もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2019年 5月 20日 第198国会 決算行政監視委員会

きめ細やかな教育を 外国人児童生徒

しんぶん赤旗 2019年5月21日

きめ細やかな教育を 外国人児童生徒 本村氏求める 衆院決算行監委

 日本共産党の本村伸子議員は20日の衆院決算行政監視委員会で、日本語指導を必要とする外国にルーツをもつ子どもたちへのきめ細やかな教育保障、教員の増員を求めました。

 本村氏は、製造業などの外国人労働者が増える愛知県は、外国人児童生徒数の全国に占める割合が20%超で最多だと紹介。同県知立市では、小中学生が日本語教育や生活習慣を学ぶ「早期適応教室」があり、その制度化と予算の抜本的増加が要望されているとしました。

 今年度予算に日本語指導を含む支援事業が盛り込まれたものの、補助対象は都道府県、政令市、中核市で、知立市は県が申請しなかったため使えていないと指摘。同市など基礎自治体が使える改善策と国の負担割合を増やすことを求め、柴山昌彦文部科学相は「早期適応教室は大変優れた取り組みだ。基礎自治体のニーズをきちんと踏まえ県が国に要望してほしい」と答弁しました。

 本村氏は、同県が文科省から、語学相談員派遣事業で補助を申請しており早期適応教室などへの補助は使えないと説明を受けたと言及。清水明総合教育政策局長は「使いやすい工夫も、相談しながら対応したい」と述べました。本村氏は、日本語指導が必要な児童生徒に対する教員の基礎定数を10年かけて18人に1人とする国の方針では遅いとし前倒しを求めました。

 

