もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2018年 3月 22日 第196国会 総務委員会

NHK予算審議 記者過労死事件、受信料問題

2018年3月23日(金) しんぶん赤旗

過労死出さぬ決意 NHKはあるのか 本村氏質問に会長「協定見直す」

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(写真)質問する本村伸子議員=22日、衆院総務委

 日本共産党の本村伸子議員は22日、衆院総務委員会で、NHK記者の過労死事件、受信料問題について質問しました。

 本村氏は、2013年7月、過労死した佐戸未和さん=当時(31)=の母親が「亡くなる直前の1カ月間の時間外労働は209時間。社員の労働時間管理は上司の責任ではないか」と訴えていることを紹介。「NHKが社員の労働時間管理を徹底していなかった。こんな異常な働かせ方を放置していた責任は重大だ」とのべました。

 事業場外みなし労働時間制を適用していた問題や、昨年4月から専門業務型裁量労働制へ変更し、昨年12月、NHKが渋谷労働基準監督署から、みなし労働時間の見直しを求める指導を受けていることにふれ、「絶対に過労死を出さない決意でやっているのか疑問」と指摘。「どんな労働時間制であっても残業時間は過労死ラインの月80時間未満とするべきだ」とただしました。

 上田良一会長は「こうした基準をふまえて協定を見直したい」と答えました。

 受信料問題では、本村氏は、消費者センターにNHKに関する相談が増えていることにふれながら、「法人委託では訪問員の勤続年数が短く、教育訓練が行き届かないのではないか」「歩合制の給与で数をあげようと乱暴な対応になるのではないか」と追及しました。

 「NHKが視聴率に左右されず、自主的、自立的、公平公正に大事なことを放送できる土台は受信料」として、「(契約は合憲とした)最高裁判決を振りかざして徴収強化など、生存権を脅かすような無理な徴収は絶対にやってはならない。受信料や契約取り次ぎにかかわる訪問員を職員として待遇をよくして、丁寧な対応ができる条件をつくるべきではないか」とただしました。

 上田会長は「契約にあたっては、今後とも公共放送のあり方、受信料制度について、丁寧に説明していく」とのべました。

 

議事録

○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。
 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず冒頭、森友学園国有地売却公文書改ざん問題では、国民主権、民主主義の根幹が崩される大問題でございます。なぜ改ざんに至ったのか、政治の関与、圧力がなかったのか、解明をするためにも、二十七日の佐川宣寿元国税庁長官に対する証人喚問にとどまらず、安倍昭恵氏、そして交渉当時の理財局長であった迫田英典氏、そして昭恵氏付職員だった谷査恵子氏の証人喚問をし、疑惑と改ざん事件の真相を解明することを政府そして与党の皆さんに強く求めたいというふうに思います。
 総務省は、行政監視そして情報公開法所管でございます。この分野にもかかわる問題でございますので、ぜひそのことを強く求めておきたいと思います。
 きょうは、NHK予算にかかわる質疑ということですけれども、NHKにおいて過労死を二度と起こさせないために過労死事件の問題、そして受信料をめぐる問題について、質問をさせていただきたいと思います。
 NHK首都圏放送センターに配属をされ、記者として働いていた佐戸未和さん、三十一歳。二〇一三年七月二十四日、参議院選挙の後に、うっ血性心不全で亡くなられました。二〇一四年五月に過労死認定され、労災死とされました。心から哀悼の意をささげたいというふうに思います。
 そして、きょうも午前中から傍聴に来られておりますけれども、宝物であった佐戸未和さんを亡くされた御両親を始め御遺族の方々に心からお悔やみを申し上げたいというふうに思います。
 佐戸未和さんが亡くなられた二〇一三年は、六月には東京都議会議員選挙、七月は参議院選挙でございました。お母様は、先日、御遺族のお一人として、そして東京過労死を考える家族の会のお一人として、新宿の街頭でお話をされております。その一部を御紹介をさせていただきたいと思います。
 勤務記録表を見たとき、私たちは泣きました、こんなむちゃな働き方をしていたのかと。都内各地での候補者や政党の取材、演説への同行、出口調査、街頭調査、局内では夜中の票読み会議、形勢展望会議、選挙情勢についてのテレビ報道やテレビ出演、当確判定業務などに奔走し、土曜も日曜もなく連日深夜まで働いており、異常な勤務状況でした。まともに睡眠をとっていませんでした。私たちが調べた結果、亡くなる直前の一カ月の時間外労働時間は二百九時間、その前の月は百八十八時間でした。上司は死後、記者は時間管理ではなく、裁量労働で個人事業主のようなものと何度も言いました。死んでいった未和が悪かったと言われているようでした。社員の労働時間の管理は上司の責任ではありませんか。
 こう語られておられました。
 NHKが社員の労働時間管理を徹底させていなかった、こんな異常な働かせ方をしていた、このNHKの責任というのは本当に重大だというふうに思います。
 佐戸未和さんが勤務していた首都圏放送センターでは、労働時間の把握はできない勤務だったんでしょうか。NHKのさまざまな力を注いでも、上司は絶対に労働時間を把握できないような勤務だったんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

