もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2017年 4月 12日 第193国会 国土交通委員会

都市緑地法等改定案 民間営利企業による都市公園開発懸念 反対討論

2017年4月16日(日) しんぶん赤旗

住民の声も聞いて 都市緑地法等改定案 本村氏指摘

写真

(写真)質問する本村伸子議員=12日、衆院国交委

 都市緑地法等改定案が12日の衆院国土交通委員会で、自民、公明、民進、維新の各党の賛成多数で可決されました。日本共産党は、都市農地の保全を図るための改正部分には賛成ですが、営利企業による公園の開発を図ろうとする都市公園法の改定が含まれているとして反対しました。

 同改定案は、公募選定された民間事業者による都市公園の整備実施を条件に、同事業者にカフェやレストランなどの収益施設(建ぺい率2~12%)の設置を認めるもの。本村伸子議員が「都市公園の整備を行う事業者は、公園周辺のマンションなどの、開発をする事業者も対象となるのか」とただすと、栗田卓也都市局長は「ありえる」と認めました。

 本村氏は、愛知県の県営大高緑地公園で、周辺住民や地元の役所に事前説明をせずにテーマパークの建設が推進された事例などを紹介し、「住民や地方議会の意見を聞く仕組みをつくるべきだ」と述べました。石井啓一国交相は「公園管理者と地域関係者の協議会を設置できる制度をつくる」「公園管理者が住民の理解を得ながら制度を活用するよう促してまいりたい」と答弁しました。

 本村氏は、改定案には住民が政策決定に参画することが明記されていないと批判しました。

議事録

○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
 まず、この法案は、都市農業をどのように守ろうとしているのか、お示しをいただきたいと思います。

○栗田政府参考人 都市の農地は、食料生産の場としてでなく、景観、環境、防災、交流、オープンスペースとして多面的な機能を果たしておるところでございます。今回の法改正では、このような都市農地の適正な保全、もって都市農業の発展を推進するために、所要の措置を講じておるところでございます。
 まず、生産緑地地区につきまして、一律五百平米とされている面積要件を条例で引き下げることができるようにしております。これによりまして、身近にある小規模な農地が保全できるようになると考えております。
 また、生産緑地地区内で直売所、農家レストラン等が設置できることとしております。これによりまして、住宅地に近接して立地する都市農業の特徴を生かした収入の道が確保されまして、ひいては農地の保全、農業の確保に資するというように考えておるところでございます。
 これらは、かねてより地方公共団体、農業団体からいただいた御要望を実現するものでございます。現場での積極的な活用を期待しておるところでございます。

○本村(伸)委員 私どもは、従来から、市街化区域内の農地の存続を原則的に否定する都市計画制度を早急に見直して、農業を都市づくりの大事な柱に位置づけるということ、そして、固定資産税、相続税における課税評価を、実際に農業が営まれている農地は農地評価を基本にして、農地利用の存続を図り、作業場なども農地に準じた課税にすること、そして、都市農地、緑地の減少を食いとめるため、当面、生産緑地の指定条件を五百平方メートルから三百平方メートルに緩和すること、そして、農家や協同組織による農作物の直売・加工、観光、農家レストランなどの取り組みを積極的に支援することなどを求めてまいりました。ですから、今回の都市農業にかかわる改正部分は当然賛成をしております。
 しかし、今回の法案は、都市農業を守る、都市農業の部分だけだったらいいんですけれども、問題がある都市公園法の改定も一緒に出されている乱暴な法案だという問題がございます。
 そこで、都市公園にかかわって質問をさせていただきたいというふうに思います。
 都市公園の中には国営の都市公園もございます。国営都市公園の中で最大の公園が、愛知、岐阜、三重にまたがる木曽三川公園でございます。この木曽三川公園は六千百七ヘクタールと巨大な公園です。
 今回の法改定で、カフェ、レストランなどの、これだけじゃないと思いますけれども、公共還元型の収益施設を公園面積の一二%分つくっていいということになる方向だというふうに思いますけれども、この木曽三川公園で一二%といいますと、七百三十二・八四ヘクタールということになります。そうしますと、東京ドームの建設面積の百五十六個分の、それ以上の面積の収益施設ができるということになってまいります。一二%をその収益施設で開発してもいいということになりますので、東京ドーム百五十六個分、開発してもいいということになるのでしょうか。
 また、国営の都市公園の場合は、どういう手続で公共還元型の収益施設をつくることになるのか、国会の関与はどうなるのか、お示しをいただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回創設いたします都市公園の利用者の利便の向上を図る上で必要なカフェやレストラン等の収益施設の公募による設置管理制度、これは国営公園で活用することも可能でございます。
 今、公園面積に一二%を掛けての数字のお示しがございましたけれども、この建ぺい率の緩和で一二%と先ほど答弁申し上げましたのは、あくまで上限でございます。個々の都市公園の管理者によりまして、公園利用者の利便の向上という制約をおのずと踏まえまして判断されますので、認められる施設の規模が過大なものになるというようなことは考えておるところではございません。
 それから、国会の関与についてのお尋ねもございました。
 現行制度でも、民間事業者が設置管理許可により収益施設を設置することは可能でございますが、その都度国会の関与を求めているところではございません。
 今回御提案しております公募制度の中では、公募指針の公示や、事業者選定の評価基準に関します学識経験者の意見聴取等の仕組みを設けておりまして、従来より公平性あるいは透明性を高めた仕組みとしておるところでございます。

