しんぶん赤旗 2020年2月15日
かんぽ/情報共有も改善せず/顧客の声届く組織に/本村氏
日本共産党の本村伸子議員は13日の衆院総務委員会で、株式会社かんぽ生命保険の不正販売が明確になる前から同社内で不正が疑われる情報を共有しながら改善されなかった問題を追及しました。
同社の不正販売については、2019年末に総務省と金融庁が業務改善命令を出しています。
本村氏は、18年5月から月1回開かれた同社内の「募集品質支店Web会議」で保険料二重払いや高齢者の苦情件数などの統計データが配布されていたとする報道にふれ、不正販売の実態を幹部も把握していたのではないかと指摘。19年4月に同社株を売りだしたことをあげ、「不正販売を組織としてつかみながら、説明せずに株を売るなら、市場への裏切り行為だ」と強調しました。
日本郵政株式会社の加藤進康常務執行役は「会議でデータを提供することは幹部も知っていた」と述べましたが、増田寛也社長は経営陣が不正を認識したのは「19年6月下旬だった」と発言。本村氏は「組織として把握していなかったような答弁。これで本当に変わるのか」と批判しました。かんぽ生命が苦情範囲を見直し件数を少なくみせようとしてきたこともあげ、「お客さまや現場で働く人の声が政策決定に生かされる組織になるべきだ」と強調しました。
また本村氏の質疑で、高市早苗総務相はかんぽ不正販売の発生時期について「私には分かりません」と答弁。本村氏は、不正販売が深刻になった背景を総務省が分析していないことに対し「監督官庁の責任を果たしていない」と批判し、検証を求めました。
議事録
201-衆-総務委員会-3号 2020年2月13日
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。
どうぞよろしくお願いを申し上げます。
きょうは、通告とは少し順番が違うんですけれども、かんぽ不正の問題について、まず伺いたいというふうに思います。通告でいうと九番目ぐらいに通告したというふうに思いますけれども、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
高市大臣は、今回のかんぽ不正の問題は、いつくらいから発生していると認識をされておりますでしょうか。
○高市国務大臣 昨年の六月十三日に、日本郵便株式会社から、顧客に不利益な可能性のある乗りかえ契約が多数発生しているという報告を受けて、石田前総務大臣が不適切な乗りかえ問題を初めて認識されたと伺っております。
それを受けて、総務省としては、この事案を重大な問題として捉えまして、日本郵政グループに対して、適時報告を求め、行政指導を行うなどの対応を行ってまいりました。
○本村委員 お伺いをしたのは、今回のかんぽ不正の問題がいつぐらいから発生したかということですけれども、お答えをいただきたいと思います。
○高市国務大臣 それは、私にはわかりません。
○本村委員 二〇一四年の二月の日本郵政グループ中期経営計画の発表あたりから、このときに新規契約月額保険料五百億円という数字が出まして、このあたりが一つの契機となったというふうに思われるんですけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。
○高市国務大臣 それは本当に私にはわかりかねます。
きょうは、日本郵政グループの幹部の皆様もおいでですので、そちらに聞いていただいた方がいいかと存じます。済みません。
○本村委員 これは通告をしているんですけれども、総務省として、それは分析していないということでしょうか。
○高市国務大臣 先ほど答弁申し上げたとおり、石田前大臣が初めて認識されたのが昨年だということでございます。
○本村委員 この調査報告書の中でも、二〇一四年度から調査をされているわけですので、大臣の御認識がちょっと問われるわけですけれども、なぜ総務省が、二〇一九年六月まで、現場を変えるような、法に基づく報告徴求命令などの指導監督ができなかったのかというのが私の非常に疑問なわけでございます。
なぜ、かんぽ不正の問題が何年間も見逃されてきたのか。これについて、大臣、どういうふうにお考えでしょうか。
○高市国務大臣 なぜかはわかりませんが、総務省として本事案を初めて認識したのは昨年六月ということで、それ以降は、適時報告を求め、行政指導を行うなど、適切に対応してきたと考えております。
それから、私がその後九月に就任をいたしましたが、日本郵政グループのガバナンス体制には、経営陣を含む情報共有体制などに大きな問題があったと考えておりました。それで、昨年十二月二十七日に行った行政処分の中でも、日本郵政株式会社に対して日本郵政グループのガバナンス体制の速やかな構築を求めて、ことし一月三十一日に業務改善計画を受領したということでございます。
