もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2021年 3月 22日 第204国会 総務委員会

経営委議事録公開せよ ~NHK予算審議

しんぶん赤旗 2021年3月23日

経営委議事録公開せよ NHK予算 本村議員が反対 衆院総務委

 NHK2021年度予算の承認について、22日の衆院総務委員会で質疑が行われ、日本共産党の本村伸子議員が質問しました。

 本村氏は、かんぽ不正販売問題を報じた番組をめぐって、経営委員会が放送法に違反してNHK会長を厳重注意し、さらにその議事録の開示を拒み続けている経営委員会、執行部の姿勢を厳しく批判。「視聴者・国民への説明責任を放棄する姿勢は断じて許されない」と反対しました。

 反対討論に先立って本村氏は、放送法に違反する一連の行為を主導した森下俊三経営委員長の再任に日本共産党が立憲民主党、国民民主党などとともに反対したことを指摘。武田良太総務相に森下氏を再任した理由をただしました。また、経営委員会(12人)の女性比率が5人から4人に後退し、しかも唯一、議事録の公開を求める発言をしていた佐藤友美子追手門学院大学教授が再任されなかったことを「結果としてものを言う女性を外した形になった」と指摘。「経営委の人選が不透明すぎる。公募委員をつくるべきだとの声がある」として制度見直しの検討を求めました。

 武田総務相は、森下氏について「リーダーシップを発揮してきた」などと擁護。公募については考えていないと答えました。

 NHKの第三者機関が二度にわたって議事録の全面開示を答申していることについて、森下氏は「答申を重く受け止めて、いま経営委で検討している最中だ」と答弁。高橋正美監査委員は、本村氏が放送法46条にもとづく権限を行使して議事録公開を請求するよう求めたのに対し、「経営委の対応を注視してまいりたい」とのべるにとどまりました。

 

