もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2017年 3月 31日 第193国会 国土交通委員会

海上運送法及び船員法改定法案 航海命令拡大 下請けガイドライン一人親方排除問題 反対討論

2017年4月3日(月) しんぶん赤旗

一人親方 排除の危険 本村議員 「現場入場認めて」

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(写真)質問する本村伸子議員=3月31日、衆院国交委

 日本共産党の本村伸子議員は3月31日の衆院国土交通委員会で、社会保険の加入に関する「下請指導ガイドライン」の誤った理解から建設業の「一人親方」が現場から排除されかねない問題を指摘し、実態把握や間違った対応をしている場合の是正を求めました。

 同ガイドラインは、社会保険加入を促進するなど建設業従事者の処遇向上を目的に策定され、4月1日から「適切な保険」に加入していない作業員の現場入場を認めないとする措置になっています。

 本村氏は、一人親方が厚生年金などの社会保険に加入義務がないにもかかわらず、未加入を理由に元請けから「4月から現場に入れないと言われた」などの事例を紹介。国や自治体に相談窓口を設置することなどを提案し、「現場から排除されれば、倒産や廃業の危機にひんする。そんなことは絶対にあってはならない」と指摘しました。

 石井啓一国交相は、「一人親方が厚生年金に未加入であることを理由に現場に入れないことは、ガイドラインの趣旨に反する」「正しい理解の徹底に努める」と答弁しました。

 本村氏はまた、元請けから下請けに法定福利費と工事費が適切に支払われるよう指導を求めました。

 石井国交相は「元請けが法定福利費をまかなうことができない金額で契約を締約することは、建設業法19条の3に違反する恐れがある」と答弁しました。


2017年4月4日(火) しんぶん赤旗

「航海命令」を拡大 本村・清水氏が批判 衆院委

衆院国土交通委員会は3月31日、海上運送法および船員法改定案を日本共産党を除く賛成多数で可決しました。採決に先立ち日本共産党の本村伸子、清水忠史両議員が質問に立ちました。

 改定案は、「非常時」に日本船籍化する「準日本船舶」に日本船主の海外子会社保有船を追加するもの。みなし利益(トン数標準)税制と、国家が強制的に海外の邦人輸送などの役務に就かせる「航海命令」の対象になります。

 本村氏は、世界中の紛争地域が対象になり、国家の命令で船舶と船員が危険にさらされることになりかねないと批判しました。

 国交省の羽尾一郎海事局長は、航海命令の際、雇用主は船員に書面で説明しなければならず、船員に乗船を強制したり乗船拒否に対して罰則を科したりすることはないと述べました。一方、南スーダンのようなケースは「非常時」に含まれるかとただしたのに対し、石井啓一国交相は「南スーダンの状況を詳細に承知していない」と述べるにとどまりました。

 清水氏は、長期間住民サービスが受けられない船員の特性を反映した税制や社会保険制度の検討を要求。船員に対する国の支援を求めました。

議事録

○本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。
 法案審議に入る前に、差し迫った問題について質問をしたいというふうに思います。
 建設業では、下請指導ガイドラインという国交省の文書によって、あす四月一日から、適正な保険に加入していない作業員は、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取り扱いとするべきという措置で、これにかかわって、不安を抱え、深刻な相談が寄せられております。
 現行制度では、一人親方の方は、国民健康保険、建設国保、国民年金に加入することになっておりますけれども、にもかかわらず、元請企業や上の企業から社会保険に入ることを求められている。五人未満の従業員の場合ですと、雇用保険には入るわけですけれども、国保、建設国保、国民年金という制度設計になっているわけですけれども、社会保険に入ることを上の企業から求められるというケースもございます。
 つまりは、元請企業や上の企業が現行法の制度設計を正しく理解していないという中で、下請の皆さんに対して違うことを言って、それをやらないのなら建設現場から排除するという実態が相次いでおります。
 元請企業や上の企業が間違った理解で下請の皆さんを現場から排除するということは、結局それは、仕事がなくなって、倒産や廃業の危機ということになるわけでございます。そういうことが絶対にあってはならないというふうに思います。
 大臣に対して、深刻な状況を国交省として把握しているかということ、そして、調査に入って実態をつかむべきだと思いますけれども、答弁をお願いしたいと思います。

