もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2020年 1月 28日 第201国会 総務委員会

地方税法等改定案 財源を「先食い」を批判/愛知・東栄医療センターの透析守れ

しんぶん赤旗 2020年1月30日

地方財源を「先食い」/本村氏、交付税法改定に反対/衆院総務委

 日本共産党の本村伸子議員は28日の衆院総務委員会で、地方交付税法改定案について、2019年度の地方交付税総額の不足分を補てんするため、21年度以降の地方財源を「先食い」するものだと批判し、反対を表明しました。
 改定案は、2019年度の国税収入の減額に伴って生じた地方交付税総額の不足分を一般会計から補てんするものです。
 本村氏は、補てん全額が21年度以降10年間の地方交付税総額から減額されると指摘し、「今回の補てん策は、地方財源の先食いだ」と批判。「財源不足を助長し、臨時財政対策債の増発が求められることになるのではないか」とただしました。
 高市早苗総務相は「将来の地方財政の影響をふまえてできる限りの対応を行った」などと述べるだけ。本村氏は「なぜ国の責任での補てんとしなかったのか」と質問。09年当時の総務相が「先食いを上回る法定加算等を求める」と答弁したことに触れ、「財源を増やすために法定率を抜本的に引き上げるべきだ」と強く求めました。
 質疑後に一部改定案の採決が行われ、日本共産党以外の賛成多数で可決されました。本村氏は反対討論で「国の責任を放棄し、地方に負担を押し付ける法案には反対だ」と訴えました。



しんぶん赤旗 2020年2月1日

愛知・東栄医療センターの透析/本村氏「存続へ国が支援を」/総務相「財政措置を拡充する」/衆院総務委

 日本共産党の本村伸子議員は28日の衆院総務委員会で、人工透析が中止の危機にある東栄医療センター(愛知県東栄町)の問題を取り上げ、地域医療を守るための国の財政措置強化を求めました。
 静岡県との県境に近い同センターでは、スタッフ不足を理由に人工透析が3月末で中止されようとしています。東栄町では「人工透析を守って」と人口の3分の1を超える署名が集まるなど切実な声が広がっています。
 本村氏は「県がまたがるところであり、国が強力な支援を」と要求。2020年度に予定される不採算地区の病院(100床未満)の特別交付税措置の拡充は、有床診療所も対象かとただしました。
 高市早苗総務相は「診療所も合わせて(財政措置を)拡充する」と答弁。非常勤医師への費用弁償や医師派遣に関わる経費も特別交付税措置を講じてきたと述べ、「地方団体の要望をふまえ適切に対応したい」と答えました。
 また、20年度創設予定の基準財政需要額の算定項目に入る「地域社会再生事業費」(仮称)や、厚労省の国民健康保険直営診療施設に対する助成制度、地域医療介護総合確保基金などが、地域の医療従事者確保などに活用できると認めました。
 本村氏は「県境、へき地の地域医療を守るため、もっと医療従事者確保のための支援を増やすべきだ。国が責任を果たしてほしい」と重ねて強く求めました。

 

議事録

201-衆-総務委員会-1号 2020年1月28日

○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。
 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず、緊急事態の地域医療の問題について伺いたいというふうに思います。
 私の地元でございます愛知県、そして岐阜県始め各地に、県境で頑張っている病院、診療所がございます。私がお話を伺ったのは、愛知県では東栄医療センターの問題、愛知県の皆様、そして静岡の皆様が受診をされておられます。そして、岐阜県では坂下診療所、岐阜県の皆様と長野県の皆様が受診をされておられます。
 両診療所とも、ここ数年の間に、病院であったものが、ベッドがどんどん減らされて、そして診療所となって、地域の皆様の大変不安な思いが広がっております。地域の皆様にとって欠かせない医療機関でございます。命綱でございます。
 まず、高市総務大臣にお伺いをいたしますけれども、以前、野田大臣に質問をしたときに、こうした県境の地域医療を守る決意を伺いましたら、取り組んでまいりますという御答弁をいただきました。高市大臣も、県境そして僻地の医療を守る、その決意をお聞かせいただきたいと思います。

