もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2024年 3月 15日 第213国会 法務委員会

裁判所職員定員法

議事録

〇本村伸子

日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
裁判所職員定員法についてお伺いしたいと思います。
全国の裁判所の職員の皆さんからは、増員要求が各地でございます。今日、資料をお示しをさせていただいているんですけれども、これは、昨年の十月五日、日本弁護士連合会人権擁護大会シンポジウムの提言、改めて出させていただきました。そこには、裁判官や家庭裁判所の調査官の増員は急務であるということで、裁判官でいうと、できるだけ速やかに、数百人単位の裁判官、判事、判事補の増員が不可欠であるというふうに書かれておりますし、家裁の調査官も、どの地域においても家裁の調査官の数が足りていないという声で満ちあふれているというふうにも指摘をされ、家裁の調査官の速やかな増員及び体制強化は急務である、司法権をつかさどる裁判所の職員が足りないことは明らかであるというふうに指摘がされておりまして。
にもかかわらず、今回、減員の法案となっております。なぜこうした声を聞かないのか、最高裁の方にお伺いしたいと思います。

○小野寺最高裁判所長官代理者

お答えいたします。
裁判所といたしましては、これまでも、事件動向や事件処理状況等を踏まえまして、裁判官や裁判所書記官を相当数増員するとともに、家裁調査官についても一定の増員を行うなど、必要な人的体制の整備を図ってきたところでございます。
他方で、近年の裁判所全体の事件動向につきましては、成年後見関係事件などの一部の事件を除きますと落ち着いた状態が続いております。民事訴訟事件や刑事訴訟事件、少年事件については長期的に見て減少の傾向にあります。
このような事件動向を踏まえますと、令和六年度につきましては、これまでの増員分を有効活用しつつ、審理運営の改善、工夫等も引き続き行うことで、適正かつ迅速な事件処理を行うことができるものと考えているところでございます。
他方で、国家公務員の定員をめぐる情勢が厳しさを増す中で、引き続き、裁判所としての必要な体制を整備していくために、国家の一機関として、他の行政官庁と同様に、事務の効率化等、必要な内部努力を行い、定員合理化に協力することは必要であるというふうに考えており、技能労務職員及び裁判所事務官を対象とした定員の合理化を予定しているところでございます。
もっとも、裁判所事務官につきましては、事件処理の支援のための体制強化及び国家公務員の子供の共育て推進等を図るために増員をお願いしているところであります。
以上の増減を通じますと、全体としては職員の員数は減少ということになりますけれども、技能労務職員につきましては、定年による退職に裁判所の事務への支障の有無を考慮しつつ、外注化による合理化等が可能かを判断し、後任を不補充とすることにより生じた欠員について減員を行うものであります。
また、裁判所事務官につきましては、既存業務の見直し、例えば庁舎新営の終了に伴う事務の減少分等について、合理化による減員を行うものであり、いずれも裁判所の事件処理に影響が出るものではないというふうに考えております。
裁判所といたしましては、引き続き、今後の事件動向や事件処理状況を踏まえつつ、必要な人的体制の整備について検討を続けてまいりたいと考えております。

