もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2017年 5月 17日 第193国会 国土交通委員会

港湾法改定法案 クルーズ船港の住民意見反映せよ 非常災害時の国の権限移行抑制的に 反対討論

2017年5月26日(金) しんぶん赤旗

港湾法改定案を可決 衆院国交委

衆院国土交通委員会は17日、港湾法改定案を自民・民進・公明・維新の賛成で可決しました。日本共産党は反対し、採決に先立って本村伸子、清水忠史両議員が質問に立ちました。改定案は、クルーズ船を誘致するため、受け入れ拠点となる港湾を指定し、旅客施設などの整備費用を特定のクルーズ船会社などに負担させる代わりに、岸壁の優先利用を認めるものです。

本村氏 住民の声を聞け

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(写真)質問する本村伸子議員=17日、衆院国交委

 本村氏は、クルーズ船入港による自然環境や生活、まちづくりや安全への影響について質問。クルーズ船の入港回数は増えているが、売り上げには結びついていないとの静岡県の清水港近くの商店街の声を紹介しました。

 本村氏は、何千人もの外国人観光客が訪れれば、地域の状況を大きく変えるとし、「国際旅客船拠点形成計画や官民連携の国際旅客船受け入れ促進協定策定時には、住民・港湾労働者などの声を反映する場をつくるべきだ」と要求。国交省の菊地身智雄港湾局長は「地域の発展や地域経済の効果がしっかりと実現できるように港湾管理者と連携していきたい」と答弁しました。

 本村氏は、「非常災害時に港湾管理における国への権限移行は、戦後の民主化政策の一環として制定された港湾法の精神にもとづき抑制的であるべきだ」と主張しました。

清水氏 公平性そこなう

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(写真)質問する清水忠史議員=17日、衆院国交委

 清水氏は、港湾管理者と岸壁を優先利用するクルーズ船会社が交わす協定について、利害が関係する他の船舶会社や港湾関係者などが提出する意見に対し、回答する義務が港湾管理者にあるのかと質問。国交省の菊地身智雄港湾局長は「回答義務を課していない」として、意見を取り入れる保証がないことを認めました。

 清水氏は、港湾法制定当時の大屋晋三運輸相が「公共利用の増進」「私企業への干渉の回避」と趣旨説明していたことに触れ、「改定案は、港湾の公共性・公平性をそこなうものであり特定私企業への干渉だ」と批判。石井啓一国交相は「不平等取り扱い禁止の原則に違反しないと局長の答弁したとおり」と答え、まともに説明できませんでした。

議事録

○本村(伸)委員 日本共産党、本村伸子です。
 港湾法改定案について質問をさせていただきます。
 クルーズ船誘致そのものを否定するものではありませんけれども、大前提である安全の問題や、クルーズ船が入港することで、自然環境、生活、まちづくりへの影響などが発生いたします。これを無視するわけにはいかないというふうに思います。
 そこで、お伺いをいたします。
 二〇一四年四月十六日、韓国の大型旅客船セウォル号転覆事故が起き、甚大な被害となりました。亡くなられた方々には、心からの哀悼の意を申し上げたいというふうに思います。
 クルーズ船寄港をどんどんふやそうというふうにされておりますけれども、六千人以上の乗客乗員が乗っている船もあるわけで、事故が起こった場合に本当に大丈夫なのかということが心配になるわけです。クルーズ船で事故がないということは言い切れないわけですから、日本船ももちろんですけれども、訪日外航クルーズ船について未然に事故を防ぐ方策はどうなっているのか、お示しをいただきたいと思います。