議事録

204-衆-総務委員会-11号 2021年3月22日

○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 本来、このNHKの予算審議の前に、総務大臣始め歴代政務三役、あるいは総務省幹部の接待問題の集中審議をこの衆議院総務委員会でも行わなければならないわけですけれども、大臣の不誠実な答弁を含め、大臣が参議院の予算委員会に頻繁に呼ばれるという事態で、この衆議院の総務委員会では、NHK予算審議を先にしてもらわないと困るということで、今日はNHKの予算審議の方が先になってしまったということだというふうに思います。しかも、その影響で、NHKの予算審議も昨年度よりも審議の時間が少ないということで、本当におかしいというふうに思います。
 冒頭に、この接待問題で幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。
 先ほど来御質問がありましたように、武田総務大臣は、昨年十一月十一日のホテルの日本料理店でのNTTの社長、NTTドコモの社外取締役の方、JR東海、葛西名誉会長との会食の事実を認めました。
 改めて、もう一度お答えをいただきたいんですけれども、JR東海、葛西名誉会長が武田総務大臣を誘った理由、そして、どういう会だったのか、あるいはJR東海、葛西名誉会長といつからの知り合いなのか、どういう関係なのか、そして、一時間近く葛西会長とほとんど会話をしていたということでしたけれども、どういうことを話していたのか、そういうことをお示しをいただきたいと思います。
○武田国務大臣 先ほども答弁いたしましたけれども、どういう意図というほどの意図ではないと思いますよ。
 昨年の一月六日に、我々閣僚は伊勢神宮に参拝をいたしました。その帰りしな、わざわざJR東海の葛西名誉会長、そしてまた柘植会長ほかJRの関係の数名の方が、我々をお見送りにお越しいただきました。当時私は国家公安委員長として参拝しておったものですから、葛西名誉会長は元国家公安委員をされておった、そしてJR東海の会長さんは愛知県の公安委員長であった、そうした公安委員会の関係で話をいろいろとさせていただいたわけであります。
 その際に、一度東京でと、こういうことをお誘いを受けておったわけでありますけれども、コロナ禍においてなかなか会食というものもこれはするわけにはいきません。しかも緊急事態宣言もありました。そして、私は防災担当大臣を兼務をしておりました。七月の豪雨という大災害に見舞われました。その後、九月には改造がございました。そうしたいろいろな日程の中で延び延びとなって十一月になったのであろう、このように考えているところであります。
○本村委員 一時間近く葛西名誉会長とばかりほとんど話していたという御答弁もありましたけれども、どういう話をされているのか、お示しをいただきたいと思います。
○武田国務大臣 それぞれの会食の会話をつまびらかにするというのは、これまたちょっといかがなものかと思うんですけれども、個別的な話というものは全くなく、世間一般の雑談に終始をいたしました。
○本村委員 今、総務省の職員百四十四人は、情報通信、放送事業者との会食、接待について調査を受けております。総務大臣も、情報通信事業者、先ほどもJR東海の話がございましたけれども、情報通信事業者、電気通信事業者、放送事業者との会食、接待の事実があるかどうかという点を、全て資料として出していただきたいと思います。大臣に。(武田国務大臣「職員とのあれでしょう」と呼ぶ)
○石田委員長 ちょっと待ってください。
 もう一度ちょっと、資料と、質問と、どうなっているんですか。
○本村委員 済みません。大臣が、電気通信事業者、そして放送事業者との会食、接待を行った、そういう資料を出していただきたいということです。一覧を出していただきたい。職員の方々に今調査をしているのと同じような形で出していただきたい。
○武田国務大臣 職員に対する調査に関しては、これは倫理法令に違反するか否かの調査をしておるわけで、そこのところは御理解いただきたいと思います。
○本村委員 政治倫理の話だということで先ほども議員からございましたけれども、政治倫理の話を私は問うているわけでございます。
 大臣は、疑念を持たれるような会食に応じることはありませんということでずっと答弁をされてきましたけれども、疑念を持たれないだろうという考えが正しいか検証するためにも、武田大臣の電気通信事業者、放送事業者との会食、接待の一覧の提出を求めたいというふうに思います。
○武田国務大臣 委員、接待という言葉は不適切だと思いますよ。
○本村委員 会食一覧、お願いしたいと思います。
○武田国務大臣 個別の会食について、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○本村委員 総務省職員百四十四人は、調査の中で、個別のことを差し控えるというわけにはいかないわけでございます。後で判明したら重い処分になるから、最初から正直に調査に応じるようにということで今求められているわけでございます。