○石井国務大臣 社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインは、建設業における社会保険の加入について元請企業及び下請企業がそれぞれ負うべき役割と責任を明確にする、建設企業の取り組みの指針として策定をし、周知を図っているものであります。
 このガイドラインでは、「適切な保険に加入していることを確認できない作業員については、元請企業は特段の理由がない限り現場入場を認めないとの取扱いとすべき」としております。
 社会保険制度では、事業所の態様等によって加入すべき保険の種類が異なり、例えば、個人事業主として事業を行ういわゆる一人親方であれば、厚生年金保険などの適用対象とはなりません。
 このガイドラインにおきましては、法令上加入義務のある保険に加入することを求めておりまして、例えば、厚生年金加入義務のない一人親方を、厚生年金に未加入であることを理由に現場に入れないことは、ガイドラインの趣旨に反するものでございます。
 加入するべき保険に対する理解が徹底されていないとの声もあることから、国土交通省といたしましても、建設企業向けの説明会の全国での開催、関係団体への、ガイドラインの適切な運用を図ることを目的とした通知の発出などを行ってまいりました。
 社会保険の加入等に関しまして、来年度、実態調査を行うこととしております。こうした機会を通じてさらなる実態の把握にも努めながら、ガイドラインに関する正しい理解の徹底に努めてまいりたいと存じます。

○本村(伸)委員 中小企業の皆さんの営業というのは大変なもので、今すぐ対応していただきたいというふうに思うんです。
 全国商工団体連合会の皆さんのところにもたくさんの相談が寄せられているということで、例えば、沖縄の建設業の一人親方の方ですと、四月から一人親方は現場に入れないというふうに言われたということや、あるいは、別の方からは、個人事業主にもかかわらず社会保険に入れと言われた、こういう実態がございます。埼玉県の建設業の方からは、個人事業主として、現状、私を含め四人で建設現場の三次下請の立場で現場に入っています、法人化も含め、社会保険加入を上の会社から求められています、どうあがいても今の売上単価では社会保険料を払えません、こういう切実な声です。こういう声があふれているわけです。
 四月から現場入場を認めないということになりますから、改めて三点御提案をしたいというふうに思います。
 一点目ですけれども、私たちが受ける相談というのは一部でしかございません。やはり、権限も持っている国や都道府県が、窓口を設置する、窓口を設置しているということをしっかりと広報する、広報をして、下請の皆さんの声を聞き、相談に乗るということが一点目。
 そして二点目が、元請会社の側が誤解していたり間違っている場合、国や都道府県が、現場排除とか取引停止などがないように是正をさせるという点。
 三点目が、業界団体に、改めて、間違った対応をしないように通知などを出して、徹底をしていただきたい。
 こういう三点を行って、廃業や倒産することがないようにしていただきたいんですけれども、大臣、答弁をお願いします。

○石井国務大臣 先ほども申し上げましたが、下請指導ガイドラインにおきましては、事業所の態様等に応じて、法令上加入義務のある保険に加入していただくことを求めております。こうした下請指導ガイドラインの趣旨を徹底するためには、元請企業、下請企業を含めて、正しい理解をしていただくことが必要と考えております。
 このため、下請指導ガイドラインを含めた社会保険未加入対策に関する相談窓口の充実、個別の相談に応じた企業への周知を含め、下請指導ガイドラインへの理解を徹底すること、引き続き建設業団体を通じた周知を行うことを含めまして、必要な対策を検討してまいりたいと考えております。

○本村(伸)委員 ぜひ、この下請ガイドラインにかかわる誤った理解によって下請中小企業の皆さんが倒産するようなことがないようにしていただきたいというふうに思います。
 適正な保険に加入するためには、発注者、元請からしっかりと法定福利費が払われなければ、払いたくても払えないという状況になるというふうに思います。
 静岡の方の例ですけれども、元請から、今までの労務費、労務単価に法定福利費が含まれている、これからは労務費と法定福利費は別項目で記載して見積もりを出すよう指示をされたという話がございます。つまり、法定福利費はこれまでの下請代金に含まれていたから、法定福利費を別途積み増して支払うことはしない、見積もりだけ別項目で書いて請求しろというやり方です。三重県の方からは、元請企業から法定福利費の支払いはできないと言われ、自腹で持ち出す状況になっているという訴えも届いております。
 法定福利費として別枠で支払われるべき費用が、労務費や工事費と込み込みで支払われる、あるいは払われない。つまりは、法定福利費以外の労務費、工事費が減額されたのと同じことになるわけでございます。こういうことは、建設業法の十九条の三にあります「通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。」という条文に抵触するというふうに思います。
 こういう場合、元請や発注者までの調査も含め、重層的な下請構造のもとで実際に働いている事業者の方々や働く人たちに法定福利費と工事費、労務費がしっかりと支払われるように指導するべきだというふうに思いますけれども、大臣、答弁をお願いしたいと思います。

