もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2022年 4月 27日 第208国会 法務委員会

侮辱罪厳罰化で参考人質疑 表現の自由 損ねる危険

侮辱罪厳罰化で参考人質疑

表現の自由 損ねる危険

【赤旗 2022年4月27日】

写真

(写真)参考人として質問に答える木村響子氏と(中列右から)神津里季生、趙誠峰、只木誠の各氏=26日、衆院法務委

 衆院法務委員会は26日、侮辱罪厳罰化や自由刑の重罰化(拘禁刑)などを盛り込んだ刑法改定案について参考人質疑を行いました。日本共産党の本村伸子議員は、侮辱罪にかかわって、インターネット上で中傷された後に自死した女子プロレスラー・木村花さんが自死に至った最大の要因を質問しました。

 花さんの母、木村響子さんは、侮辱罪の厳罰化を求めたものの、おびただしい数の誹謗(ひぼう)中傷にさらされたのは「悪意ある編集」や「誹謗中傷を利用した炎上商法」にあると指摘。「(番組側が出演者に)一方的に誓約書を書かせ、そのせいで番組のことを誰にも相談できなかった」とも述べた上で、誹謗中傷を招いたメディアを批判しました。

 本村氏は、北海道でのヤジ排除訴訟をあげ、侮辱罪が「政治的言動に適用される危険性があるのではないか」と質問。日弁連の趙誠峰弁護士は、侮辱罪の厳罰化は表現の自由を損ねる危険があり、「北海道の事例はその危険を如実に示している」と強調。連合の神津里季生顧問は「侮辱罪は明治時代に始まり、お上が一般大衆を取り締まるための法律だった」と指摘しました。

 また本村氏は、改定案による拘禁刑は作業・指導を強制するとして、自由刑の刑罰内容は移動の自由の制約にあるという「国連被拘禁者処遇最低基準規則」に反すると指摘。中央大の只木誠教授は「改善更生、再犯防止のために必要な場合は受刑者の意思にゆだねることは適当ではない」と述べました。

議事録

【質問書き起こし】
2022年4月26日 衆議院法務委員会 
刑法等改定案(侮辱罪、拘禁刑)についての参考人質疑
 
🔹もとむら伸子
日本共産党の本村伸子でございます。
今日は、四人の参考人の皆様、貴重な御意見、本当にありがとうございます。
まず最初に、木村響子さんにお伺いをしたいと思います。
大変おつらい中、本当に筆舌に尽くし難い御苦労をされながら、こうやって国会に足を運んでくださいまして、本当にありがとうございます。私からも、木村花さんがお亡くなりになられたこと、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
背景には、番組作成の、非常に不公平な同意書そして誓約書、思いとは違う演出、そしてインターネット上の誹謗中傷があったというふうに思いますけれども、まず、木村花さんが自ら命を絶たなければならなかった最大の理由についてどのようにお感じになっているか、お聞かせをいただければというふうに思っております。
 
🔹木村響子さん(NPO法人Remember HANA代表)
花は、本当におびただしい数のひどい誹謗中傷にさらされてしまったんですけれども、じゃ、それはなぜかといいますと、やはり、番組の悪意ある編集であったり、誹謗中傷すらを利用して、炎上商法のような形で視聴率を稼いでビジネスとしていた大人たちがいるわけで、そういったメディアの責任でしたり、本当に、今、夢を持った若い人たちがその夢を人質に取られて、花の場合もそうですけれども、一方的に誓約書を書かされて、契約書じゃないです、誓約書です、私たちはこういうことをしません、こういうことをしません、もしした場合には多額の損害賠償が発生しますという一方的なものに、それを正しく理解もしていなかったと思うんですけれども、判こを押して、みんな利用されてしまった。そういった誓約書のせいで、花が番組のことを相談できなかったというのはすごく大きな原因の一つだと思います。
今まで本当に、私たち親子、けんかしていても何があっても、花は、自分が困ったときには、夜中であろうが朝であろうが、いつでもすぐ連絡してきて、迎えに行って病院に連れていったりとか、そういったこととかもあったんですけれども、今回のこと、本当に、周りに対してほとんど番組のことを言っていなかったです。本当に、五月に入って、よっぽどつらかったんだと思うんですけれども、ちらほら語り始めたということで。
そういうこともあって、誹謗中傷を招いたテレビ局、制作会社は、本当に何もなかったように、今も変わらず日々の生活を暮らしていると思うので、本当にメディアに対しても厳しい法律を是非作っていただかないと、被害に遭うのはやはり夢を持った若い人たちが多いと思うので、是非、芸能関係の労働条件の方も早急に改善していただきたいと思います。
 
