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共同親権 子の意見保障不十分 表明権を明記せよ 2024.4.9
議事録
○本村伸子
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、子供の意見表明権に関してお伺いをしたいというふうに思います。
参考人質疑の中でも参考人の方から修正の提案が出されましたし、また、立憲民主党の方からも今修正の提案がされております。そして、私どもも、その点を強化するということで、今日、それに対する修正ということでまたお願いをしているところですけれども、両親の離婚というのは子供の人生にとって一大事だということで、子供の利益、子供の最善の利益を判断するに当たって、親権、監護、面会交流、養育などを決めるあらゆる段階で子供の意見を聞くことが不可欠だというふうに私どもは考えております。
是非、改めて、子供の意見表明権の保障を法案に本来入れるべきだったんじゃないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣
子の意見聴取、これは現行の家事事件手続法において規定が設けられております。また、本改正案においては、父母が子の人格を尊重するべきこと、これを明確化していますが、子の人格の尊重には、子供の意見あるいは意向等が適切な形で考慮され、尊重されるべきであるという趣旨も含むものでございます。
一方で、これに加えて、子供の意見表明権を民法上明文化することについては、法制審家族法制部会において、離婚の場面で子に親を選択するよう迫ることになりかねず、かえって子供の利益に反するとして、慎重な意見が多く出されたわけでございます。
そこで、本改正案では、子の人格の尊重に加えて、子の意見表明権を明文化することはしておりませんが、子の人格の尊重には、子供の意見、意向等が適切な形で考慮され、尊重されるべきであるという趣旨を含んでいるものと考えております。
○本村伸子
子供の意見を丁寧に聞く、意思や心情を丁寧に酌み取るというプロセスを大事にするということが必要ですし、それに対していろいろ判断があると思いますけれども、それをちゃんと子供さんに返していくという一連のプロセスも大事なんだということが参考人の中からも強調されたというふうに思いますけれども、一点を取って言うのではなく、丁寧なプロセスこそ必要なのだというふうに思っております。
先ほども大臣から、家事事件手続法の中には、家事審判の手続における子の意思の把握等ということで規定がございます。それで、現状をまず共有したいというふうに思うんですけれども、離婚時の親権、監護、面会交流、養育費などの判断に関し、子供本人の意見聴取、調査官の関与はどのくらい今行われているかということで、これは最高裁にお尋ねをしたいと思います。
できれば、十五歳以上と十五歳未満ということで、十五歳を一つ強調されている法文などもございますので、是非その点、数字をお示しをいただきたいと思います。
○馬渡最高裁判所長官代理者
お答えいたします。
令和四年に未成年の子を対象として家庭裁判所調査官に対する調査命令が出された件数は、各裁判所からの情報提供による実情調査の結果に基づく概数としてでございますが、離婚調停を含む夫婦関係調整調停事件におきましては千六百五十六件、離婚訴訟を含む人事訴訟事件では六百十件、監護者指定の調停、審判事件では合わせて二千七百四十二件、子の引渡しの調停、審判事件では合わせて二千三百三十九件、面会交流の調停、審判事件では合わせて五千六十六件でございます。
また、十五歳以上、未満というふうな子の年齢に応じた調査件数に係る統計は取っておりませんので、お答えは困難でございます。
○本村伸子
今数字をいただいたんですけれども、その母数となる数字を言っていただきたいんです。今のは意見を聴取した数字だというふうに思いますけれども、その母数についてお示しをいただきたいと思います。
○馬渡最高裁判所長官代理者
今申し上げた調査件数とあと事件種別ごとの事件数、これについては統計の取り方が異なっておりまして、割合についてはお答えすることはできないというところでございます。
○本村伸子
面会交流でも五千六十六件しか子供の意見は聞いていないということなわけです。ですから、まだまだ全く不十分であるということが分かるというふうに思います。
子どもの権利条約の四大原則の一つとして、子供の意見表明権、この保障があるわけですけれども、これはこども基本法にもしっかりと位置づけられております。
家事事件の手続に関しても、子供の意見表明権があらゆる段階で保障されなければいけないというふうに思っております。
こども庁も強調しておりますけれども、保護者の意見を聞いたからよしとしてはいけないんだと。子供本人から意見を聞くことの重要性、低年齢の子供さん、声を聞かれにくい子供さんということでこども家庭庁さんも配慮をしているんですけれども、声を聞かれにくい子の意見表明権も保障することの重要性も書かれているわけですけれども、これはこども庁にお伺いしたいというふうに思います。この点、この重要性をどういうふうに考えているか、お示しをいただきたいと思います。
