しんぶん赤旗 2019年3月20日
ネット活用、国民理解必要 NHK予算審議 本村氏が質問
日本共産党の本村伸子議員は19日の衆院総務委員会で、NHK予算について質問にたち、NHKの姿勢をただしました。本村氏は、NHKの2019年度予算・事業計画のなかで、4K8K放送やインターネット活用事業が大幅に増額されていると指摘。4K8Kの受信機器の普及が昨年末時点で50万台にとどまり、ネット同時配信に対して日本民間放送連盟(民放連)は「節度をもって抑制的な運営」を要望しているとして、「健全な民主主義の育成のため、視聴者や民放連の意見を反映させるべきだ」とのべました。
NHKの上田良一会長は「視聴者の理解を得ながら最先端技術を積極的に活用していく」「インターネット活用業務の費用は、適正な上限のなかで、抑制的な管理に努めたい」と答えました。
本村氏は、受信料徴収業務の法人委託化が進むなか、訪問した契約社員が「最高裁判決が出ている」などと強引に契約や支払いを迫る実態を例示。「昨年の質疑での上田会長の『公共放送の役割や受信料制度について丁寧に説明していく』という答弁とは全くかけ離れた対応だ」として、最高裁判決を振りかざした契約や徴収はやめるよう訴えました。
上田会長は「訪問員に指導の徹底をはかる」と答弁しました。
また本村氏は、今年2月から開始した奨学金受給対象の学生への受信料免除の周知徹底とさらなる負担軽減策の拡充を求めました。
しんぶん赤旗 2019年4月24日
受信料減免を拡大し、強引な徴収やめよ/本村議員がNHKに迫る/衆院総務委
NHKの受信料にまつわる質問や苦情が、本紙読者から数多く寄せられます。「NHK受信料に減免措置がないのか」「最高裁判決を盾に強引に支払いを迫られた」…。日本共産党の本村伸子衆院議員は3月19日の総務委員会で、視聴者からの要望をNHK執行部に対してぶつけました。
NHK受信料の減免制度は、生活保護など公的扶助受給者などが全額免除、視覚・聴覚障害者などが半額免除となっています(詳細はNHKホームページに掲載)。さらに、2018年度から20年度の3年で次の追加策を決めています。
▽全ての社会福祉施設で入所者が使用するテレビの受信料を免除(18年4月から)。
▽親元から離れて生活している奨学金受給対象などの学生への免除(19年2月から)。
▽「事業所割引」と「多数一括割引」の併用を可能にする(19年4月から)。
▽設置月の無料化(19年10月から)。
また、10月に消費税率が引き上げられた場合、受信料に消費税分を上乗せせずに据え置くとしています。
全学生免除ぜひ
本村議員は、入院で家を留守にする間の受信料免除をはじめ、全ての学生の免除、低所得者の免除対象の拡大など、「さらなる負担軽減策の拡充を検討すべき」だと要求。今年2月から始まった奨学金受給学生への免除の対象は19万件なのに、申請が8万件にとどまっている実態を明らかにしました。
NHKの上田良一会長は、対象学生へ周知を強化することを約束し、「開始後1年はさかのぼって適用する」と答えました。一方で減免の拡大については、「慎重に検討することが必要」だとのべるにとどまりました。
強引な受信料徴収についてのNHK側の認識と対応はどうでしょう。本村議員は昨年3月、「最高裁判決を振りかざして生存権を脅かすような無理な徴収は絶対にやってはならない」と追及。上田会長は「最高裁判決に言及することがないよう文章を発出する」などと答弁していました。
法人委託の陰で
しかし、「その後も最高裁判決に言及した契約の取り次ぎや受信料の徴収があった」と本村議員。委託法人の契約社員が押しかけ、「最高裁判決が出ている」「(ワンセグ機能があるか)携帯を見せてほしい」と強引に迫られた視聴者の実例をあげ、「(昨年の答弁と)全くかけ離れた対応であり、最高裁判決に言及するマニュアルがあるのではと勘ぐるほど」だと、無理な取り次ぎや徴収をやめるよう強く訴えました。
実際、訪問に対する視聴者のクレームが増えたのは、業務の民間法人への委託を始めてからでした。本村議員は、丁寧な対応の鍵を握るのは「法人委託以前から視聴者と向き合ってきた地域スタッフの方々」だと強調。NHKは地域スタッフを「欠かせない存在」と位置づけ、労働安全衛生や休業補償など実態に即した待遇改善を強く要望しました。
上田会長は、法人委託社員への教育の徹底を約束。地域スタッフに対しては「重要なパートナーだと認識し、今後も適切に処遇していく」と答えました。
受信料めぐる最高裁判決
最高裁は2017年12月、テレビを持つ人に契約締結を義務付けた放送法64条の規定を「合憲」と判断。契約の成立には双方の意思表示の合致が必要とする一方で、NHKが裁判を起こして判決が確定すれば契約は成立し、テレビを設置した時点にさかのぼって受信料を支払う義務があるとしました。