🔹もとむら伸子
ありがとうございます。おつらいお話だとは思いますけれども、本当にありがとうご
ざいます。
侮辱、名誉毀損、裁判官によって判断が違うということも先ほどお話しされたというふうに思いますけれども、少し具体的にお話をいただけたらと思いますけれども。
 
🔹木村参考人
済みません、もう一度。
 
🔹もとむら伸子
侮辱とか名誉毀損、裁判官によって判断が違うと先ほどお話をされたと思いますけれ
ども、その点、お聞かせをいただけたらと思います。
 
🔹木村参考人
これは私が裁判を、裁判というのは、私、裁判官の人というのは本当に何でも御存じで、正義の味方のような存在だと思っていたんですけれども、実際裁判をやってみますと、中には全くSNSのことを御存じない裁判官の方に当たってしまって、本当にツイッターとは何かという説明から始めなければいけなかったりとか、そういったこともございます。
そういった中で、ごく一部ではありますけれども、本当にたくさんの公開、開示をされて、公開、開示をされた後に、損害賠償の裁判で誹謗中傷と認められずに棄却されていることとかも多数あったりします。それは言葉尻を捉えたようなことで、公開、開示はされてしまうのにもかかわらず、その後の損害賠償の裁判で棄却されるという、全くちょっと違った判決が出てしまうこととかもあります。その辺もすごく範囲が広げられるということで、その言葉尻だけを取って悪用されるといったことで、すごく嫌な言い方ですけれども、示談金を目当てにしたような、被害者の救済とは反対の方向で悪用されてしまうことが私は本当に危惧しております。
 
🔹もとむら伸子
ありがとうございます。
誹謗中傷の被害者が泣き寝入りしないでいいように、やはりきめ細かく法整備というのは必要だというふうに考えております。
先ほども番組制作会社のお話がありましたけれども、プロバイダーなどインターネット業者の問題についてはどのようにお感じになっておられるのか、木村参考人にお願いをしたいと思います。
 
🔹木村参考人
いつも裁判で、本当に明らかにひどい誹謗中傷の言葉であっても、プロバイダーの方の弁護士の方から、これは誹謗中傷に当たらない、これは意見の範囲内だという反論をされて、それがすごく不思議でしようがなかったんですけれども、プロバイダーにはプロバイダーの何か顧客の情報を守らなくてはいけないということがあるみたいでして。
本当に被害者の速やかな救済のためには、アカウントをつくるときに、ちょっと、情報をひもづけるようなことを義務づけて、みんなが責任を持って、必ずしも実名でSNSをやる必要はないと思うんですよ、本当に、若い方とか、身の危険が生じてしまうこともあるので、匿名でやるのはすごくいいことだと思うんですけれども、その人が問題のある発言をしたときに、すぐに特定できるようなものを何か考えていただきたいと思います。
 
🔹もとむら伸子
ありがとうございます。続きまして、只木参考人と趙参考人、そして神津参考人に伺いたいというふうに思います。
侮辱という定義が判例で定まっているのかという点、そして、やはり侮辱という概念が曖昧で、例えば北海道警察のやじ排除事件のような、政治的言動に適用される危険性があるのではないかということをやはり思うわけですけれども、その点、改めてお三人にお伺いをしたいと思います。
 
🔹只木誠中央大学教授
御質問ありがとうございます。では、二点についてお伺いいたします。
まず、先ほどから、侮辱というのが曖昧なのではないかという御質問ですが、これは、先ほど申しましたように、判例の蓄積がありますので、ある程度の概念の外延は画されているのではないかというふうに思っております。よろしいでしょうか。
もう一つ、それが政治的に悪用されるのではないかについては、その因果関係は私は述べる立場ではありませんので、ただし、そういうことがないように、我々は国民として、国民の一人一人がそれに対してしっかりとチェックしていかなきゃいけないということは感じております。以上です。
 
