もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2024年 4月 5日 第213国会 法務委員会

「面会交流」巡り 子の安全 最優先に

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「面会交流」巡り 子の安全 最優先に 2024.4.5

議事録

○本村伸子

日本共産党の本村伸子でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
子供の安全、人権、最善の利益についてお伺いをしたいと思います。
試行的面会交流は、既に家庭裁判所の現場では行われておりますけれども、試行前の子供の意向、心情に関しては、どのような調査、配慮がなされているか、まず最高裁、お示しをいただきたいと思います。

○馬渡最高裁判所長官代理者

お答えいたします。
試行的面会交流を実施するに際しましては、調停委員会として、子の安全、安心を最優先に、子の利益に反する事情がないか、子の利益の観点から試行的な面会交流が相当であると言えるかなどを検討いたします。
これらの検討のためには、調停期日における当事者双方からの事情聴取のほか、調停委員会の判断により、家庭裁判所調査官が父母双方の意向調査を行ったり、子の意向や心情の調査を行ったりしています。
こうした事情聴取等の過程において、例えば、同居親の心身の不安や、別居親に対する子の拒否的な心情などを把握した場合には、そうした状況や事情の把握に努めるとともに、当事者双方と子のためにそれぞれが配慮すべきことなどを検討して、必要な働きかけを行って、同居親の不安の低減等ができるかどうかを見極めます。その結果、試行的な面会交流を実施するための環境が備わったと言える場合に、試行的面会交流を実施しているというところでございます。

○本村伸子

実際にやられている方のお声を聞いてみましたところ、子供さんが強く面会を拒否しているということを伝えても、実際にはやるということになり、試行的な面接の場で、三十分間あ
ったそうですけれども、ずっと沈黙の時間が続いたと。子供さんは、ずっと拒否の姿勢を示したということだったそうです。その後なんですけれども、子供さんが通う通所、小学生が通う通所のところで、ふだんない乱暴な行動が最近急に増えているけれども、何かありましたかというふうに言われたそうです。子供にとっては、すごくストレスだったのだというふうに思います。
乳幼児から思春期の精神医学の学会ですけれども、一般社団法人日本乳幼児精神保健学会の二〇二二年の六月二十五日の声明なんですけれども、そこでは、今日ちょっとお配りをできていないんですけれども、大臣には渡してほしいということで法務省にお願いしたんですけれども、臨床現場では、家庭裁判所で面会交流を決められた子供たちが、面会交流を嫌悪し、面会をめぐる別居親との紛争にさらされ、あるいは過去のトラウマからの回復が進まず、全身で苦痛を訴え不適応を起こして、健康な発達を害されている事例が増えているというふうに書かれておりますけれども、この点は認識をされておりますでしょうか、最高裁。

○馬渡最高裁判所長官代理者

お答えいたします。
今委員が読まれた文献については承知しておりませんが、先ほど申し上げたとおり、双方の親の子に配慮する姿勢や、子の意向、心情等を慎重に考慮した結果、父母の紛争下に置かれる子の負担や、別居親と子との関係がかえって悪化する可能性等に照らして、試行的な面会交流を実施するための環境が十分に備わっているとは言えないような場合には、その実施を見送る結果となることがあります。
一方で、安全、安心の点を含め子の利益に反する事情がないか、子の利益の観点から試行的な面会交流の実施が相当と言えるか等を検討した上で、試行的な面会交流を実施するための環境が備わったと言える場合には実施することができるときがあると思われます。
このような考え方で実務を運用しているというところでございます。

○本村伸子

健康な発達を害されている事例が増えているということを、学会のそうした見解を重く受け止めなければいけないというふうに思います。
先ほど、試行的な面会交流の後に、ふだんない乱暴な行動が最近急に増えているという指摘があたというふうなお話を伺ったわけですけれども、この学会の声明の中には、面会交流前後の情緒、行動、身体症状ということで、かんしゃくですとか、恐怖、怒り、乖離ですとか、いろいろあって、乱暴、お漏らしですとか、睡眠過少過多等は、面会交流が子供に過大なストレスを加え、心的外傷、トラウマをもたらした症状として出現している疑いがあり、軽視してはならないというふうに書かれております。
子供の意思に反して無理やり行かせ、子供につらい思いをさせることがあってはならないと思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。最高裁。

○馬渡最高裁判所長官代理者

先ほど申し上げたところと重なりますが、父母の紛争下に置かれる子の負担というのは、慎重に見て、負担をかけてはいけないということは、その意味で委員の御指摘のとおりだと思っております。

