もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2019年 4月 18日 第198国会 総務委員会

携帯違約金上限1000円へ  総務省が方針示す  利益は利用者に 本村議員が主張

しんぶん赤旗 2019年6月15日

携帯違約金上限1000円へ 総務省が方針示す 利益は利用者に 本村議員が主張

 総務省はこのほど、大手携帯電話事業者による「2年縛り違約金」など行き過ぎた利用者の“囲い込み”を改めるよう、省令改正の方針を決め、有識者会議に素案を示しました。先月10日に成立した改正電気通信事業法を受けたもので、日本共産党の本村伸子衆院議員は同法を審議した総務委員会(4月18日)で、「携帯事業者は利益を利用者に還元すべき」だと要求していました。

 改正法は、通信料金と端末代金を完全に分離させ、端末購入を前提とする月額通信料金の割引や、9500円の高額な違約金をともなう「2年縛り」を禁止するものです。総務省では、違約金の上限を1000円とする案を示しています。

 本村氏は、質疑で「携帯電話の年間通信料が2017年に初めて10万円を超え、家計に占める通信料は増加傾向にある」と指摘し、改正によって料金の値下げにつながる根拠をただしました。

 石田真敏総務相は「(携帯事業者の)公正な競争環境を整備し、一層の通話料金の低廉化や、わかりやすい料金プランが実現するよう取り組む」と答弁。本村氏は「携帯電話は日常生活や災害時に必要不可欠となっている。料金は市場任せでなく規制を設けるなど議論を開始する必要がある」と訴えました。

 現在の携帯電話市場は、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社で約9割を独占する一方、利用者からの苦情・相談件数は高い水準のまま推移。改正法では、行政が販売代理店を直接把握するための事前届け出制の導入なども盛り込んでいます。

 