総務省としましては、委員の御指摘、いつごろからかということ、正確に把握はできませんが、これまでに蓄積されてきた課題の解決も含めて、今般の業務改善計画を着実かつ迅速に実施していただくということが何よりも重要だと考えていますので、そのために必要な監督を行ってまいります。
○本村委員 総務省として、いつからかんぽ不正の問題が深刻になっていたのかということを把握していないということは、監督官庁として責任を果たしていないということですので、ぜひこの点も、引き続き、問題点、質疑をさせていただきたいというふうに思うんですけれども。
次に移りますけれども、二〇一八年四月、NHKのかんぽ不正の報道を受けて、総務省は日本郵便に口頭指導をしております。どういう点が問題であったというふうに考えておられますでしょうか。
○長塩政府参考人 お答え申し上げます。
平成三十年四月の口頭指導でございますが、高齢者募集における不適切な営業に関する報道ですとかそれまでのヒアリングから、高齢者に対する営業活動について適切な対応を要請する必要があると判断いたしてございました。そのため、日本郵便株式会社に対し、利用者目線に立った適正な営業を行うよう指導を行い、また、改善策などについて定期的な報告を求めたところでございます。
○本村委員 二〇一八年、NHKの報道を受けて、翌日、口頭指導を総務省はしているわけですけれども、石田大臣が、当時、二〇一九年六月二十五日の記者会見で、二〇一八年四月に指導したけれども、その時点で改善していないというふうにおっしゃっております。
そしてまた、現場の募集人だった職員の方からもお話をお伺いをしましたけれども、総務省の口頭指導があっても現場は何も変わらなかったというふうに聞いております。
現場が変わったのは二〇一九年六月の時点だったというふうに聞いておりますけれども、総務省は、二〇一八年四月の口頭指導後、日本郵便から、いつ、どのような形で改善状況について聞いて、どういう認識でおられたんでしょうか。
○長塩政府参考人 お答え申し上げます。
平成三十年四月の口頭指導のフォローアップといたしまして、同年十一月及び翌年でございます令和元年の五月に、日本郵便株式会社及び株式会社かんぽ生命から、任意のヒアリングにより、高齢者募集に係る苦情件数等の状況、また改善策について報告を受けていたところでございます。
○本村委員 二〇一八年四月、総務省が口頭指導してから二〇一九年六月の報告徴求命令まで一年二カ月の間、一体何をやっていたのかということが大変疑問でございます。変わっていない実態をつかんで、もっと早く徴求命令を出すべきだったんじゃないでしょうか。
○長塩政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げました二回の任意のヒアリング等を通じて、改善状況等を注視してまいったところでございます。
そういった中で、昨年五月、二〇一九年五月の報告において、乗りかえ件数について増加が、ふえているというふうなところを確認いたしましたので、それを契機といたしまして、日本郵便株式会社に対して、乗りかえ契約の増加に問題点があるかなどについて報告を求めたという経緯でございます。
○本村委員 乗りかえ事案というのは、お客様が不利益になることを告げずに、既に契約していた保険を消滅させて新契約の申込みをさせるというもので、それが二〇一九年五月の段階でふえていたということだというふうに思います。
総務省では、二〇一八年十一月の時点ではわからず、二〇一九年五月の段階でわかったということだと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
○長塩政府参考人 お答え申し上げます。
五月の二回目のヒアリングのところでそういった傾向は確認できました。
ただ、その時点におきましては、その背景にどのような問題点があるかまではわかっておりませんでしたので、そういった増加の背景にどのような問題点があるかなどについて、その時点で改めて報告を求めたということでございます。
○本村委員 乗りかえ件数、不利益になることを告げずに新規契約させていたということですけれども、どういうふうにふえていたのかということをどういうふうに分析をしていたのでしょうか。
○長塩政府参考人 お答え申し上げます。
ヒアリングの中では、乗りかえ件数の数、推移ですとか、あるいは苦情にかかわるデータ等をいただいてございました。そういったところで、先ほど申し上げたとおり、増加の傾向が確認できましたので、具体的にどのような問題がその背景にあるのかということについて報告徴求を求め、その回答を得たというふうなところでございます。
