しんぶん赤旗 2020年11月20日
点字の振替受払通知票郵送/来年4月以降も無料可能/ゆうちょ銀社長が本村議員に答弁/衆院総務委
ゆうちょ銀行の池田憲人社長は19日の衆院総務委員会で、振り込みを知らせる点字の振替受払通知票の郵送について、「来年4月以降も引き続き無料で通知を受けることは可能だ」と述べ、無料サービスを継続すると述べました。日本共産党の本村伸子議員への答弁。
ゆうちょ銀行は、振替受払通知票を郵送するサービスを無料で行ってきましたが、来年度から有料化する動きが出ており、視覚障害者団体からは「手数料を取られたら運営が困難になる」などの声があがっていました。
本村氏は障害者団体の声を紹介し、「合理的配慮が必要だ」と述べ、来年4月からも振替受払通知票を無料のままにするよう求めました。また、点字郵便物などを無料とする第四種郵便を知らない郵便局員もいることをあげ、「ノルマなどのもうけ最優先になって合理的配慮は後景に追いやられてしまっているのではないか」とただしました。
日本郵政グループの長門正貢社長は「貴重な意見なので、きちんと対応できるようしていきたい」と答弁。「今後も障害を持つお客の意見に耳を傾け、商品・サービスの方法について検討していきたい。障害のあるお客への対応も大事なミッション(使命)だ」と述べました。
しんぶん赤旗 2019年12月3日
日本共産党議員の国会質問/労働条件改悪、告発/非常勤手当確保を/本村氏
本村伸子議員は11月19日の衆院総務委員会で、来年度開始の会計年度任用職員(非常勤職員)の労働条件改悪が相次ぐ実態を告発し、不適切な待遇引き下げについての周知徹底と財源確保を強く求めました。
会計年度任用職員は、期末手当の支給対象ですが、多くの自治体で、財政不安から、月給を引き下げ手当に回す改悪案が提示され、保育士や病院職員など重要な行政を担う職でも、月2万~4万円も賃下げされる例もあります。
本村氏は、自治体の労働組合が行ったアンケートで、非常勤職員の7割が「退職を検討している」と回答したことを示し、手当支給の財源確保を十分に示さなかった総務省の責任を追及。高市早苗総務相は「給料や報酬を削減することは適切ではない」「制度の施行に伴い必要となる経費は、地方財政計画に計上することにより、適切に財源を確保していく」と答弁しました。
本村氏は、総務省のマニュアルで、週15時間半以下の職員などを手当支給の対象外とする制度も「想定される」としており、非常勤講師や短時間勤務の保育士などが対象外となると指摘。勤務時間で線引きしないよう要求しました。
総務省の大村慎一公務員部長は、マニュアルは一例を示したもので、支給対象の勤務時間は「地方公共団体の実情等に即して、適切に判断されるべきだ」と答弁しました。
しんぶん赤旗 2019年12月10日
臨時教職員処遇改善へ国の財政措置認めさせた/本村伸子議員の衆院総務委質問/臨時教職員制度の改善を求める全国連絡会会長山口正さんに聞く
来年度から改正地方公務員法・自治法が施行され、会計年度任用職員制度がスタートします。非正規公務員の処遇見直しが各地で取り組まれる中、昨日閉会した臨時国会の質疑を通して国の責任が改めて明らかになりました。臨時教職員制度の改善を求める全国連絡会会長の山口正さん(大学教員)に、国会質疑と答弁のポイントを聞きました。
(堤由紀子)
法改正について国は、「非正規公務員の処遇改善になる」と繰り返し強調してきました。しかし、各地の処遇見直しは「改善」とはいえません。
衆議院総務委員会での日本共産党の本村伸子議員の質疑(11月)は、法改正時の国会付帯決議を踏まえ、非正規公務員の処遇見直しの実態を示しながら、国の改善姿勢を問うものでした。
早急な対応を
第一のポイントは、所管庁の総務省に見直しの現状認識を問い、処遇改善における国の財政措置・確保を国会の場で明確にさせた点です。
高市早苗総務相は、財政上の制約で給料や報酬を削除することは適切ではなく、会計年度任用職員制度に必要な経費は地方財政計画に計上し財源を確保する、といった趣旨で答弁しました。地方公共団体は予算措置を早急に国に求めるべきです。
期末手当は…
第二のポイントは、導入される会計年度任用職員への期末手当支給に関して、支給基準の線引きは一つの例にすぎない、と明らかにしたことです。
総務省の事務処理マニュアル(第2版)では、週15時間30分未満の勤務には支給しないとする制度が「想定」されています。本村議員は、この基準では非常勤講師や臨時保育士が多数、手当の支給からはじかれると告発。総務省公務員部長は一つの例として示したと説明し、地方の実情に即して適切に判断されるべきだと答弁しています。
勤務時間認定
第三は、職務に応じて適切に勤務時間を設定することの必要を再確認させたことです。
たとえば非常勤講師の場合、多くは授業の担当持ちコマ数のみが勤務時間(報酬対象)とみなされています。授業と授業の間に「空き時間」があっても勤務時間として換算されません。しかし、「空き時間」や勤務時間前後に、授業準備やテストの採点、子どもへの助言などを行っているのは職務上必要だからです。
先の公務員部長は、職務の内容や標準的な職務量に応じた適切な勤務時間設定が必要であり地方に助言していきたい、と答弁しています。
名古屋市で働く非常勤講師4人が11月、労働基準監督署に未払い賃金の支払いを申告しました。改正法施行後も、職務にふさわしい勤務時間の認定が、教育職でも鋭く問われるでしょう。
職務給の実態
第四は、同一労働同一賃金の原則から離れた職務給の原則違反の実態をただし、職務内容と責任に応じた処遇が必要だと再確認させたことです。
違反の事例として、常勤講師の実態が指摘されました。担任をもつなど正規教員と同じ職務を担っているにもかかわらず、「臨時」であることで給与が一級下の格付けにされているところがほとんどです。公務員部長は、臨時的任用職員は臨時ではあるが、勤務は常時勤務する職であり、職務内容と責任が同じであれば同じ格付けが適当だと答弁。文部科学省大臣官房審議官も、公立学校教員にも職務給の原則が適用され、都道府県教育委員会が適切な処遇をすることが必要と答弁しています。
多忙解消にも
改正法施行を間近にした時期に、見直しの実態から、安定した公務員制度には非正規の処遇改善が欠かせないことを問う質疑でした。国の改善への姿勢を鮮明にさせた意味は大きいですね。
変形労働制に反対する共産党の見解(10月)には対策の第一に「教員の定数増」がありました。各地で生じている教員不足(正規欠員や代替未配置)の解消と非正規臨時教職員の処遇改善なくして、多忙化解消は不可能です。
しんぶん赤旗 2019年12月12日
日本共産党議員の国会質問/NHK経営委/編集権へ介入許すな/本村氏がただす
本村伸子議員は11月19日の衆院総務委員会で、日本郵政などグループ3社が、かんぽ生命不正営業問題を取り上げたNHK番組の続編に向けた動画掲載の中止を求め、元総務事務次官の鈴木康雄・日本郵政上級副社長がNHK経営委員会に働きかけた結果、同委がNHK会長に「厳重注意」を行った問題についてただしました。
本村氏が、「厳重注意」をしたとのNHKの回答を受けた鈴木氏が経営委に「放送番組の企画、編集の各段階で重層的な確認」「幹部、経営陣による番組の最終確認」を求める文書を送付したのは事実かとただすと、鈴木氏は「私の名義で出させていただいた」と認めました。
本村氏は「放送法は、放送番組の編集の自由は何人からも干渉され規律されないとしている。NHKと経営委員会は編集権への介入を許してはならない」と追及。上田会長は「放送法や国内番組基準、放送ガイドラインにのっとって自主自立を貫く」と表明し、「番組制作者に対する処分等、該当するようなことはなかった」と説明しました。
しんぶん赤旗 2019年12月12日
日本共産党議員の国会質問/特定地域づくり法案/派遣の規制緩和狙い/本村氏反対
本村伸子議員は11月19日の衆院総務委員会で、自民、公明、立憲民主、国民民主など各党提出の議員立法「特定地域づくり事業推進法案」は、特定地域づくり事業協同組合が行う派遣事業への規制緩和などを行うものだとして反対を表明しました。