議事録

198-衆-総務委員会-14号 2019年4月18日

○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。
 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 電気通信事業法の改正案について質問をさせていただきますけれども、この法案については、政府は、モバイル市場の競争の促進及び電気通信市場の環境の変化に対応した利用者利益の保護を図るために必要な措置を講じるというふうにしております。
 具体的には、携帯電話等の通信料金と端末料金の完全分離、期間拘束などの行き過ぎた囲い込みの是正、そして、販売代理店への届出制度の導入、自己の名称等を告げずに勧誘する行為などを禁止する内容となっております。
 この法案には賛成なんですけれども、具体的内容を総務省令で定めるとしておりまして、総務省令ということで、恣意的な運用にならないようにということで、改正の目的が担保されるのかという点で確認をさせていただきたいというふうに思います。幾つか重なる質問もございますけれども、改めて確認をさせていただきたいと思います。
 まず、電気通信事業者の禁止行為についてなんですけれども、総務大臣は禁止行為の適用を受ける電気通信事業者を指定するというふうにされておりますけれども、ただし、市場における契約数のシェアが総務省令で定める割合を超えない場合は除外するというふうになっております。
 この割合はどの程度を想定しているのか、割合を定めない可能性もあるのかという点、確認をさせていただきたいと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 本法案では、通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みを禁止する対象について、競争への影響が少ない事業者は、委員御指摘のとおり、総務省令で定める基準により除かれることとしております。
 具体的な基準は、本法案の成立後、総務省において検討することになるものでございまして、現時点においては具体的な基準は決めておりません。
 ただ、委員御指摘のとおり、具体的な基準を定めないということはございません。
○本村委員 三月二十一日の日経新聞には、携帯電話規制、楽天は除外という見出しの記事がございます。この記事の内容は事実でしょうか。
    〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 事実誤認でございます。
○本村委員 禁止行為が適用される事業者と適用されない事業者が存在するということは、利用者保護の観点から、私は問題があるというふうに思っております。
 そもそも、通信料金と端末料金の完全分離や行き過ぎた囲い込みを、その禁止、是正を盛り込む、そして、料金プランをわかりやすくする、高額な違約金を伴う二年縛りなどの改善はどの電気通信事業者にも適用されるべきだというふうに考えております。
 利用者利益の保護を図るというのであれば、少なくとも電波免許を取得して事業を展開する事業者は全て規制の対象とするべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 事業者間の競争を促進するためには、広く完全分離等の規律を適用することが必要でございます。したがいまして、委員御指摘のとおり、少なくともみずから周波数の割当てを受けてネットワークを運用する事業者、一般にMNOというふうに呼んでおりますけれども、これにつきましては、競争への影響が少ないとは言いがたいことから、例外とすべきものではない、きちんと対象の範囲に加えるという方向感で考えているところでございます。
○本村委員 次に、省令で定める禁止行為の具体的内容について確認をいたします。
 通信料金と端末代金の完全分離を図るための競争関係を阻害するおそれのある利益の提供、また、行き過ぎた囲い込み是正を図るための契約の解除を不当に妨げる提供条件について、それぞれ具体的な内容はどうなっているんでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の、省令の具体的な内容につきましては、本法案成立後、総務省において検討していくことになりますけれども、現時点におきましては、まず、競争関係を阻害するおそれのある利益の提供としまして、通信役務の一定期間の継続利用を条件とする端末代金の割引やキャッシュバックについて定めること、また、契約の解除を不当に妨げる提供条件といたしましては、違約金の額、契約期間の長さなどについて定めることを想定をしております。
○本村委員 通信料金と端末代金の完全分離が図られることで通信料金単体での比較が可能となるということで、端末料金と通信料金との区別がよくわからず利用者が何に対して幾ら支払っているかというのが理解しづらい問題がありまして、それが解消されるということはいいことだというふうに思うんですけれども、完全分離された後に料金プランが理解しやすいものになるかということなんですけれども、電気通信事業者には、シンプルでわかりやすい料金プランの提示が求められております。
