しんぶん赤旗 2020年4月21日
日本共産党議員の国会質問/工場閉鎖、協定に違反/本村氏「社会責任取らせよ」
本村伸子議員は6日の衆院決算行政監視委員会で、大企業や多国籍企業による解雇や工場閉鎖は許されないとして社会的責任を取らせるよう国の対応を求めました。
世界最大級の化学メーカーのダウ・ケミカルは、100%子会社の日本アクリル化学名古屋工場を閉鎖しようとしています。
本村氏は、労使の協定書では「工場の再生存続のため生産増、雇用維持、確保に結びつく経営努力を継続的に実施する」としていると指摘。協定書に反することはやめさせるべきだと追及しました。
稲津久厚生労働副大臣は「反する事案を把握した場合は労働局等による啓発指導を行っていく」と答えました。
議事録
201-衆-決算行政監視委員会第三分科会-1号 2020年4月6日
○本村分科員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
新型コロナウイルス感染が世界じゅうに広がる中で、日本のものづくり、産業に影響が出てくるというふうに思います。どういう影響が出ているのか、あるいは、どういう影響がこれから出てくるというふうに考えられているのか、まず大臣にお伺いしたいと思います。
○梶山国務大臣 新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、内外における人、物の往来の制限がされているということで、世界全体で、また全ての産業において経済活動が縮小しており、我が国の景気が急速に厳しい状況になっていると認識をしております。
例えば、国内の製造業への影響としては、当初は、武漢を始め中国国内が感染拡大の中心でありましたが、グローバルにつながるサプライチェーンからの部品調達ができなくなり、生産活動が停滞することへの懸念が大きかったというのが当初であります。
全世界の感染拡大の進む直近では、欧米の市場が機能していないということもありまして、需要の中心であった地域を始め、世界的な需要減が急速に進展をし、例えば国内の自動車メーカーの生産調整が一層拡大しているということで、雇用への不安が出てきているというのを認識しております。
今後の新型コロナウイルスの感染の拡大やその終息の時期には依然として不確実性があり、製造業を始めとする日本の産業にどのような影響が及ぶかを現時点で完全に見通すことは難しいですが、日本経済にとって雇用の維持と事業の継続というのは最重要課題でありまして、しっかりとこの経緯また推移を見ながら対応してまいりたいと考えております。
○本村分科員 今、国内でも、医療用のサージカルマスクですとかN95マスクですとか手袋、フェースシールド、ゴーグル、アルコール消毒液、医療用でも足りない現状がございます。あちこちで悲鳴が上がっております。また、医療用ではないんですけれども、マスク、消毒液。人工呼吸器の部品、ほかの部品もそうですけれども、さまざまなものが不足をしている現実がございます。
輸入が滞る中で、日本の国内で生産するということの重要性を経済産業大臣としても再認識されたのではないかと思いますけれども、その点、お伺いしたいと思います。
○梶山国務大臣 先ほど申し上げました、例えば自動車産業なんかのサプライチェーンもそうです、今委員から御指摘ありましたマスクも、日本の供給の七割が中国産であった、そして三割が国産であったということも含めて、この事態においてそういった不足が生じているということであります。
生活必需品そして日本の重要な産業については、やはり国内でしっかりと製造できるような体制をつくっていく、また、そういうことを希望する企業があればしっかりと支援をしていくということが重要であると考えております。
○本村分科員 大事なことは、新型コロナウイルス感染症の問題で、次々と倒産をしたり、工場閉鎖をするようなことがないように対策をとらなければならないということでございます。
とりわけ大企業、多国籍企業に、子会社や下請企業を含めて、雇用の確保の責任、社会的責任をとらせることが肝要だというふうに考えますけれども、大臣の御認識を伺いたいと思います。
○梶山国務大臣 雇用の確保というのは大変重要であります。ですから、他省庁になりますけれども、雇用調整助成金もある。また、企業の経営をしっかりと継続しなければならないという中で、第一弾、第二弾で提示をいたしましたさまざまな融資や信用保証のセーフティーネットもあると思っております。
意識的に企業を閉めるということがあってはならないと思っておりますし、また、社会的責任、雇用という社会的責任がある、それを継続する社会的責任があるという意味で、しっかりと企業にも責任を持っていただきたいと考えております。
○本村分科員 企業に社会的責任をとらせるということが肝要だということ、大臣とも共通認識だというふうに思います。