○本村委員 これは日本郵政にも答弁をお願いしているんですけれども、お願いいたします。
○衣川参考人 お答えを申し上げます。
二〇一九年五月に日本郵便の方で総務省へ御説明をさせていただきまして、二〇一八年度の契約乗りかえ件数、これは新規契約の前の、前後十二カ月ということで区切ったものでございますが、この二〇一八年度の契約乗りかえ件数が二〇一七年度に比べて増加傾向にあったということでございます。
ただ、日本郵便、私どもの方では、この時点では詳細については把握していなかったものの、御契約の継続を重視する、できるだけ契約を御継続していただきたいという観点から、契約乗りかえの抑制が必要であると認識をしておりまして、二〇一九年の四月からは、過去三年間の新規契約に対し、当年度に発生する消滅等をどの程度に抑えればよいかをはかるための指標として、三年間消滅率を設定する等の措置を講じたところでございます。
○本村委員 日本郵政にお伺いをいたしますけれども、二〇一九年五月の段階で初めて出した資料というのはあったんでしょうか。
○衣川参考人 お答えを申し上げます。
二〇一九年五月、総務省に資料でもって御説明をさせていただいているということでございます。
○本村委員 済みません、初めて出した資料があったかどうかです。
○衣川参考人 二〇一八年の十一月にも報告、説明をさせていただいておりまして、そのときにも資料でもって説明をしているということでございます。
○本村委員 日本郵政がずっと出してきたものを総務省が見逃してきた、十一月の時点では同じ資料を出していたというふうにおっしゃっていましたけれども、見逃していたということじゃないんですか。
○長塩政府参考人 お答え申し上げます。
総務省におきましては、日本郵政グループから提出された資料につきましては、ヒアリングなどを行いつつ、その都度精査してきたところでございます。
そういった中で、日本郵政グループに対して、適時適切に報告を求め、また指導を行うなど、適切に対処してきていたところでございます。
○本村委員 大臣、今お話をさせていただきましたように、総務省は、二〇一八年四月の段階で口頭指導をした、そして二〇一八年十一月の段階と二〇一九年五月の段階で任意のヒアリングをしておりましたけれども、五月になるまでわからなかったわけでございます。
これは問題じゃないですか。過去のその総務省の対応について、これは検証するべきだというふうに思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。
○高市国務大臣 一昨年、任意のヒアリングはしておりますけれども、昨年の六月に正式な報告を受けて、総務省としてこの事案を初めて認識したということです。それで、本件を重大な問題として捉えて、日本郵政グループに対して更に報告を求め、指導を行うということで、適切に対応してきたと考えております。
今、もう何といっても、業務改善計画が出てきているわけですから、過去のことも含めて、着実、迅速にこの改善計画を実施していただくということが重要だと思っております。よって、現時点で過去の対応について検証する必要はない。むしろ業務改善計画をしっかりと、四半期ごとに報告を受けながらフォローしていく、しっかりと監督をしていくということが重要だと考えております。
○本村委員 先ほども申し上げましたように、特別調査委員会の報告書の中でも、二〇一四年度の被害から分析をされているわけでございます。もっと早く総務省が指導監督、しっかりと役割を果たしていれば、被害者は出なかったわけでございます。
そういう意味からも、これからしっかりと、全ての人に全額返していただくということも含めてやっていただくというのは当然なんですけれども、今までの経過をしっかりと分析をして、同じようなことを繰り返さないようにしていくということが必要なんじゃないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。
○高市国務大臣 先ほど来、業務改善計画について私は触れておりますけれども、一月三十一日に日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社から受領しました業務改善計画の内容を拝見しましたが、総務省が昨年十二月二十七日に発出した業務改善命令に沿った項目でもあり、また、当初は両社がことしの四月以降に実施するとしていた改善策の前倒しも要請していたわけでございますが、多くの項目が前倒しをされております。私は、立派な業務改善計画をつくっていただいたなと考えております。
ですから、しっかりとやはりこれを前に進めていただくということが大事で、そのための必要な監督を行っていきたいということに尽きます。