○根本参考人 お答えを申し上げます。
 今、先ほど佐戸未和さんのお母様の声を紹介されましたけれども、再三会長からも申し述べておりますように、私たちにとりまして、若く未来のある佐戸記者が亡くなったことは痛恨のきわみというふうに考えております。私からも心からお悔やみ申し上げたいというふうに思っております。
 佐戸さんが過労死の労災認定を受けたということにつきましては大変重く受けとめております。当時、記者は事業場外みなし労働時間制という勤務制度を適用しておりましたけれども、勤務時間はタイムレコーダーの記録や記者自身がシステムに入力した勤務の始まりと終わりの時間を上司が承認する形で把握しておりました。佐戸さんの過労死を防ぎ切れなかったということは、やはり勤務状況に応じた健康確保措置の実施や意識の面などで不十分なところがあったのではないかと考えているところでございます。

○本村委員 労働時間を把握していたという御答弁だったというふうに思います。
 佐戸未和さんは首都圏放送センターで働いてみえましたけれども、そこには労働時間を把握する上司もいたし、何人かのグループだったわけでございます。そもそも、事業場外労働みなし労働制の対象となる業務だったのかという疑問があるわけでございます。
 そこで、厚生労働省に伺いますけれども、一般論として、事業場外労働みなし労働制の対象とならない業務、お答えをいただきたいと思います。

○土屋政府参考人 お答え申し上げます。
 労働基準法第三十八条の二に規定をする事業場外労働に関するみなし労働時間制の対象となりますのは、労働者が事業場外で業務に従事をし、かつ、使用者の具体的な指揮監督が及ばず労働時間を算定することが困難な業務ということでございます。
 したがいまして、例えば、何人かのグループで事業場外労働に従事する場合で、そのメンバーの中に労働時間の管理をする者がいる場合や、事業場外で業務に従事をするけれども、無線などによりまして随時使用者の指示を受けながら労働している場合、あるいは、事業場において、訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的な指示を受けた後に、事業場外で指示どおりに業務に従事をし、その後事業場に戻るといったような場合には、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合として労働時間の算定が可能であるので、みなし労働時間制の適用はないというふうに考えております。

○本村委員 今のお答えを見ましても、やはりポイントは、労働時間を算定しがたいときはということがポイントだというふうに思いますけれども、やはりNHKが佐戸未和さん始め記者の皆さんを事業場外労働みなし労働制にしてしまう中で、本来はそういう業務じゃなかったかもしれないわけですけれども、可能性が高いわけですけれども、そういう中で佐戸未和さんが犠牲になられたのではないかということで、このことも本当に悔やまれるわけでございます。二度と過労死をさせないために、厳しい労働時間管理というものがどうしても必要だというふうに思います。
 佐戸未和さんの過労死を受けて、記者の方々については、先ほども議論がありましたけれども、事業場外みなし労働時間制から、二〇一七年四月から専門業務型の裁量労働制に変えたということですけれども、例えばソニーの専門業務型裁量労働制では七時間四十五分がみなし所定就業時間だった、二〇一五年のケースですけれども、体調を崩したある労働者の方は残業にかわる手当が月二十五時間分相当で、これは年間三百時間分だった、しかし、実際には残業は年七百八十時間だった、手当を上回る残業は年四百八十時間だった、深夜の割増し賃金も支払われていなかったということで報道をされております。
 そこで伺いますけれども、NHKは記者の皆さん約九百人に専門業務型裁量労働制を適用しているわけですけれども、先ほども答弁あったんですけれども、みなし労働時間は何時間なのか、そして残業にかかわる手当というものがあるのであれば残業を月何時間と見ているのか、そして一日の所定労働時間、協定で定める時間ですね、労働基準監督署長の方に届けている時間、どうなっておりますでしょうか。