○本村(伸)委員 協議会もできる規定で、つくらなければいけないというものではないというふうに思いますけれども、今回の法案は、広い都市公園であればあるほど、その面積の一二%分ということで、巨大開発も可能になる仕組みだということもはっきりしているというふうに思います。そうした開発はやるべきではないというふうに考えております。
 私の地元愛知県でも、都市公園をめぐって、既にさまざまな問題が起きております。
 一つは、県営大高緑地公園の恐竜のテーマパーク、ディノアドベンチャーライド名古屋をつくる計画の際に、もともと公園を利用されていた方々や周辺住民の皆さん、地元の緑区役所にも事前の説明がないまま推し進められたという問題がございます。
 愛知県は、新聞報道ですけれども、園内の話なので、住民から意見を聞くことは考えていなかったというわけでございます。誰のための公園なのかという問題になってまいります。結局、住民の皆さんの切実な声は届かずに、この恐竜のテーマパークが都市公園内につくられてしまうという大問題が起きました。
 もう一つは、名古屋市中区の金山総合駅にほど近い古沢公園が再開発の計画でなくなってしまうという問題が今浮上しております。これも、住民の皆さんの合意のないまま強行しようとしております。この公園は、近くの保育園の園庭がわりにもなっている大切な公園でございます。
 こういう都市公園にかかわって、住民の皆さんの声を聞かずにやる計画があちこちで問題になっております。こうした問題を解決するどころか、一層深刻にするのではないかというふうに思うんですけれども、さまざまな角度で確認をしていきたいと思います。
 ある公園があるとしますけれども、その公園周辺の開発と、その公園を一体的に開発するまちづくり再開発事業が行われる場合、法案の公共還元型収益施設、その事業者の公園施設整備を活用することが想定されているのか、お示しをいただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回の公募制度は、民間事業者が収益施設の設置と周辺の広場等の整備を一体的に行うことで、民間活力によりまして公園の質の向上と利用者サービスの向上を図るものでございます。公園周辺で開発事業を行う事業者が、その事業とは別に、今回の御提案の公募制度によります公園整備を行うということが排除されるものではございません。
 公募で選定された事業者は、公園整備と周辺で行う事業とは別々のものとして、公園の質の向上と利用者サービスの向上に責任を持って取り組んでいただく必要がありまして、事業者の選定、公園の整備や管理等におきまして適切な運用が図られるよう、公園管理者に周知してまいります。
 それから、先ほど、私の答弁の中で、学識経験者の意見聴取の仕組みについて御説明申し上げました。これは、規定上、できるではなくて、求めなければならないというようにしておりますので、念のために答弁させていただきます。

