もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)-
国会質問

質問日:2016年 3月 9日 第190国会 国土交通委員会

軽井沢スキーバス事故、過労運転防止方へ法制化

2016年3月14日(月) しんぶん赤旗

過労運転防止へ法制化 衆院国交委 本村議員が要求

写真

(写真)質問する本村伸子議員=9日、衆院国交委

 日本共産党の本村伸子議員は9日の衆院国土交通委員会で、軽井沢スキーバス事故の背景にある安全軽視の規制緩和策を批判し、安全運行のための参入規制と労働規制の強化を求めました。

 事故を起こした運転手は大型バスの運転に不慣れで非正規雇用でした。本村氏が貸し切りバス会社の賃金・雇用形態などの労働実態調査を求めたのに対し、国交省の藤井直樹自動車局長は「可能なものについては調査ができるところを検討していきたい」と述べました。

 本村氏が過労運転の防止などバス運転手の安全運行を事業者に確保させる担保をただすと、藤井局長は「運転者の勤務時間を定めた改善基準告示の遵守が重要だ」と述べました。

 本村氏は、長野地裁で観光バスの運転手の過労死を認める判決が下された事例では、週90時間超の拘束時間など多くの同告示違反があったと告発。この裁判で国が控訴していることを厳しく批判しました。石井啓一国交相は「裁判の事例も改善基準告示が守られていない事例だった」との認識を示しました。

 本村氏は、罰則がないといった改善基準告示の問題点を指摘。飲酒運転と同様の危険が指摘されている睡眠不全についても、「寝てないなら、乗るな、乗せるな」と厳しく対応すべきだと主張し、同告示に睡眠時間の確保を盛り込むなどの改善と法制化の検討を求めました。

 事業者が安全を確保できるかを審査するなどの参入規制・事前チェックのあり方について石井氏は「検討委員会で総合的に検討を行う」と答弁しました。

議事録

本村(伸)委員 日本共産党の本村伸子でございます。

 軽井沢バス転落事故にかかわって、抜本的な安全対策を求める立場から、質問をさせていただきます。

 バス転落事故で十五名の方がとうとい命を奪われました。この三十年で犠牲者が一番多いバス事故となりました。亡くなられた方々に心からの哀悼の意を表したいと思います。そして、負傷された皆様の一日も早い回復を心から願っております。

 私も現地に行きまして黙祷し、そして献花をさせていただきました。

 現場は、国交省の現地の方に聞いても警察の方に聞いても、ほとんど事故がないところだということでございました。事故の当日、凍結もありませんでした。あと少しで坂が終わる、そういう場所でした。そういう場所でなぜ事故に遭わなければならなかったのかと、本当に無念の思いでいっぱいになりました。絶対に繰り返してはならない、そのための真剣な、抜本的な安全対策をとらなければならない。

 事故の直接的な原因は運転手の操作ミスだというふうに言われております。エンジンブレーキがきかなかったのではないか、ギアがニュートラル、スピードを出し過ぎていたのではないか、こういう原因が言われておりますけれども、技術力に不安があった運転手の方が運転しなければならなかった。なぜそうした運転手の方に事業者は運転をさせたのか、なぜ違反を繰り返し、安全を軽視する事業者を参入させたのか、国の責任は本当に重いものがあるというふうに思います。

 そこで、伺いますけれども、国土交通省は事故を起こした会社イーエスピーに監査に入って、三十三件の違反があったと報告をされております。このイーエスピーの三十三件の違反のうちで運転手にかかわる違反はどういうものがあったのか、お示しいただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 事故を起こした貸し切りバス事業者、株式会社イーエスピーに対しましては、事故発生日、一月十五日から四回にわたり特別監査を実施し、同社の他の貸し切りバス運行も含め、御指摘のとおり、計三十三件の道路運送法関係の法令違反事項を確認しました。

 その中で、健康管理に関する違反が二件ございました。具体的には、所定の拘束時間を超えて乗務していた運転者がいたこと、休息を十分とらずに乗務した運転者がいたこと、また、一部の運転者に対し定期健康診断が未実施であったこと、さらに、新たに雇い入れた運転者に対し健康診断が未実施であったこと、以上のことが確認をされております。