 総務省は、理解しやすい料金プランとは、どんなプランを念頭に置いているのでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 本法案は、総務省の有識者会議におきまして、通信料金と端末代金の分離が不十分であるなど、いまだにわかりづらい料金プランとなっていることなどの課題が指摘をされまして、総務省において必要な措置を講ずることが適当と提言されたことを受けまして、提出をしたものでございます。
 本法案では、携帯電話の通信料金と端末代金の完全分離を図ることとしておりまして、これにより、利用者が通信料金と端末代金をそれぞれ正確に理解した上で比較、選択できるような、シンプルでわかりやすい料金プランが提供されるものと考えております。
○本村委員 理解しやすい料金プランであるか否かは、どのように調査、確認するんでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 総務省におきましては、携帯電話の通信料金と端末代金の分離が徹底されているかどうかを含めて、改正後の法の遵守状況のモニタリングを行ってまいりたいと考えております。
 その手法でございますけれども、公表されている料金プランの内容の確認、分析、あるいは、利用者からの苦情、相談の内容の分析、また、店頭における調査の実施、こうしたことを想定をしております。
 法の遵守を徹底することによりまして、シンプルでわかりやすい料金プランの実現に取り組んでまいりたいと考えております。
○本村委員 この法案によって本当に携帯電話料金の低廉化につながるかという点について、次に質問をしたいというふうに思うんですけれども。
 これまでも、携帯電話料金を引き下げるために、SIMロックの解除、あるいは、行き過ぎたキャッシュバックの禁止などの措置がとられたものの、料金の低廉化が進まなかった経緯がございます。
 総務省の家計調査によると、携帯電話の年間通信料は、二〇一七年に初めて十万円を超え、消費に占める通信料は増加傾向が続いております。
 昨年八月二十一日に、菅官房長官が、携帯電話料金について四割程度下げる余地があるというふうに発言をいたしました。携帯電話料金の値下げが実現する見通し、根拠はあるんでしょうか。
○石田国務大臣 携帯電話料金につきましては、事前規制が撤廃されておりまして、各事業者が市場競争の中で決めるものであって、行政の役割は、携帯電話事業者間の競争がしっかりと働く環境を整備することであると認識いたしております。
 既にNTTドコモでは、本年六月一日から提供を開始する新たな料金プランを発表しているところであり、従来より二割ないし四割の料金低廉化が図られると承知いたしております。
 今回の法改正により公正な競争環境を整備することにより、一層の通信料金の低廉化や、わかりやすい料金プランの提供が実現するよう、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
○本村委員 キャリア三社と呼ばれるドコモそしてKDDI、ソフトバンクが大きな収益を上げておりますけれども、この携帯電話事業者の利用者への還元、値下げの必要性について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○石田国務大臣 携帯電話市場につきましては、依然として大手三社が九割のシェアを占める寡占的状況にあり、その大手三社の平成二十九年度の売上高営業利益率はいずれも二〇%前後と高い水準にあると認識をいたしております。
 一方で、東京の大手携帯電話事業者のスマートフォンの通信料金は総じて海外に比べて高く、また、その推移を見ても料金が下がる傾向が鈍い状況にあるわけであります。
 こうした点からも、事業者間の競争がしっかりと働く環境を整備をし、低廉でわかりやすい料金、サービスの実現を促すことが重要と考え、本法案を提出したところでございます。
 引き続き、携帯電話市場の競争を活発なものとし、低廉でわかりやすい料金、サービスをできる限り早く実現してまいりたいと考えております。
○本村委員 先ほども大臣が御答弁されましたように、NTTドコモは四月十五日に、最大四割お得という六月からの新しい料金プランを発表いたしました。
 条件を満たすと従来より最大で四割通信料が安くなるというふうに言いますけれども、この新料金プラン、どのような内容なのか、また受けとめはどのようなものか、御答弁をお願いしたいと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 今般、NTTドコモが新たな料金プランを発表したことは、私どもとしても承知をしているところでございます。
 その内容でございますけれども、基本料金とデータ通信量の組合せではなくてパッケージ料金としまして、料金プランをシンプル化しております。また、従来より二割から四割程度の料金の低廉化を行うというものでございます。
 これに対する私どもの受けとめということでございますけれども、個社の個別の料金プランでございますので具体的にコメントすることは差し控えたいと存じますけれども、あくまで一般論として申し上げれば、携帯電話事業者が競争を通じて料金の低廉化やサービスの多様化を図るということは、利用者利益の向上につながるものだと考えております。
