もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2024年 5月 14日 第213国会 法務委員会

入管法改定案 当事者ヒアリングせず法相答弁「条文撤回を」

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入管法改定案 当事者ヒアリングせず法相答弁「条文撤回を」 2024.5.14

議事録

〇本村伸子

 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
昨日の地方公聴会、私は、宮城県に行かせていただきました。受け入れてくださった皆様に心からの感謝を申し上げたいというふうに思います。
地方公聴会で、坂本さんがこういうふうにおっしゃっておりました。渡航先を検討する場合、永住許可は重要な選択基準となっている、永住許可を不安定化する日本は、海外労働者にとっては更に魅力のない国となり、渡航先選択肢から外れる可能性がある、これは、中小だけではなく、大手企業にとってもダメージである、経済界の意見をもっと十分聞くべきだということもおっしゃっておりました。
この永住許可の問題について質問をさせていただきたいというふうに思っております。
まず厚生労働省に確認ですけれども、国民年金、国民健康保険料、国民健康保険税、全体の納付率についてお答えをいただきたいと思います。

○巽政府参考人

お答えいたします。
国民年金の保険料につきましては、令和四年度末における国民年金第一号被保険者の令和二年度保険料分の最終納付率についてお答えいたしますと、八〇・七%となっております。
また、国民健康保険の保険料、保険税につきましては、令和三年度の市町村における収納率は九四・二%となっております。

○本村伸子

ありがとうございます。
先日、出入国在留管理庁の次長から御答弁がありました、永住者の実子の永住許可を申請した子の扶養者の国民年金、国民健康保険税、保険料の納付率というのは、これは永住者全体を示すものではないということも強調させていただきたいですし、これは立法事実とは全くならない統計であるというふうなことも強調させていただきたいと思います。その上で、次長がおっしゃった一部の永住者の方々の納付率というのは、例えば、国民年金の保険料は全体と比べても納付率がよいということになっておりますし、国民健康保険料、国民健康保険税にあっても九九・二%が支払っているということで、全体と比べても納付率がよいということも強調をさせていただきたいというふうに思っております。
そのことは、大臣、お認めになりますねということ。この間の答弁、納付率はいいですね。

○小泉国務大臣

これは、永住者の実子の方が、その扶養者の国民年金等の納付が十分でない場合の比率でありまして、一般的な納付率のような性格のものではありません。しかし、一定数こういうケースがあるということがしっかり示されたわけでありますので、我々はそれに注目しているところであります。

○本村伸子

お答えになっておりません。入管庁が答弁した、一部の永住者の方の方が納付率はいいですね、事実として。これはファクトとしてお認めになりますね。

○小泉国務大臣

これは、永住者の実子の永住許可を申請したその子の扶養者の国民年金等の納付の話であります。特定の場合の話。ですから、比べる話ではないと思います。

○本村伸子

人権侵害の根拠としておきながら、その答弁はひどいと思いますよ。ファクトとして認めてくださいよ。

○丸山政府参考人

まず事務当局からお答えさせていただきます。
厚生労働省が公表している国民年金の保険料の最終納付率は、保険料の未納率を示したものではなく、納付対象月数に対する納付月数の割合として算出した納付率であると承知しております。
また、その数値に関しては、日本人と外国人、あるいは在留資格を区別して算出しているものではないと承知しております。

○本村伸子

ファクトとして、入管庁が答弁をした、一部の永住者の方の方が納付率が高い、よいということでございます。
そしてもう一つ、これは出産をされた方ということですのでそういう年代の方だというふうに思いますけれども、国民年金保険料の納付率について、全体の二十五歳から二十九歳、三十歳から三十四歳の納付率を、厚生労働省、お示しをいただきたいと思います。

○巽政府参考人

年齢階級別の国民年金の納付率につきましては、令和四年度末における令和二年度保険料分の最終納付率でお答えいたしますと、二十五歳から二十九歳までにつきましては約七二%、三十歳から三十四歳までにつきましては約七四%となっております。

○本村伸子

子育てをするような、出産をするような年代で示させていただいたんですけれども、その年代で比べても、かなり、入管庁が答弁をされた一部の永住者の方の納付率というのは物すごくいいということになってまいります。
そのことは、今回の法改悪の、永住許可の取消しの法改悪の立法事実にはなり得ないというふうに思っております。
もし、納付が未納になっているというのであれば、その背景には何があるのか。例えば、社会保険料に加入させるべきところを雇用主が加入させていないですとか、なかなか正規雇用になれないなどの問題はないか、お一人お一人、事情を伺い、その改善を考えていくことが共生社会のために必要ではないかというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。十一番になります。