具体的な事例なんですけれども、愛知県にございます日本アクリル化学という会社は、世界の化学メーカーとして名立たるダウグループの一〇〇%子会社の黒字企業でございます。ところが、突然、名古屋工場を閉鎖するという話が出てまいりました。生産を海外に移すという話でございます。
働く方々は、数年前に、増産するからと言われて入ってこられた若い方々もいらっしゃいます。家のローンを抱える方や子育てをしている方々もいらっしゃいます。にもかかわらず、突然の名古屋工場閉鎖の方針に大きな衝撃が走っております。働く方々は、名古屋工場の操業の継続を切望しておられます。
労働組合の皆様方と親会社を含む会社が、二〇〇五年三月二十九日、労使の協定書の中で、会社等は、今後、かかる事態とならないよう、これまで以上に雇用維持、確保を図るよう努力する、会社等は、名古屋工場の再生、存続のため、名古屋工場において、C2、冷却装置のことだそうですけれども、C2の投資を実施するほか、生産増、雇用維持、確保に結びつくような経営努力を継続的に実施するなど約束をしております。
会社は、二〇一九年五月十日に、当事者の名称が変更されただけで協定書の効力は失効しませんと回答をしております。二〇〇五年の協定書は、現在も効力を持っている労働協約でございます。
アメリカにあるザ・ダウ・ケミカル・カンパニー、そしてダウ・ケミカル日本、日本アクリル化学は、この協定書を誠実に守らなければならないと考えますけれども、これは厚生労働副大臣にお願いしたいと思います。
○稲津副大臣 お答えさせていただきます。
日本アクリル化学株式会社の工場閉鎖についての御質問でございますけれども、まずお断りを申し上げたいと思うんですけれども、個別の事案についてお答えすることは差し控えるということで御理解をいただきたいと思います。
その上で、一般論として申し上げたいと思いますけれども、今お話のあった労働協約のことでございますが、この労働協約は、労働組合法上、労働組合と使用者との間で労働条件その他について締結がなされ、書面に作成をして、両当事者が署名又は記名押印することによってその効力を生ずる、このようにされております。労使関係をその内容によって一定期間確定させる効果を持っていること、そして、労使が相互にこれを遵守することによって労使双方が利益を得ることが想定をされているところでございます。
労働協約の個別の規定をどのように解釈すべきか等については、これは最終的に、裁判等によった場合、裁判所等で個別具体の事案に応じて判断されることになります。
なお、使用者の整理解雇の有効性についても、最終的には司法判断となりますが、これまでの裁判例を参考にすれば、労働組合との協議や労働者への説明を行う、そのこととともに、人員削減を行う必要性ですとか、また、できる限り解雇を回避するための措置を尽くすこと、それから、解雇対象者の選定基準が客観的、合理的であること等について、これは慎重に検討を行っていただくことが望まれます。
厚生労働省といたしましては、労働契約法や過去の裁判例の趣旨を踏まえて、それらに反する取扱いが行われている事案を把握した場合には、引き続き、都道府県労働局等による啓発指導を適切に行ってまいりたいと考えております。
○本村分科員 効力のある労働協約に反することは無効ですね、副大臣。
○松本政府参考人 今ほど副大臣から答弁させていただきましたとおり、労働協約の個別の規定をどのように解釈すべきかというようなことについては、最終的に、裁判所等で個別の事案に判断をされるというようなことでございます。
先生御指摘の条文というものは、労働組合法の十六条のことかと思います。「労働協約に定める労働条件その他の労働者の待遇に関する基準に違反する労働契約の部分は、無効とする。」というような条文の解釈のお話だと思いますが、そこのところがまさに、この個別の規定をどのように解釈すべきかということについては、最終的には個別具体の事案に応じて判断されるというようなことでございます。
○本村分科員 労使の協定書、労働協約に反することを世界最大級の多国籍化学メーカー、ダウがやっているわけですから、しっかりと厚生労働省としても調査をして、やめさせるべきだということを強く求めたいと思います。
先ほど来申し上げましたように、当然ながら、働く皆さん、労働組合の方々は、工場閉鎖をするなということで声を上げておられます。労使で話し合っている際に、日本アクリル化学の社長と工場長は、私たちだけでは決められないと毎回回答をし、不誠実な対応をとっております。実際に、日本アクリル化学には決定権はないということで、人事とか経理、これはダウ・ケミカル日本、ダウ・ケミカルの方にあるということでございます。