○本村(伸)委員 公共還元型の収益施設、公園施設整備事業を実施する民間営利企業の事業者は、公園周辺を開発する事業者の対象となるのかという点もちょっと確認をしたいと思うんです。
 先ほどと少しかぶるんですけれども、例えば、公園の隣接地にマンションや集客施設を建設する開発事業者が公園施設整備事業者になることができるのかという点、確認をもう一度させていただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回の公募制度の中では、公園管理者は、事業者からの提案内容について、公園の質の向上や利用者サービスの向上に寄与するか否か等の観点から総合的に評価をしまして、事業者選定を行います。この選定の結果としまして、公園の周辺での開発事業者が選定されるということはあり得るというように考えております。
 ただ、繰り返しになりまして恐縮ですが、公募で選定された事業者は、公園整備と周辺で行う事業とは別々のものとして、公園の質の向上と利用者サービスの向上に責任を持って取り組んでいただく必要があると考えております。事業者の選定、公園の整備や管理等におきまして適切な運用が図られるように、公園管理者に周知してまいりたいと考えております。

○本村(伸)委員 国交省が規制改革会議地域活性化ワーキング・グループなどに出した資料によりますと、イオンなどが進出するようなイメージも書かれておりまして、そういう大規模開発が一体的に行われるのではないかということも、私どもは、住民の皆さんの声の反映があるのかどうかも含めて、懸念をしているわけでございます。
 この公共還元型収益施設などをつくるに当たって、地方議会の皆さんの関与はどうなるのか、お示しをいただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回の公募制度によるということもそうですけれども、現行の設置許可によりまして公園施設の設置を民間事業者が行う、こういうことに当たりまして、法律上、地方議会の関与は設けておりません。
 ただ、先ほども答弁申し上げましたが、事業者選定の評価基準について学識経験者の意見聴取を行うなど、従来よりも公平性、客観性を高めた仕組みとしておるところでございます。
 なお、公園管理者であります地方公共団体が地域の状況に応じまして団体として適切に判断するということではございますが、公募の開始あるいは事業者の決定に当たりまして、議会に報告するなど説明を尽くすことは、一般論としては望ましいものというふうに考えてはおります。

○本村(伸)委員 民間事業者を参入させる計画そのものの計画策定の際、あるいは収益施設事業者の公募選定手続において、住民の皆さんの意見を聞く、住民参加の仕組みがあるのでしょうか。

○栗田政府参考人 今回の公募制度につきまして、あるいは、その制度の中で事業者の選定を行う際に、法律上、住民参加の手続を設けておるものではございません。
 他方、本法案の中では、公園管理者と地域住民を含む関係者が公園の管理運営につきまして協議する協議会という制度を設けたところでございます。公募の実施に当たりましても、この協議会を活用することは意義があるものというように考えておりますので、積極的な活用を促していきたいと考えております。

○本村(伸)委員 今回、住民の皆さんの意見を聞く仕組みがなぜないのでしょうか、理由をお示しいただきたいというふうに思います。そして、住民の皆さんの意見を聞くこと、そして、事前の説明会など、必須にするべきだというふうに思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。

○石井国務大臣 公募による収益施設の設置管理制度におきましては、公園管理者が地域の実情や都市公園の特性等を踏まえて公募の条件等を設定することを想定しております。
 また、民間事業者の選定に当たりましては、都市公園の機能を損なうことなくその利用者の利便の向上を図る上で最も適切な者を選定するため、公園管理者はあらかじめ学識経験者の意見を聞くこととなっておりまして、従来よりも都市公園の整備、管理の公平性を増すことを目指しております。
 公募に当たりまして、住民説明会など、住民の意見を聞く場を設けるかどうかにつきましては、各公園管理者が判断すべき事項でございますが、本制度の運用に当たりましては、公園利用者の利便の向上が図られることが大切でありまして、このための住民の意向の把握は重要と考えております。
 このため、本改正では、公園管理者と地域の関係者による協議会を設置できる制度を創設することとしております。協議会を積極的に活用することが望ましい旨を法律の運用指針等で示すなど、各公園管理者が住民の理解を得ながら本制度の活用を推進するよう促してまいりたいと考えております。