 辞職をしてしまいましたけれども、谷脇総務審議官始め、本人の思い込み、誤った思い込みがあったことが明らかになっております。疑念を持たれることはないだろうと大臣が恣意的に判断するのではなく、国民、住民の皆さんに判断を仰ぐべきでございます。
 この会食、接待の問題については、行政をゆがめてしまう可能性、あるいは甘い指導監督になる可能性、あるいは本来必要な規制や立法もできないことになる、そういう可能性もある。そして、国民、住民の皆さんにとって利益に反する事態になるおそれがございます。
 今、総務省、職員も総ざらいをして、癒着や腐敗の根を絶つ方向だというふうに思いますけれども、総務省のトップ、大臣を始め政務三役、国会議員が範を示すべきだというふうに思います。
 加えて、委員長にお願いをしたいんですけれども、NTT幹部からの会食、接待を受けたと名前が挙がった歴代総務大臣、副大臣、政務官、国会議員、東北新社、NTT関係者、先ほどJR東海もございましたけれども、会食に参加をした人たち、そして総務省幹部で会食に参加をした人たちを招致をして、集中審議を求めたいと思います。
 また、この問題で時間が取られておりますので、NHKの審議の方も補充質疑を求めたいと思います。
○石田委員長 理事会で協議します。
○本村委員 NHKの問題について質問をしたいというふうに思います。
 今年三月一日のNHK経営委員会の委員に関する国会同意人事がございました。森下俊三氏の人事について、私ども日本共産党は反対をいたしました。立憲民主党の皆様、国民民主党の皆様、参議院ではほかの会派の皆様も、反対をされている会派等もございます。
 その理由として、やはり、先ほど来御議論がございましたように、二〇一八年、日本郵政グループのかんぽ不正販売を告発しようとした取材現場に対して、当時の経営委員長の代行でありました森下氏が日本郵政の鈴木副社長と会って、そして日本郵政側に協力するような働きをして、経営委員会がNHK上田会長を厳重注意をする、しかも、そのときの経営委員会の議事録をいまだに開示していないという問題がございます。
 そのときの経営委員会の議事録は、国会審議でも何度も何度も、先ほども奥野議員が求められておりましたけれども、その国会の要求に加えて、第三者機関でございますNHK情報公開・個人情報保護審議委員会から二度にわたって全面開示を答申されているのに、いまだに議事録を情報開示をしていないという問題でございます。
 放送法に、経営委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから選ぶということに、これでは反してしまうということで、私どもは反対をいたしました。なぜ、こういう様々な疑念が持たれている方を人選をしたのか、このプロセスの不透明さについても疑問が出されております。
 経営委員会の委員の任命について、人選のプロセスについて、まずこれは総務省の方に、事務方の方に質問させていただきたいと思います。
○吉田政府参考人 お答えいたします。
 NHKの経営委員会委員につきましては、放送法第三十一条第一項の規定に基づき、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、教育、文化、科学、産業その他の各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮して選任することとされております。
 人選のプロセスに関するこれ以上の詳細につきましては、人事に関わることであり、お答えを差し控えさせていただきたいと存じます。
○本村委員 総務大臣にお伺いをいたします。
 森下氏を経営委員に再任した理由についてお伺いをしたいと思います。
○武田国務大臣 森下氏は、平成二十七年三月のNHK経営委員会委員就任以降、企業及び公益に関わる事業体の経営の専門家としての識見を生かし、NHKの経営全般に関して積極的に発言をしてこられました。また、令和元年十二月から委員長に就任し、委員会の議論、検討を主導するなどリーダーシップを発揮しておられます。
 このような観点から、NHKの経営の最高意思決定機関の構成員としてその手腕が発揮されることが期待されるため、森下氏の再任を提示させていただいたものであります。
○本村委員 公正な判断ができるかどうかということの問題があるわけですけれども、NHKの情報公開・個人情報保護審議委員会から、先ほど来議論がございますNHKの経営委員会の上田会長への厳重注意に関する議事録、二〇一八年十月九日、十月二十三日、十一月十三日を全面開示をするべきという答申が二度にわたって出されていますけれども、これらの議事録は全部読んで森下俊三氏を経営委員に再任させるべく選んだのかについてお伺いをしたいと思います。大臣に。
○武田国務大臣 公表されています議事録を始めとする御指摘の事案の概要については、事務方から報告を受けております。
