しんぶん赤旗 2020年4月29日
新型コロナ/税減免など拡充要求/中小業者支援こそ/本村議員
新型コロナウイルス感染症対策の補正予算案に関連する地方税法等改定案が28日の衆院総務委員会で審議され、日本共産党の本村伸子議員が中小事業者への税減免など支援拡充を求めました。
改定案には、感染症の影響で経営が厳しくなった中小・小規模事業者の固定資産税や都市計画税の減免が盛り込まれています。
本村氏は、改定案が減免対象を償却資産(事業用設備など)と事業用家屋に限っていることについて、駐車場を持つバス事業者や庭園を持っている旅館・ホテルもあるとして、土地も対象にするべきだと提起。減免に伴う自治体減収分は新たに創設する「交付金」で国が全額補填(ほてん)することを求めました。
改定案は、政府の自粛要請に応えて中止したイベントなどのチケット購入者が払い戻し請求権を放棄した場合に20万円を上限に所得税の控除対象とし、個人住民税も自治体の判断で控除できる特例を設けるとしています。
本村氏は、「表現の自由」を保障するためイベントの内容で税控除の可否を判断するべきではないと主張しました。また、イベント主催者らへの支援は「今回の税制改正だけでは全く足りない」と強調。ドイツは文化芸術に携わる人たちへ総額6兆円の支援を決定したことも紹介し、「(日本も)自粛で受けた大きな損害を補償するべきだ」と求めました。
文化庁の森孝之審議官は、税額控除対象とするイベントについて「一定の形式や要件を満たすものであれば幅広く対処する」と答弁しました。
議事録
201-衆-総務委員会-15号 2020年4月28日
○本村委員 日本共産党、本村伸子でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
まず、地方税についてお伺いをしたいというふうに思います。固定資産税、都市計画税の減免の問題でございます。
以前も私、固定資産税の減免について質問させていただいて、今回入ったということはよかったわけですけれども、しかし、償却資産と事業用の家屋だけということに限っております。
そこで伺います。
店舗兼住宅の場合も減免対象になるかということ、するべきだと思いますけれどもどうかということ。
そして、総務省の資料でも、厳しい経営環境に直面しているというふうに書かれております。今回異例なことで減収になっているわけですから、ぜひ土地の方も入れていただきたいというふうに思うんです。
バス事業者も本当に大幅な減収になっておりまして、広大な駐車場を持っている事業者さんもいらっしゃいますし、あるいは美しい日本庭園を持っている旅館やホテルなどもございます。そうしたところ、土地も含めていただかなければならないというふうに思います。
土地の固定資産税の減免、そしてそれを補填する特別交付金、全額補填するべきだというふうに思いますけれども、総務大臣、お答えをいただきたいと思います。
○高市国務大臣 今回の措置は、新型コロナウイルス感染症の影響によって厳しい経営環境にある中小事業者などの事業継続を支援するために、稼働率が著しく落ちている事業用資産に対する固定資産税を軽減するということといたしております。一方で、固定資産税は地方の行政サービスを支える基幹税でございますから、その安定確保は非常に重要でございますので、対象資産は必要な範囲に限定すべきものだと考えております。
このため、事業用資産として、その減価償却費が法人税や所得税において損金や経費に算入される償却資産及び事業用家屋を対象とすることといたしました。
ですから、土地については対象となりませんし、また、住宅兼店舗については、事業用の部分である店舗部分のみを軽減措置の対象とすることといたしました。
○本村委員 今回、異例なことで減収となっている、そして本当に生きるか死ぬかで必死に頑張っている事業者の方を救済するためにも、ぜひ土地の減免制度も考えていただきたい、早急に検討していただきたいというふうに思います。
二つ目ですけれども、事業用ではない個人の固定資産税そして都市計画税の減免も考えるべきだというふうに思います。
資産を売って税金を払え、家や土地を売って税金を払えというのではなく、やはり減免制度、こういう危機的な状況ですから、考えるべきだと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○高市国務大臣 今回の措置につきましては、先ほど申し上げましたように、中小事業者などの負担を軽減し、事業継続を支援する観点から、固定資産税を軽減することといたしました。
個人の方に対する経済支援としては、今般の経済対策の中において給付金などさまざまな予算措置も講じられておりますので、個々の納税者の実情に応じて適切に対応していただけるものと考えております。
○本村委員 ぜひ、個人の固定資産税、都市計画税の減免、そして特別交付金で補填をしていくという措置も検討を早急にしていただきたいというふうに思います。
固定資産のある方だけではなく、賃貸の方々も救わなければならないというふうに思っております。
事業用の賃貸も固定費となり、これが倒産、廃業の危機になっているという状況がございます。持続化給付金をというふうに言うわけですけれども、上限が法人で二百万円、個人事業主等で上限百万円ということで、とても足りない状況があるわけです。
きょう、野党が法案を提出をいたしまして、ここの委員の皆様方にも複数提案者の方がいらっしゃるわけですけれども、きょうは、安倍首相が、状況が更に延びれば、ちゅうちょなく、やるべきことをやりたいというような答弁もされました。