同法案は、人口が急減した地域に限り、都道府県知事が認定した事業協同組合が、組合員の事業を対象に労働者派遣(無期雇用型のみ)を行う際、労働者派遣に届け出制を適用し、会社を限定して労働者を派遣する「専ら派遣」を可能にする派遣法の規制緩和や、事業費への財政措置を行うものです。
本村氏は、農林水産業などの予算を削り、自治体合併を押し付け、地方を追い詰めてきた歴代自民党政府の責任を追及。直接雇用から派遣への置き換え防止の対策も、補助金の使途の限定や中間搾取の規制もなく、派遣先は仕事がなくなったり人が気に入らないなどの理由でいつでも受け入れをやめられると指摘し、「公的補助があっても直ちに労働者の仕事や安定的な収入が確保されるとは限らない」と批判しました。
【会計年度任用職員問題】
【特定地域づくり法案】
議事録
200-衆-総務委員会-3号 2019年11月19日
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず冒頭、この委員会、本日は、一般質疑、そして議員立法が二本ということで三階建てになっております。こうした乱暴な委員会運営はぜひやめていただきたい、今後ないようにしていただきたいということをまず強く申し上げておきたいというふうに思います。
きょうは、会計年度任用職員の問題、そして日本郵政グループの視覚障害者の方々への合理的な配慮の問題、そしてかんぽ不正、NHKの問題を質問をさせていただきたいと思います。
まず、会計年度任用職員の問題ですけれども、地方自治体で働く非正規の方々が、来年四月から会計年度任用職員制度ということでスタートをいたします。今問題になっておりますのが、多くの自治体で、手当を支給するということに伴って、月給の方は引き下げるという案が提示をされているわけでございます。
私の地元の愛知県内でも、名古屋市の場合、月四万円マイナスになるケースがございます。豊橋市でも月四万円減るという提案がありまして、こうした規模が大きい自治体でも、月給を引き下げて手当を支給という提案がございました。
先日来、西日本新聞でも一面で報じていましたように、近畿よりも西の自治体でもマイナスの提案が相次いでおります。これはもう全国的な傾向だというのは明らかだというふうに思います。
制度改正の審議の際に、私ども日本共産党は、この改定案では臨時、非常勤の皆様方にとって抜本的な待遇改善にはならないんだ、かえって身分がえで条件が悪くなるおそれがあるということを指摘してまいりました。それに対して、趣旨は待遇の改善なんだということを高市大臣も、当時大臣でいらっしゃいましたので、繰り返し答弁されておられました。総務省は繰り返しマニュアルなどで指導助言をしているわけですけれども、それでも月給を下げるという状況がございます。
総務省、大臣は、この危機的な状況を認識しておられるのかという点、そしてどうやって対応していこうとされているのかという点、お示しをいただきたいと思います。
○高市国務大臣 委員がおっしゃいましたとおり、前回総務大臣だったときに、目的としては、臨時、非常勤の職員の方々の適正な任用、勤務条件の確保を図るということから、この総務委員会の委員の先生方にも御指導いただき、御尽力をいただきながら、この会計年度任用職員制度を創設したわけです。
いよいよ令和二年四月一日から施行ということになるんですけれども、先ほど委員がおっしゃったように、総務省が発出した事務処理マニュアルがございます。類似する職務に従事する常勤職員の給料月額を基礎として、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験などの要素を考慮して定めるように助言いたしております。
こうしたマニュアルの趣旨や各地方公共団体の実情などを踏まえた上で給料や報酬を決定した場合に、結果的にその水準が変動することはあり得るものではございますけれども、財政上の制約のみを理由に、新たに期末手当を支給する一方で、給料や報酬を削減することは適切ではございません。
今、地方自治法がございますので、助言をすることしかできませんけれども、各地方公共団体において適切な給与決定が行われるように、引き続き助言を行ってまいります。
○本村委員 事態は大変深刻でございまして、近畿のある自治体では、非正規の保育士の時給を下げるという提案がございました。月給にすれば二万円から四万円の引下げの提案で、職員組合の皆様方が当事者の方々にアンケートをとりましたら、回答者の七割が賃下げならやめるというふうな回答をしたわけでございます。それで慌てて撤回をしたわけですけれども、それでも改善にはほど遠い提案しか出てこなかったということでございます。
豊橋市でも、嘱託の方三百人に労働組合の方々がアンケートをとりましたら、四分の一の方がやめる方向で考えているというふうに答えております。後から手当と名前を変えて支給するからといって、ただでさえ少ない月々の給与を下げられたらもう生活できないという声が、圧倒的当事者の方々の声でございます。
条例の制定の期限だけ意識してしまって、当事者である職員団体ですとか現場の職員の声を聞かないままマイナス改定の提案を行って、ごり押ししようという自治体もございます。そういうところでは、十二月を過ぎて、知らない間に、引下げが決まったからといって、現場に知らされたらどうなるのか、人がやめてしまって行政サービスが成り立たなくなってしまうということになってしまいます。そういう自治体が出てくるのではないかと大変懸念をしております。
こうなっているのも、愛知県内の自治体でも、やはり総務省が財源確保についてしっかりと示していない、このことが理由にされているわけでございます。ですから、やはり、しっかりと財源は確保するんだということを明言していただきたいと思います。月給や基本給を下げずに手当を出す場合でも財源はちゃんと確保するということを明言していただきたいんですけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○高市国務大臣 先般も全国知事会がございましたし、これから十二月に向けまして、地方六団体などの会議、多数私も出席をするわけでございます。その中で、もう既に申し上げてはいるのですが、会計年度任用職員制度の施行に伴い必要となる経費については、地方財政計画に計上することにより、適切に財源を確保してまいります。
○本村委員 財源を確保してまいりますというふうに言われました。しっかりと必要な財源の十分な確保、これは附帯決議にもございますので、ぜひ十分な財源の確保をやっていただきたいというふうに思います。
もう一つ問題なのが、総務省がマニュアルで示しました勤務時間による手当支給対象の線引きの問題でございます。
パートの会計年度任用職員の方で、週当たりの勤務が十五時間三十分より少なければ手当の対象外という設計も想定されるということなんですけれども、手当の支給対象からはじかれる職員が出てくるおそれがあるという問題がございます。
例えば、公立学校など非常勤講師の方、この方々は、授業時間掛ける持ちこま数だけを勤務時間ということでカウントしますと、ほとんどが週十五時間三十分には届かないわけでございます。
また、短時間勤務の保育士さんも、早番と遅番、早い時間と遅い時間だけやってくださるような、大変重要な役割を果たしてくださっているんですけれども、早番と遅番だけだからということで十五時間三十分にはならない、そういう方々もいらっしゃいます。
先ほども話をいたしました、全体で月給を下げるという話がありまして、でも手当はもらえないということになったら、こういう方々は、もう収入も減っていくわけでございます。
総務省に伺いますけれども、この十五時間三十分の線引きについて、必ずしも線引きしなければならないというわけではないと思いますけれども、その点、確認をさせていただきたいと思います。
○大村政府参考人 お答えいたします。
今回の改正法の趣旨ですとか地方公務員法に定める均衡の原則などを踏まえまして、任期が相当長期にわたる会計年度任用職員に対しましては、期末手当が適切に支給されるべきものと考えております。
委員お尋ねの点につきましては、これはマニュアルの中で、国家公務員の非常勤職員に係る取扱い等を踏まえまして、通知又は事務処理マニュアルにおきまして、一つの例として、週当たり十五時間三十分未満の勤務時間の会計年度任用職員に対しましては、期末手当を支給しないことも想定されるという旨をお示しをしたところでございます。