○根本参考人 記者など専門業務型裁量労働制の適用業務につきましては、その性質上、業務の具体的な遂行を労働者の裁量に委ねる必要があるために、使用者の具体的な指揮監督になじまず、通常の方法による労働時間の算定が適切でない業務とされているというふうに承知しております。
 現在の記者の専門業務型裁量労働制では、所定労働時間は七・五時間、これをみなし労働時間としておりまして、いわゆる残業時間という考え方はございません。しかし、深夜労働、休日労働につきましては、法律に基づき、時間把握を行い、働いた時間に応じて割増し賃金を支払っております。
 また、タイムレコーダー等により記録した出勤、退勤時刻をもとに、休憩時間も含めた勤務時間を暦月積算したものを健康管理時間として把握しております。この時間数に応じて段階的な健康確保措置をとるということになっております。
 今、専門業務型裁量労働制の内容につきましては、ちょうど労使で協議中でございまして、詳細は差し控えたいと思いますけれども、記者の健康確保を一層推進する観点から、記者の実態を踏まえて、健康確保措置の強化、そしてみなし労働時間の見直しというものを図ってまいりたいというふうに考えております。

○本村委員 ソニーのように実際の労働時間と乖離があってはならないというふうに思います。
 昨年の十二月七日、参議院総務委員会で日本共産党の山下芳生参議院議員が取り上げましたけれども、二〇一七年四月からは専門業務型裁量労働制に変わったということですけれども、この専門業務型裁量労働制の適用者に対する健康確保措置、一段階から四段階まであるわけですけれども、健康管理時間に対応した健康確保措置を行うというふうになっていると思います。
 健康管理時間というのは出勤時間と退勤時間の間の時間を暦月算定した時間、休憩等を含む時間ということですけれども、佐戸未和さんの亡くなる一カ月前の総拘束時間は三百四十九時間でございました。七月は二百九時間も時間外労働をしているわけでございます。健康確保措置は一段階から四段階までのうちでも一番軽い措置の第一段階にとどまっている、未和さんは第一段階で亡くなっている、未和さんの教訓が生かされていないではないかということで山下芳生議員が質問をいたしました。そのときに根本理事からお話が、御答弁があったんですけれども、「まだまだ記者の勤務の在り方につきましては改善をするべき点があると思いますので、見直しをできる点につきましては速やかに検討を進めてまいりたい」、こう答弁をされましたけれども、その後、どう見直されているんでしょうか。

○根本参考人 NHKでは、昨年十二月七日に公表しました「NHKグループ 働き方改革宣言」にのっとりまして、今さまざまな取組を進めているところでございます。
 記者の働き方でいいますと、まず、現在、記者に適用している専門業務型裁量労働制の内容につきまして、現在、労使協議中ではございますけれども、記者の健康確保を一層強化するという観点から、現在の健康確保措置を拡大するとともに、みなし労働時間の見直しを図りたいというふうに考えております。
 また、休暇取得の推進を図っております。年度内に九連続休暇を一回、五連続休暇を一回、三連続休暇を三回、こうした連続休暇の完全取得を目指す。そして、緊急時にも原則呼び出しを行わない休日を設ける、いわゆる必ず休む必休制というものも運用を行うようにいたしました。
 また、具体的な記者の業務改革でございますけれども、例えば、拠点局を除く地域放送局の記者の泊まり業務について、緊急対応の準備を進めながら、段階的に廃止していくということも目指しております。また、本部の泊まり業務につきましても、要員を確保して負担感を減らす取組を行っているところです。
 そして、適切な勤務管理でございますけれども、深夜、休日労働の事前申告、そして上司の把握というものを徹底するほか、外勤の多い記者の勤務を迅速、正確に把握するために、業務用スマートフォンでの勤務打刻もできるシステムをこの三月から試験的に導入いたしました。
 こうした取組を積極的に行いまして、今後とも記者の健康確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

○本村委員 二〇一七年四月に専門業務型裁量労働制になり、そして、その導入されてから、二〇一七年十二月十四日に労働基準監督署から、専門業務型裁量労働制の協定内容について労使で検証し、適切な水準のみなし労働時間を定めることと指導をされているわけですけれども、実際に、みなし労働時間と実際の労働時間と乖離があったということですね。