本村(伸)委員 運転手の方は、中型に乗っておりまして大型はふなれであるというふうに言っておられました。高齢で、健康チェックもせず、実車の訓練は回送運行時一回だけであった。運転手の方が以前勤務していた会社で受診をした任意の適性診断で、一部の項目で最低の評価を受けていましたけれども、その診断結果は本人にも渡されることがなかったと報道をされております。

 そこで、伺いますけれども、なぜイーエスピーはこうした運転手の方を雇い、大型の貸し切りバスを運転させることになったのか、その背景を大臣はどのように考えているのか。私は、一九九九年に審議をされました道路運送法の改定など規制緩和、これが背景にあるというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいというふうに思います。

石井国務大臣 事故の原因につきましては、現在、警察において究明のための捜査を行っているところでありまして、その捜査の状況を注視しているところでありますが、今回の事故を起こしたドライバーについては、御指摘のように、大型車の経験が少なかった、事業者が当該運転者に実施した実車訓練が一回のみといった問題が判明をしております。

 貸し切りバスについては、平成十二年の道路運送法の改正により、需給調整規制の廃止を行ったところです。規制緩和の結果、サービスの多様化など利用者の利便向上という点で成果を上げているものと考えております。

 一方で、安全、安心なサービスの確保は需給調整規制の廃止後においても最重要の課題でございます。

 安全、安心なサービスを確保するためにはドライバーの技能の向上は極めて重要でありまして、国土交通省といたしましては、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会におきまして、ドライバーに対する訓練のあり方を含めた安全規制のあり方について総合的に検討し、実施に移してまいりたいと思っております。

本村(伸)委員 大臣はいつも、この規制緩和のことを問われると、サービスの多様化など利用者の利便向上という点で一定の成果が上がっているというふうに真っ先に言うわけですけれども、貸し切りバスの最大の、一番のサービスは安全ではないんですか。大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 もとより安全な運行をやっていただくということが大前提であるというふうに考えております。

本村(伸)委員 規制緩和の問題ですけれども、貸し切りバス事業を免許制から許可制にして需給調整をなくして、過度な競争にならないように、安全が守られるようにと調整してきた、そうしたものをなくした。安全確保も事前チェックから事後のチェックに切りかえた。それだけではなく、労働法制の規制緩和とも相まって、バス運転手の低賃金化、非正規化そして派遣など、働く人たちを安く使うということを進めてきた。そういう中で、教育や経験の不足という問題も生じてきているというふうに思います。

 規制緩和の後、バス事業に参入する事業者がふえて、法改定をした一九九九年度には二千三百三十六社、貸し切りバスの事業者はあったわけですけれども、最新の数字では二〇一四年度で四千四百七十七社ということになりました。

 そういうふうに事業者がふえる中で、一事業所当たりの収益は減り、民営バスの運転手の平均の年間所得も、一九九四年と二〇一四年を比べますと百七十九万円も減っている。そういう中で、若い人が就職をしようということにはならず、人手が足りない状況になっているというふうに思います。

 今回、事故で明らかになった運転手の経験、技量不足、高齢化、運転手の不足というのも、大もとには規制緩和が背景にあるというふうに言わざるを得ないと思いますけれども、大臣の認識を改めてお伺いしたいと思います。

石井国務大臣 需給調整規制を廃止した後、貸し切りバス事業者の参入がふえているというところは御指摘のとおりかと思いますが、そういった中で、国土交通省としても、貸し切りバスの運転者の労働条件や待遇の改善は重要だというふうに考えております。

 それで、平成二十六年四月から安全コストを反映した新運賃・料金制度を導入しておりまして、これは関越のバス事故を受けて新たに導入したところでございますが、国土交通省としては、この運賃・料金制度に従って適正な運賃収受が徹底されることが運転者の処遇改善のためにも重要だというふうに考えております。

