もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2020年 11月 26日 第203国会 憲法審査会

与党提出の憲法改正の国民投票法改定の質疑

しんぶん赤旗 2020年11月27日

現行法の欠陥議論を/与党の国民投票法改定案 野党が指摘/衆院憲法審

 衆院憲法審査会は26日、与党提出の憲法改正の国民投票法改定の質疑を行いました。日本共産党の赤嶺政賢議員は現行の国民投票法には、CM規制をめぐる問題や最低投票率の規定がないなど重大な欠陥が残されたままだとして、「国民投票法というのであれば、この欠陥に向き合う議論が大事だ」と指摘。立憲民主党の原口一博議員らが提出している法案を与党案と並行して慎重審議すべきだと主張し、細田博之会長の運営姿勢をただしました。細田氏は「幹事会で与野党で協議したい」と答えました。

 立民の奥野総一郎議員はCM規制の問題などをあげ、現行法の「抜本改正が必要だ」と主張。自民、公明両党は与党案の「早期採決」を繰り返しました。日本維新の会の馬場伸幸議員は質疑終局・採決を求める動議を提出。会長は幹事会で協議すると述べました。

 赤嶺氏は質疑で、維新の馬場氏が法案審議に先立つ自由討議で、「審査会を動かすべきではない」という共産党の主張は国会法に反するなどと述べたことに反論。1922年の党創立以来、戦争中の弾圧のもとでも、戦争反対、国民主権、基本的人権の尊重の旗を掲げてきた精神は、日本国憲法に生きていると述べ、「国民から改憲を求める声がない以上、改憲作業を任務に持つ審査会を動かすべきでないというのがわが党の基本的立場だ」「与野党合意で動かすのは審査会のルールだ」と主張しました。

 法案審議に先立つ自由討議で、日本共産党の本村伸子議員は、いま必要なことは改憲論議ではなく、各委員会で憲法原則に反する現実を正す議論を行うことだと指摘。学問の自由を侵害する日本学術会議への人事介入、安倍晋三前首相の「桜を見る会」での公選法違反や虚偽答弁の真相究明をすべきだと強調しました。

 

議事録

203-衆-憲法審査会-3号

 ○本村委員 日本共産党の本村伸子です。
 きょうは、国民投票法をめぐる諸問題がテーマということで、現行の国民投票法がどういう状況でつくられたのか、改めて議事録を読み返してみました。
 改憲手続の国民投票法が国会に提出されたのは二〇〇六年です。当初、自民党の提案者は、憲法改正と国民投票法の審議は別だと繰り返し答弁しました。ところが、安倍首相は、法案審議のさなか、二〇〇七年の年頭所感で国民投票法を憲法改正の契機としたいと述べ、施政方針演説でも国民投票法の成立に強く期待すると表明し、国会の議論に介入しました。首相の意向を受けて、与党幹部も五月三日までに成立をなどと強調し、多くの国民、識者が法案の不備を指摘し、徹底した審議を求める中、四月十二日に衆議院特別委員会で強行採決したというのが経過です。
 その結果、現行法は、多くの問題が取り残されたままの欠陥法となっています。現行法は、最低投票率を規定しておらず、有効投票数の過半数の賛成票で改正できるとしています。有権者の二割台、一割台の賛成でも改憲案が通ってしまいます。また、公務員、教員の自由な意見表明や国民投票運動を不当に制限していることや、改憲案の広報、広告の仕組みが改憲推進側に有利なものになっていることも大問題です。国の最高法規である憲法についての国民による直接投票の制度として欠陥だらけです。
 今与党が提出している公職選挙法並びの七項目の国民投票改定案について、与党は投票環境の整備と言いますが、持ち出された経過が問題です。
 二〇一七年五月三日に、安倍首相が二〇二〇年と期限を区切って九条などの改憲を提起し、そのもとで、自民党は改憲四項目案を取りまとめました。そして、この四項目案を審査会に持ち込み、各党協議で改憲案づくりを進めるため、審査会を動かそうとしました。安倍首相が主導する改憲に野党が反対する中で、与党は、二〇一八年に突如この七項目の改定案を持ち出してきました。安倍改憲の呼び水にしようとしたことは明らかです。
 与党から七項目案について速やかにとの発言がありましたが、現行法の根本的な欠陥を放置することは許されません。国民投票法というのであれば、十年以上指摘され続けてきた欠陥の是正を議論することが経過を踏まえた筋だと思います。
 今、憲法で必要なことは、改憲の議論ではなく、憲法原則に照らして、それに反する現実を正す議論を予算委員会、各常任委員会でやることだと思います。
 菅首相による日本学術会議への人事介入は、学問の自由を侵害し、精神的自由を脅かす問題です。違憲、違法の任命拒否は撤回するべきです。
 桜を見る会は、安倍首相が、税金を使った政府の公式行事をみずからの地元後援会の人々の接待に私物化したという問題です。その上、桜を見る会前夜祭の費用について、五年間で総額八百万円以上を安倍氏の政治資金から補填していたと報道されています。事実であれば、地元有権者への寄附行為を禁止した公職選挙法に違反し、政治資金規正法に違反する犯罪行為です。
 しかも、安倍首相は、全ての費用は参加者の自己負担とか、事務所や後援会の収支は一切ないと虚偽答弁を行い、一年にわたって国会、国民をだまし続けてきたのです。民主主義を土台から壊す大問題です。この問題の真相究明を、今、国会がやらなければなりません。
 最後に、全国各地で新型コロナウイルスの感染拡大が過去最多の水準となっている今、新型コロナから命、暮らし、営業、尊厳を守ることを最優先にすることが政治の責任であるということを申し述べ、発言といたします。

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