○本村伸子

資料の四百九十六ページのところを見ていただきたいんですけれども、子がいる婚姻関係事件については、原則として、全件、家裁調査官を関与させるべきだということを、日弁連の皆さんのシンポジウムの提言ではなされておりまして、こうした部分の拡充ももっと必要でございますし、三権分立の、人権を守るとりでであるこの裁判所が、政府の総人件費抑制方針に協力し、定員合理化計画に協力するというのは、本当に私はおかしいというふうに、先ほども道下議員からもお話がありましたけれども、やはりおかしいというふうに思っております。
なぜ削減できるのかということも問いたいというふうに思うんですけれども、この間も、いろいろな現場の皆さんからお話を聞いてまいりました。例えば、下級裁の会計課の方が、四人体制でやっていたのが三人になって、そしてメンタルヘルスの不調になって、一人病欠になって、二人体制になってしまったというお声をお伺いしました。こういうところにちゃんとカバーができていないという問題があります。
そして、先ほど事件数の話もありましたけれども、別の下級裁の職員の方からは、民事訴訟事件も内容が複雑化しているのに、書記官の配置が削減されてしまったと。事件数だけではなく内容をちゃんと見てほしいという声がございました。
また別の下級裁では、メンタルヘルスに不調を来してしまった職員の方がいて、周りの方がフォローをして、今度はそのフォローしていた方が体を壊してしまい、ドミノ倒しのような状況になっていると。これはここだけではなくて、別のところでもドミノ倒しというような状況がございます。
そして、職員の人数が少ない職場で、育児時間などで十七時以降残業できない方が部署にはいらっしゃると。そして、人数が少ない状況の中で、令状が三十通来ることがあると。警察が発付するということも、待つことも含めて、若い女性の方が、もちろん女性、男性区別なくですけれども、夜九時頃まで働いているというのが、一人で夜九時過ぎまで働いているということが日常化しているということもございました。
別の部署の皆様の中では、職場全体の余力がなかったり、職員同士のコミュニケーションが不足することにより、育児、介護等の制度があっても、行使できない職場があるという、それが多くあるというお話も伺っております。
こういう実態をちゃんと把握していれば、削減なんてできないんじゃないですか。

○徳岡最高裁判所長官代理者

お答え申し上げます。
裁判所各庁は、育児や介護などの家庭の事情にも考慮した上で職員の配置をしたり、必要に応じて部署内の応援や他部署からの応援等のサポート体制を構築するなど、適切に対応しているものと認識をしているところでございます。
また、最高裁としても、管理職員に対して、各種研修や事務打合せ等の機会を通じて、職場におけるサポート体制の構築について、理解の促進に努めているところでございます。
今後とも、管理職員を始めとする職員の意識啓発を進めて、両立支援制度をより一層取得しやすい環境づくりに努めていきたいと考えております。

○本村伸子

今、育児の部分のことしか言わなかったんですけれども、こういう実態からすれば、総合的に見れば削減などできないというふうに思います。適切に把握しているのであれば、なぜメンタルヘルス不調を始め、病休の方が増えているのでしょうか。
一部の人に仕事が集中していないか、追い詰められていないか、しっかりと目配りをし、子育て、介護などの仕事と家庭の両立ができるように配慮をし、現場からの必要な人員の要求が、増員の要求がしやすくなるように、すぐに対応できる仕組みをつくるべきじゃないかと思いますけれども、最高裁、お答えをいただきたいと思います。

○徳岡最高裁判所長官代理者

お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、仕事と家庭を両立できるよう配慮することは重要でございます。裁判所におきましては、これまでも、管理職員を通じて現場職員の様々な声を可能な限り拾い上げるなどして、執務環境の整備に努めてきたところでございます。
今後、男女を問わず、育児や介護等の家庭事情を有する職員のより一層の増加が見込まれる中、個々の職員がワークライフバランスを実現することができるよう、仕事と家庭が両立できる執務環境の整備に努めてまいりたいと考えております。

○本村伸子

それには増員が必要なんですけれども。
もう一つお伺いしたいんですけれども、裁判所のお仕事の中には宿日直というものもあります。仮眠を取るということが前提のようですけれども、ある職員の方でいいますと、一度も寝たことがないというふうにおっしゃっておりました。寝られずにそのまま朝働きますと、超長時間労働ということになってまいります。超長時間労働が発生しないように、翌日休めるシフトをつくるなど、十分な配慮が必要だというふうに考えます。
また、今、職員の方の有給休暇を取得しているそうなんですけれども、そうした通常の有給休暇の取得ではなく、特別の有給休暇をつくる必要があるのだというふうに思います。それはどうかという点。そして、宿日直で寝ないで働いた、そういう実態があるのであれば、手当を引き上げていくということも必要だというふうに思います。
その点、最高裁、これは国家公務員全体にも関わることですので、人事院にもお答えをいただきたいと思います。