一刻も早く家賃支援、事業用もそうですけれども、個人も一刻も早く制度をつくるべきだというふうに思います。御答弁をお願いしたいと思います。
○奈須野政府参考人 お答え申し上げます。
今回の補正予算では、御指摘のテナント料、賃借料の支払いなどにも用いることのできる使途の制限のない資金として、持続化給付金というのを給付することとしております。御指摘のとおり、中小法人二百万円、個人事業主百万円となっております。
この規模感でございますけれども、中小・小規模法人の九五%を占める五十人以下の事業者について、固定費のうちの地代家賃それから広告宣伝費を合計した費用の平均が年間四百万円程度というふうになっております。それから、個人事業主についてはこれが年間二百万円というふうになっております。
したがいまして、この持続化給付金でございますけれども、年間のこうした支払い負担の半年分、平均六カ月分に相当する額を給付するということでございます。したがいまして、これは決して少ないものというふうには考えておりません。
ただ、しかしながら、御指摘のとおり、店舗の面積であるとかあるいは立地、いろいろな状況がございまして、いろいろな差があるということは事実でございます。一方で、一刻も早く事業者の皆様に資金を供給するということで、一律の資金ということにさせていただいたということでございます。
○本村委員 きょうも必死に金策に駆けずり回っている中小・小規模事業者の方のお声を聞いてまいりました。ぜひ、事業者にもそして個人にも、家賃支援、早急に制度をつくるべきだということを求めておきたいというふうに思います。
次に、一人十万円の特別定額給付金についてでございます。
実の父親から性的虐待を受けていた女性が裁判に訴えて、名古屋地方裁判所岡崎支部で無罪判決が出され、そして、名古屋高等裁判所で逆転有罪判決となりました。被害当事者の方は、暴力を振るわれ、そして学費や生活費で経済的な負い目があり、支配状況は従前より強まっていたということが裁判の判決の中でも事実認定されております。そういう中で性的虐待を受けていたわけでございます。
同じ世帯ということになっておりますけれども、こういう暴力に苦しむケースは日本社会の中に確実にあるわけでございます。今回、一人十万円の特別定額給付金は世帯主に受給権があるというふうになっておりますけれども、世帯主などに問題があるケースがあるわけです。そういう中で、虐待を受けている、DVの被害を受けている、暴力の被害を受けている、家が安全な場所ではない、そういう方々にも、被害を受けている個人に確実に特別定額給付金が給付されなければならないというふうに思います。
大臣、個人に確実に特別定額給付金が給付されるようにするべきだというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
○高市国務大臣 今、本村委員がおっしゃっていただいたような、暴行を受けているにもかかわらず同居を続けておられるというような場合には、もう単に特別定額給付金の受給の問題ではなく、まず、暴行を受けておられる方は、婦人相談所への避難又は児童福祉施設へ入所をしていただくことが必要だと考えております。まずはそちらの方を急いで、身を守っていただきたいと思います。
そして、婦人相談所や児童福祉施設には、今回の定額給付金のことでは御協力をいただいております。暴行を理由に婦人相談所に避難しておられる方についてはその旨を申し出ていただくということ、それから、児童福祉施設に入所している方については特に手続の必要なく、婦人相談所や児童福祉施設が所在する市区町村から申請書が郵送されることになりますので、それで申請を行っていただき、給付を受けていただけることとしております。
まずはその家を出ていただくことが先決だと思います。
○本村委員 でも、そうできない現実がございまして、同じ世帯という形式にはなっている、住民票上はなっているけれども、その方は、例えば宿泊施設に今避難している方もいらっしゃいます。そういう方にも確実に、個人に給付されるように何らかの措置を検討してくれということを申し上げているんです。
○高市国務大臣 もう既に避難をされている場合には、支援団体を通じてしっかりと申請ができるように協力をお願いし、もう対応をいたしております。
○本村委員 家が安全な場所ではなくて、例えばホテルとかに一時的にでも避難をしている方でも大丈夫ということですね。
○高市国務大臣 例えば、女性が虐待を受けているというような場合には、婦人相談所に申し出ていただく、また地方公共団体に申し出ていただくということによって、給付を受けることは可能でございます。
例えば、いわゆるホームレスの方、またネットカフェ難民と言われる方々についても、現在、支援団体の協力を得て、自立支援センターなどがしっかりとお手伝いをして、給付を受けていただくということになっております。
○本村委員 未成年の方や野宿者の方で銀行など口座がない方の場合も給付を受け取れるようにするべきだというふうに思いますけれども、その点どうなっているかという点。
あるいは、こういうお声がございました。八十三歳のひとり暮らしの母は一人で手続できません、新型コロナウイルス感染拡大も心配で、支援に行くのもはばかられます、年金受給者は年金口座に振り込んでほしい、こういうお声に応えていくのが行政のあるべき姿だというふうに思います。
視覚障害者の方も、ただ申請書を送りつければいいという問題ではございません。