全体としては、会計年度任用職員への期末手当の支給の対象となる勤務時間につきましては、国家公務員の取扱いも参考としながら、一方で、他の会計年度任用職員との権衡にも十分留意の上、各地方公共団体の実情等に即して、各団体において適切に判断されるべきものというふうに考えております。
○本村委員 もう一つ、勤務時間についても確認をさせていただきたいと思います。
例えば、非常勤講師の方は、実際には、授業のこま以外の時間にも、授業準備、試験の採点や待機の時間など、勤務を要する時間がございます。週当たりの勤務時間という場合、職務を遂行する上で現に勤務を要する時間を勤務時間と見るべきだと思いますけれども、総務省の見解、伺いたいと思います。
○大村政府参考人 お答えいたします。
会計年度任用職員の勤務時間につきましては、総務省の方で発出をいたしました事務処理マニュアルにおきまして、「会計年度任用職員の任用に当たっては、職務の内容や標準的な職務の量に応じた適切な勤務時間を設定することが必要」ということを助言しているところでございます。
私どもとしては、各地方公共団体において適切な勤務時間の設定が行われるように、引き続き助言してまいりたいと考えております。
○本村委員 十五時間三十分での線引きはやめるべきだということを強く申し上げたいというふうに思います。
次に、臨時、非常勤職員の同一労働同一賃金について伺いたいというふうに思います。
先日、公立学校の常勤講師の方の給与についてお話をお伺いいたしました。ある自治体では、常勤講師の方の職務内容、責任などが正規の教員と全く同じであるけれども、給与が一級下の講師に格付されているということでございました。常勤職員と同等の職務の内容や責任を有するけれども、給与の格付が違っているということでございます。
臨時的任用は、このようなケースは不適切ではないかと思いますけれども、確認をさせていただきたいと思います。
○大村政府参考人 お答えをいたします。
臨時的任用職員につきましては、任用は臨時でありますが、勤務は常時勤務を要する職であるという位置づけでありますので、その給料につきましては、地方公務員法の職務給の原則等を踏まえまして、常勤職員に適用される給料表及び初任給基準に基づきまして、学歴免許等の資格や経験年数を考慮して、適切に決定する必要がございます。常勤職員と同等の職務の内容や責任を有する場合には同じ格付とすることが適当であると考えております。
このような考え方につきましては、今年度も各種会議やヒアリング等の場において、繰り返し地方自治体に対して助言をしているところでございまして、今後とも、各地方公共団体において適切な給与決定が行われるように、引き続きしっかりと助言してまいりたいと考えております。
○本村委員 文部科学省にもお伺いをしたいというふうに思います。
正規の教員の方々と同じ職務を担う教員は同じ給与格付という職務給原則は、公立学校の教員にも当てはまりますねということを確認させていただきたいと思います。
○蝦名政府参考人 お答え申し上げます。
公立学校の教員につきましても職務給の原則は適用され、任命権者である都道府県教育委員会等において、その趣旨を踏まえまして、職務の内容と責任に応じた適切な処遇がなされることが必要であると考えております。
○本村委員 今議論をさせていただいたんですけれども、恒常的にある仕事は正規にするべきだというふうに思いますし、少なくとも、この会計年度任用職員などについては、不利益が生じることがないようにということで附帯決議も出されておりますので、現場の処遇改善に実際につながるように、総務省としても緊急に全力を挙げていただきたいということを強く求めておきたいというふうに思います。
次に、日本郵政グループの視覚障害者の方々への対応についてお伺いをしたいというふうに思います。
愛知の視覚障害者協議会の皆様方から、こうしたお声をいただきました。今まで無料だった会費の振り込みされたことがわかる明細通知が、来年度から有料、一件当たり百十円になる、インターネットなら無料だと言うけれども、視覚障害者は困る、会費が八百円、そこから手数料を取られたら会の運営が困難になるというお話でございました。
愛知視覚障害者協議会の皆様方は、駅にホームドアをつくらせたり、視覚障害者の方々の社会参加と平等、全面参加を進めるために、声を集めて届ける大変貴重な活動をされておられます。
振り込みの明細通知が有料になったら困るという声は、愛知だけではなく、大阪の視覚障害者の方からもお話をお伺いいたしました。また、全国の視覚障害者の方々が困るということで、きのうも、手をつなごう全ての視覚障害者全国集会の皆様方も要望をされておられたというふうにお伺いをしております。
視覚障害者の方が困るようなことがあってはならないというふうに思います。紙の通知も、視覚障害者の方を始め、インターネットでは使いづらいという方々については、来年四月からも明細通知を無料のままにするべきだ、それが合理的配慮じゃないかと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。
ゆうちょの社長さんにお願いしたいと思います。
○池田参考人 池田でございます。
ただいまの御質問にお答えを申し上げます。
目の不自由なお客様に対しては、従来より、振替受払通知票の内容を点字で印刷し、郵送するサービスを無料で提供しています。先生おっしゃるとおりでございます。このサービスを御利用いただければ、来年四月以降も引き続き無料で送れる、郵送による通知を受けることができるということでございます。可能でございます。
以上、お答え申し上げました。
○本村委員 ありがとうございます。
視覚障害者の方にそういう情報がすぐ届くように、御心配されている方がたくさんいらっしゃいますので、届くようにぜひしていただきたいというふうに思います。
日本郵便の配達についても、視覚障害者の方、荷物を届けられたんですけれども、どこに置いてくれたかわからないというような配達の仕方であったというお声も聞いております。
また、郵便局に行きますと、点字郵便物ですとか特定録音物等郵便物、重さ三キロ以内は無料の第四種郵便ですけれども、これを知らない郵便局員の方々も、何回も何回も行っても知らない郵便局員ばかりというお話もお伺いしましたけれども、これは、各地で問題が起きております。
今、日本郵政グループ、ノルマですとかもうけ最優先になっていて、障害者の方々への合理的配慮が後景に追いやられてしまっているのではないかということを懸念しております。当事者の方々でないとなかなか気づかないこともあるわけですので、視覚障害者の方々始め、障害者の方々と定期的に懇談をし、きめ細かいサービス、合理的配慮ができるようにするべきだと思いますけれども、これは日本郵政グループ全体としてやっていただきたいと思います。お願いいたします。
○長門参考人 ただいまの本村委員の御質問にお答え申し上げます。
大変貴重な御意見でございますので、ぜひ、私ども、きちんとそういう対応ができるように今後もやっていきたいと思っております。
日本郵政グループでは、これまでも、心身障害者団体が発行する定期刊行物や点字郵便物の郵便料金を、今おっしゃいましたけれども、低廉な水準に設定したり、障害をお持ちで外出が困難なお客様にはできる限り郵便物の集荷に応じるなど、障害をお持ちのお客様の御利用にも配慮しながら商品、サービスの提供を行ってまいりました。障害者団体と折に触れ意見交換等もさせていただいておりまして、今後も、障害をお持ちのお客様等の御意見に耳を傾けながら、継続的に商品、サービスの提供の方法について検討してまいりたいと考えてございます。
障害のあるお客様への対応も、私どもの大事なミッションであると考えてございます。御示唆も賜って、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
○本村委員 ありがとうございます。
次に、かんぽ不正、NHKの問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
