もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2019年 4月 9日 第198国会 総務委員会

統計の監視 体制必要

しんぶん赤旗 2019年4月23日

統計の監視 体制必要 本村氏「反省の上に」

 日本共産党の本村伸子議員は9日の衆院総務委員会で、一連の統計不正問題をめぐる検証や再発防止について、西村清彦統計委員長に質問しました。

 本村氏は、2017年の一斉点検で毎月勤労統計や賃金構造基本統計の不正が見抜けなかったと指摘し、その反省の上に、現在進行している統計委員会の点検検証部会の検証では(1)十分な人材育成、統計の職員体制(2)管理者による統計の重要性の深い認識に基づくチェック(3)十分な順法意識、適切な行政文書の管理(4)踏み込んだ外部からのチェック―などについて「詳細なチェックをする体制が必要だ」と主張。西村委員長は「2017年の一斉点検についてはじくじたる思いだ」「できる範囲の中で最善のことをやっていく」と答えました。

 本村氏は、経済統計学会が声明で毎月勤労統計不正の原因として「統計職員並びに統計予算の削減」「調査の企画・実施者内の制度的な意思疎通の齟齬(そご)」をあげていると指摘し、「どう究明するのか」と質問。西村委員長は「経済統計学会の声明は重い」として「統計委員会のやれる範囲を広げやっていきたい」と答えました。

 