 今回の事故を起こしたイーエスピーについては、新運賃・料金制度の下限運賃を下回る運賃で実施をしていたということから、下限割れ運賃の防止のための方策を、今、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会で検討しているところでございまして、その検討結果も踏まえ、適正な運賃収受を徹底していきたいというふうに考えております。

本村(伸)委員 実際には、この二十年間で、バスの運転者の平均年間所得というのは百七十九万円も減っているわけでございます。

 そこで、ちょっとお伺いしたいんですけれども、今回事故を起こしたイーエスピーの全てのバス運転手の雇用形態はどのようなものになっていたかという点。

 そして、二点目ですけれども、貸し切りバス運転手全体の低賃金、非正規化が問題になっておりますけれども、賃金、雇用形態、非正規の場合はどのくらいの雇用契約期間の人が多いのか、派遣の人はどのくらいいるのか、社会保険の加入状況、こういう実態調査は行っておられますでしょうか。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 株式会社イーエスピーにつきましては、今回の事故を受けて特別監査を改めて実施いたしましたところ、運転者につきましては、フルタイムで勤務する運転者が十一名、それ以外の勤務体系による運転者十一名が確認をされているところでございます。

 それから、貸し切りバスの雇用形態についての実態把握の件でございますけれども、現在、全国の貸し切りバスの運転者、平成二十五年度ベースで八万三千百九十九人ということでありますけれども、これにつきまして、二十六年度に私どもサンプル調査を、これはバス全体で実施したところ、貸し切りバスに見る限り約八割が正社員で雇用されているといった結果が出ているところでございます。

本村(伸)委員 そのサンプル調査ですけれども、四千社以上ある中での二十六社の調査だと思いますけれども、よろしいでしょうか。

藤井政府参考人 サンプル調査で回答があった事業者については、二十六事業者でございます。

本村(伸)委員 先ほど言われました数字が、正社員が八割と言いましたけれども、圧倒的多数の中小零細のバス会社の雇用状況まで調べていないということが明らかなわけでございます。

 雇用契約期間が二カ月以上でないといけないというふうになっておりますけれども、二カ月、二カ月、二カ月と転々としている運転手でしたら、その運転手の資質を見抜くことは困難になるわけでございます。そのことは、結局安全を確保することが困難になるということだというふうに思います。

 安全を確保するという観点から、貸し切りバス会社の労働実態調査、賃金、雇用形態、非正規雇用の割合はどのくらいいて、そして雇用契約期間はどのくらいになっているのか、派遣の人はどのくらいいるのか、社会保険の加入など、こういう具体的な調査を行うべきだと思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 貸し切りバス業界における雇用形態についての調査は先ほど申し上げたとおりでありますけれども、今委員の御指摘を踏まえて、可能なものにつきましては、調査ができるところを検討してまいりたいと考えているところでございます。

本村(伸)委員 規制緩和でバス事業者がふえて、一社一社は収益が減る中で、人件費を削るしかない。労働集約型のバス事業でコスト削減となれば、結局、人件費を落として安全度を下げるということにつながってまいります。

 そこで、ちょっと大臣に確認をしたいんですけれども、バスの運転手というのは安全運行のかなめである、そういう認識があるのかということをお伺いしたいというふうに思います。そして、二点目ですけれども、バスの運転手というのは安全運行のかなめであり、そのかなめにふさわしい待遇が必要だということを大臣は認識されているのかという点を確認したいというふうに思います。

石井国務大臣 貸し切りバスに限らず、自動車事業の安全性のかなめは運転者だというふうに思っております。

 運転者の労働条件が改善することは、輸送の安全確保やバス運転者の不足への対応のために重要であるというふうに思っております。

本村(伸)委員 バスの運転手は、大事だというふうに言っていただきましたけれども、命を預かる大事な仕事でございます。安全の観点から、安全運行が確保できるという基準が必要だというふうに思うわけですけれども、運転手の安全運行を事業者に確保させる担保はどこにあるのか、お示しいただきたいというふうに思います。

