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議事録
○本村伸子
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
今日は、京都弁護士会の意見書を資料として出させていただきました。「入管難民法に憲法及び国際人権条約の遵守等を明記する改正を求めるとともに永住者資格取消制度の創設に反対する意見書」です。ここでは、憲法違反のおそれがあるということも書かれております。
そうした人権に関わる重大な法案、重要広範議案でありながら、対政府質疑は十九時間半と、ほかの法案と比べても少ない時間で、今日採決しようとしております。もっと審議を積み重ねるべきだというふうに考えますけれども、委員長、お願いします。
○武部委員長
もう理事会にて今日合意がされておりますので、委員長の権限で審議を進めることは、これ以上することはありませんので、質問を続けてください。
○本村伸子
是非考え直していただきたいというふうに思います。
様々な論点がありまして、ずっと通告をしながら、時間がなくてできないという問題、今日もさせていただきたいというふうに思っております。
二国間取決めについてまず質問をさせていただきたいと思います。
先日も、技能実習生の方、二百万円の借金を負っている、百万円の借金を負っている、こういう事態をお伺いをしております。
技能実習生の方、今、解雇ということも相次いでおりまして、そして、事実上の強制帰国、こういうこともございます。巨額の借金を背負って、そして、日本に来たことによって、本人も家族も人生がめちゃくちゃにされる、こういうことを絶対に防がないといけないというふうに思っております。
そのためにも、労働者からいかなる手数料、経費を徴取してはならない、国内でやっていることを相手の国にも求め、それを二国間協定、協定として結んでいただきたいというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣
二国間協定、現行の技能実習制度における二国間取決め、この中で、送り出し国側の実施事項として、認定基準に基づいた送り出し機関の認定を行うこと等が定められておりますが、今後の新しい育成就労制度においては、こうしたMOCの内容を踏まえつつ、新たに、これに加えまして、送り出し機関の認定基準として、手数料の上限等に係る基準を遵守することや監理支援機関等への供応、キックバック等を行わないことなどを盛り込むことを検討しております。
また、MOCの実効性を持たせるための措置も考えております。一定期間の新規受入れを停止するといった措置も考えているところでございます。
○本村伸子
今の答弁ですと、これからの育成就労、実習生の今の段階でも、二国間協定、取り結んでいただきたいというふうに思っておりますけれども、今の大臣の答弁では、やはり、労働者から手数料とか経費を徴収すると。
日本では、日本の国内では徴収してはならないとなっているんですけれども、ほかの国には徴収していいということになりまして、結局、実質的にILOの百八十一条条約、これを違反をした状態を容認しているということになるんじゃないですか、大臣。
○丸山政府参考人
申し訳ありません。私の方からまずは答弁させていただきます。
委員の御指摘は、ILOの御指摘の条約を今回結ぶようなことを相手方にきちんとMOCで決めるべきではないのかということかとは思いますけれども、この条項につきましては、特定の条約を批准するか否かは各国が主権国家の立場からそれぞれ検討、判断されることを考えているため、御指摘のILO百八十一号条約の批准をMOC作成によって求めることは適当ではないと考えているところでございます。
○本村伸子
日本国の判断として、このILO条約を批准した国でないと駄目ですよという判断をしてほしい、そういう要求なんですけれども、大臣、お答えいただきたいと思います。
○小泉国務大臣
これは相手国から、技能実習生を送り出し、日本で受け入れてほしい、そういうニーズ、そういう考え方と、また、我が国の経済社会的なニーズ、それが合致している結果、進められているスキームでありますので、我々の方から、向こうの国境の中で行われる様々な取引、やり方について、こうしてくださいとかそういうことを言える立場ではないと思っております。
○本村伸子
やはり技能実習生の方、今からもやっていただきたいですし、育成就労の方々が、多額の借金を背負って、そして人生がめちゃくちゃになるということを絶対に防いでいただきたいからこそ、こういう質問をしているんです。先進国として、やはりそういう不幸なことを起こさせないためにも、責任を持って、そういうことを提案するべきじゃないですか。
○小泉国務大臣
実習生の方々にも、様々なケースがあると思います、様々な、我々が国内において、今回のスキームも含めて、なし得る法律上、制度上の努力、また執行上の努力、そういったものを総力を結集して、今おっしゃったような方が出ないように、やはり全力を尽くしていかねばならない、そのように思っております。
○本村伸子
是非ILO百八十一条条約を、毅然とした、そうした二国間協定を結んでいただきたいというふうに思っております。
次に、接待の問題についてお伺いをしたいというふうに思っております。
二〇二〇年の十月十七日、NHK、ETV「調査ドキュメント 外国人技能実習制度を追う」という番組を見させていただきました。日本の監理団体がベトナムの送り出し機関と思われる機関から性接待を受けていたという報道があり、その性接待の費用は結局技能実習生の負担に加算されているという報道がございました。
