もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2019年 2月 19日 第198国会 総務委員会

不正は極めて遺憾/本村議員に統計委員長

しんぶん赤旗 2019年2月20日

不正は極めて遺憾/本村議員に統計委員長

 日本共産党の本村伸子議員は19日の衆院総務委員会で、厚生労働省の毎月勤労統計の不正調査を含む一連の統計不正をめぐり、総務省統計委員会の西村清彦委員長に対し、認識や今後の対応をただしました。
 本村氏は、統計委員会が昨年4月に勤労統計の数値に関する問題を指摘して厚労省に回答を求めてから、12月の不正の把握まで、同省への資料提出の要求などの経緯を質問。西村氏は今回の不正を「極めて遺憾」とし、見抜けなかったことは「慙愧(ざんき)に堪えない」と述べました。
 本村氏は、公的統計の予算と人員の深刻な実態について認識をただし、西村氏は「日本の統計の最大の問題は専門性が十分にできる前に人材が動くことだ。国際的な統計の論議に、日本から積極的に説明をする人材が育成されない」と述べました。
 本村氏は、昨年の統計法改正で各府省・統計部局に幹事を置いたことに言及。幹事に任命される統計部局長級職員は、内閣人事局の人事評価の対象となることから、「公的統計の政治からの独立性が担保されるか非常に危惧されている」と指摘しました。

 

議事録

198-衆-総務委員会-3号 2019年2月19日

○本村委員 日本共産党の本村伸子です。
 きょうは大臣の所信に対する質疑ということですけれども、大臣は、統計不正について、重く受けとめています、そして、検証を行い再発防止に全力を尽くします、賃金構造基本統計については行政評価局において調査しますというふうに言われております。
 真相究明、調査、検証、再発防止について本当に実効あるものにするために、きょうは西村統計委員長にお越しをいただき、質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、統計委員長にお伺いをしますけれども、統計委員長が昨年十二月十三日、違法性を指摘をし、十二月十四日、総務省が厚生労働省に、毎月勤労統計調査の実施に係る経緯等の報告及び注意喚起についてという文書を出しております。統計委員長あるいは統計委員会が毎月勤労統計調査についておかしいと思ったのは、昨年の一月の毎月勤労統計調査の速報値が出たときなのか、昨年六月の速報値が出たときなのか、あるいは別のときなのか、答弁をお願いしたいと思います。
○西村参考人 先ほどから申し上げていますように、この件は、十二月十三日に不適切な対応があるということがわかったわけで、実は、それ以前は全くそのようなことがあるというのは、想像だにしていなかったということであります。ただ、いろいろ説明が難しいところがあるので、分析を命じていたということが事実であります。
○本村委員 十月十三日に不正を認識をした、違法を認識をした、その前にも説明ができないようなことがあったということでしょうか。
○西村参考人 不適切なことというのは、そういうことはもちろんないということでやっていますが、説明がちゃんとできているかどうかということは、当然前から考えていたわけですね。したがって、説明がちゃんとできているのであるならば、それはそれで構わない。しかし、実際上は説明できなかった。そして、できなくて、不適切なことをしていたということがわかったというのがこの十二月の十三日ということです。
○本村委員 改めてですけれども、毎月勤労統計の不正についてどのような問題であるというふうに認識をされているかという点と、また、毎月勤労統計調査の不正について統計委員会として厚生労働省に今まで何を求めてきたのかという点、お伺いをしたいんです。
 昨年八月の統計委員会でも厚生労働省に資料の提出を求めておりますし、その後も、データの復元など、厚生労働省にさまざま求めているというふうに思います。厚生労働省に今まで何を求め、統計委員会に報告があったもの、統計委員会に報告がないものをお示しいただきたいというふうに思います。また、統計委員会に報告があったものについて、ぜひ資料を提出、お願いしたいと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。
○西村参考人 お答えさせていただきます。
 本事案を整理すると、三つの側面があります。
 一つは、全数調査で行うべきである東京都の五百人以上を勝手に抽出に変更するなど、本来の承認を受けた調査計画とは異なる方法で実施されたというのが第一点です。