ひとり暮らしのお年寄りや視覚障害者の方々も、手続が難しい方々をしっかりと支援をし、給付をされるべきだというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○高市国務大臣 御本人に口座がなくてやむを得ない場合は、窓口での給付も、感染症拡大対策に十分気を配りながらやっていただくということになりますし、また、児童養護施設などにも御協力をいただいて、保護されている方の場合でしたら、施設が所在する市区町村から申請書が郵送され、本人若しくは施設の職員から申請を行っていただき、本人に給付金が支給されるということになっております。
また、おっしゃったように、世帯主が高齢者であったり障害をお持ちで御本人による申請が困難な場合は、代理人による申請を認めることとしております。例えば、法定代理人、寝たきりの方や認知症の方の御親族、その他、先ほども答弁がありましたが、その他の平素から身の回りの世話をしている方、また、老人福祉施設などの職員などを代理人として想定いたしております。
○本村委員 まだいろいろ申し上げたいことがあるのですけれども、イベントチケット代の税額控除の関係についても、副大臣に来ていただいておりますので、質問をさせていただきたいというふうに思います。
今回、所得税の方は文部科学省で許可基準をつくる、個人住民税の方は地方自治体が決めるということですけれども、表現の自由との関係で、イベントや団体など、内容を検閲するようなことがあってはならないというふうに思います。その点どうするおつもりかということを総務大臣にお伺いしたいのと、文部科学副大臣にもお伺いしたいというふうに思います。
そして、まとめて聞きますけれども、文化芸術、スポーツイベントなどの自粛、キャンセルなどによって大きな損害を受けているわけでございます。そうしたことに対してしっかりと補償することが必要で、今回の税制改正だけでは全く足りないわけでございます。
ドイツでは、文化芸術に携わる人へ約六兆円もの支援を決定をしております。ぜひ、文化芸術、スポーツイベントの自粛、キャンセルなどによって受けた大きな損害について補償するべきだというふうに思いますけれども、御答弁をお願いしたいと思います。
○大口委員長 持ち時間が終了しておりますが、文化庁森審議官、簡潔にお願いします。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
まず、税の控除の対象について、技術的な点についてお答え申し上げたいと存じます。
国税につきましては、イベント主催者の申請に基づき、文部科学省において指定をする、また、地方税においては、この指定イベントのうち、住民福祉の増進に寄与するものとして各自治体の条例において定めるというふうに承知をしてございます。
文部科学省としましては、対象イベントの指定に当たりましては、新型コロナウイルスの感染拡大防止措置の円滑な実施という観点も踏まえまして、文化芸術、スポーツに関連するものでありまして、一定の形式的な要件を満たすものであれば幅広く対象とすることを想定しているところでございます。
○上野副大臣 政府全体としての方針として、新型コロナウイルスの影響によりさまざまに発生する各事業者の個別の損失を直接補償するということは難しいと考えていますが、現在厳しい状況にある文化芸術やスポーツ関係者に対する支援を行うことは、議員おっしゃるとおり、大変重要であると考えております。
現時点でさまざまな支援策等とられておりますが、さらに、今回の緊急経済対策の中で、事業継続のための新たな給付金としていわゆる持続化給付金を創設することとして、当該給付金については、文科芸術を始めとする幅広い業態の特殊性に配慮することと明記しているところでございます。
文化芸術団体やフリーランスのアーティストにとって使い勝手のよいものとするとともに、個別のニーズに応じた情報提供等を行い、文化芸術活動が継続できるように支援していきたいと思っております。
また、イベントの自粛によって主催者に大きな損失が生じている状況を踏まえて、イベントのチケットを払い戻さず寄附することで税優遇を受けられる制度も新設します。
さらに、芸術文化、スポーツ活動のV字回復をさせるべく、さまざまな対策等とらせていただくことになっておりまして、これからも、この未曽有の困難を乗り越えるために、文化芸術、スポーツにかかわる皆様の意見をしっかりと伺いながら、引き続き文化芸術、スポーツの振興に全力で取り組んでいく所存でございます。
○本村委員 一層の支援を求めて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
201-衆-総務委員会-16号 2020年4月29日
○大口委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、地方税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案に対する質疑は、昨二十八日に終了いたしております。
これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
地方税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大口委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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〔報告書は附録に掲載〕
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