もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2019年 4月 17日 第198国会 厚生労働委員会

女性活躍推進法等改定案 ハラスメント禁止規定が必要

しんぶん赤旗 2019年4月18日

セクハラ禁止規定必要/本村氏〝被害者救済のため〟/衆院厚労委

 日本共産党の本村伸子議員は17日の衆院厚生労働委員会で、女性活躍推進法等改定案にハラスメント禁止規定を設けるよう求め、「被害を受けた人を救済するためには、何が禁止される行為か(法律に)明記することがどうしても必要だ」と主張しました。
 改定案は、これまで規定のなかったパワハラについて新たに事業主の防止措置義務規定を設けることなどを盛り込んでいます。ただ、ハラスメント禁止規定は見送られました。本村氏は、2006年に防止措置義務がすでに制度化されたセクハラ対応では、被害者が求める被害の認定・謝罪など十分な救済が行われていないことを具体的に指摘。厚労省が各都道府県労働局長にあてた通知では、「法及び指針は、個々のケースが厳密に職場におけるセクシャルハラスメントに該当するか否かを問題にするものではない」などとしている点をあげ、「被害認定できずにどうやって被害者を救済するのか」とただしました。根本匠厚労相は「事業主に、被害者への配慮、行為者への措置を適正に行うこととされている」としか答えませんでした。
 また、本村氏は禁止規定がない中で、裁判でも権利回復ができていない問題を追及。根本厚労相は、名前が明らかになる、中傷を受けるなど裁判のハードルが高いことを認めました。
 本村氏は、国連の女性差別撤廃委員会が日本にセクハラ禁止規定を求め、内閣府の男女共同参画会議の調査会が提出した報告書でもセクハラ禁止規定の検討への言及があることをあげ、「こうした指摘をしっかり受け止めるべきだ」と追及。根本厚労相は「(国連の)勧告を受けているが、法的拘束力はない」などと強弁しましたが、本村氏が求めた都道府県労働局の体制強化については、「充実をはかっていきたい」と述べました。

 

議事録

衆-厚生労働委員会-10号 2019年4月17日

○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 今回、セクシュアルハラスメントとマタニティーハラスメントと同様に、パワーハラスメントについて、事業主の防止措置義務が入る法改定が提案をされております。しかし、それだけでは被害を受けた方は救われない、ハラスメント禁止規定、何が禁止される行為なのかの規定が必要だ、それは、昨日の参考人質疑の中でも、長尾参考人、内藤参考人、伊藤参考人が言われたことでございます。
 きょうは、そのことについて、既に事業主の防止措置義務があるセクシュアルハラスメントの現状の問題点を指摘しながら議論をしたいというふうに思います。
 まず、セクシュアルハラスメントの被害の実態なんですけれども、厚生労働省の労働局の雇用環境・均等部(室)への相談件数の中で一番、トップがセクシュアルハラスメントだと。二〇一七年度は六千八百八件と、相談件数の中で三五・五%になっております。労働局の紛争解決援助の申立て受理件数は百一件、そして調停の申請の受理件数は三十四件ということで、ごくごくわずかでございます。
 まずお伺いをしたいんですけれども、セクシュアルハラスメントの被害を受けた人のうち労働局に相談をした人はどのくらいの割合なのか、把握をしておられますでしょうか。
    〔委員長退席、橋本委員長代理着席〕

○小林政府参考人 お答え申し上げます。
 セクシュアルハラスメントの被害を受けた方の全数を把握はしてございませんので、したがって、割合につきましても申し上げられないところでございます。件数につきましては、先ほど御指摘がございましたように、平成二十九年度、六千八百八件ということになっております。

○本村委員 労働政策研究・研修機構の二〇一六年の調査では、労働局に相談した人は〇・九%しかおりません。二十五歳から四十四歳の女性の方の約三割が職場においてセクシュアルハラスメントの被害を経験しております。しかし、労働局に来ている方は〇・九%だと。我慢した、特に何もしなかったというのが六三・四%、多くの方々が相談できていない実態がございます。
 セクシュアルハラスメントの被害の実態の一端を、大臣は本会議の答弁で、上司に報告したが適切な対応がされなかったため休職などの事例ということで答弁をされましたけれども、こういうひどい実態が大変多いわけでございます。そのひどい実態から、被害を受けた方々をどう救済できているのかということが問題だというふうに思います。
 先ほども御議論がございましたけれども、内藤忍先生の調査の中で、労働局の利用者の調査から見た均等法のセクシュアルハラスメントの行政救済に関する考察がございます。セクシュアルハラスメントの被害を受けて労働局を利用した人への聞き取りの中で、労働局の職員の方が、労働局が幾ら言っても強制力はない、本当に無力です、こう言われたということでございます。
 今の均等法は、セクシュアルハラスメントに実効ある対処ができていないという実態がございます。これは、相談に行っても仕方がないというふうに思われるのではないかというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