放送法五十一条は、会長は、協会を代表し、その業務を総理するというふうに規定をしております。しかし、それは個別番組の内容を全て差配するというものではないと思います。
上田会長は国会でNHKの編集権について答弁をされておりますので確認したいと思うんですけれども、上田会長、以前に、NHKで編集権を行使する権限は放送法の規定に基づいて私、会長にありますが、実際の業務運営については放送部門の最高責任者である放送総局長が分掌しておりますというような御答弁、ありますけれども、今もそういうお考えということでよろしいでしょうか。
○上田参考人 お答えいたします。
放送法五十一条の規定から、NHKの番組制作と編集の最終責任は会長にあり、実際の業務運営においては放送総局長に分掌いたしております。
そのもとで、個々の番組の編集内容につきましては、その都度、放送法や国内番組基準、放送ガイドラインに基づき、各番組の担当責任者が総合的に判断をいたしております。
○本村委員 ありがとうございます。
日本郵政の鈴木副社長は、チーフディレクターに編集権についての説明不足があったというふうにしておりますけれども、昨年八月三日、NHKの大型企画開発センター長から日本郵政の広報部長に対して、電話でNHKの見解を伝えておられます。NHKの番組作成、編集の最終責任者は会長であることは放送法に規定されている、その上で、個別の番組に関しては、その権限を分掌している番組の責任者が個々の番組の取材や編集にかかわる点について回答しているというふうに伺っているんですけれども、上田会長に改めて確認をさせていただきたいというふうに思います。
この大型企画開発センター長が行いました対応は、放送法に基づく監査委員会も、瑕疵があったと認められないと言っているわけですから、当然ながら瑕疵はないですね、この対応について。
○上田参考人 お答えいたします。
当時、大型企画開発センター長は、郵政側への取材を続けていくために、報道される当事者の指摘には真摯にかつ丁寧に対応する必要があると考え、日本郵政の広報部長に電話でNHKの番組の編集権についての見解を説明したと聞いております。現場で十分に対応し、全て解決したものというふうに理解いたしておりました。
○本村委員 ありがとうございます。
先ほど上田会長が御答弁されたことと、大型企画開発センター長が言われたことは同じ趣旨ですので、間違った説明をしたわけではなかったわけでございます。しかし、日本郵政側は圧力を続けたわけでございます。
次に確認をしたいんですけれども、ことしの十月三日付の朝日新聞は、昨年十一月七日付で鈴木上級副社長がNHK経営委員会に送った文章の全文を掲載しております。この文章は事実ですかということを鈴木副社長に確認させていただきたいと思います。
○鈴木参考人 お答えを申し上げます。
今お話のございました新聞記事の件は、どこかの席でもうかすれて見えないようなものをいただいたことがございまして、その記事についての直接の言及は避けたいと思いますが、経営委員会に十月五日付文書でお願いした件につきましては、十月二十三日に御回答いただき、十一月六日にNHK会長名の文書が届きましたので、早速にその経緯を記した文書を私の名義で経営委員会宛てに送りました。
これまで多くの文書は全てグループ三社長連名で送っておりましたが、これは、十月二十三日に経営委員会から文書をいただき、その後二週間たってようやくNHK執行部からの文書が届いたということで、私どもとしては、できるだけ早急にお返しをしたいということと、直接受け取った私の名義で出したいということで出させていただいたものでございます。
それと、まことに恐縮ですが、今、八月三日の大型企画開発センター長から云々というのがありました……(本村委員「済みません、時間がないので違うことは答えないでください、聞かれたことに答えてください」と呼ぶ)
一方的に今そういうふうに皆さんがお考えだということになったとしても、私どもとしてはちょっと違うことを考えているということをあえて申し上げます。
以上です。
○本村委員 この新聞報道に出されております鈴木副社長がNHK経営委員会に送った文章の中には、鈴木副社長は、放送法の趣旨を職員一人一人に浸透させるだけでは十分ではなく、放送番組の企画、編集の各段階で重層的な確認が必要である旨指摘した。その際、かつて放送行政に携わり、協会のガバナンス強化を目的とする放送法改正案の作成責任者であった立場から、ひとりコンプライアンスのみならず、幹部、経営陣による番組の最終確認などの具体的事項も挙げながら、幅広いガバナンス体制の確立と強化が必要である旨を付言したとしております。
上田会長と石原経営委員長にお伺いをいたします。
NHKと経営委員会は、編集権に関する介入を許してはならないというふうに思います。放送法三条には、放送番組の編集の自由、何人からも干渉され、また規律されることがないというふうに書かれております。鈴木副社長のこの書面の内容に従う必要はないと思いますけれども、お答えをいただきたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
NHKの番組制作に当たりましては、放送法や国内番組基準、放送ガイドラインにのっとりまして自主自律を貫いております。
○石原参考人 お答えします。
経営委員会は、法律で編集に関与できませんということでございます。執行部がきちんとそういうことには対応していると考えております。
○本村委員 ありがとうございます。
自主自律だというふうにいつも言われるわけですけれども、NHKさんからはずっと説明がなかったんですけれども、日本郵政側の資料から、ことし二月六日、NHKの木田専務理事が日本郵政株式会社本社を訪ね、鈴木上級副社長と面会をし、社員教育の実施状況、ガバナンス体制の検討状況について説明をしたということが明らかになっております。
一区切りついているというふうに鈴木副社長のレターにもあるわけですけれども、にもかかわらず、一民間人である鈴木副社長のところに、なぜわざわざガバナンス体制の検討状況について説明に行ったんでしょうか。何を相談してきたんでしょうか。
○木田参考人 お答えいたします。
昨年十一月の訪問の際に一連の対応に区切りがついたことは日本郵政側との間で確認をしており、二月の訪問はそれとは別の懇談であるというふうに認識しております。
二月の懇談については、十一月の訪問の際に、ガバナンスなどをめぐる取組について機会があれば改めて聞きたい旨の話があり、懇談したものです。
個別の番組等については一切触れておりません。
○本村委員 最後に、時間がございませんので、上田会長に一問お伺いしたいというふうに思います。
現場を萎縮させることがあってはならない、報道の自由を守るべきだというふうに思います。ぜひその決意をお伺いしたいということと同時に、かんぽ生命の不正を暴いた「クローズアップ現代+」番組作成に携わってこられた方々を人事上、降格させたり、不利益取扱いをするようなことがあってはならないというふうに思いますけれども、現場を守る立場で、ぜひ御答弁をいただきたいと思います。
○上田参考人 お答えいたします。
NHKは、報道機関として、放送法や放送ガイドラインにのっとり、公平公正、不偏不党、自主自律を貫き、番組編集の自由を確保するという基本的な姿勢を堅持し、放送に当たっております。
今回の番組の現場においても、番組編集の自由や自主自律が損なわれた事実はなかったと認識いたしておりまして、何らかの、番組制作者に対する処分等、該当するようなことは全くなかったと考えております。
○本村委員 ぜひ、現場が萎縮するようなことがないように、そして報道の自由が守られるように、引き続き御尽力をいただきたいということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。
行政書士法の一部改正案について質問をさせていただき、そして、議事録に残していこうという趣旨で質問をさせていただきたいというふうに思います。
先ほども、今回の改正、三点あるんだということで御説明がありました。一つ目に、法の目的に、国民の権利利益の実現に資することを明記する、二つ目に、社員が一人の行政書士法人の設立等の許容、三点目が、行政書士会による注意勧告規定の新設ということでございます。