○石井国務大臣 下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示され、または含まれているにもかかわらず、元請負人が一方的にこれを削減するなど、実質的に法定福利費相当額を賄うことができない金額で建設工事の請負契約を締結することは、当該元請、下請間の取引依存度等によりましては、建設業法第十九条の三の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがございます。このことは、社会保険の加入に関する下請指導ガイドラインなどにも記載をしており、周知を図っているところであります。
 法定福利費の支払い状況につきましては、毎年実態調査を行っておりますが、こうした機会を通じて実態を把握しながら、適切な取引が行われるよう、必要な指導を含めて取り組んでまいりたいと存じます。

○本村(伸)委員 法定福利費、工事費、労務費の適正な支払い、発注者、元請を先頭にしっかりと支払っていただくということがされるように、一層指導監督の強化をお願いしたいということで、次に、法案に移りたいというふうに思います。
 今回、法案の改定ですけれども、準日本船舶の認定対象に日本の船主の海外子会社保有船を追加するというものですけれども、準日本船舶に認定される船舶数がふえれば、航海命令の適用の対象となる船がふえることになるというふうに思います。
 航海命令が実際に発令される場面として具体的にどのような状況を想定しているかということですけれども、海上運送法第二十六条第一項のところに、「航海が災害の救助その他公共の安全の維持のため必要」なときとございます。
 これは具体的にはどういうことか、とりわけ、「その他公共の安全の維持のため必要」とは具体的にはどのようなことを想定しているかということなんですけれども、国交省は、有事ではないんだ、非常時に航海命令を出すんだと言っておられます。そして、テロや政変等で治安が悪化したとき、海外の邦人等の輸送なども含まれるということも答弁などで言われておりますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

○羽尾政府参考人 お答えいたします。
 海上運送法第二十六条第一項の規定におきまして、「災害の救助その他公共の安全の維持のため必要であり、かつ、自発的に当該航海を行う者がない場合又は著しく不足する場合」におきまして航海命令を発することができるとされております。
 具体的には、この「災害の救助その他公共の安全の維持のため必要」である場合とは、例えば、第一の事例といたしまして、国内において自然災害、事故等が発生した際、外国から緊急物資を運送する場合、第二の事例といたしまして、外国で災害、紛争等が発生した際に、マラッカ・シンガポール海峡等が通行不能となり、貿易物資の輸送に支障が生じる場合、第三の事例といたしまして、外国において災害、治安悪化等が発生した際に、安全な地域に邦人を避難させる場合などを想定いたしております。

○本村(伸)委員 改めて確認をさせていただきたいんですけれども、航海命令が出されたとき、船員の皆さんが乗船をする際に、航海命令での航海であることを明示されるのかという点、そしてまた、船員の皆さんは、航海命令に従うことを拒否できるかという点、確認をしたいと思います。

○羽尾政府参考人 お答えいたします。
 乗り組み船員の方が航海命令による航海であることを知らされずに航海に従事することのないよう、船員法第三十二条第二項の規定に基づきまして、船員の雇用主たる船舶所有者に対しまして、乗船前の雇い入れ契約締結に際し、当該契約に係る航海が航海命令によるものであるときは、その旨を書面を交付して説明することを義務づけいたしております。
 また、海上運送法の航海命令に係ります船舶への乗り組みを船員が拒否したとしても、船員に対して乗り組みを強制することや、乗り組みを拒否した船員に対する罰則はございません。

○本村(伸)委員 そのことは確認したいと思います。
 大臣にお伺いをしたいんですけれども、例えば、南スーダンのように内戦状態で、政府軍、反政府軍、その他の組織も出てきまして、戦車や迫撃砲なども出て激しい戦闘が行われていたり、あるいは大量虐殺という危険を国連が指摘しているような事態の場合は、テロ、政変等で治安悪化という非常時に入るんでしょうか。

○石井国務大臣 南スーダンの状況は、私は詳細に承知しておりません。

○本村(伸)委員 南スーダンのようなケースがあった場合でございます。

○石井国務大臣 南スーダンのようなケースを私はよく承知しておりません。

○本村(伸)委員 南スーダンのようなケースを把握しておらず、新たな任務を付与する閣議決定を行ったのでしょうか。

○石井国務大臣 南スーダンは、自衛隊のPKOのことでおっしゃっていると思いますけれども、私は所管ではございませんので、その状況について答弁は差し控えたいと思います。