○本村委員 それで、その料金プランの値下げなんですけれども、家族三人以上の加入など対象者が限られるものではなくて、家族が割引されるというのはよろしいんですけれども、さまざまな御家庭がございますし、さまざまな困難を抱えてみえる方々もいらっしゃいます。また、性的指向、性自認、パートナーシップ制度がない中で、家族とは何かとかそういう議論もございまして、多様なライフスタイルを、やはりそうしたことに配慮が必要なのではないか。誰かが安くなって、それに入らない人は高くなるというようなことがないように、平等に値下げの恩恵が受けられるように、そういう配慮が必要なのではないかと思いますけれども、その点、大臣、いかがお考えでしょうか。
○石田国務大臣 通信料金につきましては、原則として事業者間の競争を通じて決められるものと考えております。
 委員御指摘の、性的マイノリティーの方も含めて、いわゆる家族割引の対象となる料金プランは、一部の大手携帯電話事業者から提供されているところでございまして、総務省としては、事業者間の競争を通じ、例えば性的マイノリティーの方にもひとしく適用される料金プランも含め、広く利用者にとって低廉でわかりやすい料金、サービスが提供されることを期待いたしております。
○本村委員 性的マイノリティーの方の御配慮、御答弁いただいたんですけれども、御家庭にさまざまな困難を抱えておられる方々もいらっしゃるわけでございます。そうした方々への配慮をぜひしていただいて、平等に値下げの恩恵が受けられるようにということで、ぜひ喚起をしていただきたいというふうに思います。
 通信料金と端末代金を完全分離するだけでは、携帯電話料金の値下げ、料金負担の軽減につながるという保証はないわけでございます。実質的な料金引下げの効果が期待できる方法として、例えばプライスキャップ規制、上限価格の規制という、導入も一つの考えではないかというふうに思います。
 携帯電話は、契約数が一億七千万を超え、広く国民、住民の皆さんが利用する日常生活に不可欠なライフラインということになっております。そして、大事なコミュニケーション手段になっております。災害時にも欠かせないわけでございます。
 そういう重要な役割を果たしているわけですけれども、こういう、生活に不可欠な携帯電話の料金について、やはり市場任せにしないような議論を開始する必要があるのではないかというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 携帯電話料金でございますけれども、現行電気通信事業法のもとにおきましては、特段の規制がないわけでございます。
 委員御指摘の、いわゆるプライスキャップ制度でございますけれども、これは、行政が上限価格をあらかじめ設定をして、料金水準がそれを超える場合については、総務大臣の認可を要するという制度でございまして、これは電気通信事業法の中にもこうした制度がございますけれども、現在、NTT東西が提供する加入電話などの音声伝送サービスを対象としております。
 これは、NTTによりこれらの加入電話等のサービスが実質独占的に提供されておりまして、市場競争を通じた適正な料金水準の形成が困難であったという経緯を踏まえているものでございます。
 他方、携帯電話のマーケットを見てみますと、本年十月には楽天が第四の事業者として参入するなど、独占的な状態というところとは異なるわけでございまして、携帯電話サービスをプライスキャップ制度の対象とするということは、制度の趣旨に鑑みますと、必ずしも適切ではないというふうに考えております。
 総務省といたしましては、本法案により、公正な競争が促進され、通信料金の低廉化等が実現することにより利用者利益の向上が図られることを期待しているところでございます。
    〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕
○本村委員 固定電話とスマートフォンの世帯普及率を見てみますと、ここ数年、スマートフォンが急激に伸びて、二〇一七年には、スマートフォンを保有している世帯が固定電話を保有している世帯を初めて上回ったわけでございます。料金の規制について検討を求めたいというふうに思います。また、低所得の方への配慮なども必要ですので、ぜひ、そうした御検討をお願いしたいというふうに思います。
 フィーチャーフォン、いわゆるガラ携というふうに呼ばれているものですけれども、そこからスマホへ移行を考えている高齢者の方々や、あるいは低パケット利用層、通話中心の利用層へのメリットも考慮されるべきではないかという声もございますけれども、その点、どのように検討されているんでしょうか。
○石田国務大臣 委員御指摘の、通話がメーンの利用者に適した料金プランについては、現に、大手携帯電話事業者各社から提供されているところと認識をいたしております。
 総務省としては、今後も、通話がメーンの利用者も含め、事業者間の競争を通じて、広く利用者にとって低廉でわかりやすい料金、サービスが提供されることを期待いたしております。
