もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2024年 5月 13日 第213国会 法務委員会

宮城で公聴会

議事録

○本村伸子 
日本共産党の本村伸子と申します。
今日はお忙しい中、貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。
私は愛知県の豊田市出身でございまして、愛知県というのは外国人技能実習生が一番多い県となっております。
そこで、私が、最大手の企業の下請中小企業の方からお話を伺ったところ、やはり下請単価がどんどん引き下げられる中で、安い労働力というところで国籍がシフトしていったというのが現実に起こっていることです。
今回の育成就労に関する法律だけでは、日本の課題、地域の課題、賃金が上がらないという低賃金傾向というのは解決できないのではないかというふうに考えております。
そこでお伺いしたいんですけれども、中長期に見た場合に、そもそも、人手不足になってきた原因をどのように考えているかということ、また、日本全体の賃金を引き上げていく、農業所得を引き上げていくということが課題ですけれども、やはり外国人労働者が低賃金というままでは、日本全体の賃金の引上げということが実現することが難しいのではないかというふうに考えております。その点について、四人の皆様に是非御意見を伺いたいというふうに思っております。

○佐野和夫さん

農業現場の人材がなくなったというものは、一番は、労働に見合う収益がないということ、つまり、生産物の価格が転嫁されていないというのがずっと続いているということが一番である。今まさに価格転嫁ということで、我々も運動の柱にしております。
やはり、その対価というものをしっかりと生産物に組み入れていただいて、再生産できる体制づくりというものをしっかりと取ることによって、後継者も農村地域も潤って、やはり、活性化が成り、人材もそこに育っていくというふうに思っておりますので、そういうところで、これ以上の農村人口、農業者の人口を減らすことがないようにしていただきたいというのが一番です。

○千葉憲治さん

私ども、もう二十年間実習生の事業をやっておりますが、一度もそういうふうに安くやった、金額が低いというときはありませんでした。
以上です。

○須田直樹さん

人手不足という問題は、本当に人口構造と大きく関係あるので、ひとえに、そんな簡単に解決する問題ではないと思うんですけれども、外国人の待遇が低いというか、日本人の待遇も同様に低いというところがあるので、これはどっちかが、外国人を上げれば日本人が上がるという話でもないと思うので、どうやって賃金を上げていくかと、今、国家的に取り組まれているところだと思います。
ただ、相対的に見て、人手不足、その中で、外国人というのは日本人より採用しやすい環境がもし今回の制度改正で生まれたとすれば、相対的に外国人のステータスはどんどん上がっていくんじゃないか、市場原理で上がっていくんじゃないかなとは思っています。
あと、一方で、再三言うんですけれども、やはり、経営者のモラルがこの数十年で大分、ちょっと狂っているというか、独り占めしていいみたいな風土は間違いなく生まれていると思うので、先ほどの人権教育じゃないですけれども、そういったところを、昔ほどにならなくても、独り占めみたいな感覚をどうやって変えていくかというところが全てに影響しているのかなとは思っています。

○坂本恵さん

ありがとうございます。
二〇一八年の十一月、衆議院の法務委員会で、自民党の方から質問というか意見がございました、本会議で。外国人労働者の賃金が低いということは、日本人雇用者の賃金上昇を抑える効果を果たしてしまっているのではないかという御指摘をいただいて、私も本当にそういうふうに思っている
んですけれども。
やはり、本村委員が最初御指摘いただきましたように、下請単価の問題にかなり関わってくるのかなと思うんです。
私は、福島で縫製の実習生、本当に三十人ぐらい関わりましたけれども、働いている会社も最低賃金の半分ぐらいしか払わなかったりとかというケースが幾つもあったんです。監理団体がよくないと言ってしまえばそうなんですけれども、監理団体は、下請単価をどんどん下げられていて、ぎりぎりの状態でやっているということを考えると、やはり、そういう中小企業をきちんと支援する在り方が必要なのかなというふうに思います。
人手不足の対策は、これは恐らくはっきりしていると私は思うんですけれども、やはり日本の少子化対策を根本的にやるということだと思います。
そういう意味では、日本の十五歳から六十五歳の労働力人口の中で外国人労働者が果たしているパーセンテージは、本委員会でもあったんですけれども、四%ぐらいなんですよ。恐らく、マックスで四%ぐらいです。だから、そのぐらいと言ってしまえばそのぐらいなんですけれども、そこをきちんと理解しながら、この育成就労制度の問題も、国会のこういう審議、地方公聴会、今日、とても大事な機会だと思いますけれども、やはり国民的理解を広げるということも必要かなと思います。
ありがとうございます。

