もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2018年 6月 12日 第196国会 総務委員会

NHKの信頼傷つける  13年度決算に反対

2018年6月18日(月) しんぶん赤旗

NHKの信頼傷つける 本村氏 13年度決算に反対

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(写真)質問する本村伸子議員=12日、衆院総務委

 日本共産党の本村伸子議員はNHK決算を審議した12日の衆院総務委員会で2012年度決算に賛成し、「政府が右というものを左とはいえない」などの発言を繰り返した籾井勝人前会長が就任した13年度決算には反対しました。

 本村氏は、上田良一会長が経営委員のときに経営委員会として籾井前会長を3度厳重注意した事実を示し、放送法への不理解を露呈した籾井氏の発言がNHKの信頼を大きく傷つけたことは重大だと指摘。上田氏は自主自律、公平公正、不偏不党を貫くと述べた上で「会長には高い倫理観と説明責任が求められる。よく自覚し、自ら厳しく律する」と答えました。本村氏は、森友問題を取材していたNHK記者が取材部門から外された人事異動に対する研究者・弁護士有志の要請にふれ、現場を萎縮させないよう対策を求めました。

 本村氏は、内閣府の規制改革推進会議が放送のインターネット常時同時配信について「早期に結論を得る」と答申したことを質問。野田聖子総務相は「特段のスケジュールは決めていない。国民・視聴者の理解を得ることが重要だ」と答えました。本村氏は、同会議では放送と通信の融合の議論を行うとしており、放送局での制作と送信の分離や、放送法4条(政治的公平)撤廃の議論について懸念を示しました。

議事録

○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 本日は、二〇一二年度、二〇一三年度のNHK決算の審議ですけれども、まず冒頭、二〇一三年七月、NHK記者だった佐戸未和さんが過労死をされました。心から哀悼の意をささげたいと思います。
 このNHK過労死事件については、NHKの予算審議の際にも質問をさせていただきましたけれども、その佐戸未和さんのお母様は、熱心に国会や官邸前に来られております。五月三十一日、衆議院で強行され、今参議院の審議に入っております働き方改革一括法案に、全国過労死を考える家族の会の皆様とともに強く反対を訴えられております。
 お母様は、未和は私の宝、生きる希望、そして支えでした、過労死で我が子に先立たれるのは地獄の苦しみです、もう二度と心から笑えなくなりました、私たちと同じ苦しみを背負う人をふやしたくないと訴えられております。そして、労働時間を管理しない高度プロフェッショナル制度は、過労死をしても労災認定が難しくなる、自由に働けるなんて机上の空論です、過労死促進法と言われている法案を成立させるわけにはいかないというふうに訴えられております。
 野田大臣には、内閣の一員として、そして与党の皆様にも、こうした御遺族の悲痛な声に応えて、強行はやめ、廃案にするべきだということも強く申し述べたいというふうに思います。
 今回の決算の内容ですけれども、二〇一三年度の年度途中、二〇一四年一月に籾井会長が就任をいたしました。就任会見で、政府が右と言うものを左とは言えないという発言をされました。上田会長は、当時のNHK経営委員としてNHKの経営にかかわっておられました。経営委員として、三度にわたって異例の厳重注意を籾井会長、当時のNHK会長にしておられます。
 三度にわたる厳重注意というのは一体どういうものなのか、詳し目にお示しをいただきたいというふうに思います。そして、なぜ厳重注意をしたのかという点、お示しをいただきたいと思います。

○上田参考人 お答えいたします。
 御指摘の前会長に対する三度の注意と申しますのは、まず一つは、就任会見の発言に対する注意、これは平成二十六年一月のものです。それから二つ目は、経営委員会での発言に対する注意、これは平成二十六年二月のものです。それから三つ目は、ハイヤー利用をめぐる経理処理に対する注意、これは平成二十七年四月に行ったもので、この三度の注意だと承知いたしております。
 その理由につきましては、経営委員会は、当時、会長というみずから置かれた立場に対する理解が不十分であったことや、ハイヤーの経理処理について、支払いに関する注意喚起や適切な指示を怠った責任があったことを指摘したというふうに承知いたしております。

○本村委員 重大なことは、籾井当時の会長が、その後も放送法に背く発言を繰り返し、視聴者の皆さんや国民の皆さんの信頼を取り戻されることなく、そういう発言を続けてきたという問題でございます。
 NHKにお伺いをしますと、NHKの全ての役職員の皆さんが放送ガイドラインを胸に番組制作に当たっているというふうにお聞きをしておりますけれども、そのNHKの放送ガイドラインの冒頭には、こううたわれております。
  NHKは、公共放送として、憲法で保障された表現の自由のもと、正確で公平・公正な情報や豊かで良質な番組を幅広く提供し、健全な民主主義の発展と文化の向上に寄与する。
  この役割を果たすため、報道機関として不偏不党の立場を守り、番組編集の自由を確保し、何人からも干渉されない。ニュースや番組が、外からの圧力や働きかけによって左右されてはならない。NHKは放送の自主・自律を堅持する。
  全役職員は、放送の自主・自律の堅持が信頼される公共放送の生命線であるとの認識に基づき、すべての業務にあたる。
というふうに書かれております。
 この放送ガイドラインに照らしても、やはり籾井氏の繰り返された発言については、大変重大な問題だというふうに思っております。
 日本共産党は、二〇一三年のNHK予算の承認には賛成をいたしました。しかし、年度途中にNHK会長に就任した籾井氏の就任会見時の発言を始めとする一連の発言が、一時的な問題にとどまらず、視聴者の皆さんや国民の皆さんのNHKに対する信頼を大きく傷つけた事態は非常に重大だというふうに認識をしております。
 NHKは、今もなお、視聴者の皆さんや国民の皆さんの信頼を回復する途上にあるという認識を絶えず持つべきだというふうに思いますけれども、会長の御認識を伺いたいと思います。