 それから第二には、復元推計を実施していないなど、調査データの扱いに極めて初歩的な誤りが、犯した誤りがあった上、それを長期にわたって放置した、これが第二点です。
 第三点は、今回の事案は、実は統計改革の一環として制度改善を検討するためにこの毎勤統計を吟味していた統計委員会の活動として明らかになったということが私は重要な点で、それは皆様方にもきちんと理解していただきたいというふうに思います。
 極めて遺憾なことですが、これは事実なので、それをどういう形で再発を防止していくのかということはこれから考えていかなきゃいけないということで、厚生労働省には猛省を求めるとともに、徹底した原因究明と再発防止というのを求めたいということです。
 それからもう一つは、どのようなものを求めたかということですが、すごくいろんなやりとりがあるので、主要なものだけにちょっと限定させていただきます。
 二〇一八年の八月二十八日の統計委員会では、特に、新旧指数の接続や共通事業所系列の利用方法に関するわかりやすい説明資料を作成して九月の統計委員会に提出することということを厚生労働省に要請し、その結果は報告されております。
 その報告を受けて、断層縮小に向けた検討のために、先ほど申し上げました、私の指示のもとで詳細な分析に着手して、ほとんど断層が生じない全数調査である五百人以上の事業所に断層が生じているということに気がついたということです。
 これは、気がつくのにちょっと時間がかかったんじゃないかというような御批判があると思うんですが、統計委員会は、この当時は毎月勤労統計だけではなくて、今もそうですが、SNAの改定とか、四半期GDPのものとか、今度、経済センサス、それからGDPに即した形で調査統計を広げる、そういった非常に重い問題をたくさん抱えておりましたので、必ずしもこのことが最優先課題にはなっていなかったということがあります。
 その私の指示のもとに、その報告を受けたのが十二月十日で、これを、従業員の規模別の断層データを示して、その理由を厚生労働省に照会したというところで今回の事案が発覚したというのが事実であります。
 事案の発覚後は、一月十七日とそれから一月三十日の統計委員会において、五百人以上の事業所について全数に、求めて、そのように答申が出されたほか、それから、その他いろいろの質問、後で必要であればお話ししますが、そういうことを求めており、引き続き審議しているという形になります。
 統計委員会では、八月二十八日の統計委員会における厚生労働省からの報告では、厚生労働省が提供した新旧指数の接続方法に関する情報というのは、これは私は評価できるというふうに思いまして、それは非常に重要なものであると評価したわけですが、そのときの時点での問題というのは、やはり分かりやすい説明というのがなっていない、我々専門家から見てもわかりにくい、わかりにくいというか、正直言ってほとんどわからないというような、きちんと説明をしてもらわないとよくわからないというようなものでしたので、それでは困ると。利用者の理解促進に向けた取組としては不十分であるということを考えて、こういったものの利用方法に関するわかりやすい説明を作成するように要請したということがあります。
 その後、九月二十八日の統計委員会において説明資料が提出されたというのが経緯であります。
 以上です。
    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕
○本村委員 昨日も高橋千鶴子衆議院議員が二〇一八年分の毎月勤労統計調査の速報を資料として出しておりましたけれども、過去の分が真っ白であるということで、大変な甚大な被害であったというふうに思います。
 このことに対して、日本経済学会から統計委員長に声明が出ているというふうに思うんですけれども、
 日本経済学会としては、「毎月勤労統計」の過去のデータを速やかに復元すること、同時に「毎月勤労統計」を利用する国民経済計算などの関連統計を適切な手法で再推計することを政府に対し要望します。一般論として個票さえあれば、なすべき全数調査を行っていた時期に戻って比較検討することなどにより、かなり正確な統計に修正することができるはずです。学会員にも統計に関する多くの専門家がおり、こうした専門家の活用が必要です。
など声明が出されておりますし、日本統計学会、あるいは国民経済計算部会長を歴代務めていた方々からも、統計委員長に対して、さまざま声明、要望が出ておりますけれども、こうしたことにしっかりと応えていくということでよろしいでしょうか。
○西村参考人 日本経済学会、それから日本統計学会の声明というのは非常に重い声明だというふうに考えております。それから、過去のSNA部会長の合同の声明も非常に重要な声明だというふうに考えております。