議事録
198-衆-総務委員会-10号 2019年3月19日
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。
NHKは、二〇一九年度予算、事業計画の重点事項の第一に、公共メディアへの進化を掲げております。これは事業収支を見ても明らかでございます。
インターネット実施基準で受信料収入の二・五%を上限としているインターネット予算は二・四%におさめられているものの、4K・8Kスーパーハイビジョンの強化は前年度に対し四十五・一億円増の百八十六・三億円を計上しております。
国内放送のチャンネル別予算でも、総合、教育、BS1、BSプレミアムの予算が前年より減る中で、4K、8Kだけが増額をしている。
まず確認をさせていただきたいんですけれども、4K・8Kスーパーハイビジョンの強化、これは総額幾らかかり、毎年毎年の維持管理に幾らかかるのか、4K、8Kでないときと比べてコストアップになるのか、お伺いをしたいと思います。
○松坂参考人 お答えいたします。
4K、8Kに係る来年度、平成三十一年度の予算は、設備投資で百六十七億円、番組制作などの事業費で、先生今御発言がありましたように百八十六億円であります。
4K、8Kにつきましては、平成三十年度と三十一年度の二カ年で、設備投資三百七十億円、番組制作などの事業費で三百二十七億円、この二カ年で合わせて六百九十八億円を集中的に投資しております。
設備投資についてはおおむね投資のめどが立ったことから、維持管理費用についても今後は一定の水準で推移すると想定しております。
○本村委員 費用対効果の前提の数字がわからないと受信料を払ってみえる方も判断ができないと思いますので、また今後も情報を随時出していただきたいと思います。
政府は、4K、8Kの普及について、日本再興戦略二〇一六の中で、二〇二〇年には全世帯の五〇%が視聴することを目標としております。一方で、放送サービス高度化推進協会の調べなんですけれども、4K、8Kを受信しているのは、二〇一八年十二月末の、これは少し古い数字ですけれども、約五十万世帯ということで全世帯の一%弱にとどまっております。
NHKは、インターネット活用ですとか4K、8Kの強化について、政府の成長戦略に追随するということには慎重であるべきだというふうに思います。何よりも大切にしなければいけないのは、視聴者や国民の皆さんの声をしっかりと聞いて進めるということであり、何よりも、視聴者・国民の皆さんの理解と納得が必要だと考えますけれども、会長の御見解をお願いしたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
NHKは、放送と通信の融合時代にあっても、放送を太い幹としつつ、インターネットも積極的に活用して、より多くの人々に多様な伝送路で公共性の高い情報や番組を届けることで、信頼される情報の社会的基盤の役割を果たしていきたいと考えております。
また、ハイビジョンを超える超高精細映像システムは、一九九五年、平成七年からの地道な研究が実を結んだものであります。放送は、最先端技術が支える文化であり、放送法で求められている先導的な役割を果たすことが公共放送の使命と考えております。
NHKは、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックで最高水準の放送サービスを実施するため、4K、8Kの超高精細映像と立体感のある音響による放送や、インターネット活用業務の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
視聴者の皆様の理解を得ながら、公共メディアとして、インターネットや最先端技術を積極的に活用して、皆様の期待にしっかりと応えられる魅力的な放送サービスを積極的に創造、開発してまいりたいと考えております。
○本村委員 ぜひ、視聴者・国民の皆様の声を何よりも大切にしていただきたいというふうに思います。
先ほど、インターネット予算は受信料収入の二・五%を上限としていると申し上げましたけれども、総務省の放送を巡る諸課題に関する検討会のNHKの考えの資料を見てみましても、二・五%の上限を維持するということは明確になっておりません。
日本民間放送連盟は、昨年十月に、「NHK常時同時配信の実施に関する考え方について」という中で、民間事業と競合しないよう節度を持って抑制的に事業を運営する必要があるとして、インターネット活用業務の受信料収入二・五%上限の維持を要望していますけれども、これはどうなっているんでしょうか。
