もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2022年 11月 16日 第210国会 法務委員会

名古屋市児童相談所での15歳の女性の転落死亡事件について質問

 
11月7日、名古屋市内に住む15歳の女性が児童相談所の窓から転落し、翌11月8日、お亡くなりになりました。心から哀悼の意を申し上げます。
 このような悲しすぎる事件を二度と起こさせないために抜本的な対策を求めました。
 
 質問では、第三者委員会によるきめ細かな検証、再発防止策策定、家に居場所のない若年女性・若者支援を公が責任をもって実施すること、児童福祉司など児童相談所の職員を正規での増員、全国の児童相談所の窓を転落しない仕様にすることを求めました。
 
 厚生労働副大臣からの前向きの答弁はありましたが、スピード感をもって実現する必要があります。
 引き続き、声をあげ続けています。
 
 質問のやりとりを書き起こししましたので、ご高覧ください<m(__)m><m(__)m><m(__)m>
 
 
 
 
 

質問の映像へのリンク

https://youtu.be/IGbDafcWts8?t=364

議事録

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2022年11月16日 衆議院法務委員会 
 
◆もとむら伸子
 次に、子どもの人権について質問をさせていただきます。
 今、政治の下で犠牲になっているのは子どもたちであるということを私は痛感しております。
 子どもの貧困は約7人に1人。そして、全国の児童相談所が相談を受けて対応した児童虐待の件数は20万7659件。不登校の小中学生の人数は24万4940人。そして、いじめの認知件数は61万5351件です。
小中校生で、自ら命を絶つ子どもたちも相次いでおります。2020年1年間で499人、2021年473人ということで、毎日、どこかで、自ら命を絶っている子どもたちがいるということを私たちは認識しなければいけないというふうに思っております。
 ユニセフの子どもの精神的幸福度、38か国中、日本は37位、下から2番目となっております。これは私は政治の失敗だというふうに思っております。
法務省は、子どもの人権110番など、子どもの権利を守る行政を担っておりますけれども、子どもの人権110番にはどんな声があり、どういう対応をしているのか、見解を伺いたいと思います。
そして、今、対策を強化しなければいけないということを思いますけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
 
◆齋藤健法務大臣
 子どもに関する人権問題は重要な人権課題の一つでありまして、法務省の人権擁護機関では、子どもが相談しやすい体制づくりのために、様々な取組を行っております。その一つとして、御指摘のフリーダイヤルの専用相談電話、子どもの人権110番を設けており、相談を受け付けています。
内容ですが、子どもの人権110番には、いじめ、虐待等の様々な相談が寄せられているところ、例えば、いじめに関する相談については、相談内容に応じた助言を行うほか、相談者の意向に応じて学校等との関係を調整することや、学校がいじめを把握していない場合は、学校と連携して更なるいじめの防止を図るなどの調査救済活動を実施し、被害の救済に取り組んでいます。
法務省の人権擁護機関においては、このような相談対応や調査救済活動を充実強化して、関係省庁と連携しながら、実効性のある人権救済、子どもの救済にしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。
 
 
◆もとむら伸子
 個別の相談を集めて、やはり子どもさんの命や人権を守るために何が必要なのかという点を法務省から政策提言、発信していただきたいということも切にお願いを申し上げたいというふうに思います。
 具体的な事例でお話をさせていただきたいと思うんですけれども、11月7日、名古屋市内に住む15歳の女性が児童相談所の窓から転落し、翌日、11月8日、お亡くなりになりました。心から哀悼の意を申し上げたいと思います。
名古屋市にも聞き取りに行きましたけれども、今年3月から9月に児童相談所で一時保護をされ、その後施設に入所をし、そして11月3日、施設を退所ということになり、自宅に帰されました。
 そしてその翌日、11月4日、家出をし、そして11月7日、保護に至り、警察とともに児童相談所に来た9分後には、3階から転落をし、お亡くなりになりました。
 子どもの家庭の環境や子どもへの支援はどうだったのか、家庭、保護者への支援はどうだったのか、精神的、心理的を含む児童虐待の有無や、学校での様子、一時保護所の状況や体制、施設での状況や体制、施設から自宅に帰すことの判断、そして児童相談所の在り方、警察の対応など、第三者委員会をつくって、周りの子どもたちの声も聞き、総合的に十分に検証し、国として二度とこうしたことを起こさせない、総合的に再発防止策をつくるべきだと考えますけれども、今日は厚生労働省から副大臣に来ていただきました。是非、御答弁をお願いしたいと思います。
 