藤井政府参考人 安全確保のためにバス運転手の技能さらには労働条件が重要なことは、先ほど大臣が申し述べたとおりでございます。

 特に労働条件につきましては、事業用自動車につきましては、全産業労働者と比較しても長時間労働という実態が見られており、運輸業における労働時間の改善について、引き続き取り組むべき重要な課題であると認識をしているところでございます。

 この課題の解決のためには、事業用自動車の運転者の勤務時間を定めたいわゆる改善基準告示の遵守が極めて重要であると考えておりまして、これにつきまして、厚労省と連携をし、しっかりとその遵守に努めてまいりたいと考えているところでございます。

本村(伸)委員 もう一つ確認ですけれども、道路運送法の二十七条に、事業者は、運転者の過労運転を防止するために必要な措置を講じなければならないというふうに書かれております。この過労運転を防止するために必要な措置というのは、改善基準告示を守るということでよろしいでしょうか、確認したいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、改善基準告示を守るということがまさにその意味であると考えております。

本村(伸)委員 厚生労働省に伺いますけれども、改善基準告示に違反した場合、罰則があるのかどうか、確認したいと思います。

大西政府参考人 御指摘の改善基準告示につきましては、違反した場合には罰則はありません。

本村(伸)委員 改善基準告示に違反しても、行政処分しかなく、罰則がない。やはり罰則つきの安全運行のための基準をつくるべきだというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 運転者の安全運行を確保するためには、事業者が、改善基準告示に定められた労働時間等の遵守、点呼時の運転者の健康状況の確認、交代運転者の配置基準の遵守等、法令上求められている事項を確実に実施することが重要と考えております。

 国土交通省としましては、これらの取り組みを徹底すべく、法令の遵守状況について監査等において確認するとともに、悪質な違反業者に対しては、厳正な処分、行政処分をもって対処しているところでございます。

本村(伸)委員 イーエスピーに対して、昨年二月、国交省は監査に入り、違反が見つかったわけですけれども、処分をしたのは、ことしの一月十三日、事故が起こる二日前のことでございました。しかも、一台のバスの運行を二十日間とめるというだけの処分でございました。そこでちゃんと厳しい早急な対応があったら、今回のバス事故は起こっていなかったかもしれない。違反をしても甘い対応では、安全を軽視する事業者はなくならないというふうに思います。

 事故後の街頭監査なんかでも違反ばかりだ。違反が蔓延している現状は国交省も認めざるを得ないというふうに思いますけれども、監査とおっしゃいましたけれども、国交省の監査の職員は、今年度で、全国で三百六十五人しかいない。この人数で、貸し切りバスを初めバス、トラック、タクシー十二万社を監査しなければならない。十二万社を三百六十五人で監査するのはとても無理だというふうに言わざるを得ません。

 こうした貧弱な監査体制、それにもかかわらず貸し切りバス事業に参入しやすくする規制緩和を行った政府、国の責任というのは本当に重大だというふうに言わざるを得ないということを指摘しておきたいと思います。

 もう一つですけれども、一九九九年の規制緩和の道路運送法の改定の審議の際、この道路運送法と同時に、鉄道事業法、海上運送法、航空法、この四つの法案が一括して審議をされました。私どもはこの当時もこの規制緩和の法案に反対しましたけれども、審議も、四つ大事な法案が一括で審議される、一つ一つ十分な審議ができないという状況でした。決してこういうことを繰り返してはならないというふうに思います。委員会運営についても一言申し述べさせていただきたいというふうに思います。

 連日、バスの事故の報道がなされております。ここで、貸し切りバスの運転手の過労死の問題について伺いたいというふうに思います。

 長野県内の昌栄高速運輸株式会社で観光バスの運転手として働いていたTさんは、二〇〇八年八月十九日、日光でバスを運転中に脳内出血が起こり、同年十一月三十日、四十二歳で亡くなられました。

 この件で、ことし一月二十二日、長野地方裁判所は、過重業務、過重労働による過労死であるというふうに判断をいたしました。請求から七年かけてやっとこういう判決が出されました。