議事録

198-衆-総務委員会-11号 2019年4月9日

○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。
 統計不正についてお伺いをいたします。
 二〇一六年、経済産業省の繊維流通統計調査の不正が明らかになりました。西村統計委員長はこの不正について、大変遺憾というか、怒りを覚えている、はっきり申し上げまして、これは捏造です、実態とは何なんですか、調べていないのに実態がわかるわけがないでしょう、だから、実態に近づけるのではなくて、これは統計調査をいかにつじつまを合わせるかということだけでつくった、つまり捏造です、しかも組織ぐるみでそれが行われていたということがわかってしまったということは非常に大きな問題と述べておられます。
 この繊維流通統計調査の不正が発端となりまして、総務省は二〇一七年に一斉点検を行いました。このときに、毎月勤労統計調査あるいは賃金構造基本統計調査について、今日明らかとなっている不正について明らかにすることはできませんでした。この一斉点検は、いわば書類調査のみで、形ばかりのものでございました。統計委員会にもこのことは報告をされ、再発防止策についても統計委員会に報告をされておりますけれども、この問題について統計委員長にお伺いをいたします。
 二〇一七年の総務省の一斉点検の評価についてお伺いをしたいと思います。
○西村参考人 この一斉調査についての性格をちょっと明確にしておきたいんですが、これは、承認された調査計画と実際の調査内容の相違について、各府省がみずから点検してその報告を求めたというものですね。そのときに、統計委員会で結果の報告を受けて、私からは特に、公的統計が国民にとって合理的な意思決定を行うための基盤であるということを改めて認識していただき、今後とも、統計の作成、提供に努めていただきたいという旨のコメントを出しております。それがこの時点での私の評価です。
○本村委員 二月にも質問をしているんですけれども、発端となった繊維流通統計調査の不正の原因分析を踏まえまして、四つの点でチェックが必要だったということで申し上げました。一つが、十分な人材育成がなされ、統計の職員体制があるのかということ。二点目が、管理者の統計の重要性の深い認識に基づくチェックがなされているかという点。三点目が、十分な遵法意識、適切な行政文書の管理がなされているか。四点目が、踏み込んだ外部からのチェックがなされているか。こうしたことをなぜ二〇一七年の一斉点検ではチェックする点検にならなかったのか。
 この二〇一七年の一斉点検では厚生労働省にだまされてしまったわけですから、今回はだまされることがないようにということで、今言った四点、しっかりとチェックをするべきだというふうに考えております。
 この問題について総務大臣に質問をした際に、統計委員会点検検証部会でちゃんとやるという御趣旨の答弁がございました。私が指摘をした点を含めて検証が行われるものと思っているというふうに大臣は答弁をされております。
 統計委員長にお伺いをいたしますけれども、既に走り出している点検検証部会では、こうした点についてはどのようにチェックをしていくのでしょうか。
    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕
○西村参考人 二〇一七年でああいうことが起こったにもかかわらず、それが全くその後にプラスの影響を持ってこなかったというのは非常に遺憾でありますし、私としてもじくじたる思いであります。
 そこで、点検検証部会を立ち上げるときに、極めて明確な形で、中立性の確保とか、それからもう一点は、そういうふうに明確に書いたものがあるかどうか、ちょっと私、記憶にありませんが、少なくとも私は、例えば、要するに、全てを事務局任せにするのではなくて、基本的には点検検証部会の委員が率先して何をするかということもやりますし、それから事務局に対して指示を出す、そういう形でやってくれという形で指示を出しております。
 これは、こういう問題が起きたときに、どうも事務局任せにするとなかなかうまくいかないということがあるということは事務局自体もわかっていますので、そういうことをあわせて、きちんとした、調査の質の向上ということを担保するためにこういう形の仕組みにしたわけです。
 それからもう一つは、前のものは、いわば、自分たちで勝手にというか、自分たちで自己評価して考えなさいということですが、今回の場合はそうではなくて、非常に詳しく、先ほど委員が、議員がおっしゃったように、非常に詳しくアイテマイズして調査をするという形になっています。
 その中には、例えば、人員、体制、職員の統計研修受講状況とか、それから、統計作成の各段階における審査を実際にどうやっているのか。レンジのチェックとか時系列のチェックとか、当たり前なんですと思うんですが、実際上それがなされていないケースというのがあるということがあるわけですね。それから、調査票情報等の保存です。この保存なんというのは当たり前だと思うんですが、ついこの間まで当たり前ではなかった。それから、委託業者や地方公共団体の履行の確認、過去の調査結果の訂正、公表の状況、こういったものを数十項目に分けて、これを書面で詳細な情報の報告を各府省から受けた上で、二つのワーキンググループで精力的にヒアリングをするという形で行っています。
 これはどういうことかというと、やはり、どういうものでも、妙なことをしていると、幾つかの非常に詳しいものを提出させると相互にそごが出てきますから、それを使って我々としてはきちんとしたものができる、調査ができる。その調査の質というのは、この点検検証部会をなさっている委員の方々、それから専門委員の方々、そういう方々のいわばエクスパティーズというか、能力に依存しているという形になります。
 今回の場合は、そういう意味で、我々としてはほぼベストと思われる方をお願いすることができたと思っていますので、これをきちんとやっていくというのが、このようなことを二度と起こさないための一つのものだと思います。
 でも、重要なのは、最終的にそういったものをきちんと正確に、うそではなくて、本当のことを正直に報告してもらうということが前提になります。だから、そういう意味で、考え方としては性善説にあくまでも立っていますので、これをきちんと各統計部局は考えていただきたいということです。
 性悪説に立った検査、つまり、我々が検察官のようになるということもあるんですが、そのためには、人員と時間というのが恐ろしくかかりますので、それはやはり、ちょっと基本的には無理だろう。我々がやれるのは、我々のこの範囲の中で最善のことをやっていくという形になると思います。
 それから、これは、基幹統計ではなくて、一般統計についても基幹統計に準じて各府省で自己点検を進めており、基幹統計のヒアリングを終えた後で点検検証部会で報告がなされて、またここで一応きちんとした審査をするという形になっております。
 以上です。
○本村委員 二〇一七年の一斉点検、再発防止策は形ばかりでちゃんとできていなかったということですけれども、今回は、その反省を踏まえて、一つ一つの基幹統計、一般統計について、統計専任職員がおられる地方統計機構の現場ですとか、あるいは労働局始め地方事務所の現場など、実地調査をして詳細なチェックをする体制が必要だというふうに私は思っております。