 したがいまして、そういうような声明にあることについてはきちんとした形で対処していくという形で考えていきたいと思いますし、実際、そういう形で現在のところ統計委員会を運営しているところであります。
○本村委員 ありがとうございます。
 二十一年ぶりの名目賃金、賃上げ上昇率と八月七日の夕刊あるいは八月八日の朝刊に新聞各紙出ましたけれども、その後、統計委員会で段差の問題が議論をされております。昨年八月二十八日の統計委員会ですけれども、まず、どのような認識のもとでそうした議論をしたのかという点をお示しをいただきたいと思います。
○西村参考人 統計委員会は個別の統計に関しては審議していないものですから、名目賃金が二十一年ぶりの高水準になったという報道に関しての認識というのは、統計委員会そのものとしてはお答えできないという形になります。これは、統計技術的なものをやるのが統計委員会、統計委員会の委員長として、そういう形でお答えせざるを得ないという形で考えております。
○本村委員 二十一年ぶりの名目賃金、賃上げ上昇率については、そういう関心を持って審議はしていないということですか。
○西村参考人 統計委員会というのはどういう組織かというと、統計がどういうふうにつくられているか、つくられているそのつくられ方が統計技術的に妥当なものかどうかというのを審議する形になります。したがって、結果としてどういう形になるかということについては、結果、統計のデータとしてもちろん見ますけれども、その数字がどういう意味を持っているかとか、そういうものに関しての審議はしないということなんですね。それはそれぞれの、例えば政策担当者それからエコノミスト、そういう人たちが判断することであるというふうに考えております。
○本村委員 政治からの独立性の問題について総務省にお伺いすると、やはり統計委員会の役割というのが非常に大きいということで、いろいろな法文などを引いて御回答いただいたわけですけれども、そうした点でも、このことを問題視しなかったという点は非常に問題だというふうに思っております。
 ちょっと総務省の方にお伺いをしたいんですけれども、先ほど奥野議員が言われました、二〇一八年八月二十八日以降の七回分の統計委員会の議事録が出ておりません。今回の統計不正の真相究明のためにも急いで必要だというふうに思いますし、統計委員会の役割についても私どもが考える上でも必要だというふうに思いますし、今後の統計の問題でも素早く是正をするということが何よりも大事だというふうに思いますので、人をふやして、すぐに公開できるような体制をぜひ大臣含めてお願いをしたいというふうに思いますのと、きょうも点検検証部会が行われるということですけれども、その議事録もすぐに出していただきたい。人員をすぐにふやしてやっていただきたいと思いますけれども。
○横田(信)政府参考人 議事録、議事概要については、非常におくれておることにつきましては重ね重ねおわびさせていただきます。
 統計委員会については、これは部会も含めまして、会議は原則公開という形にして、透明性の確保はこれまでも図ってきたつもりでございます。また、ちょっとおくれておるものについては、これもなるべく早くやるということで努力してまいります。
 よろしくお願いします。
○本村委員 この審議も、議事概要でしか議論ができないというのは問題だというふうに思うんです。いつまでに出していただけるでしょうか。
○横田(信)政府参考人 極力早く出したいと考えております。
○本村委員 大臣、人をふやして、ぜひ早く出していただきたいんですけれども、大臣、通告をしておりませんけれども、お答えをいただきたいと思います。
○石田国務大臣 議事概要と議事録についてはその都度出させていただいて、議事概要はあと三回分ぐらいかな、出ていないのは。それから、議事録は少しおくれておりますけれども、できるだけ速やかに提出できるように頑張りたいと思います。
○本村委員 ぜひ、人をふやして、早急にお願いをしたいというふうに思います。
 八月二十八日の統計委員会でも、厚生労働省はうその説明をしたわけでございます。二〇一七年に比べて二〇一八年の毎勤統計の結果に段差があることについて、厚生労働省は、部分入れかえによる寄与分と、あと、労働者推計のベンチマークの更新による寄与などで、二〇一八年一月分はこれによって二千八十六円上がったというふうに説明をしたわけでございます。