○本村委員 次に、販売代理店への届出制度の導入について伺いたいと思いますけれども、新たに導入する販売代理店への届出制度は、行政が販売代理店を直接把握し、法の規定の適正な履行の監督及びこれらの違反に係る業務の改善命令の円滑な執行を担保するというふうにしております。
 行政による迅速な把握を行い、業務改善命令を可能とするものであり、これは必要な措置だというふうに考えております。
 確認をしたいんですけれども、届出の具体的な内容なんですけれども、届出先、書面やオンラインなど届出方法、あるいは届出主体はどこなのか、個々の代理店が届出を行うのか、あるいは事業者経由で行うのか、その点、確認をさせていただきたいと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 届出事項につきましては、法定されております販売代理店の名称、住所等のほか、総務省令において販売代理店の業務を把握するために必要な事項を定めることとしておりまして、その具体的な内容については今後検討をしてまいりたいと考えております。
 届出の提出先でございますけれども、これは総務省の各総合通信局等とすることを想定してございます。
 また、届出の方法でございますけれども、当初は、必要書類を持参又は郵送していただくことを想定しておりますけれども、遠からず、オンライン手続にも対応できるように対処をしていきたいと思っております。
 それから、届出主体でございますけれども、本法案におきまして、販売代理店の運営主体が届け出る旨を規定をしてございます。
 いずれにいたしましても、これらの内容については、販売代理店の運営主体にとって過度な負担を求めるものにならないようにしてまいりたいと考えているところでございます。
○本村委員 販売代理店の届出制の導入によって販売代理店に対する事業者の指導義務というのは変わらないですねということを確認したいと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 電気通信事業者の販売代理店への指導等を講ずる義務、これは、販売代理店の業務の適正化について、基本的には電気通信事業者を通じて行うこととするという趣旨で、平成二十七年の電気通信事業法改正において導入をしたものでございます。
 本法案におきまして販売代理店の届出制度を導入いたしますのは、販売代理店の契約関係が複雑化をしており、電気通信事業者において必ずしも末端まで十分にその把握、指導が行えていない可能性があるため、販売代理店の業務の適正化について、電気通信事業者による指導とあわせて総務省が進めることができるようにするものでございます。
 したがいまして、販売代理店への届出制度の導入によりまして、電気通信事業者の販売代理店への指導等を講ずる義務の趣旨に変更が生じるものではございません。
○本村委員 今言われたように、やはり、総務省自身も仕事がふえるわけでございます。とりわけ、届出先となっている地方総合通信局、先ほど本省は言われなかったですね、はい。じゃ、地方総合通信局の方では仕事がふえるわけでございます。
 その点、やはり人員体制の強化というのは重要だというふうに思います。ぜひ人員体制の強化をしていただきたいと思いますけれども、総務大臣、お願いしたいと思います。これは大臣に通告をしているんですけれども。
○石田国務大臣 今般導入する届出制度は、許認可等の行政手続のように提出書類についての内容面での審査等を伴うものではないことから、行政事務への影響は限定的であると考えております。
 しかしながら、届出制度の対象となる販売代理店は数万存在すると想定をいたしておりまして、一定の事務が発生することが見込まれるため、届出書を確実に受理し、内容をデータベース化するための作業の一部を外部委託する等、より効率的な事務処理を図ることを考えているところでございます。
 また、総合通信局等に関しましては、人員強化についても検討してまいりたいと考えております。
○本村委員 ぜひ、業務がふえて過労になるようなことがないようにしていただきたいというふうに思います。
 改正で盛り込まれました、事業者、販売代理店が、自己の氏名若しくは名称、勧誘である旨を告げずに勧誘する行為を禁止するというふうになっておりますけれども、これは、消費者保護の観点から当然の措置だというふうに思っております。
 「利用者の利益の保護のため支障を生ずるおそれがないものとして総務省令で定めるものを除く。」というふうにありますけれども、省令はどのような内容を考えているんでしょうか。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 適用除外とする行為の具体的な内容につきましては、今後検討することとなりますけれども、現時点におきましては、例えば、利用者が新規契約の締結のために店舗に来店してそれに対応する場合に自己の名称等を告げずに勧誘する行為等を定めることが想定されるところでございます。
○本村委員 ありがとうございます。