当時も私、出入国在留管理庁に対してこうしたことはやめるようにということを申し入れ、そして、ノー接待という宣言をしていくんだというような、単なる宣言で何の拘束力もないんですけれども、そういうことをやっていくんだというふうに言っておりましたけれども、やはり接待、賄賂の禁止、これは監理支援機関、送り出し機関、監理団体と送り出し機関双方にあるかもしれないんですけれども、そういうことは一切禁止をする、そして、接待費用を最終的に技能実習生、育成就労労働者に負担をさせることの禁止、これは二国間協定に必ず入れていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○小泉国務大臣
御指摘の接待の禁止、賄賂の禁止については、先ほども少し御答弁させていただきましたが、MOCの内容に適切な形で含まれるように検討していきたいと思います。
○本村伸子
必ず、接待、賄賂の禁止ということ、技能実習生の段階からやっていただきたい、今すぐやっていただきたいものですので、そして、接待費用を最終的に技能実習生そして育成就労労働者に負担させることがないように、進めていただきたいというふうに思っております。
次に、御相談を受ける内容として、出身国で説明をされた労働条件と日本に来た労働条件が違うということが問題になっております。
労働条件を母国語で明示をし、労働条件明示書類を技能実習生、育成就労労働者に渡すこと、そして、その出身国で母国語で示された労働条件を下回ることがあってはならないという二国間協定を結んでいただきたいと考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○丸山政府参考人
お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘がございました内容につきましても、今後、MOCの内容とするべきか否かにつきましては、送り出し等の適正化というMOCの趣旨を踏まえつつ、検討してまいります。
なお、委員御指摘の点につきましては、私どもがこういうことをきちんと説明して、それをきちっと守っていただくということは非常に重要だと思っておりますし、かつ、以前も御答弁もしておりますけれども、今後、やむを得ない事情による転籍のところを明確化する中にあっても、こういう事前の説明と、来てからの状況が違うではないかという点についても十分考慮していきたいと思っています。
○本村伸子
いや、転籍は何の保障もないから、こういうことも言っているわけでございます。
大臣、是非、その出身国の母国語で示された労働条件を下回ることがあってはならない、現地で説明されたものと日本で実際、これが乖離があってはならない、下回るものは駄目、上回るものはいいんですけれども、是非、その点、二国間協定に入れてください。
○小泉国務大臣
労働条件を母国語で明示し、労働条件明示書類を育成就労労働者に渡すこと、その出身国で示された労働条件を下回ることがあってはならないこと、これについてMOCの内容とするべく検討をしてまいりたいと思います。
○本村伸子
次に、これも相談の中であるんですけれども、相談や申告等をしたことによって不利益取扱いは絶対にあってはならないというふうに、出身国であっても絶対に不利益取扱いはあってはならない、これも二国間協定に入れていただきたいと思います。
○小泉国務大臣
これも同じく検討の対象としたいと思います。
○本村伸子
検討の対象というのは、やるということでいいんですか。
○小泉国務大臣
やるか、まあ、それは検討します。検討します。
○本村伸子
検討では。相談、申告したことによって事実上の強制帰国というのが実際に今あるわけです。それを絶対に防いでいただきたいと。これは、多額の借金を背負って、そして強制帰国させられたら、事実上、本当に人生がめちゃめちゃになってしまうわけです。
だからこそ、相談することによって問題が発覚するということで、これは日本社会にとってもかなりプラスだというふうに思います。不利益取扱いの禁止、これは是非二国間協定に入れていただきたいと思います、是非。
○小泉国務大臣
委員の御指摘、御懸念をしかと受け止めて、検討したいと思います。
○本村伸子
是非進めていただきたいと思います。
MOCとおっしゃっておりますけれども、法的拘束力のある協定にするということを求めたいと思いますけれども、どうぞ大臣、お願いします。
これは、次長の話じゃないですよね、大臣。(小泉国務大臣「法的拘束力」と呼ぶ)法的拘束力のある協定、協定。(小泉国務大臣「二国間で」と呼ぶ)二国間で。
○小泉国務大臣
まあ、御趣旨は分かりました。これは相手国のある話でございますので、相手国との議論、そういったものを経ての話になります。
そういう意味では、広い意味では検討対象にしたいと思います。
○本村伸子
今すぐやってほしいことなんですね。すぐやっていただきたいということを強く求めたいと思います。
そのほかにも通告をしておりますけれども、是非、私が示しました点を是非二国間協定の中に入れていただきたいというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○小泉国務大臣
今日の御指摘、様々いただきましたけれども、それらを含めて、しっかりと制度の適正を期するために検討したいと思います。
○本村伸子
時間がございませんので、次に、永住許可の取消し問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
大臣は有識者に話を聞いたんだという話も答弁ございましたけれども、そこで確認をさせていただきます。
第二十一回、第七次出入国管理政策懇談会議事録十二ページから十三ページ、ロバーツ委員の発言についてお示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人