 その上で、森下氏は、平成二十七年三月のNHK経営委員会委員就任以降、企業及び公益に関わる事業体の経営の専門家としての識見を生かし、NHKの経営全般に関して積極的に発言してこられました。また、令和元年十二月から委員長に就任し、委員会の議論、検討を主導するなどリーダーシップを発揮してまいられました。
 このような観点から、NHKの経営の最高意思決定機関の構成員としてその手腕が発揮されることが期待されるため、森下氏の再任を提示をさせていただいたものであります。
○本村委員 二〇一八年十月二十三日、報道では、番組の作り方に問題があるのではないかというような、番組に関わる発言、放送法の三十二条に反する発言があったのではないかというふうに言われている方でございます。
 先ほども概要をというふうに言われましたけれども、議事録は読んでいないということですね。
○武田国務大臣 議事録の概要について報告をしっかりと受けております。
○本村委員 じゃ、オープンジャーナリズムというが、インターネットの情報は偏っているので、作り方に問題があるのではないかと言ったのはどなたですか、総務大臣、概要をお聞きになっているというのであれば。
○武田国務大臣 それについては存じ上げません。
○本村委員 こういう部分が放送法に反した発言ではないか、経営委員会が放送法に反する事態になっているのではないかということが問われているんです。そのことは全く考えずに人選をしたということでしょうか。大臣が決裁を行っておりますので。
○武田国務大臣 公表されている議事録を始めとする御指摘の事案の概要については、事務方から報告を受けております。
○本村委員 その概要について、後で提出をいただきたいと思いますけれども。(武田国務大臣「後で、何ですか」と呼ぶ)提出をしていただきたいと思います、大臣。概要について提出していただきたいと思います。概要の資料、説明ペーパーがあったと思いますけれども、提出をお願いしたいと思います。
○武田国務大臣 検討いたします。
○本村委員 NHK会長を厳重注意した際の経営委員会では、森下氏が放送法に違反する発言をしたのではないか。報道されているそういう発言は、まさに放送法に違反していると思えるような発言でございます。そのことを再三指摘をされ、議事録も読んでいないのに、なぜ、放送法にございます公正な判断をすることができるというふうに判断できるんでしょうか。
○武田国務大臣 委員のお言葉だと、全くこの内容を私がつかんでいないというようなお言葉ですけれども、しっかり事務方からその概要についての説明は受けているわけですから、御理解をいただきたいと思います。
○本村委員 放送法に違反していると疑われるような発言があったという人物でございます。議事録も、概要が、どの概要を見たのか分かりませんけれども、しっかりとそういうことを精査をして人選をするべきだというふうに思いますけれども、それをやっていないということが明らかになりました。武田大臣の見識が問われてくる問題だというふうに思います。
 今回のNHKの経営委員会の人事について、もう一つ、非常に私はおかしいと憤りを持った点がございます。女性の委員が少なくなっているという点です。女性の委員を減らすというのはどういう見識なのかということで、私は本当に、非常にショックを受けました。
 そこで、前提として、認識を総務大臣、NHK会長、経営委員長にお伺いをしたいというふうに思いますけれども、ジェンダー平等が国連の持続可能な開発目標、SDGsの五番目の目標に位置づけられている理由についてどのように考えるのか、見解を伺いたいというふうに思います。また、目標の五番目、ジェンダーの平等を達成し、全ての女性と女児のエンパワーメントを図るについてどういう取組をしているのか、それぞれお示しをいただきたいと思います。
○武田国務大臣 SDGsに掲げられる十七の目標は、ジェンダー平等を含め、持続可能でよりよい生活を実現するための国際目標として掲げられたものであり、いずれも二〇三〇年までの達成に向けて国際社会が取り組んでいく必要がある重要な課題と認識をいたしております。
 総務省としても、女性の活躍を推進することは重要と考えております。総務省の職員について申し上げれば、今年度の採用者のうち四二・八%は女性職員で、政府目標の三〇%を上回っているなど、女性職員の採用や登用に積極的に取り組んでおります。
 今後とも、第五次男女共同参画計画等に基づき、男女問わず働きやすい職場づくりや、女性職員の採用及び登用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
○前田参考人 お答え申し上げます。
 NHKは、公共メディアキャンペーンとして、今年一月から新たに、NHK・SDGsキャンペーン「未来へ十七アクション」をスタートいたしました。このキャンペーンでは、国連が掲げます持続可能な開発目標の達成に向けて、公共メディアとして、アクションを起こすきっかけづくりを目指しております。ジェンダーや福祉、環境などをテーマに、年間を通じて発信を強化していくこととしており、ジェンダーに関連するイベントや動きと併せ、番組や企画で取り上げる方針でございます。
