「やむを得ない事情がある場合」は転籍可能としているのに、24日にも帰国させられる危機~外国人技能実習生問題を質問~
衆院法務委員会で、外国人技能実習生の転籍について、外国人技能実習機構が誤った対応をしていることを正しました。
榑松佐一元愛労連議長から色々伺っての質問です。
外国人技能実習生は、やむを得ない事情がある場合には転籍をすることができます。
しかし、実際には転籍できず、帰国をさせられるという実態があります。
外国人技能実習機構が労働災害にあった実習生に対して、転籍先が3か月以内に見つからない場合は在留期間が残っていても帰国するという旨の文書にサインをするように求めていた事実を突きつけ追及しました。
丸山秀治出入国在留管理庁次長は「在留期間の満了日までの期間に関係なく速やかに出国することを案内することは適切ではなく、是正をする必要がある」と認めました。
「本人に帰責性のない場合には、在留資格の配慮を含めて、転籍先が見つかるまでしっかりと支援をするべきだ」と要求。
小泉龍司法務大臣は「問題提起を踏まえて、よりよい改善策を考えたい」と述べました。
また、能登半島の技能実習生はじめ被災した外国人労働者の方々の支援について質問しました。
◆前日にお話を伺った監理団体(技能実習生の支援をする団体)も被災外国人技能実習生・労働者が、みなし仮設住宅(民間賃貸住居)、仮設住宅など災害救助法の対象でることなど知らせ、支援につなげるように求めました。
大臣は、「細かく情報が伝わるように全力を尽くしたいと思います。」と答弁。
◆能登半島地震の被災中小企業に雇用調整助成金をコロナ禍と同じように10分の10を補償すること、上限引き上げることを求めました。ここはまだ突破できません。
◆外国人技能実習生のやむを得ない事情がある場合の「転籍」支援で出入国在留管理庁が依頼している技能実習機構が帰国させるような対応をしている問題の是正を求め追及。出入国在留管理庁次長は「是正する」と答弁しました。
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議事録
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◆もとむら伸子
外国人技能実習生と外国人労働者の問題についてお伺いをしたいと思います。
能登半島地震でお亡くなりになられたお一人お一人に心から哀悼の意を申し上げたいと思います。そして、被害に遭われた全ての皆様に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
そこで、能登半島地震によって被災をした外国人技能実習生、外国人労働者、外国にルーツを持つ方が何人いらっしゃるのか、一人一人の状況は今の段階でどうつかんでいるのか、法務大臣に伺いたいと思います。
◆小泉龍司法務大臣
令和六年能登半島地震に被災された四県に居住地を有する在留外国人数ということになります。約七万六千人の方々が居住地を持っておられますので、たまたま遠方へ出かけた方もいらっしゃるかもしれませんが、概数として約七万六千人の方が地震による被災を受けたというふうに推測をしております。
その中で、永住者、技能実習、こういった方々の内訳も各県ごとには把握をしております。
ただ、どれほどの負傷を負われたのか、不幸にも亡くなられた方がいるかもしれない、そういった個々の方々の消息については、必ずしもまだ全容が把握できておりません。
◆もとむら伸子
是非、アウトリーチを行い、能登半島地震によって被災した一人一人の外国人技能実習生、外国人労働者、外国にルーツを持つ方々の状況を把握し、今後の支援につなげるべきだというふうに思っております。
それで、昨日も技能実習生の方の監理団体の方とお話をさせていただいたんですけれども、みなし仮設住宅なども利用できるということが認識がなかったわけでございます。まだ罹災証明書も取っていないということです。
外国にルーツを持つ方々であっても、やはり災害救助法の対象になるということは、私も熱海の土石流の被害に遭われた方を支援したことがあるんですけれども、それはそういう制度になっておりますので、是非、罹災証明の交付を受けることや、仮設住宅、みなし仮設住宅を含む住宅確保など、災害救助法の対象になることを含めて、支援の周知徹底を是非やっていただきたいと思いますけれども、法務大臣、お願いしたいと思います。
◆小泉龍司法務大臣
非常に重要な点だと思います。
日本人の被災者においても、情報の入手、大変な苦労があると思います。混乱の中で御自身の行動範囲も限られる、ましてや外国人の方々ですから、正しい情報に触れることがなかなか難しいということが容易に想像できますので、我々もそういったところをよく考え抜きながら、細かく情報が伝わるように全力を尽くしたいと思います。
◆もとむら伸子
是非、その全力がどういうものかということを、これからも注視していきたいというふうに思っております。
今まさに困っている外国人労働者の方々、そして困っている受入れ企業の方々、困っている監理団体の方がいらっしゃいます。支援制度の情報がいていない方々にしっかりと伝わることに全力を挙げていただきたいというふうに思っております。
やはり、チームもつくって、災害時の対応を法務省としてもブラッシュアップしていただきたいということを強く求めたいと思います。
被災した中小企業の皆さんの中には、生活保障、雇用維持のために、技能実習生に対して一〇〇%賃金を保障している会社もございます。実際にお話を聞かせていただきました。
しかし、雇用調整助成金は、コロナ禍の際は、日額上限一万五千円で十分の十、中小企業の皆さんには助成がされておりました。しかし、能登半島地震の被災中小企業の皆さんには、日額上限八千四百九十円で、中小企業の場合、五分の四しか助成をされません。
抜本的に日額上限と助成率をコロナ禍並みに引き上げるべきだと、これは再三、厚生労働省に繰り返し各党から求めていると思います。是非御決断をいただきたいと思います。
◆宮﨑政久厚生労働副大臣