○根本国務大臣 やはり労働局においては、相談を受けた場合には、丁寧に、真摯に相談者の意向に沿って相談にあずかるということが私は何よりも大事だと思います。
 相談件数は、六千八百八件寄せられております。これは平成二十九年度。これらの相談を端緒としたものを含めて、事業主がセクシュアルハラスメントに関し、雇用管理上必要な措置を講じていない場合には、均等法二十九条に基づいて助言、指導若しくは勧告を行うことによって是正を図っております。
 また、労働者からの相談に対して、労働局においては、労働局長の助言による紛争解決援助制度や調停制度の利用などの問題解決の方法を提示して、そして相談者の意向に沿った解決に向けて働きかけを行っております。
 いずれにしても、労働局に寄せられた相談については真摯に対応して、そしてセクハラのない職場づくりを推進していきたいと思います。

○本村委員 先ほども議論がありましたけれども、確認をさせていただきます。改正均等法が施行されてから十二年たちますけれども、企業名の公表は何件あったんでしょうか。

○小林政府参考人 セクシュアルハラスメントの措置義務違反に関しまして、事業主が勧告に従わずに、企業名公表を行ったということはございません。

○本村委員 ゼロ件だということですけれども、被害を受けた方が相談に行ってきちんと救済されなかった場合、企業名の公表というのはあるんでしょうか。

○小林政府参考人 企業名公表でございますが、助言、指導、勧告、そしてその勧告に従わなかった場合に最終的に企業名公表になるということでございまして、この勧告の対象となる内容は措置義務を適切に実施していないということでございますので、基本的には措置義務の実施状況に非常に問題があるというケースだというふうに理解しております。

○本村委員 企業名の公表があるからといって、セクシュアルハラスメントの被害を受けた人が救済されるという担保にはならないということでございます。
 先ほど大臣が答弁をされました紛争解決援助、調停についてもお伺いをしたいんですけれども、この紛争解決援助、調停の解決金の水準はどの程度になっておりますでしょうか、中央値でお答えをいただきたいと思います。

○小林政府参考人 お答えいたします。
 全ての調停の解決金につきまして網羅的に把握ができていないところでございますが、厚生労働省が協力をいたしまして、文部科学省科学研究費助成事業で実施した研究によりますと、中央値が二十九・五万円というふうになっております。

○本村委員 ありがとうございます。
 ごくごく本当に少ない現状がございます。しかも、調停や紛争解決援助をやっても、退職しているケースもあるわけでございます。被害の回復、人権の回復にはほど遠いような少額でございます。
 厚生労働大臣にもう一問お伺いしたいんですけれども、紛争解決援助、調停は、相互互譲の制度なんだと。被害者なのになぜ譲らなければいけないのかというふうに思いますけれども、大臣の御認識を伺いたいと思います。

○根本国務大臣 男女雇用機会均等法における調停制度は、紛争当事者同士の個別具体的な私法上の紛争について、公正中立な第三者機関の調停により、迅速、簡便に解決を図るものであります。
 調停というのは、学識経験者などで構成される第三者機関による調停案の提示で解決を図るものであります。
 調停については、紛争のもととなった行為がセクハラに該当するか否かを行政が判断するものではなくて、生じた損害の回復などについて現実的な解決策を提示して、当事者の歩み寄りにより紛争の解決を図ることを基本としております。