○本村(伸)委員 住民合意のない巨大開発が行われることがないようにしなければいけないというふうに思っております。
 この収益施設の公募選定の際に、公園周辺の商店、商店街の方々への事前の調整、協議が義務づけられておりますでしょうか。もともと地域にある商店の売り上げなどに悪影響を及ぼす可能性があるわけですから、商店、商店街の方々との事前の協議そして調整、アセスをやるべきだというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

○石井国務大臣 公募による収益施設の設置管理制度におきましては、公園管理者が地域の実情や都市公園の特性等を踏まえて公募の条件等を設定することを想定しております。
 その際に、カフェなど、公募で求める施設の地域におけるニーズ等につきましても、公園管理者が適切に判断し、公園利用者の利便の向上を図る上で特に有効であると認められる施設を設置するという、制度の趣旨にかなった運用がなされることが望ましいと考えられます。
 また、民間事業者の選定に当たりましては、公園管理者があらかじめ学識経験者の意見を聞くことについて、既に述べたとおりでありますが、これにより、公園管理者がより適切な判断を行うものと考えております。
 こういった趣旨につきましても、法律の運用指針等で示しまして、適切な運用がなされるよう促してまいりたいと存じます。

○本村(伸)委員 そういう大規模な収益施設ができることによって地域の商店や商店街が潰れることがないように、ぜひしていかなければいけない、国交省としてもそういう責任を持ってやっていただきたいというふうに思います。
 少し角度を変えるんですけれども、民間事業者が整備した広場等の管理は誰が行うのか、遊具などの事故があった場合、責任は誰が負うのかという点、確認をさせていただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回の公募制度の中で、公園管理者は、公募を開始する際に明示することによりまして、民間事業者が収益施設の設置と一体的に整備する広場等につきまして、管理もあわせて行うように事業者に求めることが可能でございます。
 このように、事業者に管理もあわせて行っていただくということは、民間活力によりまして公園の質の向上と利用者サービスの向上を図るという本制度の趣旨に合致すると考えておりますので、できるだけそのような運用がなされることが望ましいと考えております。運用指針等で促してまいりたいと考えております。
 選定されました事業者に広場等の管理を行っていただく場合には、公園管理者は、別途、協定等を締結いたしまして、事業者の業務範囲や管理水準、それから、今御質問がございましたが、責任分担等を明確化するということになると考えております。

○本村(伸)委員 そうしますと、民間事業者が整備した広場等でもし遊具などの事故があった場合、責任がとれるような財力がある民間企業じゃないと参入できないということになるんじゃないでしょうか。

○栗田政府参考人 民間事業者の業務の範囲につきましては、先ほど申し上げましたように、協定の締結等で一つ一つについて定められるということでございます。
 仮に、民間事業者にそういったところの責任分担を負っていただくということでありますと、そういったことを担えるような事業者が選定されるべきものというふうに考えております。

○本村(伸)委員 次に、民間事業者による広場等の整備には補助金が出る、公共還元型収益施設、公園施設整備事業には貸し付けの支援があるというふうに思いますけれども、これは特定企業に対する優遇ではないかというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

○栗田政府参考人 今回創設いたします民間事業者による公共還元型の収益施設の設置管理制度を活用した事業につきましては、都市公園の利用者の利便の向上に資する収益施設、それからその周辺の園路、広場等の整備を行う公共性の高い事業でございます。
 このうち、園路や広場等の公共部分につきましては、民間事業者が収益を還元して整備を行っていただくということが基本になりますけれども、民間事業者が一体的な整備を行うことによりまして効率的な整備が可能となる場合に、本来、公園管理者が整備する部分まで、民間事業者に行っていただく場合があります。
 このような場合に、本来、公園管理者が整備する部分であることから、社会資本整備総合交付金によります補助によりまして補完をしたいというように考えておるところでございます。
 民間事業者への支援につきましては、本事業の公共性の高さに着目して実施するものでございます。また、この制度そのものに、収益を公共に還元してほしいというような制度の本質がございます。民間事業者の利益とならないような運用がなされるように、地方公共団体に対して周知してまいりたいと考えております。

○本村(伸)委員 住民の皆さんが都市公園のあり方について政策決定に参画する保障もなく、民間営利企業の都市公園開発、ひいては周辺開発と一体の開発は許されないということを申し述べて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。