私も、この日曜日、月曜日、能登半島の被災地に行ってまいりまして、発災二月余りでまだまだ非常に厳しい状況で、例えば、あの有名な和倉温泉は、全ての旅館がまだ休業している最中であります。
馳知事も当初から、必ず戻れるように、必ずするからとおっしゃっておられることからも分かるとおり、その後の生活をつくるなりわいという意味でいえば、今、先生御指摘のように、中小企業を始めとする地元の企業のお仕事がしっかりと成立すること、また、そこで雇用が維持されるということは、大変重要な問題でありまして、厚生労働省としましても、雇用調整助成金について、助成率や支給日数を引き上げるなどの特例措置を講じさせていただいているところでございます。
ただいまお尋ねをいただきましたコロナ特例との関連でございますが、コロナの流行下におきましては、国から事業者や国民に対して感染防止対策への強い要請を行う中で実施をさせていただいたものでありまして、具体的には、今御指摘もありましたが、日額上限額の特例につきましては、休業手当が支払われることを前提とした雇用調整助成金とは別に、休業手当が支払われない場合でも労働者に適切な支援が行われるよう新型コロナウイルス感染症対応休業支援金という特別な仕組みを創設した際に、休業を余儀なくされる労働者の雇用の維持を支える両制度のバランスを確保する、この観点から雇用調整助成金の日額上限の引上げを行ったものであります。
また、助成率の特例につきましても、企業が休業手当を十分に支払える状況にないと労働者が安心して行動抑制をすることが困難であるという趣旨も踏まえまして特例的な助成率の引上げを行ったという事情がございまして、今回の災害への対応とは、必ずしも状況が同一に論じられるものではないと考えております。
ただ、今般の特例措置におきましても、過去の災害時の対応を参考としながら、休業による雇用維持だけでなくて、二次避難を行っている場合などの出向を活用した雇用維持も助成の対象とする、これは外国人技能実習生の場合は若干当てはまらないかもしれないですけれども、こういうこともやり、また、被災企業がより制度を活用しやすいように、休業規模要件を小さくしまして助成の対象とするという形できめ細かい対応をしているところでございまして、今後の取組も被災地にしっかり寄り添うという形でこなしていただきたいと考えているところでございます。
◆もとむら伸子
是非、能登半島の復興のことを真剣に考えていただきたいと思います。本当に、外国人技能実習生の方々を含め、地域になくてはならない存在となっております。能登半島は地理的な条件もいろいろあって、本当に様々な、困難な状態の中でも必死に再建をしようとしている、そういう事業者の方々、外国人労働者の方も含めて本気で考えていただき、雇用調整助成金の拡充を含めて、抜本的な支援の強化をお願いしたいと思います。
副大臣は御退席いただいても構いません。
そして、今、外国人技能実習法の改定ということが言われているわけですけれども、外国人技能実習生に関し、今でもやむを得ない事情がある場合の転籍は可能となっておりますが、実際は転籍できなかったり、帰国をさせられる実態があるわけです。
愛知で働いていた外国人技能実習生は、機械加工、数値制御旋盤作業の職種で技能実習生として働いておりましたが、実習期間中に重度の刺激性接触皮膚炎が発症してしまいました。労災の疑いがあるのに、受入れ企業からは特別な対応はなされなかったと聞きます。また、その患者さんを医師の方が診たわけですけれども、医師から受入れ企業に対して薬品名を教えてほしいということで問うたそうですけれども、回答はなかったそうです。結局、労働災害ということで認定をされ、そして、回復後、外国人技能実習機構の方に転籍先を探してもらうことになりました。そのときに示されたのが資料の②なんですけれども、この資料の二が示されました。そこには、新しい実習先を見つける支援というのは原則三か月で終了、見つからない場合は在留期間が残っていたとしても帰国ということに、理解してサインをしろということでサインをさせられてしまったということでございます。
まさに24日には帰国させられようとしているわけですけれども、この文書を含め、このやり方は間違っていると思います。是正をするべきだと思いますけれども、大臣、お答えをいただきたいと思います。
◆小泉龍司法務大臣
まず、結論から申し上げますと、法務省としては、まずは事実関係を確認したいと思います。
その上で、制度を共管する厚生労働省と連携しつつ、必要な対応を講じていきたいと思っております。
◆もとむら伸子
この文書は間違っていますね。そのこと、是正するということをお約束をいただきたいと思います。
◆小泉龍司法務
必要な対応を講じてまいります。
◆もとむら伸子
間違っていますね。出入国在留管理庁が機構の方に渡した文書とは食い違っていますね。間違っていますね。
◆小泉法務大臣
それはちょっと確認をさせてください。
◆もとむら
昨日の段階では……
○武部委員長
本村さん、指名してから。
◆もとむら伸子
申し訳ございません。
昨日の段階では、出入国在留管理庁から、これは間違っているので是正をしますということがございましたので、既に確認済みでございますので、大臣、そうしていただけますね。
◆丸山出入国在留管理庁次長
お答え申し上げます。
外国人技能実習機構において、個別の実習先変更支援を終了した際に、在留期間の満了日までの期間に関係なく速やかに出国することを案内することは適切ではなく、その点については是正をする必要があるとは考えております。
◆もとむら伸子
本人に帰責性のないこうした事態に対しては、しっかりと、在留資格の配慮を含めて、転籍先が見つかるまで支援をするべきだということを、最後に大臣にお願いしたいと思います。お答えいただきたいと思います。
○武部委員長
小泉法務大臣、答弁は簡潔にお願いします。
◆小泉法務大臣
現在でも三か月で機械的に切っているわけではなくて、見通しがあれば、またいい結果が得られそうな場合には延長して支援をしていますが、今回の先生の問題提起を踏まえて、よりよい道を、よりよい改善策を考えたいと思います。
○本村委員
是非お願いを申し上げ、質問を終わります。