○本村委員 被害者なのになぜ譲らなければならないのか、納得いかないという声が出ているわけでございます。
 先ほどの内藤先生の調査、インタビューでは、この調停、紛争解決援助などは、社長が突っぱねたらそれで終わり、この制度はお互い譲歩があっての制度だと労働局に言われたと。自分は何も悪いことをしていないのに、どうして譲歩しなければいけないんだろうと思った、労働者が一人で裁判などで闘うのは、報復も怖いし、精神的、肉体的、金銭的負担が非常に重たいため無理で、会社の逃げ勝ち、労働局の紛争解決援助制度は強制力がなく、これでは個人で会社に立ち向かう方法がほかにない、本当に悔しいといって退職をされておられます。
 また、別の事例ですと、調停を利用した女性正規労働者の方ですけれども、上司が履歴書を見て携帯番号から勝手にLINEで連絡してきたり、肩、背中、腰、髪の毛などをさわり、家の場所を調べられた、会社に相談し、自分の担当は一時かわることができたが、会社として行為者の異動、処分などはない、そのうち不眠、動悸、耳鳴り、過呼吸など心身にさまざまな症状が出て休職、無給だったそうです、その間、会社からは一切連絡なし、労働局は話をじっくり聞いてくれたが、局は、どちらが悪いという判断も、セクハラだから慰謝料を払ってくださいと会社に言うこともできないと言い、解決するのか不安になった、弁護士に相談したが、弁護士はお金がかかるので、労働局の調停を利用し、謝罪と、休職中の給与、通院費、慰謝料として六十万円を求めた、調停の結果、解決金は三十五万円、謝罪はなし、会社はセクハラも認めず、悔しいと。先ほど迅速というふうに言われましたけれども、労働局相談後も時間がかかり、つらかったと。それで退職になっております。同種の行為を受けた同僚も二十九万円で、結局退職をしたと。
 事業主の防止措置義務が二〇〇七年の四月一日から施行されておりますけれども、結局、救済されているというふうにはとても言えない現状があるというふうに思います。
 局が、どちらが悪いという判断も、セクハラだから慰謝料を払ってくださいと会社に言うこともできない、これでどうやって救済されるのか。これが今回の法改正で変わるのか、判断できるようになるのか、大臣に認識を伺いたいと思います。

○根本国務大臣 都道府県労働局では、主に事業主の措置義務の履行が法に沿って適切に行われているかについて確認し、必要な助言、指導などを行っているものであります。本法案においても、都道府県労働局がセクハラに当たるか否かの認定を行うことにはならないものであります。
 なお、男女雇用機会均等法では、セクシュアルハラスメント等の防止のための措置義務として、事業主には、被害者に対する配慮のための措置や行為者に対する措置を適正に行うこととされております。
 引き続いて、この事業主に対する措置義務の履行確保を通じて適切な対応が行われるように図ってまいりたいと思います。

○本村委員 事業主やあるいは会社にとって利益となる人がセクシュアルハラスメントをした場合、とりわけ解決が難しいわけでございます。先ほども、法律は判断するものじゃないんだということですけれども、厚生労働省は、改正均等法の施行に関する都道府県の労働局に宛てた文書があるんですけれども、その中でも、法及び指針は、個々のケースが厳密に職場におけるセクシュアルハラスメントに該当するか否かを問題にするものではないので、この点に注意することということで徹底しているわけですよ。被害を認定できずに、どうやって被害者を救済するんですか。

○根本国務大臣 男女雇用機会均等法では、事業主に対し、セクシュアルハラスメントなどの防止のための措置義務として、予防、相談、被害者へのケアや再発防止などの一連の取組を求めて、被害者救済などを図ることとしております。
 都道府県労働局では、個々のケースがセクシュアルハラスメントに該当するか否かの判断は行っておりませんが、事業主の措置義務の履行が法に沿って適切に行われているかについて確認して、行政指導等を通じて問題解決に努めているところであります。

○本村委員 加害があったか被害があったか、このことを認定せずに、どうやって事業主にしっかりとした対応をさせるんですか。

○小林政府参考人 基本的に、事業主が講ずべき措置義務の中で、双方の話をよく確認すること、そして、セクシュアルハラスメントが認められた場合には、その加害者に対する厳正な処分ですとかあるいは被害者に対する謝罪とか、そういったことを指針でも書かせていただいておるところでございまして、そういった企業における措置義務を適切に実施していただくことで救済ということがある程度図られるものというふうに理解しております。

○本村委員 例えば、社長がやったケースでは、どうやって指導するんですか。

○小林政府参考人 基本的に、社長でありましても事業所としての措置義務を果たしていただく必要があるわけでございますが、それが必ずしも十全に図られない場合には労働局の方に御相談いただけば、労働局として会社の方に助言等を行っていくという対応はさせていただいております。

○本村委員 内藤先生の調査では、社長のケースで退職に追い込まれているケースだってあるわけですよ、労働局に相談に行って。解決していないわけでございます。
 次にお伺いしたいんですけれども、紛争解決援助、調停制度で解決せずに裁判を提訴した事案は何件あるんでしょうか。

