もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2020年 11月 19日 第203国会 総務委員会

郵便法改正案 雇用改善求める

しんぶん赤旗 2020年11月21日 

郵便法改正案が可決/全会一致 衆院を通過/総務委で本村氏 雇用改善求める

 郵便法改正案が20日、衆院本会議で全会一致で可決されました。同法案は、郵便の送達日数を現行の原則3日から4日以内とし、配達頻度を週6日以上から5日以上に改め、職員の土曜休日の確保や、夜勤見直しを行うとしています。

 日本共産党の本村伸子議員は19日の衆院総務委員会で、郵便を支える人員確保、正規化の問題や、配達頻度などの見直しに対する懸念への対応を求めました。

 非正規雇用労働者が格差是正を求めた裁判の最高裁判決で正規職員との休暇や手当の格差は「不合理」だとしたことをあげ、「正規労働者の労働条件を下げることなく、均等待遇の実現を」と要求。日本郵政の増田寛也社長は「期間雇用社員の処遇改善に努める。(判決をうけて)速やかに労使交渉をすすめ、制度改正に適切に対処したい」と答弁しました。

 本村氏は、法改正で深夜勤務の見直しが想定されているとし、「郵便の深夜勤務の77%を占める非正規が仕事を失うことがあってはならない。手取りの給料を減らさない方策を」とただしました。日本郵便の衣山和秀取締役は「意向確認を行った上で、雇用にかかわることがないよう丁寧に対応したい」と応じました。

 本村氏は、障害者の郵便の利便性が後退しないよう求めました。

 

議事録

203-衆-総務委員会-3号 2020年11月19日

○本村委員 日本共産党、本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず、先ほども御議論がございましたけれども、最高裁判決の関係で伺いたいというふうに思います。
 日本郵政グループは、先ほどもお話がありましたように、大変非正規雇用が多い会社となっております。日本郵政は非正規社員の方々が五六・三%、日本郵便は四八・八%が非正規雇用の方々でございます。
 老後のことも含めまして、貧困をなくすためにも、非正規の方々の処遇改善、先ほども正社員化ということもありましたけれども、この対策は急務だというふうに思っております。
 厚生労働省は、法律に基づいて、短時間の方やあるいは有期雇用労働者、派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針を出しております。ことし四月から大企業には法施行がされております。
 同一労働同一賃金の実現ですとか、あるいは不合理な待遇の禁止、均等待遇などという場合に、正社員の労働条件を下げて非正規と合わせるというのであれば、非正規の方々の待遇は一向によくならないということになりますし、労働者、日本の労働者全体として労働条件が悪くなってしまうということになるかというふうに思います。
 同一労働同一賃金、均等待遇というときに、正規の労働条件を下げて非正規の労働条件に合わせるということがあってはならないというふうに思いますけれども、まず厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

○富田政府参考人 お答え申し上げます。
 同一労働同一賃金の趣旨でございますけれども、非正規雇用労働者の待遇改善でございます。御指摘のような正社員の待遇の引下げではなく、不合理に近くなっている方の待遇の改善を図るべきものと考えております。
 同一労働同一賃金への対応といたしまして、正規雇用労働者の待遇を引き下げようとするなど、労働条件を不利益に変更する場合、労働契約法上、原則として労使双方の合意が必要となります。また、労使で合意することなく就業規則の変更により労働条件を不利益に変更する場合は、労働契約法の規定に照らして合理的な変更でなければならないとしております。
 このため、同一労働同一賃金に対応するために、各社の労使で合意することなく正社員の待遇を引き下げることは望ましい対応とは言えない旨、同一労働同一賃金ガイドラインにおいても明示しております。
 いずれにいたしましても、各企業において処遇の体系について労使で話し合っていただくことが重要でありますが、非正規雇用労働者の待遇改善が実現されるよう、来年四月の同一労働同一賃金に関する法律の全面施行に向けて、企業への周知、支援を行ってまいりたいと考えております。
    
○本村委員 今、日本郵政の社長も日本郵便の社長さんも聞いていただいたというふうに思うんですけれども、大きな企業がやはり範を示さなければならないというふうに思います。
 正規労働者の労働条件を下げて非正規労働者の労働条件に合わせるのは望ましくないというふうに言われているわけですから、当然、日本郵政グループは望ましくないというやり方はやらないということを社長にお約束いただきたいというふうに思います。