 この後、厚生労働省の説明が虚偽であったということが明らかになっているわけですけれども、東京都の五百人以上の事業所が全数調査しなければならなかったのに三分の一しかしていなかったという問題ですとか、あるいは、こっそり三倍補正というふうに言われているのが二〇一八年。小川淳也議員などでは、日雇労働者を含めないですとか、そうしたさまざまなことで、しかも遡及をして過去分補正をしなかったということも含めて、二十一年ぶりの名目賃金伸び率といううその情報が飛び交ってしまった、結構な期間飛び交ってしまったということが明らかになっております。
 九月には総裁選挙があった。このことにも影響したのではないかということも言われておりますけれども、八月の段階で統計委員会でせっかく議論をしたのに見抜けなかった。四月の段階で厚生労働省に問題を指摘して回答を求めていたと事務局の方からお伺いをしましたけれども、その説明が、やっと八月二十八日、統計委員会に報告があったということでしたけれども、この期間、ただ待っていたということも問題だったのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○西村参考人 結果的に申し上げますと待っていたということになってしまったのは、ざんきにたえないというふうには思います。
 ただし、この時期は、今もそうですけれども、SNAの部会、それから人口・社会部会でのさまざまな審議というのは、審議がふくそうしておりまして、統計委員会は、残念ながらさほど人数がおりません。今回、随分またふやしていただきましたが、それまでは非常に少ない人数で非常に多くのものをこなしていましたので、正直言って、うそをつくとは思っていませんでしたので、基本的に、毎勤統計に関してのプライオリティーはそんなに高くなかったということであります。
 そういったことがこういった問題に、発生してしまったということに関しては、ざんきにたえないというふうに思っております。
○本村委員 厚生労働省が統計のプロからして信じられないことを行った、そういう不正であったということだというふうに思いますけれども、この八月二十八日の統計委員会、昨年の議論の中で、もう一つ気になることがございます。
 これは、議事要旨しか公開されていないので、なかなか議論を深めるにもまた一段階置かないといけないということですけれども、ここに、さかのぼって前年同月比を遡及して改定した値については、非常にわかりにくい、使いにくいという声によって、今回の諮問・答申に至ったという経緯がある、よって、それに着目したような指数を提供する必要はないと考えているというふうに誰かが述べているということですけれども、これは誰の発言でどういうことなのか、お示しをいただきたいと思います。
○西村参考人 済みません、この点に関しては議事録が出れば明確になることなので、本来ならば議事録がきちんと早く出ていなきゃいけないということで、そうなっていないので非常に申しわけないと思っております。
 これは、事務局がそれまでの統計委員会における議論の一端を紹介したというものであります。したがって、この発言を受けて統計委員会が判断したということではありません。
○本村委員 確認ですけれども、入れかえ部分、あるいは労働者推計のベンチマークの更新の部分、遡及して補正して前年同月比を出さなくてもいいというふうに統計委員会は判断したんでしょうか。
○西村参考人 これは、そういう議論があったということで、統計委員会として何かこういうことを決めたということでは全くありません。
○本村委員 昨日の予算委員会で、西村委員長、ウエート変更の問題は事実上ペンディングとおっしゃっていますけれども、これはどういう意味でしょうか。
○西村参考人 これは、ペンディングと申し上げましたが、その時点では審議はしていなかったということです。
 それで、その後、これは原則論を申し上げますと、企業や世帯に調査票を送付して回収された調査票を集計して作成される調査に基づく統計、調査統計ですが、これは、調査票をそのまま集計するので、原則として遡及改定はしないということを既に決めておりましたので、この時点ではその話はしなかったんですが、最終的には、それについての見解というのを、二〇一八年の八月二十八日に、明確に、遡及改定はしないということについての統計委員会の見解というのを明らかにしております。
○本村委員 八月の段階で二十一年ぶりの名目賃金上昇率という報道があったんですけれども、この点について、他人の背を比べて背が伸びたと言っているようなものだというふうにも言われておりますけれども、遡及して補正しなくてもいいという、比べる問題はまた別の問題があるかというふうに思いますけれども、別のものを比べて二十一年ぶりの名目賃金上昇率というのはやはり問題だと思うんですけれども、その点。