 また、昨年秋から、「#BeyondGender ジェンダーをこえて」というプロジェクトをスタートいたしました。放送や広報に関わる部署などが連携し、性教育から性の多様性、男女共同参画、性暴力まで、ジェンダーをめぐる様々な課題と解決の手がかりとなる情報を放送、インターネット、SNSなどを通じて継続的に発信する取組を強化いたしております。
 なお、二〇二一年度の国内放送番組編集の基本計画では、多様な価値を認め、共に生きる社会を目指した放送・サービスを充実させることを重点事項に掲げております。性別、国籍、年齢に関わりなく、多様な人たちが生き生きと過ごすことができる社会の実現のため、ニュースや番組で課題や解決策を考えていくことや、出演者の選定に当たって、ジェンダーなど多様性を意識するとともに、新たな視点を入れるよう努めることを明記しており、引き続き取組を強化してまいりたいと考えております。
○森下参考人 お答えいたします。
 その前に、先ほどの、放送法の違反じゃないかということについては、ちょっと認識の問題が、差がありますので、事実関係だけお話をいたしておきます。
 これにつきましては、何回もこの委員会の中で、私どもは、事実の確認のために番組に関する発言もありましたけれども、放送番組に介入したことはありませんし、執行部もそういうことはなかったと発言していただいております。さらには、その当時の総務大臣が直ちに放送法に違反しているとは言えないという発言もしていただいております。あくまでもこれはガバナンスについての議論について事実確認をするための話だったということで、それはもう何度も説明しているとおりであります。
 それから、先ほどの件でありますが、御指摘のジェンダーの件につきましては、あらゆる場所で女性と女子に対する差別に終止符を打つことを狙いとしていると理解しております。
 経営委員会としては、先ほど会長の答弁にありましたように、執行部の取組を注視、監督していくつもりでございます。
 以上、お答えしました。
○本村委員 是非議事録を出していただきたいんですけれども、ちょっと、今言われましたので確認をさせていただきたいと思います、森下経営委員長に。
 オープンジャーナリズムというが、インターネットの情報は偏っているので、作り方に問題があるのではないかというのは、森下さんの御発言でしょうか。
○森下参考人 お答えいたします。
 私どもは、既に議事の経過を国会の皆様にも御報告しておりまして、そのときに、どういう議論があったか、オープンジャーナリズムについてもそこで触れております。ただし、元々これは非公表だということでございましたので、個人名は書いてございません。
 以上、お答えしました。
○本村委員 森下さんの発言ではないかということで問われているわけでございます。放送法に反する発言をしていたのではないか、議論をしていたのではないかということが、経営委員会で事実の解明が求められているわけでございます。
 ジェンダー平等の話に戻しますけれども、経営委員会の女性の委員を減らすことは、公共放送NHK、ひいては日本社会全体のジェンダー平等を強力に推進するということに逆行するというふうに思いますけれども、大臣の見解を伺います。
○武田国務大臣 先ほども答弁の中で申し上げさせていただきましたが、総務省として、女性の活躍を推進することは重要だ、このように考えており、第五次男女共同参画計画等に基づき、男女問わず働きやすい職場づくり等に積極的に取り組んでおります。
 その上で、今回の経営委員会委員の人事案については、政府として、放送法の規定や男女共同参画に関する政府方針なども踏まえながら、国会に提示をさせていただいたところであります。
○本村委員 NHKの経営委員会の女性比率は、前回は四一・七%でございました。それが三三・三%に後退をしております。ジェンダーギャップ指数、世界で百二十一位と遅れた日本が、女性の登用を増やすのではなく、後退させるということは絶対にあってはならないというふうに思います。
 しかも、情報公開・個人情報保護審議委員会の答申に対して、議事録を要約する、実質不開示にすることに唯一反対をしていた、議事録の公開を求める発言をしていた前任の経営委員会の委員である佐藤友美子さんは再任対象に選ばれませんでした。理由は何でしょうか。
○吉田政府参考人 お答えをいたします。
 個別の人事に関わることであり、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
○本村委員 レクチャーでは、何か年齢がというようなこともおっしゃっておりましたけれども、大体同じような年齢の男性の方を人選しているわけでございます。結果として、物を言っていた女性を外した、そういう形になってしまったわけでございます。
 この経営委員会の人選が非常に不透明であること、自主独立の公共放送の在り方として非常に今問題があるというふうに思っております。経営委員会を民主的にしていくために、そして人選の透明性を確保していくためにも、公募委員をつくるべきじゃないかというお声があるわけですけれども、そういうことを是非やるべきだと思いますけれども、大臣、見解を伺いたいと思います。大臣に伺いたいと思います。大臣に通告してあります。時間がございませんので。