○増田参考人 お答え申し上げます。
 正社員と期間雇用社員の労働条件は、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度、職務内容及び配置の変更の範囲等の違いを踏まえて、労働組合と交渉に基づき定めているところでございまして、これまでも、重要な戦力でございます期間雇用社員について、モチベーションアップの観点からその処遇改善に努めてきたところでございます。
 今後とも、各社の経営状況、御指摘のございました指針等、同一労働同一賃金の観点にも留意しながら、労働組合との交渉を通じて期間雇用社員の処遇改善に努めてまいります。
 また、先般、日本郵便に係る労働契約法二十条裁判の最高裁判決におきまして、一部、労働条件の差異が不合理である旨、判決が出されたところでございまして、会社としても、この問題の重要性に鑑みて、当該判決内容や政府の指針も踏まえて、速やかに労使交渉を進め、必要な制度改正について適切に取り組んでまいります。

○本村委員 法の趣旨からして望ましくないと言われていることを、大きな企業であり、そして国が株を持っている日本郵政グループがやるべきではないということを強調させていただきたいというふうに思います。
 この強調させていただく背景には、日本郵政が二〇一八年度から、一般職の方々などの住居手当を段階的に減らしていく、年末年始手当、年末の廃止ですとか年始は三日のみなど、正社員の労働条件を引き下げるということをいたしました。正社員の労働条件をもとに戻して、非正規の方々の労働条件を引き上げるべきだということも強調させていただきたいというふうに思います。
 先ほど来御議論がありましたように、日本郵便の非正規雇用である有期雇用社員の方々の格差の是正を求める訴訟で、最高裁判決が十月十五日に出されました。最高裁は、住宅手当、扶養手当、有給の病気休暇、そして夏季、冬季休暇、年末年始の勤務手当、年始期間の祝日割増し賃金が日本郵便の正社員にあって期間雇用社員にないのは不合理で違法、日本郵便は旧労働契約法二十条に反する不法行為というふうにして、賠償を認める判決を言い渡しました。
 おかしいことに対してはおかしいというふうに声を上げた原告の皆様や関係者の皆様に、心からの敬意と感謝を申し上げたいというふうに思います。
 有期雇用社員の皆様と、裁判で闘ってこられた郵政ユニオンの皆様方は、最高裁判決を受けて、日本郵便に対して、全ての非正規労働者に対して未払い分の手当、休暇の賃金相当額の支払いを行うことや、あるいは、最高裁判決に認めた手当、休暇の各事項について、二〇一三年四月以降の未払い分と休暇について賃金相当額の支払いについて求めておられます。また、就業規則、給与規程の改定や、最高裁判決が認めた賠償や手当、休暇制度は、時給制の契約社員、月給制の契約社員、無期転換した社員、高齢再雇用社員にも適用されるべきこと、そして、請求期間中に在職し退職した社員も支給の対象とすることなどを求めておられます。
 日本郵便、日本郵政がやはり社会的な責任を果たして、格差をなくすために、こうした要求を実現して均等待遇を実現するべきだというふうに思いますけれども、いま一度、今度は日本郵便の社長さんにお願いしたいと思います。

○衣川参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど、日本郵政、増田からもお答えを申し上げましたけれども、この問題の重要性に鑑み、当該最高裁の判決の内容や政府の指針を踏まえ、速やかに労使交渉を進め、必要な制度改正について適切に取り組んでまいりたいと、同様に考えてございます。

○本村委員 日本郵便が違法行為を行っていたということが最高裁から認定をされました。そのことを重く受けとめていただいて、働く人を本当に大切にする企業に生まれ変わっていただきたいというふうに思います。
 先ほども非正規がかなり多いというお話をさせていただきましたけれども、恒常的に仕事があるのに、六カ月で区切って有期雇用にしていることがそもそもおかしいというふうに思います。働く人を使い捨てにするようなことがあってはならないと思います。正社員登用というものをもっと進めていくべきだというふうに思っております。
 労働条件にかかわる問題はまた後でさせていただきたいというふうに思うんですけれども、もう一つの大問題でございます、かんぽ不正の問題について伺いたいと思います。
 結局、このかんぽ不正の問題、被害総額は幾らで、幾らお返しして、そのお金はどこから出したのか、お示しをいただきたいと思います。