○本村委員 二〇一四年から、この調査報告書の中でも、被害があった。この重みについては、大臣はどのように認識をされているんでしょうか。総務省に全く責任がなかったというふうに考えているんでしょうか。
○高市国務大臣 日本郵政株式会社に対しましては、早期の被害者の救済、そしてまた特定、これを求め続けてまいりました。そして、増田新社長が、これまでに調査をすると決めていた対象を更に広げられる英断をされたわけです。非常に幅広く、不適切な勧誘に遭った方というのも洗い出されるでしょうし、これから、業務改善計画に沿って、しっかりと組織のガバナンス、コンプライアンスの改善に励んでいただくということが重要だと考えております。
○本村委員 大臣は過去のことについては何も言わないんですけれども、日本郵政に鈴木上級副社長がいわば天下りのような形で就任したのが二〇一三年でございます。だから甘いんじゃないかというふうに言われると思うわけでございます。
そのことも今後、追及をしていきたいんですけれども、次に、西日本新聞の報道にございます募集品質支店ウエブ会議についてお伺いをしたいというふうに思います。
この募集品質支店ウエブ会議については、これは二〇一八年四月の口頭指導後に行われたのかどうかという点をまず確認をさせていただきたいと思います。
○千田参考人 お答え申し上げます。
募集品質支店ウエブ会議は、第一回の開催は二〇一八年五月十四日でございます。ただ、これは、二〇一七年の十二月に募集品質の向上に向けた総合対策を策定し、その一環といたしまして、さまざまな対応をしてきたわけですけれども、二〇一八年の三月に募集品質支店ウエブ会議として開催を決定しておりまして、そういう意味では、四月に口頭指導を受けたというふうなことを契機として始めたものではございません。
○本村委員 ありがとうございます。
先ほども総務省がお答えになりましたように、二〇一八年度、乗りかえの件数がふえていたということで、この募集品質支店ウエブ会議というものが有効に働いていなかったということはわかっているわけですけれども、どういう不正販売の実態を把握していたのかという点を、項目を挙げていただきたいと思います。
○千田参考人 お答え申し上げます。
募集品質支店ウエブ会議は、かんぽ生命の支店の郵便局の指導を担当する社員に対しまして、募集品質向上のための指導のポイントとか指導用の募集品質のデータ等を提供しまして、募集品質を改善することを目的に開催しておりました。
具体的には、この会議で、高齢者の苦情でありますとか、高齢者の家族の同席率、それから撤回とか減額、それから料済み契約への変更、そういう数値が高い郵便局や募集人のリストを提示いたしまして、その指導方法等を周知しておりました。
ただ、当時は、現時点で判明しているような、こういう不適正な募集の実態が把握できておりませんでした。また、指導用の募集品質のデータをもとにした深度ある調査も行っておりませんで、そういう意味では、特別調査委員会の報告書でも書かれておりますけれども、リスク感度が低かったと深く反省をしております。
○本村委員 もう一度確認をさせていただきたいんですけれども、保険料の二重払いや無保険状態を生じさせる乗りかえ潜脱、意向確認に問題があるケース、高齢者からの苦情件数、契約時の家族の同席、どの郵便局で多く発生していたか、こういうことを共有していたということでよろしいでしょうか。
○千田参考人 お答え申し上げます。
今委員がおっしゃっていただいたような、そういうふうな数字をデータとして共有をする、そういう項目につきまして、郵便局で上位五十、それから募集人で上位五十、そういうふうなリスト等を共有していたということでございます。
ただ、この数字自身が不適正募集そのものというふうな数字ではございません。これについての深度ある調査ができていなかったということについて、今としてはとても反省しているところでございます。
○本村委員 記事にもありますけれども、同じ顧客に多数の契約を結ばせた事例ですとかが出されていた。五年間で十五件以上の契約をした顧客は千八百二十五人に上っている、うち四十二人は年間保険料六百万円以上の契約を結ばされていたなどが把握されていたんじゃないでしょうか。どうですか。
○加藤参考人 お答え申し上げます。
郵便局の募集品質の向上を図るための指導用の具体例として苦情を取り出しておりますので、個別の苦情としてそういった多数の契約に入られている方からの苦情を取り上げて、指導する材料として使っていたケースはございます。
○本村委員 今言われましたように、年間保険料六百万円以上の契約を結ばされていたなどをしっかりと把握されていたということだというふうに思います。
どのような頻度でこうした情報は共有されていたんでしょうか。
○加藤参考人 お答え申し上げます。