○羽尾政府参考人 お答えいたします。
 外航クルーズ船を含めまして、国際航海に従事する船舶やその乗組員につきましては、国際海事機関、IMOが定めました海上人命安全条約による国際的に統一された安全基準や、船員の資格や訓練について定めた基準が適用されます。これらにつきまして、基本的には、船舶が籍を置く国、いわゆる旗国の政府が、各船舶を検査し、基準に適合させる義務を負っております。
 さらに、今申し上げました旗国による検査を補完するため、船舶が寄港いたしました国の政府も、ポートステートコントロールと呼ばれる立入検査を実施する権利が国際条約により認められています。これによりまして、外国籍の外航クルーズ船が我が国に寄港した際には、全国の地方運輸局に配置されております外国船舶監督官が、国際基準に適合しているか否かを確認し、基準への不適合が確認された場合には、是正を求めることができることとなっております。
 このように、国際基準及びその実施の担保方策によりまして、我が国に寄港します外国籍の外航クルーズ船に対しましても、その安全の確保が図られることとなっております。

○本村(伸)委員 次に、海上保安庁の方にお伺いしますけれども、六千人以上の規模のクルーズ船で事故があった場合、人命を助ける体制はあるのか、お答えをいただきたいと思います。

○中島政府参考人 お答えいたします。
 海上保安庁において重大な海難事故情報を入手した場合には、直ちに巡視船艇、航空機等を発動させまして、また、特殊救難隊や潜水士等も派遣し、人命や船体の救助に当たります。
 御指摘のように、大型クルーズ船において事故が発生した場合、数千人規模の乗員あるいは乗客を救助することが想定されます。そのような大規模な事案におきましては、海上保安庁のみで救助活動等を完遂することは困難となりますので、地方自治体、警察・消防等の関係機関、医療機関、海事関係者等と連携した対応が必要不可欠となると考えております。
 このため、海上保安庁といたしましては、大型クルーズ船の本邦への寄港増加を見据えまして、広く関係者との合同訓練の実施等を通じまして連携強化を図ることにより、迅速な救助活動を行ってまいりたいと考えております。

○本村(伸)委員 誘致している自治体の皆さんにリスクについてもお知らせして、国と地方とよく連携して、安全対策は万全にしていただきたいというふうに思います。
 今回の法改正によって指定される予定の港湾には、四つのクルーズ船社が想定されております。その一つ、カーニバル・コーポレーション傘下のプリンセス・クルーズ社に対し、昨年十二月、米国司法省が、四千万ドル、約四十六億円の高額な罰金を科しました。違法に廃油を海洋に投棄したことに対する処罰です。
 クルーズ船は、日本に来るだけではなく、世界じゅうを回り、各国に寄港しております。クルーズ産業の急成長そして船の巨大化につれて、クルーズ船が排出する大気汚染が年々ひどくなるなど、環境問題を理由に、各地で、地元の住民の皆さんや環境団体の皆さんが、クルーズ船の寄港に対する反対や懸念の声を上げておられます。クルーズ船によって、青潮の原因である港湾の貧酸素水塊の容積を広げるという懸念もありまして、港の許容量を超えない船舶の航行にとどめるようにという漁業関係者の方の声もいただいております。
 クルーズ船が持つ大気汚染や海洋汚染などマイナス面の対策について、本法案では盛り込まれていないと思いますけれども、政府としてどのように対応していくのか、お示しをいただきたいと思います。

○藤田政府参考人 お答え申し上げます。
 クルーズ船を含めた船舶からの大気汚染あるいは海洋汚染対策につきましては、グローバルな枠組みで取り組むことが重要でありまして、そのための国際的な枠組みといたしまして、国際海事機関、IMOにおいて策定されました海洋汚染防止条約、いわゆるMARPOL条約がございます。我が国におきましては、その国内担保法である海洋汚染防止法によりまして、窒素酸化物、硫黄酸化物などの排出ガスや、油、有害液体物質、廃棄物などの船舶からの排出に関する規制を実施しております。
 外国籍船につきましても、いわゆるポートステートコントロールといたしまして、外国船舶監督官が港内での船舶設備の基準適合性の確認を行い、不適合があった場合には是正を求めるなどの措置を講じているほか、法令の励行の観点から、海上保安官が立入検査を行っております。
 御指摘のありました外国籍クルーズ船につきましても、引き続きこれらの対策を講じていくこととしております。