○ 趙誠峰弁護士(日本弁護士会)
侮辱の定義が判例で定まっているのかという点につきましては、様々な裁判例が積み重ねられていて、ある程度は固まってはいると思いますが、なおも曖昧なものであることには変わりはないと思います。
二点目の、北海道でのやじ排除事件などに適用される危険という御質問ですけれども、まさにそういう危険があるんだと思います。
このやじ排除事件というのは、恐らく、そもそも侮辱に当たるかどうかすら曖昧なような発言に対して警察が排除した、そういう事件だと承知しておりますけれども、まさにそういうふうに、政権が何か言おうとしている、権力者が何か言おうとしているときに、それを排除するという動きは、今この世の中ですらやはりあるわけですから、この侮辱というものがそういうふうに用いられる危険があるということをこの北海道の事例などは如実に示しているのではないかというふうに思います。
 
○神津里季生顧問(連合)
判例については、正直言って、私も余りよく承知しておりませんので、今、お二人
の参考人のお話で聞いていただければというふうに思います。
関連して、私の持っている感じで申し述べますと、これは最初に趙参考人がおっしゃった中にありましたように、これは元々、侮辱罪の淵源といいますか、明治時代に始まって、これも私なりの表現ですけれども、お上が取り締まるための法律であって、前はそんな、一般大衆がひどい物の言い方をするのを取り締まるのにできた法律であったところが、しかし、戦後、敗戦、民主化を経て、名誉毀損罪と侮辱罪とそれぞれがあるという中で、侮辱罪というのは、この比較においては、余り重い量刑を科すようなものと位置づけられてはいなかったという、言い方はあれですけれども、そういう程度のものであったということだと思うんで
す。
したがって、SNSにおける匿名のそういう罵詈讒謗、心の内面を突くような、そういったことに対応するということには余りにも私は無理があるというものではないのかなということは申し上げておきたいなと思います。
 
○もとむら伸子
ありがとうございます。
次に、只木参考人と趙参考人にお伺いをしたいというふうに思います。
自由刑に関する国際基準となっております国連被拘禁者処遇最低基準規則、通称ネルソン・マンデラ・ルールズというものについての御認識と、今回の法案の拘禁刑との関係、作業、指導を強制するのではないかというふうに考えますけれども、その点、御見解を伺いたいと思います。
 
○只木参考人
マンデラ・ルールについては存じ上げております。ただ、今回の法の趣旨は、あくまでも、改善更生を図るということに力点があるものであります。
作業は、職業上有用な知識、技能を習得させるものですし、改善指導は、犯罪の責任を自覚させるもの、教科指導は、社会の生活の基礎となる学力を身につけさせるものでありまして、いずれも、受刑者の改善更生、再犯防止を図る観点から重要な処遇の方法であり、個々の受刑者の問題性に応じて必要と認められる場合には、その実施を専ら受刑者の意思に委ねるのではない、委ねることは適当ではないという考え方に基づいているんだと思います。
刑罰といいますのは、応報刑と同時に、一般予防、特別予防を科すというのが現在の一般的な見解、つまり、相対的応報刑といいますのは、応報刑の枠の中で一般予防を目指すものであります。そこで考えますに、今回、特別予防のために科すもの、作業というのは、あるいは指導もそうですけれども、再犯防止という特別予防のために科すもの、特別予防という刑罰の目的を実現する上で必要かつ重要なものとして科すものでありますから、マンデラ・ルールに反するものではないというふうに考えております。
以上です。
 
○趙参考人
日本の今の刑務所なりの受刑施設での処遇が国際的な基準であるマンデラ・ルールに適合していない部分があるのではないかということは、いろいろ指摘がされているところです。
最近でも、受刑者の医療の問題について、これがマンデラ・ルールズに抵触しているということで、最高裁判所が、国の措置が違法だと判断したケースがありました。ですので、こういった国際的な基準に沿った刑罰の在り方が求められるべきだと思います。
今回の改正案とマンデラ・ルールズとの関係については私は承知しておりませんので、なかなかちょっと回答が難しいです。
 
○もとむら伸子
 貴重な御意見を本当にありがとうございました。
 
 

すべて表示

© 2010 - 2022 もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)