○市倉参考人 お答え申し上げます。
 昨年度からことしの九月末の累計額について申し上げます。
 今回の不適正募集に関しましては、お客様の利益を回復するために、御解約等、お客様へお支払いをしたもの、また、こちらも、お客様の利益を回復するために、復元等の行為を行い逆に当社へお支払いをいただいたものと、二種類ございます。こちらを合わせまして相殺をいたしまして、かんぽ生命がお支払いをした金額は約六百三十億円でございます。
 お客様へのお支払い等に当たりまして、かんぽ生命におきましては、生命保険会社でございますので、将来の保険金のお支払いに備えて積み立てている準備金がございます。かんぽ生命におきましても、過去にいただきました保険料をもとに積み立てていた準備金、こちらの方を四百五十億円取り崩して充当をいたしております。

○本村委員 お話をお伺いいたしますと、まだ返していない方々もいらっしゃる、一割ぐらいは残っているというお話も聞いております。
 それで、具体的に知りたいということで、各地域の、例えば愛知県、岐阜県、静岡県、三重県の東海エリアでは被害はどのくらいあるのか、局ごとに示してほしいというふうに申し上げましたら、それはまだ出せる段階ではないというふうに言われております。
 日本郵政の社長にお伺いをいたしますけれども、不正の事案ごと、不適切な事案の種類ごとに、被害者の都道府県別、局ごとの人数の資料を提出していただきたいと思いますけれども、お願いいたします。

○増田参考人 お答えを申し上げます。
 ただいま委員御指摘の数値につきましては、都道府県単位での管理は行っていないところでございまして、不適正募集の支払い金額について全国規模で集計をしております。先ほどの答弁でございますが、地域ごとの集計は考えてございません。
 そして、不適正募集に関与した募集人の数については、社員の異動もございますので局ごとの集計は考えておりませんが、一定のエリア単位での分析及び集計の必要性は認識をしております。
 いずれにいたしましても、現在、調査の途上でございますので、調査が終了したところで、どのような集計を行い、提示すべきかを含め、検討をさせていただきます。

○本村委員 ぜひ提出をしていただきたいというふうに思います。
 このかんぽ不正の問題は全容がまだ解明をされておりませんし、被害者全員の救済もできていない段階でございます。そもそもこの郵便法の改定については、日本郵政グループがかんぽ不正をやっており、そしてNHKに圧力をかけていた時期に要望されてきたものでございます。まだこのかんぽ不正の問題も決着がついていない、是正ですとか、あるいはやらせていた管理職の人たちはどうするのかということもはっきりしていないという中で、増田社長も「すべてを、お客さまのために。」ということでパンフレットなども出しておられますけれども、そういう中でユニバーサルサービスをカットするというのは二重、三重におかしいのではないかというふうに思うんですけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

○武田国務大臣 かんぽ生命保険の不適正募集の問題についてであります。
 日本郵政グループにおきまして、十月の五日から信頼回復に向けた業務運営として既存顧客へのおわび訪問を開始し、国民の皆様の信頼回復に努めており、また、不利益を受けた顧客の権利回復も進展をしているところと承知をしております。
 このような状況に鑑みまして、デジタル化の進展や働き方改革などの社会環境の変化、利用者ニーズの変化、特に最近のコロナ禍による郵便物数の急激な減少などを踏まえ、郵便サービスの将来にわたる安定的な提供を維持するために必要であることから、本法案を提出させていただきました。

○本村委員 民営化を進めるさまざまな矛盾が出ているというふうに思いますけれども、ぜひ大臣にはユニバーサルサービスを守る立場に立っていただきたいというふうに思うんです。
 郵政民営化法案の際に参議院の附帯決議がつけられております。「一、」の部分、ユニバーサルサービスについての部分を御紹介いただきたいと思います。総務省にお願いいたします。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の附帯決議の最初の事項でございますけれども、
  国民の貴重な財産であり、国民共有の生活インフラ、セーフティネットである郵便局ネットワークが維持されるとともに、郵便局において郵便の他、貯金、保険のサービスが確実に提供されるよう、関係法令の適切かつ確実な運用を図り、現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう、万全を期すること。
  簡易郵便局についても郵便局ネットワークの重要な一翼を構成するものであり、同様の考え方の下で万全の対応をすること。
でございます。