○本村(伸)委員 日本も汚染とは無縁ではないわけです。
 クルーズ船の寄港では高い実績がございます横浜港では、たびたび市民の皆さんから苦情があるということで、港湾関係者の方がこうおっしゃっているんです。
 停泊中のクルーズ船が黒い煙を出していることに対して、市民からクレームを受けたこともある。こうしたこともあって、横浜市では、岸壁に発電所を設け、これから電気を供給することで重油の燃焼を減らす計画を検討したが、結果として、費用負担の大きさから、現在ペンディングになっている。
 こういうような報道もございます。
 クルーズ船の受け入れに関しては、やはり総合的に考えなければいけないというふうに思います。政府は、クルーズ船での訪日外国人の目標を五百万人としておりまして、受け入れ施設整備を推進し、地方自治体に受け入れを促す姿勢が目立ちますけれども、しかし、住民の皆さんからは、環境破壊などを懸念する声も聞かれます。やはり、地元の実態をつかんで、住民の合意を重視するということが大切だというふうに思います。
 そこで、ちょっとお伺いをしますけれども、本改定案における国際旅客船拠点形成計画の策定の際に、港湾で働く方々や住民の皆さん、地元商店街の皆さん、商店の皆さんなどの意見を聞くなどの民主的な住民合意の仕組みがあるのかどうか、そして、港湾管理者の計画策定に当たって、港湾労働者や住民の皆さんの参加、合意の仕組みを盛り込むべきではないかという点、お答えをいただきたいと思います。

○菊地政府参考人 お答えいたします。
 港湾管理者の国際旅客船拠点形成計画の策定に当たりましては、港湾管理者として、外航クルーズ船を運航する船会社との間で、今後の需要動向等を見きわめながら、その計画を策定していくことになるものと考えてございます。
 また、住民との意見交換をするような場の設定というような委員の御指摘だと思いますけれども、これにつきましては、この計画に基づきまして、法律におきまして、港湾管理者とクルーズ船社との間での協定を締結することとしてございます。この協定の中で利害関係者からの意見徴収等の手続を設けておりますので、こうした手続の中で適切に対応されるものと考えてございます。

○本村(伸)委員 形成計画をつくるに当たっても、港湾労働者の方々や、あるいは住民の皆さん、商店の皆さんの参加の仕組みがないというのは、港湾の民主的な運営という観点からしてもおかしいというふうに私は思っております。
 クルーズ船の関係で地域の状況を少し御紹介いたしますけれども、奄美大島では、巨大クルーズ船のロイヤル・カリビアンという船が寄港する開発計画が浮上したわけですけれども、奄美大島の龍郷町の浜に三百五十メートルの桟橋を建造するという内容に、住民の皆さんから反対の運動が起こりました。乗客五千四百人、乗員二千百人、そして二十二万六千トン級の巨大クルーズ船が寄港するということになれば、龍郷町の手つかずの自然が失われるということで、危機感を募らせていたそうです。
 龍郷町の人口は約六千人で、その数に匹敵する乗客乗員の皆さんへの対応など不可能という危惧があり、反対運動もあって、龍郷町は、七月にクルーズ船の受け入れ断念を表明いたしました。
 こういうこともあるわけですから、いつでも住民の皆さんの声は大事にするべきだというふうに思うわけです。
 先ほどもお答えがありましたけれども、クルーズ船の岸壁の優先使用や受け入れ促進施設の一般供用などを決める協定である官民連携国際旅客船受入促進協定についてですけれども、港湾を利用する事業者や港湾で働く皆さん、住民の皆さんや港湾周辺の商店の皆さんなどが協定の対象となっていないのはなぜでしょうか。

○菊地政府参考人 お答えいたします。
 今回の協定につきましては、旅客施設の整備者となるクルーズ船社と岸壁の管理者である港湾管理者との間で優先使用の合意を図るという観点から、旅客施設の整備者と港湾管理者とを協定の当事者としているというところでございます。