○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
 まず、この法案は、都市農業をどのように守ろうとしているのか、お示しをいただきたいと思います。

○栗田政府参考人 都市の農地は、食料生産の場としてでなく、景観、環境、防災、交流、オープンスペースとして多面的な機能を果たしておるところでございます。今回の法改正では、このような都市農地の適正な保全、もって都市農業の発展を推進するために、所要の措置を講じておるところでございます。
 まず、生産緑地地区につきまして、一律五百平米とされている面積要件を条例で引き下げることができるようにしております。これによりまして、身近にある小規模な農地が保全できるようになると考えております。
 また、生産緑地地区内で直売所、農家レストラン等が設置できることとしております。これによりまして、住宅地に近接して立地する都市農業の特徴を生かした収入の道が確保されまして、ひいては農地の保全、農業の確保に資するというように考えておるところでございます。
 これらは、かねてより地方公共団体、農業団体からいただいた御要望を実現するものでございます。現場での積極的な活用を期待しておるところでございます。

○本村(伸)委員 私どもは、従来から、市街化区域内の農地の存続を原則的に否定する都市計画制度を早急に見直して、農業を都市づくりの大事な柱に位置づけるということ、そして、固定資産税、相続税における課税評価を、実際に農業が営まれている農地は農地評価を基本にして、農地利用の存続を図り、作業場なども農地に準じた課税にすること、そして、都市農地、緑地の減少を食いとめるため、当面、生産緑地の指定条件を五百平方メートルから三百平方メートルに緩和すること、そして、農家や協同組織による農作物の直売・加工、観光、農家レストランなどの取り組みを積極的に支援することなどを求めてまいりました。ですから、今回の都市農業にかかわる改正部分は当然賛成をしております。
 しかし、今回の法案は、都市農業を守る、都市農業の部分だけだったらいいんですけれども、問題がある都市公園法の改定も一緒に出されている乱暴な法案だという問題がございます。
 そこで、都市公園にかかわって質問をさせていただきたいというふうに思います。
 都市公園の中には国営の都市公園もございます。国営都市公園の中で最大の公園が、愛知、岐阜、三重にまたがる木曽三川公園でございます。この木曽三川公園は六千百七ヘクタールと巨大な公園です。
 今回の法改定で、カフェ、レストランなどの、これだけじゃないと思いますけれども、公共還元型の収益施設を公園面積の一二%分つくっていいということになる方向だというふうに思いますけれども、この木曽三川公園で一二%といいますと、七百三十二・八四ヘクタールということになります。そうしますと、東京ドームの建設面積の百五十六個分の、それ以上の面積の収益施設ができるということになってまいります。一二%をその収益施設で開発してもいいということになりますので、東京ドーム百五十六個分、開発してもいいということになるのでしょうか。
 また、国営の都市公園の場合は、どういう手続で公共還元型の収益施設をつくることになるのか、国会の関与はどうなるのか、お示しをいただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回創設いたします都市公園の利用者の利便の向上を図る上で必要なカフェやレストラン等の収益施設の公募による設置管理制度、これは国営公園で活用することも可能でございます。
 今、公園面積に一二%を掛けての数字のお示しがございましたけれども、この建ぺい率の緩和で一二%と先ほど答弁申し上げましたのは、あくまで上限でございます。個々の都市公園の管理者によりまして、公園利用者の利便の向上という制約をおのずと踏まえまして判断されますので、認められる施設の規模が過大なものになるというようなことは考えておるところではございません。
 それから、国会の関与についてのお尋ねもございました。
 現行制度でも、民間事業者が設置管理許可により収益施設を設置することは可能でございますが、その都度国会の関与を求めているところではございません。
 今回御提案しております公募制度の中では、公募指針の公示や、事業者選定の評価基準に関します学識経験者の意見聴取等の仕組みを設けておりまして、従来より公平性あるいは透明性を高めた仕組みとしておるところでございます。