○上田参考人 お答えいたします。
NHKが受信料によって放送を実施する目的で運営されていることを踏まえますと、常時同時配信を含むインターネット活用業務に係る経費に上限を設けて適正に運用するという視点は重要だと認識しております。
NHKとしては、インターネット活用業務の費用については、適正な上限の中で抑制的な管理に努め、昨年十一月の諸課題検討会の場で総務省から説明のありました厳格な区分経理など、会計上の透明性確保の新たな考え方に従って、十分な説明を尽くしてまいりたいと考えております。
放送法の改正が行われました場合には、それを踏まえてNHKのインターネット実施基準を新たに策定し、総務大臣の認可を得ることになります。その中で適切に実施してまいりたいと考えております。
○本村委員 NHK自身が、インターネット常時同時配信を放送の補完というふうに認めております。
放送政策に関する研究、検討会の第一次取りまとめでは、NHKが放送を行うことを目的として設立された特殊法人ということを踏まえ、インターネット活用業務については、三つの基準と。一つは公共性が認められるということ、二つは放送の補完の範囲にとどまるものであること、三つは市場への影響の程度の三つの基準に従って判断することが適正であると言及をしております。
健全な民主主義の育成のためには、NHKだけが肥大化するというあり方ではだめでございますので、視聴者・国民の皆さん、あるいは民放連の皆様を始め、御意見をしっかりとお聞きをしながら反映するということが何よりも大事であるということも改めて強調させていただきたいというふうに思います。
次に、ちょっと受信料の問題についてお話をしたいというふうに思いますけれども。
私どもは、消費税の増税については、暮らしや営業を壊すということで反対の立場でございます。NHKは、この消費税率引上げが行われようとしていることしの十月に消費税、上がる予定、政府はしているんですけれども、受信料に消費税の増税分を上乗せせずに据置きということになっております。
これは評価できるものだというふうに思いますし、また、受信料の負担軽減策、今までの軽減策にプラスをして、二〇一八年から二〇二〇年の三カ年計画で百七十億円規模の軽減策を新たにプラスするということになっております。
その内容なんですけれども、昨年四月からは社会福祉施設の免除の拡大、そして、ことし二月からは奨学金受給対象などの学生さんへの免除、そして、ことし四月からは多数支払いにおける割引、ことし十月からは設置した月の受信料は無料ということで進められておられます。
ここで確認をしたいんですけれども、奨学金を受け取っている学生さんは免除を二月からスタートしておりますけれども、対象の学生さんは何人で、免除されている学生さんは今何人になっていますでしょうか。
○松原参考人 お答えいたします。
経営計画に掲げた受信料の負担軽減策である奨学金受給対象等の別住居の学生への免除については、昨年の十二月から免除申請の事前受け付けを開始し、ことし二月から施行をしているところであります。
今年度の免除適用件数の見込みは約十九万件であり、今、三月十五日現在、約八万件の免除申請を受け付けています。
○本村委員 ありがとうございます。
まだ全員に免除の知らせや申請が行き届いていないというふうに思われますので、ぜひ周知徹底を一層強化をしていただきたいと思いますけれども、会長、お願いしたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
受信料免除につきましては、その対象となる方に対して周知を徹底することが重要であると認識いたしております。
特に、今回の奨学金受給対象等の学生への免除につきましては、新しい制度であるため、テレビやラジオ等で周知を行い、学生やその親元に対してダイレクトメールを複数回送付いたしました。また、奨学金実施団体や大学の協力を得ながら周知を行ってきております。
なお、今回の学生の免除につきましては、開始後一年間はさかのぼって適用することといたしております。
○本村委員 ぜひ周知徹底を強めていただきたいというふうに思います。
視聴者の方からは、入院で留守をする間の受信料を免除の対象にしてほしい、入退院を繰り返す人も多く、少ない年金から払っていて困るというお声も伺っております。こうした視聴者や国民の皆さんの声をしっかりと把握し、きめ細かに対応をするべきだということを求めておきたいと思います。