議事録

198-衆-決算行政監視委員会-3号 2019年5月20日

○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず、日米地位協定にかかわって質問をさせていただきたいというふうに思います。
 二〇一七年度、二〇一六年度の予備費で、米軍基地爆音訴訟の関係で、国側控訴に係る支出が続いております。日米地位協定第十八条第五項(e)は、米国側に起因するものは、裁定され、合意され、又は裁判により決定された額は、その金額の七五%を米国が負担するというふうになっております。
 日本共産党の宮本徹議員が、昨年もおととしも、この委員会の中で、岸田外務大臣そして河野外務大臣に対して、日本政府は米国政府に対して損害賠償金の負担を強く求めるよう質問をいたしました。これに対して、河野外務大臣は、「日本政府としては、米国政府に対して損害賠償金の分担を求めるとの立場で、今後とも適切な形で協議を重ねてまいりたい」というふうに答弁をしております。
 河野大臣にお伺いをいたします。アメリカに負担を求める日米協議、何が進展したんでしょうか。
○河野国務大臣 この件につきましては、日本政府と米国政府の立場が異なっており、いまだ妥結を見ておりません。
○本村委員 米国側が一円も応じず、日米地位協定さえ守られていない状況が続いていることは重大だというふうに思います。
 河野大臣、要するに交渉が進展しているのかしていないのか、端的にお示しをいただきたいと思います。
○河野国務大臣 繰り返しで恐縮でございますが、この問題はいまだ妥結を見ておりません。
○本村委員 全く進展していないのだと。この間の答弁とも変わりませんので、進展していないということだというふうに思いますけれども、例えば、第三次の普天間飛行場爆音訴訟では、原告の住民の皆様が勝って、九億五千万円の賠償が認められたわけですけれども、米国が一円も応じていないということでございます。
 異常な特権、日米地位協定に関しては、抜本的な見直しを求める声が高まっておりますけれども、その日米地位協定すら守られていない。協議も交渉も進展が見られないというのは、やはりおかしいと思いますし、許されないということだというふうに思います。
 予備費にかかわってそのことを強調させていただいて、時間がございませんので、次の質問をさせていただきたいというふうに思います。
 河野大臣、もう結構でございます。ありがとうございました。
 次に、外国にルーツを持つ子供たちの教育保障の問題について質問をしたいというふうに思います。
 二〇一八年度の在留外国人の数は二百七十三万千九十三人で、前年比で十六万九千二百四十五人、六・六%増加となっており、過去最高となっております。二〇一八年六月末の在留外国人数のうち、ゼロ歳から十八歳の人数は約三十万人となっており、子供さんの数もふえております。
 まず、大臣にお伺いをしたいと思いますけれども、国策として外国人労働者をふやす政策をとっている中で、外国にルーツを持つ子供たちがふえているわけでございます。その子供たちが犠牲になるようなことがあってはならない、子どもの権利条約や国際人権規約などに沿って教育もしっかりとやっていくんだという文部科学大臣の決意をまずお伺いしたいと思います。
○柴山国務大臣 外国の子供たちが日本における生活の基礎を身につけ、その能力を伸ばすことができるようにするために適切な教育の機会が確保されるということは、共生社会の実現という観点からも大変重要であると考えております。
 文部科学省といたしましては、昨年十二月に取りまとめられた外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づきまして、日本語指導に必要な教員定数の義務標準法の規定に基づく着実な改善、また、日本語指導の補助者及び母語での支援員の学校への派遣、こういった地方自治体が行う支援に対する補助事業などを実施しているところでありまして、今年度予算においては、これらのさらなる充実を図っております。
 さらに、ことしの一月に私ども文部科学省内に設置をいたしました外国人材の受入れ・共生のための教育推進検討チームにおきましては、外国人児童生徒に対する教育の充実を含めた議論を行うとともに、今後、中央教育審議会においても、増加する外国人児童生徒などへの教育のあり方について検討を深めることといたしております。
 引き続き、外国人児童生徒に対する教育の充実をしっかりと図っていく決意であります。
○本村委員 決意を伺いました。
 私の地元愛知県は、柴山大臣もお生まれが愛知だというふうに思いますけれども、この愛知県は、日本語指導を必要とする外国人児童生徒数の全国に占める割合が二〇%を超えて、全国最多となっておりまして、年々ふえております。
 愛知県は、御存じのとおり、トヨタ自動車の本社や工場があり、また、関連企業、下請企業が集中をしております。家族が帯同できる技術・人文知識・国際業務の在留資格の外国人の労働者が前年比二五・四%にふえておりまして、また、家族が帯同できる日系の方もいらっしゃるということで、子供たちがふえております。
 私は、五月七日ですけれども、知立市に伺いました。知立市というのは、周りの市にトヨタさんとかデンソーさんとか大きな企業がある自治体でございます。この知立市は、住民の皆様の七%が、外国人の方がお住まいでございます。知立市立知立東小学校、今年度、私が伺った時点なんですけれども、一年生五十二人のうち四十四人が外国にルーツを持った子供たちが過ごしているわけでございます。ほぼ毎週、一人とか二人とか転入、転出があるということで、就学援助も多いという中で、それに伴う対応や事務もふえております。
 知立市では、まず最初に、日本に初めて来られた子供たちは、市内の全ての小中学校から、知立東小学校内にございます早期適応教室、杜若教室というところに三カ月間通います。この杜若教室では、あいうえおから、初期の日本語教育や日本の生活習慣を学ぶということをやっています。子供たちが入ってくる時期というのは本当にばらばらで、しかも、小学校一年生から中学校三年生までが一緒の教室ということで、私が伺ったときは、一つの教室で三グループが学んでおりました。
 日本語が理解できないと、コミュニケーションもできない、そして学ぶことも難しくなってしまいます。そういう意味でも、この早期適応教室というのは非常に重要な取組だというふうに思います。
 知立市だけではなくほかの自治体でもこうした取組をやっておりまして、これを制度化してほしいという強いお声を現場からお伺いいたしました。