○本村(伸)委員 協議会もできる規定で、つくらなければいけないというものではないというふうに思いますけれども、今回の法案は、広い都市公園であればあるほど、その面積の一二%分ということで、巨大開発も可能になる仕組みだということもはっきりしているというふうに思います。そうした開発はやるべきではないというふうに考えております。
 私の地元愛知県でも、都市公園をめぐって、既にさまざまな問題が起きております。
 一つは、県営大高緑地公園の恐竜のテーマパーク、ディノアドベンチャーライド名古屋をつくる計画の際に、もともと公園を利用されていた方々や周辺住民の皆さん、地元の緑区役所にも事前の説明がないまま推し進められたという問題がございます。
 愛知県は、新聞報道ですけれども、園内の話なので、住民から意見を聞くことは考えていなかったというわけでございます。誰のための公園なのかという問題になってまいります。結局、住民の皆さんの切実な声は届かずに、この恐竜のテーマパークが都市公園内につくられてしまうという大問題が起きました。
 もう一つは、名古屋市中区の金山総合駅にほど近い古沢公園が再開発の計画でなくなってしまうという問題が今浮上しております。これも、住民の皆さんの合意のないまま強行しようとしております。この公園は、近くの保育園の園庭がわりにもなっている大切な公園でございます。
 こういう都市公園にかかわって、住民の皆さんの声を聞かずにやる計画があちこちで問題になっております。こうした問題を解決するどころか、一層深刻にするのではないかというふうに思うんですけれども、さまざまな角度で確認をしていきたいと思います。
 ある公園があるとしますけれども、その公園周辺の開発と、その公園を一体的に開発するまちづくり再開発事業が行われる場合、法案の公共還元型収益施設、その事業者の公園施設整備を活用することが想定されているのか、お示しをいただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回の公募制度は、民間事業者が収益施設の設置と周辺の広場等の整備を一体的に行うことで、民間活力によりまして公園の質の向上と利用者サービスの向上を図るものでございます。公園周辺で開発事業を行う事業者が、その事業とは別に、今回の御提案の公募制度によります公園整備を行うということが排除されるものではございません。
 公募で選定された事業者は、公園整備と周辺で行う事業とは別々のものとして、公園の質の向上と利用者サービスの向上に責任を持って取り組んでいただく必要がありまして、事業者の選定、公園の整備や管理等におきまして適切な運用が図られるよう、公園管理者に周知してまいります。
 それから、先ほど、私の答弁の中で、学識経験者の意見聴取の仕組みについて御説明申し上げました。これは、規定上、できるではなくて、求めなければならないというようにしておりますので、念のために答弁させていただきます。

○本村(伸)委員 公共還元型の収益施設、公園施設整備事業を実施する民間営利企業の事業者は、公園周辺を開発する事業者の対象となるのかという点もちょっと確認をしたいと思うんです。
 先ほどと少しかぶるんですけれども、例えば、公園の隣接地にマンションや集客施設を建設する開発事業者が公園施設整備事業者になることができるのかという点、確認をもう一度させていただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回の公募制度の中では、公園管理者は、事業者からの提案内容について、公園の質の向上や利用者サービスの向上に寄与するか否か等の観点から総合的に評価をしまして、事業者選定を行います。この選定の結果としまして、公園の周辺での開発事業者が選定されるということはあり得るというように考えております。
 ただ、繰り返しになりまして恐縮ですが、公募で選定された事業者は、公園整備と周辺で行う事業とは別々のものとして、公園の質の向上と利用者サービスの向上に責任を持って取り組んでいただく必要があると考えております。事業者の選定、公園の整備や管理等におきまして適切な運用が図られるように、公園管理者に周知してまいりたいと考えております。

○本村(伸)委員 国交省が規制改革会議地域活性化ワーキング・グループなどに出した資料によりますと、イオンなどが進出するようなイメージも書かれておりまして、そういう大規模開発が一体的に行われるのではないかということも、私どもは、住民の皆さんの声の反映があるのかどうかも含めて、懸念をしているわけでございます。
 この公共還元型収益施設などをつくるに当たって、地方議会の皆さんの関与はどうなるのか、お示しをいただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回の公募制度によるということもそうですけれども、現行の設置許可によりまして公園施設の設置を民間事業者が行う、こういうことに当たりまして、法律上、地方議会の関与は設けておりません。
 ただ、先ほども答弁申し上げましたが、事業者選定の評価基準について学識経験者の意見聴取を行うなど、従来よりも公平性、客観性を高めた仕組みとしておるところでございます。
 なお、公園管理者であります地方公共団体が地域の状況に応じまして団体として適切に判断するということではございますが、公募の開始あるいは事業者の決定に当たりまして、議会に報告するなど説明を尽くすことは、一般論としては望ましいものというふうに考えてはおります。