まず、一点目の点でお伺いをしたいんですけれども、権利利益の実現を明記する理由について、そして、行政書士の業務の多様化ということも具体的にお示しをいただきたいと思います。
○山花委員 本村委員にお答えいたします。
まず、ちょっと後半のところからお答えさせていただきたいと思いますけれども、行政書士の業務は、法一条の二にございますように、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することでありますけれども、この点、平成二十六年の行政書士法改正では、特定行政書士に行政不服審査の手続代理権が付与されたということと、法定業務以外においても、成年被後見制度における専門職後見人を務める例が多く見られるなど、行政書士の業務は多様化しているわけでございます。
そこで、理由ということですが、本改正案では、行政書士の多様な業務が国民の公法上及び私法上の権利利益にかかわるものであることに鑑みて、行政書士法の目的をより実態に即したものとするため、法の目的に「国民の権利利益の実現に資すること」を加えることとしたものでございます。
○本村委員 ありがとうございます。
先ほども、罹災証明の発行などにも応援いただいたということも質疑の中でございましたけれども、多様な業務をされているということで、今回の法改正ということだというふうに思います。
もう一つなんですけれども、改定案には、社員一人の法人設立ができるというふうにする内容ですけれども、現行規定で法人の社員数を複数にしていた理由は何かという点と、また、一人社員の法人が認められていないという中でどのようなデメリットが生じているかという点、お示しをいただきたいと思います。
○奥野(総)委員 お答えを申し上げます。
まず、なぜ現行規定で複数化を図ったかという点でございますけれども、平成十五年の行政書士法改正により複数の社員で法人設立を認めた理由といたしましては、行政書士の業務の共同化を図り、その経験、知見等を共有して、利用者の皆様に、より質の高い多様なサービスを安定的に供給することを実現するために法人化を図ったというふうに承知をいたしております。
その一方で、一人法人のデメリットということでありますが、法人化のメリットとしては、事業所資産と個人資産の分離が法人化して明確になること、それから、社会的な信用力が向上して資金調達や仕事の受注がしやすくなることといったメリットがあるんですが、その反対として、一人法人、一人社員の法人設立が認められないということによってこうしたメリットが享受できなくなる、こういうデメリットがあるということであります。
そこで、今回、一人法人の設立を可能とする改正案を提案させていただいております。
○本村委員 ありがとうございます。
ほかのいわゆる士業では、この社員一人の法人設立というのは認められているんでしょうか。
○奥野(総)委員 お答えをいたします。
弁護士及び社会保険労務士については、社員が一人の法人がそれぞれ法律により許容されているところであります。
また、未施行、まだ実際に施行されていませんが、第百九十八国会におきまして、司法書士及び土地家屋調査士についても、法律の改正によって一人の法人の設立が可能となっております。
○本村委員 ほかのいわゆる士業の皆様方と並びの法改正であるということだというふうに思います。
次になんですけれども、注意勧告規定が必要となる理由について、具体的にお示しをいただきたいと思います。
○國重委員 お答えいたします。
現在、一部の行政書士が、行政書士会の会則に基づく処分に対して、法律上の根拠がないことを理由に異議を申し立てる事例があるなど、行政書士会による自主的な規律の維持に支障を来す場面が生じていると承知をしております。また、行政書士が虚偽の書類を作成し、不正に在留資格の変更申請を行ったことで逮捕されたといった報道もなされているところであります。
本改正案は、このようなことを踏まえ、行政書士会による注意勧告の規定を新設することにより、行政書士会の指導権限に具体的な法的根拠を与えるものであります。これにより、行政書士会による自主的な指導を促進し、会員による違法行為の未然防止に資することが期待をされます。
○本村委員 ありがとうございます。
この点にかかわってもう一つお伺いをしたいんですけれども、会費の未払い等が問題化しているというお話をお伺いをしているんですけれども、未払いの原因は何なのかという点と、現在は未払いに対してどのような対応がとられているのかという点、お示しをいただきたいと思います。
○うえの委員 行政書士による所属行政書士会への会費の未払い問題が存在をしている、その事実は承知をしております。
会費未払いの行政書士への対応として、単位行政書士会は、会則に基づいて、訓告、会員の権利停止及び廃業の勧告を行っているところです。また、行政書士会は、監督権限を有する知事に対しまして、当該行政書士の懲戒処分の請求を行っております。しかしながら、知事は、会費の未払いは行政書士会内部の自治の問題であって行政書士会内部で是正措置するべきものとして、処分を行っていないと聞いています。
○本村委員 今回、そういう問題もあり、この注意勧告規定が必要となるということです。
これについても、ほかのいわゆる士業の皆様方と同様の規定になるのかという点も確認をさせていただきたいと思います。
○山花委員 いわゆる士業の団体で、会員の法令違反のおそれを認める場合に注意勧告を行うことができる旨の規定のある法律についてのお尋ねでございますが、現在、司法書士法、これは六十一条にございます。あと、土地家屋調査士法、これは五十六条、社会保険労務士法の第二十五条の三十三に規定がございます。
○本村委員 この点につきましても、ほかの士業の皆様方と同様の改定ということだというふうに思います。
いずれにいたしましても、行政書士の皆様方の業務あるいは行政書士会の運営上必要な内容であるというふうに思っております。ほかの業種、ほかの士業の皆様方と同じ法改正の趣旨だという点からしても、私どもも賛成をしたいというふうに思っております。
日ごろから、住民の皆様方あるいは被災者の方々への貢献にも心から敬意と感謝を申し上げまして、質問を終わらせていただきたいというふうに思います。
ありがとうございました。
○大口委員長 これにて発言は終わりました。
お諮りいたします。
行政書士法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大口委員長 起立総員。よって、そのように決しました。
なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○大口委員長 次に、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、各党間の協議の結果、細田博之君外七名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び希望の党の四派共同提案により、お手元に配付いたしておりますとおりの地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。細田博之君。
○細田(博)委員 提出者を代表して、本起草案の趣旨及び内容につきまして御説明申し上げます。
まず、本起草案の趣旨について御説明申し上げます。
我が国の総人口は、平成二十七年の国勢調査で初めて減少に転じ、この減少傾向は、今後も加速する見通しとなっております。わけても、地方の人口は山間部を中心に急激に減少しており、このままでは多くの地方自治体が消滅するとの警告も発せられております。これらの人口急減に直面している地域では、少子高齢化や地域社会の担い手の不足といった課題が生じておりますが、他方、大都市で働く若者の中には、できれば地方で豊かな人生を送りたいと希望する者も増加しております。
このような状況を踏まえ、人口急減地域において、国、地方公共団体の財政支援と制度的支援を組み合わせることで、こうした諸問題をできる限り克服し、人口のさらなる急減を抑止するとともに、豊かな地方づくり、人づくりを推進するため、本起草案を得た次第であります。