○髙橋政府参考人
お答え申し上げます。
こども基本法におきましては、全ての子供について、その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会が確保されることが重要であることを、子供施策の基本理念として規定してございます。
先生からも御指摘ございましたとおり、一般的に、子供の意見を聞き、政策に反映することは、子供のニーズ等を踏まえることができるほか、子供の主体性を高めることにもつながり、こどもまんなか社会をつくっていく上で重要であると考えているところでございます。
○本村伸子
子供の中でも、声を聞かれにくい子ということで強調をしている点もあるかというふうに思いますけれども、声を聞かれにくい子という点で、どういう子がいるかですとか、どういう点に気をつけたらいいかという点もお示しをいただければというふうに思っております。
○髙橋政府参考人
お答え申し上げます。
先般、こども家庭庁といたしまして、こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドラインというものを策定いたしました。
この趣旨というものは、個別の手続というよりかは、そのプロセスですね、一般的なプロセスについて考え方をお示ししたものでございまして、あとは、それぞれのケースに応じて、このガイドラインなども参考にしていただきながら、子供の意見を適切に聴取していただければというふうに考えているところでございます。
○本村伸子
済みません、私がお伺いしたかったのは、声が聞かれにくい子というのが、まだ一般的には理解が深まっていないかなというふうに思うので、どういう子かという子をお示しをいただいて、その重要性についてお示しをいただきたいと思っております。
○髙橋政府参考人
具体的に、どのような子がなかなか声が聞かれにくいかというところにつきましては、それぞれのケースごとによってあるかと思いますが、こども家庭庁といたしましては、いずれにいたしましても、全ての子供について適切にその意見を聞くことが大事だということで考えているところでございます。
○本村伸子
全ての子供から意見を聞くことが重要なんだということで、子供にとって一大事である離婚の面会交流、親権、監護、こういう部分でもしっかりと子供の声を聞くことが必要なんだということでございます。
両親の離婚という一大事で子供の意見を聞くこと、そして低年齢の子、声を聞かれにくい子、意見表明権を保障するべきで、今、まだ全く不十分な状況を数字として聞いていただいたと思うんですけれども、その点、全ての子供から意見を聞いていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣
二つ問題があるんですね。一つは、言語的に表現がなかなか難しい子供の意見をどうやって聴取するか、また、全員から声を聞くべきである、そういう御議論もあるわけです。
まず、言語的に表現することが十分できない子については、家庭裁判所の調査官、これが介添えをして、子供の状況を調査し、子供の認識、こういったものを把握するという仕組みが今稼働しております。
また、全員から声を聞く、これも必要なことかもしれません。まず、我々は、子供の人格尊重ということを今回中心に据えて、そして、その中に、子供の意見を聴取する、子供の意見も尊重する、そういう趣旨をここに込めて運用をしていかなければならないと思っています。
したがって、この趣旨が行政各分野を含めて国民にも理解されていくことが重要である、そのように思います。また、そういう努力をしていきたいと思います。
○馬渡最高裁判所長官代理者
裁判所の立場からお答えいたします。
家事事件手続法六十五条、二百五十八条一項で調停事件にも準用されておりますが、この規定に基づきまして、家庭裁判所は、未成年の子がその結果により影響を受ける事件におきまして、適切な方法により、子の意思を把握するように努めるものとされているところ、調停委員会等において、その事案に応じた適切な方法により、子の意思を把握し、審理運営に当たっているものと承知しております。
その上で、子の監護権や親権、面会交流等、子をめぐる紛争のある事案におきましては、子の利益を適切に考慮するために、事案の必要、また御指摘のようなお子さんの状況も踏まえつつ、必要に応じて、家庭裁判所調査官が行動科学の知見等を活用して適切に関与しているものと承知しているところでございます。
○本村委員 適切にとよく答弁されるんですけれども、しかし、先ほどもお話がありましたように、面会交流でも子供さんに意見を聞かれたのは五千六十六件ということで、まだまだ全く不十分だというふうに思います。
この法案には人格の尊重ということが書かれているんですけれども、これで改善するわけですね、大臣。
○小泉国務大臣
例えば親権者を変更するような手続の場合、子供の人格尊重権というのがありますので、子供がこちらの親を親権者にしたいという強い声があれば当然それは聞き入れられることになるというふうな形で、この趣旨がしっかりと生かされていけば、多くの子供の意見を徴することが可能になると思います。