○西村参考人 このときの議論というのは、横断的に調査統計をいろいろ比較し、そしてその中で統一的にしていくという、そういう形で審議をしたわけですね。そうすると、ほかの統計ではそういった形の遡及はなされていないので、この毎月勤労統計に関しても、そういった統計は遡及はしないという形になっています。
 ただし、重要な点というのは、そういったものが、それを、きちんとした情報を提供して、しかも適時開示で、それから透明性のある形で情報を提供して、それをユーザーが自分の目的意識に従ってきちんと計算できるようにするということが重要なので、そちらの方をきちんとやれというのが、この八月二十八日の決定の背景にあるということであります。
 だから、毎月勤労統計だけを取り上げてということではなくて、ほかの統計との整合性を考えて、これに関してもその形でやる。しかし、重要な、必要な情報は全部出して、それがどういう形でつくられているのか、そしてそれがどういうふうな性質を持っているのか、そういったものは必ず適時に開示して、そして透明性のある形で開示しろというのが、統計委員会の基本的な態度です。
○本村委員 ユーザーと言われても、さまざま、いろんな方がみえるので、やはり、他人の背を比べて背が伸びたという比較自体がおかしいというふうに思います。
 昨年八月二十八日の統計委員会で厚生労働省に提出を求めていたものはある部分返ってきたということですけれども、統計委員会に出された資料に関して分析、検討した結果をお示しをいただきたいと思います。
○西村参考人 九月二十八日の統計委員会の、関連する御質問だと思いますけれども、分析結果というのは、まずは、ちょっと待ってください、済みません、統計委員会の、厚生労働省からの情報ということですね。わかりました。
 産業計及び産業別の現金給与総額についての要因分解をしたデータを頂戴したわけですが、これについては、分析結果というのは平成三十年の十月二十二日の国民経済計算体系的整備部会に報告されております。その後、部会長より、十月二十五日の統計委員会にその概要が報告されております。
 主な分析結果というのは、二〇一八年の七—九月期の一次QEにおいて、毎月勤労統計を用いている雇用者報酬の二〇〇九年から七月期それから二〇一八年から四—六月期の計数を遡及改定するというものであります。
 以上です。
○本村委員 九月の二十八日の統計委員会で出されたので、厚生労働省と協力しながら分析、検討をしていく、その結果について委員会に報告するというふうにありまして、十月以降に事務局の方が分析をして、五百人以上の事業所がおかしいというふうになって、十二月十三日の発言に至ったんだということだというふうに思います。
 先ほど来お話がありましたけれども、次に、公的統計のリソースの問題についてもお伺いをしたいというふうに思います。
 公的統計の各府省の現場の予算と人員がかなり深刻な事態であるという認識を、先ほども、統計委員長として具体的にお持ちになられているというふうに思います。
 厚生労働省の賃金構造基本統計では、長年郵送で行われてきた、調査員が一人で千カ所を超える事業所を担当するというような現実的ではない実態があったわけですけれども、こういう実態は、長年、統計委員会があるわけですけれども、わからなかったのだろうか。予算が妥当かということも含めて、承認された統計の計画が、調査の計画が本当に現場で実現できる内容なのかということも含めて状況把握をするべきだったのではないかというふうに思っております。
 先ほども紹介をいたしました日本統計学会は、一月二十八日の声明でも、近年の行政改革による人員、予算の削減による影響が懸念されるというふうに指摘をしております。
 公的統計の司令塔である統計委員会は、この職員の削減、経験の非連続性について、どう認識し、どう対処すべきとしてきたか、そして、対策としてどうアクションをしてきたのかという点、お示しをいただきたいと思います。
○西村参考人 お答え申し上げます。
 この件については、私ども統計委員会の中でも、非常に強い問題意識を持っていました。特に、統計作成部局の予算や人員体制のあり方については問題意識があったわけです。
 しかしながら、統計委員会というのは、それまでそれを対外的に表明する機能というのを有していなかったんですが、昨年の統計法の改正によって、統計委員会の機能が強化されて、各府省の所管する統計調査について、予算や人材の配分を含めて、自律的、機動的に政策提言を行うということができるようになったわけです。ただし、これは非常にリミテッドというか、制約のあるものですが、それに基づいて、昨年七月に、統計リソースをどのような分野に重点配分すべきかなどの建議を行ったところであります。
