もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2024年 3月 26日 第213国会 法務委員会

総合法律支援法の改定案に関して

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選択的夫婦別姓早く 生活・仕事に不利益 2024.3.26

議事録

○本村伸子

日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
今国会に提出をされております総合法律支援法の改定案に関わって質問をさせていただきたいというふうに思います。
法テラスによる犯罪被害者、御家族の方々への援助を早い段階で包括的に継続的に、公費も含めてやっていこうということなんですけれども、その対象者は法律婚の配偶者、家族に限定をしております。
実質、法律婚と同じような生活実態のある事実婚のカップルですとか同性のカップルも支援の対象にするべきだというふうに考えますけれども、まず大臣に御見解を伺いたいと思います。

○小泉国務大臣

御指摘のように、法律上の婚姻関係を有する配偶者は援助対象とするものの、いわゆる事実婚の状態にある者は援助対象とはしておりません。
本制度は、被害者等が被害直後から迅速かつ円滑な援助を受けられるようにするには、法テラスが援助対象を速やかに判断していく必要があります。
法律上の婚姻関係を有しない方々については、その生活実態等が様々であり、事実婚の状態にあるか否かが必ずしも明確ではない場合がございます。
こうした方々を援助の対象とした場合、法律上の婚姻関係を有する配偶者と比べ、法テラスにおいて個々の事情を詳細かつ実質的に確認、検討する必要があり、迅速かつ的確、公平に援助の可否を判断することが難しくなる、そういう理由で本制度の対象外としておりますが、法務省としては、制度創設後も、真に犯罪被害者等に寄り添った援助となるよう、運用状況を見極めつつ、不断の検
討を行ってまいります。
その一環として、事実婚の状態にある方々への援助の必要性を訴える声に真摯に耳を傾け、先生の御議論も踏まえ、家族関係をめぐる諸制度等の在り方等も注視しつつ、必要な検討を行っていきたいと思います。

○本村伸子

殺人罪ですとか大変重い罪の被害者あるいは御家族の方々に、法律婚じゃないからといって排除するような、そういうつらいことが重なるようなことは是非やめていただきたいというふうに思っております。
選択的夫婦別姓がないから、制度がないから事実婚にされておられるカップルもいらっしゃいます。選択的夫婦別姓も認めず、そして同性カップルの婚姻の平等も認めず、その上、犯罪被害者支援も対象外というのは、二重の排除になっており、本当に理不尽だと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○小泉国務大臣

選択的夫婦別氏制度や同性婚制度がないことに伴って、その結果、法律上の婚姻関係にないカップルがいらっしゃるということは、御指摘は承知をしております。
先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、事実婚の状態にある方々の状況は様々でありまして、それを見極めるのに時間がかかる、迅速な対応が難しくなるという理由で援助対象とはしておりませんが、法務省としては、犯罪被害者等支援弁護士制度の創設後も、真に犯罪被害者等に寄り添った援助となるよう、運用状況を見定めつつ不断の検討を行っていく考えであり、その一環として、事実婚の状態にある方々への援助の必要性を訴える声に真摯に耳を傾け、家族関係をめぐる諸制度の在り方等も注視しつつ、必要な検討を行ってまいりたいと思っております。

○本村伸子

自治体にはパートナーシップ制度、ファミリーシップ制度がございます。そうした資料をそろえれば認めるというような、同等の資料を認めればこうした支援も受けられるというふうにするべきだというふうに思います。
先ほども道下議員からお話がありましたように、札幌高裁の判決の中で、例えば同性愛の方々に関してなんですけれども、人として、同じく人である同性パートナーを愛し、家族として営みを望んでいるにもかかわらず、パートナーが異性ではなく同性であるという理由から、当事者以外の家族間で、職場において、社会生活において、自身の存在の意義を失うという喪失感にさいなまれているというふうに判決の中で指摘をされておりまして、こうした制度が、また排除されてしまうということになれば、またそうした思いが積み重なってしまうのではないかということを大変懸念をしております。早急にもう一回出し直して、是非こうした方々を対象にしていただきたいというふうに思っております。
パートナーシップ、同性愛の婚姻の平等に関してはあしたも質問させていただきたいというふうに思うんですけれども、選択的夫婦別姓の導入に関して、この間、大きな動きがあったというふうに認識をしております。日本経団連を始め、経済団体から要請があったというふうに思います。
どういう要請があったのか、どういう不利益が生じているという訴えがあったのか、大臣にお示しをいただきたいと思います。

○小泉国務大臣

御指摘の要請は、海外訪問時にパスポート上の戸籍名と旧姓の不一致によるトラブルが生じる、また、改姓後に旧姓時代の研究論文の実績が認められない、また、多くの金融機関でマネーロンダリング対策の観点から旧姓での口座作成ができないなど、氏を改めることによる職業生活上や日常生活上の不便、不利益の解消、選択肢の多い社会の実現などの観点から、選択的夫婦別氏制度の早期の法制化を求めるものでございます。
選択的夫婦別姓制度の早期の法制化を求める声がビジネス界においても高まっていることを改めて認識いたしました。