○高市国務大臣 特に公立病院や公立診療所は、民間医療機関の立地が困難である僻地における医療を提供する重要な役割を担っていただいております。
 総務省としましては、このような不採算医療の提供などに要する経費について必要な地方交付税措置を講じています。
 これからも、患者数の減少や医師不足など経営条件の厳しい地域において、地域医療構想を踏まえながら、公立病院などが適切に役割を果たして、持続可能な医療提供体制が確保されますように、地方公共団体の御意見も伺い、また、関係省庁とも連携しながら取り組んでまいります。

○本村委員 ぜひ守っていただきたいんですけれども。
 愛知県の東栄町にございます東栄医療センターの人工透析が三月末でなくなってしまう危機がございます。また、ベッドもなくなってしまうのではないか、こういう危機があり、緊急事態でございます。
 東栄医療センターは、愛知県と静岡県の県境の地域にある、ベッドが十九床の診療所でございます。もともとは東栄病院でしたけれども、二〇一九年四月からベッドのある診療所になってしまいました。人工透析をやっておりまして、北設楽郡東栄町、設楽町そして豊根村の方々や、浜松市の天竜区の水窪あるいは佐久間の方々が通い、人工透析には静岡県側の患者さんの方が多かったわけでございます。
 人工透析は一日置きに通わなければなりません。そして、一日四時間から五時間人工透析をしなければならず、命を守るために物すごい御苦労をされているわけでございます。もしこの人工透析を東栄医療センターでできなくなってしまったら、往復二時間以上もかけて別のところに行かなければならない患者さんも出てまいります。そして、患者の皆様の高齢化のことも考えていかなければなりません。人工透析後は、体調不良、倦怠感、血圧の低下、足のけいれんなど、個人差はありますけれども、車の運転も危険な状況になるわけでございます。
 患者団体の皆様方も、北設楽郡内で唯一の透析施設なんだ、透析室は命綱だ、閉鎖されれば遠距離の施設まで通わなければならず負担ははかり知れない、人工透析を守ってほしいと、東栄町にも、そして愛知県知事にも要請に行かれているほど切実な問題でございます。そして、守ってほしいという署名も、東栄町の人口の三分の一の方が署名をされていて、今も広がっております。
 人工透析をやめる理由として、スタッフが足りないという理由でございますけれども、医療従事者が確保されなければ医療が確保できないということになってまいります。県と県をまたがるところですから、当然、国が強力に支援をしなければいけないというふうに思います。
 東栄町が医療従事者を確保し、そして地域医療を守ることができる支援がなされるかということを続いて質疑させていただきたいというふうに思っております。
 まず、特別交付税ですけれども、来年度の地方財政対策の中で、不採算地区の病院、百床未満について、経営状況等を踏まえ、特に病床数が少ない病院を中心に特別交付税措置を拡充というふうになっております。
 東栄町の方に、私ども日本共産党の議員が、東栄医療センターにも財政措置されるのではないかというふうに言いますと、東栄町は、病院と書いてあるからと、使えると思っていなかったそうです。
 ただ、東栄医療センターは有床の診療所でございますから、この拡充、当然、東栄医療センターも財政措置されますねという点が一点目。
 また、財政措置されるということであれば、そのようなことを関係自治体にしっかりと広報するべきだという点が二点目。
 そして、三点目ですけれども、医師の確保の特別交付税もあるわけで、医師確保のための専任の人員を置けるようにすることですとか、あるいは、医師確保の情報収集のためのお金、通信費、何度も大学病院や大きな病院に行ったりして医師を確保するための出張経費などのそうした財政保障、あるいは、来てくれるお医者さんが医師としてキャリアを積めるような研修保障、そのための代替医師の確保とか派遣とか、仕事と家庭の両立支援など、総合的な医師確保策ができるように、自治体がそうしたことができるように、特別交付税で財政措置するべきだというふうに思いますけれども、この三点、まとめて御答弁いただきたいと思います。大臣、お願いします。