○本村伸子
それで、一人一人の子供の声を大切にするという点で、私の地元で、全国各地であるわけですけれども、性虐待がございました。子供への性虐待です。それで、この性虐待に関しまして、早期に子供のSOSをどうやってキャッチをすればいいのか、どうやって早期に保護をすればいいのかということを考え続けてまいりまして、そして、児童相談所の所長さんにも御相談したことがございます。この点では、どうやったら早期にキャッチをできるのか、SOSを酌み取ることができるのかということをお伺いしたときに、子供の声をじっくり聞くことが必要ですというふうに言われました。
例えば面会交流の点でも、先ほど、まだ五千幾つだというふうに申し上げまして、先週も、面会交流のときに性虐待があったケースの事例を申し上げましたけれども、子供の声を聞かずにどうやってその点で早期にキャッチできるんでしょうか。面会交流の点でも、性虐待のケースを取り除くために、声を聞かずにどうやってキャッチするんでしょうか。
○小泉国務大臣
そのために、子供の人格尊重ということが我々の法案の重要な趣旨になっているわけであります。子供の人格の中には、子供が表明する意見、あるいは話をすること、そういったことが全部含まれておりますので、そういうものをしっかり受け止めていくということが可能になる、そのように思います。
○本村伸子
是非、全ての子供たちの意思や心情の尊重という点を重視、最重要ということで位置づけていただきたいということを重ねて申し上げたいというふうに思います。
それで、子供の声をもっと聞いていくためには、家庭裁判所の人的、物的体制の増強というのがどうしても必要になってまいります。裁判官、調査官の大幅増員も必要ですし、特にDV虐待ケースでは、児童精神科医ですとか児童心理司などの専門家による子供の意見の確認ということも本来は義務づけるべきだというふうに思っております。三日の参考人質疑の中でも、家庭裁判所の人的、物的整備というのは必須であるということが明らかになりました。
家庭裁判所に関しまして、予算、人員をどういうふうに充実していく計画にあるのかという点を最高裁にお伺いをしたいと思います。
○小野寺最高裁判所長官代理者
お答えいたします。
裁判所といたしましては、これまでも、適正かつ迅速な事件処理を安定的に行うために、必要な人的、物的体制の整備及びこれに必要な予算の確保に努めてきたところでございます。
例えば裁判官につきましては、平成二十五年以降は、民事訴訟事件の審理充実を図るほか、家庭事件処理の充実強化を図るために、事件処理にたけた判事の増員を継続的に行ってまいりました。また、各裁判所におきましても、家事事件を担当する裁判官等を増員するなど、事件数増も見据えて、家事事件処理のために着実に家裁の体制を充実させてきたところでございます。
本法案により家族法が改正された場合におきましても、裁判所に期待される役割を適切に果たせるよう、引き続き、必要な体制の整備及び予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○本村伸子
一般論でいつもおっしゃるわけですけれども、家庭裁判所の充実に関しては、数百人規模の裁判官の拡充ということや、調査官も大幅に増員しなければならないと。参考人質疑では二倍、三倍でも足りないんだというお話もございました。是非、こういう点も含めて、裁判所の人員や物的整備、この点を充実させていただきたいというふうに思っております。
次に、協議離婚のケースのことでお伺いをしたいというふうに思います。
離婚後共同親権制度がもし導入される場合、父母どちらか一方が共同親権にしなければ離婚に応じないと強く主張した場合、もう一人の親が、離婚したい、だけれども共同親権にしないと合意できないということになり、合意せざるを得ず、そして外形的には父母の協議により共同親権を選択したというような、外形的にはそういうケースになるということが十分想定されるのではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣
協議離婚の際、御指摘のようなDVなどを背景とする不適切な形での合意によって親権者の定めがなされる場合には、子にとってそれは明らかに不利益となるものであります。それを是正する必要があります。
そこで本改正案では、家庭裁判所の手続による親権者の変更を可能とするとともに、その際に家庭裁判所が父母の協議の経過その他の事情を考慮すべきことを明確化することとしております。
○本村伸子
もう一回繰り返しお伺いすることになると思いますけれども、DV、虐待ケースにもかかわらず、外形的に合意型の共同親権となる危険性を、協議離婚の場合そういうケースが多々あるのではないかということが懸念をされております。むしろ、DV、虐待ケースこそ、加害者の離婚してほしいなら共同親権にしろという要求を被害者が断れないまま共同親権に合意するように追い込まれることになるのではないか、そうしますとDV、虐待から逃れることができなくなるのではないかという懸念が広がっておりますけれども、その点、大臣、どういう御認識でしょうか。
