文部科学委員でもあり、総務委員でもある宮本岳志衆議院議員が、総務委員会での質問がありましたので、かわりに文部科学委員会に出席し、
「文系つぶし」「中小私大つぶし」の大学淘汰政策推進の独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法案の反対討論を行いました。
以下は、その反対討論の内容です。ご高覧いただければ幸いです。
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【独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案反対討論】
私は、日本共産党を代表して、内閣提出の独立行政法人大学改革支援・学位授与機構法の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。
本法案は、デジタル・グリーン等の成長分野などで今後、人材不足が生じるとの見込みから、主に私立大学を対象に、理工系学部への学部再編等による転換を財政的に支援するものです。
理工系学部の拡大は教育未来創造会議の第1次提言で示されたものです。第1次提言では、「成長分野への大学等再編促進」として、「再編に向けた初期投資や開設年度からの継続的な支援」をすることとしています。その一方、設置認可の審査の厳格化などの「大学全体としての規模を抑制する仕組みの整備」、定員割れ大学に対するペナルティの強化などの「私学助成に関する全体の構造的見直し」、修学支援新制度の対象外となる大学の拡大などの「計画的な規模縮小・撤退等も含む経営指導の徹底、修学支援新制度の機関要件の厳格化」も求めています。
すなわち、経営が困難とされる地方や中小の私学の早期撤退の促進を進めようとするものにほかなりません。これは、多くの私立大学が担っている文系学部の再編縮小をすすめる「文系つぶし」「私大つぶし」であり、断じて許されません。
一方で「大学設置に係る規制の大胆な緩和」として大学設置基準が本年10月に改定され、必要な教員数、校地校舎面積などの基準を引き下げる規制緩和が実施されました。これでは教育研究機関としての条件整備が不十分な学部が増える可能性があり、学部の粗製乱造になりかねません。そのうえで、助成を受けるためには、従来行われている学部の設置審査に加え、政府が定める基本方針に従う必要があります。経済成長が見込めると政府が認める学問分野に適合しているかどうかを審査することは、学術の中心である大学を国家、産業界に従属させるものです。
地域のニーズに応じて多様な教育研究を展開している大学を守り、教育研究の質を保障するためには、「選択と集中」政策の失敗を反省し、運営費交付金や経常費補助金といった基盤的経費の抜本的増額こそ問題解決の大道であることを申し上げ、討論を終わります。