次に、本起草案の内容について御説明申し上げます。
第一に、地域人口の急減に対処して地域づくり人材を確保するため特定地域づくり事業を行おうとする事業協同組合は、申請により、当該事業協同組合の地区が、自然的経済的社会的条件から見て一体であり、地域づくり人材の確保について特に支援を行うことが必要であると認められる地区であること等の基準に適合していることにつき、都道府県知事の認定を受けることができることとしております。この認定の際、当該事業協同組合が労働者派遣事業を行おうとするものであるときは、認定基準の適合の可否を判断するに当たっては、労働者派遣法における労働者派遣事業の許可基準を参酌することとしております。
第二に、都道府県知事の認定を受けた特定地域づくり事業協同組合は、特定地域づくり事業として、地域づくり人材がその組合員の事業に従事する機会を提供するとともに、地域づくり人材の確保及び育成並びにその活躍の推進のための事業を企画し、及び実施することができることとしております。
第三に、国及び地方公共団体は、特定地域づくり事業協同組合に対し、その行う特定地域づくり事業の運営に関し、必要な情報の提供、助言、指導その他の援助を行うとともに、特定地域づくり事業協同組合の安定的な運営を確保するため、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとしております。
第四に、特定地域づくり事業協同組合は、厚生労働大臣の許可を受けなければならないとする労働者派遣法の規定にかかわらず、厚生労働大臣に届け出て、労働者派遣事業を行うことができることとしております。また、特定地域づくり事業協同組合は、労働関係法令を遵守し、労働者派遣事業の適正な実施に努めることとするほか、国及び地方公共団体は、特定地域づくり事業協同組合に対し、法令遵守及び労働者派遣事業の適正な実施のために必要な助言、指導その他の措置を講ずるものとしております。
第五に、この法律は、公布の日から起算して六カ月を経過した日から施行することとしております。
以上が、本起草案の趣旨及びその内容であります。
何とぞ速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
―――――――――――――
地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○大口委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
本件について発言を求められておりますので、これを許します。本村伸子君。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず、人口急減地域の問題について認識を伺いたいというふうに思います。
政府は、ここ二十年ほどの間に、三位一体改革による地方交付税の削減、そして、特に人口十万人未満の小規模自治体への財源保障を切り縮める段階補正の見直しなど、自治体の地域から力を奪ってきた、兵糧攻めを行ってきたというふうに思います。自治体合併などを迫られて、広域化、あるいは支所が廃止をされ、そして身近な公務で働く方々も数が減り、自治体と住民の皆様の距離が遠くなってきたというふうに思います。
最近では、日弁連の皆様方が調査をされているんですけれども、合併しなかった町村よりも、合併した町村の方が人口が減ってしまったという結果が出ております。国の誘導の弊害が出ているというふうに思います。
さらに、農林水産予算を減らし、第一次産業を軽視してきたことも大きな罪だというふうに思います。国の予算の一般歳出に占める農林水産予算の割合は、二〇〇五年の六・二%から、二〇一九年には三・九%に低下をしております。十数年前の水準に戻せば、農林水産予算を約一兆円以上は増額できるレベルでございます。そこまで農林水産予算を減らし続けてきた。これが地域を疲弊させ、食料自給率の低下を招いているというふうに思います。
そして、現在もなお、僻地医療を担う公立病院への地方交付税、特別交付税を、今も削減されているんですけれども、更に削減しようとしております。
こうした政策、地方を疲弊させ、そして地域で暮らせない状況に追い込む政策を進めてきた、その政府・自民党の責任をどういうふうに認識されておられますでしょうか。
○細田(博)委員 御指摘の三位一体改革でございますが、私は、小泉総理大臣のときの内閣官房長官で、この三位一体改革を推進した者の一人でございます。そして、そのときには、三位一体改革というのは、国庫補助負担金の廃止、縮減、そして税財源の移譲、地方交付税の一体的な見直し、この三点をすることによって、地方の予算もきっちりと自己管理できるように、そういう大きな制度改革でございました。
ただ、結果的に見ると、その翌年あたりには二兆円ほど地方交付税が減ったものですから、私どももちょっと減り過ぎじゃないかということは考えたわけでございますが、地方の一般財源総額について言えば、その後さらに、税源移譲の措置とかさまざまなことがございまして、今は四・二兆円の増、平成十五年と比較しても。だから、地方の一般財源総額について、もとに戻っているというか、それ以上の増額をしておりますし、また、公立病院に対する財政措置等についてもおおむね同水準、農林水産予算においても大体同水準で推移しておるのでございます。
ただ、なぜ人口急減地域が生じたかということを分析しますと、日本の産業構造と大きな関係があります。地方というのは、最初は、四十年前には、養蚕業もありました、織物業もありました、縫製業もありました。島根県では縫製工場がたくさんあった。ほとんど中国やその他のアジア諸国に行ってしまっている。そして、電気製品の組立てや部品の製造、そして林業。林業も、木材市況の低迷によって林業が成り立たなくなってくる。米の値段も、当時は、数十年前までは一定の価格で、まあまあ暮らせる水準でありましたが、今や、米を一ヘクタールで耕しても百万円しか収入がないというふうに、農業の面でも大変に所得が減っておる。
そういうことで、要するに、日本国全体が産業構造が変化して、京浜、中京、京阪神、北九州の工業地帯にどんどんどんどん人が出ていくと同時に、地方の産業がどんどん外国に出ていくということが人口急減の最大の要因であると我々考えております。
したがって、このままいけば、自然は壊れ、鳥獣被害はふえ、そして、お互いに暮らせなくなる消滅危惧地域は、どこかに移転するといっても、介護や医療や農林水産業やいろんなことができなくなってしまう、国土の保全もできなくなってしまう、何とかしなければならないというのが我々の問題意識でございますので、どうぞその点についても御認識をいただきたいと思っております。
以上であります。
○本村委員 私の地元でも、愛知県あるいは岐阜県ですけれども、僻地医療を担っていた公立病院、病院機能、ベッドもあったんですけれども、それが診療所化する。その背景には、地方交付税の削減、あるいは特別交付税の削減があるわけです。こういう、地域で住めなくなるような政策は、ぜひやめていただきたいというふうに思います。
そして、きょうも、国内農産物の生産額が最大一千百億円減少するという日米貿易協定、これが衆議院の本会議で強行されましたけれども、根本的には、地域から仕事を奪っている、こういう政策を反省していただき、それを転換していくことこそ必要だというふうに思います。
こういう、自民党の皆さん、政府の皆さんが進めてきた政策、追い詰められながらも、小規模自治体の皆様方は、住民の皆さんと一緒に工夫を重ねて、住み続けられる地域づくりに尽力をされてきたわけでございます。
人口急減の地域における雇用の問題、大変切実ですけれども、この法案では、働く人にとって十分な労働者保護の保障があるのかという点で懸念を抱かざるを得ないというふうに思っております。
特定地域づくり事業協同組合の認定について伺いたいというふうに思います。
認定の基準に、「職員の就業条件に十分に配慮されていると認められること。」とありますけれども、配慮されていると判断する基準、具体的にどのような条件をクリアすれば配慮されているということになるのか、お示しをいただきたいと思います。
○木村(次)委員 お答えいたします。