○小泉国務大臣
表面上の形の上での合意があったとしましても、その背景にある事情、そのお二人の置かれている状況を裁判所が見て、その合意がどういう形で、本当に真なる合意なのか、そういったことについても視野に入れた審判が行われることになりますので、形式上合意があればそのまま共同親権に行くというものでもないわけです、その逆もそうですけれどもね。その逆もそうですけれども、総合的に裁判所が判断をする形になると思います。
○本村伸子
そうしますと、離婚後に改めて単独親権への変更の申立てを余儀なくされると当事者の方の大きな負担になるのではないか、負担が強いられるのではないかというふうに考えますけれども、大臣、その点の御認識、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣
これは確かに、何もない状況と比べれば負担が増えるかもしれません。しかし、慎重に裁判所で判断をしていただくための手続は踏まなければいけないと思いますし、そういう形を取っていただくことができれば、適切な判断を裁判所が導く、それも可能になると思います。
○本村伸子
共同親権で単独行使した場合も訴えられるリスクがあるわけです。そうしますと、結局、弁護士費用などがハードルになり、経済力のない親の方が不利になる制度ではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣
本改正案が施行された場合、父母の一方が経済的な理由で不利益を受けることとなる、これは子の利益の観点からも適切ではないと考えられます。もとより、本改正案について、父母の一方が経済的な理由で不利益を受けることになる制度とは考えておりませんが、施行までの間に改正案の趣旨が正しく理解されるよう、適切かつ十分な周知、広報に努めるとともに、一人親家庭支援や裁判手続の利便性向上といった支援策や体制整備等の環境整備について、関係府省庁等と連携して取り組んでいきたいと思います。
○本村伸子
経済力のない親の方がやはり不利になるんじゃないか、様々裁判に申し立てないといけないということが多くなり、不利になるんじゃ
ないかという点は、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣
そのために、裁判制度の利便性向上ということを常に整えていく必要があると思います。
○本村伸子
それで、例えば、民事法律扶助の制度でいいますと、結局、立て替えて後で返すという制度でございまして、経済的に困難を抱えるシングルマザーの方々始め、経済的な困窮を抱える方々にはハードルが高いものに実際になっているということを参考人の方もおっしゃっておりました。
今の基準では、給付型のものを増やすですとか、そうしない限り、今ハードルがあるわけです。経済的な理由で泣き寝入りすることがないように、経済的困難を抱える方に、弁護士費用は公費でしっかりと持つ制度を創設するべきだというふうに思いますけれども、この点、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣
法テラスの民事法律扶助、これは今立替え制でありますけれども、給付制に、こういう御議論でありますが、本来当事者が負担すべき弁護士費用等を国民負担の下に置くということが必ずしも合理的であるかどうか、そういった観点からの慎重な検討も必要だと思います。
法務省では、法テラスあるいは日本弁護士連合会との間で、より利用しやすい民事法律扶助の在り方について協議、検討を行っております。
その中で、一人親の方が養育費を請求するために民事法律扶助を利用した場合には、償還等免除の要件を緩和するなどの運用改善、これを四月一日から解消したところでございます。
法務省としても、困難を抱えた方々が適切な支援を受けられるように、その必要性、これを十分把握した上で、十分踏まえた上で、引き続き協議を行い、検討も行っていきたいと思います。
○本村伸子
参考人の斉藤参考人も、弁護士費用を出す資金がなくなったらどうしたらいいのかという御不安の声があったと思いますけれども、先ほど議事録を読んでいただいたというふうにお伺いしましたけれども、大臣、斉藤参考人の声をどういうふうに受け止めたんでしょうか。
○小泉国務大臣
大変厳しい経験をされ、また、まだその渦中にいらっしゃり、また、経済的な負担感というものの中にもいらっしゃいます。何とか手を差し伸べてさしあげたいという思いはあります。
しかし、制度全体をつかさどる立場でございますから、国民全体の負担、そういったもの、あるいはほかの制度との公平性、そういったものも考えなければいけない、しかし、しっかりと胸に留めて取り組んでいきたいと思います。
○本村伸子
経済力のない親の方が不利になる制度に実際にはなっているというふうに思います。
やはり、このまま進めるのは駄目だということを強く申し上げ、引き続き質疑を続けたいと思います。
ありがとうございました。