日本アクリル化学の株を一〇〇%持っているダウ・ケミカル日本に工場存続、雇用を守ることを求めると、今度はダウ・ケミカル日本の方にそのことを求めると、今回の名古屋工場の件の決定権限を有しているわけでもないと団体交渉を拒否しております。結局、この日本アクリル化学名古屋工場に投資をしないということを決めたのはダウ・ケミカルグループのDCM事業部、要するに、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーが最終決定をしたものでございます。
このままでは、世界最大級の化学メーカー、ダウグループのグローバル資本のもうけのために名古屋工場の製造が海外などへ移管されてしまうことになってしまいます。労使の協定書、労使の労働協約にも約束された雇用を守るために、厚生労働省としても動いて阻止するべきです。世界最大級の化学メーカー、ダウ・ケミカル・カンパニーの責任を問うべきだというふうに思いますけれども、厚生労働副大臣、お願いしたいと思います。
○稲津副大臣 お答えさせていただきます。
繰り返しで恐縮なんですけれども、個別の事案についてのお答えは差し控えることを御理解いただきたいと思います。
これも一般論としてのお答えになりますけれども、労働組合法上の使用者、これは原則として労働契約上の雇用主をいうもの、このように解されておりますが、判例によれば、労働契約上の雇用主以外の事業主であっても、労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にある場合には、団体交渉の対象となる労働組合法上の使用者に該当するという考え方が示されているところでございます。
いずれにしましても、労働組合法上の使用者に該当するか否かについては、これは個々の事案に応じて労働委員会や裁判所において判断をされるもの、このように考えております。
○本村分科員 ダウ・ケミカル日本、そして日本アクリル化学には、東京都労働委員会から、労働者の雇用に直結する、名古屋工場の閉鎖に係る問題等の当事者間の懸案事項について、誠実に協議を行い、慎重に対処するなど、紛争がこれ以上拡大しないよう格段の配慮を払われたいという文書が出ております。会社側に出ております。しかし、こうした文書での要請があるにもかかわらず、早急に工場を閉鎖しようというふうにしております。これは本当に不当なことだというふうに思います。
先ほど来、副大臣もお答えになっておりますように、工場閉鎖というのは解雇に結びつく問題でございます。工場閉鎖の解雇は整理解雇の一種に当たり、解雇四要件が問われてまいります。先ほども御答弁ありましたけれども、一つ目が解雇の必要性、二つ目が解雇回避努力、三つ目が人選の公正さ、そして四つ目が団体交渉、協議を尽くしているかということです。こういうことが問われるわけですけれども、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー、ダウ・ケミカル日本、日本アクリル化学は、こうした解雇回避努力ですとか団体交渉、協議を誠実に尽くすということをやっていないわけでございます。
このままではやはり、工場閉鎖、解雇ということになれば、違法な解雇になるのではないかというふうに思います。雇用維持、確保、名古屋工場の再生や存続、こういうことを労使の協定書、労働協約で約束している企業が、工場を海外に移転、解雇させるようなことは絶対に許してはならないと思いますけれども、副大臣にもう一度御答弁をいただきたいと思います。
○稲津副大臣 お答えをさせていただきます。
まず、御質問の趣旨からすると、厚生労働省としての、いわゆる行政指導等によって履行確保を行うという、そういう性質のものではないということをまず申し上げておきたいと思いますが、まずは、労使の当事者が主張が一致しない場合は、労使の当事者が自主的にこれを解決するようにまず努力を求められる、こういうことが言えると思います。その上で、使用者が正当な理由なく団体交渉を拒否する、こうした不当労働行為を禁止して、その上で、労働委員会による救済制度も整備しておりますので、そうしたところでの対応を求めるということがまず必要だ、このように解釈しております。
○本村分科員 世界の最大級の化学メーカー、ダウの身勝手な暴挙を今許せば、同じようなことはどこでも起こってしまう、日本のものづくりが守れない、それを支える人を守ることができないというふうに考えております。
新型コロナウイルス感染症の影響で日本のものづくりが危機に瀕しているときに、世界の巨大企業、ダウグループが日本の企業の工場閉鎖というのは、本当に許しがたい暴挙だというふうに思います。多国籍企業に社会的責任をとらせるために、経済産業大臣もしっかりと物を言うべきだと思いますけれども、経済産業大臣、お願いしたいと思います。
○梶山国務大臣 企業というのは、やはり、今、社会的責任というものを非常に強く求められております。その最たるものは雇用だと思っております。