○高市国務大臣 不採算地区病院に対する特別交付税措置につきましては、特に病床数が少ない病院を中心に措置を拡充することとしておりますが、本村委員御指摘の診療所の話でございますが、公立病院の財政措置に準じて措置を講じている診療所の特別交付税措置もあわせて拡充することとしております。
 これらの財政措置の見直しについての啓発、周知が足りないというお話でございましたが、地方団体向けに行われる説明会やヒアリングなどを通してしっかりと周知をしてまいります。
 また、非常勤医師への費用弁償や医師派遣元病院への支払い経費など、医師派遣に係る経費について、これまでも特別交付税措置を講じてきております。例えば病院内の保育所など、子育て中の医師が働きやすい環境づくりにも措置がなされております。
 これからも、地方団体の御要望などを踏まえながら、適切に対応してまいります。

○本村委員 今回の特別交付税の拡充の財源、そして、東栄医療センターにも使えるということ、また、医師確保の特別交付税も使えるということを確認させていただきました。
 次の財源なんですけれども、来年度創設される予定の地域社会再生事業費、仮称ですけれども、この問題について質問をさせていただきたいと思います。
 新たに基準財政需要額の算定項目に入れる地域社会の維持、再生に必要となる取組に要する経費を算定するということで、都道府県分二千百億円、市町村分二千百億円。人口減少ですとか、人口が集中していない地区、人口密度四千人未満など、こういった指標で算定するということですけれども、当然ながらこの東栄町も見込んでいいですねということと、地域社会の維持、再生には医療従事者確保は必要ですから、当然ながらそういうところにも使えるというふうに見込んでよろしいでしょうか。

○内藤政府参考人 お答え申し上げます。
 地域社会再生事業費でございますけれども、地方法人課税の偏在是正措置によりまして生じる財源を活用して、地方団体が地域社会の維持、再生に向けた幅広い施策について自主的、主体的に取り組むための経費を計上するものでありまして、各地方団体の交付税の基準財政需要額に算入するものでございます。
 地域社会再生事業費でございますけれども、地方単独事業でございまして、財源も一般財源でございますので、使途が縛られるものではございません。それぞれの地域の実情を踏まえながら、御指摘のような取組を含め、各地方団体において、地域社会の維持、再生に向けたさまざまな取組を積極的に展開していただくことを期待しているところでございます。

○本村委員 確認させていただきました。
 次の財源は、厚生労働省の保険局の助成制度の関係なんですけれども、国民健康保険の直営診療施設に対する助成の制度でございます。
 これは東栄医療センターも当然使えますねということと、私たちも愛知県にこの制度をお知らせに行きましたけれども、東栄町では急遽申請するということで、東栄町の職員の方が、申請が通るかどうか大変不安に思っているということでございました。
 有床の診療所になって初めての申請ですから、ぜひ丁寧に、東栄町が申請できるように、困難を抱えた県境の僻地の医療が守られるように、しっかりと援助、そして補助するべきだと思いますけれども、きょうは副大臣に来ていただきました。よろしくお願いしたいと思います。

○橋本副大臣 お答えをいたします。
 今お尋ねをいただきました東栄医療センターは、お話しいただきましたように、国民健康保険直営診療施設、こういうことになっております。
 これはもともと、民間の医療機関の進出が期待できない地域や医療機関の整備が不十分な地域などにおいて、国保被保険者への保険給付を確保するため保険者が設置、運営を行うものということでございまして、こうした施設に対しましては、施設設備整備のほか、僻地運営費として、僻地に所在する国保直営診療所の不可避的な運営赤字に対し一定額の助成を行う、こういう仕組みでございます。
 その東栄医療センターにつきましては、今お話しいただきましたように、まだ申請をいただいていない状況ということではありますけれども、保険者からの申請が県を通して出てきた場合には、助成に当たっての要件がございます。これは全国で一定の基準によって補助をするということが決まっておりますので、その要件の確認をさせていただいた上で、それに応じて適切に対処してまいりたい、このように考えているところでございます。