 また、統計委員会、点検検証部会の議事録も今滞っておりまして、これも速やかに出せる体制が必要だというふうに思っております。
 五十六の基幹統計、二百三十三の一般統計、今の点検検証部会の人数あるいは政府統計の検証チーム三十一人体制で本当にできるかという点、統計委員長としてどうお考えでしょうか。
    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕
○西村参考人 できるかと言われて、これはやるしかないと言うことしかないと思います。
 人員が足らないということは、そういう意味で、検察のような形で人員をやるわけにいきませんし、それから、実地の調査といってもなかなか、委員の方々も非常勤の先生方ですし、そういった形でやるというのは非常に難しいのですが、ただ、基本的には、いろんなものは、統計というのは、そういうものもそうですが、ある種のロジックでつくられていますから、そのロジックをきちんと踏んでいったときに、妙なことをやっているとそのロジックに合わないところが出てくるわけですね。そこから破綻を来すので、その破綻を見つけることによってどこが本当におかしいのかというのがわかるというのが一つです。
 それからもう一つは、統計というのは一人でつくっているわけではなくて、非常にたくさんの人たちが関与しているわけですね。したがって、その人たちからのいろいろな情報提供というのがあれば、そういったことに対して対処できますし、そういったものも我々としては重要に考えて、少なくとも私は重要だと考えておりますし、そういったものに関して、そういったものがあれば、それに対して対応していくという形になると思います。
 以上です。
○本村委員 統計委員長から、限られた人員の中でやるしかない、やれる範囲でというふうなお答えもあったんですけれども、それではやはり困るわけでございます。これは政府に対して申し上げなければならないことだというふうに思いますので、次回に質問をさせていただきたいと思います。
 毎月勤労統計調査の不正に話を移りますけれども、以前、日本経済学会の理事会、日本統計学会、歴代の国民経済計算部会長の声明なども御紹介をしましたけれども、その後、二月二十一日、経済統計学会の声明が出されております。きょうお配りをしておりますけれども、「今回の労働統計を中心とする統計不正は、単なる調査技術上の問題にとどまるような性格のものではない。それは、統計の真実性の確保という、統計再建にあたって掲げた所期の目的を達成すべく設計された法制度の仕組みそれ自体の存立基盤を覆すものであり、わが国の公的統計、ひいては日本という国の有り方そのものを根底から揺るがしかねない問題に他ならない。」と深い懸念を表明をしております。
 あわせて、「今回の統計不正が、二〇〇〇年代初頭のいわゆる「三位一体改革」以来の統計職員並びに統計予算の削減をその一因としていることは想像に難くない。また、調査の企画・実施者内の制度的な意思疎通の齟齬も影響しているのではないかと考える。これらの問題を含めて、文字通りの第三者の立場が確保された組織による、徹底した原因究明が行われることを求める次第である。」というふうにしております。
 統計委員長として、声明が指摘をしている「統計職員並びに統計予算の削減」「調査の企画・実施者内の制度的な意思疎通の齟齬」という問題の究明を、どのように追求していくというお考えでしょうか。
○西村参考人 経済統計学会の声明というのは非常に重い声明でありますし、統計委員会の委員長という場を離れて、一学者として共鳴する部分は非常に多いわけですね。
 それと同時に、統計委員会は、組織として日本の統計のシステムというものに対して責任を負っているという形になります。その組織というのは、過去のいろいろなしがらみとか、それから経緯とかいう形でつくられているものになりますから、その中で、どういう形で最善な形のものができていくか。つまり、白地に何か物を書くというのであればかなりきれいな形に出るんですが、残念ながらそういう形ではなくて、こういう形の問題が生じてしまったという形になりますので、その中でやれる範囲のことをやっていきたい。
 やれる範囲のことをやっていきたいとすると後ろ向きにとられますが、やれる範囲を拡大していきたいというふうに考えています。統計改革そのものは、そういうことから始まったわけですね。
 もともと、統計委員会というのは、言われたことしかやるなと言われていたところが言われていないことをやり始めて、そうすると妙なものが出てくる、いろいろ出てくるという形になってきたわけですね。だから、これは、我々の責任の範囲を広げていく。その責任の範囲を広げるというのが統計改革で、政府からのマンデートという形になってきていますから。それから、国会でのいろいろな御議論を踏まえた形でこれからもやっていきたい。
 そのときには、原因究明のことなんですが、当然、原因究明も必要なんですが、この場合に重要なのは、原因究明というのは、我々は警察官ではないので、我々に必要なのは、将来の再発の防止、再発の防止以上に、将来よりよく、クオリティーをよりよくしていくためにどういうことが可能であるのかということを考えていくというのが、我々の基本的な立場になります。
 したがって、そういう面から、いろいろ、国会の先生方の御支援も得て、システムとして、日本の統計システムがよりよい方向に向かっていくという形に持っていきたいというふうに考えています。
 以上です。
○本村委員 今質問を申し上げました、「統計職員並びに統計予算の削減」「調査の企画・実施者内の制度的な意思疎通の齟齬」という問題についての究明はどうなんでしょうか。
○西村参考人 これは全くそのとおりなので、それに対して、これからまた六月にかけてのいろいろな、予算の問題もありますので、そういう中で、統計委員会として積極的にお話ししていきたいというふうに考えています。
 統計改革において、初めて予算の配分とか人員の配分について、部分的ではありますが、統計委員会が明確に物を言えるような状況になりましたので、そういった新しい統計委員会の力を使って、そして、国会の先生方、それから政府内の統計改革の力を合わせてこの部分をやっていきたいというふうに思っています。
 それから、調査計画の企画・実施者の制度的な意思疎通のそご、これはまさにそのとおりなんですが、これに対しては、やはり各統計部局がきちんとした対応をしていく、その対応をしていくというものを我々がチェックしていくという形でやっていくという形になると思います。
○本村委員 用意した質問、残念ながら半分以上できなかったわけですけれども、引き続き、統計委員長を呼んで、あるいは学会の皆様も呼んで集中審議をしていただきたいということを申し述べまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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参考資料

https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2019/04/190409.pdf

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