また、奨学金を受け取ってみえる学生さんだけではなくて、全ての学生さんを免除の対象にすることや、あるいは、低所得の方の免除制度というのは、今は生活保護を利用されている方あるいは市町村民税の非課税の障害者の方なんですけれども、視覚障害者の方や聴覚障害者の方や重度障害者の方や重度戦傷病者の方々は半額免除ということになっておりますけれども、こうしたところを更に拡大をして、負担軽減ということをもっと進めていくべきだというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
受信料の免除につきましては、外部の有識者から成ります受信料制度等検討委員会の答申、これは平成二十九年九月にいただいておりますが、これにおきまして、真に免除が必要な経済弱者を対象に限定することが重要と指摘されております。
こうした指摘を踏まえまして、今回の免除においては、経済的理由の選考基準がある奨学金を受給している学生などを対象とすることといたしました。
受信料の免除につきましては、一般視聴者の負担により成り立つものであることから、限定的に運用することが必要であり、中長期的な事業計画や収支の見通しをしっかりと踏まえた上で、慎重に検討することが必要であると考えております。
○本村委員 ぜひ進めていただきたいというふうに思います。
この受信料についてなんですけれども、昨年のNHK予算の承認の質疑の際に、最高裁判決を振りかざして、生存権を脅かすような無理な徴収は絶対にやってはならないということを私は指摘をさせていただきました。そのときに、上田会長からは、最高裁判決について言及することがないよう文書を発出し、公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明していく、そのことに努めてまいりたいと御答弁をいただきました。
しかし、その後も、最高裁判決に言及した契約取次ぎ、徴収があるというお声が寄せられております。
例えば、東京都にお住まいの七十代の女性は、ことし一月に、委託法人の契約社員と名乗る男性が自宅に訪れ、契約書を広げて受信料の支払いを迫ったと。地デジ移行以後、テレビは置いていないということで説明をしますと、テレビがなくても、携帯を持っていれば月々受信料を払わないといけない、携帯を見せてくれないかと要求をされ、携帯は見せられないと拒否すると、昨年十二月の最高裁の判決が出ている、ワンセグの機能があれば払わないといけないとしつこく言われたそうです。その七十代の女性の方は、ワンセグ機能のことも知らないし、使ったこともないという方でございます。
また、千葉県の女性からは、昨年秋ごろ、ひとり暮らしをしている大学生の娘のアパートに、夜遅い時間に、NHKの男性職員、これはNHKの職員なのかほかの委託事業者なのかがわかりませんけれども、が受信料を支払うように訪ねてきたと。テレビは持っていないと言うと、家の中を確認させてほしい、携帯電話を見せてほしい、裁判所で払わないといけないという判決が出ていると言われたそうです。娘さんは夜遅いという時間もございまして恐怖を感じたとお話をいただいております。
上田会長が公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明していくということとは全くかけ離れた対応であり、最高裁判決に言及するようにというマニュアルがあるのではないかと勘ぐるような状況だというふうに思います。
最高裁判決を振りかざして、無理な契約取次ぎですとか徴収ですとか、絶対にやってはならないというこの認識は今も維持されていますねという確認と、法人委託を含め、こうした考えを、認識をどう徹底するのかということをお伺いをしたいと思います。
〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕
○上田参考人 お答えいたします。
受信料のお支払いや受信契約をいただく際には、受信料制度の趣旨をよく説明し、御理解をいただくことが大切であると考えております。
最高裁判決においても、受信契約の締結について視聴者の理解を得られるように努め、これに応じて受信契約を締結した方に支えられて運営されていくことが望ましいとされております。
訪問員に対しましては、法人委託の社員が採用されて初めて実施する初期講習会や、その後の定期的な研修等で、お客様とのやりとりの中で最高裁判決について言及することがないよう指導の徹底を図っております。
今後も、これまでどおり、公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明していくことに努めてまいりたいと考えております。
○本村委員 公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明し、よい番組をつくって、皆様が受信料を払おうと思えるような取組こそ必要だということを強く求めておきたいと思います。
