しんぶん赤旗 2021年1月30日
医療体制確保強化を 衆総務委 本村議員が要求
日本共産党の本村伸子議員は25日の衆院総務委員会で、地方交付税法等改正案の質疑に立ち、コロナ拡大に伴う医療体制確保の強化を求めました。
本村氏は、名古屋市で自宅療養者が亡くなる事案が発生しているとして、「感染拡大防止の基本である保護、隔離のために病床確保が喫緊の課題だ」と指摘。一方で、民間医療機関が重点医療機関に手を挙げているのに進まない事例や、受け入れ病床がなくコロナ対応病院を退院できず、病床が一層不足する事例を取り上げ、対策と支援強化を求めました。
また本村氏が、「入院先がない中で往診の体制強化が必要として手厚い支援を」と求めたのに対して、山本博司厚労副大臣は「往診の体制をしっかり対応して進めていきたい」と答えました。
さらに本村氏は、新型コロナ対応で重要な役割を果たしている公立病院の病床削減を狙う国の政策を批判し、一層の確保をとただしました。武田総務相は、「本当に重要度が増してくる。国民から期待される役割を果たせるよう総務省として取り組む」と述べました。
議事録
204-衆-総務委員会-1号 令和3年1月25日
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の問題、入院先がない、あるいは宿泊療養先がない、この問題について質問をさせていただきたいというふうに思います。
私の地元である愛知の名古屋市内の保健師の皆さんからもお話をお伺いをいたしました。肺炎の可能性がある患者さんも入院できないような事態に名古屋市内ではなっております。保健師さんが言われたんですけれども、必要な治療ができていない状態は自宅療養ではなく自宅待機だというふうにおっしゃっておりましたけれども、そのとおりだというふうに思います。
全国の自宅療養、待機をされている方々は、一月二十二日公表された人数でいいますと三万五千三百九十四人でございます。愛知県内の自宅療養、待機をされている方々は、一月二十四日現在で千八百四十一人。名古屋市内、自宅療養、待機をされている方々は、一月二十四日現在で千八十三名。そして、大臣のお地元福岡県も、一月二十二日公表の人数ですけれども、自宅療養、待機が二千七百六十四人と、愛知よりも多い現状がございます。
そういう中で、名古屋市内の自宅療養、待機をされていた方がお亡くなりになりました。亡くなられた全ての皆さんに心からの哀悼の意を申し上げたいと思います。
まず、確認ですけれども、感染拡大防止の基本は、陽性判定をされた患者さんに入院あるいは宿泊療養をしていただくという保護、隔離、これが基本だと思いますけれども、まず確認をさせていただきたいと思います。
○山本副大臣 今お話ございました新型ウイルス感染症は、主に飛沫感染又は接触感染によって感染し、いわゆる三密の環境では更に感染のリスクが高まるとされておりまして、その感染性や重篤性に鑑みれば、感染した方には入院や宿泊療養といった形によって他者と接する機会を極力減らしていくことが重要でございます。
また、自宅療養であった場合においても、同居者がいる場合には、他者と生活空間を分けたり共有スペースの利用を最小限にするなど、極力患者と同居者が接する機会を減らしていくようお願いをしている次第でございます。
他方で、発症する前など、感染が分かる前の時点から他者に感染をさせることがありますので、日常生活においても適切な感染対策を行うことが大切であると考えており、三密の環境を避けるほか、感染リスクが高まる五つの場面を避けるよう、広く国民にお願いしているところでございます。
○本村委員 感染拡大を防止する、そのためには、基本中の基本は保護、隔離だというふうに思います。今、そのために早急に入院先やあるいは宿泊療養先を確保しなければいけない、これが本当に喫緊の課題だというふうに思います。
まず、総務大臣にお伺いをしたいというふうに思います。
新型コロナの対応、長期にわたる感染症のこの対応で、医療現場の皆さんは本当に疲弊をしております。公立・公的病院の皆様方が果たしている役割も非常に大きいわけでございます。まさに本当に住民の皆さんの命綱という役割を果たしてくださっているというふうに思います。
大臣は、この感染症の対応で長期にわたって奮闘されているこういう医療従事者の御苦労をどのように受け止めておられますでしょうか。また、改めて公立病院の役割をどのように認識をされておりますでしょうか。お答えをいただきたいと思います。