○本村伸子

それで、子供の意思を尊重するということが非常に重要だということでございます。とても丁寧で専門的な子供へのケアも必要だというふうに思います。
今の家裁の体制では、現場の調査官が幾ら頑張っても難しい現状がございます。先ほども、少し精神医療という点でお話がありましたように、特にDV、虐待が疑われるケースですとか、子供が嫌がるケースなどは、やはり、精神医学、あるいは児童心理司、こういう専門家にまず子供の意思を確認する、司法の判断に先行させるということが必要なのではないかというふうに思いますけれども、大臣と最高裁、お願いしたいと思います。

○小泉国務大臣

子供に接する際に、その専門的な知識をもって接し、また、子供の本当の意味での声、コミュニケーションを取れる、それは重要なことであることは間違いないと思います。
ただ、それを今の裁判所の仕組みの中でどういうふうに実現していくのか、これは少し検討を要する点が幾つかあると私は思います。

○馬渡最高裁判所長官代理者

家庭裁判所では、家事事件手続法に基づいた手続の中で事件処理をしていくというわけでございますけれども、家事事件手続法第六十五条、二百五十八条一項で調停事件に準用されておりますが、この規定に基づいて、家庭裁判所や未成年の子がその結果による影響を受ける事件におきまして、適切な方法により子の意思を把握するよう努めており、その方法の一つとして、専門知見、専門的な知識を持った家庭裁判所調査官の活用というのも行っているところでございます。

○本村伸子

それが不十分だということなんですけれども。
大臣に後で法務省の方から届くというふうに思いますけれども、この日本乳幼児精神保健学会の離婚後の子どもの養育の在り方についての声明を是非読んでいただき、最高裁にもそして法務省にも、それを踏まえた施策を科学的な知見で実行していただきたいというふうに思います。そこには、現在の司法制度において軽視されている科学的、実証的な視点を反映させてほしいのだということを、日々、面会交流後の子供たちを見るなどしているその学会の皆様からの大事な大事な提言だというふうに思いますので、是非反映をしていただきたいと思います。
面会交流に関わりまして、資料一で出させていただいておりますけれども、その下の方の記事でございます。元夫のDV被害で離婚をしたケースで、親権は母親、復縁を迫る元夫は娘さんとの面会交流を家裁に申し立てた、女性は必死にそろえたDVの、もう本当に半年間かけて何とか少しだけ、証拠と言えるようなものをそろえて出した、でも、元夫側はこの写真は合成だということでDVは認めない、面会交流をめぐって、調停委員から、子供のことを考えたら父母なんだから連絡を取らないといけないのではというふうに言われ、元夫と仕方なくLINE交換をした、調停委員も交えた口頭のやり取りの中で面会交流の実施が決まった、元夫と四歳の娘さんとの面会を始めた最初の日に娘さんが殺害をされ、そして元夫も自死をしたという事件でございます。これは何回もこの委員会でも紹介をされているというふうに思います。
このほかにも、岡村参考人が資料十二で出していた信濃毎日の記事、今日は出しておりませんけれども、記事ですけれども、DVで離婚、調停で家裁が関わって面会交流、そして、一緒にお風呂に入らせた、性暴力と発覚して家裁が調査に入って間接交流になったという記事がございました。私は、この記事を見て、DVがあった、そして、父親が子供に性加害をしても、それでも間接交流で関わらないといけないのかと私は暗たんたる気持ちがいたしました。
これまでの家庭裁判所の調停、家庭裁判所で面会交流を決めるときに、そういうときに、その後殺害ですとか性暴力など重大事件に関し、法務省や最高裁はどういうふうに検証し、方策に生かしてきたのか、その点をお示しをいただきたいと思います。

○小泉国務大臣

これまでに親子交流中に殺人などの痛ましい事件が起きたことがあることは、報道を通じて承知をしております。こうした事件等について、法務省において網羅的に調査、検証したことはないものの、法制審議会家族法制部会では、このような事件があるとの認識の下で安全、安心な親子交流の在り方についての議論が行われてきたものと認識しております。
本改正案においても、親子交流の実施に当たって安全、安心を確保する観点からの規定も盛り込んでおります。例えば、親子交流の試行的実施については、子の心身の状態に照らして相当ではないと認める事情がないことをその要件とする、こういった規定も盛り込んでいるところでございます。御指摘を踏まえて、なお注意深く現状を把握し、また問題意識を持ち、取り得る対応があれば取っていきたいと思います。

○馬渡最高裁判所長官代理者

お答えいたします。
家庭裁判所に係属する事件に関して重大な危害が生じたような場合におきましては、当該家庭裁判所において、関係職員や関係者から事情を聴取するなどして、その結果の教訓を得るように努めることも必要に応じてしているところでございます。
最高裁としても、面会交流事件について、安全、安心ということが最も重要であるとの認識の下、様々な職種の研修等の場におきまして、まずは、現実に、委員御指摘のような事件が発生していることを繰り返し伝えてきておりますし、これとともに、実際の事故が発生した家裁における振り返りの結果から得られた教訓を共有することを継続的に行うなどしてきているところです。このようなことは、親子交流において、安全、安心を第一に考える現在の実務の運用につながってきているものと考えているところでございます。
最高裁といたしましても、今後とも、適切な審理運営がされるよう、家庭裁判所に対する適切な支援に努めてまいります。