募集品質の支店ウエブ会議の頻度につきましては、月一回の頻度で開催をしておりました。
以上でございます。
○本村委員 こうした不正販売の実態をどういう人で共有されていたかという問題なんですけれども、日本郵政、日本郵便、かんぽ生命、どのレベルまでこういう情報は把握をされていたんでしょうか。
○加藤参考人 お答え申し上げます。
募集品質支店ウエブ会議は、先ほども申し上げましたように、かんぽ生命支店の郵便局の指導を担う担当社員に対して、品質向上のための指導のポイントやあるいは募集品質データを提供して、改善することを目的としたものでございまして、出席者はかんぽ生命の社員のみでございます。
もちろん、こうした会議で取り上げられているような郵便局指導用の募集品質データというのは、日本郵便の営業やあるいは募集管理を担当する方に指導用のデータとして提供しているということはございました。
なお、日本郵政に対しては、これは現場用の指導用のデータでございますので、これを提供していたことはございません。
○本村委員 日本郵便、かんぽ生命の幹部は、どのくらいまで把握をされていたんでしょうか。済みません、日本郵政もお願いします。
○加藤参考人 会議の出席メンバーは……(本村委員「会議の出席メンバーじゃなくて、把握をしていたか、データを」と呼ぶ)大量の資料がありますので、それ全てをどのレベルで把握していたかということについては承知しておりません。
○本村委員 幹部も把握していましたね。していたかどうかだけ。
○加藤参考人 先ほど申し上げましたように、これは基本的には現場の郵便局の募集品質向上のための指導用のデータでございますので、現場レベルでの把握だというふうに認識しております。
○本村委員 レクチャーの中では、幹部の方も共有していたというふうにおっしゃっていたんですけれども、いかがでしょうか。
○加藤参考人 お答え申し上げます。
募集品質のウエブ会議を実施して、郵便局の指導用にデータを提供するということは幹部も知っていたということを申し上げたと思いますが、具体的なデータにつきまして、全てが本社幹部に上がっているということはなかったと認識しております。
○本村委員 この点についても、後でいろいろ掘り下げていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、幹部もこういう状態は把握をしていたということだというふうに思います。
この募集品質支店ウエブ会議に出された資料は、総務省はいつから把握をしていたのか、そして特別委員会は入手し把握をされているのか、お答えをいただきたいと思います。
○長塩政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の資料でございますが、西日本新聞の令和元年八月五日の朝刊に掲載されたものと承知してございます。
総務省としましては、当該報道により、株式会社かんぽ生命の社内において募集品質ウエブ会議が開催されていたことや、その会議資料について初めて認識をしたということでございます。
○本村委員 郵政にもお願いをしたんですが。
○加藤参考人 お答え申し上げます。
募集品質の支店ウエブ会議の資料につきましては、二〇一九年の八月八日に特別調査委員会に提出しております。
○本村委員 提出をして、特別調査委員会もぜひ分析して公表していただきたいというふうに思いますし、国会にも、募集品質支店ウエブ会議に出された不適切事案についての資料をぜひ提出をいただきたいというふうに思いますので、委員長、お取り計らいをお願いしたいと思います。
○大口委員長 理事会で協議いたします。
○本村委員 苦情範囲の見直しについてもちょっとお伺いをしたいんですけれども、特別委員会の報告の中で、苦情の範囲の見直しについての報告がございます。
苦情の範囲を見直し、苦情の件数を小さく見せようという、悪質だというふうに私は感じますけれども、報告書の五十二ページ八行目から十一行目の文を御紹介いただきたいと思います。
○加藤参考人 特別調査委員会の報告書の五十二ページの、御指摘の件でございますが、読み上げますと、苦情件数という指標の削減それ自体が目的化しており、苦情という形で表明された顧客の不満の原因となる事象を分析し、根本的原因を除去しようとする姿勢、態勢が十分でなかったと思われるということが記載されております。
以上でございます。
○本村委員 ありがとうございます。
要するに、現場を改善して苦情件数を減らすというのではなくて、苦情の範囲を見直して、こそくな手段で苦情件数を少なく見せようと日本郵政はしていたということでございます。
この苦情の範囲の見直しは、誰が起案をして、誰が決裁をとったんですか。
○加藤参考人 お答え申し上げます。