○本村委員 附帯決議には、現行水準が維持され、万が一にも国民の利便に支障が生じないよう万全を期すことというふうになっておりますけれども、今回、郵便法では、送達日原則三日以内、送達頻度が週六日以上という規定が、原則四日以内、そして送達頻度も週五日以上というふうに、実質的にはユニバーサルサービスが後退をするという内容になっております。
 大臣の認識をお伺いしたいんですけれども、郵便のユニバーサルサービスの確保ということをよく政府も言われるんですけれども、そこには水準の確保、ネットワークだけではなくて水準の確保というのも含まれているのではないかと思いますけれども、御認識を伺いたいと思います。

○武田国務大臣 郵便法では、ユニバーサルサービスとして、郵便の役務をなるべく安い料金であまねく公平に提供することとされております。日本郵政公社の発足時の整理によれば、ユニバーサルサービスの水準については、将来の社会経済動向またニーズ動向などを踏まえ、適宜見直しが図られるべきものとされております。

○本村委員 二〇一五年のユニバーサルサービスの現状についてという資料も出させていただいておりますけれども、そこには配達にかかわる部分も書かれているわけでございます。
 二〇一五年の郵便法、信書便の議論の際に、ユニバーサルサービスについて高市大臣は、文書における通信手段であります信書便の送達という事業は、国民の思想、表現の自由に密接なかかわりを持っておりますし、大変重要な分野だ、基本的な通信手段としてきっちりユニバーサルサービスを確保すること、憲法で保障された通信の秘密を保護するという観点がございます、夏に出てくる答申、これをしっかり踏み込んで、ユニバーサルサービスを確実にキープしていくための方策について総務省としてもしっかり取組を進めてまいりますと答弁をされておりました。
 そして、別の答弁でも高市大臣は、信書の送達というのは国民の基本的な通信手段として非常に大切な、夏の答申を待ってしっかりとユニバーサルサービス確保のために必要な対応をしてまいりますというふうに述べておられました。
 二〇一八年の郵政事業ユニバーサルサービス確保に関する議論の際には、郵便ユニバーサルサービスの維持について私が質問したことに対して野田大臣は、ユニバーサルサービスは日本郵便が収益力の強化やコストの削減などの経営努力により提供していくことが基本、総務省としても引き続き日本郵便の取組状況をしっかりと注視してまいりますというふうな答弁をされました。
 結局、今回のユニバーサルサービスの後退というのは、分社化をして、そして民営化を進めてきた結果ではないのか、日本郵便の収益力の強化ですとかコスト削減に任せてきたその結果ではないのかというふうに思うんですけれども、大臣の御認識を伺いたいと思います。

○武田国務大臣 郵政民営化の趣旨を踏まえれば、郵便のユニバーサルサービスというものは、日本郵便の経営努力により提供していくことが基本だというふうに私どもは考えております。
 今般の法改正については、デジタル化の進展による郵便物数の減少傾向、また労働力確保の観点からの働き方改革への対応など、郵便に対するニーズの変化、社会環境の変化を踏まえて必要となったものであります。

○本村委員 結局、分社化をして、民営化を進めて、ユニバーサルサービスは後退しているというわけでございます。
 人手不足の問題についてもお伺いしたいんですけれども、二〇一九年九月の情報通信審議会の答申では、こうした状況、運輸・郵便業界は、人材確保が非常に厳しい状況は数年にわたり継続しており、日本郵便では人手不足が常態化しているというふうに書かれております。
 二〇一五年六月の郵便法等の改定の質疑の中で、吉良よし子参議院議員が春闘のアンケートを挙げて、職場への不満、不安として断トツで要員不足が挙げられていることを指摘をしてまいりました。しかし、日本郵政常務執行役の壺井さんは、郵便・物流業務の運行に必要な要員は絶対確保しないといけない、必要な要員数はおおむね充足できているというふうに答弁をされました。
 二〇一八年六月、私も質問をさせていただきました。日本郵便が非正規雇用の労働者を六十五歳で一律雇いどめにした問題で、低い賃金で働かされて退職後の暮らしが本当に大変になっている問題を取り上げて、引き続き働けることができるようにすることですとか、人員の確保の努力をするべきだというふうに申し上げました。これに対して、日本郵政の常務執行役の谷垣さんは、人手が足りないというよりも、現在の要員で超勤等を使ってやりくりしている、今後の状況等を踏まえ、労働政策について考えていきたいというふうに答弁をされました。
 二〇一八年の私に対する日本郵便のレクチャーのときも、人手不足ということはお認めになっておられませんでした。
 人手不足が常態化という認識は、いつ、どのような状況で日本郵便としては認識をしたのか。郵便の内勤と外勤、そして荷物の内勤と外務でそれぞれお答えいただきたいと思います。