○根本参考人 今、記者勤務につきましては、先ほど申しましたように、労使で協議中でございますので、ちょっと詳細は差し控えたいというふうに思っております。よろしくお願いします。

○本村委員 実際の労働時間とみなし労働時間と乖離があったということでよろしいでしょうか。労使協定の前提だと思うんですけれども。

○根本参考人 お答えいたします。
 裁量労働制では、みなし労働時間が適用されても、深夜労働や休日労働については、別途割増し賃金の支払いが必要というふうにされておりまして、協会では、法の定めに基づいて、記者が休日及び深夜に労働した時間については把握して、そして割増し賃金を支給しておりますので、ソニーのような、御指摘のような乖離はないというふうに考えております。

○本村委員 じゃ、記者の皆さんの労働時間は七時間半だったということでよろしいでしょうか、実労働時間が。

○根本参考人 現行のみなし労働時間、七・五時間につきましては、労使合意の末に定めたものでございまして、労基署に届けたということでございますけれども、昨年、その労基署から、もう一度みなし労働時間につきまして、労使で検証して、その結果に応じて適切な水準に定めるようにという求めがございましたので、今その実態に即した見直しをできるように労使で協議をしているということでございます。

○本村委員 今の御答弁を聞いても、やはり実際の労働時間とみなし労働時間に乖離があったということだというふうに思います。
 労使協定で定めるみなし時間というのは、業務の遂行に通常必要となる時間ということで、やはり、七時間半ということは、実態と乖離しているということだというふうに思います。実質、サービス残業になっていたということでございます。
 御遺族の方がどういう悲痛な思いで皆さんに生き抜いてほしいと言われているのか、NHK全体として本当に真剣に受けとめているのかということが問われております。
 未和さんが亡くなられても労働基準監督署から指導を受けるようでは、真剣に佐戸未和さんの過労死を重く受けとめ、絶対に過労死を出さない決意でやっているのかということの疑問が湧くわけでございます。もっと真剣に御遺族の方々の声を聞き、向き合っていただきたいと思います。社員全員で佐戸未和さんの御遺族のお話を聞くなど、ぜひ徹底をしていただきたいと思いますけれども、これは会長に、ぜひ、先ほども答弁ありましたけれども、いま一度お願いしたいと思います。

○上田参考人 お答えいたします。
 今御指摘ありましたように、私も何度も答弁させていただいていますように、この件に関してはしっかりと対応していきたいと考えておりますけれども、過重労働で健康を害するというのはもう最悪の事態なので、こういった労働時間を適切に管理して、過労死ラインを意識して長時間労働を抑制していくことは当然であるというふうに考えております。一人一人の働き方に丁寧に目を配っていくことが基本だと認識いたしております。
 専門業務型裁量労働制を導入している記者につきましても、休日をきちんと確保するとともに、勤務状況をしっかりと把握し、勤務時間の段階に応じた健康確保措置を確実に実施してまいります。
 昨年十二月に公表いたしました「NHKグループ 働き方改革宣言」に掲げましたように、NHKで働く全ての人の健康を守ることを最大の目標として、長時間労働に頼らない組織風土づくりなど、働き方改革に不断に取り組んでまいりたいと思っていますし、経営計画の中でも、働き方改革というのを最大の経営課題というふうに掲げて、それにしっかりと対応していきたいというふうに考えております。

○本村委員 もう一点確認をさせていただきたいんですけれども、NHK全体として働き方改革をやるんだとおっしゃっておりますけれども、残業時間の上限を定める三六協定、そして特別条項、佐戸未和さんの過労死を受けてどのように改善されてきたのか、お示しをいただきたいと思います。

○根本参考人 再三申しておりますけれども、佐戸未和さんの過労死を重く受けとめ、NHK全体で今働き方改革を推進しているところでございます。
 記者を除く一般職でいえば、二十五年度と比べて、年間総労働時間は平成二十八年度で四十九時間の減少をしておりまして、二十九年度も、現時点で二十八年度を下回る見込みというふうになっております。これは、長時間労働に頼らない組織風土をつくるということで、意識改革、業務改革等を今進めている途上でございますけれども、数値としては減少傾向にあるということです。
 また、記者につきましても、専門業務型裁量労働制の導入前後で比較しますと、休日の確保は着実に進んでおりまして、上半期で、月に平均一日程度ですが、ふえております。
 以上でございます。