○上田参考人 お答えいたします。
 NHKのよって立つところは、視聴者・国民の皆様からの信頼であり、その信頼を得るための取組に終わりはなく、不断に追求すべきものであると考えております。
 こうした認識のもと、NHKは、放送法や、先ほど本村先生から引用がありました放送ガイドラインにのっとり、自主自律、公平公正、不偏不党を貫いて放送に当たっておりまして、今後ともこの姿勢に変わりはありません。
 また、公共放送のトップである会長、私には、高い倫理観と説明責任が求められているということであり、この点をよく自覚し、引き続き、みずからも厳しく律して行動してまいりたいと考えております。

○本村委員 更に会長にお伺いをしたいと思うんですけれども、今、森友学園の疑惑や加計学園の疑惑を始め、国政の私物化と権力の濫用など、日本の民主主義の根本が問われる事態となっております。
 こうした中で、森友学園の問題で貴重なスクープをしてきたNHK大阪放送局の記者の考査室への人事異動についての報道がございます。このことについて、国民の皆さんからさまざま疑念の声があるわけでございます。
 NHKの職員の人事についてはNHKの判断で行うというのは当然のことでございますけれども、しかし、視聴者の皆さんや国民の皆さんから疑念が持たれているという点からお伺いをしたいというふうに思っております。
 研究者、弁護士の有志の方々、この中には元NHKの経営委員の方も入っておりますけれども、その方々から、今月初め、六月一日に、NHK会長宛てに要請書が提出をされております。権力監視報道に立ち戻り、報道現場の萎縮克服を求めますという要請でございます。
 こういう問題意識に今耳を傾けるべきだというふうに思うわけでございます。
 要請項目、幾つか御紹介をしたいと思いますけれども、受信料で支えられている公共放送機関としてのNHKは、権力から独立して自主自律の放送を貫く中、権力を監視し、国民の知る権利に応える放送を続けているという視聴者の信頼を得ていることが大前提です、NHKが日々の報道でも人事においても、こうした前提をみずから壊すような言動は視聴者への背信行為であり、厳に戒めること、NHK報道局の上層部は取材、番組制作の現場の職員を萎縮させるような人事権を含む権限の濫用を退け、事柄の核心に迫ろうとする意欲的な取材、番組制作への職員のモチベーションを支え、高めるような役割と職責を果たすべきという要請内容、一部紹介をさせていただきました。
 この要請書は会長宛てに出されているものでございます。会長にも届いているはずだというふうに思いますけれども、この御指摘、どういうふうに受けとめておられますでしょうか。

○上田参考人 お答えいたします。
 NHKといたしましては、ニュースや番組は、報道機関として自主的な編集判断に基づいて放送いたしております。NHKは、公平公正、自主自律を貫き、視聴者の判断のよりどころとなる情報を多角的に伝えていくことが役割だと考えております。

○本村委員 報道局など取材、番組作成の現場の職員を萎縮させることがないようにということがとても大事な点だというふうに思っております。
 全職員の方々の共通認識となるような、あるいは視聴者の方々に、国民の皆さんに、NHKはこうしています、萎縮をさせないんだということを宣言するような、良心条項と呼ばれるような、経営陣や上層部の編集方針を、その良心から、あるいは専門職能としての価値規範と本人が考えるものから見て、拒否をするということができる、拒否しても不利益をこうむることがないというような保証を仕組みとして、現場が自由に物が言えるような、そういう雰囲気を仕組みとして、国民の皆さんにもしっかりと明らかにしていただきたいというふうに思いますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。

○上田参考人 お答えいたします。
 NHKは、公共放送あるいは今変革しようとしている公共メディアとして、自主自律に基づき、公平公正、不偏不党の立場で情報を多角的に伝えていくという、先ほど申し上げましたような役割をしっかりと果たしていきたいというふうに考えております。