○武田国務大臣 多くの公立病院が新型コロナウイルス感染症患者の皆さんを受け入れていただいております。この対策においては本当に重要な役割を担っていただいている、このように認識しておりますし、公立病院に従事される皆様はもとより、全てのこの対策に携わっている医療関係者の皆様方には敬意を表しますとともに、心から感謝をしておる次第であります。
○本村委員 大臣が自治体病院の御担当であるということで、もう本当に、医療従事者の皆さんは全般的に本当に御苦労されているわけですけれども、今日は自治体病院ということでお話をさせていただきたいんですけれども、本当にいざというときに命を守る要となる役割を果たしているということを私たちは決して忘れてはならないというふうに思います。
こういう自治体病院に対して、地域医療構想の中でベッドを減らせというふうにしておりますけれども、それは、ベッドが減るだけじゃなくて、そこに働く医療従事者の数が減っていくということにもつながってまいります。やはり、この感染症の問題を考えても、あるいは南海トラフ巨大地震、こういう災害時の問題を考えても、こういう地域医療構想で病院リストラを進めるような方向はやめるべきだというふうに思います。
武田大臣は防災担当大臣もやられておられましたので、よくお分かりだというふうに思います。私の地元は南海トラフ巨大地震の被害を受ける想定区域でございますけれども、ここは、DMATも足りないというようなことはもう分かり切っている、災害拠点病院だけでは足りないということも分かり切っている。そういう災害対応やあるいは感染症の対応を考えても、ベッドの確保や医療従事者の一層の確保が必要だというふうに思います。
公立病院や医療従事者、日頃から余裕がなければいざというときに対応できないということは今回分かったのではないか、痛感したのではないかというふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○武田国務大臣 公立病院に対しては、これは私の地元にもあるんですけれども、各市町村に対する財政負担等々の問題でいろいろな問題が指摘されましたけれども、今回、このコロナ禍における重要な役割を担っていただけるということで、多くの国民の皆さん方の認識も変わってきたのではないかなと考えております。
災害、感染症、そしてまた救急、不採算そしてまた特殊部門に関する医療などを提供してくださるという面でも、本当に重要度を増してくるのではないかと思っておりますし、地域ごとの適切かつ持続可能な医療提供体制の中で、公立病院が国民から、地域の皆さんから期待される役割を果たせるよう、今後とも総務省として取り組んでまいりたいと考えております。
○本村委員 今後、自治体病院の在り方を考えるときにも、感染症の対応やあるいは災害時の問題を想定をして、医療体制の充実が必要だということを強調させていただきたいというふうに思います。
今、新型コロナ対応の病床を確保しなければいけないということで、その点でお伺いをしたいんですけれども、患者さんを受け入れてくださる重点医療機関を増やさなければいけないということがございます。入院できない事態が実際にあって、病床の確保が喫緊の課題で、重点医療機関になってもよいと民間の医療機関が手を挙げている、しかし、十床以上確保できる医療機関でないと駄目だというふうに言われたという事例がございます。せっかく民間の医療機関が手を挙げようとしたけれども、それができないという現実が今実際に起こっております。
命を守るためにも、重点医療機関を増やすために最大限の努力をするべきだというふうに思いますけれども、厚生労働副大臣に今日は来ていただいておりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
○山本副大臣 重点医療機関の指定にございましては、病棟単位で新型コロナウイルス感染症患者あるいは疑いの患者用の病床確保を行っていることを要件としている次第でございます。
この要件に関しましては、国として、専用病床を何床以上確保しなければならない、こういう基準を示しているものではなくて、専用病床を確保し、ゾーニング等を行うことで、既存の一病棟を二病棟に分けて対応することも可能とするなど、柔軟な運用を可能としている次第でございます。