○本村委員 質問は、三六協定、特別条項はどうなっているかという質問なんですけれども、ちょっと時間がないので、事前に聞いておりますけれども、特に特別条項を引き下げる労使協議をしているということをお伺いしております。
 最後に、この問題では最後なんですけれども、NHKでは、労働時間をしっかりと管理をし、どんな労働時間制であっても、残業時間、普通の通常の所定内労働時間以上の残業時間という意味ですけれども、過労死ライン月八十時間未満にするべきだと思いますけれども、会長の答弁をお願いしたいと思います。

○上田参考人 お答えいたします。
 協会の三六協定は、一日、先ほどから何度も出ていますけれども、七・五時間の所要労働時間を超える時間数と全ての休日労働とを合算した時間数を制限しております。このため、協会の労働時間の上限と法定労働時間に基づく過労死ラインを単純に比較できないという問題がありますが、こうした基準を踏まえまして、協定を見直したいと考えております。
 なお、三六協定は労使協議事項であり、内容の詳細は差し控えさせていただきたいというふうに思います。

○本村委員 御遺族の方の二度と過労死を出さないための痛切な思いを重く受けとめ、ぜひ御遺族の方々としっかり向き合って、人間らしい働き方をNHKで実現することを強く求めたいというふうに思います。引き続きこの点は追っていきたいというふうに思います。
 次に、受信料にかかわる問題について質問をいたします。
 放送法は、NHKがその使命を他者、特に政府からの干渉を受けることなく自主的に達成できるように基本的事項を定めております。NHKが公共放送を担う事業者として皆様に信頼を寄せていただく会社になって、そして健全な民主主義の発達に資するような、公平公正なよりよい番組をつくって、そして皆様に、自分たちの放送局だ、支えていこうというふうに思っていただき、受信料を払っていただく努力が不可欠だと思いますけれども、会長の認識を伺いたいと思います。

○上田参考人 お答えいたします。
 NHKは、正確で公平公正な情報提供や、安全、安心への貢献、豊かで質の高い文化の創造といった公共的価値の実現を追求してまいりました。これからも、さらなる実現度の向上を目指し、放送と通信の融合時代に、いつでも、どこでも視聴者の皆様の期待にしっかりと応えられる情報の社会的基盤としての役割を果たしてまいりたいというふうに考えております。
 受信料の公平負担につきましては、これを徹底することが重要であると認識しておりまして、新三カ年計画においても、支払い率を毎年度一ポイントずつ向上させる計画としておりますけれども、受信料の契約収納活動につきましては、社会経済状況の変化により影響を受ける部分もあると認識いたしておりますが、受信料制度の理解促進を図るとともに、面接が困難な方への活動を一層強化していくこと等により、支払い率を向上させていくことに努力したいというふうに考えております。

○本村委員 健全な民主主義の発達に資するような公平公正なよい番組をつくって、自分たちの放送局だ、応援していこうとなるような努力を一層していただきたいということを強く求めたいと思います。
 受信料を支払ってもらうために、契約のために回ってみえる方々の現場感覚ですと、本当に払えない世帯もあるんだと。二〇一八年度は支払い率八一%にするんだと数値目標をNHKは持ってみえますけれども、視聴者・住民の皆様の生活実態というものをどのように認識されておられるのか。
 その点もお伺いしたいんですけれども、日本の中で所得が最も少ない一〇%の層の所得というのは、一九九九年百六十二万円だったものが、安倍政権になってからの二〇一四年では百三十四万円と、この点では下がり続けているわけです。貧困は深刻になっております。今、所得だけに注目した受信料の減免制度というのは、生活保護の方だけというふうになっておりますけれども、生活保護の世帯だけではなく、生活保護を利用していない低所得の方々、減免制度を広げるべきじゃないかと思いますけれども、会長の答弁をお願いしたいと思います。

○上田参考人 お答えいたします。
 受信料の免除は、NHKの放送の普及という使命に照らしまして、教育的な見地や社会福祉的見地等に立脚しながら運用いたしております。
 その上で、次期三カ年経営計画におきましては、社会福祉的見地からの受信料の負担軽減策として、社会福祉施設への免除拡大と、経済要件を課した奨学金受給対象などの学生への免除を実施することといたしました。
 しかしながら、受信料の免除につきましては、他の負担者の負担の上に成り立つ制度であり、外部の有識者から、受信料制度等検討委員会の答申においても、限定的に運用するという基本的な方向性を継続することが適切であるという指摘を受けております。このため、今後の受信料免除の拡大につきましては、慎重に検討することが必要であるというふうに考えております。