○小林政府参考人 お答えいたします。
 都道府県労働局の紛争調整委員会による調停が開始されたもののうち調停案が受諾されたものの割合は、平成二十九年度で約三割でございます。
 調停案が受諾されなかったもののうち訴訟に至ったケースがどの程度あるかについては、申しわけございませんが、把握をしておりません。

○本村委員 被害者の実態をちゃんとつかんでいないということがはっきりしたというふうに思います。
 次に、現状の裁判の限界についてもお伺いをしたいというふうに思います。
 大臣にお伺いしたいんですけれども、セクシュアルハラスメントの被害を受けた方が裁判に訴えることはなかなかハードルがある、難しいというふうに言われている、当然そうなわけですけれども、大臣は、その理由は何だというふうに認識をされておりますでしょうか。

○根本国務大臣 セクハラ被害者が裁判を起こすことについては、幾つか心理的なハードルがあると考えております。原告としてみずからの名前が明らかになってしまう、会社にいづらくなり、やめざるを得なくなることもある、被害者に落ち度があった等の中傷を受ける、セクハラを受けたという明確な証拠を示すことが難しい、あるいは費用や時間がかかるなどの理由によって特に心理的なハードルがあると考えられると思っております。
    〔橋本委員長代理退席、委員長着席〕

○本村委員 裁判にかなりのハードルがある、被害を受けた方々にとって本当に高いハードルなんだということはお認めいただいたというふうに思います。だからこそ、私たちは、独立した行政の救済機関が必要だというふうに考えているんです。
 こういういろいろなハードルがあるわけですけれども、そういう中でも裁判に訴えた方も見えます。セクシュアルハラスメントの被害について裁判に訴えると、何年ぐらいで解決しておりますでしょうか。被害者の訴えが認められて勝訴した場合、賠償金の金額の中央値、被害を受けた方々は原職復帰できているのか、その点、どういうふうにつかんでおられますでしょうか。

○小林政府参考人 恐縮でございますが、個々の裁判の状況ですとかその結果については把握できておらないところでございます。

○本村委員 今回の法改正が、こういう裁判でどういう限界があるのかということも調べずに出されたということが明らかになったというふうに思います。
 行政救済されず提訴に踏み切る被害者の方は、被害を認めてほしい、謝罪してほしい、二度とないようにしてほしいということで訴えるわけですけれども、今の均等法の状況では、行政指導の法律だからということで、裁判では立証には使えないわけでございます。
 現状では民法の不法行為論ということでやられているわけですけれども、先ほども大臣がお話しされましたように、不法行為論では、被害者なのに過失が問われ、被害に遭わないために注意を怠った、落ち度のような理不尽なことが問われることになってまいります。
 日本で初めてセクシュアルハラスメントの裁判を担当し、長年、セクシュアルハラスメントをなくすために、そして女性差別をなくすために奮闘されておられます弁護士の角田先生も、不法行為論では、本来、被害を受けた方々の人権救済、権利回復にはならないんだというふうにおっしゃっております。しかも、不法行為論では金銭解決ということになるのではないか、結局、ゴールは金銭解決じゃないかと。
 被害者の方が原職復帰できる根拠となるのか、キャリアを失わずに済むのか、企業に指導するような内容を盛り込めるのか、この点、どのように考えておりますでしょうか。

○小林政府参考人 お答え申し上げます。
 民法上の不法行為、民法第七百九条に基づく損害賠償請求につきましては、立証責任は原告の方にあるわけでございまして、御指摘のように主張、立証のハードルはあるんだろうというふうに思っております。
 また、損害賠償請求の仕組みでございますので、御指摘のように金銭解決が中心になるというふうに理解しております。

○本村委員 もう一つお伺いをしますけれども、法律の中でどこにもセクシュアルハラスメントの禁止規定がない中で、何が禁止される行為なのかということが条文上ない中で、裁判の中でセクシュアルハラスメントと認定をされたことがございますでしょうか。

○小林政府参考人 加害者の行為につきまして、セクハラに該当するとしている地方裁判所の判例というのはございます。そこでは、均等法の規定ぶりと同じ表現をなぞる形で判決が書かれているという例はございます。
 ただ、セクハラ行為の認定につきまして、一般的に明確な規範とまで言えるようなものは存在していないというふうに承知をしております。