 国の方は、労働基準監督署の署長は、乗客が見学している間に運転席で待機しているのを休憩として労働時間には含めない、労働時間が労災の認定基準を超えるものではないというふうに主張をしましたけれども、今回の長野地裁の判決では、待機時間についても、完全に業務から解放されていたとは言えず、一定の精神的緊張を伴ったと判断をし、Tさんの業務が、不規則な勤務、拘束時間の長い勤務、出張の多い業務、交代制勤務、深夜勤務及び精神的緊張を伴う業務であり、疲労を回復できなかったとして、脳内出血の発症の起因性を認めました。

 Tさんのお連れ合いは、女手一つで働きながら二人の子供さんを育て、経済的にも精神的にも大変つらい日々を送られているわけでございます。ところが、国は控訴をし、この判決を認めようとしていないわけでございます。

 先ほども、道路運送法上の、事業者が過労運転を防止するために必要な措置とは改善基準告示のことだというふうに言われましたけれども、このバスの運転手のTさんは、脳内出血発症直前の二〇〇八年七月十五日から八月八日までの二十五日間で休日はわずか二日だけでございました。

 そして、改善基準告示では拘束時間は一週間当たり六十五時間というふうになっておりますけれども、九十時間十八分、改善基準告示よりも二十五時間十八分も多い拘束時間でございました。

 そして、改善基準告示では拘束時間は原則一日当たり十三時間までとありますけれども、十三時間を超える日は、実働二十三日の中で十二日もありました。出勤した二十三日間において、一日平均拘束時間は十四時間二分、一日拘束時間二十時間以上の日もありました、十八時間以上の日もありました。

 改善基準告示では、勤務から勤務までの間の休息期間は継続八時間以上というふうになっております。

 Tさんの場合ですけれども、例えば、七月二十四日は、夜中の二十四時五分、二十五日の要するに零時五分に退社をして二十五日の午前五時五十分に出社をした。休息期間は五時間四十五分しかありませんでした。二十六日も、この日は二十四時十分に退社をして七時半に出社をした。休息期間は七時間二十分しかなく、二日連続、休息期間は八時間未満でございました。

 八月五日は、頭痛のために午後五時五十分に入庫をしましたけれども、七時間四十分後の二十五時三十分、つまりは六日の午前一時半までバスの運転台からおりることができなかった。にもかかわらず、六日午前六時四十分に出社をして、休息期間は五時間十分。それで六日から八日まで二泊三日の観光旅行の運転に従事をいたしました。この三日間の拘束時間は一日平均で十四時間一分でございます。

 Tさんの勤務というのは本当に不規則で、出社が早い日は八月三日夜中の午前一時三十分が出社、退社が最も遅いのは七月十七日で二十六時五十分退社。七月十五日、八月八日までの二十五日間で宿泊は九日もあったわけでございます。七月十五日から二十七日まで十三日間休日がないという状況も続きました。こういう働かせ方をされていたわけでございます。改善基準告示違反のオンパレードです。

 厚生労働省に伺います。この事件、つかんでおられますでしょうか。

大西政府参考人 お尋ねの事件につきましては、現在訴訟で係属しておるというぐあいに承知しております。

本村(伸)委員 国交大臣にもお伺いをしたいんですけれども、こうした改善基準告示違反のオンパレードで過労死に至ってしまった事件、どのようにお感じになりますでしょうか。

石井国務大臣 改善基準告示に定められた休息期間が遵守されることによりまして適正な睡眠時間や休日が確保されるものと認識をしております。

 引き続き、厚生労働省と連携しつつ、事業者への指導や悪質事業者への重点的な監査等によりこの基準の遵守の徹底を図り、運転者の長時間労働の改善を図ってまいりたいと存じます。

本村(伸)委員 改善基準告示は、先ほども答弁がありましたように、罰則がない、こういう問題を抱えております。そして、この改善基準告示の違反の横行を放置してきたから、こうした最悪の過労死という事態になってしまったんだというふうに思います。

 Tさんは、七月二十四日二十四時五分、これは二十五日の零時五分ですけれども退社をして、二十五日午前五時五十分に出社ということもありました。この休息期間は五時間四十五分、この間に会社から退社をして家に帰り、お風呂に入り、そして食事をして、身支度をしてまた出勤する。睡眠時間は何時間だったのか。三時間や四時間だったのではないかというふうに思います。