○本村(伸)委員 民間事業者を参入させる計画そのものの計画策定の際、あるいは収益施設事業者の公募選定手続において、住民の皆さんの意見を聞く、住民参加の仕組みがあるのでしょうか。

○栗田政府参考人 今回の公募制度につきまして、あるいは、その制度の中で事業者の選定を行う際に、法律上、住民参加の手続を設けておるものではございません。
 他方、本法案の中では、公園管理者と地域住民を含む関係者が公園の管理運営につきまして協議する協議会という制度を設けたところでございます。公募の実施に当たりましても、この協議会を活用することは意義があるものというように考えておりますので、積極的な活用を促していきたいと考えております。

○本村(伸)委員 今回、住民の皆さんの意見を聞く仕組みがなぜないのでしょうか、理由をお示しいただきたいというふうに思います。そして、住民の皆さんの意見を聞くこと、そして、事前の説明会など、必須にするべきだというふうに思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。

○石井国務大臣 公募による収益施設の設置管理制度におきましては、公園管理者が地域の実情や都市公園の特性等を踏まえて公募の条件等を設定することを想定しております。
 また、民間事業者の選定に当たりましては、都市公園の機能を損なうことなくその利用者の利便の向上を図る上で最も適切な者を選定するため、公園管理者はあらかじめ学識経験者の意見を聞くこととなっておりまして、従来よりも都市公園の整備、管理の公平性を増すことを目指しております。
 公募に当たりまして、住民説明会など、住民の意見を聞く場を設けるかどうかにつきましては、各公園管理者が判断すべき事項でございますが、本制度の運用に当たりましては、公園利用者の利便の向上が図られることが大切でありまして、このための住民の意向の把握は重要と考えております。
 このため、本改正では、公園管理者と地域の関係者による協議会を設置できる制度を創設することとしております。協議会を積極的に活用することが望ましい旨を法律の運用指針等で示すなど、各公園管理者が住民の理解を得ながら本制度の活用を推進するよう促してまいりたいと考えております。

○本村(伸)委員 住民合意のない巨大開発が行われることがないようにしなければいけないというふうに思っております。
 この収益施設の公募選定の際に、公園周辺の商店、商店街の方々への事前の調整、協議が義務づけられておりますでしょうか。もともと地域にある商店の売り上げなどに悪影響を及ぼす可能性があるわけですから、商店、商店街の方々との事前の協議そして調整、アセスをやるべきだというふうに思いますけれども、大臣、お願いしたいと思います。

○石井国務大臣 公募による収益施設の設置管理制度におきましては、公園管理者が地域の実情や都市公園の特性等を踏まえて公募の条件等を設定することを想定しております。
 その際に、カフェなど、公募で求める施設の地域におけるニーズ等につきましても、公園管理者が適切に判断し、公園利用者の利便の向上を図る上で特に有効であると認められる施設を設置するという、制度の趣旨にかなった運用がなされることが望ましいと考えられます。
 また、民間事業者の選定に当たりましては、公園管理者があらかじめ学識経験者の意見を聞くことについて、既に述べたとおりでありますが、これにより、公園管理者がより適切な判断を行うものと考えております。
 こういった趣旨につきましても、法律の運用指針等で示しまして、適切な運用がなされるよう促してまいりたいと存じます。

○本村(伸)委員 そういう大規模な収益施設ができることによって地域の商店や商店街が潰れることがないように、ぜひしていかなければいけない、国交省としてもそういう責任を持ってやっていただきたいというふうに思います。
 少し角度を変えるんですけれども、民間事業者が整備した広場等の管理は誰が行うのか、遊具などの事故があった場合、責任は誰が負うのかという点、確認をさせていただきたいと思います。