○本村(伸)委員 少し確認をします。
 協定を結ぼうとしたときに、利害関係者に縦覧し、港湾管理者に意見を提出できるという規定がございますけれども、港湾を利用する事業者や港湾で働く皆さん、住民の皆さん、そして港湾周辺の商店の皆さんなどは利害関係人ということですね。

○菊地政府参考人 お答えいたします。
 利害関係人とは、一般に、主として第三者の行為または公の機関がする処分によって自己の利益を害されるおそれのある地位にある者を指すとされております。
 今般の制度における官民連携国際旅客船受入促進協定に関する利害関係人としては、例えば、当該港湾を現に利用している船社や荷主、あるいは港湾運送事業者等が該当するものと考えております。

○本村(伸)委員 もう一回、私が指摘をした、港湾で働く人たちや港湾を利用する事業者、住民の皆さん、商店の皆さんも入るということでよろしいでしょうか。端的にお願いします。

○菊地政府参考人 お答えいたします。
 利害関係人につきましては、先ほど申し上げましたとおり、公の機関がする処分によりまして自己の利益を害されるおそれのある地位にある者というふうにされておりますので、こうした観点から、利害関係人としてどのような皆さんの範囲になるのかということが決まってくると考えております。
 今委員のおっしゃられた商店の皆さんというのが、港湾との位置関係であるとか、そういったものも含めて、一概にお答えすることはちょっと難しいと思いますけれども、先ほど申し上げましたとおり、公の機関がする処分によって自己の利益を害されるおそれのある地位にある者という範囲で、適切に港湾管理者において判断されるものと考えてございます。

○本村(伸)委員 こうした方々は利害関係者だというふうに思いますので、ぜひ入れていただきたいというふうに思います。
 先日、この法案に基づく国際旅客船拠点形成港湾の指定を受ける予定とされております静岡県の清水港に行ってまいりました。清水港近くの清水駅前銀座商店街の方にもお話をお伺いいたしました。
 クルーズ船の入港の回数はふえておりますけれども、無料の着つけですとか、みそ屋さんでのだしのテースティングとかは人気があるそうですけれども、商店街全体として売り上げが伸びているとはまだ言えない状況のようです。
 クルーズ船のお客様に商店街に来てもらう努力、試行錯誤をされておりました。最初は、商店街でバスをチャーターして、商店街に来てもらえるようにしていたそうです。その後は静岡市もバスを出してくれるようになったそうですけれども、全部のクルーズ船ではないそうです。商店街の方へ向かうバスのチャーターの予算もかかるという問題もありますし、清水港に入港する中で最大規模のクルーズ船は、バスチャーターがだめだというふうに言っていると聞いております。そのクルーズ船は、そのクルーズ船の会社がバスを用意するからだめだというふうに言われているそうですけれども、そういう状況もある。
 商店街は駅前でインフォメーションのサービスもやっているわけですけれども、お勧めスポットとかを紹介して、それは商店街に来ない場合でもやっておみえになります。
 商店街は水曜日が定休日ということで、水曜日でない日にクルーズ船が入港する、そういう配慮も必要ではないかというふうに思うわけです。
 もう一つお伺いをしたのが、地元の人を大切にしたいという思いで頑張っている、清水の魚市場であります河岸の市の方からもお話をお伺いいたしました。とりわけ、土日の駐車場が足りないというお話をお伺いいたしました。
 いずれにしても、平日のクルーズ船入港がスムーズではないかというふうに思うわけです。
 商店街の方や魚市場の方からお話を伺っても、清水港の計画、全体像ですとか今後についてや、あるいはクルーズ船に関する情報がなかなか届いていないということを痛感いたしました。皆さん、クルーズ船がふえるのは歓迎しているというお話でしたけれども、もう少し情報があればさまざまスムーズにいくと思うという御意見もございました。通訳の問題ですとか、その国々の嗜好の問題などもあり、どういう国々の方がいらっしゃるのかという情報も大切な情報だというふうに思います。
 クルーズ船の問題については、発着で何千人もの外国の観光客の皆さんが来られるということになりますから、地域の状況を大きく変える可能性があり、やはり、さまざまな方々から御意見をお伺いしながらというのが大切だというふうに思います。
 港湾計画ですとか、国際旅客船拠点形成計画ですとか、官民連携国際旅客船受入促進協定をつくるに当たっては、今指摘したようなことも含め、港湾で働く皆さんや、あるいは商店街の皆さんや商店の皆さん、住民の皆さんの声を反映できる、きめ細かなことまで協議できる場をつくるべきだというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