○本村(伸)委員 南スーダンのようなケースも非常時に入る可能性があるということだというふうに思うんですけれども、国土交通大臣が航海命令を出すという判断を下す場合、どのように情報が集められる仕組みがあるのか、徹底した情報公開がなされるのか、恣意的な解釈を排除する仕組みや濫用を防ぐ仕組みがどのようにあるのか、お示しをいただきたいと思います。

○石井国務大臣 実際に航海命令の発令につながるような事態が生じた際には、政府内において情報収集体制が設けられる可能性が高く、これらを通じ、必要な情報を収集することになると考えられます。また、収集された情報の公開については、その内容に応じて適切に判断されるものと考えられます。
 いずれにいたしましても、航海命令につきましては、先ほど御説明申し上げたとおり、海上運送法第二十六条第一項の規定に従いまして、「災害の救助その他公共の安全の維持のため必要であり、かつ、自発的に当該航海を行う者がない場合又は著しく不足する場合に限り、」発令されることとなるわけでございます。

○本村(伸)委員 有事か非常時かということを考えてみますと、南スーダンPKOの日報問題で明らかになりましたことは、一点目ですけれども、駆けつけ警護や宿営地共同防護など、新たな任務を付与する閣議決定や防衛大臣の命令が下されたときに、国民の皆さんや住民の皆さんには情報が隠され、その隠された状況のもとで政府が判断を下したという問題がございました。
 二点目ですけれども、南スーダンPKOの日報の問題では、戦闘と書かれているのに、政府は、戦闘ではなく衝突だと。私たちが、内戦状態であり、そういうところに自衛隊を派遣するのは憲法違反であり、PKO参加五原則にも違反しているというふうに指摘をすると、国家または国家に準ずる組織同士の武力衝突、いわゆる法的な意味での戦闘行為に当たるものではないと言うわけです。
 こういう状況があるからこそ、やはり航海命令を出すときも心配になるわけでございます。
 そもそもこれまで航海命令を出した事例があるのかということと、実際には出していないけれども、出そうとしていた事例はあったのかということ、過去には、外航まで航海命令の対象を拡大する際に、インドネシア危機のことも答弁をされておりましたけれども、具体的にお示しをいただきたいと思います。

○羽尾政府参考人 お答えいたします。
 海上運送法第二十六条第一項の規定に基づきます航海命令は、国際輸送、国内輸送、このいずれにつきましても、これまで発令実績はございません。
 また、御指摘の、一九九八年、平成十年のインドネシア危機のお話かと思いますが、その際に、当時の運輸省から日本船主協会への要請を踏まえまして、在留邦人の緊急輸送のため、我が国船会社の貨物船をシンガポールで待機させたことはございますが、これは、自主的な協力により行われたものであります。

○本村(伸)委員 そういうインドネシア危機の際のことも踏まえて外航まで航海命令を拡大したというような御答弁でしたので、そういうことも踏まえてだというふうに思います。
 千年に一度と言われるあの東日本大震災、そして福島第一原発の事故があった際も、航海命令を出さずに、業界の皆さんが自主的にガソリンや飼料あるいは生活物資を運んだわけでございます。
 航海命令というのは、国家が強制するものですから、大変重いわけでございます。航海命令というのは、発動される非常時というのに、先ほど来議論をしてきましたテロ、政変等の治安悪化を含むとしておりまして、世界じゅうの紛争地域が対象となり得るわけでございます。輸送時には船員の方々も含め危険にさらされるという可能性は、やはり否定できないわけでございます。
 国家の命令によって痛ましい事件が起こらない、起こさせないためにも、航海命令の対象とする船をふやすことを認めることはできないということを強調いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。


反対討論

○清水委員 私は、日本共産党を代表して、海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案について、反対の立場で討論いたします。
 国際条約の完全な履行については、船員の安全確保のために必要なことです。
 しかし、今回の改正案によって、航海命令の対象となる船舶の数が増加します。
 航海命令は、非常時に国家が船と船員を強制力を持って役務に提供させる命令であります。非常時の定義には、テロ、政変等の治安悪化が含まれます。世界じゅうの紛争地域がこの命令の対象となり得るものであり、輸送時に船と船員が危険にさらされる可能性は否定できません。
 航海命令の対象は船舶運航事業者とされているものの、実際に海外の危険地域へ派遣されるのは、海上運送に従事する船員と労働者です。
 以上の観点から、法案には賛成できないということを申し上げて、討論といたします。

○西銘委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――

○西銘委員長 これより採決に入ります。
 内閣提出、海上運送法及び船員法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕

○西銘委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

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