葉梨法務大臣が辞表を提出しました。
葉梨法務大臣は、9日の自民党議員の政治資金パーティーで「法務大臣は、朝、死刑のハンコ押しまして、それで、昼のニュースのトップになるというのは、そういう時だけという地味な役職」などと命と人権を軽視した発言をしました。
この発言を受け、急きょ設定された11日の衆議院法務委員会で質問し、「人権と命を軽視した発言を絶対に許すことはできない」と厳しく批判し、辞任を求めました。
岸田政権のもとでも死刑が執行されましたが、その中には再審請求中の死刑の執行も含まれていました。こういうことが「ハンコという感覚でやられていいのか」と厳しく追及しました。
さらに国連死刑廃止条約が発効して30年以上がたち、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによれば、執行の長期停止を含めて事実上の死刑廃止国は144カ国にのぼり、国連加盟国の7割以上を占めます。
OECD加盟国38カ国中で死刑制度が存在しているのは、日本、韓国、アメリカのみです。
韓国は、1997年を最後に死刑を執行していません。
連邦国家のアメリカでは、23州で死刑を廃止しています。
トランプ政権時、連邦政府として17年ぶりに死刑を執行したことが厳しく批判されました。バイデン政権は政権公約に死刑廃止を掲げ、2021年7月には連邦レベルでの執行停止指示を出しています。
OECD加盟国の中で死刑を執行しているのは、日本だけです。
世界が死刑を廃止しているのは、死刑が国家が生きた人の命を奪うという極めて重大なことだからです。
誤判による死刑確定判決、死刑執行は、実際に起きています。
取り返しのつかない国家による人権侵害があるのです。
過去にも4大死刑えん罪事件と言われる免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件では、再審で無罪判決が出されました。
1966年、今の静岡市清水区で起こった事件。袴田巌さんは、死刑判決のもとで拘禁され、2014年、静岡地裁が捜査機関の「証拠ねつ造」を指摘し、再審開始決定と、死刑と拘置の執行停止決定で48年ぶりに釈放されました。検察の抗告により取り消されてしまいましたが、最高裁が差し戻し、東京高裁で審理が行われています。
もともと警察の「自白」の強要、検察の証拠隠しなどで誤った有罪判決が出されてしまいました。
犯行時に着ていたというズボンを袴田さんははけませんでした。
DNA鑑定も一致しません。
国民救援会の皆様も指摘しているような問題がいくつもあります。
こんな証拠で死刑判決など到底認められるはずがありません。
死刑判決、死刑の執行は、誤判、えん罪で人の人生を絶ってしまう、取り返しのつかない人権侵害であることを指摘し、命と人権を軽んずる発言を絶対に許すことはできないと辞任を求めました。
その直後、葉梨法務大臣は、辞任することを決め、辞表を提出しました。
命と人権を何よりも大切にする国にするために引き続き、全力をあげます。