○小泉国務大臣

そういう、未納に至る様々な生活の実態、また、その収入の減少、それがやむを得ないものであって、本人が納付する余裕があるのに故意にそれを支払わなかったのではなくて、やむを得ない事情があったということは当然勘案されるべきだと思います。

○本村伸子

今回、一部の永住者の方の納付率に関して答弁をしたんですけれども、じゃ、それが故意なのかどうかというのは調べていないということですよね。

○丸山政府参考人

お答え申し上げます。
あくまで、永住許可申請におきましては、ガイドライン上も、公的義務を適正に履行しているかどうかという観点から審査をしておりますので、その理由、背景等までは調査をしておりません。

○本村伸子

調査をしていないということ、これは西村智奈美議員も連合審査のときにおっしゃっておりました。
税金や社会保険料の滞納ということであれば、日本国籍の方々と同じように、督促とか、差押えですとか、行政処分ですとか、刑事罰で十分対応できるというふうに思っておりますし、また、滞納は、生活が困っている、様々困難を抱えているSOSだというふうにしっかりと捉えて、支援につなげるという自治体もございます。そういうことこそするべきじゃないんですか。

○小泉国務大臣

まず、いろいろなケースがそれはあり得ると思います。
許可のときだけ条件合わせをするような、許可を得てしまえばもう滞納に戻ってしまうような、そういうケースもあれば、頑張って働いていらっしゃるけれども、出産、育児というような事情の下で、十分な収入が得られない、結果滞納になっていくケースも種々あると思います。
だから、処分に当たってはそういう個々の事情を十分に適切に勘案しなければならないと思います。
それから、外国人材の方、永住者の方々は、納税者としての法的なポジションと、ステータスと、出入国在留管理上の許可を得た者という法律上のステータスを持っておられます。その両方についての措置が、税務上の問題であれば差押え、督促、そして、出入国在留管理上の手当てとしては、在留資格の変更、こういった措置を取るということが適切な法の執行だというふうに認識をしております。
○本村委員 私も、よく日本国籍の方から、日本人の方から、社会保険料の滞納の御相談を受けます。一生懸命何とか払おうとして、そのときは借金をして払うということがあるわけです。
そういう事情かもしれないわけですよ。そのこともしっかりと、永住者の方に関してもしっかりと見ていただき、それはSOSかもしれないという視点で、共生社会をつくっていくために大臣に力を尽くしていただきたいと思いますけれども、その点、いかがでしょうか。

○小泉国務大臣

そういうケースがあり得るということは、私も認識を同じくしておりますし、また、本日、先生、委員がそのことをこの委員会の場で鋭く指摘されたということも、これは議事録を通して様々な関係者にも伝わってまいりますので、しっかりとその点を踏まえて対応したいと思います。

○本村伸子

今回の立法事実はないというふうに思いますので、その部分はしっかりと撤回をしていただくということを求めたいというふうに思っております。
二世、三世の方のことについてお伺いをしたいんですけれども、日本で生まれ育った永住者の方、到底納得できないというふうにおっしゃっております。大学生の方からは、精神的につらい、寝られない、不安過ぎる、しんどい、こういうお声がございます。
二世、三世の方々まで永住許可を取り消すというのはあってはならないというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。大臣、お答えください、大臣。

○丸山政府参考人

委員長御指名でございますので、お答え申し上げます。
そもそも、永住者の在留資格は、御指摘のような永住者も含めて入管法による在留管理の対象であり、現行法上も在留資格取消し手続、退去強制手続の対象となっております。
その上で、今般の適正化は、適正な在留管理の観点から、永住許可後に故意に公的義務を履行しないなど、永住許可の要件を満たさなくなった一部の悪質な場合についてその在留資格を取り消すことができるとするものであり、日本で生活する大多数の永住者に影響を及ぼすものではありません。
また、在留資格を取り消そうとするときは、当該外国人が引き続き本邦に在留することが適当でないと認める場合を除き、法務大臣が職権により永住者以外の在留資格へ変更を行うなど、永住者の本邦への定着性に十分配慮したものとなっており、と考えております。

○小泉国務大臣

今御説明申し上げましたように、ごく一部の悪質な例を念頭に置いております。そして、定着性についても配慮をするべきだという判断をしております。永住者の本邦への定着性に十分配慮して、在留資格の変更を行う、そこに変更という一つのステップを置いているわけであります。
そういう方々が、法律をなかなか守っていただけない、非常に悪質な形で守っていただけないということに着目した、そういう制度でありますので、多くの通常の善良な外国人永住者にとって、これは大きな影響を及ぼすものではありません。そのことを周知していかなければならないとは思いますけれども、是非御理解もいただきたいと思います。