○諫山参考人 日本郵便といたしましては、荷物と郵便物の配達要員によります相互応援などによりまして、現状、総体としては何とか必要な労働力を確保しているところでございますけれども、安定的な業務運行確保のために、業務量に応じて超過勤務や非番、週休出勤での対応も行っている現状にあるというふうに認識しております。
 郵便物や荷物の取扱数につきましては、郵便物は減少する一方で、荷物につきましてはEコマース需要により増加傾向にあるところでございますけれども、特に、外務の配達社員につきましては、運転免許等の資格が必要であることもあり、その安定的、継続的な確保が大きな課題となっているというふうに認識をしております。

○本村委員 実態は、人手が足りていないのに経営判断として人をふやすことをちゃんとやらずに、足りない矛盾を超勤とか休日の出勤を押しつけてやってきたということだというふうに思うんです。
 この日本郵便の責任についてはどのようにお感じになっておられますでしょうか。

○諫山参考人 先ほど御答弁申し上げましたとおり、現状といたしましては、総体として何とか必要な労働力は確保しているものの、安定的な業務運行確保のために、業務量に応じて超過勤務や非番、週休出勤での対応も行っているところでございます。
 しかしながら、近年の労働力需給の逼迫、あるいは将来の生産年齢人口の減少の見込みを踏まえますと、将来的にはますます労働力の確保が困難になることが予想されております。
 このため、業務量に応じた安定的、継続的な労働力の確保、要員配置が経営課題、重要な経営課題であるというふうに認識をしております。
 このため、現状におきましても、正社員につきまして必要数の確保に尽力しておりますほか、期間雇用社員につきましても、地域ごとの状況を踏まえた募集活動や、定着に向けた取組を行ってきているところでございます。
 引き続き、業務量の動向を踏まえつつ、必要な労働力の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

○本村委員 総体的ということでごまかしてはいけないというふうに思うんです。
 ずっと現場の皆さんからは人手が足りないということを声を上げてこられたのに、誠実に向き合わなかったわけでございます。現場の働く方々の声を本当に大事にするべきだというふうに思います。
 今回の法改定では、木曜日に出した郵便物が、今は金曜日に着くんですけれども、月曜日に着くということになってまいります。月曜日に荷物が集中するのではないかということが心配をされているんですけれども、月曜日の増員についてはどのように対策をとるんでしょうか。

○諫山参考人 お答え申し上げます。
 現在でも月曜日の配達は、他の曜日と比べまして配達物数が多いところから、各郵便局におきまして配達担当者を増配置して対応しているところでございます。
 委員御指摘のとおり、今回の郵便制度改正によりまして、現在よりも月曜日の配達物数の増加が見込まれておりますので、それを考慮した上で、月曜日の配達担当者の増配置を計画していくという予定でございます。