○本村伸子

ありがとうございます。
先ほど水産加工の現場の方を見させていただきまして、東日本大震災で被災をして、それから本当に復旧復興ということで頑張っておられる、様々な、いろいろなものも抱えておられる中で、技能実習生の方々にも大変親切に対応されておられるわけですけれども、実習生の方にお伺いをしましたら、韓国に行きたいという声も多いのだというお話もありました。
出入国在留管理庁の方からその場で御説明があったんですけれども、韓国の方が賃金が高いというお話がありましたけれども、日本はなぜ韓国と比べてこれほど賃金が低くなってしまっているというふうにお考えなのかという点を、これは坂本先生に是非お伺いできればというふうに思っております。

○坂本恵さん

ありがとうございます。このお話をすると、またその話かとなるんですけれども、韓国は、二〇〇四年かな、雇用許可制を導入しましたよね。あれは、やはり根本的に、ポイントは、GツーGの関係に変えたということです。つまり、外国人の派遣受入れ、雇用、サポート、全部政府対政府でやるという形に決めましたので、完全ではないかもしれないんですけれども、その間に入るブローカーが、入る余地がなくなってきたんですよね。それと、違法な、いわゆるデポジット、保証金を取っている国からは入れないということを韓国は言って、ベトナムは一回それでアウトになって、しばらく入れることはできなかったんです。
だから、余計なバックマージンとかそういうものを払わなくてよくなった分、それを賃金に回すということはあり得るのかなと。私自身は、一つの参考にはなることかなというふうには思っています。
ありがとうございます。

○本村伸子

ありがとうございます。
先ほどお話を伺いました技能実習生の方々、インドネシアの方は四十万円借金をしてきた、ミャンマーの方は五十万借金を抱えておられるというお話でした。
受入れ企業の方は、その前に借金がたくさんになる、そういう送り出し機関では失踪も増えてしまうということで、現地に行って、借金をなるべく背負わないでいいようにということでいろいろ御努力をされて、送り出し機関も変えたというお話でした。
ミャンマーでいえば、かなり月給というのは低い地域だというふうに思うんですけれども、そういう中で五十万円の借金を抱えなければならないということで、送り出し機関に支払うお金が正当なのかどうかというのを、どこでチェックをすれば借金を減らせるのかという点を、是非、千葉参考人、坂本参考人に伺いたいというふうに思います。

○千葉憲治さん

今までやった中で、ある企業さんが、入国するときの費用、要するに日本に来る費用、また、入国先でどうしてもお金がかかるものは、勉強する費用なんですね、日本語を勉強させる費用、それから入国する飛行機代、それを全部会社が持ちます、それでいい人材を入れてください、そういう企業がありましたね。
一つは、そういう法則をつくるといいますか、方法を考えるというか、そういうことが一つあると思いますね。
以上です。

○坂本恵さん

ありがとうございます。
今日、こういう機会をいただけるということで、送り出し機関への手数料に関しても、いろいろ専門家の方などにも意見は聞きました。ですので、正確な根拠としてはなかなか示せないんですけれども、やはり入管の今日お示しさせていただいたこの統計は極めていいと思います。
これは、聞き取り調査で、二千五百人ぐらいの実習生から入管が聞き取って、この数字を出しておられます。ただ、領収書のことをお話ししましたけれども、ベトナムなんかだと、二回にわたって手数料を取る、一回目は領収書を出すんだけれども、二回目は領収書を出さないという話を伺いました。
いろいろ御専門の方に伺ったところ、送り出し手数料をゼロにしろと言うのはある意味簡単かもしれないんですけれども、先ほどのお話のように、実費はかかっているわけですよ。そこをちゃんと、実費は支払うというふうに考えた方が私はいいのかなと思っております。
ちょっと国によっても違うんですけれども、やはりベトナムが一番高くて七十万ぐらいなんですけれども、私の聞いたところでいうと、三、四十万が実費ではないかという話もございますので、これは二国間の話合いというか、やはりこれだけの調査をしていただいたので、実際の送り出し機関からもいろいろ話を聞いていただいて、ちょっと率直なところも聞いていただいて見極めるということでやっていただければ、大分前に進むのではないかなと思います。
ありがとうございます。

○本村伸子

今、坂本先生がおっしゃられた二国間の取決めなんですけれども、借金を減らしていくためにも、それ以外にもですけれども、どういった二国間取決め、覚書なのか協定なのかということも問題になるというふうに思いますけれども、それぞれ四人の皆様に、どういう点を入れてほしいという御要望があれば、是非お聞かせいただければというふうに思っております。