○武田国務大臣 放送法第三十一条第一項は、経営委員会委員について、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、教育、文化、科学、産業その他の各分野及び全国各地方が公平に代表されることを考慮して、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命することとされております。
 この国会同意という大変重い手続が定められている趣旨を踏まえて人選を進めていくことが必要と考えており、政府として、現時点で公募制を導入することは考えておりません。
 いずれにしても、国会で同意いただけるようなしっかりとした人選を政府として行っていくことが重要であると考えております。
○本村委員 経営委員会の人選が不透明過ぎる。まずは、公募委員をつくって、少しでも視聴者の皆様、国民、住民の皆様の疑念を払拭する努力をするべきだというふうに思います。
 議事録の問題に話を戻したいというふうに思います。
 NHK情報公開・個人情報保護審議委員会の答申では、二度も全面開示を求められております。二〇一八年十月九日、十月二十三日、十一月十三日、この議事録を開示するべきだというふうに思いますけれども、経営委員長、お願いしたいと思います。
○森下参考人 お答えいたします。
 NHK情報公開・個人情報保護審議委員会からの一度目の答申は昨年の夏でございましたが、視聴者に対する十分な説明責任を果たすことが求められている状況を勘案すると、議事録を速やかに開示することが必要だという趣旨でございました。
 私どもは、NHKの情報公開規程二十一条に基づきまして、NHKは、審議委員会の意見を尊重し、再検討の求めに対する開示、不開示等の判断を行う、この規程に基づきまして議論をいたしました。対象文書は非公表でありますので、それ自体は公表することができませんが、先ほどの答申の趣旨、説明責任を果たすようにということがございましたので、その説明責任を果たすために、改めて整理したものを公表いたしました。それについては、請求者に対しましても、回答するときにその旨をお伝えいたしました。
 しかしながら、今回、二度目の答申では、前回の対応、そういう整理したものではなくて、対象文書そのものを開示せよという指摘がございました。そういったことで、私どもは、この二度目の答申というものを尊重いたしまして、現在検討している最中であります。
 経営委員会は十二名の合議制でございますし、三月一日に新しい委員も入りましたので、しっかりと議論をして、対応をしていくつもりでございます。
 以上、お答えしました。
○本村委員 唯一、議事録を公開するべきだと主張されていた委員が、今回再任をされなかったということも、大変な危惧を抱いております。
 情報公開・個人情報保護審議委員会の答申は、まず、一回目の答申ですけれども、不開示とすべき個人情報、企業機密情報等の存在は認められないというふうに判断をしております。また、本件を、議事録非公開の場でなければ各経営委員が率直な意見が言えないような類いの問題と位置づけるべきではないということも述べております。仮に、非公開を前提にしたのであるから、以後率直な意見が言いづらいと感じる委員がいるとしても、本件を、そのことによって経営委員会全体の運営に支障が生じると判断すべき事案と認めることはできないということを明言をしております。
 さらに、したがって、本件文書が公開されることによって今後の同種の審議、検討又は協議が円滑に行われることを阻害するおそれがあるとするNHKの見解は肯定できないと、きっぱり言われております。
 また、非公表を前提に行われた意思形成過程の情報であって、開示することによりNHKの事業活動に支障を及ぼすおそれがあるとするNHKの見解は肯定できないということもまた言われております。
 むしろ議事録を速やかに開示することが、今後のNHK及び経営委員会の運営にとっても必要なことと言っても過言ではなかろう、NHK情報公開制度は、受信契約の強制を伴う受信料徴収が行われており、かつ、公共放送を担う機関であるというNHKの立場を踏まえて構築された独自のものである、本件文書の開示はその目的にかなうものであろうということで、結論として、開示すべきというふうに言われております。
 二回目の答申なんですけれども、そういう指摘に加えて、経営委員会が出した議事の一部を書いた文書は、開示の求めの対象文書との同一性を失ったものであるということと、そもそも情報公開制度というのは、対象文書をありのままに見せることを当然の大前提としており、不開示事由がある場合には、全部又は一部を黒塗りにするなどして当該求めに回答するものである、すなわち、公開制度の対象となる機関自らが対象文書に手を加えることは制度上予定されていないことであり、それは対象文書の改ざんというそしりを受けかねない危険をはらむものであるというふうに指摘をしておりまして、そして、開示をするべきであるという結論を出しております。そして、本件開示の求めに対応されることを切に望むものであるということで、二回目、付言も出ております。