○徳岡最高裁判所長官代理者

お答え申し上げます。
裁判所職員の休暇につきましては、一般職の国家公務員の勤務時間に関する制度を準用しておりますため、最高裁判所としては、休暇の新設については意見を述べる立場にございません。また、宿日直勤務の際の手当額につきましては、法令に基づきまして、他の国家公務員と同様となっておりまして、最高裁判所としては、その額について意見を申し述べる立場にはございません。
なお、制度面は今申し上げたとおりでございますけれども、各裁判所の実情に応じて、連続して仮眠できる時間を確保できるような工夫を行ったり、あるいは宿直の翌日の業務を調整して休暇を取得しやすくするなど、職員の負担軽減が図られているものと認識をしております。

○荒竹政府参考人

お答えいたします。
一般職の国家公務員については、勤務時間法第十三条一項に基づき、宿日直勤務として、正規の勤務時間外において職員に設備等の保全、外部との連絡及び文書の収受を目的とする勤務等の断続的な勤務を命ずることができることとされています。また、各省各庁の長は、職員にこの宿日直勤務を命ずる場合には、当該勤務が過度にならないように留意しなければならないこととされています。具体的には、勤務日数をできるだけ少なくするような努力が必要であるほか、適正な勤務人員の確保、一回当たりの勤務時間の適正化、仮眠時間の確保、勤務環境の整備といった点に特に留意する必要があるとされています。
このような点を踏まえて、宿日直勤務が過度な勤務とならないよう、各府省において、適切に運用いただくものと考えております。

 

○本村伸子

徳岡人事局長は、事実、過度な負担が出ているのに、そういう実態を見ていないというふうに思いますので、そこは改めていただきた
いというふうに思います。
資料二に出させていただいているんですけれども、裁判官、裁判所の職員の病休の取得者が増えているという問題です。時間がないので、まとめて質問をさせていただきたいのですけれども、なぜこういう事態になっているのかという点。プライバシーのことがあるので把握しづらいというようなことを最高裁は言っているわけですけれども、職場をよくしたいから協力してもらえないかと、御本人の了解をいただきながら、第三者の方が聞き取るなどして、分析をして、まとめて、対策を打つということが、こういうことをやればできるじゃないかというふうに思うわけです。
プライバシーに配慮した形で御本人に依頼をして、九十日以上休んでいる職員の方、九十日未満休んでいる職員の方、そして公務災害で認定された職員の方、なぜ休むことになったのか、なぜ公務災害が生じたのか分析し、原因を取り除くことをやっていただきたいと思います。そして、メンタルで不調になってしまった方に関しましては、職場復帰の手厚いサポートにつなげる必要があるというふうに思いますけれども、最高裁、お答えをいただきたいと思います。

 

○徳岡最高裁判所長官代理者

お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、病休取得者の数、令和五年と令和四年を比較しますと、一部増加しているところはございますけれども、病休の理由は、負傷や疾患など職員ごとに様々でございます。それには業務外の病気等によるものも含まれることを踏まえますと、一概にその病休取得者の数が増加していることの原因を分析することは、なかなか困難でございます。
委員御指摘の方にアンケートを取るというようなお話でございますけれども、体調への影響あるいはプライバシーへの配慮などを慎重に検討する必要があろうかと思われるところでございます。現在でも、職場に原因があるのではないかというような話を聴取したような場合には、これに対して、各庁において適切に対応を取っているものと認識しておりまして、引き続き、職員の健康保持に向けた取組を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
サポートの関係でお話がございました。委員御指摘のとおり、原因を分析して原因を取り除くことや職場復帰の手厚いサポートを行うことは重要であると認識しているところでございます。
例えば、精神疾患を例にして申し上げますと、職員が自らの不調に気づくための知識というものを付与したり、あるいは、部下職員にメンタルヘルス不調が発生した場合に、管理職員が早期に発見し対策を取ることができるような知識付与を行うなどしてきたところでございます。また、職場復帰に当たっては、職員の主治医や裁判所の健康管理医の意見も踏まえて、職場において必要な環境整備を行い、円滑な職場復帰が可能になるよう努めているところでございます。
いずれにいたしましても、引き続き、職員の健康保持に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

○本村伸子

こうした分析もしっかりとせず、そして客観的な労働時間の把握もせず削減というのは本当におかしいということを指摘をさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。

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参考資料

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