委員お尋ねの、就業条件に十分に配慮されていると判断する基準、具体的な条件とは、一定の給与水準が確保されていること、社会保険、労働保険に適正に加入していること、教育訓練、職員相談の体制が整備されていることなどを指すものであります。
その認定の基準については、具体的な数値で定められるものではございませんが、組合の活動地区内の他の事業者の給与水準等の就業条件を踏まえつつ、都道府県知事において判断されることになります。
○本村委員 外国人技能実習生の問題でも、日本人と同等なんだというふうに法律上書いてあるんですけれども、そうなっていない現実があるわけでございまして、賃金の問題でも、しっかりと確保するという担保があるんでしょうか。
○木村(次)委員 お答えいたします。
委員お尋ねの、特定地域づくり事業を確実に遂行するに足る経理的及び技術的な基礎だと思いますが、の部分でございます。
実現可能性の高い妥当な事業計画、収支計画等が作成されていること、公費支援を含め、地域づくり人材に確実に労働に見合った賃金を支払う見通しがあること、事業を行うに必要な人員体制が整っていることなどを指すものであります。
当該組合が労働者派遣事業を行おうとするものであるときは、その認定に当たっては、労働者派遣法による労働者派遣事業の許可基準を参酌するものとしていることから、都道府県知事は、これらを参酌しつつ、組合が経理的及び技術的な基礎を有するかどうかを判断することとなります。
○本村委員 この法案ができれば、継続雇用で、派遣でも二十万、三十万もらえるんだ、社会保険もつくというふうに与党の方がおっしゃっていたのを耳にしたわけですけれども、当然、そのためには、組合に十分な資力がなければ労働者の待遇も保障されないわけでございます。
特定地域づくり事業を確実に遂行するに足りる経理的及び技術的な基礎を有すると判断する基準は何か、お示しをいただきたいと思います。
○木村(次)委員 お答えいたします。
今申し上げたとおりでございますが、経理的及び技術的な基礎とは、実現可能性の高い妥当な事業計画、収支計画等が作成されていること、公費支援を含め、地域づくり人材に確実に労働に見合った賃金を支払う見通しがあること、事業を行うに必要な人員体制が整っていることなどを指すものであります。
当該組合が労働者派遣事業を行おうとするものであるときは、その認定に当たっては、労働者派遣法による労働者派遣事業の許可基準を参酌するものとしていることから、都道府県知事は、これらを参酌しつつ、組合が経理的及び技術的な基礎を有するかどうかを判断することとなります。
○本村委員 組合の資力が十分かどうかというのは、事実上、都道府県知事の判断に委ねられているということになっていると思うんですけれども、認定権者ごとに異なる基準となることも考えられるわけで、本当に安定的な雇用を継続する十分な状況なのか、適切に判断基準が設定されているかどうかが客観的にわかりにくい仕組みだというふうに思います。
組合が行う派遣事業の対象となる地域についてなんですけれども、地区を含む市町村内というふうにしているんですけれども、例えば私の地元、愛知県の豊田市でいいますと、名古屋市の三倍の広さがございます。人口減地域とそして都市部、市街地の地域を両方含んで、工業地帯もあるわけですけれども、同一市町村内で支援が必要がない地域への派遣を行うなど、制度の悪用をどう防止するのか、お示しをいただきたいと思います。
○奥野(総)委員 お答えをいたします。
特定地域づくり事業協同組合の活動地区は、いわゆる人口急減地域内にあることは当然の前提であります。本法案においては、就業先の確保を図る観点から、組合の活動地区を含む同一市町村内であれば職員の派遣を許容しています。十九条で許容していますけれども、あくまでも、本法案の目的は、人口急減地域における地域社会の維持及び地域経済の活性化であります。
そこで、本法案におきましては、都道府県知事が、組合がその職員を地区外に派遣する場合の地域の限定又は利用分量の総額の制限その他必要な条件を付すことができるとしており、これによって、御懸念のような都市部への派遣を制限できることとなっております。
なお、その付された条件に違反した場合には、都道府県知事が組合に対して改善命令、適合命令、事業停止命令、認定の取消し等ができることとなっておりますので、そうした御懸念には及ばないと申し上げておきます。
○本村委員 改めて、再度確認なんですけれども、特定地域づくり組合の認定の段階において悪質な事業者をどう排除するのかという点で、形式的な条件がそろえば認定せざるを得なくなるような、そういうおそれはないのか、お示しをいただきたいと思います。
○國重委員 お答えいたします。
本法案における組合の認定基準は、必ずしも形式的な条件ではございません。
具体的には、例えば、第三条第三項第二号イにおいては、特定地域づくり事業の実施計画が適当であること及び組合の職員の就業条件に十分に配慮されていると認められることが求められ、同項第三号においては、特定地域づくり事業を確実に遂行できる経理的、技術的基礎として、実現可能性の高い妥当な事業計画、収支計画等が作成されていること、公費支援を含め、地域づくり人材に確実に労働に見合った賃金を支払う見通しがあること等が求められ、さらに、同項第四号においては、組合、関係事業者団体及び市町村間の連携協力体制の確保が求められております。
以上のような基準について実質的な審査を行うことにより、悪質業者を排除できるものと考えております。
このほか、組合の事業の適正性を確保するため、都道府県知事は組合に対して、改善命令、適合命令、事業停止命令、認定の取消しができることとしておりまして、こういった点でも悪質業者を排除することが担保されていると言えます。
○本村委員 認定取消しや事業廃止など、何らかの理由で組合が派遣事業を続けられなくなった場合、雇用される労働者の処遇はどうなるでしょうか。
○井上(一)委員 お答え申し上げます。
特定地域づくり事業協同組合の認定に当たりましては、一つ、特定地域づくり事業の実施計画が適当であること、二つとして、特定地域づくり事業を確実に遂行できる経理的基礎を有すること、三つ目として、市町村、関係事業者団体との連携協力体制が確保されていることが要件とされているため、活動地区内で確保可能な就業先、見込まれる組合の収入額等に照らし、事業を安定的かつ継続的に実施していくことが可能であると考えております。
万が一、組合が事業を続けられなくなったときは、職員の処遇について、組合、市町村及び関係事業者が十分協議の上、適切な措置が講じられるものと考えております。
以上です。
○本村委員 時間がないので次に申し上げたいんですけれども、派遣先事業者に現に直接雇用されている労働者を派遣に置きかえることを防止する規定はございますでしょうか。
○務台委員 御指摘の趣旨の規定は、労働者派遣法にございます。派遣法の四十条の九では、派遣先が、当該派遣先を離職した者を離職後一年以内に派遣労働者として受け入れることを禁じております。この規定は組合に対しても適用されるため、組合が、組合員である事業者を離職した者を組合の職員として採用した上で、離職後一年以内に当該事業者に派遣することはできないことになります。
したがって、委員御懸念のような、いわゆる労働者の置きかえは生じないというふうに考えております。
○本村委員 この法案にはないわけでございます。
七番目ですけれども、中間搾取のおそれはないという説明も受けているんですけれども、一般的な派遣事業者に係る規制のほかに、搾取防止のための規定が設けられておりますでしょうか。
○國重委員 お答えいたします。
本法案においては、組合の認定基準として、当該事業協同組合の職員の就業条件に十分に配慮されていることが求められており、組合としては、一定の給与水準を確保すること等により、それを満たすことが必要になります。そのため、委員御懸念のような事例は想定しがたいと考えております。
なお、委員御懸念のような事例が見受けられる場合には、認定要件を満たさないものとして、組合の認定が取り消されることもあり得ます。
以上です。
○本村委員 もう終わりになりましたけれども、人口急減地域で安定した雇用を確保するには、農林水産業など地域に根差した産業に、所得補償など抜本的な支援を行うことが重要です。