 その販売代理店に対する指導については、二〇一五年、電気通信事業法の改正がありまして、強化をされたわけですけれども、その二〇一五年の法改正後、事業者、販売代理店に業務改善命令が出された数というのはゼロだというふうに聞いておりますけれども、しかし、消費者保護のルールの導入以降も、苦情相談件数は少し減ったものの、依然として高どまりだというふうに思われます。
 改善につながらない理由は何なのかという点と、苦情相談の要因となった販路、販売主体、苦情相談の内容はどのようなものなのかという点、お示しをいただきたいと思います。
○谷脇政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、二〇一五年の電気通信事業法の改正による利用者の利益の保護のための措置の導入以降、電気通信分野の苦情相談の件数は減少しておりますけれども、電気通信サービスの高度化、多様化、複雑化や、消費者の高齢化などを背景として、苦情相談の件数は依然として多い状況にあると認識をしております。
 苦情相談の中で最も多くの割合を占めるのは、FTTHサービスに係るものでございまして、これはFTTHサービスで卸売サービスが開始をされるといった市場環境の変化もありまして、勧誘主体について誤解を与える勧誘や勧誘目的を明示しない勧誘が行われていることなどにより、苦情相談の件数が多くなっているものでございます。
 なお、こうした勧誘に対処するため、今回の法律改正で、自己の名称等を告げずに勧誘する行為等を禁止することとしておりまして、苦情相談の縮減に寄与するものと考えております。
 また、もう一点お尋ねの、販路、あるいは販路ごとの代表的な苦情相談の内容ということでございますけれども、二〇一八年四月から九月までの半年間、全国の消費生活センターや総務省に寄せられた苦情相談の傾向分析を行いましたところ、MNOサービスにつきましては、キャリアショップ等の店舗を販路とする苦情相談が半分を占め、内容としては、通信料金の請求や解約の条件、方法に関するものが多うございます。
 また、FTTHサービスにつきましては、電話勧誘を販路とする苦情相談が半分を占めております。内容といたしましては、誤認による事業者等の変更や、解約の条件、方法に関するものが多いという結果になっております。
 また、MVNOサービスにつきましては、店舗を販路とする苦情相談が約三分の一を占めておりまして、内容としては、解約の条件や方法あるいは通信料金の請求に関するものが多いという結果が出ているところでございます。
○本村委員 消費者保護のワーキンググループの中間報告では、中でも六十歳以上のトラブルの割合が増加しているというふうになっております。この点、どうしていくおつもりなのかという点も確認をさせていただきたいと思います。
○石田国務大臣 電気通信サービスの利用につきましては、光回線サービスの卸売や携帯電話の契約に係る苦情相談が全国の消費生活センター等において多く発生しており、中でも六十歳以上のトラブルの割合が増加しているところでございます。
 総務省としては、高齢者が安心してネット社会に参画できるようにするため、契約締結の際の十分な情報提供と利用者側の意向確認を徹底するとともに、スマホ教室の推進等による高齢者のICT及び契約に関するリテラシー向上を図ることが肝要と考えておりまして、引き続き、事業者団体及び各事業者と緊密に連携をとりつつ、消費者保護の充実を図ってまいりたいと考えております。
○本村委員 携帯ショップに来店しても、なかなか予約がいっぱいで気軽に相談できないという状況が現在ございまして、やはり気軽に相談できる窓口が身近にあること、人や店舗をふやしていくということも大事だというふうに思いますし、都市部だけではなく、やはり地方への配慮も必要だ、地方に行ったら店舗がないというようなことがないようにしていただきたいというふうに思います。あと、モニタリングと市場調査ですね、法施行された後の。
 その点も最後に大臣にまとめて御答弁をいただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。
○石田国務大臣 携帯電話の販売代理店は消費者の身近な相談窓口として重要であるとの御指摘はそのとおりと認識をいたしておりまして、消費者が、店舗窓口において御自身の契約内容についてきちんとした説明が受けられるよう、携帯電話事業者及び販売代理店において、人材の確保と育成に適切に取り組んでいただくことは重要と認識いたしております。
 携帯電話代理店の業界団体におきましては、従業員の定着率向上に向けて、働き方改革や従業員研修に積極的に取り組んでおられると承知しており、総務省としてもそのような取組を支援してまいりたいと考えております。
 また、今回の法改正は、携帯電話サービスのあり方や市場環境に大きな変化をもたらすものでございまして、利用者保護の観点からフォローアップすることは極めて重要と考えております。
 このため、法改正後は、携帯電話料金を含めた事業者間の競争状況、消費者トラブルの状況あるいは販売代理店の状況等、携帯電話市場の状況につきまして定期的に評価、検証を行い、問題が認められる場合には速やかに対処してまいりたいと考えております。
○本村委員 ありがとうございました。

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