しんぶん赤旗 2019年3月2日
地方税法・所得税法改悪案 本村・宮本徹議員が反対討論 衆院委で可決
2019年度予算の関連法案である地方税法や所得税法などの改定案が1日、衆院総務委員会と同財務金融委員会でそれぞれ、自民党、公明党などの賛成多数で可決されました。日本共産党、立憲民主党、国民民主党、社会保障を立て直す国民会議、自由党、社民党は反対しました。
日本共産党の本村伸子議員は総務委で地方税法等改定案の反対討論に立ち、地方交付税の法定率を引き上げて財源保障機能と財政調整機能を発揮させることなどを求めました。
また、安倍政権が拡大を狙う「トップランナー方式」を「地方交付税を削り、自治体にアウトソーシングを押しつける」と批判しました。
本村氏は、新設される特別法人事業税は、地方の財源を国が取り上げて他の自治体に配分するもので「地方税制にゆがみを持ちこむ」と強調しました。
森林環境税は、東日本大震災を口実に導入された個人住民税均等割への上乗せ増税を「看板を変えて継続するもの」と指摘。均等割は逆進性の高い税であり「国民生活を圧迫するやり方はやめるべきだ」と訴えました。
財金委では日本共産党の宮本徹議員が所得税法等改正案について反対討論。消費税増税による5%「ポイント還元」対策に関し「キャッシュレス決済は利益の少ない零細事業者に新たな負担を強いる」「導入を避ければ、消費者の選択から排除されかねない」と批判しました。
宮本氏は、政府の増税「対策」を批判し、「住民税非課税世帯でない高齢者世帯や単身の低所得の勤労者に対し、逆進性を緩和する対策がない」と指摘しました。
さらに、複数税率とセットで導入されるインボイス制度は「小規模事業者を苦境・廃業に追い込む」と批判し、消費税増税の中止と応能負担の税制改革を訴えました。
宮本氏は、法人税を空洞化させている租税特別措置など大企業優遇税制が「温存・拡充されている」と批判し、「応分の負担を大企業に求めるべきだ」と強調しました。
議事録
198-衆-本会議-9号 2019年3月2日
○本村伸子君 私は、日本共産党を代表し、地方税法、地方交付税法の改定案、特別法人事業税及び譲与税法案、森林環境税及び譲与税法案に対し、一括して反対の討論を行います。(拍手)
地方自治体が憲法と地方自治法に基づき住民の福祉の増進を図るために、地方財政の確立が必要です。消費税増税に頼るのではなく、富裕層と大企業に応分の負担を求め、税制の総合的な見直しを行うとともに、地方交付税の法定率を抜本的に引き上げ、財源の保障機能と財政の調整機能を十分に発揮させていくべきです。
ところが、政府の地方財政政策はこれに逆行するものとなっています。
地方交付税法では、交付税算定へのトップランナー方式を拡大しています。安倍内閣は、骨太方針、改革工程表に基づき、社会保障費を始めとする地方の一般財源を厳しく抑制しています。民間委託などによって削減した経費水準を地方交付税の単位費用に反映するトップランナー方式を、来年度、学校用務員などで更に段階的に拡大します。制度導入以降、来年度までで影響額は合計千五百億円となります。
地方交付税を削り、一層のアウトソーシングを推し進め、水道の広域化、PPP、PFI、コンセッションを推進することは直ちにやめるべきです。
地方税法では、消費税一〇%への増税強行を前提にしています。上下水道や給食費など、公共サービス料金を更に引き上げ、そして地域の医療機関の経営圧迫など、消費税増税は住民生活に大打撃となります。
自動車保有税の恒久的な引下げと環境性能割一%減税は、業界団体の要望に応え、消費税増税による駆け込み需要と反動減への対策を行うものです。一部にしか恩恵の及ばない対策ではなく、消費税増税そのものを中止するべきです。
さらに、消費税増税で自治体間の財政格差を拡大させながら、その格差是正の責任を一部の自治体に押しつけるやり方も問題です。
新設される特別法人事業税は、地方税を国が取り上げ、ほかの自治体に回すやり方を恒久化するものです。地方自治体の課税自主権を侵害するもので、地方税制にゆがみを持ち込むことには反対です。自治体間の財政格差は、地方交付税の財政調整機能を回復させ、国の責任で是正するべきです。
また、森林環境税は、東日本大震災を口実に導入し、二〇二三年度で終了とされていた個人住民税均等割への上乗せ千円を看板をかえて継続するものです。
個人住民税の均等割は、所得割が非課税の人にも課税となる逆進性の高い税です。国民生活を圧迫するやり方はやめるべきです。森林整備の財源は、国の一般会計での森林予算や地方交付税で保障するべきです。
最後に、沖縄の県民投票です。
辺野古の埋立てに反対は七一・七%と圧倒的多数を占め、沖縄県民の明確な民意が示されました。政府はこの結果を正面から受けとめるべきです。
昨日の予算委員会で日本共産党の赤嶺政賢議員が指摘したように、この問題の原点は、米軍兵士による少女暴行事件です。米軍基地があるがゆえの苦しみや悲しみが続いているからこそ、基地を縮小、撤去してほしいと訴え続けてきたのです。その沖縄の方々に、辺野古を受け入れなければ普天間は返さない、なぜそんな理不尽なことが言えるのですか。
埋立工事は直ちに中止し、沖縄県と誠実に話し合うべきです。
日本共産党は、新基地建設計画の撤回と普天間基地の無条件撤去を目指し、全力を尽くすことを表明し、討論とさせていただきます。(拍手)