○本村委員 そういう中で、賠償金というのは、たとえ勝ったとしても、仕事をやめて、長期間裁判で闘って勝訴をしたとしても、せいぜい百万円ぐらいなわけでございます。とても権利を回復するような、そういう事態に裁判の中でもなっていないのが現状でございます。
 均等法が裁判規範にならないというのは、やはり禁止規定がないからだと。ハラスメント禁止規定というのは、被害を受けた方々始め労働者の方、組合の方、女性の団体始め各方面から強い要望があるわけでございます。今議論をしてきました相談、企業名の公表、紛争解決援助、調停、裁判、こういうことをやっても、やはりいろいろなことで救済をされていないわけでございます。
 大臣は、先日も本会議で御答弁いただいたんですけれども、ハラスメントは、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるんだ、あってはならないというふうに御答弁されておりますけれども、にもかかわらず、このハラスメント禁止規定が中長期の課題というのは、本当に私は意味がわからないわけでございます。諸外国はできているものを、なぜ日本だけは中長期の課題となっているんでしょうか。
 昨日の参考人質疑の中でも、伊藤参考人が、諸外国に禁止規定を入れている国は多く、日本の法律をどのように実施していくかということを整理することは比較的短時間で可能ではないか、速やかに禁止規定を入れてほしいという発言をされておりました。
 なぜ、諸外国はできているのに、日本は中長期の課題なんでしょうか。

○根本国務大臣 セクシュアルハラスメント等の禁止規定、これについては、昨年十二月の労働政策審議会の建議において、現状でも悪質なセクシュアルハラスメント等は既に刑法違反にも該当し、不法行為として損害賠償請求の対象にもなり得る中で、要はそれぞれの法律との関係の整理だと思いますが、民法など他の法令との関係の整理や、あるいは違法となる行為の要件をどう限定していくか、あるいは明確化していくか、つまりそういう課題があって、今回の見直しによる状況の変化も踏まえた上で、その必要性を含め中長期的な検討を要するとされたものであります。
 これは要は、関係法令との整理が必要だということと、違法となる行為の要件の明確化、ここが大きな課題で、議論があった、こういうことだと思います。
 ただ、一方で、ハラスメントのない職場づくりを推進する必要がある、これは言うまでもありません。ですから、今回の法案では、労働施策総合推進法第四条の国の施策に、ハラスメント対策全般を充実するということを明記した上で、セクシュアルハラスメント、マタニティーハラスメントに加え、喫緊の課題となっているパワーハラスメントの防止のための事業主の措置義務、これを設けるとともに、国、事業主及び労働者の責務規定を設けて、これらのハラスメントを行ってはならない旨を明確化しております。
 本法案に基づいて、その意味で、今回こういう法案の手当てをしているわけですが、ハラスメントのない職場づくりを推進していきたいと思います。

○本村委員 セクシュアルハラスメントの被害を受けた方は、多くは女性でございます。女性の働く場、働く権利が奪われて、女性が仕事の能力を蓄積することが阻まれてしまいます。退職したら年金にも連動いたしますし、老後だって年金が少なくなってしまうわけでございます。生涯にわたって女性の貧困をつくり出すもので、甚大な人権侵害だというふうに認識をしております。
 だからこそ、今すぐ救済できるようにしてほしい、そのためには、禁止規定や、何が禁止される行為なのか、これを明確にしてほしいというのが、研究者の方々や弁護士の方々や被害を受けた方々の声でございます。
 認識をちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、女性差別撤廃委員会は、女性が女性であるがゆえに受ける暴力は条約上の女性差別とみなし、セクシュアルハラスメントもその一種として、国に対策を求めております。
 禁止規定そして制裁措置、これも女性差別撤廃委員会に日本政府は求められておりますけれども、そのことをどう認識されておりますでしょうか。

○根本国務大臣 事前に通告を受けていませんでしたので、確認してからお答えしたいと思います。

○本村委員 事前に通告はしております。(発言する者あり)委員長、時間がないんです。

○冨岡委員長 では、ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○冨岡委員長 速記を起こしてください。

○根本国務大臣 近年、女性差別撤廃条約において、セクシュアルハラスメント防止対策で、職場でのセクシュアルハラスメントを防止するため、禁止規定と適切な制裁措置を盛り込んだ法整備を行うこと、この勧告は、差別委員会の最終見解については、これを受けております。

○本村委員 女性差別撤廃委員会は、女性が女性であるがゆえに受ける暴力は条約上の女性差別とみなし、セクシュアルハラスメントもその一種として国に対策を求めておりますけれども、そういう認識はありますか。

