまう懸念があります。
多額の借金を背負い、解雇、事実上、強制帰国をさせられ、人生を壊されることがないよう、労
働者からいかなる手数料、経費を徴収してはならないという二国間協定を結ぶべきとの質問に、法務大臣は後ろ向きの答弁でした。これでは、借金問題は解決しません。
育成就労制度は、転籍の自由を保障する制度とは言い難く、独立性、中立性のない監理団体と同じような監理支援機関に関与させ、多額の借金問題の解決の見通しもない、技能実習の看板のかけ替えにすぎません。
重大なことは、永住許可制度の適正化と称して、永住許可を取り消すことができる制度を新設することです。
永住許可の審査は厳しく、原則十年以上、日本で生活し、安定した資産、収入があること、税金、社会保険料の滞納がないことなどを厳格に審査した上で、永住を許可されています。永住者の中には、戦前の植民地支配によって日本国籍とされ、戦後、国籍を離脱するという歴史的経過の下で、特別永住者とともに永住者となった方々も多数存在します。
税金や社会保険料の滞納を永住許可取消しの理由としていますが、これは誰にでも起こり得ることです。こうした場合に必要なことは、まず、生活困窮のSOSと捉え、支援につなげることです。その上で、日本国籍の人と同じように、督促、差押えなど、対応すればいいではありませんか。差別的、懲罰的なやり方は、憲法違反のおそれがあります。
この法案で、永住者の方々から、寝られない、つらいという声が届いています。永住許可を取消しすることに反対する署名は、四万筆を超えて集まりました。入管庁に人生を握られ、署名したくてもできない悲痛な叫びがあることを知るべきです。
懇談会報告書でも求められていた、外国人やその関係者等各方面から幅広く意見を聞くことも、丁寧な議論を行っていくこともやらず、乱暴に採決を強行することは余りに暴力的であり、人権軽視を恥ずべきです。永住しようとする外国人労働者と家族の地位を著しく不安定にし、日本で培った十分な生活基盤を失わせることは、人道に反しています。永住許可取消し制度は撤回をするべきです。
在留カードのマイナンバーカードとの一体化は、マイナンバー制度にそもそもの問題があり、自己情報コントロール権、個人情報保護の観点から反対です。
家族の帯同を含め、外国にルーツを持つ方々を尊厳ある人間として受け入れる制度、共に生きる制度を強く求め、反対の討論といたします。