○本村委員 しっかりと援助をしていただけるんでしょうか。

○橋本副大臣 お答えをいたします。
 この僻地運営費というものの要件というものは、一種僻地、二種僻地ということで、それぞれ決まっております。そのいずれかに該当するかということを、申請を受けて私どもの方で確認をさせていただく必要がございます。それに当たるかどうかということによって適切に対処させていただく、このように申し上げたところでございます。

○本村委員 ぜひ、困難を抱えた県境の僻地医療が守られるように、しっかりと援助、補助するべきだというふうに思います。二種だというふうに聞いておりますので、ぜひ丁寧な対応をしていただきたいというふうに思います。副大臣、お願いしたいと思います。

○橋本副大臣 この件につきまして、たびたびのお申出でございます。実を申しますと、その申請の期限というものがあったりいたしますが、御相談をいただいていることでもございますので、その申請をいただいて対応をするということにつきましては、しっかりさせていただきたいと思っております。

○本村委員 ありがとうございます。
 次に、地域医療介護総合確保基金の問題でございます。
 地域医療介護確保基金で、使い道は、これまで三つ使い道がございました。一つは病院再編統合に使うお金、二つは在宅医療に使うお金、三つは医療従事者確保のために使うお金ということで、来年度は医療従事者の働き方改革ということもございます。
 愛知県と岐阜県に私、お話を伺いに行きますと、この三つ目の医療従事者確保のところに使えるお金をもっとふやしてほしいという御要望をお伺いをいたしました。
 来年度は、二つ目と三つ目で二十七億円ふえるということですけれども、二十七億円ですと一都道府県当たり五千万円くらいになってしまうので、もっとふやすべきだというふうに思いますけれども、それでも、この増額分を東栄医療センターに使えるのであれば、東栄町の医療従事者確保のために随分助かるわけでございます。
 東栄医療センターも、愛知県が計画を出せば、この財源、使えますよね。副大臣、お願いしたいと思います。

○橋本副大臣 お答えをいたします。
 まず、一般論といたしまして、その地域における医療提供体制の確保というものについては、医療計画の策定を行う都道府県が主体的に整備するものでございますので、個別の医療機関に係る取組につきましては、都道府県において、この場合は愛知県においてということになりますが、御検討をいただくべきものというふうに考えております。
 その中で、今お話をいただきました都道府県における医療従事者等の確保対策に対する必要な経費について、地域医療介護総合確保基金において支援を行っているというのも御指摘のとおりでございますので、それは、県を通じてそうした御申請をいただければ、それをきちんと拝見をして対応する、こういうことになろうと考えております。
 今後とも、厚生労働省といたしましては、都道府県、市町村とも連携をしながら、地域における医療従事者の確保、まあ、雇用ですけれども、これが実施できるように、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

○本村委員 五つの財源の活用を始め、ぜひ、県境、僻地の医療機関が担っている地域医療を守るために、もっと医療従事者確保のためにお金をふやすべきだというふうに思います。
 人工透析で御苦労されている患者さんが今よりも困難になるようなことがないように、そして自治体が諦めることがないように、国としても真剣に支援を考えるべきだというふうに思います。総務省、そして厚生労働省を始め、国が責任を果たしていただくことを強く求めておきたいというふうに思います。
 続いて、今回の法改正の問題ですけれども、今回、先ほども御議論がありましたように、二〇一九年度の国税の収入が見込みよりも減額したことに伴って、地方交付税法定率分を六千四百九十六億円減額し、二〇二一年度以降十年かけて、毎年六百五十億円地方財源を減額していくというふうに言っております。
 二〇一九年度の地方財政対策において、石田前総務大臣は、当時、最大の課題として、一般財源総額の確保、その中でも地方交付税の総額の確保、臨時財政対策債の抑制と挙げて、一般財源総額を確保する中で、地方交付税総額を〇・二兆円増の十六・二兆円確保するとともに、臨時財政対策債を〇・七兆円減の三・三兆円と大幅に抑制することができたと評価を語っておりました。
 今回の補填策というのは、地方の財源の先食いだと言わざるを得ません。財源不足を助長し、そして臨時財政対策債の増発が求められることになるのではないか。結果、石田大臣が言われたことに対して方向転換してしまっているのではないかと思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