○栗田政府参考人 今回の公募制度の中で、公園管理者は、公募を開始する際に明示することによりまして、民間事業者が収益施設の設置と一体的に整備する広場等につきまして、管理もあわせて行うように事業者に求めることが可能でございます。
 このように、事業者に管理もあわせて行っていただくということは、民間活力によりまして公園の質の向上と利用者サービスの向上を図るという本制度の趣旨に合致すると考えておりますので、できるだけそのような運用がなされることが望ましいと考えております。運用指針等で促してまいりたいと考えております。
 選定されました事業者に広場等の管理を行っていただく場合には、公園管理者は、別途、協定等を締結いたしまして、事業者の業務範囲や管理水準、それから、今御質問がございましたが、責任分担等を明確化するということになると考えております。

○本村(伸)委員 そうしますと、民間事業者が整備した広場等でもし遊具などの事故があった場合、責任がとれるような財力がある民間企業じゃないと参入できないということになるんじゃないでしょうか。

○栗田政府参考人 民間事業者の業務の範囲につきましては、先ほど申し上げましたように、協定の締結等で一つ一つについて定められるということでございます。
 仮に、民間事業者にそういったところの責任分担を負っていただくということでありますと、そういったことを担えるような事業者が選定されるべきものというふうに考えております。

○本村(伸)委員 次に、民間事業者による広場等の整備には補助金が出る、公共還元型収益施設、公園施設整備事業には貸し付けの支援があるというふうに思いますけれども、これは特定企業に対する優遇ではないかというふうに思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

○栗田政府参考人 今回創設いたします民間事業者による公共還元型の収益施設の設置管理制度を活用した事業につきましては、都市公園の利用者の利便の向上に資する収益施設、それからその周辺の園路、広場等の整備を行う公共性の高い事業でございます。
 このうち、園路や広場等の公共部分につきましては、民間事業者が収益を還元して整備を行っていただくということが基本になりますけれども、民間事業者が一体的な整備を行うことによりまして効率的な整備が可能となる場合に、本来、公園管理者が整備する部分まで、民間事業者に行っていただく場合があります。
 このような場合に、本来、公園管理者が整備する部分であることから、社会資本整備総合交付金によります補助によりまして補完をしたいというように考えておるところでございます。
 民間事業者への支援につきましては、本事業の公共性の高さに着目して実施するものでございます。また、この制度そのものに、収益を公共に還元してほしいというような制度の本質がございます。民間事業者の利益とならないような運用がなされるように、地方公共団体に対して周知してまいりたいと考えております。

○本村(伸)委員 住民の皆さんが都市公園のあり方について政策決定に参画する保障もなく、民間営利企業の都市公園開発、ひいては周辺開発と一体の開発は許されないということを申し述べて、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。



反対討論

○本村(伸)委員 私は、日本共産党を代表して、都市緑地法等の一部を改定する法律案について、反対の立場で討論いたします。
 まず、都市農地の保全を図ろうとする改正部分については、かねてから日本共産党が提案してきた内容であり、賛成です。
 しかし、営利目的の企業によるPFI事業により公園の開発を図ろうとする都市公園法の改定が含まれており、賛成できません。
 都市公園法等改定案に反対する第一の理由は、民間営利企業による都市開発事業の中心に都市公園のリニューアルを組み込むことになりかねず、民間開発事業者が公共施設である都市公園を自由に使用することが懸念され、公園の本来の機能が損なわれるからです。
 第二に、民間事業者による公共還元型収益施設の設置に係る公募選定制度には住民の皆さんの意見聴取が義務づけられておらず、住民不在のまちづくりが推し進められる危険があります。奈良公園では、本法案の成立を念頭とした高級リゾートホテルなどの開発計画へ異を唱える県民の皆さんの声を顧みず、推し進められています。
 第三に、周辺商店街の小売店等への悪影響や、安全確保が必要な公園管理における責任の所在が曖昧になるおそれがあるからです。
 以上、反対の理由を申し述べ、討論といたします。

○西銘委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○西銘委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、都市緑地法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○西銘委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

すべて表示

© 2010 - 2024 もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)