 こうした指摘をしっかりと受け止めて、開示をするべきです。
○森下参考人 お答えいたします。
 先ほど、一回目の答申と、今回の二回目の答申の経緯については御説明したとおりでございますが、二度目の指摘、答申ということで、私どもは重く受け止めて、現在検討している最中でございます。
 なお、改ざんのおそれ、改ざんと見られても仕方がないという話がありました。これについては、先ほどお話ししましたが、元々非公表のものでありますので、私どもは、これは出せません、ですけれども、答申を尊重して説明責任を果たすために、まとめて整理したものを出しますよということをきちんとつけて、請求者に回答しておりまして、これは、現物と違いますよということははっきりとしておりますので、元々、改ざんという認識ではございません。
 ですから、委員会の方にも、その二回目の指摘のときに、そういうことですよということでお話はしているところでございます。
 いずれにしましても、二回目の答申ですので、私どもは、先ほど説明ありましたように、いろいろな点を指摘されておりますので、その点を今十二名でしっかりと議論をして、結論を出したいというふうに考えております。
 以上、お答えいたしました。
○本村委員 NHKの情報公開基準の中では、開示は、当該文書の閲覧又はコピーの提供ということで、何か経営委員会が文書を作ってそれを出すというのは趣旨が違うわけでございます。この基準にのっとって、文書、議事録そのものを出していただきたいと思います。情報公開というのはそういう制度だという指摘があるわけです。
○森下参考人 お答えいたします。
 先ほど御説明したとおり、私どもは、非公表のものは出せないので、その代わり、説明責任を果たせるように、まとめたものを出しますという、そういうことをきちんとつけて、請求者にお答えをしているということです。
 ですから、今回、二回目の審議会で、いや、それでは不十分だということでございましたので、それについては現在検討しているということでございます。
○本村委員 度重なる答申に応えて公表することを阻むのは、公共放送の公正性を毀損し、国民に対する説明責任を踏みにじることにつながりますという、議事録の全面公開を求める有志の皆様からの声が出ております。また、非公開でなければ意見を言えない人は経営委員を引き受けるべきではないという意見も出されております。受信料から高給を得ていた身として責任を全うするべきですという声も出されております。
 是非この声に応えていくべきだというふうに思います。
 放送法四十六条には、「監査委員による役員の行為の差止め」という規定がございます。監査委員は、役員が協会の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、又はこれの行為をするおそれがある場合においては、当該行為によって協会に著しい損害を生ずるおそれがあるときは、当該役員に対し、当該行為をやめることを請求することができるという規定がございます。
 監査委員が、この放送法四十六条に基づく権限を行使し、そして議事録公開を請求するべきだというふうに思いますけれども、監査委員の方にお伺いしたいと思います。
○高橋参考人 お答えいたします。
 御指摘の議事録につきましては、NHK情報公開・個人情報保護審議委員会が行った答申を受けて、現在、先ほど委員長がお話をされたとおり、経営委員会が対応を検討している、こういう状況だと理解いたしております。
 監査委員会といたしましては、経営委員会の検討状況を注視してまいりたいと考えておる次第でございます。
○本村委員 協会に著しい損害を生じるおそれがあるというか、信頼が本当に揺らいでいる、危機だというふうに思います。監査委員がこの四十六条の規定に基づいて役割を果たしてください。もう一度お願いします。
○高橋参考人 お答えいたします。
 先ほどもお答えいたしましたとおり、現在、監査委員会では、経営委員会が対応を検討している状況だと理解しております。
 監査委員会といたしましては、今後も自律的に適正に職務を全うしてまいりたいと思っております。
○本村委員 議事録の公開と経営委員会の在り方の透明性を確保すること、民主的に改革することを強く求め、質問を終わらせていただきます。
 あり

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参考資料

https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2021/03/20210323145240756.pdf

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