○本村委員 しっかりと人をつけるべきだというふうに思います。
 今回の法改定ではまた、夜勤を前提とする郵便の翌日配達は、書留ですとか速達等に絞ることとなってまいります。
 先ほど総体的に人は足りているというふうに、確保していると言っていたんですけれども、一方で、雇用必要数と確保数が慢性的に乖離、募集に対して応募が半分程度しか集まらず、特に夜勤、深夜勤の内務作業担当の確保が困難という状況を日本郵便が訴えられ、そして答申にも触れられているわけでございます。
 夜勤、深夜勤は非常に過酷なものですから、よほどの条件でなければ応じられないというふうに思うんです。
 民営化に向かう公社のときに、仮眠時間もなくして労働時間を短縮する一方で、四日連続の勤務も行えるようにする、そういう深夜勤(ふかやきん)制度を導入したりしておりまして、働く人たちの暮らしとか健康に重大な影響をこれまでも与えてきたわけでございます。
 日本郵便の郵便事業の効率化をより過酷な夜勤で進めてきた経営姿勢が問題だったというふうに思っております。働き方改革ということを言うわけですけれども、本当に労働条件がよくなるのかということも見ていかなければならないというふうに思います。ユニバーサルサービスを削って荷物の方に人をシフトさせるというのは経営の都合ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○諫山参考人 お答え申し上げます。
 今回の郵便制度改正によりまして再配置可能となる要員につきましては、一部、人手不足により郵便分野に残る部分もございますけれども、他の多くは今後成長が見込まれる荷物分野へ再配置することを考えているところでございます。
 この取組につきましては、これから伸びていく荷物分野における事業の拡大を目指すことによりまして、会社全体としての経営基盤の強化を図ることによりまして、反射的な利益として郵便サービスの将来にわたる安定的な確保も可能になるということで考えているところでございます。

○本村委員 次に、深夜勤務をされている人のうち、非正規はどのくらいの割合でしょうか。内勤、外務、それぞれトータルでお示しをいただきたいと思います。

○諫山参考人 お答え申し上げます。
 深夜帯におきまして郵便物の区分作業等に携わる社員につきましては、現在、全国で一日当たり約八千七百人配置しているところでございます。内訳といたしましては、正社員が約二千人、期間雇用社員が約六千七百人となっております。

○本村委員 非正規の方々が七七%、深夜勤務で支えてくださっていたのだというふうに思います。
 資料の三に日本郵便の資料を出させていただきましたけれども、内勤の深夜勤務帯における郵便の区分業務等の担当社員、先ほど言われた八千七百人のうち、三千百人は速達、書留、発着処理の深夜勤務帯に残すということです。五千六百人のリソースの再配置が可能とありますけれども、郵便と荷物の昼勤にそれぞれ何人ずつ再配置するのか、そして荷物の深夜勤に何人再配置する予定なのか、お示しをいただきたいと思います。

○諫山参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、約八千七百人のうち、再配置可能な人数は約五千六百人と見込んでいるところでございます。
 この内務の深夜勤帯勤務者の昼間帯の業務等への再配置につきましては、荷物の増加状況、それから郵便物の大型化の動向、社員の意向等を踏まえまして決定していく予定でございますことから、現時点におきまして業務ごとの再配置予定人数を申し上げることはできないところでございます。

○本村委員 そういうお答えでは、本当に働き方改革になるのかということがわからないわけでございます。結局、荷物の深夜帯の方に行くということになれば、働き方改革という面でも問題だというふうに思っております。
 八千七百人の内訳のうち、期間雇用社員が六千七百人、七七%ということで、大変な業務を支えてこられた働く人たちが、この法案を機に仕事を失うということがあっては絶対にならないというふうに思いますし、給与が削減されるなどを招かないためにも慎重な対応が必要だというふうに思っております。
 生活を成り立たせるために深夜で働かざるを得ない非正規の方々がいるわけですけれども、そういう方々を含め働く人たちの手取りを減らしてはなりませんし、手取りを減らさない方策をとらないといけない、そして、仕事を失うことがないようにということをぜひお約束いただきたいと思います。日本郵便の社長にお願いしたいと思います。

○衣川参考人 先生御指摘のとおり、現在の働き方を前提として生活設計をしている社員の方の中には、引き続き深夜帯の勤務を希望する非正規社員の方もいると認識をしておりまして、あらかじめ意向確認を行った上で、希望する方については深夜帯の荷物や速達等の担務へ配置するなど、雇用にかかわることがないよう一定の時間をかけて丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。
 また、深夜帯から昼間、昼間帯にシフトする場合に夜勤手当が支給されなくなる点につきましては、意向確認時に丁寧に説明をしてまいりたいと考えてございます。

