世界に遅れた保育士の配置基準を緊急に改善を!
「異次元」というより「低次元」
子どもファーストではなく先進国・地域のなかでワーストワン
もう1人子どもたちに保育士を
2月3日節分の日、衆議院予算委員会で保育士配置基準の改善について質問しました。
子どもたちにもう1人保育士を!実行委員会の皆様が、多くの保育士の方々の声、保護者の方々の声を集めて、根拠をもって保育士配置基準の改善の提言を発表しています。
この切実な声をどうしても国会に届けなければ、との思いで、
保育の問題に詳しい現場を知る方々に様々お話を伺いながら準備しました。
この保育の質問ができたのは、そうした皆様のすばらしい実践があったからです。
心から敬意と感謝を申し上げます。
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【重篤な事故件数は増えている】
こども園、幼稚園、保育園など子どもにかかわる施設の重篤な事故件数は、
2015年627件 →2021年2347件で3・7倍に増えており、認可保育園でも増えています。なくなられた子どもさんに心からの哀悼の意を申し上げます。
宝である子どもたちの命と安全を守るためにも保育士の配置基準は緊急の課題です。
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【大臣ものけぞる75年前の基準のまま】
◆0歳児3人に1人の保育士 25年前の基準のまま
◆1歳児、2歳児6人に1人の保育士 56年前の基準のまま
◆3歳児20人に1人の保育士 54年前の基準のまま
◆4歳児、5歳児30人に1人の保育士 75年前の基準のまま
いったいこの基準の根拠は何か質問しました。
加藤厚生労働大臣は、「1歳児以上の配置基準の根拠は昭和三十七年の中央児童福祉審議会
における意見具申」「ゼロ歳児の配置基準の根拠となった昭和四十三年の意見具申」だと答弁し、1962年と1968年の意見具申という今の実態に合っていないものを根拠に使っていることが明らかになりました。
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【75年前 欧米の基準に追いつき、追い越すことを理想としていた・・・なのに先進国ワーストワン】
日本で最初に児童福祉施設の最低基準ができたのは75年前の1948年、アメリカの
占領下。
1949年、厚生省の松崎芳伸企画課長が書いた「児童福祉施設最低基準」の中では、当時はアメリカのワシントン州の基準がヒントを与えたというふうに書かれています。
当時のワシントン州の基準では、一般的には子ども10人に保育者1人、2歳児、3歳児以下は6人に1人。
当時の松崎課長は、「持てる国アメリカ」の最低基準は、「持たざる我が国」の最低基準ではあり得ないと書きました。
それでも、やがて欧米の基準に追いつき追い越すことを理想としては持たなければならないであろうと書いています。期待を込めて、「厚生大臣は、最低基準を常に向上させるように努めるものとする」という規定ができました。
そうした志があったにもかわらず現在、どうなっているでしょう。
OECDの3歳児、4歳児、5歳児の配置基準の国際比較をみてみると、
日本は、ワーストワン。
保育園も幼稚園も先進国でこんな低い基準の国はありません!