次に、地域スタッフの方々の問題なんですけれども、丁寧な対応の鍵を握るのが、契約取次ぎですとか受信料徴収に当たるスタッフの方々でございます。
NHKは、昨年の予算承認の審議の際でも、契約取次ぎに係るクレームについて、法人委託に伴っての増加も一部あるというふうに言われまして、長く業務に従事し、お客様対応に習熟した要員をふやすということが大切だとお答えになりました。そうであるならば、法人委託化以前から視聴者の皆様と向き合ってきた個人委託の方々、地域スタッフの方々は、NHKにとって極めて重要な存在だというふうに思います。
NHKが法人委託化の方針を打ち出すもとで、地域スタッフの方々は大変厳しい状況の中業務に当たっておられます。当事者のお声をお伺いをしました。法人委託の進出で効率が悪い不利地域を押しつけられたり、あるいは、法人の少ない地域では数少ない地域スタッフが広いエリアを苦労して担当されているという実態がございます。
地域スタッフは、労働者並みの管理を受けて働いているにもかかわらず、労働者であれば受けられる保障も何もない状況のもとで、契約取次ぎとか受信料徴収といったNHKにとって欠かせない役割を果たしておられます。
昨年十月、大阪の堺の不当労働行為事件の裁判で、最高裁がNHKの上告を棄却し、地域スタッフの労働組合法上の労働者としての地位を認めた高裁判決が確定をいたしました。契約の形式にかかわらず、NHKが地域スタッフを欠かせない存在として位置づけ、一定の管理のもとでその役割を担わせているということが判断をされました。
この最高裁の判断を重く受けとめ、地域スタッフの方々と真摯に向き合うべきだと思います。当事者の方の声を聞き、そして、労働安全衛生や業務上の事故等への補償、休業補償など、実態に即した待遇改善、行うべきだと思いますけれども、会長、御答弁をお願いしたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
地域スタッフの処遇につきましては社会情勢等を勘案しながら実施いたしておりまして、その業務内容に配慮した相応の水準と考えております。また、業務に起因するけがや病気等に関しましては、地域スタッフが安心して業務に取り組めるよう、独自の給付制度を整備いたしております。
職員に対して、地域スタッフとの対応に当たっては、十分なコミュニケーションをとり、ハラスメントを行わないよう指導、研修も行っております。
地域スタッフは受信料の契約収納業務に携わる重要なパートナーと認識いたしておりまして、今後も適切に処遇してまいる所存であります。
○本村委員 契約形式ではなく、労働の実態に即した処遇改善を行うことは今や避けて通れない課題だというふうに思います。フリーランスでも、個々の働き方や契約の相手の方との関係性などの実態に着目した保護が必要という議論が高まっております。これ以上、地域スタッフの実態から目を背けるというのであれば、法人委託の拡大は、結局、NHKが果たすべき責任から逃れる手段としてしか言えなくなってしまうというふうに思います。ぜひとも地域スタッフの方々の処遇改善を強く求めておきたいというふうに思います。
NHKの、信頼を得る習熟した対応力を身につけるためには、安心して働き続けられる処遇をNHKが責任を持って保障する必要があるというふうに思います。地域スタッフの増員、直接雇用への移行も含め、抜本的な改善を検討することを強く求めたいと思います。
先ほども最高裁判決を振りかざした強引な対応の是正を求めましたけれども、視聴者の皆さんが強引と感じるような対応、深夜帯の訪問ですとか携帯を見せてくれとプライバシーを無視したような対応が後を絶たない背景には、やはり契約件数などの数の実績のみで収入とかあるいは契約の更新とかが決まるというプレッシャーがあるというふうに思います。
個人の場合も法人委託の場合も、評価の基準は、契約数ですとか未収納の方の削減数の実績のみであり、視聴者の方々に丁寧な対応をした、その対応の質に関する評価はなされておりません。丁寧に話を聞く中で、福祉事務所などへつないで適切な免除の対応をとるということをしたとしても、現在のNHKの基準では業績の評価上の何のプラスにもならない。
契約数のみではなくて、視聴者の方々、学生さんに対して、免除制度がありますよ、そして免除につなげた場合に、こうした丁寧な対応についてしっかりと評価をするという、その対応の質についても評価の対象にするべきだと思いますけれども、会長、お願いしたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