苦情範囲の見直しにつきましては、他の生命保険会社の苦情分類の運用でありますとか、業界団体であります生命保険協会のガイドラインも踏まえて、二〇一七年度から、お客様からの具体的な不満の表明、おかしいでありますとか、納得できないとか、手続が遅いといったようなものを苦情として捉えることとしました。
また、二〇一八年度から、同一のお客様から複数回、同一の苦情を受けた際に、従来は複数カウントしておりましたが、それを一件と換算するといったような、ガイドラインに沿った取扱いとしております。
この二〇一七年四月から実施しました苦情範囲の見直しにつきましては、お客様の声の管理を担当する部署でありますお客さまサービス統括部において起案をし、当該部署の長である部長が二〇一七年三月に決裁をしております。
なお、最終的な決裁までの間には、当時の社長を含め、関係役員に変更内容を報告する等を行い、他の生命保険会社の苦情分類の運用等を踏まえたものであること等につきまして説明をして決定したものでございます。
こうしたことでございますので、この苦情範囲の見直しにつきましては、改善すべき苦情の内容をより具体的に特定し改善につなげていこうということで、他社の運用等を踏まえて実施したものであり、苦情件数を少なく見せるという目的で実施したものではございません。
○本村委員 特別調査報告書の中に、苦情件数という指標の削減それ自体が目的化していたというふうに書かれていることは、本当に重く受けとめないといけないというふうに思うんです。
そういう苦情の範囲の見直しまでして、いい会社に見せようとしていたというふうに思われるんですけれども、日本郵政の当時の長門社長は、二〇一九年四月のかんぽ株の売出し時点では全くの白だというふうに言っていましたけれども、不正を知りつつ株を売却していれば、市場に対する裏切り行為でございます。
先ほど、募集品質支店ウエブ会議のことを申し上げましたけれども、日本郵政と日本郵便、かんぽ生命としては、不正販売の疑いがある契約が数々あるということは組織としてつかんでいたというふうに思います。
そういうことを十分説明せずに、かんぽの株を二〇一九年四月に売っている、これはまさに市場に対する裏切り行為だというふうに思いますけれども、増田社長、御答弁をいただきたいと思います。
○増田参考人 ただいま御指摘ございました点についてお答え申し上げますけれども、当時の経営陣が契約乗りかえ等の事案の重大性を認識をいたしましたのは、二〇一九年、昨年の六月下旬であった、このように聞いているところでございます。
したがいまして、私は、今、千田あるいは衣川の方からお答えを申し上げました、リスク感度が低い等々のことがございますので、今回の業務改善計画をしっかりと実行していく中で、苦情ですとかそうしたものはきちんと受けとめて、その上でこれからの経営に生かしていく、このようなことに全力を挙げていきたい、このように考えております。
○本村委員 調査報告書では、日本郵政のガバナンスについて、不適正募集の実態に関する情報が不足していたので、必要な対策を講じることができなかったと、全く不十分な分析をされております。知らなかったことにしただけだろうというふうに言わざるを得ないというふうに思いますけれども、増田社長、今の御答弁では前の社長と同じだものですから、組織として、やはりこの不正事案はつかんでいた、先ほどの、支店ウエブ会議のことを申し上げましたけれども、組織としてはつかんでいましたよね。
○増田参考人 お答え申し上げます。
ウエブ会議につきましては、総務省の方からの口頭指導より以前の流れの中で、品質を向上させようということで開催をした、これは先ほど千田の方から答弁を申し上げたとおりでございます。
そして、そういう中で、前経営陣は六月下旬にこうしたさまざまな問題を確知をしたということでございまして、これは当然、私、当時在籍はしてございませんでしたけれども、グループ全体の認識としても、昨年の六月の下旬にさまざまな問題を認識をしたと。四月のかんぽ生命の株式の売却の当時はその認識はなかったということでございます。
○本村委員 先ほども申し上げましたように、苦情件数という指標の削減それ自体が目的化しており、苦情という形で表明された顧客の不満の原因となる事象を分析し、根本的な原因を除去しようという姿勢、態勢が十分ではなかったというふうに言われているわけです。
苦情件数という指標の削減それ自体が目的化していた、こういう点について、どういうふうに社長は反省をしているんでしょうか、今、社長として。
○増田参考人 お答え申し上げますが、お客様から寄せられる苦情、これにつきましては、私ども、このように認識をすべきと思っております。これは、郵政グループが一層のサービス向上に取り組むために必要となる大変貴重な御意見、このように受けとめていくべきだ、このように考えているところでございます。