○本村伸子

大学生の方が、寝られないというふうにおっしゃって、つら過ぎるというふうにおっしゃっている、こういう声は、この方だけではなく、私は何人もの方々から聞いております。
そもそも、この永住許可の取消しというのは急に出てきた話なんです。多くの方々が所属をしている、そういう団体も、もう本当に急に聞いたというお話を伺っております。
この永住許可の取消しに関しまして、法案提出の立法事実、永住許可を受けた当事者の方々からのヒアリングというのはどういうふうに行われたんでしょうか、大臣。

○丸山政府参考人

お答え申し上げます。
立法事実とは、法律を制定する場合の基礎を形成し、かつその合理性を支える社会的、経済的事実などのことを申します。
育成就労制度の創設により、特定技能制度を通じて…………(本村伸子「当事者からのヒアリングのこと」と呼ぶ)分かりました。
失礼しました。また、永住許可に関する適正化の検討過程では、永住者本人へのヒアリングは実施していないものの、現行法の在留資格の取消しに加えて更に取消しを設ける必要があるのかなど、永住者の地位に与える影響を考慮すべきであるとの有識者からの御意見が示されていたこともあります。
したがって、法務省としては、そのような懸念があることを踏まえ、永住者の在留資格について一部の悪質な場合に取り消すことができるものとしつつ、その場合は原則として他の在留資格に変更するとして、永住者の本邦への定着性に十分配慮して、慎重に立案したものでございます。

○本村伸子

精神的につらい、寝れない、不安になる、そういうような立法をするのであれば、慎重にも慎重を期し、そして、当事者の方からヒアリングするというのは当たり前じゃないですか、大臣。

○小泉国務大臣

ヒアリングは実施していないというふうな、ただいま御説明をしましたけれども、関係する有識者からは御意見をきちっといただいておりますし、いただいた御意見を踏まえて、変更というステップを踏むという形を取ったわけであります。
繰り返しになりますけれども、普通に納税していただいている、通常に生活していただいてい永住者にとって、何も恐れることはありません。何も怖がることはありません。(発言する者あり)
ですから、悪いことをされる人たちがいるので、それをしっかりと除外……(本村伸子「現行法でもあるじゃないですか」と呼ぶ)ちょっとしゃべらせていただいていいですか。

○武部委員長

答弁中ですから、静粛にお願いします。

○小泉国務大臣

はい、お願いします。
そういう方々を排除するための法律なわけであります。そして、そういう方々がいると、国民から多くの誤解を招く、善良な方々も、真面目にやっている永住者の方々も非常に悪い印象を持たれてしまう、それを防止する必要があります。
ごく一部の悪質なケースに絞っているということを是非念頭に置いていただいて、そしてそれを周知しなければなりませんね。それは周知しなければならないと思います。まだまだそういう十分な情報がないために、不安を持っていらっしゃる方は大勢いると思います。それは私も分かります。ですから、こういう審議を通じて、また、法案を成立させていただけたとしても、その後もしっかりと周知、広報、理解を求めていく、まさに非常に重要なことだと思います。努力をします。

○本村伸子

当事者からもヒアリングを行っていないということで、ここの点も立法事実に欠いているというふうに考えますので、永住許可の取消しについては撤回をしていただきたいと思います。
そしてもう一つ。日本は、過去に戦争を起こし、不当な植民地支配を行いました。植民地支配によって日本国籍にされた方々がいらっしゃいます。そして、戦争が終わり、日本国籍ではなくなり、その後、引き続き日本に在留されている方については、植民地支配による深刻な人権侵害、歴史的な経緯、定住性に鑑み、法的地位の安定化を図るために、特別永住者として永住することができるようになりました。
特別永住者の方々と同じように、植民地支配の被害者であり、日本国籍であった被害者の方々の中で、終戦をし、そしてその後、一旦国に帰る、しかし、その後、朝鮮戦争などもあり、日本に来た、そういう事情じゃない、一旦帰っただけですぐに来たという方もいらっしゃいますけれども、特別永住者ではなく、永住許可というふうになっております。
こういう歴史的な経過からしても、植民地支配の被害者や家族に対して永住許可の取消しを行うことがあってはならないというふうに考えますけれども、大臣に見解を伺いたいと思います。

○小泉国務大臣

特別永住者については、今回のこのスキームからは外れています。外してあります。
それ以外の関係者の方という御指摘でありますけれども、しかし、そこは、もし悪質な納税、滞納があれば、それはやはり、公平性の原則に基づいて措置を取らざるを得ないということも御理解をいただきたいと思います。

○本村伸子

繰り返し申し上げておりますけれども、永住許可取消しの法案を通す立法事実は示されていないわけです。永住許可の取消しについては撤回をすることを強く求め、質問を終わらせていただきます。

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