◆伊佐厚生労働副大臣
名古屋市の児童相談所の窓から一時保護した子どもが転落してお亡くなりになったということも、心からお悔やみを申し上げたいというふうに思っております。
本来、子どもの安全が確保されるべき児童相談所で起こったという痛ましい事案でありました。再発防止を図ることは重要だというふうに考えております。
今、厚労省としましては、現在、名古屋市で、先ほど本村委員がおっしゃっていただいたような様々な要因も含めて、今回の事案に関する第三者も含めた検証を実施するというふうに伺っておりまして、厚労省としては、この検証の動向を注視して、この結果を踏まえまして必要な対応を検討していきたいというふうに思っております。
 
 
◆もとむら伸子
 ありがとうございます。
 早急に、今やらなければいけない、今できることをすぐにやらないといけないというふうに思っております。
 家に居場所がない若年女性を始め、若者に寄り添う支援体制を公でつくる必要があるというふうに思います。
 厚生労働省は既に若年女性の支援事業をやっておりますけれども、東京では民間団体の皆様が非常に献身的な取組をやっておられます。今回の痛ましいこの事件を受けて、もし名古屋に、愛知にColaboさんのような取組があれば救えたかもしれないというふうに私は思いました。
 本来、公がやらなければならないところまで、民間の心ある方々が若年女性に寄り添った取組をやってくださっております。厚生労働省としても横展開をしたい、全国展開したいということをいつも言われるわけなんですけれども、いつも、では愛知に、名古屋にというお話をしますと、受皿がない、受皿がないというお話で終わってしまうわけです。いつまでも受皿がない、受皿がないといって全国での支援体制の構築が先延ばしされるということが、もう許されない段階だというふうに思っております。
 女性支援法も作られておりますけれども、施行が2024年の4月ということで、私は遅過ぎるというふうに思っております。やはり、名古屋市でのこの子どもさんの死があり、もう待てない状況だというふうに思います。
 とても重要な活動をされておられます民間団体の皆さんから学びながら、早急に行政で若年女性支援のそうした受皿をつくってください。そして、その上で、きめ細かな多様な支援をするためにも、公プラスきめ細かな支援をするために、民間団体の皆様の力が必要だというふうに思っております。
 やはりそこに対しても、民間団体に対しても国の支援を強めていかなければいけないということも思っております。
 国で責任を持って、公でシェルターなどの居場所の確保や、アウトリーチ、カウンセリングの強化、就労支援、金銭給付などを行うことが必要だ、これは現場から求められております。是非やっていただきたいというふうに思いますし、名古屋市からお話を伺ったところ、特に年齢の高い保護が必要な子供たちが暮らす居場所がないという問題も伺っております。
 早急に国として、居場所の、住まいの確保も対策を打つべきだというふうに考えますけれども、是非御答弁をお願いしたいと思います。
 
◆伊佐厚生労働副大臣
 女性の抱える問題、現在、本当に多様化もしております。また、複雑化もしております。こういう中で、それぞれの背景あるいは心身の状況に応じて適切な支援というのを包括的に受けられるような体制整備というのは重要だというふうに考えております。
 これまでの取組に加えて、今回、来年度の取組として更に充実また強化していきたいという事項が幾つかございまして、例えば、五年度の概算要求で、先ほど本村委員がおっしゃっていただいたような、今頑張っていただいている民間団体、アウトリーチをやっていただいているとか居場所の確保をやっていただいている、こういうところをしっかりと支えていく、支援をしていくというような予算でありますとか、あるいは、心理療法担当の職員を例えば婦人保護施設に配置した場合にはしっかりと加算をしていく取組でありますとか、あるいは、就労支援を含む自立支援、例えばDVシェルターで就労支援を行った場合には国庫補助していく、又は、婦人保護施設入所者に対する生活費の支援というものも盛り込ませていただいております。
 さらに、今現在、先ほど言及いただいた本年五月に成立しました困難女性支援新法というものを踏まえまして、更にこの全国の体制整備をどう強化していくかという議論につきまして、今、その具体的な在り方について、つい今月、有識者による検討の場を立ち上げさせていただきました。ただいま議論を進めておりまして、今、2024年4月の施行では何か、まだ時間が大分あるんじゃないかというようにおっしゃっていただきましたが、これも今年中に国の指針をまず示していきたいというふうに思っております。
 引き続き、困難な問題を抱える女性に寄り添った支援体制、自治体、関係者の皆さんと連携しながら取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 
◆もとむら伸子
 名古屋市からの聞き取りでは、夜22時10分、宿直体制のときに警察とその亡くなられた15歳の女性が到着をした。22時12分、トイレに行きたいと言われたそうです。男性の職員の方がそのときに担当されたそうなんですけれども、女性のトイレの中に入ることはできないと、ずっと出てこないですけれども、待っていたそうです。でも、出てこないので、残業していた女性の職員の方を呼んで確認してもらったところ、転落をしていたということでございました。
 児童相談所の職員体制を抜本的に増員し、そして、宿直体制でも女性トイレの対応は女性職員ができるようにするなど、きめ細かく対応できるようにしなければいけないというふうに思っております。
 名古屋市の児童福祉司の一人当たりの担当している子どもさんの数は、42.4人というふうになっております。国が40人ということを目標としているというふうに思いますけれども、それに近いものではありますけれども、しかし、夜22時まで残業しているという実態がございます。
 名古屋市の状況を見てみれば、やはり40人でも多いというふうに私は思っております。もっと担当の子どもさんの数を減らすためにも、児童福祉司、児童心理司、児童相談所の職員の方を正規で、会計年度任用職員も多いというふうに伺っておりますけれども、正規で抜本的に増やすことが必要だというふうに考えますけれども、厚生労働副大臣、お願いしたいと思います。
 