○本村委員 後からも議論するんですけれども、本当に払えないんだという方もいるわけですから、ぜひ減免制度を広げていただきたいと思います。
 先ほども答弁ありましたけれども、二〇一八年度から学生へのNHK受信料減免制度が創設をされるということで、これは当然の対応だというふうに思います。非課税世帯、奨学金を受けている学生さんということですけれども、奨学金は教育ローンのようなもので、卒業時に三百万、五百万と借金を抱えることに不安を持つ方もおられて、そういう理由から奨学金を受けないというケースもございます。
 私は、学生全体にもうこの受信料減免制度を広げるべきだというふうに思いますけれども、会長、お願いしたいと思います。

○上田参考人 お答えいたします。
 受信料の免除につきましては、外部の有識者から成ります受信料制度等検討委員会の答申におきまして、真に免除が必要な経済弱者に対象を限定することが重要であるというふうに指摘を受けております。
 学生の中には、親元が経済的に恵まれている世帯の場合もあります。必ずしも全ての学生が経済弱者であると限らないため、親元等が非課税世帯又は経済要件を課した奨学金を受給している学生を対象に、まず実施することといたしました。

○本村委員 ぜひこの減免制度は広げていただきたいということを重ねて申し述べておきたいと思います。
 別の問題に移りますけれども、私のところに御意見が参りました。こういう御意見でございます。
 ことしの一月、NHKの訪問員が突然訪問されて、昨年末、最高裁判所が契約は合憲と示されて、契約は義務、衛星放送に変更しないと裁判するぞと大声を出して説明して、家内を脅迫して契約を迫り、テレビの種類、放送設備も確認しないで、さらに、免除世帯に対して正規料金を記入して、契約書に署名押印したら二度と訪問しないことを約束したため、家内は恐怖におびえて署名捺印をしていますと。
 この方は重度障害の方で療養中で、何とか消費者センターにメールを送ったそうです。消費者センターの職員の方の指示で免除がなくなることを防ぐことができたそうですけれども、その上で、こういうお訴えでございました。
 そこで、お願いします。免除世帯、全額免除、半額免除世帯に対して、新規契約、契約変更時に免除申請方法について丁寧に説明するように、大声を出して、裁判するぞと脅迫しないでほしいです、全国免除世帯の中で、私たち、家内が受けたような契約方法により、知らないまま正規料金で引き落とされたり、払い続けている世帯がいると思いますというふうに求めておられます。
 この方は消費者センターにメールをし、事なきを得たわけですけれども、消費者庁にここで確認をしたいと思います。消費者庁がつかんでいるNHKに関する相談はどうなっているのか、また、強引な契約の事例、生活に困って受信料が払えないという相談もあるようですけれども、どういう具体例をつかんでいるのか、お示しをいただきたいと思います。

○福岡政府参考人 消費者庁でございます。
 今、NHKの受信料等に関しまして、全国の消費生活センターに対する消費生活相談の状況につきまして御質問がございました。
 その件数でございますが、増加傾向にございます。二〇〇八年度に二千二百四十四件であったものが、二〇一七年度におきましては、本年の三月十四日までの登録分でございますが、九千百七十件となっておりまして、ここ十年間で四倍を超える件数となっております。
 その内容につきまして、例えば、一例を挙げますと、相談してこられた方の御友人が生活保護を受給中にもかかわらず、放送会社の来訪を受けて受信契約をさせられてしまった、おかしいのではないかというものとか、相談者の自宅に勧誘員の方が深夜に訪問してくる、集合住宅に住んでおり、近隣にも迷惑なのでやめてほしいといったもの、こういった相談が寄せられているところでございます。

○本村委員 資料を示させていただいておりますけれども、NHKに関する相談事件というのは、本当に右肩上がりでございます。
 この右肩上がりの状況、どういう原因だということを事前にNHKの方にお伺いしましたら、これまで行っていないところに手をつけてきたということ、あるいは、法人委託で、訓練されていない人がいることが原因と思われるというお話をいただきました。受信料を徴収するために、契約取次ぎのために、NHKは法人委託をされております。法人委託に伴ってクレームの数がふえているんじゃないでしょうか。