 文部科学省の職員の方にお伺いをいたしますと、学校内で行う早期適応教室なら、文部科学省の予算の帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業の日本語の指導を含むきめ細かな支援の充実の予算、今年度でいいますと二億八千九百万円予算がありますけれども、この補助金が使えますと言われます。
 また、学校外の早期適応教室なら、定住外国人の子供の就学促進事業の予算、今年度でいうと、たった八千万円しかないんですけれども、全国でこの補助金が使えますというふうに言われます。
 さらに、幼稚園、保育園、両方入っていない就学前の子供さん、親御さんを含めて、日本語教育も含めたプレスクール、この両方の予算、これが使えますというふうに言われます。
 しかし、帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業の日本語の指導を含むきめ細かな支援の充実の予算というのは、都道府県、政令市、中核市が補助の対象で、知立市が使いたくても愛知県が申請しなければ使えないという実態となっておりまして、今年度、愛知県が申請しなかったので知立市は使えていないわけでございます。
 柴山大臣に三点申し上げたいというふうに思いますけれども、一点目、早期適応教室のような重要な取組をしっかりと制度化し、予算を抜本的にふやしていくということ。
 二点目、早期適応教室の先生からは、年齢によって理解度に違いがあり、中学生は進学も視野に入れるとスピードを上げてあげたいんだ、せめて小学校と中学校を分けてほしいと御要望をお伺いいたしました。知立市全域から来られるわけですから、親御さんが送り迎えを毎日しないといけないという問題もございます。自治体全域に一つではなくて、学校ごとですとか複数箇所できるように、財政的な裏づけを国としてしっかりとするということ。
 そして、三つ目、知立市さんのような基礎自治体が手を挙げれば使えるようにすること。そのときには国の負担割合をふやすなどするべきだというふうに思いますけれども、充実していくと先ほど御決意を伺いました。
 ぜひこの点をやっていただきたいと思いますけれども、大臣、御答弁をお願いしたいと思います。
○柴山国務大臣 御紹介をいただきました知立市の早期適応教室のように、初期の日本語や小中学校への適応指導を集中的に行う取組、これはきめ細かな指導を行うという観点からも大変すぐれた取組だというように思います。
 今委員からも御紹介をいただきました、特に帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業、このプログラムは、こうした取組を含む地方自治体の日本語指導に関する支援に対する補助を内容とするものでありまして、今年度予算においても、これらのさらなる充実を図っているところであります。
 その内容につきまして御要望いただきましたけれども、基本的には、自治体においてしっかりとメニューをつくっていただければ国がそれに対する補助を行っていきますので、国として何か特定のメニュー立てをするという性質のものではないというように思います。
 ただ、今おっしゃった、県が申請しなくてはいけないということが問題ではないかというこの部分につきましては、国、都道府県、市町村がまさしく役割分担をして、相互に連携協力をして分担をするということが私は必要だというように考えておりまして、都道府県には域内の外国人児童生徒などに関する基本的な分布に基づく方針をぜひ策定してほしいと思っておりますし、そして、それを踏まえた各市町村への支援を的確に行うということが期待されることから、本事業におきましては、直接な補助対象としては都道府県としているところなんですけれども、今まさしくおっしゃったように、各自治体、特に基礎自治体のニーズをきちんと踏まえた形で県が国にぜひ要望してほしいなというように考えております。
○本村委員 補助金を申請したいと知立市が要望をして、補助金申請しなかったということについて愛知県教育委員会にも伺ったんですけれども、文部科学省さんから、語学相談員の派遣の事業で補習等のための指導員等派遣事業の補助を申請しているので、さっき申し上げました帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業の補助金は使えないんだという説明を受けたんだと。
 新一年生五十二人中四十四人が外国にルーツを持つ子供たちである知立東小学校の現場からすると、愛知県の語学相談員の派遣というのは月に数回しか来ない事業なんだ、毎日子供たちにきめ細かな支援をする早期適応教室や日本語指導補助者や母語支援員などの事業は、同じ事業とはとても言えないんだと。
 知立市が帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業の補助を使えるようにするべきだと思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。
○海江田委員長 清水総合教育政策局長、時間がもう過ぎておりますので、手短にお願いします。
○清水政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のこの帰国・外国人児童生徒等に対するきめ細かな支援事業でございますけれども、日本語指導補助者及び母語指導員の活用など、そういう教育支援事業を行う自治体に対して経費の一部を補助する事業でございますので、愛知県知立市が実施している支援の内容がこの要件に該当する場合には、この補助金を活用するのが基本的には可能でございます。
 ただ、別途の補助金等、補助対象経費において、同一の経費を補助金で重複して受給することは認められないといった一定の制約はございますので、ちょっとそのあたりは、今のお聞きしたところにつきましては、お伝えの仕方で誤解があったかと思いますので、今年度の補助金の交付決定は終わっているところでございますけれども、今後、愛知県知立市が実施している支援内容について文部科学省に御相談していただければ、本事業の趣旨や内容、また、そういう一定の制約等について丁寧に御説明をさせていただきまして、できるだけ使いやすいような工夫も御相談をしながら対応してまいりたいと考えております。
○海江田委員長 本村伸子君、まとめてくださいね。
○本村委員 はい。
 ありがとうございます。
 教員の基礎定数の問題も、十八人に一人、十年かけてというのではなくて、前倒しをして、そして、知立市からは十人に一人にしてくれという御要望もございますので、そうしたこともぜひ充実をさせていただきたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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