 改善基準告示では、勤務と勤務の間の休息期間が八時間あればいいというふうになっておりますけれども、通勤時間や食事、お風呂、身支度、こうしたものを考えますと、睡眠時間の確保というのは本当に大変だというふうに思います。Tさんの場合は、この八時間以上という休息期間さえ守られておりませんでした。

 道路運送法上の過労運転を防止するために必要な措置というのは、改善基準告示を守ることだというふうに先ほど答弁をされましたけれども、この改善基準告示に違反するというのは、やはり過労運転であったということだというふうに思います。

 こういうひどい働かせ方をしていたのに過労死と認められないというのは、私は本当にひどいというふうに思います。早く控訴を取り下げて、一刻も早く御遺族の方を少しでも安心させるべきだということを強調しておきたいというふうに思います。

 改善基準告示の問題ですけれども、今の改善基準告示というのは、睡眠時間を問うておりません。私はここに問題があるというふうに思います。通勤で一時間かかって、往復で二時間かかって、食事、お風呂、身支度、事実上、睡眠時間が四時間でも構わない、こういうふうに改善基準告示はなっている。大臣は、これで本当に安全が守られるというふうにお考えでしょうか。

石井国務大臣 運転者の睡眠時間については、御指摘の改善基準告示において、休息期間の一部とされているところでございます。

 この休息期間は、原則として一日最低八時間以上確保するよう定められているところでございますが、これは、裏返して言えば、拘束時間が十六時間までということになるわけですね。しかし、拘束時間が原則は一日十三時間までで、十六時間まで延長可能なわけですが、ただし、拘束時間が十五時間以上は週に二回までというふうに改善基準告示にはされております。

 なお、この拘束時間でありますが、バス運転者の実際の運転などの作業時間と客待ちなどの手待ち時間を合わせた時間とされておりまして、これに仮眠等の休憩時間を加えた時間が拘束時間とされているところでございます。

 この改善基準告示で定められた時間を事業者がきちんと内容を遵守することによりまして安全性を確保することができると認識をしております。

本村(伸)委員 そもそも、道路交通法には、ひどく疲れた状態で車を運転してはいけないというふうに書かれております。

 さまざまな調査を読ませていただきましたけれども、睡眠時間八時間に比べて睡眠五時間だと運転中の脇見が多い、衝突事故や車両単独事故の関連要因を調べた結果、睡眠時間が六時間未満ということが有意な要因であるという調査も出ております。疫学調査の結果では、睡眠時間が六時間未満の者では、居眠り運転のリスクが有意に上昇していたという報告もあります。交通事故防止のためには夜の睡眠をきちんととることが何よりも重要という指摘も当然ながらございます。

 独立行政法人労働安全衛生総合研究所の高橋正也氏は、二〇一五年の「睡眠医療」でこういうふうにおっしゃっております。飲酒運転は厳しい罰則がある、しかし、体内では飲酒と同じ効果を及ぼす睡眠不全に対して社会的に甘いんだ、寝ていないなら乗るな、乗せるな、この認識を広めなければならないというふうに強調をされております。

 とりわけ、人を乗せて運転する、人の命を預かるバス運転手であるならば、寝ていないなら乗るな、乗せるなというのは当たり前だというふうに思いますけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 道路運送法令におきまして、バス事業者に対し、疲労等の理由により安全に運転できないおそれがある乗務員を乗務させてはならないとしておりまして、点呼の際にこれを確認することを求めております。

 睡眠不足によって疲労が十分に回復せず、安全に運転ができないおそれがあると点呼の際に確認された場合には乗務させてはならない、このように考えております。

本村(伸)委員 改善基準告示の休息期間の八時間では、安全運行を確保するための睡眠が確保できないというふうに思います。現場の労働者の皆さんは、勤務と勤務の間の時間は十一時間は必要だ、睡眠を確保するためにも、疲労を回復するためにも十一時間は休息期間が必要だとおっしゃっております。