○松原参考人 お答えします。
 受信料の苦情、要望等が増加していることについてはさまざまな要因が考えられると思いますが、契約収納活動の法人委託化に伴って新たに業務を開始する訪問員がふえてきていることも、御指摘のように、一因だというふうに認識をしています。

○本村委員 ありがとうございます。
 法人委託でクレームが増加している要因の一つに、訪問員が次々とやめて、勤続年数が短い方が多いのではないかということ、教育訓練が行き届いておらず、そこでトラブルが多いのではないかということだというふうに思いますけれども、法人委託のケースでは勤続年数はどのくらいになっているのか。調査をやっていないということですけれども、ぜひ実態調査をやっていただきたいと思いますけれども、答弁お願いしたいと思います。

○松原参考人 お答えします。
 今委員御指摘のとおり、法人委託先の企業の個々の訪問要員の勤続年数の把握は今していません。我々としては、できるだけ長く契約収納業務に従事し、お客様対応に習熟した要員をふやすということが大切だというふうに思っています。
 このため、平成三十年度の予算の中には、法人事業者の処遇改善のための経費を盛り込み、安定的な要員の運用に努めていくことにしたいというふうに思っています。

○本村委員 ぜひ、働き方の実態調査をしていただきたいと思います。委託をして、再委託がないか、その方が一人親方のような個人事業主になっていないか、そういうことも含めてぜひ実態調査をしていただきたいというふうに思います。
 NHKでは、今年度の受信料支払い率八〇%、来年度は八一%と、支払い率の目標を持っておりますけれども、数字がひとり歩きをするだとか、あるいは、歩合制の給与とか単価なものですから、先ほどの障害者の方への対応のように、数字を上げようということで乱暴な対応になるのではないか。衛星放送のためのアンテナがないのに単価の高い衛星を契約させたり、こっちの方が単価が高いから、衛星放送の施設がないのにそういう契約をさせたり、クレジット支払いの方に誘導したりと、こういうノルマと歩合制で追い立てられて、実質的に丁寧な対応ができていないのではないかというふうに思わざるを得ないわけです。
 NHKは受信料の支払い率を言っておりますけれども、最高裁の判決を振りかざして、徴収強化などをして、生存権を脅かすような無理な徴収は絶対にやってはならないというふうに思います。お一人お一人への丁寧な対応、会長にぜひお答えをいただきたいと思います。

○上田参考人 お答えいたします。
 最高裁判決を受けて、訪問員に対しましては、お客様対応時に最高裁判決について言及することがないよう文書を発出するなど、指導を行っております。
 最高裁判決においても、受信契約の締結について視聴者の理解を得られるように努め、これに応じて受信契約を締結した方に支えられて運営されていくことが望ましいと判示されております。
 今後とも、これまでどおり、公共放送の役割や受信料制度の意義について丁寧に説明していくことに努めてまいりたいと考えております。

○本村委員 ぜひ、お一人お一人への丁寧な対応をお願いしたいと思います。
 先ほども申し上げましたように、歩合制ですとか、支払い率八〇%、八一%と追い立てるのではなく、NHKが視聴率に左右されずに、自主的に、自律的に、公正公平に大事なことを放送するというのは、その根拠となる、土台となるのは受信料でございます。
 この受信料や契約取次ぎにかかわる訪問員の方々は、やはり、大事な仕事をしているわけですから、NHKの職員として、待遇をよくして、丁寧な対応ができる条件をつくるべきじゃないかと思いますけれども、会長の答弁をお願いしたいと思います。

○上田参考人 お答えいたします。
 受信料の公平負担の徹底に向けて訪問員の安定的な運用は必要であると考えておりまして、平成三十年度予算では法人事業者の処遇改善のための経費を盛り込んでおります。
 ただし、訪問員を直接雇用することにつきましては、民間のノウハウを活用する等の法人委託化の目的や、地域状況や従事する業務の内容に応じて柔軟に業務を実施することが可能な地域スタッフの利点を損なうことになる、こうした事由等によりまして、訪問員を直接雇用することは、今のところ考えておりません。

○本村委員 受信料あってこそのNHKでございます。その受信料にかかわる訪問員の方々が丁寧な対応ができるような労働条件にすることを強く求めたいというふうに思います。
 これからも公平公正なよい番組づくりができる環境をつくっていくために、私たちも応援をしていきたいと思っております。
 ありがとうございました。

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参考資料

https://motomura-nobuko.jp/wp-content/uploads/2018/08/506e1016f071dd2f234452cf9dc94f0f.pdf

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