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人間らしい働き方に入管法・技能実習法改定案 2024.5.15
議事録
〇本村伸子
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
私は愛知県の豊田市出身でございます。最上位の大企業の下請中小企業の方からお話をお伺いをいたしました。少し長いスパンで見てみますと、下請単価が引き下げられる中で、日系ブラジル人の方だったものが、人件費がネックとなり、中国の技能実習生となり、そしてベトナムの技能実習生と変わってきたというふうに言われました。下請単価が引き下げられ、抑制される下で、より安い労働力として国籍が変わってきたのだというふうに痛感をいたしました。
日本が経済格差を利用し人を安く使う、そういう構造、これは、低賃金の非正規雇用の問題と併せて、日本の低賃金構造の原因ではないかというふうに考えております。このままでは、また安い労働力へシフトしていくのではないかという懸念もございます。人権をしっかりと保障をしていくこと、そしてディーセントワーク、働きがいのある人間らしい仕事を実現をしていくということが、喫緊の課題だというふうに思っております。
技能実習生、これから育成就労を受け入れる中小・小規模事業者の皆様も、賃上げをしたい、労働条件をよくしたいというふうに思っていると思います。しかし、今、喫緊の課題でいえば、原材料費の高騰、エネルギー価格の高騰、そういう下で、最上位の企業からきちんと保証されていないという問題がございます。
資料をお配りをしておりますけれども、三ページを見ていただきますと、自動車・自動車部品でいいますと、原材料費の高騰、エネルギー価格の高騰分がどのくらい保証されているか、下請価格として、取引価格としてどのくらい保証されているかということですけれども、四四・六%しか保証されておりません。
ここに下請Gメンのヒアリングの生の声が載っておりますけれども、発注企業を複数回訪問して、コスト上昇分の証拠書類を提示した上で価格交渉、転嫁を要望しているが、検討するという回答が返ってくるばかりで、結局転嫁が進んでいないという声です。そしてもう一つ。価格交渉を申し出たところ、コスト上昇の根拠資料を求められたため提出したが、回答期限までに回答はなく、その後、音沙汰なしとなっているという声です。
そして、実習生の方が多い建設ではどうかということで、前のページを見ていただきますと、建設では、下請さんに対して四五・一%しか保証されていないと。生の声として、価格交渉を申し入れたところ、交渉には応じてくれたが、コスト上昇分の価格転嫁は一切認められなかった、価格交渉を行ったが、五年前からの単価と変わらず、全く値上げに応じてもらえない、こういうお声でございます。
これでは、技能実習生や日本の労働者の賃金を上げるということに対して、足を引っ張るというふうに考えております。建設の場合は、発注者、元請、ゼネコンがちゃんと下請に法定福利費、安全衛生経費も含めて、原材料費の高騰分、エネルギー価格の高騰分、一〇〇%支払う仕組みをつくるべきだというふうに思います。
アメリカでは、不公正な取引による損害額の三倍賠償請求できる仕組みがあるというふうに聞いております。日本でも、下請いじめ、不公正な取引に対して、下請代金法の罰金額を引き上げる、課徴金を設ける、あるいは被害額の三倍など被害救済の違反金の制度、そういう制度を創設するなど、不公正取引が割に合わない、そういう制度にするべきだ、そういう改革を行うべきだというふうに考えますけれども、総理大臣、お願いしたいと思います。
○岸田内閣総理大臣
委員の方から、下請代金法の罰則等を引き上げる、課徴金を設ける、こういった御指摘がありましたが、政府としては、下請代金法とそして独占禁止法、この組合せによって具体的な成果につなげていく、こういった基本的な考え方に立っています。
下請代金法には、注文書の交付義務等に違反した事業者に対する最大五十万円の罰金、買いたたき等を行った親事業者に対する下請代金の減額分返還等の勧告、これを規定しております。これらは違反行為の類型を具体的に法定することで、迅速かつ効果的に下請事業者の利益保護を図る、こういった考え方に立っています。そして、親事業者が下請代金法上の勧告に従わなかった際には、独占禁止法に基づき、より厳格な措置である課徴金の納付命令等を講ずることが可能となる。
このような組合せによって違反事案に厳正に対処していく、現行の枠組みの下で最大限の取組を講じていくことが重要である、このように政府としては考えております。
○本村伸子
今の政府の取組では遅々として歩みが本当に遅いわけでございます。やはり抜本的な対策を取って、単価、しっかりと一〇〇%、物価、原材料の高騰分、エネルギー価格の高騰分を乗せて大企業が払うように対策を強化していただきたいと思いますけれども、もう一度お答えをいただきたいと思います。
○岸田内閣総理大臣
まず、政府としては、中小企業、小規模事業者が持続的な賃上げを行うことができるように適切な価格転嫁を実現しなければならない、総合的、多面的な対策を講じているところであり、下請法の執行強化はもちろんでありますが、労務費転嫁のための指針の徹底、そして年二回の価格交渉促進月間における発注企業の価格交渉、価格転嫁の状況の公表、これをあえて公表することによってこうした取組を徹底する、こうしたことを進めています。その上で、先ほど申し上げた下請代金法とそして独禁法の組合せによって厳正な対処を行っていく、こうした取組を進めています。
是非、これを徹底することによって価格転嫁の実効性を高めていくことが重要であると考えています。
○本村伸子
韓国では、低熟練の労働者、製造業でいうと二十七万円、平均賃金があるそうです。だから韓国に行きたいという技能実習生の方の声も聞いております。是非、日本でも大幅な賃上げを実現していただきたいと思っております。
そして、人権侵害も引き起こす永住許可の取消し、これで眠れない、しんどい、つらいという声が私どものところに届いております。永住許可の取消しの撤回、これを強く求め、質問を終わらせていただきます。