○本村伸子

ほかの事件もございます。
面会交流中に性虐待が起きた事例に関して、最高裁に上げるように担当弁護士は言っているというふうに思いますけれども、最高裁にはそうした事案が幾つぐらい上がっているのでしょうか。そうした事件や懸念がある事案で、面会交流の決定の決め直しというのは何件ぐらいあるのか、調査をしているのかという点、そして、もししていないのであれば、調査をして、検証して、教訓を導き出すべきではないかというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。

○馬渡最高裁判所長官代理者

重大な事案が起きたときには、必要に応じて、最高裁にも報告が上がってきますし、まずは、当該家裁においての検証ということになっていくと思います。
今委員の御指摘の点については、その必要性を含めて検討したいというふうに考えます。

○本村伸子

お伺いすると、家裁での検証ということですけれども、第三者性はないわけです。やはり、第三者性のある検証委員会などで検証を行うべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○馬渡最高裁判所長官代理者

繰り返しになりますけれども、まずは、当該家庭裁判所における検証、さらに、そこの関係職員や関係者からの聴取というのが基本になろうかと思います。

○本村伸子

 こういうこともまだまだ十分共有していない中で拙速に進めるというのは、やはり子供の命や安全に関わることですので、やはり慎重の上にも慎重にやらなければいけないというふうに思っております。
それで、水曜日の参考人質疑では、諸外国の状況を検証する必要があるということで、斉藤参考人が言われました。そのときにも、参考人質疑のときにも指摘をさせていただいたんですけれども、資料の二、御覧いただきますと、二〇一八年、アメリカの下院、上院の決議の資料、和訳と英語で出させていただきました。
そこの②の、一番下のところに書いてあるんですけれども、段落に書いてあるんですが、米国では二〇〇八年以降、少なくとも六百五十三人の子供が、離婚、別居、監護権、面会交流、養育費などの手続に関与した親によって殺害されており、その多くが、監護親の反対を押し切って家庭裁判所が面会交流を認めた後に殺害されたものであることが分かっていると分析し、その次のページになるというふうに思いますけれども、下院は決議する、上院もこれに同意するということで、議会の意見は次のとおりである。(一)子供の安全は、監護権及び面会交流についての司法判断における最優先事項であり、裁判所は、ほかの最善利益要因を評価する前に、まず基本的な配慮事項として、安全上のリスクやドメスティック・バイオレンスの主張を解決するべきであるというふうに書かれております。
他国の状況も分析して、虐待やDVの被害を受けた子や親の安全が最優先に考えられるような対策を取るべきじゃないかというふうに考えますけれども、これは法務大臣と最高裁にお願いしたいと思います。

○小泉国務大臣

親子交流の実施に当たっては、その安全、安心を確保すること、これが重要であると認識をしております。ただ、個別の事案において親子交流を実施する旨を定めるかどうかは、それぞれの事案における具体的な事情を踏まえて、家庭裁判所において適切に判断されるべき事項であるため、法務大臣として具体的にコメントすることは差し控えたいと思います。
その上で、一般論として申し上げれば、家庭裁判所においては、親子交流の安全、安心を確保するとともに、子の利益を確保する観点から適切な審理が行われることが期待されます。
他国の状況の分析でありますけれども、これまでも法務省は、必要に応じて外国法制等の調査を行ってまいりました。今後も、必要に応じ、適切に対応してまいりたいと思います。

○馬渡最高裁判所長官代理者

離婚調停事件や面会交流事件などの家事事件につきましては、子の利益を最優先に考慮して判断されているものと承知しております。
裁判官を始めとする関係職員は、家庭裁判所調査官等が子の利益の判断に資する事実の調査の方法及び分析、評価の在り方について行った研究、こういうのがありますが、この研究を参考にするなどして研さんを深めております。それらの研究結果においては、海外における知見等も引用されているものと承知しております。
その上で、委員御指摘のDVや虐待といった安全、安心に関する事情は、面会交流事件等において最優先に考慮されるべきものであるとして現在運用されているものと承知しているところでございます。

○本村伸子

面会交流中の子供たちが命を落とすケース、諸外国のケースの分析について、資料を全部、最高裁も法務省も出していただきたい、次の質疑の前までに出していただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。

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関連資料

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参考資料

20240405 法務委員会 配布資料

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