○根本国務大臣 職場でのセクシュアルハラスメントを防止するために禁止規定と適切な制裁措置を盛り込んだ法整備を行うこと、こういう勧告は受けておりますから、そういう認識はあります。ありますが、これは、最終見解ということで聞いておりますが、強いて言えば法的拘束力はないものと考えています。

○本村委員 国に対策を求められているのにやっていないということは、女性差別を放置しているという認識でよろしいですか。

○根本国務大臣 今回の法案で、今、我々は法案を提案させていただいておりますが、それは、セクシュアルハラスメントはあってはならない、こういう観点で法案を出させていただいております。そういう対応をさせていただいております。

○本村委員 女性差別撤廃委員会からも禁止規定、制裁措置を求められておりますので、真剣に受けとめていただきたいというふうに思います。
 世界銀行グループからも、OECD高所得の国の中で日本だけがセクシュアルハラスメントから女性を守っていないと名指しをされておりますので、その点、深く認識をしていただいて、早急に検討していただきたいというふうに思います。
 そして、国内の動きについても申し上げたいんですけれども、男女共同参画会議の女性に対する暴力に関する専門調査会が四月八日、セクシュアルハラスメントの対策の現状と課題という報告書を出しました。
 この議論は、そもそも財務省の事務次官の事件がございまして、今のセクシュアルハラスメントの防止対策が全然だめだ、調査会の会長がこういう発言をして、その調査会の中では委員の皆様方が次々に、被害者保護がなっていないという発言を繰り返しているわけでございます。そういう認識のもとで、二〇一八年六月から二〇一九年二月までヒアリングや議論を重ねて出されたものでございます。
 この報告書の中には、セクハラ行為に係る禁止規定などの検討が進められる、そういうときにはこの報告書を生かしてほしいんだということで、期待が込められております。諸外国の法制度の内容なども書かれておりますので、この報告書というのは、この報告書に掲げられた各課題について、可能な限り早期に種々の対策、立法が検討され、実施に移されることを期待するというふうに述べられております。
 こういう指摘をしっかりと受けとめるべきじゃないですか、大臣。

○根本国務大臣 女性に対する暴力に関する専門調査会の報告書においては、我が国においては、セクハラ規制の方向性、定義の統一の必要性があるかどうか自体についての前提的な議論が求められている段階にあり、今後、総合的に規制の方向性について議論することが課題といったことも指摘されております。
 また、この報告書では、労働政策審議会の建議を踏まえて職場におけるセクハラは許されないものであるという趣旨が法律上で明確化されることになれば、職場におけるセクハラ対策の実効性も一定程度向上していくことが期待されるという指摘もいただいております。
 いずれにしても、セクハラの禁止規定については、労働政策審議会の建議を踏まえて、今回の法改正の施行状況や同専門調査会の報告書の内容も踏まえて必要な検討を行っていくことになるものと考えております。

○本村委員 早急に種々の対策、立法が検討されということも求められておりますので、ぜひ、早急に前段の議論をやっていただいて、さまざま検討会、研究会を開いていただいて、禁止規定を入れていただきたいというふうに思います。
 きょう議論をさせていただきましたけれども、今の現状では、やはり事業主の防止措置義務では被害を受けた方々が救済されないんだということが明確だというふうに思います。
 少なくともセクシュアルハラスメントについては禁止規定、何が禁止される行為かということを明確に明記をするということ、被害者の方が早急に救済される独立した機関をつくるということ、そして都道府県労働局の現状、人が足りないんだということを内藤参考人も言われておりましたけれども、私も愛知の労働局の実態をお伺いをしましたけれども、セクシュアルハラスメントなどを聞く雇用環境・均等部、相談を受ける方は、ほとんど非正規雇用の方が多いんだというふうに言われておりました。これからパワーハラスメントの方々の相談を受けるということになりますので、体制の強化をぜひやっていただきたいというふうに思いますし、正規でちゃんと任用してやっていただきたいというふうに思います。
 そして、迅速に救済をされる機関が必要だというふうに思いますし、ぜひ、差別禁止法あるいは雇用平等法、こうしたものをつくって、被害を受けた方々が迅速に救済をされる、そういう制度にしていただきたいというふうに求めたいと思いますけれども、最後に、大臣、御答弁をお願いしたいと思います。

○根本国務大臣 我々、まさしく、方向性は多分共通していると思いますが、さまざまな課題に対して対応すべく、今回の法改正を提案させていただいております。そして、労働局の体制の充実も図っていきたいと思っております。

○冨岡委員長 時間が来ていますので。

○本村委員 終わります。ありがとうございました。

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