必要な診療を受けられる体制の維持、確保に向けまして、引き続き各自治体と一体となって取り組んでまいりたいと思います。
○本村委員 この問題は、福岡県の問題なんです。地元の高瀬菜穂子福岡県議が、七百六十床の確保の目標があるんですけれども、そこまで福岡県が至っていないと。こういう手を挙げてくださる民間病院も含めて、命を守る病床確保、病床を増やすようにということで頑張っているわけですけれども、そこがネックになってなかなか増えていかない、重点医療機関が増えていかないという問題がありますので、国がやはり病床を確保していくということ、国も責任を果たしていただきたいということを強く申し上げたいというふうに思います。
もう一つの問題なんですけれども、コロナ対応病院で入院していた患者さんが治療が終わって退院しようと思っても、その後の受入先がなくて退院できずにコロナ対応のベッドが空かない事態があるというふうになっていると思いますけれども、その点、どのように厚生労働省はつかんでおられますでしょうか。
○宮崎政府参考人 医療機関の現場の実態などにつきましては、我々厚生労働省におきまして、関係する自治体、医療関係者などから常々意見を伺っているところでございますけれども、御指摘のような事態につきましても、例えば、国と緊急事態宣言対象の都府県との連絡会議ですとか、あるいは、直近では一月十四日の医療関係団体との意見交換の場におきましても御意見を伺っているところでございまして、状況を把握しているところでございます。
こうした御意見を踏まえまして、重症患者を含む新規患者の受入れ余地を高めるための後方支援医療機関への支援の強化などについて対応を進めているところでございます。
○本村委員 新型コロナ対応の病院を退院された後の受入れ病院について、NHKの「クローズアップ現代+」で紹介をされていた病院では、簡易の陰圧室を作るなどして、そして二回PCR検査をして陰性だったら大部屋に移っていただくという対応もされておりました。
この新型コロナ対応の病院を退院した後の受入れの病院を増やしていくためにも、新型コロナ対応病院以外の病院も支援強化していくべきだというふうに思います。これについては、全国知事会も、指定都市市長会からも、一月になっても要望が出されておりますので、対策、支援の強化ということを是非大きく打ち出していただきたいと思いますけれども、お願いを申し上げます。
○山本副大臣 今委員御指摘がございました、新型コロナウイルス感染症から回復したけれども引き続き入院管理が必要な患者を受け入れるために、新型コロナ受入れ病院以外で後方支援病院の病床を確保すること、これは大変重要であると考えておる次第でございます。
そのために、新型コロナウイルス感染症から回復した後の患者の転院を受け入れた医療機関に対しまして、必要な感染予防策を講じた上で実施される入院診療の診療報酬上の評価、これを行ってきたところでございます。
昨年十二月より、二類感染症患者入院診療加算、これを、三倍に相当する点数、七百五十点を算定できるようにいたしました。加えて、この患者の入院診療を評価する観点から、本年一月二十二日に、救急医療管理加算、九百五十点でございますけれども、算定できることといたしました。
引き続き、現場の声を伺いつつ、必要な支援を迅速に行ってまいります。
○本村委員 コロナ対応の病床を増やしていくことについて、医師の谷川智行さんが提起をされているんですけれども、重要なのは、様々な事情から踏み出せない医療機関の悩みを具体的に把握し、必要な支援を強力に進めることだ、例えば、いつでも専門医から治療のアドバイスを得られる体制ですとか、あるいは、感染管理の認定看護師を始めとする感染制御チームの派遣ですとか、こういった提案をやるべきだというふうに思います。また、新型コロナ対応の病床を増やしていくために、病床変更に伴う減収補填、あるいはスタッフの方々への特別手当、こういうこともやるべきだというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
○山本副大臣 今お話ございました、国民の命と健康を守るために、必要な病床や人材確保の取組、これは大変重要だと思っておる次第でございます。