 統計調査を所管する府省においては、当該の統計調査の諮問に当たっては、調査の実施に必要な体制というのは、調査計画を策定していますので、それは審査できるわけですが、個別具体の人員体制というまでには実は把握しておりません。
 それから、賃金構造基本統計については、十分な情報がありませんし、現在、行政評価局において調査が行われているというところでありますので、我々は、それも踏まえながら、点検検証部会で、基幹統計及び一般統計調査について、再発防止や品質向上といった観点から徹底した検証を行いたいと思っています。
 それから、リソースの件に関しては、非常に重要な点なので、ぜひとも、現在の統計委員会のシステムでは限界がありますので、それを超える形で、人員を政府の全体の中で考えていただきたいというふうに思っております。
○本村委員 ぜひ、私どもも、リソース、予算、人員の充実のために力を尽くしたいというふうに思っております。
 統計委員会の初代委員長である竹内啓さんがインタビューに答えて、極めて重大な問題です、データを真剣に取り扱う姿勢が欠けてきているのではないかというふうに指摘をしております。
 昨日もNHKが報道しておりましたけれども、不正が行われた期間に統計業務に携わっていたかつての厚生労働省の担当者が、毎月勤労統計調査がさまざまな政策に関係する重要な統計だと知らなかったという発言をされたり、あるいは、人事異動が頻繁にあるため、仕事の内容がやっと理解できたタイミングで異動してしまう、先輩の引継ぎに従うだけで精いっぱいだったと。不正には全く気づいていなかった、統計の部署は人員や予算を削減され、いつも業務に追われていた、さらに、縦割りの体質で横の人が何をやっているかチェックもしなかったとインタビューに答えておられました。
 公的統計に関する基本的な姿勢が崩れているということが指摘をされているというふうに思うんですけれども、西村委員長はこれについてどういう認識を持っておられるのかという点と、繊維流通統計調査でも同じようなことがございましたけれども、データを真剣に取り扱う姿勢をどのように国として担保をしていくのか、教育、研修のあり方についてぜひお示しをいただきたいと思います。
○西村参考人 竹内先生は私の先生でもありますので。それから、この点に関しては、全く同じあれを持っております。
 公的統計の品質確保、向上というのに関しては、これはもう、統計に対する専門性を有する人材の確保、育成というのは極めて重要です。
 こうした認識のもとで、統計委員会は、一応、議論としては、昨年の四月に、政府全体を通じた統計人材の確保、養成について決定したところであります。それは三つの点で、特に、各府省において計画的な採用をしてほしい、それから、オン・ザ・ジョブ・トレーニングや研修を通じた能力開発をきちんとしてほしい、それから、統計部門においては、各府省間の人材交流など、戦略的、重点的な統計人材の確保、育成の取組を進めることが必要であることを提言しております。
 これは統計委員会の中でのいろんな議論で出てくることですが、やはり、日本の統計の最大の問題というのは、専門性が十分にできる前に人材が動いてしまうということであります。そして、それが国際的にも非常に重要な、重要なというか、悪い影響を及ぼしていまして、国際的な統計の論議に関して日本から積極的な説明をする人が育成されないということになっています。
 だから、そういうことも含めて、統計委員会としては、こういった公式の文書だけではなくて、いろいろな形で、各府省の統計幹事なりいろいろなところを通しながら、そういったことを実態としてできるように、つまり、お題目としてそれをやるということを決めるのではなくて、実態としてできるようにお願いしているという形になっています。
 そのためには、やはり国民の信頼ということが不可欠ですから、統計に関する職員の基本的な考え方、先ほど議員がおっしゃいました、ああいうような、信頼性を失わさせるような、そういった、プロとは言いがたいような言動が起きるようなことが二度と起こらないように、きちんとした再発防止策というのをこれから考えていかなきゃいけないというふうに考えております。
 以上です。
○本村委員 統計委員長、五時までということですので、最後に一問お願いをしたいというふうに思います。
 公的統計は政治からの独立性が担保されなければならないというふうに思いますけれども、国際的な統計の考え方には、統計機関は、ほかの政府機関、あるいは政策、規制、あるいは行政の省や機関、民間部門、あるいは利害が潜在的に相反すると考えられ得るいかなるほかの人物あるいは単位からのいかなる政治的その他の介入あるいは圧力なしに統計を開発、生産、配布する義務を持つというふうにございます。
