しんぶん赤旗 2019年11月15日
欧州視察報告で討論/本村議員が発言/衆院憲法審
衆院憲法審査会は14日、前回(7日)に引き続き欧州視察報告を受けての自由討論を行いました。
日本共産党の本村伸子議員は、欧州視察団の団員が報告で「憲法の体系を崩すことがないように十分注意すべき」だと述べたことが印象的だったとした上で、「侵略戦争の反省に立った憲法9条の非軍事平和主義こそ日本国憲法の体系の根幹だ。この体系を崩してはならない」と強調しました。
その上で、「あいちトリエンナーレ『表現の不自由展・その後』」への政治介入や、政府の公的行事である「桜を見る会」の安倍晋三首相の私物化問題で招待者名簿を「廃棄した」ことなどで、憲法21条で保障された「表現の自由」や「知る権利」が脅かされていると指摘。「民主主義、国民主権の土台を崩すものだ」と厳しく批判し、憲法を踏みにじっている現状について予算委員会で「徹底した議論が必要だ」と主張しました。
立憲民主党の辻元清美議員は、ドイツ基本法(憲法に相当)には〝自分たちがつくり上げてきた基本法〟という共通認識があるとの視察団報告に言及。一方、日本では安倍首相が現行憲法を「占領中にできた憲法」「日本人に悪い影響を及ぼしている」などと言うもとで、改憲議論の土台としての共通認識はないと強調しました。
議事録
200-衆-憲法審査会-3号 2019年11月14日
○本村委員 日本共産党の本村伸子です。
先週の調査団の皆様方の御報告の中で、憲法の体系を崩すことがないように十分注意すべきと言われたことが印象的でした。
改めて日本国憲法の体系とは何かを考えてみますと、日本国憲法の前文は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」としています。これは、さきの侵略戦争において、アジア太平洋で二千万人、日本国民三百十万人以上もの犠牲を出したこと、広島、長崎への原爆で、その年のうちに二十一万人以上のとうとい命が奪われた歴史を踏まえたものです。
侵略戦争の反省に立った憲法九条の非軍事、平和主義こそ、日本国憲法の体系の根幹です。この体系を崩してはならないと考えます。
こうした戦争と戦争に至った過程への反省が込められた日本国憲法二十一条、表現の自由について述べたいと思います。
戦前の明治憲法は、言論、著作、印行、集会及び結社の自由を法律の範囲内でのみ認めていました。そのため、日本政府は、出版法や新聞紙法などによる出版物の検閲、治安警察法や治安維持法による集会、結社の制限、軍機保護法や国防保安法による軍事機密の秘匿、こうしたことにより弾圧とそして思想統制を行い、侵略戦争へと突き進んでいったのです。
この歴史への反省から、日本国憲法二十一条一項で、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由を保障し、二項で検閲を禁止しているのです。
この表現の自由が今脅かされていることこそが問題です。
あいちトリエンナーレ、「表現の不自由展・その後」をめぐる政治介入。文化庁の補助金が一旦採択されていたにもかかわらず、菅義偉官房長官が、審査時点では具体的な展示内容の記載はなかったことから、補助金交付の決定に当たっては、事実関係を確認、精査して適切に対応したいと述べ、文部科学大臣も同じような発言をし、結局、補助金の全額不交付が決定をされました。まさに表現の自由への政治介入であり、憲法にかかわる重大問題です。
また、国民主権、民主主義の土台である、知る権利が脅かされていることも重大です。
安倍政権が引き起こした森友問題、加計問題を始め、政府による公文書の改ざん、自衛隊の日報の隠蔽、厚生労働省のデータの捏造などは、民主主義の土台を根底から壊すものです。
今大問題になっている、安倍首相主催の内閣の公的行事である桜を見る会の私物化問題では、各界における功績、功労のあった方々という招待基準のもとで、八百五十人とも言われる安倍首相の後援会の方々を招待したこととの矛盾、これには一切答えず、招待者の名簿は破棄したと答弁したまま、昨日、来年度の実施中止を表明しました。中止で済まされるものではありません。安倍首相自身の説明責任が問われています。これは、国民の知る権利、民主主義、国民主権の土台を崩すものとして、極めて重大です。
こうした問題を含め、憲法が踏みにじられている現実について、予算委員会を開き、そして、各常任委員会でも徹底した議論が必要だと思います。
憲法改正原案の発議を任務とする憲法審査会は動かすべきではないということを申し述べ、発言といたします。