◆伊佐厚生労働副大臣
 先ほど、困難女性支援新法の国の指針、私、今年中と言ったようでありますが、今年度中、度でございます。失礼いたしました。
 また、今御質問いただきました児相の体制整備につきまして、これは急を要する事案もいろいろ対応していただいておりまして、こういうものに対し、しっかりと対応できるような、夜間、休日を含めて適切に対応できる体制確保をお願いしているところでございます。
 その中で、先ほど、正規のということを強調しておっしゃっていただいておりました。これについても、まずは適切な体制をしっかりと確保するために、本年度末までに児童福祉司を全国で5260人の体制とするということを目標としてこれまで進めさせていただきました。これは1年前倒しで、令和3年度に達成をいたしまして、最終的には、4年度末では5783人と、当初の目標よりも500人多く整備できるということになっております。
 今後の、来年度以降の増員については、年内にも新たなプランの策定をしっかりと目指していきたいというふうに思っております。
 さらに、これは正規ではございませんが、夜間、休日を問わずに相談に応じられる体制の整備という観点から、例えば相談援助活動経験のある児童相談所のOBの皆さん、こういう方々に非常勤でも来ていただいて配置をするための費用を、都道府県に対して財政支援も行わせていただきたいというふうに思っております。
 引き続き、児童相談所における体制の整備、しっかりと行ってまいりたいというふうに思います。
 
◆もとむら伸子
 また、もう一つ、全国的にやらなければいけないのは、名古屋市の当該児童相談所の窓は既にもう転落しない仕様に取り替えられておりますけれども、全国の児童相談所の窓の総点検を行い、転落しない仕様に国が財源をつけて替えるべきだというふうに思いますけれども、副大臣、お願いしたいと思います。
 
◆伊佐厚生労働副大臣
 名古屋市自体は今検証を行っているというふうに申し上げましたが、一般論としてという話で申し上げれば、児童相談所の設備については、各自治体において改修工事等の適切な対応を行っていく必要があるというふうに認識をしております。
 ちなみに、本事案においては、既にこの事案のあった児童相談所は、この事案が起こった後に、トイレの窓を、改修工事が既に行われているというふうに伺っております。
 国としては、児童相談所の設備に要する経費というのは、児童相談所の運用に関する経費について、地方交付税措置で既に一般財源化されておりまして、その中で支援を行うことになっております。
 まずは、名古屋市の今回の検証結果を踏まえて、厚労省として必要な対応を検討してまいりたいというふうに思っております。
 
◆もとむら伸子
  転落は、ほかの児童相談所でも実際は起きております。是非、全国でそうした対策を打っていただきたいというふうに思います。
 二度と今回のような悲し過ぎる事件を起こさせないためにも、きめ細やかな対策、若年女性を始め、子ども、若者の支援の強化、そして子供に関わる職員を正規で、抜本的に増やしていただきたいというふうに思います。御家庭のことを考えますと、もっともっと早い段階で支援ができていれば、違う状況になっていたのではないかというふうに思っております。
 先日も名古屋で、保育士の皆さんからお話を伺って、保護者の方にもお話を伺いましたら、産後うつだったかもと思う時期があるという方が48.6%もいらっしゃる。保育士さんに声をかけたいけれども、保育士さんが忙し過ぎて声をかけることができないというお話もお伺いしました。
 これは配置基準を抜本的に変えないといけない、改善しないといけないというふうに思いますので、子どもに関わる職員を抜本的に増やして、こうした事件が二度と起こらないように、国としても抜本的な対策を打っていただきたいというふうに思っております。
 
 

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