 政治からの圧力ですとかそんたくですとか、今回の統計不正でもあったのではないかというふうに言われておりますけれども、日本で、公的統計について、本当に政治からの独立性を担保しようとより明確にする場合、どこを変える必要があると考えているのか。
 あるいは、各府省の統計部局長の皆さん方は、部局長級の方々というのは、当然、内閣人事局の人事評価の対象となる幹部でございます。政治からの中立性、独立性の担保はどのようにとれるというふうに考えておられますでしょうか。
○西村参考人 まず最初に、最後の点からお答えいたしますが、これは、残念ながら、私は法律の専門家ではありませんので、国家公務員制度については余りつまびらかにありませんので、具体的なコメントは差し控えたいというふうに思います。
 それから、独立性、独立性というか中立性ですね。中立性についてはまことにおっしゃるとおりで、それを、統計委員会の委員長として、統計委員会の運営に関しては、それが実際上担保できるような形で運営をするということは心がけております。その中で、先ほど申し上げましたけれども、中立性、適時開示それから透明性、この三つが重要で、そしてそれが国民に対して開かれた形でわかるという形にしなきゃいけないというふうに考えております。
 それで、それ以上の制度的な要因というのは、統計委員会が何かするということではなくて、全体を含めた統計システムというのは、政府内、それから国会を含めてお考えいただきたい。非常に危機的な状況であることは確かですので、これを克服して、危機をばねにして、よりよい統計をつくっていくということをお願いしたいと思います。
 そういう方向として、我々は、今、毎勤統計のことだけが問題になっていますが、いろいろな、統計改革は進めております。例えば、GDPの統計に関してもいろんな形で進めております。そういったものの正しい目を、正しい目というかふさわしい目を、我々、大きく広げていくようなサポートをお願いしたいというふうに思っております。
 以上です。
○本村委員 ありがとうございます。
 昨年の統計法の改定の中で……
○江田委員長 済みませんね。
 西村委員長、ありがとうございました。御退席いただいても結構でございます。
 御配慮ください。(拍手)
○本村委員 ありがとうございます。またお越しをいただきたいというふうに思います。
 昨年の統計法の改定で、各府省に統計委員等の補佐役として、各府省の連絡ですとか、あるいは統計部局での意見集約ですとか、事務局の役割を担う幹事を置くことになりました。各府省の統計部局長級の職員から内閣総理大臣が任命するということになっておりまして、先ほど統計委員長は具体的な言及は避けるというふうに言われましたけれども、やはり、これで統計の独立性というのが確保できるのかということが非常に危惧をされるという点を指摘しておきたいというふうに思います。
 続きまして、総務大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
 今回の統計不正事件を契機につくられた政府統計検証チームは三十人の体制というんですけれども、どのような職員を集めたんでしょうか。当時の所属、もともと所属していた省庁、部署名、人数、肩書なども含めて言っていただきたいのと、あと、検証専任なのかあるいは兼務なのかという点、そして、この統計検証チームは常設なのか臨時なのかという点、お示しをいただきたいと思います。
○横田(信)政府参考人 済みません、申しわけございません。ちょっと通告がございませんでしたので、ちょっと今手元にございませんでしたけれども、三十名のうち、一番の責任者は私ということでございます。以下、審議官相当職、それから課長相当職、課長補佐相当職以下で構成されております。
○本村委員 済みません、通告は大分前に、本当は資料として求めたのに来ないからこの場で、通告もしておりますし、その前に資料も求めていますけれども、来ないからここで審議しなければならないということでございます。
○横田(信)政府参考人 ああ、恐縮でございます。
 あと、済みません。ちょっと申しおくれましたけれども、職員の体制ということでいいますと、これは全て兼務ということでございます。
○本村委員 どこの省庁から来られている、内訳を教えていただきたいんです。どこの省庁、どこの部署、人数。
○横田(信)政府参考人 済みません。
 それでは、調べてまたお答えしたいと思います。
○本村委員 もう人はちゃんと決まっているんでしょうか。
 ごめんなさい。まず、任命しますよね。それを見れば全部すぐわかるんじゃないですか。私、先週この資料をお願いしたんですけれども、なぜこんなに時間がかかるんでしょうか。