○本村伸子

先ほども大臣からお話がありましたように、とりわけ海外に行ったときに不利益が生じているという、国内でももちろん、後で申し上げますけれども、不利益がございます。
指摘されているのは、社内ではビジネスネーム、通称で通しているため、現地のスタッフが確保してくれたホテルもその姓名で予約をしている、しかしパスポートの姓名と異なるため宿泊を断られたというお話ですとか、先日、三月十二日の参議院の予算委員会の公聴会でも、首藤若菜立教大学の教授が、旧姓を通称として使用している、特に国際学会に出るときに本当に不便なんだ、日々いら立ちを持って過ごしている、私は自民党の推薦の公述人なんだけれども、選択的夫婦別姓を強くお願いしたいというふうな発言もございました。なぜこういう切実な声が届かないのかというふうに強く思います。
婚姻の際に男性と女性と姓を変えている数、割合、それぞれ改めてお示しをいただきたいと思います。

○青山政府参考人

お答え申し上げます。
厚生労働省の人口動態統計における二〇二二年、令和四年の婚姻件数は五十万四千九百三十九組でありますが、このうち夫の氏となったのは四十七万八千百九十九組で九四・七%、妻の氏となったのは二万六千七百三十一組で五・三%となっております。

○本村伸子

もう皆さん重々御存じだというふうに思いますけれども、圧倒的に女性の方が、結婚で名字を変えている、姓を変えている。不利益が女性の方に集中しているというのはお分かりいただけると、もちろん男性の方も、姓を変えた方に不利益が生じている。私たち日本共産党国会議員団の中にもおりまして、不利益を生じているということは訴えを続けているわけでございます。
改めて、そういう、結婚をしたときに名前を変えて生じる不利益もございますけれども、離婚のときに不利益がまた生じてしまう、大変プライバシーに関わる離婚ということが、その氏が変わることによって世間にさらさなければいけないという、そういう問題もございます。
そこでお伺いしますけれども、離婚、この十年間で件数をお示しをいただければと思います。

○竹内政府参考人

お答えいたします。
直近十年間、平成二十五年度からの離婚の届出件数ですが、次のとおりです。平成二十五年度二十三万四千三百四十九件、二十六年度二十二万八千二百十八件、二十七年度二十二万九千八十四件、二十八年度二十一万九千三百五十八件、二十九年度二十一万三千八百八十二件、三十年度二十一万二千五百七件、令和元年度二十一万二千四百六十三件、二年度十九万一千六百九十一件、三年度十八万三千九百八十一件、令和四年度十八万四千三百四十三件でございまして、直近十年間の離婚の届出件数は合計で二百十万九千八百七十六件であります。

○本村伸子

離婚というプライベートなことを旧姓に戻すことによって世間にさらさなければいけない、様々な手続で旧姓に変えなければいけないということで不利益が生じております。その点、大臣はどのようにお考えでしょうか。

○小泉国務大臣

御指摘は、結婚後に生ずる不利益だけではなくて、離婚後、離婚によって生ずる不利益もあるという御指摘だと思います。
そうした様々な不利益、支障が生じているとの声、これをしっかりと我々は承知をしておりますし、また、昨今の社会情勢に十分配慮していく必要があると考えております。

○本村伸子

離婚する際もかなりの不利益があるんだということを是非分かっていただきたいというふうに思っております。
それで、別姓にすると子供がかわいそうだという御認識の方もいらっしゃるんですけれども、父母どちらかと姓が違う子供はこの日本の中に何人ぐらいいるのかということをお示しをいただきたいと思います。

○竹内政府参考人

お答えいたします。
申し訳ありません。当局においては、そのような数値を把握しておらず、特に推計もしていないところでございます。

○本村伸子

この日本の社会の中には、事実婚の方々の子供さん、シングルマザーの方々、シングルファーザーの方々、また、別の事情で父親、母親、保護者の方と名字が同じではない子供は多いわけです。
別姓にすると子供がかわいそうという方がみえるんですけれども、子供さん自身が、そうじゃない、名字は関係ない、自分が大切にされているか、自分が愛されているか、こういうことがやはりキーというふうになるというふうに思います。
既に名字、姓が違う子供たちはたくさんいるわけで、そういう全ての子供たちが幸せになるように、そういう、姓が同じだから幸せ、姓が違うから不幸せという、そんなことじゃないんだということを、是非、法務省の方にもそういうことを広報していただきたいんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

○小泉国務大臣

広報…………(本村伸子「はい。啓発」と呼ぶ)法務省から、社会に向かってですか。そういう御議論も当然あり得ると思いますが、他方で、平成二十七年の最高裁判決は、氏には、家族の呼称としての意義があり、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位として捉えられるので、その呼称を一つに定めることには相応の合理性が認
められるという判示もございます。
おっしゃる趣旨はよく分かりますが、社会全体における家族の在り方に関わる問題でありますので、より幅広い、それぞれのお立場で議論を広げていただき、そして、より広い国民の理解、そういったものにつながっていくことを、我々は望ましい道だと思っています。

○本村伸子

家族の在り方、価値観は様々だからこそ、選択的夫婦別姓にしてほしいということなんです。
家族の在り方に関する価値観は様々ですけれども、現在は、国家が家族は同姓であるべきという価値観を押しつけていると私は考えております。
普遍的価値である個人の尊厳、人権に重きを置き、選択的夫婦別姓を実現するべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○小泉国務大臣

国が押しつけているものではないと思います。家族というものが自然発生的に生まれ、そして、統一的な呼称を持つことによって社会生活が営まれ、国民が形成してきた一つの社会制度だと思います。ですから、国民の考え方が変わっていけば、それに応じてこれは変更するべきもの、未来永劫のものではございません。

○本村伸子

個人の尊厳を大切にする、そうした立場から選択的夫婦別姓を是非実現していただきたいと思います。
人権を保障することに足を引っ張ることをもうやめていただきたいということを強く求めて、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。

 

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