○本村委員 ぜひシステムとして、仕組みとして、しっかりと条文として明記をして、取材、番組作成の現場の職員の方々が萎縮することがないようにということを明確にしていただきたいというふうに思います。
 次に、インターネットの常時同時配信について、先ほど来いろいろ議論がありましたけれども、私からも伺いたいというふうに思います。
 先ほど来議論がありますように、規制改革推進会議の第三次答申では、通信・放送の枠を超えた新たなプラットホーム、配信基盤の構築に向けた環境整備、NHKの常時同時配信の是非について早期に結論を得ること、そして同時配信に係る著作権処理の円滑化などが盛り込まれました。
 その具体的な検討は総務省に託されているというふうに思っておりますけれども、一方、上田会長は、七日の定例会見の中でも、東京五輪・パラリンピック前の二〇一九年度に開始したいという考えは変わりないというふうにしております。
 総務大臣にお伺いをいたしますけれども、常時同時配信となれば、放送法の改正が必要だというふうに思います。早期に結論を得るということは、いつまでにという認識なのか、先ほども御答弁ありましたけれども、また改めてお願いしたいと思います。

○野田国務大臣 本村委員にお答えいたします。
 NHKの常時同時配信については、現在、総務省の有識者検討会において、取りまとめに向けた検討を進めているところです。公共放送としてのあるべき姿について活発な議論をしていただいて、放送全体として、新たな技術にも対応した発展を目指していただくことを期待しているところです。
 現時点では、常時同時配信について特段のスケジュールを決めているわけではありません。受信料制度を含めて、公共放送のあり方について、国民・視聴者の理解を得ていくことが何より重要であり、引き続き丁寧に議論をしていきたいと思っているところです。

○本村委員 総務省は、昨年七月なんですけれども、NHKが同時配信を開始するに当たって、三つの要件というものを出されております。
 一つが、放送の補完的な位置づけとして、国民・視聴者の十分な支持を得るとともに、具体的なニーズを明らかにすること、二点目が、既存の事業全体について、公共放送として適当であるか検討を進めること、三つ目が、関連団体への業務委託の透明性と適正性を更に高めることということで要件を出されておりますけれども、野田大臣もこの要件については踏襲しているというふうにお伺いをしております。
 ニーズの問題なんですけれども、NHKは配信実験をしております。二〇一六年の実験では、インターネットの同時配信の利用率は六%という結果だったんですけれども、昨年、二〇一七年十月から十一月の実験では五九%というふうになっておりまして、NHK幹部の方が、継続利用に手応えを得たというふうにしております。
 しかし、これは単純には比較ができない数字なんだ、十分な裏づけになっていないですとか、あるいは、先ほど五九・〇%と申し上げましたのは、一秒以上利用したという数値ですので、十分、三十分などの長い時間の利用者の割合も出さないと本当のニーズがわからないということなど、民間放送関係者の方々も含めて、指摘がございます。
 この調査が、先ほど言ったニーズを調べるのに十分な調査だと総務省として考えているのか、お示しをいただきたいと思います。

○山田政府参考人 お答え申し上げます。
 NHKが昨年度行いましたネット同時配信の一般向け調査におきましては、今御指摘のありました、一秒以上サービスを利用した方が全体の約五九%、また、日別平均の利用率約二〇%などとする結果を公表したことは承知しており、一定程度のニーズが示されたものと受けとめております。
 ただ、この結果につきましては、あらかじめNHKの同時配信実験と明示した上でモニターを募集した、あるいは、実験について毎日複数回アプリでプッシュ通知するなど積極的な周知を行ったなど、一昨年の実験とは手法が異なっておりまして、その結果を単純比較することは難しいと考えているところでございます。

○本村委員 これは十分な政策判断を行うエビデンスになっていると大臣はお考えでしょうか。

○野田国務大臣 今局長が報告したとおりで、それをしっかり検討材料として議論をしていただいていると理解しています。

○本村委員 なかなか、この調査については、にわかには十分なエビデンスとは言えないような内容だというふうに思いますので、しっかりと総務省としても検証をしていただきたいというふうに思っております。
 最後ですけれども、第三次答申では、ハード、ソフトの分離について、本格的には言及をされておりません。そして、放送法四条の撤廃についても、懸念されたような言及は見送られております。しかし、規制改革推進会議の議論では、これらはまだ排除されていないというふうに認識をしております。
 規制改革推進会議の投資等ワーキング・グループがことし四月十六日に論点整理をしましたけれども、原座長は、放送法四条撤廃やハード、ソフトの分離の議論についても、通信・放送の融合の妨げになるということであれば、今後も考えられるのかという記者の質問に対して、何がこれからの課題になるのかということを幅広く議論していくというふうに言っております。
 規制改革推進会議の議論は今後も続くわけでございます。その行方によっては、NHKが同時配信の開始に当たって措置するという内容についても、今後ともそれが継続されるということでもないのではないかというふうに思うわけでございます。
 常時同時配信をとにかく開始して、国民の皆さんの理解なしに広げていくやり方はとるべきではないというふうに思いますけれども、最後に総務大臣にお伺いしたいと思います。

○野田国務大臣 お答えいたします。
 NHKの常時同時配信については、現在、総務省にあります有識者検討会において、取りまとめに向けた検討を進めているところです。
 常時同時配信を含めた公共放送のあり方を検討するに当たっては、何よりも国民・視聴者の理解を得ていくことが重要であり、引き続き、さまざまな関係者の御意見を承りながら、丁寧に議論をしてまいります。

○本村委員 ありがとうございました。終わります。

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