○高市国務大臣 今回、国税が減額補正されたことに伴いまして、本村委員おっしゃいましたとおり、地方交付税総額が六千四百九十六億円減少することとなります。
 この地方交付税の当初予算額の大部分は既に地方団体に交付してしまっていることから、地方団体の財政運営に支障が生じないよう、全額を国の一般会計から加算して補填することとしています。
 今回の補填の方法は、もう既に内藤自治財政局長が答弁をいたしましたので割愛いたしますが、この精算の方法につきましては、来年度の地方交付税総額を確保する観点から、令和三年度から精算を開始するということとして、また、各年度の地方交付税総額への影響をできる限り緩和する観点から、十年間に分割して行うということにいたしました。
 このように、将来の地方財政への影響も踏まえて、できる限りの対応を行ったものでございます。石田大臣の方針から大きく転換したということではないと存じます。
 毎年の地方財政対策において、地方交付税も含めた一般財源総額を確保するということとともに、臨時財政対策債を抑制できるように懸命に努めてまいりたいと存じます。

○本村委員 なぜ国の責任での補填としなかったのかという疑問が残るわけですけれども、二〇〇九年、鳩山大臣の当時に、先食いを上回る法定加算等を求めると答弁したこともございまして、財源をふやすために法定率を抜本的に引き上げるべきだということも強く求めておきたいというふうに思います。
 そして最後に、事務次官の情報漏えいの問題について一問質問をさせていただきたいというふうに思います。
 総務事務次官と日本郵政の上級副社長との関係をしっかりと総括していく必要があるというふうに思っております。ふだんから前次官と情報交換をしていたと上級副社長は言っておりますけれども、過去の分もしっかりと調査する必要があるんじゃないでしょうか。

○大口委員長 本村委員、ちょっと時間が経過しております。

○本村委員 日本郵政は調べると言っていますけれども、総務大臣、総務省も、過去の分、調べるべきじゃないでしょうか。

○大口委員長 時間がもう来ておりますので。(本村委員「最後に答弁をお願いします」と呼ぶ)
 じゃ、簡潔に。

○高市国務大臣 今回は疑念が生じましたから内部監察を行い、本人もそれを認めました。で、情報漏えいの事実が明らかになりました。
 過去のものについて、今特に疑念が生じていることはございませんので、調査の予定はございません。

○本村委員 ぜひ、この問題で集中審議を強く求め、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○大口委員長 これより討論に入ります。
 討論の申出がありますので、これを許します。本村伸子君。

○本村委員 私は、日本共産党を代表し、地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改定する法律案に対し、反対の討論を行います。
 国税収入の減額補正によって地方交付税の総額に不足分が生じることに対し、一般会計から補填することは当然です。しかし、そのやり方が問題です。
 本法案は、地方交付税の総額の減少額六千四百九十六億円について、一般会計からその全額を補填する形をとっていますが、その補填全額は二〇二一年度以降の十年間、地方交付税総額から減額することになります。いわば地方交付税の先食いです。
 既に地方交付税総額は、二〇〇八年度、二〇〇九年度、二〇一六年度の措置により、毎年度減額されています。二〇二一年度は更に六百五十億円が加わり、減額は三千四億円にも年間膨れ上がります。
 地方交付税法は、毎年度分の交付すべき交付税総額の見積りは総務大臣の権限と責任にあること、地方財政計画の作成等が内閣の義務であることを規定しています。この法律の趣旨からも、地方財政計画で年度当初に見込んだ交付税の総額は国の責任で確保するべきです。
 国の責任を放棄し、地方に負担を押しつける本法案には反対であることを申し述べ、討論といたします。

○大口委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○大口委員長 これより採決に入ります。
 地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○大口委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大口委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

すべて表示

© 2010 - 2024 もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)