したがいまして、先般、監督官庁の方にお出しをしました業務改善計画にも盛り込んだわけでございますが、苦情等について高いリスク感度で把握をし、責任を持ってフォローを行う体制、このようなものを構築をした上で、こうした貴重な意見を会社の政策の方に生かすべく、これからも努めていきたいと考えております。
○本村委員 先ほどもウエブ会議の話を申し上げましたけれども、組織として不適切な販売、不正販売の疑いを把握をしていたのに、増田社長は組織として把握をしていなかったかのような御答弁をされましたけれども、新しい社長になって、それで本当に変わるのかということが問われているというふうに思います。
日本郵政グループは、これまで苦情というものや働く人たちの声をずっと軽視をしてきたわけですけれども、この点について、苦情という形でお客様の声や、あるいは現場で働く方々の声がしっかりと政策決定に生かされる組織にならなければいけないというふうに思います。その点は今すぐできることだというふうに思いますけれども、社長にお答えをいただきたいと思います。
○増田参考人 苦情の関係につきましては、先ほどの答弁で申し上げましたところでございますが、グループの一層のサービス向上に取り組むために必要な大変貴重な御意見、このようなことで、それを、必要なものは政策決定に生かしていく。
そして、もう一つ、今委員が御指摘なさいました現場の声。現場の実態を一番よく知っておりますのは郵便局で働く現場の社員たちでございますので、こうした社員の声を会社の政策決定に生かしていく、こちらのことも大変重要であると思っております。
今回、こちらの関係につきましては、業務改善計画の中にも入れましたけれども、新たに設置をいたします金融営業専門の社外通報窓口というものを設置をして、そこに社員の声などが直接寄せられるような、そういう仕組みを構築することとしております。そして、そこで寄せられた社員の声、そういったさまざまな情報について、システム等を活用して把握、分析をして、その上で必要なものを政策決定に生かしていきたい、このように考えております。
○本村委員 時間がなくなりましたので、最後に、パワーハラスメントについてお伺いをしたいと思います。
先ほども吉川議員からございましたように、この特別委員会の報告書の中では、全社員の前で、低実績者に対して、名指しで責めたり、おまえは寄生虫だと叱責をしたとか、渡された原稿を一言一句覚えさせて、うまくできない場合はやり直しを強制する、あるいは、これは社長が言ったことですけれども、社内で土下座をさせる、パワハラ的なものがたくさんあったというふうに言われております。
日本郵政グループでは、パワーハラスメントについて、就業規則などでもう既にあったんだというふうに言われましたけれども、それは全く効果がなかったということでございます。
ことしはパワーハラスメントを防止する事業主の防止措置義務もできるわけですけれども、どういうふうに改善しようとしているのか、パワーハラスメントをなくすために全力を挙げるべきだというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。
○増田参考人 お答え申し上げます。
パワーハラスメント、いわゆる職場でのセクハラ等も含めた全体のハラスメントは、これはもう絶対根絶をしなければいけないもの、このように思っているところでございますし、また、そうしたことは会社としての社会的評価を傷つけるということにもなりかねませんので、これは事業主の責務として根絶に努力をしていかなければいけないと思っております。
そして、実際にルールを逸脱して行われた場合には、その当該職員を厳正に処分するということになるわけですが、それも含めて、これまでも、社員への意識啓発、研修の実施、各種相談窓口の活用等々を行ってまいりました。今委員の方からも、それが十分効果を上げていなかったのではないかというような御指摘もいただきましたので、今後、これまで行ってまいりました研修の実効性などもよく検討、勘案した上で、効果のあるようなさまざまな取組、研修、啓発活動などに取り組んでいきたいと考えております。
○本村委員 きょう全部できませんでしたので、やはりこの問題での集中審議を強く求めたいというふうに思います。それを述べまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
参考資料
https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2020/02/f922cc62949b08599481edbab3226532.pdf