CSR、企業の社会的責任というものを十分に企業が意識して、そこに立地をし、そして地元との関係というものも維持していかなければならないと思っております。そういうことの中で企業がどうしていくかということをしっかりと見詰めていただきたいと思っております。
○本村分科員 世界に名立たる多国籍企業、ダウの暴挙を許せば、先ほども何度も申し上げておりますけれども、同じような現象はどこでも起こってしまうということになってしまいます。
工場閉鎖をぜひ食いとめていただきたい、大臣にしっかりと企業に対して物を言っていただきたいと思いますけれども、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
○梶山国務大臣 個別の案件につきましては今伺ったばかりでありますけれども、社会的責任の大きさというのは誰よりも私も認識しているつもりであります。その最たるものが雇用ということで、雇用をしっかり守っていくことを、企業の責任であるということを強く申し上げてまいりたいと思います。
○本村分科員 ありがとうございます。ぜひ強く求めていきたいというふうに思います。
次に、別の問題に入りますけれども、先ほども日本で不足しているものがあるということで、マスクについてなんですけれども、今、亀山シャープでもマスクをつくっているということで、医療現場のマスクとかアルコール消毒液、防護服、手袋の不足は深刻でございます。一刻も早く行き渡るようにしてほしいということで、地元の愛知の医師、歯科医師の先生方からも切実な声を聞いております。人工呼吸器の部品も足りないという報道がございます。店頭にも本当にマスクはなくて、三重県の鳥羽市で、市会議員が教えてくれたんですけれども、朝三時に並んで購入するという事例も出ております。一世帯二枚の布マスクの配付とありますけれども、じゃ、多人数の御家庭ではどうすればいいのかという声などもございます。
厚生労働省が、デイサービスなどの介護施設や学童保育、放課後等デイサービスなど、福祉施設にマスクを配っていただいておりますけれども、人数分に足りないというような状況でございます。安定供給に向けて、一層増産体制をとっていただきたいというふうに思います。
さまざまなものが足りないわけですから、やはり、経済団体、経団連などにぜひ協力を呼びかけるなどして、不足のものを国内でつくっていくということを進めていくべきだというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○梶山国務大臣 今回のコロナウイルス感染拡大において、マスクが不足している、また消毒液が不足している、防護服であったり、人工呼吸器であったり、さまざまなものがやはり不足をしているということでありますが、委員がおっしゃいましたシャープは、今まで半導体などをつくっていたクリーンルームがあって、衛生面でしっかりとした工場の内部を使えるということと、親会社である台湾の企業がマスクの製造も手がけていたということもあって、経産省の補助金を使ってすぐに対応していただいたということで、これらも含めて十三件、今対応していただいているところであります。
ただ、先ほど申しましたように、人工呼吸器であるとかそういったものの不足も予測されるところでありますので、経済産業省としては、国内にある既存の製造業者への増産協力の働きかけを行うとともに、技術力や資本力のある異業種からの協力についても積極的に今働きかけているところであります。
具体的には、製造業関係のさまざまな企業、団体に対し、マスクなど不足する物資やその原材料の製造、供給、技術者の派遣や製造機械の提供など、増産のための協力をいただけないか働きかけているところであります。また、近日中にも、私自身、今委員からお話がありました経済団体のトップに対して直接協力を呼びかけたいと思っております。
官民が一丸となって、不足する物資の増産を進めてまいりたいと考えております。
○本村分科員 ぜひ、早急に安定供給が図られるようにお願いしたいというふうに思います。
新型コロナウイルス感染症の影響で、トヨタ自動車を始め、自動車業界にも影響が出ております。
リーマン・ショックのときは、派遣切り、非正規切りが大量にございました。愛知は日本一の派遣切り、非正規切りで、二〇〇八年十月から二〇一〇年の九月まで、厚生労働省がつかんだだけでも四万六千人以上の方が愛知県内で非正規切りされた現実がございまして、そういう中で、市民団体の皆様方や労働組合の皆様方、私ども日本共産党も、本当に必死になって、生活相談や、生活再建できるようにということでやってまいりました。二度とこういうリーマン・ショックのような事態にさせては絶対にいけないというふうに思っております。
今、連合の神津里季生会長も、大企業では将来の危機を理由に内部留保を積み上げてきた、今回の新型コロナ拡大という危機にその内部留保を活用するべきだということを求めております。