その意味で、様々な取組を行っておりますけれども、今回の予備費でも、新たな病床確保等を行うために、新型コロナ患者を受け入れる医療機関に対しましても、一床につき最大で千九百五十万円の補助を行うとともに、こうした財政措置に併せまして、病床確保のための政策パッケージをお示しをしているところでございます。
このほか、医療機関の求めに応じたECMOnetによる診療の助言、サポートの実施、さらには、厚労省の委託事業である新型コロナウイルス感染症対策に関する専門家派遣事業による専門家派遣等も行っている次第でございます。
さらには、今、医療機関支援に関しましては、これまで三・二兆円の支援を行うとともに、補正予算等で一・四兆円の追加支援を行うなど、現場のニーズを酌み取りながら支援を行っているところでございまして、その意味では、先ほどお話ございました千九百五十万円の補助の中で様々な処遇改善や対応をしているところでございます。
こうした必要な支援を行うことで、実質的に新型コロナ患者を受け入れる医療機関等が損失を被ることがないようにしているところでございます。
○本村委員 せめて、往診の体制も必要だというふうに思います。入院先、入所先がないという中で、緊急に命を守るためにも、地域のお医者様が往診できる体制を強化していかなければいけないというふうに思っております。保健所や保健センターの医師もおりますけれども、とても手が回らないという悲鳴が上がっております。
今、往診をいたしますと、往診料で七百二十点、院内トリアージ実施料で三百点ということで、新型コロナ対応で三千円プラスされるだけだというふうに思います。往診に協力してくれる医療機関への手厚い支援も行い、そういう体制構築が必要だと思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
○山本副大臣 今お話ございました、こうした対応に関しまして、緊急の高い症状が見られた場合には直ちに保健所に連絡をするとか、様々な対応をしていくことが重要であると思う次第でございます。その意味では、往診の体制をしっかり対応していくことを進めていきたいと思いますし、体制確保に当たっていきたいと考えておる次第でございます。
さらに、今御指摘ございました、往診に関しての、必要な感染予防策を講じた上で実施される診療を評価する観点から、通常の往診に係る診療報酬に加えまして、院内トリアージ実施料、この三百点を算定できることとした次第でございます。
そうしたことも含めまして、引き続き、医療機関への必要な支援につきましては、現場の意見を聞きながら、しっかり対応していきたいと思う次第でございます。
○本村委員 是非その点も手厚い支援をしていただきたいというふうに思います。
地方交付税の問題に移らせていただきたいんですけれども、地方交付税の法定率分の減少が二兆六千三百三十九億円というふうにありますけれども、これは緊急事態宣言が出る前に算定をされた中身でございまして、もっと減少する可能性もあるわけでございます。想定以上の減少になった場合においても、地方自治体の行財政の運営が支障を生じないように、財源を国の負担で確保することが必要だというふうに思っております。
そもそも、地方交付税法は、毎年度の交付税の総額の見積りは総務大臣の権限と責任であり、地方財政計画の策定は内閣の義務であるということを想定しております。年度当初に見込んだ地方交付税の総額は国の責任で確保をするべきだというふうに思いますけれども、この二点、総務大臣に最後にお願いしたいと思います。
○武田国務大臣 地方交付税法上、国税決算に伴う地方交付税法定率分の取扱いについては、国税の決算額が最終予算額を下回った場合には、後年度の地方交付税総額から減額する一方、国税の決算額が最終予算額を上回った場合には、後年度の地方交付税総額に加算することとされておりまして、過去十年間を見てみれば、決算額が予算額を下回った場合が三回、上回った場合は七回というふうになっております。
また、国税決算に伴う減額精算につきましては、翌々年度の地方財政対策において対応を決定することが通例となってはおりますが、その年度の地方交付税総額を確保するため必要がある場合には、精算を更に後年度に繰り延べることもあるとなっております。
仮に、令和二年度の国税の決算額が今回の補正後予算額を下回った場合には、財政当局とも協議の上、地方団体の財政運営に支障が生じないよう適切な対応を取ってまいりたいと考えております。
○本村委員 ありがとうございました。
*反対討論は1月26日