お答え申し上げます。
お尋ねの発言につきましては、
永住者の現状について、コメントを述べさせ ていただきます。
四点ございます。まず、永住者はどういう存 在の方なのか考慮する必要があるということで す。永住権を持っている方は、厳格なスクリー ニングを経て永住権を取得した人ばかりで、生 活保護を当てにして永住権申請はしていません。 申請した時に、普通は五年間若しくは十年間滞 在し、全ての税金を払い続けてきた人ばかりで、 日本という国に投資した人たちです。
二番目に、永住権取得者は、長い年数を経て 国に税金を納めているので、切羽詰まってしよ うがないときに生活保護制度を申請するのは当 然だということです。
三番目ですが、永住権取得者はこの国に大変 大きな貢献をした、国にとって大事な存在です。 だからこそ、大事な存在として扱った方が適当 ではないかということです。うまくいく時だけ 歓迎をして、彼らの仕事の成果の一部を奪い取 り、厄介者になった時に永住の身分を取り消し て追い出すのは、今の入国管理の方向性に反す るスタンスだと思うし、不適切です。
四番目ですけれども、そういう厳しい政策を 決定する前に、少なくとも根拠のデータを見せ る必要があります。例えば割合、今の段階で永 住者のうち何%が生活保護をもらっているのか。 それから期間、どのぐらいの年月もらっているのかなど、つまり、国にとって経済的に大きな 負担だということを示さない限り、こういう政 策を設定するのはおかしいです。
以上でございます。
なお、ロバーツ委員の御発言は、生活保護の受給を念頭に置いて、永住者の在留資格の取消し制度を創設することに慎重な意見を述べられたものと思われますが、生活保護を受給していることをもって、一概に……
○本村伸子
次に、同じく懇談会議事録十五ページ、四行目から九行目、岡部委員の発言をお示しください。
○丸山政府参考人
お答え申し上げます。
お尋ねの発言につきましては、
それから、永住権を取得した後に例えば経済 的な困窮に至って要件が満たされないという人 々についても、これは通常の日本人であっても、 景気が悪化したときに失業の憂き目に遭う人は 多い中で、これは各国のどの国のデータでも示 していることですが、通常の国民に比べて外国 人の失業率は常に高いわけです。そうすると彼 らはより脆弱な環境に置かれるということを考 えると、やはりそこで厳しい要件を課すという のはいかがなものかと思います。
以上でございます。
○本村伸子
こういう有識者の声をしっかりと聞いていただきたい。ほかの委員もこうした趣旨、この永住許可の取消しについて反対、慎重、こういう意見があったわけでございます。
そして、この懇談会の報告書が二〇二〇年十二月に出ております。二十六ページの下から四行目、そして二行目までお示しをいただきたいと思います。
○丸山政府参考人
お答え申し上げます。
お尋ねの記載につきましては、
いずれにしても、外国人やその関係者等各方 面から幅広く意見を聴くとともに、諸外国の永 住許可制度の例も参考にするなどして、丁寧な 議論を行っていく必要がある。
以上でございます。
○本村伸子
外国人やその関係者等、幅広く意見を聞く、この点につきましては、永住者、当事者の方から意見を聞いていないということが前々回の議論の中で明らかになりました。
大臣、まず、この永住許可の取消しをやめて、この条文は撤回をして、外国人やその関係者の方々から幅広く意見を聞く、ここからやり直すべきじゃないですか。
○小泉国務大臣
今回の改正は、永住者の方全体を対象にしたものでは全くなくて、一部の、一部の悪質な行動をされている方が対象なんですよね。
ですから、それが地方自治体からも話は来る、また、我々政府が作ったロードマップにもそういった問題点の指摘が行われてきています。対応策をつくるべきだということはかねてより指摘をされてきているわけであります。ごく一部の方々が納税義務を果たさないということをそのままにすれば、この在留許可制度そのものが崩れていく、そういう懸念も表明されているところであります。
様々な御意見を踏まえて、また、こうした国会での御指摘もいただきながら議論を進めてきたところでありまして、多くの方々が懸念を示されるように、全ての在留者が対象となるものではないので、そこを是非、永住者が対象となるものであれ、ごく一部の本当に悪質な行動をされる方がダーゲットでありますので、そこをまず考え方の出発点に置いていただいて、それを見過ごすことが日本の社会にどういう影響を及ぼすかということも考えていただきたいと思います。
適正な在留管理が成り立たなくなる、国民に誤解が生じます。より多くの外国人に入っていただくためにも、そのためにも、むしろ、しっかりとした措置を取って、是正をしていくということであります。
しかし、定住性にも配慮しています。定住性にも配慮して、いきなり取消しということにはなりません。定住者という、ワンクッション置く変更措置、ここも考えているわけです。それは定住性に配慮した措置であります。
いろいろ考えて、様々な御議論を経てここに至っているということを、是非是非御理解をいただきたいと思います。
○本村伸子
丁寧に議論をするべきだということが有識者会議の報告書の中に書いてあるのに、やっていないじゃないですか。鎌田委員に示されたその経緯を見ても、閣僚会議、自民党の部会、こういうことで、広く意見を聞いて……
○武部委員長
申合せの時間が経過しておりますので、御協力願います。
○本村伸子
しっかりと検討していないじゃないですか。
大臣は、声を上げづらい人々の声を切り捨てる、こういうことばかり、この間やっております。このことに強く抗議をし、質問を終わらせていただきます。