「異次元というふうに言いますけれども、低次元過ぎるんです。子どもファーストじゃなくて、ワーストになっております。この低次元の状況を加藤大臣はどう考えるんでしょうか。」と質問しました。
加藤厚生労働大臣は、「他国と比較して必ずしも配置基準が十分でないという御指摘、それは十分受け止めていかなきゃならない。」と答弁しました。
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【今の基準では命と安全を守ることができない!】
子どもたちにもう1人保育士を実行委員会の皆様が集めたアンケートの結果をつきつけました。
◆保育士 2648人の声
今の国の保育士の配置基準では、命と安全を守ることができない
地震、火災などの災害時 84%
お散歩のとき 60%
防犯上 59%
プールなど水遊びのとき 58% など。
◆保護者 1467人の声
現在の日本の配置基準について、
とても不足、不足、どちらかといえば不足、合わせて98%の保護者の方々が不足していると回答。
実際に足りないと感じる場面に遭遇したことがあるか・・・「ある」79.6%
具体的な場面
・お散歩のときに園児だけで公園から出ていってしまったり、公園から帰ってこられない状況に直面した。
・特別な支援が必要な子が教室から出ていってしまい、クラスに一人しかいなかった保育士がその子を追いかけていったのを見たとき。
加藤大臣にこのままでいいと思っているのか質問しました。
加藤厚生労働大臣は、「保育所に求められる保育の内容について、保育所保育指針にも書かれておりますが、子どもの発達について理解し、一人一人の発達過程に応じて保育をすること、子どもの心身の発達及び活動の実態などの個人差を踏まえるとともに、一人一人の子どもの気持ちを受け止め、援助することなどを規定しておりますので、まさに子ども一人一人と関わる、そうした機会を持てることが大変重要だと思っております。
こうした保育をしっかり進めていく観点からも、保育士の人材確保や財源確保を行いながら、累次の配置基準の改善を行ってきたところであります。(←それが75年前~25年前の基準・・・(怒))
児童の身体的、精神的、社会的な発達に必要な保育の水準を確保する観点から、引き続き、そうした面での改善に向けて更に努力をしていきたいと考えております。」と答弁しました。
私は、即座に実行委員会の皆様のアンケート結果のなかで、今の配置基準では、子どもとの関わりが十分できないと72%の保育士の方々が答えていること、保育指針に書かれた保育内容を実践する配置基準になっていないことを示しました。
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【もう1人保育士がいれば・・・切実な思い】
実行委員会の皆様が集めたもう限界と思った場面のイラストをパネルにし、質問しました。国の保育士の配置基準では、3歳児は20人に1人でケアするということになっておりますが、イラストでは、3歳児18人を1人でケアをしているケースです。
「3歳児18人を1人で担任をしていたとき、まだまだお漏らしをする子も多い中で、便の始末にかかっている間に、部屋にいる子がけんかでかみつきがあったり、椅子に上って大人の事務戸棚からセロテープを取ろうとして、テープカッターを落としてしまいテープカッターの刃の部分で隣にいた子の頭を切ってしまい、3針縫うけがをさせてしまったことがある。」
いつも子どもたちを大切に思い、本当に必死に頑張っている保育士さんにとって、こうした事故に遭遇するというのは、心臓が止まるような思いなのです。
もう一人この場所に保育士がいれば、けがをさせなくて済むのではないか、
もう一人保育士がいれば、子どもたちの声をもっと聞けるんじゃないか、保護者の方々の声をもっと聞けるんじゃないか。
保育士の方々がもう一人保育士を、こう思うのは当然ではないかと、加藤大臣に迫りました。
加藤厚生労働大臣は、「まさに、保育士の皆さん方がそうした御努力、あるいは、時には大変な思いをしながら対応いただいている、本当、心から頭が下がる思いでありますし、また、そうした思いにしっかり応えていくというのは我々の当然の責務だと考えております。
まさに、御指摘のように、保育士の配置基準の改善を行うということによって、子ども一人一人に対してまさにきめ細やかな保育が実現できる、そういった意味での保育の質の向上が期待をされているところであります。
我々としても、これまでも、先ほど申し上げたように、様々な配置基準の改善、保育士の方の処遇改善、あるいはICTの推進に伴う業務負担の軽減、こういったことを図ってきたわけでありますが、引き続き、そうした皆さんが、まさに、一人一人の子どもさんを成長に向けて取り組んでいきたい、その思いがしっかり実現できる環境整備にはしっかり取り組んでいきたいと考えております。」と答弁しました。