評価の仕方につきましては、地域スタッフや法人委託の委託手数料については、受信契約の取次ぎや受信料の収納を基本として支払うことといたしております。受信料の免除手続はお客様が自治体等を通じて行うものであり、手数料の支払い対象とはなっておりません。
受信料免除につきましては、いろいろな種類と要件があり、免除の対象となる方にお知らせをして、手続をいただけるように努めることはNHKの責務と認識いたしております。
このため、受信料の免除については、NHKホームページにおける免除基準等の掲載、訪問員がお客様にお渡しする説明資料への記載、自治体窓口での案内等の機会を通じまして周知を行っております。
訪問員がお客様と対応した際に免除の要件に該当する可能性があることがわかった場合には、手続の御案内を行うよう指導いたしており、今後とも丁寧に御説明を行ってまいりたいと考えております。
○本村委員 ですから、その丁寧な対応を評価するようにしていただきたいというのが私の質問の趣旨なんですけれども、会長、お願いしたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
丁寧な説明は行ってまいりますが、受信料免除等につきましては、いろんな種類と要件がありまして、免除の対象となる方に関するお知らせ、手続に関しましては、一義的にNHKの責務と認識いたしております。
いずれにいたしましても、今後とも丁寧に御説明を行っていきたいと考えております。
○本村委員 契約数のみで地域スタッフの方々や法人委託の方々を評価するのではなく、やはり、福祉的な対応をした、そういう公共放送として当たり前の対応を行うことに対してしっかりと評価をしていただきたいというふうに思います。
次に、障害者の方々の雇用についてお伺いをしたいというふうに思います。
NHKにおける障害者雇用について、どのような障害をお持ちの方がどのような仕事をされているのかということをお伺いしたいのと、法定雇用率、達成状況は、まだ未達成だというふうに聞いておりますけれども、その点、なぜ法定雇用率を達成できないのか、数値も含めてお答えをいただきたいと思います。
○松坂参考人 お答えいたします。
NHKでの業務内容や処遇に障害のある方、ない方の違いはなく、現在、障害のある方については、放送、技術、管理、営業など幅広い業務で活躍しています。
障害者の雇用率ですけれども、去年の六月一日時点で二・一%となっています。これは、前の年と比べると〇・一ポイント増加しておりますが、法定雇用率二・二%をわずかに下回っております。法定雇用率を下回っている状況であることは認識しており、引き続き、採用ですとか雇用などの環境の改善などに向けて取組を強化してまいりたいと思っております。
〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕
○本村委員 なぜ達成できないのかということを後であわせてお答えをいただきたいんですけれども、会長に二つ御提案をしたいというふうに思います。
一つ目が、障害者団体の方々や障害を持った方々から直接御意見を聞く場をつくり、障害者雇用の法定雇用率の早期達成を図り、そして、障害者雇用を進めていただくということ。そして二つ目が、決算審議でも言わせていただきましたけれども、イギリスの公共放送BBCでは障害者雇用が一〇%以上となっております。BBCの障害者雇用の実態を調査研究をし、NHKにも、そして世の中にも生かしていただくということ。
NHKが障害者雇用の分野で世の中を牽引するリーディングカンパニーになるようにぜひ進めていただきたいと思いますけれども、会長、お答えをお願いしたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
NHKの障害者雇用率が法定雇用率を下回っていることにつきましては、重く受けとめております。引き続き、採用活動を強化するとともに、障害のある方がより働きやすい環境整備を進めてまいります。
また、障害のある方の採用や雇用の動向についても、幅広く情報を集めるなど状況の把握に努め、障害者の雇用をふやす努力をしてまいりたいと考えております。
BBCの障害者雇用の取組につきましては必ずしも承知いたしておりませんけれども、採用や雇用について参考にできるものがあれば取り入れてまいりたいと考えております。
○本村委員 働く人も一人一人、命と健康、尊厳が大事にされて、よりよい番組をつくっていただくことを強く求め、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。