 そして、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会の安部誠治先生も、運転手の労働時間を定めた改善基準告示の改正も厚生労働省に求めたい、乗務を終えてから次の乗務まで最低八時間の休息を定めているが、この時間を延ばすべきだ、通勤時間を考えると睡眠時間は四から五時間になってしまう、事故を教訓に、長い目で構造改善に取り組む必要がある、こうおっしゃっております。

 本気で安全運行というものを考えるのであれば、睡眠時間を確保できる休息期間の保障、これを検討し、実現しなければならないというふうに思いますけれども、大臣にぜひ政治家として判断をしていただきたいと思います。

藤井政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の改善基準告示につきましては、自動車運転者の業務の特性を踏まえ、全ての産業に適用される労働基準法では規制が難しい拘束時間の制限や休息期間の確保等の規制のあり方について、関係労使の同意を経て策定されたものであり、自動車運送事業の実情を踏まえたものであるということを認識しております。

 国交省としては、同基準の遵守を図るために、厚生労働省と連携しつつ、事業者への指導や悪質事業者への重点的な監査により同基準の遵守の徹底を図っているところでありまして、引き続き、バス運転者の長時間労働の改善を図ってまいります。

 なお、改善基準告示を法制化するかどうかにつきましては、厚生労働省の所管であると考えているところでございます。

本村(伸)委員 貸し切りバスの安全運行の確保を、国交省としては、そういう視点で、働くドライバーの皆さんの睡眠時間を確保できる休息期間の保障を検討し、安全基準として罰則つきでつくるべきだという提案なんですけれども、大臣の認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 先ほど委員が御紹介いただいた裁判の事例も、改善基準告示が守られていない事例だったと認識をしております。私どもとしては、まずはこの改善基準告示をきちんと守らせることが重要だというふうに考えております。

 罰則ということでありますが、先ほど申し上げたように、まずは監督等によって行政処分をするということになっておりまして、この処分等に従わない場合は罰則もあり得るという体系でございます。

本村(伸)委員 今回の軽井沢バス転落事故を受けて何が必要なのかということなんですけれども、市場の競争ではなく、安全性や公共性を優先させるということ、そのために、安全を軽視する事業者の参入規制を厳しくし、既存の事業者も含めて安全優先にできないそういう事業者の排除をするということ、二つの観点が必要だというふうに思うんです。

 一つ目が、先ほど来議論もありましたけれども、事業者の参入規制の強化でございます。事業者が安全を確保することができるかということを審査し、参入を規制する。例えば、人の命を預かるバスの事業だからこそ運転手の技量と経験を重視し、人を育てるためにも安定雇用を義務づける。二カ月、二カ月という雇用形態では安全教育だって十分にできませんから、安定的な雇用が必要だというふうに思います。

 そして、二つ目は、労働規制の強化でございます。先ほども申し上げましたように、安全のための睡眠時間の確保をちゃんと位置づけた改善基準告示の改善と、そして罰則をつける法制化が必要だというふうに思います。

 低賃金長時間労働の改善など、安全運行できる労働条件を確保するということに真剣に向き合うべきだということを申し述べさせていただきたいと思います。

 大臣に、事業者の参入規制、労働規制、この両方の規制強化、こうしたことを安全運行のために検討するべきだというふうに思いますけれども、認識を伺いたいと思います。

石井国務大臣 参入規制ということでございますが、参入時に事業者が安全に事業を遂行する能力が備わっているかどうか、これをチェックすることは重要というふうに考えております。

 平成二十四年四月の関越道のバス事故の後にも、参入時におけるチェックの強化を行ったところでありますが、改めて安全に事業を遂行する能力の事前チェックのあり方について、軽井沢スキーバス事故対策検討委員会において総合的に検討を行ってまいりたいと存じます。

 労働規制については、これは厚生労働省の所管かと存じます。

本村(伸)委員 安全運行のために、事業者の参入の規制と同時に、働く人の労働条件を守る、その労働規制の強化、ぜひやっていただきたいということを申し述べ、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

すべて表示

© 2010 - 2017 もとむら伸子(日本共産党衆議院議員)