○坂本恵さん

先ほど申し上げた、送り出し手数料の関係でいうと、私自身は、MOCでわざわざ規定する必要はなくて、違法に、違法にというか、極めて高過ぎる派遣費用を取っている国からは入れませんよというふうに協議で言えばいいだけであって、MOCで記入いただくのであればそれでいいとは思いますけれども、そこまでしなくても、きちんとはっきり伝えていただければいいのではないかなというふうに、済みません、ちょっと現時点ではそのぐらいで。

○須田直樹さん

済みません、私も知見がなくて申し訳ないんですけれども、今回の法改正でも、その辺にどのくらいペナルティーとか基準が明確に設けられて、どの辺まで切り込んでいけるのかというところにかかっているのかなとは思っていたりしますね。
以上です。

○千葉憲治さん

二国間協定でやるというのは非常に難しいかなと思っていますね。今、税金関係の問題も、二国間協定ができるのが、中国と日本だけで二国間協定をやっていますけれども、ベトナム、ミャンマーとかは全然やっていませんので、二国間協定でそれをやるというのは難しいかと思いますね。
以上です。

○佐野和夫さん

やはり優良な送り出し機関を比較、検討しやすいような、そういうものを作り出すということが必要であると私は思います。

○本村伸子

ありがとうございます。
技能実習生や特定技能労働者で定着している受入れ企業の特徴などあれば、是非お伺いしたいというふうに思っております。各産業の構造的な問題も含めて、転籍をしないでいいような職場環境をいかにつくっていくのかということが必要だというふうに思いますけれども、その点で四人の皆様に是非お伺いしたいというふうに思っております。

○佐野和夫さん

 農業現場については、決して安価な労働力で受けているという認識は割とないんですね。結果的には、受け入れるためには結構コスト、様々なコストをかけて、しっかりとした賃金を払ってやっておりますから、かなり日本人と同等ぐらいの賃金も払いながら雇っているというのが現実的にあるというふうに思っておりますから、そういうふうな安価なというような感覚は今のところは持ち合わせていないのが現実であるというふうに思っています。

○千葉憲治さん

 基本的には、実習生は何のために日本に来ているのかということが、いろいろな審議の中でも欠けているものがあると思うんですね。
私たちが扱っている実習生は、ほとんど、お金が欲しくて日本に来ているんです。お金を稼ぎたいと思って日本に来ているんです。それで、あれをやっては駄目だ、これはやっては駄目だというような規制だけが多くて、実習生が本当に仕事をやれるものが、内容が少ない、今そういうことになっています。ですから、その辺を改革していただければいいなと思います。

○須田直樹さん

私も、継続して働かれている、技能実習生の方が生き生きと働いているところというのは、まず、日本人と同じく公正に待遇が、先ほど言ったように、公正といいつつ、全く最低賃金に近いところはあるんですけれども、とはいえ、時間外とかそういったところが公正に支払われている、プラス、かといってビジネスライクにすぎないというか、ある程度家族的な雰囲気もお持ちのところというのが、非常に生き生き働かれているというイメージです。

○坂本恵さん

ありがとうございます。
今日、千葉陳述人がおっしゃっていただいたとおりだと思うんです。
定着企業の特徴ですけれども、ちょっと抽象的な言い方になりますけれども、やはり外国人の労働者の方に敬意を持って接するかどうかというのはとても大事なことだと思います。部屋に入るときだって、きちんとノックして、入っていいと聞けばいいし、震災で逃げるときは、会って、避難したいですかということを必ず意思確認をする。転籍先を探すときは、石川県は九百三十三円だけれども、千葉県はこれぐらいの給与で、これでも行きますかという。そういう、本人の意思を尊重し、敬意を払うということですね。
もう一つ、構造的に言うと、やはりそういう監理団体は、今日の萩協同組合さんもそうだと思うんですけれども、送り出し機関を選ぶんですね。やはり本国の送り出し機関でいいところにつながるんです。もう一つは、監理団体が実習生を送り出すときに、実習実施機関、会社を選ぶんです。うちは、あなたの会社がこうこうこういうことできちんと対応するのであれば送り出しますよということで、送り出し先を選ぶんですよね。その努力は本当に大変な努力だとは思いますけれども、実際そういうことをやられている監理団体もございますので、そういうことを是非広げていただけるといいのかなというふうに思います。
ありがとうございます。

○本伸子村

貴重な御意見を本当にありがとうございました。

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