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【10年前と比べても保育士の仕事の量は増えている】
加藤大臣に10年以内をみても増えているのではないかと質問しました。
加藤厚生労働大臣は、「具体的に保育士の方の仕事量を定量的に調査した結果はないわけでありますけれども(そこが問題なんです(怒))、今保育士の方がどういう、先ほどもちょっとお示しがありましたけれども、どういう希望等々を持っておられるかというのを、平成25年度と平成30年度で比較をしますと、事務、雑務の軽減が14・1ポイント(総数を言ってほしい)、これは増加をしています。それから、職員数の増員に対しては9・7ポイント(総数をいってほしい)増加をしているということでございますので、こうした保育現場からの声を伺う意味においても、子どもの育ちをめぐる環境の変化を踏まえて、保育現場では様々なニーズが求められているということは承知をしているところでございますので、また、そうした保育現場における環境の変化、ニーズの対応、そういった面について、まさに保育所、保育士が求められる役割も増加をしております。そうしたことに対する支援措置、これまでも取らせていただいておりますけれども、引き続き、そうした皆さんが働きやすい環境をつくっていかなきゃいけないというふうに思っています。」
私は、保育の現場の方々の声を紹介しました。
◆11時間保育が当たり前になり、確実に仕事が増えた。保育の長時間化、保育士の各国比較のなかでも長い時間の労働。
◆0歳であれば5分ごとに午睡のチェック。乳児突然死症候群を防ぐために、お昼寝、朝寝、夕寝の子の息の具合を手をかざして確かめて、あるいは体に手を当てて呼吸をしているかどうか確かめて、うつ伏せ寝はないかどうかをチェックする。ミルクの対応、離乳食の対応、子どもたちが寝ていても休むことはできない。
◆アレルギーの子どもたちへの安全配慮。アレルギー対応で、4種類の粉ミルクを作ることも。そのミルクを、一人一人間違えないように飲んでもらう。
◆配慮するべき子どもさんの増加。
◆バスの事故を受けて、安全計画の遂行。
◆厳格なプールの監視。
子どもたちが日々楽しく過ごせるように、日常の遊びなどをしながら様々やらなければならず、「ながら保育」と言われる状態の中で、多くの事故が起きているとの専門家の方の声も紹介しました。
いつも全ての子どもたちを目に入れて迅速に対応する努力をしておられます。
緊張感のなかで、日々、気持ちも心も体もとても疲れているのに、休憩も取れない職場も多く、そうした中で離職が相次いでいることなども指摘。
保育は、命、安全を守るだけではなく、一人一人発達段階が違う、個性ある子どもたちの乳幼児期の発達を保障する、その大事な仕事。専門性がある、資格のある保育士の方々を増やすことが、子どもたちにとって最善です。
保育指針が、一人一人の意欲と関心、意見を大切にして、主体性を大切にするというのであれば、そのことを保障する保育士の増員こそ必要だと強調しました。
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【現場の声を踏まえた具体的提案】
0歳児2人に1人
1歳児3人に1人
2歳児5人に1人
3歳児10人に1人
4歳児、5歳児15人に1人
緊急に当面、
1歳児5対1、3歳児15対1、4歳児、5歳児25対1
岸田首相は施政方針演説で「何よりも優先するべきは当事者の声」と述べました。
当事者の声に基づいた政策を是非実現を!と迫りました。
加藤厚生労働大臣は、「我々も、保育士の配置基準の改善は重要な課題ということで、平成27年には、3歳児に対する保育士の配置、20対1から15対1に改善し、保育所に対して、これは公定価格上の加算ということでやらせていただきましたが、保育所の約9割がその加算を実施していただいているところであります。
また、先ほども申し上げましたけれども、いわゆる0・3兆円超の質の向上事項に含まれている、1歳児や4、5歳児に対する保育士の改善、これは残念ながらまだ実現できておりませんけれども、財源を確保して、しっかりと実施をしていきたいと思っておりますし、この予算案では、先ほど申し上げたチーム保育推進加算等をやらせていただいております。これによって、4、5歳児の各クラスで複数の保育士の配置が可能となり、25対1以下の配置の実現も可能ではないかと考えているところでございます。