内部留保は、下請中小企業の皆様方に単価引下げで絞ったり、あるいは働く人たちが生み出した利益でございます。今、こういう危機にこそ、下請単価を引き上げることや、賃金の引上げ、雇用の維持のためにも、下請中小企業、働く人々のために内部留保を活用させるべきだというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○梶山国務大臣 我が国の自動車産業は、すぐれた技術を持つ多くの下請中小企業に支えられていると認識をしております。新型コロナウイルスによる影響が拡大をする中、中長期的なサプライチェーン維持の観点から、下請中小企業を支えていくことは、自動車メーカー自身にとっても大変重要な課題であると思っております。
各自動車メーカーが具体的にどのような対応を行うかは、それぞれの企業が、これまでの取引関係や各関係企業の置かれた状況を踏まえて判断すべきものではありますが、例えば、一部の自動車メーカーでは、工場の稼働停止等に当たり、支払いの早期現金化を進めている、そして下請中小企業の資金繰りを支援するなどの取組を行っていると聞いております。こうした対応が広がることを期待しております。
経済産業省としましても、二月十四日、三月十日に、この両日に、各自動車メーカーに対して、下請中小企業に対する取引上の配慮を要請しております。
今後も、自動車業界と共同で立ち上げた新型コロナウイルス対策検討自動車協議会、これは自動車メーカーと部品のメーカーも入っております、そして経産省で、この状況をどう捉えていくか、製造上の問題、またそれぞれの経営上の問題も含めて話し合っていく協議会でありますけれども、そういった場で下請中小企業の事業継続に向けた支援を働きかけてまいりたいと思っております。
○本村分科員 トヨタがエンジンの製造原価を三〇%削減するという驚異的なプロジェクトに取り組んでいるという記事がございました。その中には、台数の大きな伸びが今後期待できない中で、主力部品の三〇%原価低減はサプライヤーの経営に大きな衝撃を与えるという記事でございました。
私の住む豊田市でも、外国人技能実習生、外国人労働者が身近にいらっしゃいますけれども、下請中小企業の方からお話を伺ったときに、それは下請単価が削減される中で人件費を安くするためだとおっしゃっておりました。日本人や日系人ではコストが高いというふうにおっしゃっておりました。下請単価引下げの中で雇用が壊されてきております。
今回の新型コロナウイルス感染症の問題で、四月三日、中日新聞一面には、「トヨタは四月に予定していた仕入れ価格の値下げを三カ月間、凍結。」というふうに書いてございました。
でも、三カ月過ぎたらいいという話ではないというふうに思います。もう既に雇用が壊されてきている現状の中で、やはり下請単価の削減は、凍結ではなく、撤回させるべきだというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。
○梶山国務大臣 先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、二月十四日及び三月十日に、自動車メーカーに対して、下請中小企業に対する取引上の配慮を要請しております。これは、しわ寄せをしないでくれとはっきり申し上げております。
そして、今後ともやはり中小企業とともに共存共栄でいくためには、しっかりとした取引関係を結ぶことが重要であるということで、こういう委員会も立ち上げて、今、例えば、発注する側も、そして受注する中小企業側も入った上での議論を進めているところでありますので、こういったことは徹底してまいりたいと思っております。
○本村分科員 トヨタさんの繁栄というのは、働く人と下請中小企業の皆さんの技術力、地域の協力があってこそだというふうに思います。
リーマン・ショックのときに、二階産業大臣はこのようにおっしゃっておりました。私は、中小企業のものづくりの技術力というのは、まさに日本の宝だと思うんです。それをこの不況のときに雲散霧消してしまうようなことをしたのでは、何のために中小企業対策があるかわかりません。積極的な救済策、対応策を考えてみたいというふうにおっしゃっておりました。
やはり、今も本当に非常時だというふうに思いますので、ぜひ下請中小企業を守るための直接支援をやっていただきたいと思いますけれども、大臣、最後にお願いしたいと思います。
○柴山主査 大臣、既に持ち時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。
○梶山国務大臣 はい。
委員おっしゃるように、日本のものづくり企業は大切な宝であると思っております。そういった中小企業また小規模企業をしっかりと支えるために全力を尽くしてまいります。
○本村分科員 ありがとうございました。