○横田(信)政府参考人 済みません。
 ちょっと詳細を承知しておりませんでしたけれども、これは全て任命した形になってございますので、特に、少しお時間をいただければ対応できるものでございます。
○本村委員 この点についても、審議を充実させるために、もしかして、統計不正の問題があって総務省の皆さん方も大変お忙しいのかもしれませんので、人員体制も強化していただいて、資料も早急に出るように、大臣、お願いしたいと思います、大臣。(石田国務大臣「じゃ、先にちょっと答弁」と呼ぶ)いいです。じゃ、要望とさせていただきます。それはお願いしたいというふうに思います。
 毎月勤労統計調査の不正事件で、厚生労働省の報告書、特別監査委員会の報告書と言われていますけれども、第三者性が問われていますので、厚生労働省の報告書とあえて申し上げたいというふうに思いますけれども、これを読みますと、事務取扱要領の改定の時期ですとか、あるいは都道府県に出している事務連絡の発出した際ですとか、システム、プログラムを改修した際にちゃんとチェックしていれば、今回の毎月勤労統計調査の不正は見抜けたというふうに思いますけれども、その点、大臣、いかがでしょうか。
○横田(信)政府参考人 お答えいたします。
 基本的には、各省は、承認された調査計画に基づいて適切に調査を実施することとなっております。
 今回の毎月勤労統計調査の不正事案につきましては、これも、基本的には、厚生労働省が作成する事務取扱要領や復元プログラムの改修時などに、本来的には各省が適正にチェックすべきものであったというふうに考えております。
 しかしながら、こういう事態に立ち至ったということでございますので、私どもとしても、今後どういう形でチェックしていけばいいのかということは、先ほど来出ております品質検証部会等の議論を踏まえまして、また検討していきたいというふうに考えております。
○本村委員 事務取扱要領の改定ですとか、事務連絡を発出した際ですとか、システム、プログラムを改修した際にチェックするには、それなりの体制をまた強化しなければいけないというふうに思います。その点について、ぜひ大臣に、増員を、政府全体として、各府省できるようにしていただきたいというふうに思います。
 一つ一つの基幹統計ですとか一般統計について、少なくとも年一回、統計不正がないかなど、今までは性善説でやっていたかもしれませんけれども、それではだめだということが、繊維流通統計ですとか、あるいは今回の毎月勤労統計の調査の不正でわかったというふうに思いますので、統計専任職員がおられる地方統計機構の現場がどうなっているのか、労働局を始め地方事務所の現場がどうなっているかということも含めて、実地調査も含めて、詳細なチェックをする体制が必要だというふうに思いますけれども、大臣、お答えをいただきたいと思います。
○石田国務大臣 この事案についてはさまざまな御指摘をいただいているわけでございまして、繰り返しの答弁になりますけれども、今、毎勤統計では厚労省の特別監察委員会、そして賃金統計では総務省の行政評価局、そして統計委員会における点検検証部会、先ほどの足立議員の御指摘では、これで第三者性を保てるのかという御指摘もございますけれども、今はその各部門において調査を行っているわけでございまして、速やかにその調査を実行していただいて、そしてその上で、それを踏まえて、いろいろな御指摘がございますから、そういうものを勘案しながら、統計行政、あるべき姿というものをもう一度しっかり議論していく、総合的に考えていく、検討していく、そういうことであろうかと思っております。
○本村委員 チェックできるような体制強化をぜひやっていただきたいと思います。
 最後に、今御答弁がございました統計委員会点検検証部会はいつまでに何を行うのか、再発防止が出るにはいつごろをめどに考えているのか、大臣に答弁をしていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○石田国務大臣 点検検証部会は、再発防止、統計の品質向上の観点から、各府省が所管する統計について、春までをめどに統一的な審査を行い、その結果をもとに重点的に検証を行うべき統計や項目を絞り込んだ検証を行いまして、夏の時点で一旦結論を得ることを念頭に進めることとしている、そのように承知をいたしております。
○本村委員 まだまだ審議が必要だというふうに思いますので、この統計不正の問題に集中審議をお願いを申し上げまして、終わらせていただきます。
 ありがとうございます。
   

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