○本村委員 仕事を失うことや手取りが減るようなことはあってはならないというふうに思いますので、そこの対策はしっかりとやっていただきたいというふうに思います。
 人手不足を解消していくというためには、やはり労働条件を引き上げることが必要だというふうに思います。先ほど来御議論がありましたように、正社員で雇用をしていくということが必要だというふうに思っております。
 きのうも、インターネットの求人情報で銀座郵便局の時給などを調べさせていただきましたけれども、例えば、自動車による配達等で時給千二百八十円ですとか、あるいは郵便局の窓口スタッフ千四十円ということで、東京の最低賃金は千十三円ですから、最低賃金の本当に際に、ぎりぎりのところにいらっしゃるということで、たとえ時給が例えば千二百八十円としても、千八百時間働いても年間二百三十万円ということで、ワーキングプアなわけでございます。
 やはり、正規をふやすということと同時に、非正規の皆様方の労働条件を上げて、賃金をふやして人手を確保するしか方策はないというふうに思うんですけれども、ぜひそれをやっていただきたいと思います。

○諫山参考人 お答え申し上げます。
 昨今の労働力市場の情勢から、近隣の他社の雇用単価が上昇するなどいたしまして、期間雇用社員の確保をしづらい地域、これがあることは事実だというふうに認識をしております。
 このため、地域ごとに市場環境に対応した時給単価を設定することなどによりまして、必要な労働力確保に努めてきているところでございますけれども、更にこういった取組を強化してまいりたいというふうに思います。

○本村委員 正社員の雇用についてもっと進めていただきたいというふうに思います。
 正社員化を進めるというふうには経営計画の中にも書いてあるんですけれども、しかし、いただいた資料の中で、二〇一八年、二〇一九年度を比べてみますと、郵便コースの正社員登用は減っております。また、新規採用も、二〇一八年度、二〇一九年度を比べますと、減っております。
 ぜひ、正社員の割合をふやしていく、正社員をふやしていく、そのことをお約束いただきたいと思います。

○諫山参考人 正社員と期間雇用社員につきましては、それぞれ期待される役割を定めまして、それに基づくあるべき配置領域及び配置数を決定しているところでございます。
 しかしながら、安定的な業務運行を確保し、ユニバーサルサービスを将来にわたり確保するためには、一定の正社員数の確保は必要不可欠というふうに考えているため、新規採用だけではなく、正社員登用や、必要に応じて中途採用を実施しつつ、必要な正社員数の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

○本村委員 労働条件を引き上げることでしか人手不足は解消できないというふうに思いますので、ぜひ労働条件の引上げに全力を挙げていただきたいというふうに思っております。
 総務大臣に次にお伺いをしたいんですけれども、サービスの問題に戻らせていただきます。
 視覚障害者の方々から、この法案がこの国会で通されようとしていることを知らなかった、国はユニバーサルサービスを守ると言ってきたのに土曜日配達をなくしてしまうのかというお声ですとか、点字出版物を発行している方からは、仕事をしているんだけれども、その点字出版物の納期が土曜日をやめるということで早まったりするんじゃないかという御心配や、また、図書館から図書を借りておられる方は、視覚障害者の方、身体障害者の方いらっしゃるわけですけれども、利用する機会が減ることになるのではないか、障害者の方々の郵便については土曜日も配達してほしいというお声をお伺いをしております。
 そもそも、この法案をつくるに当たり、障害者の方々のお声を聞いていないというふうに聞いておりますけれども、ぜひ、障害者団体、視覚障害者団体、当事者の方々に広く意見を聞いて、少なくとも障害がある方々が不便になったり料金が高くなるようなことがないように、サービスの後退はさせないように大臣に約束をしていただきたいと思います。

○武田国務大臣 今回の法改正に関する内容を議論した情報通信審議会におきまして、論点整理案と答申案の二回、パブリックコメントを行いました。その中で、障害者団体からの意見提出はございませんでした。
 ただ、障害をお持ちの方が低廉な料金の第三種、第四種郵便物を利用されていることは承知をしておりまして、今般の法案は、さまざまな社会環境の変化、郵便に対するニーズの変化等を踏まえ、こうした郵便物を含む郵便サービスを将来にわたり安定的に提供していくために必要な見直しであると考えております。

○本村委員 私どもは、やはりユニバーサルサービスを後退させてはならないということで、一体的、一社体制でやはりユニバーサルサービスを守るべきだ、公的事業体として位置づけるべきだということを改革の提案として提案させていただいております。ぜひ、ユニバーサルサービスをしっかりと守っていくためにも御尽力いただきたいというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

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参考資料

https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2020/11/3b434f32e780080d37598ee4b54696d5.pdf

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