○菊地政府参考人 お答えいたします。
 国際旅客船拠点形成計画、あるいはこれに基づく協定の締結に当たりましては、当該港湾の港湾管理者におきまして、将来の港湾の発展、あるいはクルーズインバウンドの旅客増に伴います地域経済への波及効果等を総合的に勘案して、しっかりとした議論のもとに協定の締結等がなされていくものと考えております。
 国土交通省といたしましても、今回のクルーズ拠点の形成で、地域の発展、また地域経済への効果がしっかりと具現できるように、港湾管理者ともしっかりと連携を図ってまいりたいと考えております。

○本村(伸)委員 最後に一問質問をさせていただきたいんですけれども、非常災害時における国土交通大臣による港湾施設の管理制度の創設ということがありますけれども、港湾法が、港湾管理について港務局と地方公共団体に限定して、国を除いてきたのはなぜか、お示しをいただきたいと思います。

○菊地政府参考人 お答えいたします。
 昭和二十五年の港湾法の制定以来、港湾の管理につきましては、地方の熱意と工夫によって港湾の開発、発展を図ろうとの狙いから、港湾管理者を、地方公共団体または港務局のいずれかによるものとしているところでございます。

○本村(伸)委員 災害時に国が連携したり手伝うというのは当然だというふうに思いますけれども、国への権限移譲というのは、港湾法そのものの成り立ちからずれているというふうに思います。
 熊本地震の際にも、国に権限を集中しなくても現行法でできたということで、港湾労働者の方々からもそういう実態を伺っております。日ごろから、災害時、地方と国の連携を強化する訓練を一層進めるということが重要だというふうに思います。
 港湾法は、一九五〇年、戦後の民主化政策の一環として制定されました。戦前の、国の営造物として国有国営で運営されてきた港湾をいかに民主的運営方式に転換させるかということで、地方自治体、管理組合、港務局が管理することになったわけです。港湾法制定の当初の精神に基づけば、港湾管理における国の権限移行は抑制的であるべきです。
 そのことを申し述べ、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


反対討論

○本村(伸)委員 私は、日本共産党を代表して、港湾法の一部を改定する法律案について、反対の討論を行います。
 クルーズ船誘致そのものを否定するものではありませんが、港湾管理の公共性や、クルーズ船が寄港することによる環境や生活、まちづくりへの影響を無視するわけにはいきません。
 本法案は、クルーズ船社等の大手資本に旅客ターミナルビル等の整備費用を負担させるかわりに、クルーズ船社等に公共施設である岸壁を優先利用させる優遇策です。港湾施設を特定企業に優先利用させることは、港湾管理の公共性、公平性を損ね、港湾管理者の公的な責任を後退させるものです。これが反対する第一の理由です。
 第二の理由は、国際旅客船拠点形成計画の策定時に住民参加の仕組みがなく、官民連携国際旅客船受入促進協定についても、港湾管理者とクルーズ船社など施設所有者等のみで締結し、施設所有者等以外の意見を反映する保証がないからです。これでは、関係者や地域住民の皆さんなどの意向が無視されかねません。
 なお、災害非常時といえども、港湾施設の管理については、国に権限を移行することは抑制するべきです。
 そもそも、一九五〇年制定の港湾法は、港湾が戦時に国家や政府に利用された反省を背景とし、民主化のために、港湾管理者を港務局と地方公共団体に限定し、国が権限を持つことを排除してきました。そのことを踏まえるべきです。
 以上、反対の討論といたします。

○西銘委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○西銘委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、港湾法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○西銘委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

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