しかし、この法案は、そうした支援が不十分なまま、地域の事業者が共同で行う派遣事業に補助金をつけるものです。派遣先は、仕事がなくなれば、あるいは人が気に入らないということになれば、いつでも受入れをやめることができ、公的補助があっても、直ちに労働者の仕事や安定的な収入が確保されるとは限りません。
地域支援のあり方は、地域おこし協力隊など、地方で頑張る若者が公的支援終了後も主体的に活動が続けられるよう、地方自治体やあるいは地域協議会など、地域全体で見渡す力を持った公益的な主体とともに、ボトムアップで検討するべきだというふうに思います。
本法案に反対の立場を表明し、発言を終わらせていただきます。
○大口委員長 これにて発言は終わりました。
お諮りいたします。
地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大口委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○大口委員長 この際、細田博之君外七名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム、公明党及び希望の党の四派共同提案による地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。高井崇志君。
○高井委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を説明申し上げます。
案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。
地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する件(案)
政府及び地方公共団体は、「地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律」の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。
一 都道府県知事が特定地域づくり事業協同組合を認定するに当たっては、「地域社会の維持が著しく困難となるおそれが生じる程度にまで人口が急激に減少した状況」にあり、かつ「地域づくり人材の確保について特に支援を行うことが必要であると認められる地区」との要件を十分に踏まえ、真に地域づくり人材の不足している地区においてのみ認定・設立されることとなるよう、過疎地域の基準その他の定量的な基準を参考にすることを含め、必要な措置を講ずること。
二 特定地域づくり事業協同組合がその職員となる無期雇用派遣労働者を募集・採用するに当たっては、できる限り当該人口急減地区外の人材の移住や定住が促進されるよう、必要な各種施策を講ずること。また、組合員である事業主が、既に雇用している従業員を安易に解雇して事業協同組合の職員として就労させることのないよう指導すること。
三 特定地域づくり事業協同組合の職員が地域づくり人材として特定地域づくり事業に従事しつつ適切に将来のキャリア形成を図ることの重要性に鑑み、特定地域づくり事業協同組合において、職員本人の希望に適合する就業の機会の確保のための配慮、特定の事業に従事する期間の確保、必要な教育訓練・キャリアコンサルティングの実施等の取組が行われるよう、所要の措置を講ずること。
四 特定地域づくり事業協同組合の認定に当たっては、労働者派遣事業の運営に関して十分な専門性及び人的体制が確保されていることを確認するとともに、そのために必要な措置及び支援策を講ずること。
五 特定地域づくり事業協同組合が、教育訓練・キャリアコンサルティングの実施その他の労働者派遣法において義務付けられている業務の一部を第三者に委託する場合には、本来、当該組合が責任を持って同法上の義務を果たすべきものであることに鑑み、これらの委託した業務が職員の能力向上及びキャリア形成に資するよう適切に管理・運用されるよう必要な措置を講ずること。
六 政府及び地方公共団体は、特定地域づくり事業協同組合に対し、労働条件の明示、時間外労働の制限、派遣労働者の直接雇用の推進、教育訓練の実施その他の労働者の保護に関する法制度について、十分な情報提供を行うこと。
七 特定地域づくり事業協同組合がその職員を採用するに当たっては、組合の事業計画の内容、組合員の行う事業に係る業務又は事務の内容、想定される派遣先の業務又は事務の内容、待遇等について、その者に対し十分な事前説明が行われるよう適切に指導すること。
八 特定地域づくり事業協同組合がその組合員として新たな事業者を加入させようとする場合には、事前に職員の意見を聴取すること等の職員の理解を得るための措置が講じられるよう、適切に対処すること。
九 特定地域づくり事業協同組合が雇用する職員の雇用の継続、従事する業務の内容、労働条件等に重大な影響を及ぼす程度に事業内容を変更しようとする場合には、職員に対し、事前に十分な説明を行い、理解と同意を得るよう指導すること。この場合において、都道府県知事は、新たな事業計画を受理する際には、特定地域づくり事業協同組合がその職員に対し事前に十分な説明を行うべきことを指導すること。
十 特定地域づくり事業協同組合の職員が従事する特定地域づくり事業は、地区によってはその内容が多種多業にわたる可能性があることから、特定地域づくり事業協同組合が職員の労働安全衛生の確保に特に注意を払い、事前の労働安全衛生教育の実施など組合員とも連携して十分な安全対策がなされるよう必要な措置を講ずること。
十一 人口急減地域において特定地域づくり事業協同組合の職員が安心して働き、扶養する家族を含めて安心して生活を営むことができるよう、当該地域における適正な水準の給与及び手当等の確保その他の適切な労働・生活環境が確保されるよう必要な措置を講ずること。
十二 特定地域づくり事業協同組合が、その職員を派遣する場合、安定的かつ継続的に就業先の提供を行うことができるよう、関係事業者団体との間の情報の共有の促進その他必要な措置を講ずること。また、事業協同組合が新たな就業機会を提供できない場合であっても、職員の雇用及び賃金の支払の維持を図るための措置、休業手当の支払等の労働関係法令に基づく雇用者責任を適切に果たすことができるための知識の普及その他必要な措置を講ずること。
十三 特定地域づくり事業協同組合において、新たな就業機会を提供できないことのみを理由としてその職員を解雇した場合、その職員の就業条件に十分に配慮していない場合など、不適切な行為が認められた場合には、業務改善命令その他所要の措置を講ずること。また、特定地域づくり事業協同組合において、労働者派遣法その他の労働関係法令違反が認められた場合には、労働者派遣法に基づいて事業廃止命令その他所要の措置を講ずるとともに、事業廃止命令を受けた特定地域づくり事業協同組合については速やかにその認定を取り消すなど適切に対処すること。
十四 地方公共団体の任命権者は、その職員である一般職の地方公務員が公務外で特定地域づくり事業に従事する場合においては、当該職員の自主性を損なうことのないよう配慮しなければならないこと。
右決議する。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○大口委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○大口委員長 起立総員。よって、本動議のとおり、地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する件を本委員会の決議とするに決しました。
この際、総務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。高市総務大臣。
○高市国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、その御趣旨を十分に尊重してまいります。
○大口委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。