引き続き、こうした配置基準の改善も含めて、保育士の皆さん方の処遇改善等々について取り組んでいく、それも含めて、今、こども政策担当大臣、小倉大臣の下で、子ども、子育て政策に関する中身を詰めておりますので、厚労省としても、連携を取りながら、その中身を詰めていきたいと考えております。」(0.3兆円の話は2015年度予算概算要求らずっと言っているのにやっていない中身ですので、注意が必要です。今度こそ保育士配置基準改善を絶対にやらせなければなりません。)
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【公立保育園でも地方財政措置との答弁をいかして保育士配置改善をやってほしい】
松本総務大臣にも質問しました。
来年度の保育士の配置改善(4歳児、5歳児)をする加算、地方交付税措置を行いますね、公立保育園も、保育士の配置、改善できますねと質問しました。
松本総務大臣は、「御案内のとおり、公立保育所の給与費を含む運営費は、国庫負担金が一般財源化されていることから、従来の国庫負担分も含めた地方負担について、適切に地方交付税措置を講じてきているところであります。
令和五年度において、公立保育所の運営費については、御指摘の加算分を踏まえて、地方交付税措置を講ずることとしております。
具体的な保育士の配置については、それぞれ、地方団体において、地域の実情等を踏まえて適切に判断されるものと認識しておりますが、公立保育所に係る地方交付税措置について、関係府省と連携して周知するなど、適切に対応いたしたいと思っております。」と答弁ました。公立保育園でもぜひこの答弁をいかして改善していただきたいです。
(※ただし、保育士平均勤続年数12年以上、121人以上の保育園対象(怒)すべての保育園で使えるようにするべきです!)
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【来年度予算案で4、5歳児の各クラスで複数の保育士の配置が可能と首相も答弁しましたが、名古屋市の私立保育園はたった6%の保育園か使えないしょぼい予算額・・・】
◆もとむら伸子
「4歳児、5歳児のクラスで保育士を配置する改善、ずっと首相も答弁しているんですけれども、ここに要件がある。保育士の平均経験年数が12年以上で、しかも、チーム保育推進加算をやっている保育所だと。
名古屋市の実例を見てみますと、資料の13でお示しをさせていただいているんですけれども、例えば名古屋市でいいますと、私立の保育所は354園あるんですけれども、チーム保育推進加算を使えているのは88園です。そのうち、121人以上の私立の保育園は23園しかありません。私立の保育園の6%しか使えない。
なぜ、こんな、入口で狭めてしまうんでしょうか。もっと全ての保育園で使えるように改善するべきじゃないですか。13億円とか40億円とか、そんなのじゃ足りないんですよ。是非改善してください、小倉大臣。」
◆小倉こども政策担当大臣
「お答えいたします。保育所の御指摘いただきましたチーム保育推進加算につきましては、幼稚園における加算の仕組みを踏まえまして、平成28年度に創設をし、令和2年度に職員の平均経験年数の要件を15年以上から12年以上に緩和した経緯がございます。
そういった中で、121人以上の定員を持つ保育所につきましては、これまでの1人のところを2人以上配置をすることができるようになったということでございます。
他方で、委員御指摘のように、施設の規模、職員の平均経験年数や対象年齢等を問わずに更なる配置改善加算を実施することについては、人材の確保や限られた財源の効果的な活用などの観点からも議論が必要と考えております。
いずれにしても、厚労大臣からありましたように、総理からは、保育の量、質両面からの強化を柱の一つとして、子ども、子育て施策として充実する内容の具体化の指示をいただいておりますので、委員が御指摘をいただいたような様々な現場の声に耳を傾けながら、3月末をめどに、たたき台をお示しをしてまいりたいというふうに思っております。」
◆もとむら伸子
「軍事費は2倍にもかかわらず、国際的に遅れているこの保育士の配置基準の改善は後回し。こういう政治を変えるべきだということを強く求め、質問を終わらせていただきます。」
3月末をめどに子ども、子育て施策を取りまとめていくとの答弁です。
ガンガンと岸田政権に子どもの最善の利益保障する本当の意味の子どもファースト・保育士配置基準改善を!とせまっていきましょう!!!!!
皆様、本当にありがとうございました<m(__)m><m(__)m><m(__)m>
質問の映像へのリンク
子どもの安全守れる人数に「保育士配置基準改善早く」2023.2.3